新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要 - JOGMEC 独立行政法人

希少金属備蓄部長
特集・連載
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
馬場 洋三
レアメタルは、耐熱、耐食、磁性、蛍光等の金属特性を活用して産業全般で幅広く利用されている。特に、日本
経済を支えるハイテク産業において、製品の小型化・軽量化・高機能化や省エネルギーの諸点で日本の国際競争力
の維持・発展に欠かせない素材となっている。
近年の地球温暖化を始めとする環境問題の世界的な意識の盛り上がりから、低炭素化社会・循環型社会の実現に
向けて、クリーンエネルギーとしての新エネルギー(太陽電池、燃料電池、風力発電等)の導入拡大が積極的に国
家目標として挙げられるに至っている。さらに、新エネルギーに係る産業は日本の新しい産業として発展が期待さ
れている。レアメタルの新たな需要分野として新エネルギー、省エネルギーの開発動向に注視しておく必要があ
る。
太陽電池(太陽光発電)では、現在、シリコン系が主流であるが化合物系(CIGS 等)ではインジウム、ガリウ
ム、セレン等のレアメタルが使用される。また、色素増感型、有機薄膜型、量子ドット型等の新しいタイプの太陽
電池の研究開発も活発化している。
燃料電池には大きく 4 種類のタイプがあるが、家庭用等で一部実用化も始まっている定置用固体高分子型燃料電
池(PEFC)には、触媒電極にプラチナ、燃料改質触媒にはニッケル、アルミニウム等が使用されている。また、
大型風力発電ではネオジ・鉄・ボロン磁石が使用されている。
新エネルギーの導入拡大に当たっては、既存送電システムとの間で円滑な連携が必要であり、新エネルギー技術
で発電された電力を貯蔵する蓄電池やスマート・グリッド技術の開発も重要である。
新エネルギーの積極的な導入促進は、レアメタルの新たな需要増加要因になることから、使用される素材の安定
供給確保を検討する基礎的資料を得るため、(株)三菱総合研究所に新エネルギー(太陽電池、風力発電、燃料電
池及び蓄電池)の使用素材の状況、導入拡大への課題、さらに、レアメタル等使用素材の需要増加を試算させたの
で、概要を報告する。
なお、新エネルギー(太陽電池、風力発電、燃料電池及び蓄電池)については、活発な研究開発(材料開発等に
よる効率性向上、使用原単位の低下、経済性向上等)が行われていること、それぞれの新エネルギー技術間の競争
もあり、今回の 2020 年の構成素材に使用されるレアメタル等の需要推定は、あるシナリオに基づいたあくまで試
算の値であることに留意願いたい。
1. 太陽電池
太陽電池は、シリコン半導体等に光が当たると電気
が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを直接
電気に変換する発電方法である。太陽電池は半導体材
料によって、シリコン系(単結晶、多結晶、薄膜、ア
モ ル フ ァ ス 等 )、 化 合 物 系{ Ⅱ - Ⅵ 族 系:CdTe, CIS
(CIGS)、Ⅲ - Ⅴ族(GaAs, InP)}、その他(色素増感
型、有機薄膜型等)に分類されている。各種の太陽電
池の研究開発も活発に行われているが、現在、既に実
用化されている太陽電池{多結晶シリコン、単結晶シ
リコン、薄膜シリコン、化合物系(CIGS)}について
需要動向を検討することとした。
なお、化合物系については、Ⅲ - Ⅴ族(GaAs, InP)
は発電効率が高く宇宙用等特別な用途に限られるこ
と、Ⅱ - Ⅵ族系 CdTe は欧米市場においては市場投入
されているが我が国においては Cd に対する認識が厳
しいため国内市場へは投入されていないことから、今
回の調査では除外した。
2009.11 金属資源レポート
227
(734)
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
はじめに
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特集・連載
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新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
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(出典:新エネルギー・産業技術開発機構 平成 18 年度委託成果報告書 「太陽光発電技術開発動向等の調査」)
図 1. 各種太陽電池のセル構造
1-1. 太陽電池の素材構成概要
*シリコン系のモジュールについては、平成 18 年
度の(独)新エネルギー・産業技術開発機構(以下
“NEDO”とする)「太陽光発電システム共通基盤技術
研究開発 太陽光発電システムのライフサイクル評価
に関する調査研究」 報告書のモジュール寸法・出力・
シリコンウエハ厚さから試算した。
*化合物系系 CIGS の使用原単位については、平成
2008 年 7 月の(独)産業技術総合研究所 第 4 回太陽光
発電研究センター成果報告会発表資料から Cu:15.0g/kW、
In:16.3g/kW、Ga:6.7g/kW、Se:37.3g/kW を用いた。
表 1. 太陽電池の出力当たり使用素材原単位
太陽光発電
(g/kW)
228
単結晶シリコン
多結晶シリコン
薄膜シリコン(アモルファス)
薄膜シリコン(微結晶)
CIGS
2009.11 金属資源レポート
(735)
Si
2,849.8
2,889.2
7.7
51.5
Cu
In
Ga
Se
15.0
16.3
6.7
37.3
・色素増感型太陽電池
酸化チタン微粒子の表面に吸着した色素が光を吸収
して電子を発生する型の太陽電池で、色素として幅広
い太陽光の波長を吸収できるルテニウム錯体が使われ
ている。貴金属のルテニウムを含まない有機色素を
使った太陽電池も開発されている。
特集・連載
1-2. 次世代型太陽電池の素材構成概要
現在の太陽電池の最大の課題は経済性にある。低価
格、 発電効率の大幅向上を目指して、NEDO、(独)
産業技術総合研究所を中心に産官学が連携して、色素
増感型太陽電池、有機薄膜型太陽電池や量子ドット型
太陽電池等の 「次世代型太陽電池」 として基礎研究・
研究開発が鋭意進められている。
表 2. 色素増感型太陽電池の出力当たり使用素材原単位
Ti
1,468.1
Ru
3.1
Zr
59.2
(出典:H Greijer et al.“Environmental aspects of electricity generation from a
nanocrystalline dye sensitized solar cell system”
)
・有機薄膜型太陽電池
2 種類の導電性を持つ有機材料(導電性ポリマー、
フラーレン等)を基板上に塗布して薄膜を形成でき、
非常に安価に製造可能である。発電効率及び耐久性の
向上が課題で、材料開発等が活発に行われている。
・量子ドット型太陽電池
基板にナノメートル程度の微細な半導体粒子(InGaAs
等)を作り込み、粒子の大きさを変えることにより幅
広い太陽光の波長を吸収できる。理論的には発電効率
が 60%以上と考えられている。
2. 風力発電
風力発電は、ローター(ブレード、ハブ)、ナセル、
タワーから構成される。ナセル内には、ギアボックス
や発電機、制御関連等が収容されている。米国エネル
ギー省の調査“20% Wind Energy by 2030”の 4MW
級 風 力 発 電 の 主 要 な 素 材 構 成 や Martinez ら の 分 析
(2MW の風力発電のケースで発電機重量が 6.5t)等を
基に使用素材原単位を算出した。大まかな構造材料と
しては、鉄、銅、アルミニウムといったベースメタル
が使用され、4MW 級風力発電の発電機部分永久磁石が
風力発電全体の 0.08%(発電機に対しては 3%)使用さ
れている。永久磁石式発電機を利用した風力発電が今
後導入拡大していくと推定されることから、ネオジ・
鉄・ボロン磁石(重量構成比:ネオジウム 28%、ジス
プロシウム 5%、ボロン 1%、鉄 66%)として試算した。
表 3. 風力発電の出力当たり使用素材原単位
風力発電全体(kg/kW)
永久磁石(g/kW)
Fe
107.9
63.6
Al
0.96
Cu
0.61
B
Nd
Dy
1.0
27.0
4.8
3. 燃料電池
燃料電池は、主に水素を燃料として化学反応によっ
て直接発電する発電装置の一種で、イオンを通す電解
質の種類によって、以下のように主に 4 種に分類され
ている。
表 4. 燃料電池の種類
スタック 電解質
固体高分子形
(PEFC)
固体高分子膜
リン酸形
(PAFC)
リン酸水溶液
溶融炭酸塩形
(MCFC)
炭酸塩
作動温度
拡散種
(イオン)
システム 燃料
70 ~ 90℃
水素イオン
H+
水素
200℃
水素イオン
H+
水素
650 ~ 700℃
炭酸イオン
CO32 -
水素
一酸化炭素
固体酸化物形
(SOFC)
ジルコニア系
セラミック系
700 ~ 1000℃
酸素イオン
O2 -
水素
一酸化炭素
30 ~ 40%
35 ~ 42%
40 ~ 60%
40 ~ 65%
貴金属不要
高効率発電
ガスタービンとの
コンバイン発電に
よる高効率発電が
可能
貴金属不要
高効率発電
ガスタービンとの
コンバイン発電に
よる高効率発電が
可能
発電効率
(HHV)
特徴
低温作動
分散型電源
小型、携帯電源、 (実用化)
移動体電源に適用
(出典:NEDO 燃料電池・水素技術開発 2008-2009 パンフレット)
2009.11 金属資源レポート
229
(736)
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
Sn
120.0
色素増感太陽電池(g/kW)
特集・連載
PEFC、PAFC、MCFC については既に市場に投入
されている(ただし、PAFC、MCFC については、採
用実績はそれほど多くなく、SOFC はまだ研究開発段
階の技術である)。
燃料電池のなかで今後の市場拡大が期待されている
のは定置用固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymar
Electrolyte Fuel Cell) で あ り、 主 要 金 属 と し て は、
触媒電極に含まれる Pt、燃料改質触媒に含まれる Ni、
Al 等、パワー・コンディショナーに含まれる Al、Cu
が挙げられる。また、定置用燃料電池では、PEFC に
続いて SOFC の市場投入が期待されている。
NEDO の燃料電池・水素技術開発ロードマップ 2008
及び英国貿易産業省(DTI, the Department of Trade
and Industry) の 委 託 報 告 書 で あ る 「Environmental
Emissions of SOFC and SPFC System Manufacture
and Disposal」 から、使用素材原単位を試算した。
表 5. 定置用 PEFC の出力当たり使用素材原単位
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
Pt
6.5
定置用 PEFC(g/kW)
Ni
12
Al
139.8
Zn
0.4
表 6. 定置用 SOFC の出力当たり使用素材原単位
定置用 SOFC
(g/kW)
Zr
Mn
Sr
La
Y
Ni
Al
Mg
484.90
26.11
8.31
53.43
54.17
532.49
178.68
22.61
(出典:M. Pehnt, Life-cycle Assessment of Fuel Cells in Mobile and Stationary Applications)
4. 蓄電池
太陽電池や風力発電の普及拡大に伴って、配電線の
電圧上昇や、電力周波数の変動、電力需給バランスの
不均衡等、電力系統に対する影響が指摘されている。
こうした課題に対して、電力系統や家庭等の需要家に
蓄電池を設置することは有力な対策とされ、ナトリウ
ムイオウ電池(NAS 電池)や鉛蓄電池が実際に使用さ
れている。また、ニッケル水素電池やリチウムイオン
電池の技術開発も進められている。
*鉛蓄電池
表 7. 鉛蓄電池の容量当たり使用素材原単位
(単位:g/kW)
鉛蓄電池
Pb
16,333
ナトリウム負極、電解質としてのベータアルミナ管が
単電池における主要な構成要素である。セパレータと
いう蓄電池の主要部品に加え、端子、ガラスマット、
電槽等がある。NAS 電池モジュールにおいては単電池
間にナトリウム固化用の砂が充填される構造となって
いる。NAS 電池に対しては、現在製造しているメー
カーが日本ガイシ(株)一社のみであることもあり、
そ の 素 材 構 成 は 明 ら か に さ れ て い な い た め、 米 国
NREL(1992 年調査)での ABB 設計の 50kWh の NAS
電池にナトリウムが 40kg(0.8kg/kWh)、硫黄が 60kg
(1.2kg/kWh)から使用素材原単位を推定した。
Cu
72.2
表 8. NAS 電池の容量当たり使用素材原単位
(単位:g/kW)
*ナトリウム・イオウ電池(NAS 電池)
NAS 電池の主要な構成要素を図 2 に示す。硫黄正極、
Na
800
NaS 電池
S
1,200
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(出典:日本ガイシ HP http://www.ngk.co.jp/product/insulator/nas/nas_data_02.html)
図 2. ナトリウム・イオウ電池(NAS 電池)の主要な構成要素
230
2009.11 金属資源レポート
(737)
ては、黒鉛及びチタン酸リチウムが使用されている
が、将来的にはスズやケイ素を用いた合金、リチウム
金属等が有望な材料として期待されている。本検討に
おいては三元系を前提とし、三元素が均等に含まれて
いるとして原単位を設定した。
また、ニッケル水素電池については、希土類系水素
吸蔵合金を使用する AB5 系の値を用いた。
特集・連載
*ニッケル水素電池及びリチウムイオン電池
新エネルギー用蓄電池として基礎研究・研究開発が
進行している電池は、ニッケル水素電池及びリチウム
イオン電池である。現在、リチウムイオン電池におい
て、 正極材料としては、 層状酸化物系(LiNi⅓Mn⅓
Co⅓O₂ 等のいわゆる三元系)、スピネル系及びオリビ
ン系で主として開発が進められている。負極材料とし
表 9. リチウムイオン電池及びニッケル水素電池の容量当たり使用素材原単位
(単位:g/kW)
リチウムイオン電池
ニッケル水素電池
Ni
400
1,800
Co
400
380
Mn
400
-
Mm※
-
1,200
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
Li
140
-
※ Mm:ミッシュメタル
表 10. 新エネルギー技術におけるレアメタル等素材の使用原単位のまとめ
In
g
Sr
g
16.3
Ga
g
白金
Mn
g
ガリウム
Co
g
ストロンチウム
Ni
kg
インジウム
Sn
g
要注視7鉱種
マンガン
単結晶シリコン
多結晶シリコン
太陽光発電 薄膜シリコン(アモルファス)
(kW 当たり) 薄膜シリコン(微結晶)
CIGS 系
15.0
色素増感型
風力発電(kW 当たり)
100 578 1.79
PEFC
0.14
燃料電池
(kW 当たり) SOFC
0.18
ニッケル水素電池
リチウムイオン電池
蓄電池
Zn
g
コバウム
Pb
kg
備蓄対象7鉱種
ニッケル
Al
kg
スズ
Cu
g
亜鉛
Fe
kg
鉛
主要構成部品
アルミニウム
銅
鉄
クリーンエネ
ルギー技術
ベースメタル(6 鉱種)
Pt
g
6.70
120
0.40
0.01
0.53
26.1
1.80 380
0.40 400 400
6.51
8.31
(kWh 当たり) NAS 電池
鉛蓄電池
72.0
Mg
g
単結晶シリコン
多結晶シリコン
太陽光発電 薄膜シリコン(アモルファス)
(kW 当たり) 薄膜シリコン(微結晶)
CIGS 系
37.3
色素増感型
1.47
59.2
風力発電(kW 当たり)
25.1
4.48
0.09
PEFC
燃料電池
(kW 当たり) SOFC
53.4
54.2 0.05
485
22.6
ニッケル水素電池
1.20
リチウムイオン電池
140
蓄電池
(kWh 当たり) NAS 電池
800
鉛蓄電池
Si
Ru
kg
g
2.85
2.89
0.01
0.05
硫黄
Na
g
ルテニウム
Zr
g
ケイ素
Se
g
その他元素
マグネシウム
Ti
kg
ナトリウム
B
g
ジルコニウム
Li
g
セレン
Mm
kg
チタン
Y
g
ホウ素
Dy
g
その他のレアメタル
リチウム
La
g
ミッシュメタル
Nd
g
イットリウム
主要構成部品
ディスプロシウム
希土類元素
ランタン
ネオジム
クリーンエネ
ルギー技術
16.3
S
kg
3.11
1.20
2009.11 金属資源レポート
231
(738)
(739)
2009.11 金属資源レポート
システム
蓄電池
置用 SOFC)
システム(定
燃料電池
置用 PEFC)
システム(定
燃料電池
システム
風力発電
固体高分子膜
電解質
オウ電池
ナトリウムイ
ン電池
リチウムイオ
水素電池
ニッケル
鉛蓄電池
スタック
燃料電池
鉛合金
銅
ニッケル合金
希土類系合金
Ti/Zr 系合金
△
△
△
△
○
△
△
○
△
△
△
△
○
○
△
△
○
△
○
○
△
△
○
△
○
△
△
△
△
△
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
△
○
○
○
○
○
○
○
○
○
Rb
Cs
○
○
○
△
Be Mg Ca
Ba
△
○
B
Tl
Si
○
○
○
○
硫黄
アルミナ
ナトリウム
正極
電解質
○
○
○
酸化物系
Li 金属系
○
△
Ge
△
As
△
Sb
Bi
○
○
S
○
○
Se
Te
○
○
○
○
△
○
Ti
○
○
△
△
○
○
○
○
○
○
Zr
△
Ru
Hf
Re
○
Cd
○:主要な成分を占める元素、△:添加材的に付加される元素
○
○
○
△
△
△
△
△
K
○
○
○
○
○
△
△
○
○
△
○
○
○
Na
黒鉛系
○
△
△
○
○
○
○
○
Li
合金系
硫化物系
酸化物系(ナシコン型)
酸化物系(ペロブスカイト型)
イオン液体系
ポリマー系
有機電解質系
リン酸鉄系
三元系(Ni-Mn-Co 系)
マンガン系
コバルト系
Laves 相系合金
負極
負極
電解質
正極
負極
カリウム・リチウム・ナトリウム系
カリウム・リチウム系
接合部
正極
セパレータ ポリエチレン
○
○
Ni-ScSZ 系
鉛
○
NiYSZ
Ni-セリア系
SmSrCo 酸化物
LaSrCoFe 酸化物とセリア中間層
LaSrMn 酸化物
硫酸水溶液
電解質
○
△
△
○
○
△
○
△
○
○
△
○
ランタンガレート系(LaGaO3)
○
○
△
△
○
ScSZ
活物質
格子合金
○
○
○
○
CO 変成触媒
YSZ(Y, Sc, Zr)
CO 除去触媒
○
○
電解液
電極
電解質
○
○
改質触媒
セパレータ SUS 材
Pt、Ni、Mn、Co
○
その他
○
○
希土類磁石
接着剤
炭素繊維強化プラ
ガラス繊維強化プラ
触媒電極
発電機
ギアボックス
燃料処理装置 触媒
スタック
燃料電池
タワー
フレーム
ナセル
ブレード
アルミニウム
ロータ
クロム
○
ニッケル
○
コバルト
鉄
タングステン
ハブ
マンガン
色素増感型
モリブデン
○
バナジウム
Mo
インジウム
CuInGaSe2
ニオブ
CdS
(希土類)
裏面電極
タンタル
光吸収層
ガリウム
界面層
ストロンチウム
CIGS 系
パラジウム
システム
スカンジウム
○
ランタン
△
イットリウム
○
ネオジム
Nd Sm Dy Mm
サマリウム
La
ディスプロシウム
Y
リチウム
Sc
ミッシュメタル
Pd
カリウム
○
銀
Ag
ナトリウム
透明電導膜 ITO/ZnO
金
Au
セシウム
○
白金
Pt
ルビジウム
Ga
ベリリウム
Sr
カルシウム
Ta
マグネシウム
RE Nb
ホウ素
In
バリウム
V
ケイ素
Co Mo Mn
タリウム
W
ヒ素
Cr
ゲルマニウム
Ni
アンチモン
○
スズ
Sn
硫黄
○
亜鉛
Zn
ビスマス
Al、Ag
鉛
Pb
セレン
Al
テルル
ZnO、SnO2
銅
Cu
チタン
反射防止膜 MgF2
鉄
Fe
ルテニウム
電極
材料種
希土類金属
ジルコニウム
n層、p層 シリコン
部品
貴金属
レニウム
結晶シリコン系 界面層
主要構成部品
要注視7鉱種
ハフニウム
太陽光発電
ルギー技術
クリーンエネ
備蓄対象7鉱種
その他の元素
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
表 11. 新エネルギー技術におけるレアメタル等素材の含有可能性のまとめ
特集・連載
232
ベースメタル(6 鉱種)
カドミウム
5. 新エネルギー導入拡大に伴う素材需要(試
算)
大幅な太陽光
発電の導入
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新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
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会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策検討会
(2009 年 2 月)等で発表されている。
特集・連載
5-1. 2020 年度の新エネルギー導入シナリオ
太陽光発電等の新エネルギーの将来導入見通しにつ
いては、経済産業省資源エネルギー庁による長期エネ
ルギー需給見通し(2008 年 5 月)、環境省の低炭素社
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図 3. 長期エネルギー需給見通しにおける新エネルギー導入量(資源エネルギー庁)
表 12. 長期エネルギー需給見通しにおける新エネルギーの最大導入ケース
単位※
太陽光発電
風力発電
廃棄物発電+バイオマス発電
バイオマス熱利用
その他※1
合計
万 kL
万 kW
万 kL
万 kW
万 kL
万 kW
万 kL
万 kL
万 kL
2005 年度
実績
35
142
44
108
252
223
142
687
1,160
2020 年度
最大導入ケース
350
1,432
200
491
393
350
330
763
2,036
2003 年度
最大導入ケース
1,300
5,321
269
661
494
440
423
716
3,202
※ 1「その他」には、「太陽熱利用」
「廃棄物熱利用」
「未利用エネルギー」
「黒液・廃材等」が含まれる。
(※注:“万 kL”で示された数値は原油換算値である。
)
2020 年度における新エネルギー導入予測量について
は、太陽光発電及び風力発電(資源エネルギー庁長期
エネルギー需給見通しの 2020 年度最大導入ケース)を、
燃料電池(独立行政法人新エネルギー総合開発機構の
「水素経済社会移行シナリオ等研究」 における定置用燃
料電池市場予測結果の 「シナリオ 2 - 1」)を、蓄電池
(経済産業省の 「低炭素電力供給システムに関する研究
表 13. 新エネルギーの国内導入予測量
太陽電池 (万 kW)
風力発電 (万 kW)
燃料電池 (PEFC) (万 kW)
(SOFC) (万 kW)
蓄電池 (万 kWh)
2020 年
1,432
491
76
82
1,000
会」 の新エネルギー用蓄電池の将来必要量 「シナリオ
Ⅱ」 を採用した。
2020 年度における太陽電池及び蓄電池の技術別シェ
アを上記のように仮定し、新エネルギー国内導入量、
太陽電池・蓄電池技術別シェア及び素材使用原単位か
ら、2020 年度における各素材の使用量を推定した。
表 14. 太陽電池及び蓄電池の技術別シェア(仮定)
太 陽 電 池
2020 年度
蓄 電 池
シリコン系(結晶)
50% NAS 電池
シリコン系(薄膜)
30% 鉛蓄電池
化合物系(CIGS) 15 ~ 20% リチウムイオン電池
色素増感
0 ~ 5% ニッケル水素電池
2020 年度
30 ~ 85%
5 ~ 30%
5 ~ 30%
5 ~ 10%
2009.11 金属資源レポート
233
(740)
表 15. 2020 年の主要素材使用量推定結果
2020 年
特集・連載
ケイ素
全体
20,000 t
ニッケル
1,500 ~ 3,400 t
プラチナ
5t
マンガン
200 ~ 1,200 t
ジルコニウム
400 ~ 440
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
インジウム
ガリウム
セレン
ネオジウム
ジスプロシウム
30 ~ 50 t
15 ~ 20 t
80 ~ 110 t
120 t
20 t
ミッシュメタル
650 ~ 1250 t
リチウム
コバルト
ナトリウム
硫 黄
70 ~ 400 t
400 ~ 1,600 t
2,400 ~ 6,800
3,600 ~ 10,000
2008 年
日本の需要量
出典
金属シリコン約 24 万 t
工業レアメタル
内訳
PV
FC 400
特殊金属 P 報告
約 19 万 t
BT 1,100 ~ 3,000
FC
約 34 t
工業レアメタル
FC 20
Mn 系合金鉄 約 105 万 t 特殊金属 P 報告
BT 200 ~ 1,200
PV 0 ~ 40
FC 400
PV
PV
PV
WT
WT
FC 50
BT 600 ~ 1,200
BT
BT
BT
BT
約 9,900 t
工業レアメタル
約 860 t
工業レアメタル
約 122 t
工業レアメタル
約 220 t(輸出約 570 t) 工業レアメタル
約 4,600 ~ 5,000 t
工業レアメタル
約 600 ~ 700 t
工業レアメタル
約 2,500 t
工業レアメタル
炭酸 Li 約 13,000 t
約1万5千 t
工業レアメタル
特殊金属 P 報告
(注)三菱総研報告書を加筆修正
PV:太陽電池、WT:風力発電、FC:燃料電池、BT:蓄電池
太陽電池材料については、シリコン系の主要構成元
素であるケイ素は約 2 万 t、化合物系(CIGS)の主要
構成元素ではインジウム(最大約 50t)、ガリウム(最
大約 20t)、セレン(最大約 110t)という推計結果と
なった。
燃料電池材料については、PEFC の触媒に使用され
るプラチナが 5t、風力発電の希土類磁石材料に使用
されるネオジウムが 120t、ジスプロシウムが 20t とい
う推計結果となった。
蓄 電 池 用 材 料 に つ い て は、 ニ ッ ケ ル( 最 大 約
3,400t)、コバルト(最大約 1,600t)、マンガン(最大
約 1,200t)、リチウム(最大約 400t)、ミッシュメタル
(最大約 1,200t)、ナトリウム(最大 6,800t)、硫黄(最
大 10,000t)という推計結果となった。
6. おわりに
地球温暖化を始めとする環境問題の世界的な意識の
盛り上がりから低炭素化社会・循環型社会の実現が求
められている。さらには、日本の新しい産業として発
展が期待されるクリーンエネルギーとしての新エネル
ギー(太陽電池、燃料電池、風力発電等)の導入拡大
が 積 極 的 に 国 家 目 標(2020 年 太 陽 電 池 の 導 入 量 を
2005 年比 20 倍)として挙げられるに至っている。新
エネルギー導入拡大には、各種の課題(経済性、社会
的受容性、出力の不安定性、環境問題等)を抱えてい
るが、積極的な政策支援策も打ち出されていることか
ら技術開発が進展し、真に経済性のあるクリーンなエ
ネルギー源として利用が拡大されることが望まれる。
今回の 2020 年における新エネルギー導入拡大に伴
う構成素材使用量推定結果では、インジウム、ガリウ
ム、プラチナ、コバルト及びミッシュメタルの推定使
用量は、現在の日本の需要量に比較して大きいと判断
される。上記の金属の安定供給を図る上で、太陽電池
{化合物系(CIGS)}の生産・技術開発動向、燃料電
池(PEFC)の家庭向けエネファームの販売状況及び
プ ラ チ ナ 触 媒 の 代 替 材 料 開 発 動 向、 燃 料 電 池
(SOFC)の生産・技術開発動向、さらには、系統連
携円滑化におけるニッケル水素電池の使用状況に注目
しておく必要がある。
なお、今回の素材使用量推計は、経済産業省の長期
234
2009.11 金属資源レポート
(741)
エネルギー需要見通し(2020 年太陽電池の導入量を
2005 年比 10 倍)を基礎としている。洞爺湖サミット
以後、我が国においては積極的な政策支援等も打ち出
されていることから、各種構成素材の推定使用量は今
回の推定結果よりさらに大きくなると推定される。一
方、使用原単位は主に文献から求めているため、近年
の活発な材料開発状況等が十分に反映されていないこ
とから推定結果より少なくなると推定される。
(参考)新エネルギー導入拡大への課題と技術開発動向
(1)太陽電池
*経済性:発電コストの低減が最大の課題であり、よ
り高効率な太陽電池が求められている。ま
た、発電出力が気象条件に左右されること
から、調整電源や蓄電池の設置による安定
供給を実現するための技術や気象予測シス
テムの構築・精度向上等の技術開発が行わ
れている。
*原材料の調達:シリコン系では原料シリコンの需給
逼迫も経験した。CIGS 系についても、イ
ンジウム等の希少金属の価格動向に留意す
る必要がある。使用原単位の削減、代替物
質の開発、生産性向上等の取組みが進めら
れている。
(3)風力発電
*出力の不安定性:カットイン・カットアウトによる
出力変動(カットイン:風速が発電に必要
な水準に達し、発電を開始すること。カッ
トアウト:強風等の理由により発電を停止
すること)や、風況の不安定に起因する出
力変動、夜間の低負荷時における余剰電力
の発生等が挙げられる。これに対し、風況
シミュレーション技術の開発や、風況に優
れた洋上風力発電技術の開発、風車設計技
術、エネルギー変換 / 貯蔵技術の開発、小
型風力発電技術の開発等の様々な技術開発
が進められている。調整電源や蓄電池の設
置による安定供給を実現するための技術や
気象予測システムの構築・精度向上等の技
術開発もなされている。
*経済性:風車の故障・事故といったトラブルによる
(4)蓄電池の課題
*経済性:新エネルギー用蓄電池の導入拡大における
最大の課題はコストである。レアメタル等
材料価格の変動や製品の寿命が短いことが
課題として挙げられる。材料コスト低減の
技 術( 代 替 材 料 開 発、 使 用 量 低 減 技 術 )
や、耐久性向上に向けた技術開発がなされ
ている。
*低エネルギー密度:電極の容量密度の低さ、実用
SOC(充電状態:State of Charge)範囲の
狭さ、セル電圧のばらつきの発生、充放電
効率の悪さ等が課題として挙げられる。住
宅に蓄電池を設置する場合には設置スペー
スが限られているため高エネルギー密度化
が求められることとなる。電池を構成する
負極・正極の容量密度向上等の要素技術開
発を中心に、充放電機構や劣化機構の解明
等の基盤技術、出力の制御技術等の取組み
が進められている。
*技術面:高温時や低 SOC 時に寿命や性能が劣化す
ることが課題である。高温に強い電極、電
解質の開発、低 SOC で使用しても性能が
劣化しないような制御技術等の技術開発が
進められている。
*社会的受容性:リチウムイオン電池では、安全性へ
の不安が大きな課題となっており、電解液
や正極活物質の改良等による安全性向上に
向けた取組みが進展している。
(参考文献)
1. 株式会社 三菱総合研究所 「平成 20 年度クリーン
エネルギー導入拡大に係るレアメタル需要動向
調査」:(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
(内部資料)
2.(独)新エネルギー・産業技術開発機構:平成 18 年
度委託成果報告書 「太陽光発電技術開発動向
等の調査」
3.(独)新エネルギー・産業技術開発機構:平成 18 年
度委託成果報告書 「太陽光発電システム共通
2009.11 金属資源レポート
235
(742)
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
(2)燃料電池
*経済性:定置用燃料電池については、家庭における
他熱源機器(ガス給湯器、エコキュート等)
に対し競争力ある価格での販売が不可欠で
あり、発電原価低減が課題となっている。
触媒等(プラチナやルテニウム)の代替材
料開発、使用量低減技術開発や量産技術の
開発による低コスト化、システム評価・解
析手法の確立、スタックの高耐久化、量産
技術の確立といった技術課題の解決に取組
ん で い る。 ま た、 膜、 電 極、 触 媒、 セ パ
レータ等の共通的な要素技術を対象として
耐久性向上に係る技術開発も進められてい
る。技術的制約に関して、PEFC では次世
代 MEA・セル・スタック技術の開発が進
展中である他、触媒の反応メカニズムや代
替触媒の開発、劣化機構解明等の基盤的な
技術開発にも併せて取組まれている。
*社会的受容性:燃料電池の安全性・信頼性等(品質
規格の確立、実証実験、国際標準化)に関
する試験・評価手法の開発等の取組みがな
されている。
稼働停止による稼働率の低下が課題として
挙げられる。落雷等のトラブルによる稼働
停止を防止するべく、安全基準や技術基準
等の標準の整備、運転等のデータ開示等の
取組みの他、風車自体の低コスト化、長寿
命化、量産化、リサイクル・リユース等の
技術開発が進められている。
*社会的受容性:騒音、電磁波影響等の対応として、
低騒音 型・デザイ ン性の高い風車の開発
や、環境配慮設計等の技術開発の他、安全
性を証明するための認証機関設立の動きも
ある。
特集・連載
*社会的受容性:メガソーラー開発については、自然
破壊、航空機への影響、景観への影響等が
危惧される向きもあり、防幻使用のパネル
の開発による反射低減やデザインの多様化
に関する技術開発が行われている。
*その他、産業基盤の強化:太陽電池産業及び周辺産
業の育成、関連セクタとの連携、使用済み
製品のリサイクル・リユースといった課題
が挙げられる。より強力な政策的支援と優
遇措置に絡む法整備の推進が課題として挙
げられる。
特集・連載
新エネルギー導入促進に伴うレアメタル需要
基盤技術研究開発 太陽光発電システムのライ
フサイクル評価に関する調査研究」
4.(独)産業技術総合研究所:平成 20 年 7 月 第 4 回
太陽光発電研究センター成果報告会発表資料
5. H Greijer et al.:Environmental aspects of electricity generation from a nanocrystalline dye
sensitized solar cell system,2000
6.(独) 新 エ ネ ル ギ ー・ 産 業 技 術 開 発 機 構: 燃 料 電
池・水素技術開発 2008 ~ 2009 パンフレット
7. DTI, the Department of Trade and Industry, UK:
「Environmental Emissions of SOFC and SPFC
System Manufacture and Disposal」
8. M. Pehnt, Life-cycle Assessment of Fuel Cells in
236
2009.11 金属資源レポート
(743)
Mobile and Stationary Applications
9. 日本ガイシ(株)HP
10. 経済産業省資源エネルギー庁:長期エネルギー需
給見通し、2008 年 5 月
11.NREL, US.:Environmental Health and Safety Issues
of Sodium Sulfur Batteries for Electric and
Hybrid Vehicles Volume I:Cell and Battery
Safety, 1992
12.Imperial College, UK:Environmental Emissions of
SOFC and SPFC System Manufacture and
Disposal, 2000
(2009. 8.19)