図書館と本をより楽しむための情報誌 多治見市図書館だより 平成 26 年 2 月 1 日 第 94 号 が らく た 理系男子の我楽多箱 さん おじ 2 月 12 日は、世界で初めてペニシリンの臨床実験に成功した日です。これにちなみペニシリンの 日として制定されました。今月はペニシリンのことをお話しします。 <ペニシリンは身近なカビ!> 病気の治療に使用される薬品の中に抗生物質があります。風邪のときなどに病 院で処方された方も多いのではないでしょうか。そのひとつにペニシリンという ものがあります。ペニシリンこそ世界で初めて発見された抗生物質です。1929 年 にイギリスのフレミングがアオカビから発見しました。パンやもち、ミカンなど にアオカビが生えているのを見かけたことはありませんか。アオカビはわれわれ の身の回りにもよくあるカビなのです。 <ペニシリンの発見と実用化> フレミングは研究のためにブドウ球菌を実験皿で培養していましたが、その培養地に間違ってアオカ ビが生えてしまいました。そして、そのペトリ皿をよく見るとアオカビの周囲にはブドウ球菌が繁殖し ていませんでした。不思議に思ったフレミングは、これを調べてみました。その結果、アオカビがブド ウ球菌の繁殖を邪魔する物質を分泌していることがわかりました。この物質をアオカビの学名(ペニシ リウム・クリソゲナム)にちなんで「ペニシリン」と名付けました。そして、フレミングはこれを医学 に役立てようと実用化を考えましたが、うまくいきませんでした。その後、イギリスの大学で研究をし ていたフローリーとチェインという学者がペニシリンを効率良く取り出すことに成功し、1941 年 2 月 12 日に大学病院で人体への臨床実験に成功しました。実用化されたペニシリンは細菌による感染症の治 療に大活躍し、大勢の人々を救ったのでした。この功績によって、発見したフレミング、実用化したフ ローリー、チェインの3人は 1945 年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。 まだまだ、寒い日が続きますが薬のお世話にならないようにくれぐれもお身体をご自愛下さい。 <ペニシリンのことがよくわかる本> こちらに紹介した本は2階に展示してあります ペニシリンはクシャミが生んだ大発見 百島祐貴著 2010 年 2 月刊 490.2/ モモ 奇跡の薬 ペニシリンとフレミングの神話 グウィン・マクファーレン著 1990 年 8 月刊 491.79/ マク アオカビが人類をすくった F・ジェーコブズ著 1987 年 4 月刊 J491/ ジエ 細菌・ウイルス・カビ・寄生虫 驚異の正体 山崎智嘉著 2005 年 3 月刊 J493/ ヤマ 人がつなげる科学の歴史①ワクチンと薬の発見 キャロル・バラード著 2010 年 3 月刊 J402/ ヒト /1 《第 47 回多治見市文芸祭表彰式のお知らせ》 日時:平成 26 年 3 月 2 日(日)午後1時から(12 時 30 分より受付) 場所:まなびパークたじみ7階多目的ホール ●表彰状授与 午後1時から ●講 評 会 午後2時15分から 表彰式及び朗読会終了後、部門ごとに審査員を迎え講評会を開きます。 ●作品展示 2 月 26 日(水)から 3 月 2 日(日) (最終日は正午まで) まなびパークたじみ1階オープンギャラリーにて上位入賞作品を展示します。 多治見タイムトラベル ∼ 江戸時代の多治見の医療 ∼ 図書館の郷土資料室では、多治見の古いものから新しいものまで歴史資料を数多く所蔵しています。 このコーナーでは、図書館に所蔵している資料を使って、昔の人々の暮らしを紹介していきます。 冬は流行性の風邪などいろいろな病気にかかりやすい季節です。現在のように医療が発達し、各地に すぐに受診できる医療機関が備わっていれば安心ですが、医療が乏しかった江戸時代では、ひとたび病に かかった時の人々の不安は想像にあまりあるものがあります。加持祈祷やまじないなどで病の平癒を祈る など、神仏にすがらずにはいられなかったことが、当時の記録や今も残る民間信仰に見ることができます。 江戸時代の多治見には、2 つの村に医師がいたと記録されています。一つは多治見村で、現在の本町 5 じゅさん 丁目付近で開業していたと伝えられる加藤寿算家です。加藤家は 3 代と 8 代が寿算を名乗り、8 代の時に ばんせいどう 病院名を「晩成堂」と称して明治時代まで開業していました。もう一つの村は池田町屋村で、小池家が寛 永 3 年(1626)から開業しています。小池家は代々眼科を専門とし、本道(内科)を名古屋の医師に学ん べんりゅう でいます。小池家 5 代弁柳の代では小児科も加わり、池田町屋村の人々だけでなく、東は木曾、西は犬山 います。外来患者だけでなく、入院患者 もあり、多い時で 30 人の入院患者がい たとされます。小池家は広範囲にその名 を知られ、病に苦しむ当時の人々にとっ て救いであったことがわかります。 ま た、 同 じ 池 田 町 屋 村 に は、 尾 張 藩 から出された病に関する触書が残ってお り、休養を取る時の温度や寝具、食べて はいけない物、食べてよいもの等が書か れています。文久 2 年(1862) 、麻疹(は しか)が全国的に流行しました。ワクチ ン接種などが確立されていない当時、は しかはときに死に至る難病でした。各藩 ではたびたび触書を出し、領民に対して �写真 古文書の内容� 食べてあしきもの 竹の子・きの子の類・そら豆・えんどう こんに�く・ぎんなん・柿�蜂屋柿はよし�・桃・糟漬もの 食して宜しき物 とふが青瓜・白瓜�煮て食すればよし� 長芋・じねんじ�の類・百合根・牛蒡 大根・れんこん・ふき・小豆・うど・ちしや あたりからも患者が訪れたと記録されて その予防知識や手当法について普及につ とめました。 このような資料が郷土資料室には多く保存されています。 興味をもたれた方はぜひ郷土資料室へお越しください。 ▲尾張藩から出された「触留」のはしか手当てに関する部分 <参考資料>「多治見市史通史編上巻」 (多治見市)1980 年刊 タ 092.15/ タジ 「触留」 (多治見市図書館郷土資料室所蔵) 読みきかせボランティア養成講座「はじめてみませんか?読みきかせ」 絵本の読みきかせを通して子どもたちは笑顔を届けてみませんか 【会 場】まなびパークたじみ学習室 402 【日 時】平成 26 年 3 月 6 日(木)13:00 ∼ 14:30 【対 象】一般向・読みきかせ初心者の方 【定 員】20 名 【講 師】谷口和恵(JPIC 読書アドバイザー) 【参加費】無料 【持ち物】筆記用具 【申込み】2 月 6 日(木)より電話 (22-1047) にて 今月の オススメ こころの病気についての本 こころの病気は、患者さん本人にとっても、周囲の人にとっても、難しい病気だと思います。 実際に病気を患った方や、そのご家族の体験談である闘病記を読むことで、解決の糸口をつか めるきっかけになるかもしれませんので、今回ご紹介させて頂きます。 『うつ妻さん』 早川いくを著 916/ ハヤ / うつ病 『へんないきもの』シリーズが人気の早川いくをさんの奥様が、うつ病になられた体験談を、 早川さん独特の視点から描き出します。突然、鉄塔がこわいと言い出し、楽しみにしていた家 を購入することすら鉄塔(電磁波)の有無で判断しなければ気が済まなくなってしまった奥様。 泣いたり悲観したり引きこもったりしながら、もふもふしたカエルのぬいぐるみに癒しを求め たり、はたまた特撮ヒーローものに熱中して毎日毎日ビデオが擦り切れるまで見続けるといっ た、摩訶不思議な日常生活が繰り広げられます。軽妙な文章で書かれているため、読者の立場 からすると、おもしろいとすら感じてしまいますが、一緒に暮らすご家族にとっては、大問題 です。ついには早川さんご自身もカウンセリングを受けることに?!果たして、奥様のうつ病 は快方に向かうのか…ぜひご一読ください。 そのほか、3階の闘病記文庫の棚には、統合失調症のお母様と の生活を漫画で描いた『わが家の母はビョーキです』1 巻、2 巻(中村ユキ / 著 493.76/ ナカ / 統合失調症)。新婚の旦那さ んにうつ病発症?!漫画家の奥様の視点から描かれた『思って たウツとちがう!「新型ウツ」』(池田暁子 / 著 916/ イケ / う つ病)などの闘病記が、病気別に分けて棚に並べてあります。 こちらも、ぜひご利用ください。 (Y.N) 「ぬくた∼らいぶらり」をご存知ですか? 昨年 4 月、県立多治見病院に患者図書室「ぬくた~らいぶらり」がオープンしました。入院 中の患者さんが利用頂ける図書室です。 当館3Fの闘病記文庫に、利用案内、病気に関して役立つ情報満載の「ぬくた~らいぶらり通信」 などが置いてあります。近隣病院の先生方による病気や健康に関する市民講座のちらし、病気 に関するパンフレットなどもありますので、ぜひ一度お立ち寄りください。 2 月 25 日(水)∼ 3 月 16 日(日) 暖房休止のおしらせ 建物空調設備の修理を実施します。1階(ロビー) ・2階・3階(図書館)の暖 房を休止させていただきます。期間中、大変ご迷惑をおかけします。ご理解とご 協力をお願いします。 ※お母さんと赤ちゃんのためのおはなし会【2 月 27 日 ( 木)・3月 13 日(木)】は 暖房休止中のためお休みします。 2 月の行事予定カレンダー 1(土) 14:00 おはなし会(2 階) 15(土)14:00 おはなし会(2 階) 2(日) 16(日) 3(月) 休館日 17(月)休館日 4(火) 18(火) 5(水) 9:00 ブックスタート(保健センター) 19(水) 6(木) 20(木)休館日(館内整理日) 7(金) 21(金) 8(土) 14:00 おはなし会(2 階)13:00 古文書相談会 22(土)14:00 おはなし会(2 階) 9(日) 23(日) 10(月) 休館日 24(月)休館日 11(火) 祝日(開館しています) 25(火)空調工事開始・暖房休止開始(~ 3/16) 12(水) 9:00 ブックスタート(保健センター) 26(水) 13(木) 11:00 お母さんと赤ちゃんのためのおはなし会(1階) 27(木) 14(金) 28(金) 図書館サービスに関するコラム 図書館で快適に過ごして頂くために 少しずつ環境整備を行う予定です。 今回整備した箇所をご紹介いたします。 どうぞご利用ください。 <子ども用椅子の座面 張り替えを行いました> <女子トイレの改修工事> 1月の蔵書点検期間中に館内設備のリニュ ーアルを行いました 2・3・4 階の女性トイレが一部洋式の便座 に変わりました。個室内には手すりと流水 音が流れる消音機械も設置しました。また、 ファミリートイレには赤ちゃん用の椅子(ベ ビーキープ)も新設しています。 2階の児童コー ナーの椅子の座面 を優しい黄色の生 地に張り替えまし た。 多治見市図書館だより 平成 26 年 2 月 1 日号(月 1 回発行) 発行者 多治見市図書館 本館 編集(公財)多治見市文化振興事業団 住所 多治見市豊岡町 1-55 まなびパークたじみ TEL 0572-22-1047 FAX 0572-24-6351 多治見市図書館 HP http://www.lib.tajimi.gifu.jp/ 携帯版図書館 HP http://www.lib.tajimi.gifu.jp/k/ お問合せ e-mail [email protected] 多治見市図書館だよりは多治見市図書館指定管理者 ( 公財 ) 多治見市文化振興事業団が多治見市から受託して発行しています
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