水稲技術情報 No.6 適正穂肥ができる稲姿に向けて 平 成 2 3 年 7 月 5 日 新発田農業普及指導センター 6月 下旬以降の高温 ・多雨・少照傾向により 、昨年並に 草 丈 が 急 伸 長 し、 葉 色 が 濃い 状 態 が続 い てい ま す。 今 後 も 同 じ よ う な天 気 が続 く と 見 込ま れ て いる ので 、 倒 伏 に よ る 品 質 の 低 下 が懸念されます。ほ場ごとに生育状況を確認し、以下の緊急技術対策を実施してください。 1 「緊急」中干し期間を延長する 。(出穂25日前まで) 多 雨 傾向 に よ り 、 十分 な 中 干 し 効果 が 得 られ てい ない ほ 場 で は 、 中 干 し 期 間を 延長 し て 地固 めを徹底し、穂肥を施用しやすい稲姿に調節し ましょう。 なお、田面に大ヒビ が入る等の乾かしす ぎ は品 質低下を招き、カドミウ ム吸収抑制にも悪影 響を及ぼし ますので過度の中干しは 行わない ようにしましょう。 2 溝切りの完全実施 溝 切 りは 、 中干 し 効果 を高 める こ とがで き るほ か 、 フ ェー ン時 の効 率的 な灌水 にも 有 効で す の で、全ほ場で確実に実施しましょう。 3 1回目の穂肥は慎重に対応する。 葉色 が濃い状 態で の追 肥は 、 病害虫 の多発 生や過剰 籾数によ る登 熟不良、 下位節 間の伸長 によ る倒伏 リスク等を高めます 。必要に応じ て1 回目の穂肥は 遅め、 控え め(窒素成分 0.8kg/10a 以下)等の慎重な対応を検討し、今後の生育情報に注意しましょう。 4 葉いもちが確認されました。 7月5日に管内でこしいぶきに葉いもちの本田発病が初確認されました。コシヒカリBL でも油断せずに、適切に対応しましょう。 1 生 育 の 概 況 ( 7 /5 現 在 。 今 後 の 生 育 速 報 N o . 5 ( 7月 11日 発 行 ) に も ご注意 ください 。) 草 茎 葉 葉 丈 数 数 色 … 近年比 … 〃 … 〃 … 〃 長い(急伸長) 並∼やや多い 並 濃い (64cm ) (466本/㎡) (10.3葉) (SPAD 42.1) ※普及指導センター調査ほ( コシヒカリBL) 生育データに基づく。( ) 内は平均値。 ※近年比:平成14年から の9年間の平均と本年値の比較 ・草丈は 、 全般的に急伸長し、長くなっています。 ・茎数は 、6月30日頃に最高分げつ期を迎えました。全般的に近年に比べ多めになっています。 ・ 葉色 が濃い 状態 が続 いてい ます 。 生育量 が並 ∼小 さめ のほ 場 で は 急激 に葉色 値が 濃く なってい ます。 2 出穂予 想(ほぼ 近年並 の出穂) 表−1 主要品種別出穂予想と 穂肥のめやす【5月10日移植の場合】 ※7月5日現在 品種名 う る ち も ち 酒 米 3 予想 出穂期 8/ 4 8/ 4 8/ 6 8/12 8/ 7 8/ 2 7/31 8/18 こしいぶき ゆきん子舞 ひとめぼれ コシヒカリ こがねもち わたぼう し 五百万石 越淡麗 10a当たり 穂肥窒素量 2kg 4kg 2∼3kg 1∼3kg 1∼3kg 2∼3kg 1∼2kg 2kg 穂肥時期(出穂前日数) 1回目 2回目 23日前 14日前 25∼23日前 14 25∼20日前 14∼10日前 18∼15日前 10日前 18∼15日前 10日前 22∼20日前 12∼10日前 20日前 12日前 18日前 10日前 湛水管理 開始時期 7/10∼ 7/10∼ 7/12∼ 7/18∼ 7/13∼ 7/ 8∼ 7/ 6∼ 7/23∼ 適正穂 肥のため に (1)時期の判断:幼穂長から出穂前日数を推定し、穂肥施用日を決定する。 (1)コ シヒカリ1回目の穂肥施用のめやす ◎ 7 月 20日 頃 が コ シ ヒ カ リ の 幼 穂形 成 期で す 。こ の 頃 の 草 丈・ 葉色 と 気象 予 報を 利 用 して穂肥を考え ましょう 95 90 過剰生育 85 穂形成期 とは? 出穂23日前頃 に、株元から5cm ほどのところを 丁寧に観察する と、節の上に1㎜ 程度の白い産毛 のようなものが 出てきます。こ の時期を幼穂形 成期と呼びま す。稲の栽培管 理上大切な時期 です。 幼 <参考資料> 草 80 丈 75 注意 70 標準内 65 60 SPAD 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 葉色版 3.6 3.7 3.9 4,1 4.2 4.4 4.6 4.7 4.9 5.1 5.2 水稲栽培指針 葉色 表:幼穂形成期の生育量(草丈・葉色)区分 平成23年3月 新潟県農林水産部 ※ 前 の ペ ー ジ の 「 図 : 幼 穂 形 成 期 に 生 育 量 ( 草 丈・ 葉 色 ) の 区 分 表 と今 後 の 気 象予報を参考に、穂肥施用量を決めましょう。 草丈の伸長による倒伏 ← に気をつけよう! 急激な栄養凋落に気をつけ よう! → 表ー2 生育量区分と気象予報による穂肥対応表 幼穂形成期 の 生育量区分 幼穂形成期間の気象予報(週間天気予報を参考に!) 低温・少照・多雨 平年並 高温・多照・少雨 倒伏 が懸 念さ れる 場合 標準内 は、施肥時期を遅らせ、 施用量を控えめにする等 の対応をしましょう。 出穂18日前に基準量を施用しましょう。 注意 出穂15日前に基準量を施 用しましょう。 施用を控えましょう。 施用を控えよう。ただし 梅雨が明け、異常高温に 遭遇した場合は早急に基 準量を施用しましょう。 過剰生育 <参考資料> 水稲栽培指針 平成23年3月 新潟県農林水産部 (2)時期の判断:幼穂長から出穂前日数を推定し、穂肥施用日を 決定する。 図 水稲の幼穂長と出穂前日数の関係 18 20 出穂日 幼穂長(㎝) 15 10 早すぎる穂肥 遅すぎる穂肥 下位節間が伸びて 倒伏しやすくなる。 玄米タンパクが増え て食味が悪くなる。 5 0.02 0.1 0 30 20 出穂前日数(日) 10 0 幼穂長 0.2㎜ 1.0㎜ 2.0㎜ 1.0∼1.5㎝ 4.0∼6.0㎝ 8.0∼12.5㎝ 出穂前日数(日) 30 23 20 18 12 10 備考 早生穂肥1回目 コシヒカリ穂肥1回目 早生穂肥2回目 コシヒカリ穂肥2回目 ※有機質入り穂肥を施用する場合は、肥料に応じて施用時期を早める。(次頁【参考】を参照) 幼穂長の確認方法 ① ② ①カッターで茎を切っ て確認する。 ②葉鞘を剥いて確認する。 ↓ 中に見える幼穂の 長さを測る。 【参考】有機質肥料の特性と施用時期 肥料名 有機由来窒素割合 窒素無機化率 施用時期 ※ (化学肥料より散布を早める日数) 穂肥特3号 0% 100% −(散布後6日程度でほぼ100%発現) α有機246Va 28% 90% 0(同時期) α有機046Va 50% 50% 4∼5日 有機アグレット816 100% 77% 10日 バイオノ有機 100% 68% 10日 ※窒素無機化率 に関するデータの提供:全農 肥料工場 窒素無機 化率: 肥料中 の窒素 成分が 分解されて作 物に吸収 される 形態 に変化す る割 合 4 出穂期 前後の水 管理 出穂期前後の水管理のイメージ 25日間 出穂期 25日間 溝切り・ 中干し カドミ ウム吸 収抑 制対策 とし て、出 穂期 前後25日 は 、湛 水管 理とし まし ょう 。なお、 地域ご との用水 の 実情に合わせて水を更新し、高温障害を防ぎましょ う。 5 病害虫 防除 (1) カメムシ 類(薬剤防除の対応) 区分 早生品種 粉・液剤 少発生地域 常発地・オオトゲシラホシカメムシ優先地域 他の殺虫剤+ネオニコチノイド剤の2回防除 1回目:出穂期の7∼10日後、2回目:1回目の7∼10日後 中生品種 ネオニコチノイド剤のみの1回防除 穂揃い期∼出穂期から10日後頃 粒剤 全品種 ネオニコチノイド剤のみの1回防除 (出穂期から出穂期7日後頃) ※施用時は浅水管 理とし、散布 後4∼5日間湛水状態を保持する。 ・ 病害虫予察情報に注意し、薬剤防除は適期に実施する。 ・雑 草 管理 が悪 いと こ ろで カ メム シ類の 密度 上昇 が顕 著なの で、 必 ず 一 斉草 刈り 期間 に 農道 、畦 畔の草刈りを実施しましょう。 平成23年度度新発田地域斑点米防止対策3,2,1,0運動展開中! (3週間おきに2回の草刈り、原則出穂後1回防除で斑点米0を目指そ う!) 第1回 6月24日∼7月3日 第2回 7月15日∼7月24日 みどりの畦畔づくり運動推進中 農村環境の保全や農作物への除草剤飛散を未然に防ぐためも 、 農道畦畔の除草は可能な限り除草剤を使わず草刈り機等で 行いましょう。 (2) 葉いもち病 ※7月 5日 現在管 内で葉 い もち の本 田発病 が確認 されま した 。 コシ ヒカリBLでも油断 せず に、適切に対応しましょう。 ○早生品種(特にわたぼうしや、大豆跡での作付等) 病斑が確認されたら発生状況に応じて早めに防除を行いましょう。 ○コシヒカリBL 葉いもちが認められても 、直ちに防除の必要は あり ませんが、薬剤防除などの対応については JA、または普及指導センターへ相談しましょう。 (3) イネごま葉枯病 ・ 根腐れを助長しないよ う、硫安などの硫酸根肥料は 使用を避けましょう。 ・生育後半における根の活力を維持するため、 早期落水や過度の土壌乾燥を避けましょう。 ◎ 前年 度ご ま 葉 枯病 の甚 発 生によ り 、収 量 及び 品 質が著 し く 低下 した ほ 場で は 、 発生 状 況に応 じて薬剤防除を検討しましょう。 農薬 を使用する際は必ず最新の情報を 入手し、登録内容を確認しまし ょう。 ○早朝、深夜の機械騒音に注意しましょう。 ○泥などで道路を汚さないように注意しましょう。 ○乾燥機の粉塵対策に、潅水装置を設置しましょう。 ○「野焼き」はしてはいけません。条例違反の可能性「大」です! 【 新発田地域水稲生育速報メールマガジン登録者募集中!】 【 新発田地域在住の稲作農家のみなさまへ 】 稲作の生育状況と管理情報・緊急情報などをあなたのパソコンや携帯電話に即時に お届けします!あなたも登録してみませんか?(登録は無料です) 【 登録方法(メールのみの受付です) 】 メールに以下の必要事項を記載し、申込み願います 宛先: [email protected] 件名:水稲生育速報メルマガ希望(必ずこのタイトルでお願いします) 本文: ①住所 ②氏名 ③電話番号 ④送信を希望されるメールアドレス(申込み に使用したメールアドレスと違うところへの送信を希望の場合)
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