◆緊急企画◆ これからの住まいを考える！ゆとり世代のためのライフスタイルリフォーム成功の秘密住まいに関する悩みは人それぞれ。安心で快適な住まいを手に入れるためには、いったいどうしたらいいのでしょうか。これからの人生をもっともっと楽しむために、あなたらしい住まいのつくりかたを提案します。株式会社オレンジハウス代表取締役中戸川豊また、最近は大きな地震が多いですから、万が一のことを考えて、耐震補強工事を希望される方や、先々のことまで考えてバリアフリー工事についての問い合わせもずいぶん増え中戸川たとえば、お子さんが独立されたことをきっかけに、使わなくなった部屋を趣味の部屋に改築なさりたいとか。薄暗くてじめじめした部屋をパッと明るく開放的な空間にイメージチェンジなさりたいとか。安全性を考えて、ＩＨクッキングヒーターを導入したり、トイレや浴室の設備を新しいものに交換したいとおっしゃる方も多いですね。聞き手住まいのお悩み・ご要望というと、具体的にはどんなことがあげられますか。そのお悩みがどの程度かにもよりますが、増改築するとなると、どうしてもたくさんお金がかかることになります。簡単に決断できないとしても、ムリはないでしょうね。家は長く暮らしていくうちに、必ず不都合なところがでてくるものです。キッチンやユニットバスなどの設備が老朽化したり、屋根や外壁が傷んだり、間取りがライフスタイルと合わなくなったり････どこのご家庭でも、多かれ少なかれ住まいのお悩みは抱えていると思います。 ◆ ライフスタイルに合う住まいづくりとは･･･しょう。聞き手ここ数年、住まいに対する関心がずいぶん高まっていますね。テレビや雑誌では、素敵な住まいでプライベートを楽しみながら、イキイキ暮らしているご夫婦の姿を目にすることがずいぶん増えました。中戸川はい、そうですね。テレビや雑誌の影響もあって、お仕事に一区切りつけられたご夫婦が、これからのライフスタイルを考えるにあたり、住まいについてきちんと見直したいと考える傾向が強まっているようです。我が家は世界中のどこよりもいちばんリラックスできる場所ですね。古くて使い勝手の悪くなった箇所を手直ししたり、間取りを変更したり、住まいを快適な空間にチェンジして、これからの人生をますます楽しみたいとお考えなのでしょうね。聞き手お子さんが巣立ったり、定年退職を迎えつつあるご夫婦が住まいを見直すとなると、それはずいぶん大きな決断になるのでしょうね。中戸川はい、そうですね。これまで日々の仕事や子育てに忙しかったご夫婦が、ご主人のリタイアをきっかけに、住まいとともにこれからの人生についてもじっくり考えてみる時期にさしかかっているのでています。他にも、結露対策だとか、暖かい家に住みたいだとかそれこそ、ご要望は多岐にわたりますよ。････聞き手なるほど。いまお話を伺った印象では、たとえば３ＬＤＬを広めの２ＬＤＫにするとか、キッチンやユニットバスの配置を換えたり、内装工事を全体的にやり直したり、かなり大掛かりな工事になるようですね。中戸川そうですね。どの程度まで手を入れるかにもよりますが、これからの人生の大部分を過ごす住まいです。本当に安全で快適な空間にチェンジするとなると、ある程度、費用も工事期間もかかる、大掛かりな工事になると思います。聞き手そうなると、人によってはどういうふうにリフォームするかを悩む前に、まず建て替えるべきか、リフォームするべきかで頭を抱えてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。中戸川はい、そうなんです。実際のところ、リフォームすべきか、それとも今のお住まいをいったん壊して新築するか、そのどちらかでお悩みの方は大勢いらっしゃいます。さらに、引越しして、別の場所に移り住むケースも考えられますね。この場合は、今のお住まいを売却して、その費用で新しく住まいを購入する方もいらっしゃいますし、極端な話、海外に移住する方もいらっしゃいます。家は一日のうちの大部分を過ごす大切な空間ですから、リフォームするか、建て替えるか、別の場所に引っ越すか。この３つの選択肢のどれを選ぶかによってこれからの人生が大きく変わるといってもオーバーではありません。住まいづくりを考えるというのは、これからの人生を考えるのと同じくらい大きなことですから、じっくり時間をかけてお考えになることをおすすめしています。聞き手なるほど。でも、そうかといって迷ってばかりいては、快適な暮らしを実現するのが難しくなってしまいます︵笑︶。いったいどうすればよいのでしょうか。中戸川はい。住まいのカタチは人それぞれですね。そこに暮らす家族の数だけ、いろいろなスタイルの暮らしがあるのですから、一概に﹁リフォームしなさい﹂だとか﹁建て替えたほうがよいですよ﹂と申しあげることはできません。大切なのは、お一人お一人のお悩みや住まいに対する想い、これからのライフスタイルを考えたときに、どんな生活をするのがあなたにとっていちばんよいのか、その未来のライフスタイルをイメージすることです。聞き手未来のライフスタイルをイメージすること？は具体的にはどういうことですか？それ中戸川たとえば、定年退職をきっかけに、田舎暮らしをはじめたいとおっしゃる方もいるでしょう。お子さんやお孫さんの近くで、家族と過ごす時間を長くとりたいとお考えの方もいるでしょう。また、ハワイやオーストラリアに移住したいと考える方もいるかもしれませんね。その一方で、お友達に囲まれて生活したい。マンションのほうが気が楽だとか、なるべく交通の便のよいところで快適に暮らしたいと考える方もいるでしょう。建て替えにしろ、リフォームにしろ、実際に住まいを改修するにあたっては、どんなタイミングで行うべきなのでしょうか。中戸川そうですね。それはなかなか難しいご質問ですね。一般的には、定年退職を迎えたときというのがポイントになるのだと思いますが、やはりたくさんお金がかかることです。また、当然のことながら、家の築年数や工法などによっても、ふさわしいタイミングが異なりますね。リクルート社が発行している﹁住宅リフォームに関する動向調査２００３﹂を元にお話ししましょう。この調査報告によると、戸建て住宅の場合、住み始めてから年ほどたったところでリフォームする人が一気に増えています。また、住まいを新築した人のうち、建て替えた人の％は年未満。 24 このことから、リフォームの場合も建て替えの場合も、築年を迎える頃から本格的に検討しはじめる人が多いことがうかがえますね。築 20 25 聞き手築年というと、１９８０年代前半に買った家やマンションということですね。中戸川当時は山口百恵さんが引退したり、ロッキード事件の公判が開かれたり、大韓航空機の撃墜事件が起こったり･･･ 20 理想とするライフスタイルは人それぞれ。お友達の真似をすればよいものではありませんし、ご夫婦のどちらか一方の希望をパートナーに押し付けるとしたら、二人で幸せな人生を歩むことは難しくなりますね。肝心なのは、まずはご家族のみなさんで、これから先の将来をどのように過ごしていくのか、その方向性を納得のいくまでとことん話し合うことだと思います。少し具体的なことを教えていただきたいのですが、１．適齢期っていつ？聞き手 20 一方で高度消費社会といわれ、コンビニがたくさんできたり、テレビや電話機が一家に二台・三台と増え、モノの大量生産・大量消費が盛んになった時代でもありました。そんな時期にマイホームを購入なさった方々がいま、これからの住まいを見直す時期に来ているということですね。その当時代後半でご自宅を建てたとしたら、いまちょうど歳を迎える頃でしょうか。今まで会社でバリバリ働いてきて、体は丈夫。気力も充実。これからようやく第二の人生をはじめられると、わくわくしている方も大勢いらっしゃるでしょうね。いわゆる﹁団塊の世代﹂といわれている方々ですね。特に女性は元気です。これまで一生懸命に育ててこられたお子さんが社会人になられて、ご結婚されて、お孫さんが生まれて･･･これからはお子さんやお孫さんとの時間も大切にしながら、もっともっとご自分の趣味や好きなことに没頭して、上手に賢く、時間とお金を遣いたいとお考えのことと思います。中戸川はい。この世代の方々は、考え方も若く、目も肥えていて、知識も経験も豊富で、男性も女性もイキイキと前向きに生きていらっしゃる方が多いですね。聞き手 30 聞き手お友達との時間も大切になさるでしょうから、ご自宅にお友達を招いたりする機会もたくさんあるでしょう。そんなとき、お気に入りのインテリアで、ゆっくりまったりリラックスした時間を過ごせるとしたら、なんとなく鼻が高い気持ちになれるかもしれませんね。中戸川そうですね。まだまだ人生、先が長いですから、これから先の長い時間を快適に過ごす住まいについて、ちょうど、じっくり考えるよいタイミングが訪れているのでしょうね。２．期間はどれくらいかかるの？聞き手建て替えるか、リフォームするかによっても異なるとは思いますが、住まいを快適な空間にチェンジするためには、期間はどれくらいみておけばよいのでしょうか。中戸川はい。どの程度の規模・広さで改修するかにもよりますので、ひとことで申しあげられないのがつらいところですが･･･そうはいってもみなさんお困りでしょうから、ここでもリクルート社の調査報告を元に、お話させていただきますね。建て替えの場合、その工事期間は平均５・６ヶ月。その間は、仮住まいをするのが一般的です。一方、戸建てリフォームの平均期間は２・４ヶ月。３ヶ月以上かかった人も３割いらっしゃいます。リフォームのほうが、建て替えよりも、工事期間は短くて約 60 すみます。ただし、大掛かりな工事になると、リフォームの場合でも、仮住まいしなければならないことがあります。そのときは仮住まい先を見つけたり、引越しの準備をしたり、敷金や家賃を用意したり･･･意外と面倒なことが増えますから、﹁この日までに必ず工事を終わらせていたい﹂などという要望は、なるべく早めに業者に伝えるほうがよいですね。聞き手リフォームの場合、住みながら工事することもできますよね。中戸川はい。工事の規模にもよりますが、住みながらのリフォームも、もちろん可能です。ただし、そのときには、﹁部屋に余裕がなかったために、家具の大移動を連日繰り返さねばならず、その間は小さくなって暮らしていた﹂﹁留守にもできず、かといって落ち着いて家の中に居られず困った﹂などという悩みが聞こえてくることもあります。いずれにしても、工事期間中は思わぬストレスを抱えることもあるでしょう。過度のストレスを抱えないためには、計画的にスケジュールをすすめていけるかどうかがポイントになります。新しい住まいに変わっていく様子をわくわくしながら眺める瞬間はとても楽しいもの。そして、そのためには、工事をまかせる業者と、しっかりとした打ち合わせ、意思疎通が大切になりますね。では次に、費用について教えていただけますか。３．いくらぐらいかかるの？聞き手中戸川はい。まずは建て替えの場合ですが、今ある家を解体するのに、だいたい１００万円ほどかかります。これに建築費が８００ ∼ ２０００万円くらい。どこの住宅会社に依頼するかによって価格はずいぶん上下しますが、一般的に、大手ハウスメーカーや有名建築家に設計を頼むと、こだわりを叶えられる代わりに、かかる費用はぐっと高くなりますね。住み替えの場合は、これに土地の価格も加わりますから大変です。行政への届出費用やローン申請の費用、仮住まいにかかる費用、引越し費用など、建築費以外にかかるコストについても、あらかじめ調べておくことをおすすめします。リフォームの場合は、こちらもリクルート社の調査報告によると、リフォーム経験者の当初予算が平均５８９万円。実際には総額７３９万円ほどに膨らんでいます。聞き手リフォームの場合、当初の予定よりも、平均して１５０万円も予算がオーバーしているんですね。中戸川はい、この理由は﹁工事に入ってからいろいろ追加したくなった﹂﹁設備のグレードを上げたくなった﹂﹁途中で間取りを変更した﹂などといったことがあげられています。建て替えとリフォームを比べた場合、たとえ１０００万円を超える大規模リフォームの場合でも、リフォームのほうが、建て替えよりも、かかる総額はずいぶんお安くなります。いずれにしても、場合によっては住宅ローンを組む方もいらっしゃるでしょう。数万円、数十万円の差ではなく数百万円の差ですから、ここは慎重に決定したいものですね。家づくりに携わる会社の中には、今ある家をリフォームするよりも、まるで家電製品でも買い代えるような感覚で、建て替えをすすめる会社があります。欧米の住宅先進国では、住まいはメンテナンスしながら次の世代に引き継ぐことが当たり前とされています。中古住宅を買い、自分で壁の色を塗り替え、ドアを直し、カーポートをつくり、買ったときよりも高い値段で売りにだすことさえあります。私たち日本人の感覚ではびっくりしてしまいますが、欧米ではこうしたことがごく普通に行われているんですね。これまで私たち日本人は、﹁建てては壊し﹂の家づくりを繰り返していました。中戸川はい、本当にこれはとても大きな問題です。しかもゴミによっては処分するのがむずかしく、処分時には猛毒のダイオキシンを発生するものもあります。聞き手それは大変なことですね。建物を建てたり壊したりすることによって、そんなにたくさんのゴミが出されているものなんですか。かもしれない住まいは、どちらもいつかは必ず取り壊されて、ゴミになります。私たちは、家を建てたり壊したりすることによって、考えられないほどたくさんのゴミを出しているんですね。 ◆ 建て替えＶＳリフォームどっちがいいの？聞き手それでは、もう少し焦点を絞ってお伺いしたいのですが、実際問題として、あちらこちらにガタが目立ちはじめた住まいがあるとします。建て替えかリフォームか、どちらにするか迷ったときに、何を基準にしながら考えればよいでしょうか。そのヒントをいくつか教えていただけますか。中戸川はい。ここではちょっと趣をかえて、地球環境について、お話ししましょうか。１．地球環境を考えよう！ご存知の方も多いと思いますが、地球環境はいま、大変なことになっています。地球温暖化や環境ホルモンの話題は新聞やテレビのニュースでも盛んに取り上げられていますから、興味をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。％杯いま私たちが住んでいる住まい、それからこれから建てるご存知でしょうか。実は、日本の産業廃棄物の実に約は、建築関係のゴミだといわれています。その量たるや年間８５００万トン。なんと東京ドーム分もあるんですよ︵環境庁調査より︶。 20 50 でも、私はこれはちょっとおかしなことだと思うんです。もしも、どうしても家の耐久性や耐震性に問題があって、どこにどう手を入れても問題が解決できないくらい老朽化した住まいなら、思い切って取り壊すのも仕方ないのかもしれません。でも、構造はいまのままで、内装や設備、外壁を工夫することで新品同様に生まれ変わるとしたら･･･そのほうが、地球にとって、数倍もよいことですよね。聞き手そうですね。地球環境問題というと、なんだかとても大きなことのような気がして、自分の身に置き換えて考えるのは難しいですが･･･でも、だからといって放ったらかしにしておくのは、生き方として少し格好悪い気もしますね。中戸川そうですね。今の住まいをいかに再生するかという点から考えると、住まいづくりは、何も業者に頼むだけが能じゃないと思うんです。ホームセンターで材料を買ってきて、ちょこちょこっと手づくり感覚で手直しできることもあるでしょう。壁をご自分の好きな色にペイントしてみたり、浴室のタイルを敷いてみたり、エクステリアを整えてみたり･･･危険が伴う部分や自信のない部分についてはプロにおまかせいただく必要があると思いますが、ご自分の工夫次第でいくらでも気にいった空間を創りあげることはできますね。古くなったからすぐにリフォームしなくちゃ、建て替えなくちゃと考える前に、できることを工夫することで﹁その人らしい暮らし方﹂につながるのだと思います。そのときそのときでできることを精一杯楽しみながら、﹁あなたらしい﹂住まいづくりを考えていただきたいですね。２．家族の思い出はどうなるの？聞き手建て替えとリフォームを比較したとき、他には何か違いはありますか。中戸川はい。もう一つ、これもみなさんにぜひ考えていただきたいことがあります。それは、﹁家を取り壊す﹂ことで、大切な思い出まで失われてしまうのではないかということ。私はこれもとても大切なことだと思うんです。今までずっと暮らしてきた住まい。それを取り壊すときには、どんな気持ちがするでしょうか。これまで年間暮らしてきた住まいが、たった３時間でキレイさっぱりなくなってしまうとしたら･･･ 30 なんだか少しさみしい気持ちになりませんか。家には、そこに住む人のいろんな感情が込められていますね。家族の思い出、笑い、涙、叱り声、やさしさ、うれしさ、がんばり･･･人生すべてが込められているといっても、オーバーではないと思うのです。柱のキズ一つにしても、壁のシミ一つにしても、お子さんがまだ小さかった頃の思い出だとか、ペットと過ごした楽しい時間とか･･･どれもすごく大切なものですよね。家族の想いを引き継ぐ家づくりのお手伝いができればいいなぁ･･･私は日頃、そんなことを考えながら、お客様と接しているんですよ。さて、それではここから先は、あなたが今の住まいこのほかにも骨折事故などを含めた入院者の数は年間万人にも達していますから、決して他人事とはいえない大変なことですね︵厚生労働省﹃２０００年人口動態統計﹄より︶。 ◆ リフォームするなら！安心・快適な住まいづくりのススメ聞き手をリフォームする場合に絞って、お話をお聞かせいただきたいと思います。中戸川そうですね。これから先の長い人生を、できるだけ楽しく、毎日元気に暮らしていくためには、先々のことまでしっかり考えた上でリフォームしなければなりません。聞き手﹁安心できる﹂というと、具体的にはどんなことがあげられますか？予想外のショッキングな出来事を防ぐためにも、これからリフォームされるのであれば、まず﹁安心できる住まいかどうか﹂という点ついて、注目しなければならないと思います。住まいを安全・快適な空間にリフォームするとしたら、いったいどんなことに気をつければよいのでしょうか。聞き手まず安全面から考えると、具体的にどんな対策を考えればいいのですか。はい。たとえば﹁家の温度差﹂について考えてみま中戸川冬の寒い朝に、暖かい布団からでて廊下を歩いてトレイに入ると、体がブルっと震えることがありますね。その１．家の中の温度差しょう。中戸川住み慣れた家は心身ともにいちばんリラックスできる場所。そんな大切な空間でケガをしたり、そのケガが原因で体調を壊したり、寝たきりの生活になってしまうとしたら、これほど哀しいことはありません。 26 中戸川ここで少しショッキングなご報告になりますが、実は歳以上の死亡事故者数をみてみると、交通事故よりも家庭内の事故による死亡者数のほうが圧倒的に多いという事実があるんです。不慮の事故により亡くなった方の数は、歳以上の高齢者に限定すると、家庭内での事故による死亡者数が８千人あまり。交通事故による死亡者数の５千人弱を大きく上回っています。 65 65 同じように、お風呂に入る前に脱衣室で服を脱いでいるとき、すごく体が冷えるのを感じることがあるでしょう。そのまま慌てて温かいお湯を体にかけるとすぐに体は温まりますが、こうした急激な温度差は、わたしたちの体に想像以上のダメージを与えています。暖房のない廊下やトイレ、脱衣室、その一方で、暖房のあるぬくぬくと暖かいリビング、寝室。こうした温度差による血圧の変化が、狭心症などの疾患や脳卒中などの脳血管疾患につながるのです。これからリフォームを考えるのであれば、まず家の中の温度差をなくすことを第一に考えましょう。また、電気カーペットはつまづきの原因になりますから、注意が必要です。その２．つまづきやすべりについて聞き手先ほどのグラフにもありましたが、家庭内の事故というのは、想像以上に多いものなんですね。安心している我が家だからこそ、ちょっと気が抜けたときに転んだり、つまづいたり、すべったりすることもあるのでしょうね。つまずきやすべりを防止するためには、１．段差の解消２．手すりの装着３．照明この３つが大切なポイントになります。中戸川そうですね。毎日の生活の中で安心しきっている場所だからこそ、家をつくる私たち業者がきちんとしたきめ細やかな提案をしていかなければなりません。中戸川暖房器具というと、まずみなさん、ストーブやエアコンを思い浮かべるでしょう。でも、実際には、ストーブやエアコンは部屋の一部を温めるにはよいですが、全身を温めるにはあまり適していません。また、特に気をつけなければならない場所は、１．階段２．浴室３．敷居・床・畳聞き手暖房器具についても教えていただけますか。エアコンやストーブ・こたつ・電気カーペットなど、さまざまなものの中からどれを選べばよいのでしょうか。チリやホコリの心配もありますし、掃除したり給油したりする手間も大変です。室温を均一にして、健康的な暖房を行うためには、足元から温めていく床暖房がおすすめです。です。聞き手それでは階段の注意点から教えていただけますか。中戸川階段は上がる途中や上がりきったところにカーブがあると危険です。踏む面を広くとること、それから横幅を通常よりも広めにとると足元がよく見えて安心でしょう。ご自身ではなかなかおわかりにならないでしょうから、間取りを考えるときに、そうしたことにも配慮してくれる業者を選ぶことが肝心ですね。手すりについても同様です。手すりは使う人の身長にあわせてつける位置を調整する必要がありますから、面倒くさがらずに、必ず実際に試してみることが大切です。聞き手浴室は、こちらもまた家庭内の事故やケガの多い場浴室についてはいかがですか。ほかにも足元を明るくしてできるだけ暗がりをなくす工夫をしたり、最近ではスイッチが人の存在を感知して、自動的にライトがつくタイプもあります。不安はできるだけなくすようにしたいですね。中戸川所です。床材は、ノンスリップタイルなど、表面がデコボコになったすべりにくい素材を選びましょう。手すりをつけたり、排水溝を設けることで段差をなくしたり、ドアはガラス製ではなくプラスチックにしたり･･･敷居や床、畳の注意点を教えていただけますか。浴槽にもいろいろな種類がありますから、カタログや雑誌を見たりするだけでなく、ショールームに足を運んだりしながらプロの意見を取り入れることも大切ですね。聞き手中戸川まずは段差をなくすこと。カーペットは部屋の一部ではなく全体に敷いたり、スロープを設置したり、フローリングにはすべり止めのワックスを使用したり･･･電気コンセントは多めに設置して、コードが邪魔にならないようにしましょう。床からセンチ程度の高さにすると、かがんで差し込んだり抜いたりするときにもラクですね。聞き手なるほど。備えあれば憂いなし、ですね。今はまだ他人事だと思っていても、せっかくお金をかけて住まいを見直すのであれば、先のことを考えて安全性についてもきちんと対策をたてて予防しておくことが大切なんですただし、コードに脚を引っ掛けてしまう危険性もありますから、コンセントが簡単に抜けるようにする工夫も必要です。 40 ね。中戸川はい。気持ちのお若い方が多いですから、こういうことって、あんまりピンとこない方も多いでしょう。でも、何かあってからでは遅いですから･･･当面は問題ないとしても、いざ必要に迫られたときに、気力やお金の面でリフォームするのが億劫に感じられることもあるでしょう。中戸川そうですね。家の耐震性については、みなさんとても気になるところでしょうね。まず、いまのお住まいが１９８１年以前に建てられた木造住宅である場合、正直に申しあげて、なるべく早い時期に、耐震診断チェックを受けられるとよいと思います。自治体によっては、年以前に建てられた木造住宅の耐震診断には補助金を出しているところもあります。 81 聞き手なるほど。年以降かどうかが一つのポイントになるんですね。他には何かありますか。 95 部分リフォームを何度も繰り返すよりは、いっぺんにいろんな箇所を見直すほうが費用も安くあがります。なぜ年かというと、この年に建築基準法の改正があって、それ以降に建てられた家は、それ以前に建てられた家に比べて、大幅に安全性が高まったからです。阪神・淡路大震災で倒壊した建物の％が年以前に建てられたものだったという報告もあります。 81 少し専門的な話になりますが、ツーバイフォーやパネル工法の場合は壁面が、木造在来工法の場合は筋交いが入った壁や構造用合板を貼った壁が、地震に抵抗する力︵耐力壁︶と中戸川家の強さは、築年数だけではなく、壁の量とバランスによって決まります。 81 長い目で見れば、備えるべき点についてもしっかりと考えておくほうが、家族みなさんにとって、安心・快適・幸せにつながると思いますね。その３．地震に負けない家づくり聞き手何かあってからでは遅いといえば、地震が起きたときの家の耐久性についても心配ですね。新潟、和歌山、福岡、関東･･･ここのところ、全国各地で大きな地震が続いています。いまの住まいが頑丈かどうか、地震が来ても本当に安全かどうか、私たち一般の人でも見分ける方法はありますか。 81 なります。窓やふすま、障子は壁とはみなされないので、耐力壁が多く、バランスよく配置されている家ほど、地震に強い家だといえます。間取り図聞き手それは一般の方が判断するには少し難しいかもしれませんね。ここはやはり、専門家に一度チェックしてもらうのがよいのでしょうね。中戸川そうですね。他にも、しばらく留守にした後、家の中に入るとカビ臭く感じられたり･･･大雨のあとなどに、外壁のひび割れの線が黒く残っていたり･･･結露がひどく感じられるようでしたら、家の構造そのものの腐食が進んでいる可能性もあります。壁や屋根の耐震補強工事は、内壁を張り替えたりするときに行うのがいちばんよいタイミングなんです。リフォームの中でも、耐震工事については決してわくわくする工事ではありませんから、あまり考えたくないとおっしゃるお気持ちはよくわかります。でも、少し大袈裟な言い方ですが、どんなに素敵な住まいに暮らしていようが、命を失ってしまったら、何にもなりませんよね。楽しいことも、家族との思い出も、すべて命あってのことですよね。これはとても大切なこととして、なるべく早い段階からきちんと考えていただきたい。そう心からお願いいたします。もうひとつ、とても大切な情報をお伝えしましょう。その４．給付金について中戸川こうした安全性を高めることを目的としたリフォーム工事は万円までですが、介護保険で給付金をもらえるんです。具体的には、手すりの取り付け、便器の取替え、段差の解消、床材の取替え、トビラなどの取替えがこの給付金の対象になります。たとえば、部屋と廊下、浴室と脱衣室の床の段差を解消する工事を行って総額万円かかった場合、１割︵２万円︶が自己負担金。残りの万円が給付されます。ただし、この給付金はだれでももらえるわけではなくて、歳以上の第１号被保険者、 ∼ 歳までの第２号被保険者が対象です。また、万円を超える分の費用は自己負担金となります。 18 20 20 20 40 64 国土交通省︵旧・建設省︶が発表した調査結果によると、万円の費用をかけて住宅を整備すると、事故やケガ、病気で通院するときなどにかかる介護費用が２７９万円も軽減されるとされています。中戸川はい。本当にそうですね。これからの人生でいちばん長い時間を過ごす場所、それが我が家ですから、安全・快適な空間にリフォームすることでお金まで節約できるとしたら、うれしい限りですよね。聞き手住まいをリフォームすることで給付金がもらえるとは知りませんでした。それでケガや事故を防止して病院にいく機会を減らせるとしたら、もっともっとお得になりますね。 65 54 住宅に万円かけることで、２７９万円の介護費用を支払わずにすむとしたら、２２５万円の節約ということになります︵ ※ ︶。素敵なデザインを考えるのはとても楽しいなことですが、安全性をないがしろにすることで、結果的にたくさんのお金を無駄に使うことになってしまっては･･･安全性を高めるためのこうした工事は、長い目で見ればとてもお得なのですが、なかなか重要視してもらえずに、ついつい後回しにされがちです。中戸川はい、そうなんです。危険なことって、実際に自分の身に起きてみないと、よくわかりませんよね。聞き手なるほど ∼。住まいを安全にすることで医療費の負担を減らすことができれば、一石二鳥ですね！それはとても大切なポイントだと思うのですが、そのあたりのことを認識したうえでリフォームする方って、意外と少ないのかもしれませんね。人それぞれで事情は異なりますので、ひとことでは申しあげにくいですが、家の中での事故やケガがいかに多いか、よくわかりますね。︵※︶建設政策研究センター﹁高齢者住宅整備による介護費用軽減効果﹂ 54 それこそ台無しですよね。しかも、家の中でのケガや事故のためにお金を使うのは、とても悲しいことですし･･･だからこそ、私たち住まいづくりの業者は、しっかりとした情報をご提供して、末永くおつきあいさせていただける住まいのパートナーでなければいけないと考えています。単に古くなったから？それとも、窓をつけたりして、もっと開放的な空間にしたいから？ずっと以前から外国製のシステムキッチンに憧れていたから？お子さんが小さかった頃と現在では、考え方も変わっていると思います。何を重視すべきか、人によって好みや生活スタイルを考えて、いま使い勝手が悪いと感じている点を解決するつもりで選びたいですね。 ◆ お気に入りを見つけよう！設備選びのポイントは？聞き手さて、それでは次に、キッチン・バス・トイレ・内壁材・外壁材・防犯設備などの設備選びのチェックポイントについて教えていただけますか。たくさん種類がある中からいちばん気に入ったものを選ぶためには、いろんなポイントがありそうですね。中戸川設備選びのポイントですね。おっしゃるように、どれをとっても、いろんなメーカーの製品がたくさん出回っていますよね。聞き手なるほど。でも、イメージするのって、少し難しく感じるときもありますよね。実際のところ、みなさん、どんなふうにして選んでいるのでしょうか。主婦のみなさんはお友達同士で情報交換したり、最近はインターネットで情報をさがす方もずいぶん増えていると思います。あとは、ショールームを訪問することですね。その１．情報収集の際に、心がけておきたいこと中戸川リフォームするときには、なぜそこの場所をリフォームしたいのか、どうして今のままの設備だとイヤなのか、その不満点や悩みを整理してみてください。そのうえで、どうすればその悩みを解決できるのか･･･、少し難しいかもしれませんが、まずはその点についてイメージしてみましょう。中戸川まずは情報誌を買ってみて、その中から気に入ったメーカーがあったら資料請求するとか･･･たとえばキッチンでも、なぜリフォームしたいのでしょうか。聞き手ショールームって、楽しいですよね。今までは見たこともなかったような機能がついている設備を見つけると、﹁えっ、最近はこんなに便利になったのね﹂って、驚いてしまうこともあります︵笑︶。ショールームを訪問するときは、どんなことに気をつければよいですか。中戸川ショールームのよいところは、写真で見るだけでなく、実際に見て触って、その製品をたしかめることができる点ですね。カタログで気に入っていた製品でも、実際に目にしてみると、イメージが違って感じられることもありますね。価格についても質問してもよいのですか。ショールームにはスタッフがいますから、使い勝手や価格のことなど、なんでも質問してみましょう。その際、あらかじめ気に入った製品があるのなら、雑誌の切り抜きやホームページをプリントアウトしたものなどを持参すると、より具体的な質問ができると思いますよ。聞き手中戸川ええ、もちろんです。価格についてもご遠慮なく質問してください。メーカーが出しているカタログには、﹁希望小売価格﹂と表示されていますね。ただし、実際には、この価格よりも安くなる場合が多いです。リフォーム会社にもよりますが、同じランクの製品でも、メーカーが変わると、割引率が高くなる場合もあります。そのあたりのことも、きちんと質問してみるとよいですね。聞き手特に気に入った設備がない場合は、どうすればよいのでしょうか。中戸川ご希望のメーカーや製品が特にないとおっしゃる場合は、リフォーム会社のほうで最適なものを提案しますので、何も心配はいりません。ただ、﹁システムキッチンなら絶対 △ △ 社のものにしたい！﹂﹁ガラスの洗面ボウルでお顔を洗うのが夢だった！﹂などというように、どうしてもこれだけは叶えたいというこだわりのある方は、ある程度しっかりとしたご希望を伝えていただくほうがよいですね。そのためにも、やはり情報収集が大切になります。ショールームにはリフォームや住まいの設備に関する情報誌もおいてありますので、ご覧になりたい方はお気軽にスタッフに声をかけてみるとよいですね。その２．優先順位を決める！聞き手設備を選ぶときに、上手に予算内におさめるコツはありますか。中戸川はい、ありますよ。ショールームへ行ったり、きれいなカタログを見てしまうと、ついついあれもこれもと欲張ってしまい、予算オーバーになりがちです。最近はいろんな便利な機能がついていたり、デザインも工夫されていたりと、魅力的な製品が増えました。迷ってしまわれるのもムリはありませんよね。でも、大幅に予算をオーバーしてしまうようでは、結局、後になって後悔してしまうことになりかねません。それを避けるためには、ほしいものに優先順位をつけておくこと。これが、とても大切です。聞き手優先順位をつけることで、どんなメリットがあるのでしょうか。中戸川具体的には、たとえばキッチンにはどうしてもこだわりたいけれど、内装材については特に希望がないというような場合、キッチンのグレードを落とさずに内装材の種類を見直すといった予算調整を行えば、トータルでかかる費用は変わらずに済みますね。また、プラン打ち合わせの段階からこの優先順位がはっきりしていれば、リフォーム会社のほうで見積書を作成する際に、いろんなことを多面的に考えられるので提案の幅が広がるというメリットもあります。インテリアは多岐にわたります。設備のグレードをひとつ見直すだけで結果的に数十万円という大金が動くこともしばしばですから、早いうちから優先順位をしっかりとつけておくことで、万が一、予算オーバーになったときでも余裕をもって調整することができるでしょう。そのためにも、﹁リフォームしたい！﹂と思ったら、なるべく早めに情報収集して、打ち合わせのときには、ある程度イメージが固まっているようにできたら理想的ですね。その３．ランニングコストをチェックする聞き手なるほど。賢く予算を使うためには、いろんなポイントがあるんですね。そのほかに、設備を選ぶときに気をつけるべきチェックポイントはありますか。中戸川そうですね。ランニングコストについても考えておきたいですね。最近は節水型のトイレや断熱性能の高い浴槽なども出てきていますし、エアコンや照明器具、暖房器具などにも省エネタイプがたくさん見られるようになりました。購入するときに多少価格が高くても、毎月の光熱費など、長い目でみればぐっとお得に節約できることもありますから、カタログやパンフレットを見ながらじっくり検討してみるとよいでしょう。もちろん、リフォーム会社の担当者に質問したり、ショールームのスタッフに聞いてみたりするのもよいと思いますよ。またそのときは、それぞれの設備のメリットだけでなく、デメリットについてもきちんと説明してくれる担当者なら安心ですね。聞き手そうですね。メリットだけでなく、デメリットについてもきちんと教えてくれる。そんな会社や担当者であれば、安心して何でも相談できそうですね。今回、お話をうかがってみて、いろいろなことがわかりました。中戸川社長、どうもありがとうございました！真心のこもった工事で一生のお付き合いをいただけるように常に考え行動しています。創業以来、目先の利益とか自分だけの利益の追求ということが､結局、大きな意味で会社の損失であると確信して行動しております。今、弊社が存続しうるのも､弊社の考えに共感し、継続的に工事を発注いただけるお客さまが多くいらっしゃるからです。理解あるお客様に教えられここまでやってこれました。今後もご期待にそえるよう､社員ともども精進していくつもりです。株式会社オレンジハウス合資会社中戸川銅鉄店代＜聞き役＞はなまるライターあらがみかずこ ■連絡先株式会社オレンジハウス〒420-0064 静岡市葵区本通８丁目３-５フリーダイヤル；0120-777-912（24 時間受付中） TEL：054-254-7292 FAX：054-254-7293 http://www.orange-house-jp.com/ E-Mail：[email protected] これからの住まいを考える！ゆとり世代のためのライフスタイルリフォーム成功の秘密平成 17 年 8 月初版発行＜検印省略＞定価 1,000 円（税込） c Copyright 2005 All rights reserved by Yutaka Nakatogawa. 表中戸川豊