無線式列車制御システム用ネットワーク シミュレータによる性能評価 発表

平成26年度 信号通信技術交流会
発表内容
開発の背景と目標
シミュレータの概要
無線式列車制御システム用ネットワーク
シミュレータによる性能評価
シミュレーションモデルとシミュレータの構成
主な入力パラメータと計算の流れ
シミュレーション実行例
無線伝送品質のシミュレーション例
シミュレータによる安定性の評価例
信号・情報技術研究部(ネットワーク・通信)
川﨑邦弘
シミュレータの用途と今後の展開
シミュレーションモデルの概要
開発の背景と目標
無線式列車制御システムの
通信ネットワークモデル
無線式列車制御システムの信頼性
⇒ 無線通信システムの性能に依存
安定性(運転阻害に至る確率)の観点から
無線通信システムの設計は適切か?
伝送異常に対する対策は適切か?
を手軽に評価・判断できるツールが欲しい
無線通信システムの伝送品質をシミュレーション
で予測し、列車運行の安定性を評価するシステム
を開発
地上装置
地上装置間LAN
ネットワーク構成定義
シミュレーション条件
列車の追跡・管理
地上
装置
制御電文
現場
端末
制御電文の送信タイミングを制御
(ハンドオーバー処理も模擬)
走行
パターン
無線データ伝送回線
シミュレータ【【RADTRACE】
シミュレータ
走行
パターン
車上
無線局
情報源符号化された
ユーザーデータ
現場端末
現場端末
無線基地局
無線基地局
車上無線局
車上無線局
車上制御
装置
車上制御
装置
無線データ伝送回線
FLR,
Latency
BER
CINR
【TCNET】:OMNEST上に構築
無線伝送制御サブモデル
暗号化・ (L2相当) 復号化・
訂正符号
誤り訂正
ビット列
無線伝送回線サブモデル
復調・
(L1相当) ダイバーシチ
変調
信号波
無線伝送路サブモデル(
無線伝送路サブモデル(L0相当)
鉄道沿線の雑音・干渉を考慮
【RADTRACE】:Cで記述
slow:
無線データ伝送回線
シミュレータの設定
無線
基地局
制御電文の発信元/受信先
地上装置
地上LAN
シミュレータの構成
無線列車制御システム用通信ネットワークシミュレータ【
】
無線列車制御システム用通信ネットワークシミュレータ【TCNET】
地上装置
地上装置
鉄道沿線における
無線データ伝送回線モデル
車上
制御
装置
走行の模擬
評価結果
シミュレーション
評価結果
結果
のグラフ
(Excelマクロ)
ルータ
拠点装置
地上装置
シミュレータのスクリーンショット fast:
装置の配置、ネットワーク構成、
各装置の機能や処理手順、
伝送路などをGUIで設定
伝送プロトコルなどはC++
でプログラミング
SWハブ
現場装置
無線基地局
無線伝送品質は、内蔵した
RADTRACEでシミュレーション
列車
※受信レベルの測定データ等を読み込んでシミュレーションすることも可
1
・フレームフォーマット
・符号化方式(CRC, RS)
・変復調方式(1次・2次)
・伝送速度
・占有帯域幅,フィルタ特性
・受信部のNFと温度
・送信出力、高周波部の損失(送受別に設定)
・ダイバーシチありの場合はアンテナ間の相関
・雑音電力密度、遅延プロファイル
BS3(f3)
線形データ
・線形(緯度,経度,RL)
・各点ごとの伝搬条件
(遮蔽、フェージング)
北緯
系
東経
WGS84
妨害源2
妨害源データ
BS7(f3)
(基地局と同じ様式)
BS1(f1)
BS7(f4)
BS4(f4)
妨害源1
BS2(f2)
無線伝送品質のシミュレーション例
-20
BS5(f1)
基地局データ(1局毎に個別設定)
BS6(f2)
・アンテナの位置(キロ程,緯度,経度,アンテナ高)
・ハンドオーバー方式(ゾーン固定,レベル判定)
・アンテナの種類、指向方向(上り方・下り方別に設定)
・送信周波数、受信周波数
・送信出力、高周波部の損失(送受別に設定)
・ダイバーシチありの場合はアンテナ間の相関係数
・雑音電力密度、遅延プロファイル
シミュレータによるシステムの安定性の評価
最終的なシミュレータからの出力
各装置における全ての制御電文の伝送タイミング、損失率
国際規格IEC 62280が想定している脅威の再現・評価結果
• 削除、破壊、挿入、繰り返し、順序誤り、遅延
シミュレーション対象線区内において列車が緊急停止する確率
列車非常停止の発生確率
制御電文の伝送遅延の分布
拠点装置:通信断検知位置
フレームロス発生位置(車上→地上)
フレームロス発生位置(地上→車上)
車上制御装置:通信断検知位置
列車位置(m)
本シミュレータの主な用途とご利用パターン
主な用途
基地局の配置、無線局の諸元の検討・評価
地上ネットワークの構成、プロトコル等の検討・評価
妨害発生時や故障時、トラフィック増大に対する耐性の評価
沿線の伝搬・雑音環境の変化による影響の予測
☆シミュレータで様々な条件を試行し、実験規模を削減
☆電波法や安全面で実験が困難な条件下での性能を評価
本シミュレータのご利用パターン
無線式列車制御システムの仕様、線区の条件、評価したい事項等を
ご指定頂いて、総研がシミュレーションを実行して評価結果を提供
導入予定の無線式列車制御システムの仕様に合わせてシミュレータ
をカスタマイズして提供
シミュレータの一部の機能をプログラムライブラリとしてパッケージ化
して提供
BS1
ルベ -40
レ音
雑/ -60
ルベ )
レ波 mB -80
渉干 d(
/ -100
ルベ
レ -120
信
受
-140
BS2
都市
BS3
99%
BS4
BS5
開放地
値
BS6
BS7
BS8 BS9
郊外
11.E+00
-1
1.E-01
10
50%
1%
値
-2
1.E-02
10
訂正前のBER
値
雑音レベル
-3
1.E-03
10
BER/
/ FLR
無線通信システムに関する入力データ
車上局データ
無線機仕様(全局共通)
・アンテナの位置(高さ、先頭からの距離)
-4
1.E-04
10
-5
10
1.E-05
訂正後のBER
0
5
干渉波レベル
10
15
km
列車位置( )
20
25
1.E-06Free
Error
シミュレータによる設計・評価の基本的な流れ
線区の条件、無線式列車制御
初期値となるパラメータファイルの作成
システムの仕様、沿線環境、
シミュレーション条件(シナリオ)の作成
想定される障害など
(IEC 62280, IEC/TS 62773)
シミュレータ実行
伝搬環境の確認・反映
(実測値があれば活用)
伝搬状態は妥当?
無線通信ネットワーク
の設計・評価
所要伝送品質を満足?
無線通信ネットワーク
に対する要求条件の
検討・評価
列車停止確率
列車停止確率
は許容以下?
は許容以下?
無線通信ネットワーク
の耐性、余裕を評価
全シナリオをクリア?
全シナリオをクリア?
No
Yes
No
Yes
No
Yes
Yes
No
電波伝搬に関する
パラメータを調整
基地局配置、アンテナの
性能、無線機の諸元、
ネットワーク構成、
プロトコル等の見直し
所要伝送品質の見直し
列車停止判断基準の見直し
妨害源、伝搬環境、
妨害源、伝搬環境、故障、
伝搬環境、故障、
障害等の条件を変更
OK!
現在の取り組みと今後の展開
ミリ波通信、広帯域通信(SS, OFDM)への対応
• IEEE 802.11系を使用するCBTCにも一部対応可
– IEEE 802.11a/gの変復調とフレームフォーマットを実装済
• ミリ波による超大容量通信のシミュレーション
基地局の自動配置、チャンネル配置の最適化
• 伝送品質、基地局配置上の制約、コストを入力として
最適な配置案を数理的に求めて提示する手法を開発中
列車運行・旅客行動シミュレータとの連携
• ダイヤ乱れ時を考慮したシステム設計の支援
音声通信など様々な無線システムへの対応
• 業務用の無線通信システムの設計支援に活用できる
総合的な通信環境シミュレータへの展開
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