5.3.2 RC柱 - 構造設計システムBRAIN

5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
5.3.2 RC柱
INDEX: 曲げモーメントと軸力に対する計算・円形断面柱の曲げモーメントと軸力の計算・
2 軸曲げを考慮した算定式・せん断力に対する計算・付着の検討(RC規準 1991 年版)・
軸力制限・仕様規定・長柱の応力割増・必要柱成の検討
(1)曲げモーメントと軸力に対する計算
柱の許容曲げモーメント、許容軸力は RC 規準に基づき計算する。
1.
長方形断面柱の算定式(RC 規準(1991)15 条 4 項)
2.
円形断面柱の算定式(RC 規準(1991)15 条 4 項)
3.
2 軸考慮による柱の算定式(RC 規準(1991)15 条 8.2 項、鉄筋コンクリート造建物の靭性保証型耐震
設計指針・同解説 5.2 解説 7)
)
1)断面力の一般表記
平面保持の仮定をおいたとき、断面内の軸応力度σは中立軸からの距離xに比例する。距離xでの軸応力
度σ xは応力勾配をσ 0 とすれば下記である。
 x  0  x
軸方向力 N は軸応力度の全断面についての積分であるから下記となる。
N    x  dA    0  x  dA   0   x  dA   0  Sn
曲げモーメントは同様に軸応力度の断面の図心に対するモーメントの全断面についての積分であるか
ら下記となる。
g
N
図心
M    x ( x  ( Xn  g ))dA   0   ( x 2  x( Xn  g ))dA
e
  0   x 2  dA  0 ( Xn  g )   x  dA   0  In   0 ( Xn  g )Sn
0
ここで
x
Sn
:中立軸に関する断面の 1 次モーメント
In
:中立軸に関する断面の 2 次モーメント
Xn
:中立軸位置
g
:断面の図心位置
x
xn
D
図-5.3.2.1 断面力の一般表記
断面の許容耐力を計算する場合、応力勾配  0 は断面外縁が許容応力度に達しているから、その条件と
中立軸位置から決定することになり、中立軸位置の関数となる。Sn、Inも中立軸の関数である。配筋を
定め、作用軸力に関する次式より、コンクリート、圧縮鉄筋、引張鉄筋のそれぞれが許容応力度状態に
あるときの中立軸位置を決定し、作用軸力Nd下での中立軸位置の計算が決定できる。
Nd   0  Sn
中立軸位置が決まれば、各許容応力状態の許容曲げモーメントが計算できる。その最小値が断面の許容
曲げモーメントである。
B-5.3.2-1
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
(2)長方形柱の曲げモーメントと軸力の計算
軸力を受ける長方形柱の許容曲げモーメントは主筋配置
D
を対称配置(pc=pt、dc=dt)として計算する。向かい合う面
dc
でかぶり厚さが異なる場合は平均値を採用する。
1)軸力を受ける長方形柱の許容曲げモーメント
圧縮縁のコンクリート、圧縮鉄筋または引張鉄筋がそれぞ
at
ac
b
れ許容応力にあるとき、断面の応力勾配は下式となる。
σ1 
①コンクリートできまる場合
fc
Xn
g
dt
Xn
②圧縮鉄筋できまる場合
σ2 
rfc
n( Xn  dc )
③引張鉄筋できまる場合
σ3 
rft
n( D  dt  Xn )
図-5.3.2.2 長方形断面柱
D
1
2
fc
rfc
dc
Xn
Xn
コンクリートで決まるとき
圧縮鉄筋で決まるとき
図-5.3.2.3 断面の応力分布
ここで
Xn
:圧縮縁からの中立軸までの距離
n
:コンクリートと鉄筋のヤング係数比
D
:断面成
dc
:圧縮鉄筋重心位置
dt
:引張鉄筋重心位置
fc
:コンクリートの許容圧縮応力度
rfc
:鉄筋の許容圧縮応力度
rft
:鉄筋の許容引張応力度
断面の等価 1 次モーメントは下式である。
a) 中立軸が断面内にある場合
Sn  (
xn1 2
 n  pc(xn1  dc1)  n  pt(1  dt1  xn1))b  D 2
2
b) 中立軸が断面外にある場合
Sn  Ae( Xn  g )
B-5.3.2-2
dt
3
ft
Xn
引張鉄筋で決まるとき
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
ここで
Xn
D
dc
dc1 
D
xn1 
pc 
ac
bD
dt 1 
pt 
dt
D
at
bD
Ae  ( 1  n( pc  pt ))b  D
1
 n  pc  dc1  n  pt(1  dt1)
g 2
D
1  n(pc  pt)
対称断面では 0.5D となる
c) 中立軸位置が断面成に等しいときの等価断面 1 次モーメントは下式である。
1
Snb  (  n  pc(1  dc1)  n  pt  dt1)b  D 2
2
Snb を前記の軸力式に代入すれば、中立軸位置が断面成に等しいときの軸力 Nb を求めることができる。
作用軸力と Nb との比較から中立軸位置と断面との関係が決定できる。
上記の断面 1 次モーメントを軸力式に代入し、作用軸力と等値すれば作用軸力時の中立軸位置が計算で
きる。
a) 中立軸が断面内の場合、中立軸位置は下記の2次式の解となる。
①コンクリートできまる場合
1
N
xn1 2  (n(pc  pt) 
)xn1  n  pc  dc1  n  pt(1  dt1)  0
2
b  D  fc
②圧縮鉄筋できまる場合
1
N
N
xn1 2  n((pc  pt) 
)xn1  n(pc  dc1  pt(1  dt1) 
dc1)  0
2
b  D  rfc
b  D  rfc
③引張鉄筋できまる場合
1
N
xn1 2  n((pc  pt) 
)xn1
2
b  D  rft
n(pc  dc1  pt(1  dt1) 
N
(1  dt1))  0
b  D  rft
b) 中立軸が断面外の場合、中立軸は 1 次式となり解は下式となる。
①コンクリートできまる場合
Xn 
Ae  fc  g
Ae  fc  N
②圧縮鉄筋できまる場合
Xn 
Ae  rfc  g  n  N  dc
Ae  rfc  n  N
③引張鉄筋できまる場合
Xn 
Ae  rft  g  n  N(D  dt)
Ae  rft  n  N
断面の等価 2 次モーメントは下式による。
a) 中立軸が断面内にある場合
In  (
xn1 3
 n  pc(xn1  dc1)2  n  pt(1  dt1  xn1)2 )b  D 3
3
B-5.3.2-3
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
b)中立軸が断面外にある場合
In  Ig  Ae( Xn  g )2
1
Ig  ((  g1  g1 2 )  n  pc(g1  dc1)2  n  pt(1  g1  dt1)2 )b  D 3
3
ここで
g1 
g
D
各許容応力状態での許容曲げモーメントは下式による。
M   0  In  N( Xn  g )
上式に
N   0  Sn
を代入して N を消去し、pt について整理すれば
pt  f ( M , 0 , Xn )
と表すことができる。この式を用い、実際の計算手順は下記による。
(i) Xn を仮定し、釣合い中立軸 Xnb との比較から決定許容応力状態iを設定
釣合い中立軸は1=2 より Xnb 
n  fc  dc
n  fc  rfc
(ii) 作用曲げモーメントより pt  f( M,  0 , Xn ) として必要 pt を決定
(iii) N   0  Sn と作用軸力 Nd が等しくなるまで(i)の手順から繰り返す
pt は中立軸位置により下式である。
a)中立軸が断面内にある場合
M
pt 
σ0  b  D3

Xn 1 2
(1.5  Xn 1 )
6
2n(0.5  dt 1 )2
b-1) 軸力が圧縮で中立軸が断面外にある場合、pt は下記の 2 次式の解として求める。
①コンクリートできまる場合

N
M1

48(0.5  dt 1 )2 n  pt 2  2  24(0.5  dt 1 )2  (0.5  dt 1 )2 1 
b  D b  D2


6M 1  1
 N
1   1 

b  D b  D 2  fc


0
n
B-5.3.2-4
 12 
 pt
 fc 
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
②圧縮鉄筋できまる場合
48(0.5  dt 1 )2 n  pt 2

N
M2

 2  24(0.5  dt 1 )2  (0.5  dt 1 )2 2  (0.5  dt 1 )
bD
b  D2


M2  n
 N
1   2  12(0.5  dt 1 )

bD
b  D 2  rfc

0

n
 24n 

pt
 rfc 
b-2) 軸力が引張で中立軸が断面外にある場合
M

T  ag  rft  
Z

ag  at  ac
Z  at・D  2dt 
(3)円形断面柱の曲げモーメントと軸力の計算
軸力を受ける長方形柱の許容曲げモーメントは主筋が 6 本以上均等に配置されているとして計算する。
1)軸力を受ける円形断面柱の許容曲げモーメント
断面の等価 1 次モーメントは下式である。
D
a) 中立軸が断面内にある場合
Sn  r 3 (
θ
sinθ
(2  cos 2 θ )  θcosθ )  n  pg  π  r 3 cosθ
3
b) 中立軸が断面外にある場合
r
Sn  Ae( Xn  g )
r’
Ae  ( 1  n  pg )  r 2
gr
Xn
ここで
r
:円形柱の半径
pg 
g
主筋の全断面積
コンクリートの全断面積
図-5.3.2.4 円形断面柱
c) 中立軸位置が断面成に等しい場合
Snb  n  pg    r 3
断面の中立軸位置は下式である。
a) 中立軸が断面内の場合
➀コンクリートできまる場合
N
2
D  fc

1
1 sinθ
(2  cos 2 θ )  θ  cosθ  n  pg  π  cosθ )
(
1  cosθ 4 3
②圧縮鉄筋できまる場合
N
2
D  n  rfc

dt
1 sinθ
1
(
(2  cos 2 θ )  θ  cosθ  n  pg  π  cosθ )
1  cosθ  2dc1 4 3
B-5.3.2-5
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
③引張鉄筋できまる場合
N
2
D  n  rft

1
1 sinθ
(
(2  cos 2 θ )  θ  cosθ  n  pg  π  cosθ )
1  cosθ  2dt1 4 3
上式は数式解法では解けないので、収束計算により θ を求める。
b) 中立軸が断面外の場合、中立軸は長方形断面と同じ式である。
断面の等価 2 次モーメントは下式による。
a) 中立軸が断面内にある場合
1
13 1
1 r
In  r 4 (θ(  cos 2θ)  sinθ cosθ(  cos 2θ))  n    r 4  pg( ( )2  cos 2θ)
4
12 6
2 r
b) 中立軸が断面外にある場合
In  Ig  Ae( r( 1  cosθ)  g )2
r
1
Ig  ( 1  2 n  pg( )2 )  r 4
4
r
ここで
r':主筋群の半径
許容モーメント式により、コンクリート、圧縮鉄筋、引張鉄筋のそれぞれできまる場合についての許容
モーメントが計算できる。三者の最小値が求める許容モーメントである。
実際の手順は長方形柱と同じである。
断面の pg は下式である。
a) 中立軸が断面内にある場合
 1

 θ  sin2θcos2θ  4 
6


σ0  D
64M
pg 
3
 r 
2n  π 
r
2
b-1) 軸力が圧縮で中立軸が断面外にある場合、pg は下記の 2 次式の解として求める。
① ンクリートできまる場合

N
M

8(0.5  dt 1 )2 n  pg 2  1  8(0.5  dt 1 )2  (0.5  dt 1 )2 1  1
2
D
D3


8M1  4
N
1   1 

D 3  π  fc
D2


0
n
②圧縮鉄筋できまる場合
B-5.3.2-6
 32 

pg
 π  fc 
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
8(0.5  dt 1 )2 n  pg 2

N
M

 1  8(0.5  dt 1 )2  (0.5  dt 1 )2 2  2(0.5  dt 1 ) 2
2
D
D3


M  4
N
1   2  16(0.5  dt 1 ) 2 
2
D 3  π  rfc
D
0

n
 32n 

pg
 π  rfc 
b-2) 軸力が引張で中立軸が断面外にある場合
M

T  ag  rft  
Z

Z
πr 2
D  2dt 
4
(4)2 軸曲げを考慮した算定式
1)2軸曲げの検討条件
2 軸曲げの検討は設計条件として二軸曲げを「検討する」
「検討しない」
「内部判定」を指定できる。
「内
部判定」と指定された柱は、はじめに a)柱要素として検討するか否かの判定を行なう。続いて b) 全組合
せケースごとの全設計位置について検討するか否かのチェックを行う。全設計位置に対して 1 箇所でも
「検討する」と判断された場合は、その組合せケースについて 2 軸曲げを設計する。検討しないと判定
された場合は、断面設計法の「判定/二軸曲げ設計」欄に「検討しない」と表示し、検討を行わない。
「検討しない」と判定された組合せケースの応力は、断面設計表上では「0」と表示する。
a)柱要素として検討するか否かのチェック
下記の 4 条件のいずれかに該当する場合は「検討する」と判定する。
①ある条件下の 2 本の大梁が取りつく場合
ある条件下の 2 本の大梁が取りつく場合とは、柱部材座標±z,±y の 4 方向それぞれについて、
±45°以内に接続する大梁のうち、 柱部材座標軸となす角度が最も小さい大梁に対して、
柱頭、柱脚ともに
イ)+y,+z に梁がある、かつ、-y,-z に梁がない
ロ)+y,-z に梁がある、かつ、-y,+z に梁がない
ハ)-y,+z に梁がある、かつ、+y,-z に梁がない
ニ)-y,-z に梁がある、かつ、+y,+z に梁がない
の状態を指す。イ)~二)の状態を伏図の模式図で示すと以下のようになる。
B-5.3.2-7
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
+y
+yにある梁とは、
45°45°
-z
+y方向から±45°の
+z
範囲にある梁を指す。
-y
イ)
ロ)
ハ)
ニ)
□:柱
実線:大梁あり
破線:大梁なし
②部材座標系の y、z 両方向共、曲げ設計が長期応力で決定する場合
③柱主軸が EX、EY 方向に対して 15°以上回転している場合
④柱に取付く大梁が EX、EY 方向に対して 15°以上斜交している場合
ただし、①~④に該当しても下記のいずれか 1 つの条件に該当する場合は、
「検討しない」と判定する。
・
耐力壁が取り付く柱の場合
・
全組合せケースごとの全設計位置についてy、z軸まわりの許容曲げモーメントが 3 倍以上異なる
場合
・
短期応力検討時のある設計位置について、y、z方向のいずれかが危険断面位置より外(端部)側と
なることにより、設計位置の対象外となる場合(5.3.1(2)設計用応力 参照)
・
1 軸での断面設計が完了しない(設計できない)場合
b) 全組合せケースごとの全設計位置について検討するか否かのチェック
下記の⑤について全組合せケースの全設計位置について検討するか否かのチェックを行なう。そして
各ケースの全設計位置に対して 1 箇所でも該当する場合は、その組合せケースを「検討する」と判定し、
その組合せケースについて 2 軸曲げを設計する。
⑤ある組合せケースにおいて X 軸方向と Y 軸方向の曲げモーメントの比が 0.3 以上の場合
(Mz と My のうち絶対値が大きい方を Max_M とし、Mz と My のうち絶対値が小さい
ほうを Min_M として、Min_M ≧ 0.3 × Max_M となる場合)
ただし、⑤に該当していても次の条件に該当する場合は、
「検討しない」と判定する。
・
y、z軸まわりの曲げモーメントのどちらか一方が 0 の場合
B-5.3.2-8
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
2)検討方法
1 軸の応力に対する断面計算終了後、2 軸曲げ検討用の応力(軸力、曲げモーメント、せん断力)を設
定し、それに対して再度断面検定(1 軸曲げ設計とせん断設計)をする。
2 軸曲げの計算式はRC規準 15 条 8.2 項による。部材座標系をy-z系とすれば同式は下式である。
 My

 a My

α
α

   M z   1
 M 

a z

ここで
M y、M z
:2 軸状態での曲げモーメントのy軸、z軸周りの成分
a M y、 a M z
:1 軸曲げ状態での各方向の許容曲げモーメント
設計用 2 軸曲げおよび 2 軸せん断応力の相関係数αとしては、長方形断面についてはデフォルトはα=
1.36 とする。指定により角部の鉄筋の応力が大きくなることを考慮して 2 軸相関をα=1(直線)とする
ことができる。
長方形断面
α=1.36 or 1
円形断面
α=2
とする。
3)検討用応力
a)長期応力
a-1)曲げモーメント
①存在応力が y-z 軸廻り耐力曲線の内部または耐力曲線上の場合
aMy- aMz 耐力曲線の内側において、存在応力(My,Mz)点をとおり、y 軸、z 軸と交わる dMy- dMz 設
計応力曲線を作成し(dMy≦aMy かつ dMz≦aMz)
、y 軸-z 軸-耐力曲線で囲まれた面積と y 軸-z 軸-
設計応力曲線で囲まれた面積の差分の絶対値が最小となるように設計応力曲線の勾配を決定し、dMy,
dMz を確定する。これは、耐力曲線の内側において最も安全側となる割増し応力を作成することを意味
する。なお、上記処理を行った場合、設計応力曲線上に必ず許容耐力がある。
②存在応力が y-z 軸廻り耐力曲線の外部の場合
aMy- aMz 耐力曲線の外側において、存在応力(My,Mz)点をとおり、y 軸、z 軸と交わる dMy- dMz 設
計応力曲線を作成し(dMy≧aMy かつ dMz≧aMz)
、y 軸-z 軸-耐力曲線で囲まれた面積と y 軸-z 軸-
設計応力曲線で囲まれた面積の差分の絶対値が最小となるように設計応力曲線の勾配を決定し、dMy,
dMz を確定する。これは、耐力曲線の外側において最も経済的となる割増し応力を作成することを意味
する。
B-5.3.2-9
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
aMy
dMy
dMy
(Mz,My)
aMy
(Mz,My)
dMz
dMz
aMz
aMz
①存在応力が耐力曲線の内部の場合
②存在応力が耐力曲線の外部の場合
図-5.3.2.5 二軸曲げ応力作成手法(1)
2 軸応力検定比は(2 軸用割増し応力/1 軸の許容耐力)とする。ただし、存在応力が耐力曲線の内部
の場合は、検討方向の検定比が 1 未満のケースのみ比較して決定ケースを決める。存在応力が耐力曲線
の外部、または耐力曲線上となる場合は、通常どおりの比較とする。
耐力曲線の内部の場合、必ず検定比 1
となる片方向は、1 軸応力と同じ値にす
aMy
ることにより、決定ケースの対象から
耐力曲線の外部の場合
外す
は、両方向とも割増し応
dMy
aMy
dMy
力として採用する
こちらは、割増し応力とし
て採用する
(Mz,My)
(Mz,My)
dMz
aMz
aMz
①存在応力が耐力曲線の内部の場合
dMz
②存在応力が耐力曲線の外部の場合
図-5.3.2.6 二軸曲げ応力作成手法(2)
B-5.3.2-10
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
2 軸応力割増しフロー
start


yes
 My 
 Mz 
  1

  
 aMz 
 aMy 
no
①②
③
dA1≦dA2
Mz ≧aMz
no
no
yes
dMz=Mz
dMy=dMy2
yes
dMz=dMz1
dMy=My
②
My ≧aMy
yes
yes
My ≧aMy
no
no
①
①
no
dA1≦dA2
yes
no
dMz3>aMz
&
dMy3>aMy
dMz3>aMz
&
dMy3>aMy
yes
no
no
dMz3>aMz
dMy3>aMy
yes
yes
yes
no
no
no
dA2≦dA3
dA1≦dA3
yes
yes
dMz=dMz2
dMy=dMy2
no
dMz=dMz3
dMy=dMy3
no
dA2≦dA3
dA1≦dA3
yes
yes
dMz=dMz1
dMy=dMy1
dMz=dMz2
dMy=dMy2
end
図-5.3.2.7 二軸応力割増しフロー
B-5.3.2-11
dMz=dMz3
dMy=dMy3
dMz=dMz1
dMy=dMy1
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
dA 1  aMz  aMy  dMz1  dMy1
・・・①
dA 2  aMz  aMy  dMz 2  dMy 2
・・・②
dA 3  aMz  aMy  dMz 3  dMy 3
・・・③
ここに、
Mz
dMz 1 
1
α α

 1   My  
 aMy  

 


dMy1  aMy
My
dMy 2 
1
  Mz α α
1  
 
  aMz  


dMz 2  aMz
dMz 3 
1
α
2  Mz
dMy 3 
1
α
2
 My
a-2)軸力
長期軸力は 1 軸曲げ設計時の長期軸力を用いる。
a-3)せん断力
曲げモーメントに対する方法と同様である。詳細は(5)せん断力に対する計算による。
b)短期応力
短期応力に対する 2 軸曲げの検討は荷重ケース毎に実行する。
(4)2 軸曲げを考慮した算定式 3)検討
用応力a)長期応力a-2)曲げモーメントと同様の手法で算定する。
b-1)曲げモーメント
長期荷重時と同様に、荷重ケースEX時の各方向の曲げモーメントの合モーメントを、各方向の1軸曲げ
設計結果による短期許容曲げモーメントの比によって各方向に変換した曲げモーメントに対して、方向
別に設計する。
b-2)軸力
短期軸力は指定により当該荷重ケースの軸力、または、当該荷重ケースに直交する荷重ケースでの軸力
の 3 割を加算した軸力を用いることができる(日本建築学会「地震荷重-その現状と将来の展望(1987)
」
の水平 2 方向入力の設計用軸力を準用)
。デフォルトは 3 割加算で、結果的に許容軸力を超えると 2 軸曲
B-5.3.2-12
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
げ設計が不可となることがあるので注意する。
EXD
N  EX N
または
EXD N  EX N
 0.3 EY N
ここで
EXD N
:荷重ケースEX時の 2 軸曲げ検討用地震時軸力
EX N
:荷重ケースEX時の 1 軸曲げ設計用地震時軸力
EY N
:荷重ケースEY時の 1 軸曲げ設計用地震時軸力
b-3)せん断力
曲げモーメントに対する方法と同様である。詳細は(5)せん断力に対する計算による。
(5)せん断力に対する計算
1)柱の許容せん断力の計算
長方形柱の許容せん断力は RC 規準 16 条 3 項に基づき下式による。
長期許容せん断力
Qa    fs  b  j
短期許容せん断力
Qas  {fs  0.5 wft( pw  0.002 )}b  j
j
7
d、
8
pw 
aw
、
bx

4
M
1
Qd
ただし
12
とする
pw の値が 1.2%を超える場合は 1.2%とし、pw の最小値は 0.2%とする。
また、
「建築物の構造関係技術基準解説書(2007)」p.350 により、ルート 2 の場合の pw の下限値は、
a)計算上無視したそで壁のついている柱:pw≧0.4%
b)その他の柱:pw≧0.3%
となっており、プログラムではルート 2 用の pw の下限値が設定可能である。デフォルトは 0.3%で、こ
れを下回る場合は適用範囲外としているが、a)項のチェックはしていないので、注意する。
ここで
b
:柱幅
d
:柱の有効成
aw
:1 組のあばら筋断面積
x
:あばら筋間隔
fs
:コンクリートの許容せん断応力度
wft
:帯筋のせん断補強用許容引張応力度
M
:設計する柱の最大曲げモーメント
Q
:設計する柱の最大せん断力
円形断面柱の許容せん断耐力はコンクリート断面を等積正方形に置換して計算する。せん断補強筋比は
B-5.3.2-13
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
等積正方形の幅を用いて計算する。
長期許容せん断力
Qa    fs  b' j
短期許容せん断力
Qas  {fs  0.5 wft( pw  0.002 )}b' j

D、
2
b' 
j
7
d、
8
pw 
aw
、
b'x

4
M
1
Qd
ただし
12
とする
ここで
D
:柱径
b’
:等積正方形に置換した柱幅、柱成
d :柱成(b’ )に対する有効成
2)高強度せん断補強筋を用いた場合の許容せん断力
長期許容せん断力は 1)により、短期許容せん断力は下式による。
Qa  {fs  0.5 wft( pw  0.001 )}b  j
pw の値が 0.8%を超える場合は 0.8%とする。pw の最小値は長期が 0.2%であるため、短期も 0.2%とす
、パワーリング 785(SPR785)
、エムケーフープ(MK785)を用いた場合
る。スーパーフープ(KH785)
の許容せん断耐力は、短期は損傷制御検討と安全性確保検討(デフォルト。従来の設計法に準じる)の
2 種の設計法により設計用せん断力と許容せん断耐力の組み合わせの切り替えが可能である。損傷制御
検討の場合は、耐力式のコンクリート部分をせん断ひび割れ強度に低減する。詳細は各設計指針による。
3)短期設計用せん断力
短期設計用せん断力は下記の3式より選択する。設計せん断力が存在応力を下回る場合は、存在応力で
検討する。スーパーフープ(KH785)
、パワーリング785(SPR785)
、エムケーフープ(MK785)を用
いた場合の短期設計用せん断力は、安全性確保検討(デフォルト)の場合は従来の設計法に準じ、損傷
制御検討の場合は存在応力とする。詳細は各設計指針による。
①
Qd1  Q  n  Qe
②
Qd 2  Q 0  
③

 My 
Qd  min Qd1, Qd 2   min  Q  n  Qe、Q 0  
' 

 My
'
ここで
Q
:長期荷重によるせん断力
Q0
:単純支持とした時の長期荷重によるせん断力。ここでは 0 としている。
’
:柱の内法スパン長さ
 My
:柱頭、柱脚の降伏曲げモーメントの和
柱頭に連なる梁の降伏曲げモーメントの和の 1/2 が柱頭の降伏曲げモーメントよ
り小さい場合は、その値を柱頭の降伏曲げモーメントとする。最上階の柱では 1/2
を省く。
B-5.3.2-14
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
梁の My はスラブ筋を考慮し、下式による。
My  0.9  ( y  at  sy  sat )  d
σy
:梁の主筋強度(実強度)
at
:梁の引張主筋全断面積
sσy
:スラブの主筋強度(実強度)
sat
:スラブの引張主筋全断面積
d
:梁の引張主筋重心位置による有効せい
(注意事項)
・ 柱は圧縮側・引張側で対称配筋、また、柱 My は矩形(
「2007 年版技術基準解説書」の pp.626 に示さ
れる、引張側および圧縮側に各 1 段の主筋を配した柱の曲げ強度 Mu の略算式)で計算している(鉄
筋強度には実強度を用い、直交方向の相関は考慮しないが、軸力値は検定時の存在軸力を用いる)。
・ 取り付く梁の My の集計は、短期応力状態や加力ケースの正負によらず、加力方向に関する柱梁接合
部の左右で、必ず同じ方向に曲げ戻しがあるとして、正負加力の大きいほうを採用している。
・ RC 規準では、取り付く梁の降伏曲げモーメントの合計との比較は柱頭のみとなっているが、実状を
考慮して、柱頭・柱脚それぞれについて梁との比較を行い、先行する降伏モードでのせん断力(梁
を考慮した、柱頭・柱脚曲げモーメント集計の小さいほう)を採用している。
・ ピン接合の大梁は柱取り付き梁と扱わず、梁の My はゼロとする。
・ 柱取り付き梁がない場合、柱 My は地震時曲げモーメントとする。
設計用せん断力の「構造関係技術基準」との比較を次頁の表-5.3.2.1 に示す。
B-5.3.2-15
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
表-5.3.2.1 設計ルートによる設計せん断力の扱い
構造関係技術基準
本システム
Qd=min(Qd1,Qd2)
Qd=Qd1、Qd2、min(Qd1,Qd2)
Qd1=QL+nQE
から指定(ルート 1 用、デフォルト min
ルート 1
柱・梁
nは 1.5 以上
(Qd1,Qd2)
)
4 階建て程度以下では 2 とするとよい Qd1=QL+nQE
Qd2=Qo+αQy
nは入力値(ルート 1 用、デフォルト
αは 1
1.50)
Qy は両端降伏
Qd2=Qo+αQy
αは 1
柱では、柱頭梁降伏も可
Qy は両端降伏
柱では両端柱降伏と一端梁降伏の
小さい方
ルート 2-1・2-2
柱・梁
Qd=min(Qd1,Qd2)
Qd=Qd1、Qd2、min(Qd1,Qd2)
Qd1=QL+nQE
から指定(ルート 2 用、デフォルト min
nは 2.0 以上
(Qd1,Qd2)
)
構造計算に無視した腰壁・たれ壁
が Qd1=QL+nQE
付く場合、2.0 と h/ho の大なる値以上
Qd2=Qo+αQy
αは 1
nは入力値(ルート 2 用、デフォルト
2.00)
Qd2=Qo+αQy
Qy は両端降伏
αは 1
柱では、柱頭梁降伏も可
Qy は両端降伏
柱では両端柱降伏と一端梁降伏の
小さい方
ルート 3
柱・梁
Qd=min(Qd1,Qd2)
Qd=Qd1、Qd2、min(Qd1,Qd2)
Qd1=QL+nQE
から指定(ルート 3 用、デフォルト min
nは 1.5 以上
Qd2=Qo+αQy
(Qd1,Qd2)
)
Qd1=QL+nQE
αは 1
Qy は両端降伏
柱では、柱頭梁降伏も可
nは入力値(ルート 3 用、デフォルト
1.50)
Qd2=Qo+αQy
αは 1
Qy は両端降伏
柱では両端柱降伏と一端梁降伏の
小さい方
RC造で、Q d2 計算時に取り付き部材がない側は、存在M E を採用する。
B-5.3.2-16
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
4)2 軸相関を考慮したせん断設計
せん断耐力の 2 軸相関も一般に下式であらわすことができる。
 Qy

 a Qy

α
α

   Q z   1
 Q 

a z

(4)に示した方法で、曲げと同様に上式により 2 軸応力を考慮した 1 軸設計応力を設定する。相関係
数 は曲げ設計と同様
長方形断面
α=1.36 or 1
円形断面
α=2
とする。
a)長期応力に対する設計
2 軸検討用y、z方向長期せん断力 LD Q y、 LD Q z は、 L Q y、 L Q z、a Q y、 a Q z より、(4)2 軸曲げを考
慮した算定式 3)検討用応力a)長期応力a-1)曲げモーメントと同様の手法で計算する。
ここで
a Q y、 a Q z
:1 軸せん断設計時y、z方向長期許容せん断力
L Q y、 L Q z
:y、z方向 1 軸設計時長期せん断力
b)短期応力に対する設計
設計用応力は各方向の 1 軸せん断設計時の指定に従い下式による。
ED Q y
 MIN[ ED1 Q y ,
ED 2 Q y ]
ED Q z
 MIN[ ED1 Q z ,
ED 2 Q z ]
ここで
ED Q y 、 ED Q z
:2 軸曲げ検討用y、z方向短期せん断力
ED1 Q y 、 ED1 Q z
:Qd1 式による 2 軸曲げ検討用y、z方向短期せん断力。d1 Q y、d1 Q z、a Q y、a Q z より、
(4)2 軸曲げを考慮した算定式 3)検討用応力a)長期応力a-1)曲げモーメントと
同様の手法で計算する。
ED2 Q y 、 ED2 Q z
:Qd2 式による 2 軸曲げ検討用y、z方向短期せん断力。d2 Q y、d2 Q z、a Q y、a Q z より、
(4)2 軸曲げを考慮した算定式 3)検討用応力a)長期応力a-1)曲げモーメントと
同様の手法で計算する。
a Q y、 a Q z
:1 軸せん断設計時y、z方向短期許容せん断力
d1 Q y 、 d1 Q z
:Qd1 式によるy、z方向 1 軸設計時短期せん断力
d2 Q y 、 d2 Q z
:Qd2 式によるy、z方向 1 軸設計時短期せん断力
B-5.3.2-17
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
(6)付着の検討(RC 規準 1991 年版)
RC 柱の端部(危険断面位置)について、RC 規準 1991 年版 17 条に準拠して、せん断力に対する付着
応力度の検討を行う。17 条 1.(2)の、算定断面位置から鉄筋端までの長さ ld のチェックは行わない。
付着検討をしない場合は警告メッセージが出力され、付着検討が NG の場合は適用範囲外メッセージが
出力される。
1)計算式(RC 規準(1991)17 条 p.196 より)
曲げ材の引張鉄筋の付着応力度の算定は下式による。
τa 
Qd
 fa
ψj
ここに、
Qd
:RC 設計用せん断力
j
:応力中心間距離
ψ
:引張鉄筋周長の総和
fa
:許容付着応力度(6 条表 6 による)
2)許容付着応力度(RC 規準(1991)6 条表 6p.7 より)
許容付着応力度算定時は、RC 規準(1991)6 条表 6 より、
「その他の鉄筋」を採用する。主筋かぶり厚
さと径の関係のチェックにより補正を加える。
表-5.3.2.2 鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度(kgf/cm2)
長期
異形鉄筋
上端筋
その他の鉄筋
1
Fc かつ
15
1
Fc かつ
10
2


Fc  以下
9 
75


1


Fc  以下
 13.5 
25


短期
長期に対する値の
1.5 倍
[注](1)上端筋とは、曲げ材にあって、その鉄筋の下に 30cm 以上のコンクリートが打ち込まれる場合
の水平鉄筋をいう。
(2)Fcは、コンクリートの設計基準強度(kgf/cm2)を表す。
(3)異形鉄筋で、その鉄筋までのコンクリートのかぶり厚さが鉄筋の径の 1.5 倍未満の場合には、
その鉄筋の許容付着応力度は、この表の値に「かぶり厚さ/鉄筋径の 1.5 倍」を乗じた値とす
る
(4)軽量コンクリートは RC 規準 1991 年版に示されていないため、RC 規準 1999 年版に倣い、上表
の値に 0.8 を乗じた値とする。
①主筋かぶり厚さと径の割合による許容付着応力度の低減
fa = fa’×min(1,
dc  dw
)
1.5D
fa:設計用許容付着応力度
B-5.3.2-18
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
fa’
:許容付着応力度
D
:主筋の呼び径
dc
:かぶり厚さ (下図による)
dw
:帯筋の公称径
柱_柱頭_z_正曲げ・柱_柱脚_z_負曲げ dc=zs
柱_柱頭_z_負曲げ・柱_柱脚_z_正曲げ dc=ze
柱_柱頭_y_正曲げ・柱_柱脚_y_負曲げ dc=ys
柱_柱頭_y_負曲げ・柱_柱脚_y_負曲げ dc=ye
zs
ze
ye
Dy
y
ys
Dz
z
x
図-5.3.2.8 有効せい
(7)軸力制限
RC 柱は、短期荷重時の作用圧縮力に対し下記の軸力制限(RC 規準(1999)第 14 条)を検討する。断
面検定の可否には考慮しない。制限を満たさない場合、注意メッセージ(C)を出力する。
制限軸力= n  Ac  Fc
ここで
Ac  b  D
n
又は
Ac 
1
  D2
4
:入力値(デフォルト値は 0.3)
(8)仕様規定
断面検定時にチェックされる RC 柱の仕様規定は下記の通りである。
・ 柱の小径は、その構造耐力上主要な支点間の距離の 15 分の 1 以上とする(基準法施行令第 77 条第
五)
下式を満たさない場合は、
(9)により、長柱の応力割増しを行う(告示第 433 号)
。
Min(Dx,Dy)≧1/15H0
ここで、
Dx・Dy :各方向の柱せい(円形断面の場合は直径)
H0
:柱の内法長さ
※ 吹き抜け部の柱などは、一本の部材として認識させるために統合しなければなら
ない。
・ 帯筋比は 0.2%以上(基準法施行令第 77 条第四)
(RC 規準(1999)第 15 条)
、ルート 2 の場合は 0.3%
以上(制限値は指定可能)とする。
これらを満たさない場合は断面検定 NG となる。
また、下記については断面検定 NG とならないがメッセージでチェックされる。
・ コンクリート全断面積に対する主筋断面積の割合は、0.8%以上とする。
(基準法施行令第 77 条第六)
B-5.3.2-19
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
(RC 規準(1999)第 14 条)
ただし、下記の場合は規定を緩和する。
2.0×105mm2以下の場合・・・・・
5
2
5
2
0.8 %
8.0×10 mm 以下の場合・・・・・
5
0.5 %
2
2.0×10 mm ~8.0×10 mm の場合・・・
直線補間
緩和後も主筋割合を満たさない場合は適用範囲外メッセージが出力される。緩和により主筋割合をみ
たした場合は警告メッセージとなる。これは施行令を満たしていないが、RC 規準に指定された方法で追
加検討したことを明示するためである。
(9)長柱の応力割増
告示第 433 号により、設計用曲げモーメントと軸力の割増を行なう。
柱の最小径とその主要支点間距離との比(D/L)が 1/15(軽量コンクリートの場合は 1/10)未満の場合、
設計用曲げモーメントと軸力を次のグラフのように割り増す(告示 433 号および RC 規準(1999) 14 条 3
項、表 14.3)
。
普通コンクリートで D/L が 1/25 未満の場合(軽量コンクリートでは D/L が 1/20 未満)は、断面設計の
結果を NG とし、その理由を「最小径」と表示し、補助メッセージを出力する。
支点間距離 L は柱の内法長さとする。統合柱の場合は、その途中階で大梁が取りついていてもその大
梁は無視し、統合柱の最下階大梁と最上階大梁間の内法長さを採用する。
割増率
2.0
1.75
1.5
1.0
0.5
普通コンクリート
軽量コンクリート
0
0
5
10
15
20
25
L/D
図-5.3.2.9 長柱の割増係数
B-5.3.2-20
30
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
(10)大梁主筋の折曲げ定着および通し配筋による必要柱成の検討
柱頭に接続する大梁について、大梁主筋折曲げ定着の投影定着長さを柱せいの 3/4 倍とした場合に、公
共標仕(H22)または RC 規準(2010)の投影定着長さを満たすための必要柱成の検討を行う。
また、RC 規準(2010)に準拠して、柱頭に接続する大梁主筋の通し配筋に対する必要柱成の検討を行う。
1)検討条件
・検討方法は、
「内部判定」
、
「定着のみ」
、
「直接入力」
、
「検討しない」の 4 種類から選択指定可能である
(デフォルトは内部判定)
。
「検討しない」指定した場合、当該柱について必要柱成の検討を行わず、補
助(A)を出力する。
・必要柱成の検討は RC 鉛直柱を対象とする。斜め柱、S 造または SRC 造の柱は検討しない。
・柱断面形状は矩形柱を対象とし、丸柱は検討しない。
・柱の検討位置は柱頭を対象とする。柱脚は検討しない。
・検討方法が「内部判定」の場合、柱部材座標+z,-z,+y,-y の 4 方向に接続する各大梁について、矩形柱の
対辺に接続する大梁の有無(接続条件は後述)と主筋本数の大小関係により、当該大梁の定着、通し配
筋の有無を、表-5.3.2.3 により決定する。
・検討方法が「定着のみ」の場合、定着の有無のみ表-5.3.2.3 により内部判定し、通し配筋の検討は行わ
ない。
「定着のみ」を指定し、内部判定の結果定着がない場合は、必要柱成の検討は行わない。
表-5.3.2.3 内部判定時の定着・通し配筋(○:あり、×:なし)
対辺接続梁
主筋本数の大小関係
1 段筋
上端筋
2 段筋
○
1 段筋
下端筋
2 段筋
×
通し筋
定着
当該≦対辺
○
×
当該>対辺
○
○
当該≦対辺
○
×
当該>対辺
○
○
当該≦対辺
○
×
当該>対辺
○
○
当該≦対辺
○
×
当該>対辺
○
○
上端筋
-
×
○
下端筋
-
×
○
・検討方法が「直接入力」の場合、定着、通し配筋の指定方法は次の通りとする。大梁折曲げ定着につ
いては柱部材座標+z,-z,+y,-y の 4 方向に関して定着の有無を指定する(デフォルトは定着なし)
。大梁
通し配筋については柱部材座標 z,y の 2 方向に関して通し筋の有無を指定する(デフォルトは両方向と
も通し配筋)
。
・柱頭に接続大梁が 1 本も存在しない場合、指定条件によらず、検討しない。
・接続大梁は RC 大梁を対象とする。RC 造であれば斜め大梁も対象とする。S 造または SRC 造の大梁は
対象外とする。
・主筋配筋タイプが「水平」
(横置き)の RC 大梁が接続する場合、必要柱成の算定対象外とし、補助(A)
を出力する。
・必要柱成の算定対象となる大梁は、柱頭における柱部材座標±z,±y の 4 方向それぞれについて、平面
B-5.3.2-21
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
的に±15°以内に接続する大梁のうち、座標軸となす角度が最も小さい大梁 1 本を採用する(柱はり接
合部の検討と同じルール)
。4 方向の±15°以内から外れる接続大梁が存在する場合、補助(A)を出力す
る。
・接続大梁の水平 15°以内の傾斜や、柱・大梁の鉛直方向に傾斜した接合については考慮しない。
・必要柱成の各算定方向(±z,±y 各々)について、算定対象となる大梁が存在するが、定着または通し
配筋のいずれの指定もない場合、補助(A)を出力する(検討方法が「直接入力」の場合にのみ出力され
る)
。検討方法が「定着のみ」の場合は出力しない。
2)大梁折曲げ定着による必要柱成の算定
・折曲げ定着による必要柱成 reqcD1 は下式により算定する。
reqc D 1
4

 max  L a ,4  
3

ここに、
La:接続大梁の柱への投影定着長さで、指定により、
「公共標仕」または「RC 規準」に準拠して算定
する(デフォルトは「公共標仕」
)
。
Δ:逃げ寸法。接続大梁の折曲げ定着最外部から柱の外面までの寸法で、下式による(図-5.3.2.10 参
照)
  dc  dd 0   db 0 、  db 0  ndb  db 0
dc:柱かぶり厚さ(図-5.3.2.10 参照)
dd0:柱帯筋径(最大径)
ndb:接続大梁主筋上下折曲げ定着の重なり本数(図-5.3.2.10 参照。図は 3 本の場合)
db0:接続大梁の主筋径(最大径)
(4/3)*La
La
dc(かぶり厚さ)
dd0(帯筋最大径)
dc
dd0
Σdb0
(梁主金
上下折曲げ定着の
重なり本数)
逃げ寸法Δ
=dc+dd0+Σdb0
Σdb0
Δ
3Δ
4Δ
図-5.3.2.10 大梁折曲げ定着による必要柱成
「公共標仕」または「RC 規準(2010)」から選択指定可能である(デフ
・投影定着長さ La の算定規準は、
ォルトは「公共標仕」
)
。
B-5.3.2-22
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
・La の算定規準が「公共標仕」の場合、下表における接続大梁の主筋強度・径、および柱コンクリート
の設計基準強度 Fc の組合せにより La を算定する。表の対象外(
「-」表記)の材料の組合せ、または
ユーザー定義材料を用いた場合は補助(A)を出力し、必要柱成の検討を行わない。
表-5.3.2.4 公共標仕による投影定着長さ
柱コンクリート
接続大梁の主筋強度
の設計基準強度
SD295
Fc(N/mm2)
SD345
SD390
SD490
18
20d(25d)
20d(25d)
-(-)
-(-)
21
15d(20d)
20d(25d)
20d(25d)
-(-)
24~27
15d(20d)
20d(25d)
20d(25d)
25d(30d)
30~36
15d(20d)
15d(20d)
20d(25d)
25d(30d)
39~45
15d(-)
15d(-)
15d(-)
20d(-)
48~60
15d(-)
15d(-)
15d(-)
20d(-)
(1)表中の d は、呼び径とする。
(2)軽量コンクリート(Lc≦36)を用いた場合は、SD490 以外の異形鉄筋を対象として、表の数値に 5d 加
算する(カッコ内の式)
。
・La の算定規準が「RC 規準(2010)」の場合、La は下式により算定する。係数αは、検討方法が「内部
判定」の場合は 1.0 固定、
「直接入力」の場合は「コア内定着(1.0)」または「それ以外の場合(1.25)」が
選択指定可能である。
La  
S t d b
10 f b
ここに、
fb:柱コンクリートの付着割裂の基準となる強度 f b 
Fc
 0.9 (N/mm2) (RC規準 16 条 表 16.1
40
「その他の鉄筋」より)
軽量コンクリートの場合 0.8 を乗じる。
Fc:柱コンクリートの設計基準強度(N/mm2)。
σt:定着する大梁主筋の短期許容引張応力度(N/mm2)。
db:定着する大梁主筋の呼び径(mm)
α:大梁主筋を横補強筋で拘束された柱コア内に定着する場合は 1.0、それ以外の場合は 1.25 とする。
内部判定時は 1.0 固定値。直接入力時は指定による(デフォルト 1.0)。
S:0.7(標準フックかつ耐震部材)
。この値は固定値である。
・検討方法が「内部判定」の場合、大梁主筋上下折曲げ定着の重なり本数は、90°折曲げ定着の全長を
呼び径の 40 倍、折曲げ内法直径を最大径の 4 倍として、上端 1 段筋・2 段筋、下端 1 段筋・2 段筋それ
ぞれの折曲げ部先端を突き合わせた場合の梁成 Dij が当該梁成 D を上回る場合に定着筋が重なるものと
して、下表により算定する。なお、内部計算では 3 段筋は考慮しない。
B-5.3.2-23
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
、下端筋は「手前・上
・下表について、大梁断面形状の鉄筋アンカーは考慮せず、上端筋は「奥・下向」
向」とする。また、上端または下端で、1 段筋、2 段筋ともに定着がある場合は、必ず 1 本は重なるも
のとする。なお、表の「-」部分は算定対象外とし、グレー部分は、無条件に ndb=0 とする。
表-5.3.2.5 上下折曲げ定着の重なり本数の内部計算(○:定着あり、×:定着なし)
上端筋
1 段筋
定着
上下折曲げ定着の重なり本数 ndb
下端筋
2 段筋
1 段筋
2 段筋
D<D11
D11≦D<
D12≦D<
D12
D22
D22≦D
○
○
○
○
3
2
1
○
○
○
×
2
1
○
×
○
○
2
1
○
○
×
○
-
2
1
×
○
○
○
-
2
1
○
×
×
○
-
1
0
×
○
○
×
-
1
0
○
×
○
×
1
×
○
×
○
○
○
×
×
1
×
×
○
○
1
○
×
×
×
0
×
○
×
×
0
×
×
○
×
0
×
×
×
○
0
×
×
×
×
0
0
1
-
0
表中の記号は、以下の式による。
D 11  ys  ye   2  dd0  3  db0  Lv 
D12  D11  P 2
D 22  D11  2  P 2
Lv  max 40  db  L a  3  db0  1.25    db0 ,8  db  :90°折曲げ部余長(図-5.3.2.11 参照)
ここに、
P2:大梁 2 段筋の主筋間隔。かぶり厚さ指定の場合は主筋のあき+db0。主筋位置タイプによる場合は
RC 梁の P2 値。
La:接続大梁の柱への投影定着長さで、指定により、
「公共標仕」または「RC 規準」に準拠して算定
する(デフォルトは「公共標仕」
)
。
(ys+ye):大梁部材座標-y 側、+y 側のかぶり厚さの合計。主筋位置タイプによる場合は、
dt 上  dt 下  db0  2  dd0 
dd0:大梁あばら筋径(最大径)
db:大梁主筋径(呼び径)
db0:大梁主筋径(最大径)
B-5.3.2-24
5.3 柱の断面設計
5.3.2 RC柱
柱
大梁
投影定着長さ
La
折曲げ内法直径
4db0
かぶり厚さ
ye(ys)
3db0
dd0
db0
定着総長さ
L2=40db
2.5db0
余長 Lv
(8db 以上)
図-5.3.2.11 大梁主筋 90°折曲げ部余長 Lv 解説図
・検討方法が「直接入力」の場合、柱部材座標+z,-z,+y,-y の 4 方向について、大梁主筋上下折曲げ定着の
。
重なり本数の直接指定が可能である(デフォルトは 0 本)
3)大梁通し配筋による必要柱成の算定
・通し配筋による必要柱成 reqcD2 は下式とする。検討方法が「定着のみ」の場合検討せず、補助(A)を
出力する。
reqc D 2
1 . 5  0 . 1F c

 d b / 3.6 
ft




ここに、
ft:大梁通し筋の短期許容引張応力度(N/mm2)。
db、Fc は RC 規準による La 算定式の記号に同じ。
・通し配筋を指定した方向について、算定対象となる大梁が 1 つしか取り付かない場合、補助(A)を出力
する(検討方法が「直接入力」の場合にのみ出力される)
。
・通し配筋による必要柱成 reqcD2 が柱部材座標の+側、-側で異なる場合、補助(A)を出力する。
・通し配筋の判定において、接続大梁の段差は考慮しない。
4)必要柱成の検討
・1 つの接続大梁に対する必要柱成 reqcD は、折曲げ定着のみの場合は reqcD1、通し配筋のみの場合は
reqcD2 とする。折曲げ定着かつ通し配筋の場合は、reqcD1 と reqcD2 の大きいほうとする。

reqc D  max reqc D 1 , reqc D 2

・z,y 方向ごとの必要柱成は、+側、-側に接続する大梁による必要柱成の最大値とする。
reqc Dz
 max

reqc Dz


, reqc Dz  、 reqc Dy  max

reqc Dy

, reqc Dy 
・必要柱成が検討断面の柱成を上回る場合、補助(A)を出力する。
B-5.3.2-25
