資料(1~3) - 日本証券業協会

資料1
自主規制規則の見直しに関する検討結果等について
平 成 26 年 12 月 16 日
日 本 証 券 業 協 会
本協会では、本年4月 22 日から5月 21 日までの間、協会員等に対して「本協会の自主規
制規則の見直しに関する提案」の募集を行い、本年7月 15 日に「自主規制規則の見直しに関
する検討計画」を公表いたしました。
上記により「規制の見直しの検討に着手する事項(以下の8項目)」に関する検討結果(又
は検討状況)について、下記のとおり、ご報告いたします。
○規制の見直しの検討に着手する事項
項番
1
「自主規制規則の見直しに関する検討計画」
(平成 26 年7月 15 日)
( 〇検討済、△検討中)
提案事項
提案の概要
【「 協 会 員 の 投 資
○ 「高齢顧客への勧誘による販売
に係るガイドライン」において、
非対面取引(コールセンターやイ
ンターネット)においても高齢顧
客の適合性を確認するなど、明確
化してはどうか。
勧誘、顧客管理等
に関する規則第5
条の3の考え方
(高齢顧客への勧
誘による販売に係
る ガ イ ド ラ イ
ン)
」
】
2
検討結果(又は検討状況)
○ ガイドラインでは、高齢顧客が
取引を行なったことについての認
識を確認するために「約定結果の
確認・連絡」を行うこととし、当
該行為を行う者は担当営業員以外
の者としている。
当該「約定結果の確認・連絡」
は不要ではないか。また、連絡す
るとしても担当営業員からの連絡
を認めてもよいのではないか。
-1-
△
検討中
【今後の検討スケジュール】
本件は、「インターネット取引に
おける自主規制のあり方に関する
懇談会」において検討を行い、平成
26 年 12 月 16 日に中間報告書を取り
まとめ、「高齢顧客への勧誘による
販売に係るガイドライン」における
インターネット取引の明確化等を
さらに検討することとした。今後、
本年度中を目途に、「投資勧誘のあ
り方に関するワーキング・グルー
プ」において検討する予定。
△
検討中
【今後の検討スケジュール】
本年度中を目途に結論を得るよ
う、「投資勧誘のあり方に関するワ
ーキング・グループ」において検討
している。
「自主規制規則の見直しに関する検討計画」
(平成 26 年7月 15 日)
項番
3
提案の概要
「広告等に関する
○ 「広告等に関する指針」における、
債券に関する広告等において、表
示することが望ましい事項とし
て、②利率(個人向け国債等、固
定金利又は変動金利である旨、利
率の決定方法、税引後利率を併
記)
、⑦利回り(税引後利回りを併
記(法人向けの広告等の場合を除
く)
)とある。
利率及び利回りの表示をする際
の税引後利率、税引後利回りを併
記する旨を削除するなど、対応し
てはどうか。
① 会員が受検した外部監査の「検
証結果」の開示を義務化してはど
うか。
② 「法令遵守に関する検証業務」と
「合意された手続業務」の2通り
ある外部監査の受検形態を、
「法令
遵守に関する検証業務」に統一し
てはどうか。
ることが望ましい
事項」の変更
【広告等に関する
指針】
4
( 〇検討済、△検討中)
提案事項
指針」の「表示す
顧客資産の分別管
理に係る外部監査
の実効性の向上
【会員における顧
客資産の分別管理
の適正な実施に関
する規則】
5
「有価証券の引受
け等に関する規
則」の見直し
【有価証券の引受
け等に関する規
則】
検討結果(又は検討状況)
○ 同規則第1条では、同規則の目
的について、
「会員が国内において
株券等及び社債券の募集又は売出
し(目論見書を作成するものに限
る。第 33 条及び第 36 条第1項を
除き、以下同じ。
)の引受け並びに
協会員が国内において行う株券等
の募集又は売出しの取扱いに関し
必要な事項を定め、適正な業務の
運営と投資者の保護を図るととも
に、資本市場の健全な発展に資す
ること」を掲げている。下線部分
の規定から、同規則については、
目論見書の作成を要しない株券等
及び社債券の募集又は売出しの引
受けに関しては、同規則第 33 条及
び第 36 条第1項を除き適用されな
いと解されるが、第8条の2及び
第8条の3(反社的勢力排除のた
めの規定)についても適用対象と
される条項に含めるべきと考えら
れる。
-2-
△
検討中
【今後の検討スケジュール】
本年度中を目途に結論を得るよ
う、
「『広告及び景品類の提供に関す
る規則』等の見直しに関するワーキ
ング・グループ」において検討して
いる。
△
検討中
【今後の検討スケジュール】
本年度中を目途に結論を得るよ
う、「顧客資産の分別管理に関する
外部監査等のあり方検討ワーキン
グ・グループ」において、会員に対
する分別管理監査等の外部監査の
あり方及びそれらの監査に関する
開示のあり方について検討してい
る。
<対応済>
平成 22 年 12 月 20 日「引受け時
における反社会的勢力排除のため
の『有価証券の引受け等に関する規
則』等の一部改正に関する Q&A」項
番4②の回答において、「引受規則
第 36 条において、
「規則の適用を受
けない売出しの引受けを行おうと
する場合には、この規則の趣旨を尊
重し、必要と認められる措置を講じ
るものとする。」と規定しているこ
とから、目論見書を作成しない売出
しであっても反社確認を行う必要
がある。」旨を明示しており、引き
続きこの考え方に基づいて運用す
ることとする。
(平成 26 年7月 15 日付「自主規制
規則の見直しに関する検討計画」に
て公表済)
「自主規制規則の見直しに関する検討計画」
(平成 26 年7月 15 日)
項番
6
( 〇検討済、△検討中)
提案事項
提案の概要
株券等の募集の引
○ 「有価証券の引受け等に関する
規則」第 20 条第2項に関し、株券
等の募集に係る資金の使途をM&
Aとする場合において、当該M&
Aの実現可能性については現行規
定のとおり主幹事会社は発行者に
確認し可能な範囲で公表するよう
要請することとする一方、資金充
当の期限及びM&Aに資金が充当
されなかった場合の代替使途につ
いては、発行者への確認及び公表
の要請をとりやめるよう改正して
はどうか。
受け時の資金使途
の確認及び公表に
おいて、M&Aを
資金使途とする場
合の現行規則の見
直し
【有価証券の引受
け等に関する規
則】
7
検討結果(又は検討状況)
○ 日系企業による海外のエクイテ
ィオファリングでは、複数のジョ
ィオファリングの
イントブックランナー体制におい
ブックビルディン
てブックビルディングを実施する
グ手続きにおける
際に、POT 方式を採用することが一
般的となっている。
POT 方式の導入に
一方、国内公募エクイティオフ
ついて
ァリングにおいては、機関投資家
のブックビルディングにおいて、
一般的にスプリット・オーダー方
【「 有 価 証 券 の 引
式が採用されている。近年、ジョ
イントブックランナー案件でのブ
受け等に関する規
ックランナー数が増加する傾向で
則」に関する細則】
あり、スプリット・オーダー方式
により過度な需要獲得競争を誘発
し、投資家サイドが混乱する案件
も確認されている。POT 方式採用に
際し、当事者となるジョイントブ
ックランナーや機関投資家の間で
は認識していた場合でも、外形的
に、
「重複申告」に該当しないか確
認をしたい。
○
検討済
「引受けに関するワーキング・グル
ープ」において検討した結果、当該
規定(有価証券の引受け等に関する
規則第 20 条第 2 項)は、一般的に
M&A は、他の資金使途と比べて実現
の不確実性が高いことから、投資家
に対して説明責任を果たすために
代替使途の公表を求める必要があ
るために導入されたものであり、当
該規定のうち、M&A が実現されなか
った場合の合理的な代替使途の確
認及び開示の要請について撤廃す
ることは、引受証券会社として、投
資家に対する説明責任を果たして
いないともとられかねず、また、昨
今のエクイティファイナンスを巡
る議論において、投資家に対し、フ
ァイナンスへの理解を得るための
より詳細な説明が求められている
ことからも、規則の見直しは行わな
いとの結論に至った。
国内公募エクイテ
-3-
△
検討中
「引受けに関するワーキング・グル
ープ」において検討した結果、オフ
ァリングの個別案件の状況に応じ、
機関投資家への POT 方式の採用が可
能となるよう、引き続き、同ワーキ
ング・グループにおいて、POT 方式
における需要申告について、本協会
の「有価証券の引受け等に関する規
則」に関する細則で禁止している需
要の重複申告との関係を整理する
こととされた。
「自主規制規則の見直しに関する検討計画」
(平成 26 年7月 15 日)
項番
8
( 〇検討済、△検討中)
提案事項
提案の概要
売買審査基準の見
○「不公正取引の防止のための売買
管理体制の整備に関する規則」第
4条第2項から第4項までに基づ
く抽出基準及び分析に係る項目に
ついて、昨今の相場操縦事件を踏
まえた見直しを行ってはどうか。
直し
【不公正取引の防
止のための売買管
検討結果(又は検討状況)
理体制の整備に関
する規則】
○
検討済
「売買管理等に関するワーキン
グ・グループ」において検討を行っ
た結果、本協会の定める基準はミニ
マムスタンダードであり、各会員で
は、それぞれの業態、顧客層等の実
態に照らした独自の抽出基準を加
えて、個別に対応している。この仕
組みにより、これまでも売買審査の
実績が蓄積されてきている。
一方、昨今の見せ玉などの相場操
縦事件は複数の会員を介して行わ
れており、各会員単独での売買審査
だけでは、実効性の向上の観点で限
界がある。むしろ、現在も行われて
いる、会員と証券取引等監視委員会
及び証券取引所との連携を密に行
っていく対応が望ましい。
以上のことから、各社が証券取引
等監視委員会及び証券取引所と連
携を密にしながら、売買審査の実効
性・効率性をより高めていくための
方策について引き続き検討する、と
の結論に至った。
以
-4-
上
分別管理に関する監査法人等による監査結果等
日本証券業協会
平成26年3月末の顧客資産の分別管理の状況に関して、監査法人等によ
る外部監査等の実施状況と結果概要は以下のとおりである。
(会員総数255社 うち外部監査等対象205社(注))
1.外部監査等の実施状況
実施済み 205社 (検証業務127社、合意された手続業務78社)
2.外部監査等の結果概要
(1) 問題となる報告なし: 200社
(2) 発見事項あり
:
5社
・顧客分別金の信託不足等(その後改善、対応した旨の報告あり)
(注)顧客資産の預託を受けていない会員(46社)や廃業等した会員(4社)は対象外。
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資料2
_____________________________
「インターネット取引における自主規制のあり方に
関する懇談会」中間報告書の概要
平成26年12月16日
資 料 3
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本懇談会設置の経緯・目的
• 平成25年12月16日に施行された、高齢顧客への勧誘による販売に係るガイド
ラインにおいて、高齢顧客への「勧誘」を「個別商品の買い付けに関する説明
」と定義している。また、そのような説明が行われないインターネット取引は、
同ガイドラインの対象外と整理している。
• 同ガイドラインの制定に係るパブリック・コメント等において、高齢顧客による
インターネット取引に関し、「ウェブサイト上の表示や運用のあり方の工夫に
ついて検討の余地があるのではないか。」、「ウェブサイト上の表示は同ガイド
ラインの『勧誘』」に該当するのではないか。」、「インターネット取引における
顧客の本人確認は十分になされているか。」といった意見が複数の会員より
寄せられた。
• これらの意見を受け、高齢顧客によるインターネット取引における自主規制の
あり方等について検討を行うため、自主規制会議の下部機関として、平成26
年6月に「インターネット取引における自主規制のあり方に関する懇談会」を
設置した。
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1
本懇談会設置の審議経過
回 数
開 催 日
議
題
第1回
平成26年7月29日(火)
1.委員の紹介
2.本懇談会の設置の趣旨、検討すべきテーマに
ついて
3.「高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドラ
イン」の概要及び主なご意見について
第2回
平成26年9月22日(月)
○ インターネット取引の実務について
-プレゼンテーション 松井証券㈱ 雑賀氏
第3回
平成26年10月30日(木)
○ 「インターネット取引における自主規制のあり
方に関する懇談会」の論点整理について
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2
本懇談会における議論
(1)インターネット取引に関する高齢顧客への勧誘について
インターネット取引については、勧誘(=「個別商品の買付けに関する説明」)に
よる販売がなされない限り、高齢者ガイドラインの適用対象とはならないとされて
いる。
本懇談会においては、その解釈や対象となる行為について、概ね以下のような
意見があった。
• 顧客がIDとパスワードを入力してログインした後の個別画面は、特定の個人
を対象としていることから、当該画面における表示は高齢者ガイドラインにお
ける勧誘に当たると理解している。
• 高齢者ガイドラインにおけるインターネット取引に関する解釈は、弁護士等の
専門家でも、「インターネット取引は勧誘に該当することはない」と誤解してい
る人がいるので、明確化が必要である。
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3
本懇談会における議論
(2)インターネット取引における本人確認のあり方について
協会員各社においては、犯収法の定める要件を遵守するとともに、会員各社に
おいては、必要に応じて犯収法の定める要件に加えて、インターネット証券評議会
において取りまとめた「インターネット取引における本人確認方法について」に則し
て対応している。
本懇談会においては、インターネット取引における本人確認のあり方等について
概ね以下のような意見があった。
• 対面取引においては顧客本人と面談して本人確認を行っているが、インターネ
ット取引においては、実効性のある本人確認がなされているか疑問である。
• インターネット取引でも対面取引でも、取引を行った者が口座名義人なのか、
口座の実質的な保有者なのか、把握、判断、確認することができるかどうかが
焦点となる。
• 本人確認のあり方も時代に合わせて対応していくべきではないか。
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4
本懇談会における議論
(3)ウェブサイト上の表示(広告)のあり方について
協会員が広告等を行なおうとするときには、広告等の内容について広告審査
担当者が審査するとともに、広告等の表示及び方法等については、本協会が定
める「広告等に関する指針」に基づき、対応している。
本懇談会においては、ウェブサイト上の表示(広告)のあり方等について、概ね
以下のような意見があった。
• ウェブサイト上では、銘柄名だけでなく顧客が関心を持つような誘導的な表示
が多くみられる。また、ランキングの根拠が明確でないものもあると感じる。
• 「広告等に関する指針」には、株式については、一律集中・大量推奨販売を防
止する観点から、5銘柄以上を合わせて表示することとなっているが、投資信
託については同様の規制がないので、検討する必要があるのではないか。
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5
本懇談会における議論
(4)その他のご意見
• インターネット取引だけに規制するのではなく、対面取引も含めて本人確
認や高齢者取引といった大きな枠組みの中で考えていくべきである。
• 対面取引経由インターネット取引といったハイブリッドな取引が増えてい
くので、プリンシプルが不可欠である。
• インターネット取引は日々技術進歩しており、また、今後取引の形態の多
様化も進んでいくことから、先を見据えた対応が必要である。
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6
本懇談会における議論のまとめ(方向性)
以下の項目について、自主規制の一環として検討を行うことが望ましいとの方向
性が示されたため、自主規制部門の会議体に検討を依頼することとする。
1.高齢者ガイドラインの対象となるインターネット取引についての検討
⇒ 高齢者ガイドラインの適用対象となるインターネット取引について、自主規制
会議の下部ワーキング・グループである「投資勧誘のあり方に関するワーキン
グ・グループ」において、高齢者ガイドラインの明確化等について検討すること
とする。
2.本人確認についての検討
⇒ FATF勧告(非対面取引等厳格な顧客管理措置等)を踏まえた、本人確認の
実効性確保について、自主規制企画分科会の下部ワーキング・グループであ
る「自主規制規則の改善等に関する検討ワーキング・グループ」において、犯
収法の改正と合わせて検討することとする。
3.ウェブサイト上における表示(広告)についての検討
⇒ ウェブサイト上に投資信託のランキングを掲載する際の留意事項等につい
て、自主規制企画分科会の下部ワーキング・グループである「広告等に関する
ワーキング・グループ」において検討することとする。
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7
「インターネット取引における自主規制の
あり方に関する懇談会」中間報告書
平成 26 年 12 月 16 日
日本証券業協会
目次
Ⅰ.はじめに ........................................................................ 1
1.本懇談会設置の経緯・目的...................................................... 1
2.本懇談会における検討事項...................................................... 2
3.本懇談会の概観 ............................................................... 2
Ⅱ.本懇談会における議論 ............................................................ 3
1.インターネット取引に関する高齢顧客への勧誘について ............................ 3
2.インターネット取引における本人確認のあり方について ............................ 3
3.ウェブサイト上の表示(広告)のあり方について .................................. 4
4.その他 ....................................................................... 5
Ⅲ.本懇談会における議論のまとめ(方向性) .......................................... 6
1.高齢者ガイドラインの対象となるインターネット取引についての検討 .............. 6
2.本人確認についての検討 ...................................................... 6
3.ウェブサイト上における表示(広告)についての検討 ............................ 6
「インターネット取引における自主規制のあり方に関する懇談会」設置要綱
平成 26 年6月 17 日
1.設置の趣旨
本協会では、平成 25 年 10 月 29 日に、高齢顧客への勧誘による販売に係る「協会員の投
資勧誘、顧客管理等に関する規則」等の一部改正及び「協会員の投資勧誘、顧客管理等に
関する規則第5条の3の考え方」
(高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン)を制
定し、同年 12 月 16 日より施行した。
同ガイドラインにおいて、
「勧誘」を「個別商品の買い付けに関する説明」と定義してい
ることから、そのような説明が行われないインターネット取引は同ガイドラインの対象外
と整理したところである。
しかしながら、制定の過程(パブリック・コメント等)において、高齢顧客によるイン
ターネット取引についても、その表示や運用のあり方の工夫について、検討の余地がある
のではないかとの意見が複数の会員より寄せられた。
ついては、高齢顧客によるインターネット取引における自主規制のあり方等について検
討を行うため、自主規制会議の下部機関として、
「インターネット取引における自主規制の
あり方に関する懇談会」
(以下「懇談会」という。)を設置する。
2.検討事項
(1)高齢顧客によるインターネット取引における適合性の原則の適用等について
①高齢顧客の利用を想定したインターネット取引のあり方について
②インターネット取引における本人確認のあり方について
(2)高齢顧客のためのインターネットにおける表示や運用のあり方等について
①ホームページや取引画面における表示のあり方について
②コールセンターでの説明等のあり方について
本懇談会における検討の結果、上記の検討事項等について一定の方向性が示された場合
は、必要に応じワーキング・グループ等において実務の検討を行うこととする。
3.構成
(1) 懇談会の委員は、協会員の役職員、証券市場の利用者、外部有識者 15 名程度をもって
構成する。
(2) 懇談会の委員は、自主規制会議議長が選任する。
(3) 懇談会の座長は、委員のうちから自主規制会議議長が委嘱する。
(4) 懇談会は、必要に応じ、オブザーバーを置くことができる。
(5) 懇談会は、必要に応じ、ワーキング・グループを設置すること又は協会内の会議体に
検討を委託することができる。
(6) 懇談会は、その検討状況について、適宜、自主規制会議及び関係する会議体に報告す
る。
4.事務の所管
本懇談会の庶務は、本協会自主規制企画部が担当する。
以
上
「インターネット取引における自主規制のあり方に関する懇談会」名簿
平成 26 年6月
日本証券業協会
野村総合研究所
座
長
大
崎
貞
和 (
委
員
池
田
成
史 ( ベーカー&マッケンジー法律事務所
弁
同
石
井
登 ( 立
券
代表取締役社長 )
同
伊
藤
立
一 ( 豊
券
代表取締役社長 )
同
今
村
九
治 ( 今
村
証
券
代表取締役社長 )
同
大
塚
政
則 ( 大
和
証
券
コンプライアンス統括部長 )
同
楠
雄
治 ( 楽
天
証
券
代表取締役社長 )
同
児
島
幸
良 ( 森・濱田松本法律事務所
弁
同
新
芝
宏
之 ( 岡三証券グループ
代表取締役社長 )
同
堤
同
永
沢
裕 美 子 (
同
松
井
道
夫 ( 松
同
松
岡
雄
大 ( 三菱東京UFJ銀行
同
松
野
秀
人 ( 野
同
松
同
森
也 夫 樹
未来創発センター
花
証
証
( SMBC日興証券
Foster Forum 良質な
金融商品を育てる会
井
証
村
證
券
主 席 研 究 員 )
護
士 )
護
士 )
コンプライアンス統括部長 )
事
務
局
長 )
代表取締役社長 )
リテール事業部
副
部
長
)
券
業務管理部長 )
本
大 ( マネックス証券
代表取締役社長 )
中
寛 ( 光
代表取締役社長 )
証
以上
券
16 名(敬称略・五十音順)
「インターネット取引における自主規制のあり方に関する懇談会」
における審議経過
回 数
開 催 日
議
題
1.委員の紹介
第1回
平成 26 年7月 29 日(火)
2.本懇談会の設置の趣旨、検討すべきテーマについて
3.
「高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン」の概
要及び主なご意見について
第2回
平成 26 年9月 22 日(月)
第3回
平成 26 年 10 月 30 日(木)
○ インターネット取引の実務について
-プレゼンテーション 松井証券㈱ 雑賀氏
○ 「インターネット取引における自主規制のあり方に
関する懇談会」の論点整理について
Ⅰ.はじめに
1.本懇談会設置の経緯・目的
本協会では、平成 25 年 10 月 29 日に、高齢顧客への勧誘による販売に係る「協
会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」等の一部改正及び「協会員の投資勧誘、
顧客管理等に関する規則第5条の3の考え方」(高齢顧客への勧誘による販売に係
るガイドライン)を制定し、同年 12 月 16 日より施行した。
同ガイドラインにおいて、高齢顧客への「勧誘」を「個別商品の買い付けに関す
る説明」と定義(*1)し、そのような説明が行われないインターネット取引(*2)
は同ガイドラインの対象外と整理したところである。
しかしながら、同ガイドラインの制定過程(パブリック・コメント等)において、
高齢顧客によるインターネット取引に関し、「ウェブサイト上の表示や運用のあり
方の工夫について検討の余地があるのではないか。」、「ウェブサイト上の表示は同
ガイドラインの『勧誘』」に該当するのではないか。」、
「インターネット取引におけ
る顧客の本人確認は十分になされているか。」といった意見が複数の会員より寄せ
られた。
これらの意見を受け、高齢顧客によるインターネット取引における自主規制のあ
り方等について検討を行うため、自主規制会議の下部機関として、平成 26 年6月
に「インターネット取引における自主規制のあり方に関する懇談会」(以下「懇談
会」という。)を設置した。
(*1)本ガイドラインにおける「勧誘」の定義
本ガイドラインにおいて、
「勧誘」とは、
「個別商品の買付けに関する説明」をいうものと
し、勧誘を伴わず、高齢顧客が勧誘留意商品を自ら選択し、
「銘柄」及び「数量又は金額」を
指定して購入を希望する場合には、本ガイドラインに基づく手続きや条件の対象とする必要
はないと考える旨、示している。
(*2)本ガイドラインにおけるインターネット取引に関する考え方
本ガイドラインにおいて、インターネット取引については、
「インターネット取引は顧客自
身がIDとパスワードを入力してログインするとともに、
「銘柄」及び「数量又は金額」を入
力して行うものなので、投資勧誘規則第5条の3に規定する「勧誘による販売」に該当する
行為がなされない限り、同条の適用対象にはならないと考える。
」と示している。
1
2.本懇談会における検討事項
本懇談会では、高齢顧客によるインターネット取引における適合性の原則の適用
等(インターネット取引における本人確認のあり方等)やインターネットにおける
表示や運用のあり方等(ホームページや取引画面における表示のあり方等)につい
て検討を行うこととした。
3.本懇談会の概観
本懇談会は、平成 26 年7月から平成 26 年 10 月にかけて計3回開催された。
第1回会合においては、本懇談会の検討事項について事務局から説明を行った後、
フリーディスカッション形式による意見交換を行った。
第2回会合においては、インターネット取引における本人確認及び適合性の確認
など「現状のインターネット取引の実務」について、インターネット専業証券会社
により説明が行われた。説明内容は、「インターネット取引における検討ワーキン
グ・グループ」において実施したアンケート結果等に基づく、インターネット取引
に関する各社の取組みを紹介したものである。
第3回会合においては、第1回及び第2回の議論を踏まえた各検討事項における
主な論点について、今後自主規制部門で取組みの標準化の必要性を検討していくか、
従来どおり各社の自主性に任せる形とするかについて意見交換を行った。意見交換
の結果、それぞれの検討項目につき、自主規制の一環として検討を行うことが望ま
しいとの方向で合意し、その具体的な検討の場については事務局にて整理を行うこ
ととなった。また、本懇談会は引き続き存続させ、自主規制部門の会議体における
検討状況について本懇談会にフィードバックされることも確認した。
<各会合のテーマについて>
【第1回】本懇談会の設置の趣旨、検討すべきテーマについて
【第2回】インターネット取引の実務について
【第3回】「インターネット取引における自主規制のあり方に関する懇談会」の
論点整理について
第1回及び第2回の会合においては、懇談会委員の間で質疑応答や議論が活発に
行われ、第3回の会合において、それら議論の内容に関する論点整理について検討
を行った。今般、これらの議論の結果として、中間報告書を取りまとめた。
2
Ⅱ.本懇談会における議論
1.インターネット取引に関する高齢顧客への勧誘について
高齢顧客への勧誘による販売に係るガイドライン(以下「高齢者ガイドライン」
という。)においては、インターネット取引について、投資勧誘規則第5条の3に
規定する勧誘による販売に該当する行為がなされない限り、同条の適用対象とはな
らないと考える旨示されているが、本懇談会においてはその解釈や対象となる行為
について、概ね以下のような意見があった。
 ウェブサイトに掲載している商品の表示は、顧客を誘引するような文言があれ
ば、高齢者ガイドラインにおける勧誘の定義である「個別商品の買付けに関す
る説明」と受け取られかねないのではないか。
 顧客がIDとパスワードを入力してログインした後の個別画面は、特定の個人
を対象としていることから、当該画面における表示は高齢者ガイドラインにお
ける勧誘に当たると理解している。
 インターネット取引の場合、特定の個人に投資信託の乗換えの案内や投資信託
のランキングを表示するようなことがあれば、それは高齢者ガイドラインにお
ける勧誘に該当し、ガイドラインに沿った手続きが必要であると整理できる。
 インターネットでも紙媒体でも勧誘行為は可能であるが、その行為の中身によ
って高齢者ガイドラインにおける勧誘に当たるかどうかが決まる。
 対面やコールセンターにおいて勧誘を受けて、注文をインターネットで取引を
行う行為は、高齢者ガイドラインの適用対象となることについて、高齢者ガイ
ドラインの明確化を図るべきではないか。
 高齢者ガイドラインにおけるインターネット取引に関する解釈は、弁護士等の
専門家でも、
「インターネット取引は勧誘に該当することはない」と誤解してい
る人がいるので、明確化が必要である。
上記意見等を踏まえた検討の結果、本懇談会は、インターネット取引における高
齢者ガイドラインの適用について、明確化を図ることについて検討する必要がある
ことから、自主規制部門の会議体に検討を依頼することとした。
2.インターネット取引における本人確認のあり方について
現状、協会員各社においては、犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、
「犯収法」という。)の定める要件(本人確認書類(写し)を郵送で受入れ、記
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載住所に転送不要郵便・本人限定郵便により送付等)を遵守するとともに、会員
各社においては、必要に応じて犯収法の定める要件に加えて、インターネット証
券評議会において取りまとめた「インターネット取引における本人確認方法につ
いて」に則して対応している。
本懇談会においては、インターネット取引における本人確認のあり方等につい
て、概ね以下のような意見があった。
 対面取引においては顧客本人と面談して本人確認を行っているが、インターネ
ット取引においては、実効性のある本人確認がなされているか疑問である。
 本人確認に疑義がある顧客は、直接会って確認することが必要である。
 一律に顧客本人と面談する方法での本人確認を求めることは経済合理性を欠い
ている。直接、顧客本人と会えない場合にどのような本人確認方法が良いのか
に絞った議論が望ましい。
 インターネット取引でも対面取引でも、取引を行った者が口座名義人なのか、
口座の実質的な保有者なのか、把握、判断、確認することができるかどうかが
焦点となる。
 本人確認は、口座開設時に行う本人確認の議論とその後に継続的に本人確認が
できているかとの議論に区別しなければならない。
 本人確認のあり方も時代に合わせて対応していくべきではないか。
上記の意見等を踏まえた検討の結果、本懇談会は、インターネット取引にかかわ
らず、口座開設時とその後の継続的取引時における、顧客と直接面談して本人確認
を行う以外の本人確認方法について、実効性をどのように確保するかといった議論
が必要であることから、犯収法の改正に係る検討と合わせて、自主規制部門の会議
体に検討を依頼することとした。
3.ウェブサイト上の表示(広告)のあり方について
現行、協会員が広告等を行なおうとするときには、広告等の内容について広告審
査担当者が審査するとともに、広告等の表示及び方法等については、本協会が定め
る「広告等に関する指針」に基づき、対応している。
本懇談会においては、ウェブサイト上の表示(広告)のあり方等について、概ね
以下のような意見があった。
 ウェブサイト上では、ランキング表示を含め、顧客を誘引する表示方法により、
対面取引では販売が難しい商品でも大いに販売している。
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 ウェブサイト上では、銘柄名だけでなく顧客が関心を持つような誘導的な表示
が多くみられる。また、ランキングの根拠が明確でないものもあると感じる。
 「広告等に関する指針」には、株式については、一律集中・大量推奨販売を防
止する観点から、5銘柄以上を合わせて表示することとなっているが、投資信
託については同様の規制がないので、検討する必要があるのではないか。
 投資信託の特別分配金(元本払戻し金)はもともと非課税であるが、それをNI
SA口座であれば非課税メリットを享受できるよう表示が行われているとすれ
ば、対処すべきではないか。
上記の意見等を踏まえた検討の結果、本懇談会は、ウェブサイト上の表示のあり
方等について、「広告等に関する指針」の見直しを含めて、自主規制部門の会議体
に検討を依頼することとした。
4.その他
その他の論点として、以下のような意見があった。
 対面取引はこれまでの厳しい規制により高齢者対応などは進んでいるものの、
インターネット取引に対する規制は遅れている。
 インターネット取引の質を落とさないための規則や罰則を整備していくことが
自主規制として重要である。
 インターネット取引だけに規制するのではなく、対面取引も含めて本人確認や
高齢者取引といった大きな枠組みの中で考えていくべきである。
 インターネット取引、対面取引について比較しながら足りない部分を埋めてい
くことでどうか。
 顧客目線に立って、メリット・デメリットを落ち着いてみていくべきである。
 対面取引経由インターネット取引といったハイブリッドな取引が増えていくの
で、プリンシプルが不可欠である。
 インターネット取引は日々技術進歩しており、また、今後取引の形態の多様化
も進んでいくことから、先を見据えた対応が必要である。
 規制を検討する端緒としては、今現在、苦情等が出ていなくても、現場の実務
で混乱が起こっていたり、潜在的な苦情に繋がるような事象があれば、規制を
検討する理由になると考える。
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Ⅲ.本懇談会における議論のまとめ(方向性)
上記Ⅱのとおり、自主規制の一環として検討を行うことが望ましいとの方向性が
示されたことを受け、以下の検討項目について自主規制部門の会議体に検討を依頼
することとする。
1.高齢者ガイドラインの対象となるインターネット取引についての検討
高齢者ガイドラインの適用対象となるインターネット取引について、自主規制
会議の下部ワーキング・グループである「投資勧誘のあり方に関するワーキン
グ・グループ」において、高齢者ガイドラインの明確化等について検討すること
とする。
2.本人確認についての検討
FATF勧告(非対面取引等厳格な顧客管理措置等)を踏まえた、本人確認の
実効性確保について、自主規制企画分科会の下部ワーキング・グループである「自
主規制規則の改善等に関する検討ワーキング・グループ」において、犯収法の改
正と合わせて検討することとする。
3.ウェブサイト上における表示(広告)についての検討
ウェブサイト上に投資信託のランキングを掲載する際の留意事項等について、
自主規制企画分科会の下部ワーキング・グループである「広告等に関するワーキ
ング・グループ」において検討することとする。
上記の検討状況及び結果については、適宜、本懇談会にフィードバックされるこ
とを依頼することとする。
以
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上