NAC剤 (NAC45%,エス

東北農業研究
(Tohoku Agric Res)41, 231-232(1988)
リン ゴ 新 品 種 に対 す る摘 果 剤 の 効 果
鈴 木
野田 和 夫
哲 ・ ガヽ
(岩 手県園芸試験場 )
Effects of Fruit Thinning Agent on New Apple Cultivars
Satoru SuZUKI and Kazuo ONODA
(Iwate IIOrticultural Experiment Statlon)
:は
62年 処理 では王林を除き 3週 間後処理 の方が効果が高 くあ
じ め
に
現在 ,摘 果剤 として使用 されて い る ミク ロデナポ ンの農
薬登録品種 は ,ふ じ,紅 玉 ,つ が る,国 光 ,旭 ,祝 ,印 度
である。最近は ,労 働力不足などか ら,こ れ ら以外 の品種
に も使用 してみたいとい う要望が強ま っている。 しか し
最近 の北斗などの新品種 や .千 秋 ,王 林 ,ジ ョナ ゴール ド
な どの主要品種 に もまだ登録 がない。そ こで ,昭 和60年 か
,
ら60年 の 3か 年 で ,千 秋 ,王 林 ,ジ ョナ ゴール ド,北 斗 に
対す るミクロデナポンの摘果効果について検討 した。また
らわれ た。 これは62年 処理時 の気温が最高気温 ,平 均気温
ともに 2週 間後 よ り 3週 間後 のほ うがかな り高めであ った
こと と,初 期生育 が悪 く 2週 間後では効果がまだ高 くあ ら
われなか ったことなどが考え られる。以上 の結果か ら, ミ
ク ロデナボ ンの品種による摘果効果は ジョナ ゴール ド,王
林 ,北 斗 ,千 秋 の順 で低 くな り,千 秋はお、じと同等か やや
効果力塙 くあ らわれるとい う傾向が認められた。 このため
,
表
1
ミク ロデナポ ンの摘果効果
,
験
口
m 種
2試
処理年
ミク ロデナ ポンの摘果効 果が低 いお、じに対 して ,よ り効果
(NAC45%,エ ス
の高 い剤 と して , エス レルーNAC剤
レル15%)に ついて も検討 した。
濃度
(倍
A
頂
中
1,000
方 法
王 林
昭和 61年 と62年 に岩手県園芸試験場圃場 内の 10年 生以上 の
樹勢 の中庸なわ い性樹を供試 して検討 した。処理方法は
お、じは樹冠全体に ,千 秋 ,王 林 ,ジ ョナ ゴール ド,北 斗は
芽
側
中
全果
側
17
72
86
100
23
137
98
100
1,000
19
]09
168
'4
83
100
100
95
87
25
無散布
,
お、 1,200
目通 りの 高 さの 中庸 な■1枝 2∼ 3本 に,満 開か ら約 2週
間 後 と 3週 間後 に 小型噴霧器 で 十分量散布 した。 調査方
1,200
千
62
秋
62
J ●C
ミク ロデナポ ンの摘果効果 は ,供 試 した全品種で認め ら
1,200
千
王
種 により異なるが ,過 剰摘果 の基準 を中心果落率 60%と し
た )の 傾向であった。王林は 3か 年 ともに高 い摘果効果 を
示 したが ,61年 の中心果平均横径 109111時 の散布を除け ば
林 無 散布
過剰摘果とはな らなか った。北斗 は王林よ りやや摘果が低
い傾向がみ られた。全体的 に満開 2週 間後 と 3週 間後散布
の比較では 2週 間後散布 の方 が効果 は高 い傾向であったが
斗 無散布
,
-231-
Jヒ
注
1,200
92
100
83
21
139
48
94
63
84
41
86
52
77
13
87
48
89
78
80
20
145
61
90
91
83
36
70
88
63
51
25
31
95
91
65
73
100
96
83
97
50
,3
99
95
95
97
42
100
100
96
16
10 8
23
151
15
115
22
16 1
67
88
62
12 1
6
34
29
166
8
24
20
8
15
13
91
1.200
1.200
100
83
無散布
の中心果落果率 も62%と 高 か ったが ,中 心 果平均横径が
161m時 の散布 で中心果落果率88%と 高 く,過 剰摘果 (品
81
75
秋
ドはジュー ン ドロ ップの 多 い品種であり,62年 の無処理区
97
97
94
無散布
れ ,王 林 ,ジ ョナ ゴール ド,北 斗 では散布時 の中心果横径
が 16m以 上で も高 い摘果効 果が認め られた。 ジョナ ゴール
52
50
39
無散布
結果及 び考察
100
72
無散布
1,200
71
14
じ 無散布
工 林
布前に果実の横径を側定 して果実横径別 の落果率を求 めた。
(%)
腋
じ 無散布
ミク ロデナボ ンの摘果効果 については昭和 61年 か ら63年
までの 3か 年 ,エ ス レルーNA側 の摘果効果 に ついて は
法は各樹 の供試側枝 2∼ 3本 の全果 (50∼ 100果 そ う )を
散布前 と散布後 に調査 し落果率 を求めた。また , 1樹 当た
り頂芽 10果 そう,腋 芽 5果 そ うの果実 に毛 糸 で ラベル し散
落 果 率
芽
)
`、
3
B
17
12 4
31
24
16 1
58
86
14
52
16
118
49 95
23
18 2
37
30
86
82
72
65
99
96
83
0
97
71
A:散 布時期 (満 開 日か らの日数 )
B:処 理時頂芽中心果平均横径 (m)
77
東 北 農 業 研 究
過剰摘果の傾向とはならず に高い摘果効果を得 るためには
ジョナ ゴール ドは満開 3週 間後以降の中心果平均横径 が16
,
回以上 (た だ しジューン ドロ ップの多 い品種 のため ,樹 勢
や花の質 によ り過剰摘果 となる場合がある ),王 林 は満開
3週 間後かそれ以降の中心果平均横径が 16口 ,北 斗は満開
3週 間後 の中心果横径 16回 の時期 の散布が効果的 であると
考え られる。千秋は満開 2∼ 3週 間後 の散布 で効果が認め
表 2 ふ じに対するエス
薬剤名
処 理年
濃度
(倍 )
"レ
ー NAC剤 の摘果効果
落 果 率
A
B
頂
中
61
500
17
700
17
N
1,200
17
E
E
500
23
700
23
N
C
1,200
20
500
14
700
14
1,200
14
500
21
700
21
1,200
21
E
E
E
E N
E
E
N
C
注
薬剤名
芽
側
58
64
72
138
133
137
88
90
75
133
133
139
側
93
98
86
100
96
98
94
100
100
100
100
100
100
100
94 100
77 100
75
98
らに検討が必要である。
お、じに対す るエス レルーNAC剤 の摘 果効果 は ,昭 和 61
年 ,62年 ともにミクロデナポンと同等 かそれ以上 の高 い幼果
を示 した。500倍 液散布では中心果落果率 が昭和61年 は 2
週間後 , 3週 間後散布 ともに約 80%,62年 は 2週 間後散布
で 70%と やや過剰摘果 の傾向であった。また ,果 実横径別
落果率か ら,エ ス レルーNACmlは ミク ロデナ ボ ンと同様
全果
満開 2週 間後散布で ミクロデナポンよ り効果 が高 く,ま た
過剰摘果 とはな らず ,実 用性が認 め られた。
4摘
,
要
千秋 ,王 林 ,ジ ョナ ゴール ド,北 斗 に対する ミク ロデナ
ポンの摘果効果並びに ,3、 じに対す るエス レルーNAC剤
の摘果効果 について も検討 した。
ll)ミ ク ロデナ ポンの品種 による摘果効果 は ,ジ ョナゴー
ル ド>王 林 >北 斗 >千 秋 の順で高 く現れ ,ジ ョナ ゴール ド
94
94
39
94
61
90
95
100
51
91
96
100
48
94
63
99
考え られる。
41
86
52
87
じに対するエス レルーNAC剤 の摘果効果 は ミク ロ
デナポ ンよ り高 く,700倍 液 2週 間後散布 で効果的であ っ
ク ロデナ ボ ン
C:無 処理
芽
られたが ,処理時期 については判然 と しなか ったため ,さ
71
60
E:エ ス レル ー NAC
N:ミ
腋
41号 (1988)
に ,散 布時 の果実 が小さい ものほど落果させ る傾向が認 め
られた。以上の 結果か ら,エ ス レル ーNAC剤 は 700倍 液
(%)
中
第
はやや過劇 摘果 の傾向であ った 。千秋 に対す る効果 はやや
低 くふ じなみであ った。効果的な散布時期は ,ジ ョナ ゴー
ル ド,王 林 ,北 斗が満開 3週 間後 ,千 秋は満開 2週 間後 と
12}ふ
た。500倍 液散布ではやや過剰摘果 の傾 向であ った 。
-232-