JQ International Review 2014 Vol.12 製品開発におけるフロント・エンド

JQ International Review 2014 December Vol.12
製品開発におけるフロント・エンド・ローディング
― 企業理念・研究理念の再構築 ―
(株)ジョンクェルコンサルティング 落合 以臣
A Front End Loading in Product Development
“Restructuring of corporate philosophy and research philosophy”
Shigemi Ochiai, Jonquil Consulting Inc.
Keywords:リコール・数値・隠ぺい・課題・企業理念・研究理念・再構築
2014年は、自動車、耐久消費材などの半端な数字ではないリコールの数、ある意味では
未曾有の製品開発の危機であると言ってもいいかも知れません。その原因の多くは、品質の
悪さによって引き起こされております。さらに、隠ぺい工作が重なり、二重、三重の被害に発展
しております。コストダウンという大義名分のもとに繰り広げられる熾烈な競争によって、いつの
間にか経営者、開発エンジニアにとって本当に大事なことを置き忘れさせられたように思いま
す。
JQ International Review の8月号から11月号にかけて、今現実に起きている製品開発の問
題の多くは、第一の課題(開発体制の見誤り)、第二の課題(工程作成の見誤り)、第三の課題
(研究開発の見誤り)のうち、特に第三の課題に起因すると述べました。つまり、研究開発のう
ち基礎研究、応用研究のどちらに依拠して開発をスタートさせたらよいのかという起点の選定
です。現状では、基礎研究に依拠して進める開発が多くなってくるのにも係らず、早くそれらし
き答えを望むあまり応用研究に依拠した開発が横行しているからです。そのために、先行研究
の調査も結果が示されている文献類を主に進め、その論文が正しいかどうかの判断もできな
いで利用するので、実施してみてはじめてこの文献が役に立たなかったことに気づくことになり
ます。しかしながら、こうした課題だけを取り上げて論じても改善されるかというとそうではないよ
うに思います。それは、課題の隠ぺいという観点にたってみれば、開発エンジニアだけにその
責を負わすことはできないからです。特に、米国でのタカタのエアーバックのリコールでは、か
なり前から会社ぐるみの隠ぺいがあったと米国上院公聴会で指摘されています。まさに、企業
理念・研究理念との関わりが大きいはずです。しかしながら、我々日本人はそれほど理念につ
いて深く探求することもなく、論理的な思考で考えるものとは別物であるという認識でいるので
はないでしょうか。したがって、不測の事態が持ち上がったとき、企業理念もしくは研究理念に
立ち返るのではなく、何とかその場をつくろっていこう、いけるのではないかという極めて貧困
な思いが大勢を占めるのではないでしょうか。
このようなことを鑑みますと、製品開発の過程で起きる第一の課題(開発体制の見誤り)、第
二の課題(工程作成の見誤り)、第三の課題(研究開発の見誤り)を払拭していくためには、企
業理念、研究理念の再構築が重要なことになると思われます。
2014年は、製品開発にとって激動の年であったと言ってもいいのではないでしょうか。ある
意味では、製品開発のプロセスが根本から覆されたと言ってもいいかも知れません。しかしな
がら、どのような時代になろうと、製品開発の過程を粛々と可視化・定量化していく方法は変わ
りありません。是非、前向きに製品開発に取り組んでいただきたいと思います。
今年1年 JQ International Review を愛読していただき、誠にありがとうございました。
2015年は皆様にとりまして、すばらしい年となりますようにしたいと思います。どうぞ、よいお
年をお迎えいただきますようお願い申し上げます。
All Rights Reserved. Copyright © 2014 Jonquil Consulting Inc.
Publication: 1st December 2014