「中小企業の景況感」20年の回顧と今後の展望 - 資産ナビ

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2007.2
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「中小企業の景況感」20年の回顧と今後の展望
長期デフレで低迷が続く景況感!
景況指数は一進一退!
経営課題は「ヒト」にあり!
20年間を振り返ると…
●売上高はGDP成長率と近似!
商工中金の「中小企業月次景況観測」による
と(以下同じ)、この20年間の中小企業の売
上高(前年同月比増加率)は、日本のGDP成
長率の動きに近似した形状に。今回の景気回復
局面でも、2001年12月を底にマイナス幅が
縮小し、03年からプラスに転じ、現在は売上
増が4年目を迎えています。
景気回復の波
に乗れるか
、
繰り
資金
?
は
状況
採算
設備投
資、
雇用状
況は?
●足元の景況指数は一進一退!
景況判断指数をみると(図表1)、従来はマ
クロ景気の循環との関係で、景気後退時には
真っ先に下降し、景気拡大時には最後に地面か
ら離れる、いわゆる「ジャンボの後輪」現象が
観察できました。例えば、円高不況を乗り越え
ついに「いざなぎ景気」を超えたものの、中
小企業にとっては「実感なき」景気回復が続い
ています。今月号は、商工中金の調査資料か
ら、20年間の中小企業の景況感を振り返り、
今後の企業経営を考えてみましょう。
(図表1)中小企業景況判断指数の推移([50]より上=[好転]、下=[悪化])
8 5 / 6
6 0
8 6 / 1 1
山
谷
円 高
不 況
9 1 / 2
8 7 / 9
5 8 . 5
9 3 / 1 0
山
9 7 / 5
山
谷
9 9 / 1
谷
第 2 次
平 成 不 況
第 1 次
平 成 不 況
0 0 / 1 1
山
0 2 / 1
谷
第 3 次
平 成 不 況
0 6 / 3
5 1 . 5
5 5
9 4 / 7 , 9
5 0 . 1
0 4 / 3 , 0 4 / 7
5 0 . 8
9 6 / 3
5 0 . 7
5 0
0 6 / 1 2
4 9 . 1
0 0 / 9
4 9 . 8
4 5
8 6 / 8
4 4 . 9
4 0
9 2 / 9
4 2 . 1
9 8 / 6
3 6 . 7
0 1 / 1 1
3 8 . 1
3 5
8 5 / 1
8 7 / 1
8 9 / 1
9 1 / 1
9 3 / 1
9 5 / 1
9 7 / 1
9 9 / 1
0 1 / 1
0 3 / 1
0 5 / 1
(年 / 月 )
(出典:商工中金「中小企業月次景況観測」)
注1:「景況判断指数」={([好転]企業数×1+[不変]企業数×0.5)÷調査対象企業数}×100
*指数が50を上回っていれば景況が前月より[好転]したことを表し、50を下回っていれば[悪化]したことを表す。
2:景況の[好転]、[悪化]の分岐点は50。
3:網掛けは景気後退局面
4:2004年8月まで『800社調査』ベース、2004年9月以降は『1000社調査』ベース。
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NEWS RELEASE 2007.2
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た後の第11循環の拡張開始期(1986年12月
∼)には、マクロ景気に6ヵ月遅れの87年6
月から回復基調となり、後退局面(91年3月
∼)では、同4ヵ月早い90年11月から[悪化]
し始めました。
ところが、最近はその動きが消滅し、拡大局
面でも指数は[好転]を示す50超が続かず、ま
た、後退局面での「谷の深さ」が際だっていま
す。「いざなぎ景気」を超えた今回の景気拡張
期でも、売上増は3年を超えたにもかかわら
ず、景況判断指数は50を挟んで一進一退の状
況に(図表1および2)。
★「ジャンボの後輪」現象とは?
ジャンボ・ジェット機の後輪は、零戦などと異
なり、着陸(景気後退)の際には、先に滑走路
に接し、飛び立つ(景気拡大)時は
最後に離れます。その動きから、前
輪(世間全体の景気)に数ヵ月前後
して現れる中小企業の景況感に喩え
て言われる比喩。
●販売価格はわずかながら上昇!
然小さい状況に。
●コスト増が企業収益を直撃!
仕入価格DI(同)は、販売価格DIと同様[下
落]気味に推移していたものの、景気拡大局面
では、販売価格と異なり度々プラス値
に。中小企業は、売り値を通すのが難
しく、需給逼迫時の仕入価格の値上げ
は呑まざるを得ない立場にあることが
うかがわれます。
2004年以降、状況はさらに悪化し、仕入価
格DIは、04年3月に+10.8の二桁を記録して
から急上昇を続け、06年8月には+25.4と調
査開始以来最大に。背景は、中国をはじめとす
る新興諸国の経済発展を受けた国際商品市況の
高騰で、一過性の現象では済まないおそれが。
販売価格DIと仕入価格DIとの格差は極めて大
きく、中小企業は、原材料価格高騰分の製品・
サービス価格への転嫁が困難な状況
が鮮明になっています。
中国の石油消費量・原油輸入量
(万バレル/日)
販売価格DI(前月比、[上昇]-[下落]の企業
割合)は、バブル景気崩壊後に[下落]超が続
き、デフレ進行のなか、「戦後最大の不況」の
後退局面の1998年11月に▲17.2を記録、
「IT景気崩壊」の後退局面の01年12月には▲
17.3の最悪値を記録。その後アテネ五輪直前
の04年4月に13年振りでプラスとなり、06
年5月以降は[上昇]超が定着したものの、その
[上昇]超幅は06年12月においても+0.5と依
800
700
600
500
400
300
200
100
0
(万トン/年)
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
消費量:左軸
輸入量:右軸
96 97 98 99 00 01 02 03 04 05
消費量
輸入量
(出典: BP Statistical Review of World Energy 2006)
(図表2)<最近の景気循環と主な出来事>
循
環
拡大局面の通称
第10循環
ハイテク景気
第11循環
平成(バブル)景気
第12循環
さざ波景気
第13循環
IT景気
第14循環
?景気
循環期間中の主な出来事
○貿易摩擦→円・ドル委員会
○半導体・コンピュータ産業の躍進
○プラザ合意→円高不況
○財テクブーム、地上げ ○消費税導入
○国鉄分割・民営化
○冷戦終了
○ブラックマンデー(1987年10月)
○阪神・淡路大震災 ○アジア通貨危機
○為替、一時1ドル=79.75円
○金融ビッグバン ○大手証券、経営破綻
○米、同時多発テロ ○大手流通、倒産
○中小企業基本法改正
○ペイオフ解禁 ○産業再生機構発足
○郵政民営化決定
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景気の転換点/期間(月数)
谷/拡張期間
山/後退期間
1983年2月
/28ヵ月
1985年6月
/17ヵ月
1986年11月
/51ヵ月
1991年2月
/32ヵ月
1993年10月
/43ヵ月
1997年5月
/20ヵ月
1999年1月
/22ヵ月
2000年11月
/14ヵ月
2002年1月
−
NEWS RELEASE 2007.2
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●資金繰りは[好転]まであと一歩!
資金繰りDI(前月比、[好転]-[悪化]の企業
割合)は、1998年9月に▲14.1と最悪値を
記録。その後不良債権問題が収束し、金融機関
が積極姿勢に転じたため、外部資金に余裕がで
きてゼロ付近まで改善。しかし、採算の悪化が
続き、内部資金が潤沢でないため、[好転]基調
には至っていません。
中堅・中小企業向け貸出残高の推移
6.0
(%)
4.0
2.0
0.0
-2.0
-4.0
-6.0
-8.0
-10.0
-12.0
95/1
政府系三機関計
国内銀行
99/1
●経営課題は[ヒト]と[経営力]!
近未来に向けて重要となる経営課題をみる
と、第1は[ヒト]で10年前と同じく人材の確
保・育成が最優先に。第2は[経営
組織・体制]で10年前より大きく
増え、経営力を充実・強化しよう
とする意欲がうかがえます。
近未来に向けて重要となる経営課題
(年度/四半期)
網掛けは景気後退局面
97/1
4.4%に上昇し、中小企業の将来には冷徹な見
方が趨勢に。
また、[自社にとっての近未来]については、
[事業の発展が見込める時代]となると考える経
営者が同28.5%から18.4%に減る一方で、
[事業発展はそれ程見込めないが現状維持は十
分可能な時代]と考える割合が同49.1%から5
8.5%に増えており、厳しい環境に生き残りを
かける姿勢が表れています。
01/1
03/1
05/1
(出典: 日本銀行『民間金融機関の資産・負債』等)
100
(%)
96年5月調査
80
06年7月調査
60
●設備・雇用は[不足]感が強まる!
大 学 等 と の連 携
企 業 間 ネ ット ワ ー ク
マー ケ テ ィ ン グ
情報
モノ
︵機 械 ・設 備 等 ︶
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技 術 ・ノウ ハウ
商工中金が中小企業経営者に[近未来(約10
年後)]についてアンケート調査を行ったとこ
ろ、近未来は中小企業の時代に[なっている]と
の回答は前回96年調査の17.7%から10.1%
に 減 少、[ な っ て い な い ] は 同 42.1% か ら 5
カネ
︵資 金 ・財 務 ︶
●厳しい環境に生き残りをかける!
0
経 営 組 織 ・体 制
中小企業の将来像は?
20
ヒ ト ︵人 材 ︶
生産設備DI(現状の水準、[不足]-[過剰]の
企業割合)は、1991年12月以降、[過剰]超
が続き、需要不足の中、98年12月と99年5
月には▲19.8を記録、02年2月にも▲18.0の
大幅な[過剰]超に。05年9月には、ほぼ14年
ぶりに[不足]超に転じ、足元では[不足]超が定
着しています。
雇用状況DI(同)は、1997年3月に+2.7
の[不足]超となった後、[過剰]感が強まり、9
8年7月と02年1月には▲10.0と大幅な[過剰]
超に。今回 の回復 局面 では、04
年2月から[不足]超の傾向が続
き、9 月・12 月 に は + 11.5 と、
92年4月の+12.8以来の[不足]
感が強まっています。
40
●ヘッジファンドは究極の分散投資!?
(出典: 商工中金『中小企業経営者の 近未来観 調査』)
●外部資源の活用も重要に!
競争が厳しくなるなか、経営環境の変化に機
敏に対処するには、自社の経営資源を中核事業
に集中すると共に、限りある経営資源を補完す
ることが重要に。そのためには、異業種や各分
野の専門家、官・学など、外部の経営資源を柔
軟に活用し、さらに戦略的な提携やネットワー
クの構築していくことも大切になります。
限られた経営資源を最大限に
活用しなければならない厳しい
環境の下、中小企業には経営力
の一層の充実・強化が求められ
ています。
NEWS RELEASE 2007.2