「ケアマネジャーのための医療的アセスメント研修」 完了 - 勇美記念財団

2009 年 度
在宅医療助成
指定公募
ケアマネジャーを対象とした在宅医療の研修を希望するグループ及び団体
「ケアマネジャーのための医療的アセスメント研修」
完了報告書
申
請
者:加藤敦子
NPO 法 人
白十字在宅ボランティアの会・事務局
東京都新宿区市谷砂土原町2-7
ディアコート砂土原204
提 出 年 月 日 : 2011 年 3 月 11 日
はじめに
当 NPO は 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン の 中 に 事 務 局 を 置 い て お り 、 事 務 局 担 当 者 も ケ ア マ ネ
ジャー業務を兼務している。他事業所でもケアマネジャーをしていた経験から、現在の
職場で得られた医療知識や経験がケアプランを作成する上で、非常に役立っている。
例えば、便秘には高齢故の身体機能の低下による要因や、食事等の生活習慣の中での
要因など、何故その症状が起きるのか?を考えることが、プランの元となる重要なアセ
スメントとなる。高齢者の身体や病気の特性を理解していると、先の予測が立ち、新た
な疾病に罹患することや、症状を悪化させることを防ぐことも出来る。
また、在宅でも様々な医療処置が出来ることや、逆に家族にどのような負担が生じる
かなども理解していないと、最期をどこで迎えたいか、という相談にも適切な情報提供
が出来なくなってしまう。
そのため、在宅療養を支え、自宅で最期まで過ごされる方の支援を長く行って来た訪
問看護師に、経験した事例なども提示しながら、質問しやすい環境・人数での研修を企
画した。
研修プログラムの企画
内容については、白十字訪問看護ステーションの看護師2名を中心に、当ステーショ
ンのケアマネジャーや、訪問介護のサービス提供責任者などからも、ケアマネジャーに
不足していると思われる医療知識は何かを話し合った。また、受講生に事前アンケート
を取った結果を踏まえて、内容を考慮した。事前アンケートでは以下の3点について尋
ねた。多かった意見と共に列記する。
「ご自分に不足している医療的な知識や情報はどんなことだと思われますか?」
・医療知識全般
・専門用語や薬の知識
・胃ろうやストマの処置の仕方
「担当している利用者さんが入院された時などに、病院からどのように患者さんの状態
についての情報を得ていますか?」
・病棟に直接行き、看護師やソーシャルワーカーから情報をもらう
・退院前のカンファレンスで
・サマリーから
「医療者とのカンファレンスなどで、困ることはどんなことですか?」
・専門用語が多く、病状の説明が理解し切れない
・在宅で介護する上で必要な情報の聞き方、伝え方が分からない
・ケアマネの仕事や、ヘルパーが出来ない医療行為を医療職が知らないこと
上 記 を 踏 ま え て 、 研 修 内 容 を 組 み 立 て た 。( 別 紙 チ ラ シ 参 照 )
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研修内容
第 1 回:必 要 な 医 療 情 報 を 得 る に は( 診 療 情 報 の 読 み 方 / カ ン フ ァ レ ン ス で 情 報 を 得 る )
実際の診療情報提供書、看護サマリー、リハビリ実施計画書を個人情報を伏せて提
供( 研 修 終 了 後 回 収 )し 、そ こ に 書 か れ て い る 事 か ら 、ど ん な こ と が 読 み 取 れ る の か 、
今後どのようなことが予測できるのか、を読み解く。
また逆に、病棟からは在宅生活が見えない(イメージしづらい)ため、必要な情報
が書かれていない場合もあること、そのような情報は、ケアマネジャーが在宅での様
子を伝えて引き出すことも必要になることを話し合う。
第 2 回:アセスメントの視点(訪問時のチェックポイント/予防的視点に立ったプラン
作成)
項 目 を 大 き く 2 つ に 分 け( 食 事 に 関 す る こ と 、排 泄 に 関 す る こ と )資 料 を 作 成 し た 。
「栄養・胃ろう」では、高齢者が必要とする栄養や嚥下の仕組み、食べやすい姿勢
や口腔ケアの目的などを説明。実際に胃ろうを作る手術のビデオを見て仕組みを学ん
でもらった。
「排泄・褥創」では、腸の形状を説明した後に、高齢者が水様便を失禁していると
相談されたが実際は便秘だったケースを挙げて、高齢者の便秘の原因を説明。また、
ストーマケアや膀胱留置カテーテルについても、実際の器具を見せながら、仕組みや
気をつけなければならないことを解説。褥創のリスクがどこに潜んでいるか、家庭で
も出来る処置についても写真などを示しながら説明。
第 3 回:シンポジウム「住み慣れた町で最期まで暮らすために~在宅で療養するという
こと~」
3 年前から継続して行って来たシンポジウムで、実際に自宅で看取りをされたご家
族に体験を語って頂く場としている。そのため、在宅福祉に携わっていても自宅で亡
くなることがイメージ出来ない人や、病院で働く医療職にも、自宅で終末を迎える人
がどのようにサー
ビスを利用して生
活され、どんなこと
を不安に感じてい
たのかを知る貴重
な機会となってい
る。
シンポジウムの構
成は、在宅医療に長
く取り組んで来ら
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れた医師から、自宅でも提供できる医療や終末期を支える医療について、基調講演で
話してもらい、休憩を挟んでパネルディスカッションとして、看取りを経験されたご
家族を中心に、その方に関わった訪問診療の医師、訪問看護師、社会福祉協議会のボ
ランティアコーディネーターらがパネラーとなり、どの時期にどのような関わりを持
ったか、ご家族の気持ちや介護がどのように変化してきたか、をパネルディスカッシ
ョンのコーディネーターが時間を追ってその時々の関わりをパネラーに報告しても
らう形で進行した。
会場にお越し下さった方々からの質問を受けたり、逆に、コーディネーターから質
問を投げかけたりして、フロアとのやり取りを交えたディスカッションとなった。
第 4 回:まとめ
シンポジウムでの家族の話を踏まえて、自宅で最期を迎えるにあたって、病院から
帰って来る時に、どのような調整が必要になるのか、家族にどのような指導や援助が
必要になるのかを振り返った。
また、胃ろうを選んだことで、楽になったことと逆のこととがあり、選ぶ時点では
情 報 提 供 さ れ な い そ れ ら の こ と が 、「 家 で 生 活 を す る 」 上 で は 重 要 だ っ た り 、 本 人 の
心身の変化一つひとつに家族の気持ちが揺れることもあり、ケアマネジャーとしては、
それらに「寄り添う」姿勢が重要であることなど話し合う。
また、事前アンケートにも書かれていた「吸引」について、実際の器具を前に、ど
のような病状の方に対して、何のために必要になるのか、の説明の後、実際に器具を
操作して仕組みについて理解してもらう実習を行った。
研修を終えて
終了後に配布したアンケートで、参加して良かったこと、他に知りたかったことを
聞いたが、概ね下記のような意見が多かった。
良かったこととしては、ストマや胃ろうの仕組みが理解できたので、リスクについ
ても理解できた、という意見がほぼ全員から聞かれた。人数が少なかったので質問が
し や す か っ た た め 、「 こ ん な こ と を 聞 い た ら 恥 ず か し い か も 」 と い う こ と も 聞 け て 良
かった、という意見も複数あった。
知 り た か っ た こ と と し て は 、 在 宅 酸 素 療 法 や IVH、 気 管 切 開 等 に つ い て も 教 え て 欲
しかった、という意見や、病名などを略語で書かれていると分からないので、それら
についての資料があると良かった、との意見もあった。
また、医療職から見た「組みやすいケアマネ」と「組みにくいケアマネ」について
率直なところを聞きたかった、という意見も複数あり、福祉系のケアマネジャーが医
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療職との連携に戸惑い、気遣っている様子が窺えた。
申請者の振り返り
告知期間が短くなってしまったため、参加人数が 8 名と少なかったことは残念だっ
た。しかし、受講生のアンケートにもあったように、少人数だからこそ、受講生各自
の理解度や知りたい事を確認しながら進めることが出来、密度の濃い研修に出来たの
ではないだろうか。
今回の研修を通して、ケアマネジャーが大きな病院などに退院調整に行くことに、
苦手意識を持っていることが分かったが、それと同時に、大病院の医療職も在宅サー
ビスについて理解していないことで、両者に溝があり、歩み合えない現実があること
が想像できた。
今後また研修を企画するに際しては、地域の病院とケアマネジャーとの橋渡しにな
るような場に出来るよう、考えていきたい。
本事業は、公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の
助成を受けて実施されました。
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財団法人
在宅医療助成 勇美記念財団
助成事業
ケアマネジャーのための医療的アセスメント研修
アセスメントに始まりアセスメントに終わると言われるケアマネジャー業務ですが、皆さん、診
療情報提供書から必要な医療情報を読み解くことや、退院前のカンファレンスで必要な情報を得る
ことを、戸惑いなく行えていますか?
本研修では、退院して来る利用者さんを想定して、病院の情報から、何を読み取らなければなら
ないのか、カンファレンスで確認しておくポイントはどこなのか、また、訪問時にどんなところに
注目し、変化に気づいて行かなければならないのか、など、現在の状態を悪化させない為のケアマ
ネジャーに必要な「視点」を学んで頂きたいと企画しました。
日
①
時
内
10 月 19 日(火)
18:30 ~ 20:00
容
必要な医療情報を得るには
・診療情報の読み方
・カンファレンスで情報を得る
②
10 月 26 日(火)
18:30 ~ 20:00
アセスメントの視点
・訪問時のチェックポイント
・予防的視点に立ったプラン作成
③
11 月 2 日(火)
14:00 ~ 16:30
シンポジウム
「住み慣れた町で最期まで暮らすために
~在宅療養するということ~
11 月 9 日(火)
④
18:30
~
」
まとめ
20:00
・質疑応答
・医療系サービスとケアマネジャーの役割
会
場:①②④ 東京在宅サービス本社会議室(新宿区新宿 1-5-4YKB マイクガーデン3階)
③
牛込箪笥区民ホール(新宿区箪笥町 15 番地)
講
師:秋山正子(NPO 法人白十字在宅ボランティアの会理事長・
白十字訪問看護ステーション統括所長)
受講料:会員
1,500 円
会員外
3,000 円
申込み・問合せ
NPO 法人白十字在宅ボランティアの会 (担当:加藤)
〒162-0842
新宿区市谷砂土原町 2-7 ディアコート砂土原 204
TEL/FAX
03-5935-7708
Mail
[email protected]
他、調整中