(1) 平成25年度事業報告書 - 社団法人・日本造船工業会

平成25年度事業報告書
自
至
平成25年4月1日
平成26年3月31日
一般社団法人 日本造船工業会
平成25年度事業報告書
第1
目次
組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1.会員・準会員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(1)会員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(2)準会員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2.総会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
3.役員、相談役及び顧問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(1)理事及び監事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(2)会長及び副会長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(3)専務理事及び常務理事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
(4)相談役及び顧問・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
4.常設委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
5.会議・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
6.事務局・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
第2
事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1.企画委員会関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
(1)造船業の経営基盤強化に係わる諸施策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
①需要減少下における造船業対策の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
②長期需要予測の策定及び関連諸調査の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
③人材確保に向けた広報活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
④外国人労働力の実態調査、研修・実習制度の規制緩和要望の推進・・・・・・・・・ 6
⑤造船技能伝承事業の支援(日本中小型造船工業会、日本造船協力事業者
団体連合会と連携)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
⑥鋼材需給関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
⑦シップリサイクルに係わる諸施策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
⑧造船関連諸統計・経済関連諸資料の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
⑨造船工業会ニュースの作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
⑩海事産業振興策への取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(2)艦船対策、修繕・改造船対策、その他国内船対策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
①官公庁船の建造促進のための環境整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
②防衛省からの受託事業の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
③修繕・改造船の動向把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(3)造船業の国際協調に係わる諸施策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
①国際協調の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
②中国・韓国・欧州をはじめとする世界造船業の動向調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
③国際需要予測専門家会議への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
④その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
(4)新分野需要開拓の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
①海洋基本計画への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
②新規プロジェクト開拓のための情報収集、セミナーへの参加・・・・・・・・・・・・・・ 15
3.技術委員会関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
(1)造船業の技術基盤整備に係わる諸施策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
①技術開発テーマ(業界共通課題)の創出並びに研究の推進・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
②海洋基本計画への対応(技術課題)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
③造船技術者社会人教育への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
④造船学術研究推進機構への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
⑤関西海事アライアンス講義への支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
⑥オープンキャンパスへの参加・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
⑦造船系8大学との交流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
(2)構造規則関係及び環境関係諸問題に係わる諸対策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
①IMO・ISO等諸規則への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
②環境対策に係わる情報の収集と対応策の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
③トライパタイト、ASEF、NACE等、国際対応(技術関連)・・・・・・・・・・ 26
4.労務総務委員会関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
(1)造船産業労使会議等、労働関係諸問題に係わる対策の推進・・・・・・・・・・・・・・ 28
①日本基幹産業労働組合連合会(造船重機部門)との協調関係の推進・・・・・・・・ 28
②賃上げ・一時金・退職金・高齢者雇用対策等に関する情報交換・・・・・・・・・・・・・・・ 28
③労働関係諸法規等に関する情報交換・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
④安全衛生労使合同対策の推進(日本基幹産業労働組合連合会(造船
重機部門)との連携事業)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
(2)安全衛生対策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
①安全衛生対策の推進強化(労働災害防止強化対策「アクションプラン」
の推進)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
②安全衛生関係セミナー・研修会の開催等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
③労働安全衛生情報の提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
④全国造船安全衛生対策推進本部(全船安)に対する支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
(3)造船業界に係わるPR活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
①造船関係資料・パンフレットなどPR資料の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
②会長記者会見、会長インタビューなどパブリシティ活動の推進・・・・・・・・・・・・ 34
③オスロ国際海事展への参加・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
(4)税制改正要望活動等の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
①税制改正要望項目の取りまとめ及び要望活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
②経理問題・資金問題に関する情報交換・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(5)法規株式関係対策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
5.中手造船委員会関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
(1)中手造船対策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
①中手造船業に係わる経営基盤の整備、関連諸施策の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
②中手造船業に関連する諸統計資料の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
6.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
(1)事務連絡組織関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
[付
表]
会員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
役員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
相談役・顧問名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
一般社団法人日本造船工業会 組織図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
【事業報告の附属明細書について】
平成 25 年度事業報告には、
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則」
第 34 条第 3 項に規定する附属明細書「事業報告の内容を補足する重要な事項」が存在
しないので、省略。
第1
組織
1.会員・準会員
(1)会員
年度末における会員数は、法人会員17、団体会員1、計18である。平成26年2月に
幸陽船渠株式会社は、今治造船株式会社と統合し、今治造船の広島工場となった。
年度末における会員の現況等は、巻末「会員名簿」の通りである。
(2)準会員
本会準会員数はゼロであり、年度中の異動はなかった。
2.総会
平成25年度は、第67回定時総会を平成25年6月18日に開催し、平成24年度事業報告
書並びに同決算書の承認、平成25年度事業計画並びに同予算の承認、定款の一部
変更の承認、平成25年度防衛省受託事業契約に係わる締結決定の理事会への委任、
平成25年度日本財団助成金交付申請決定の理事会への委任、任期満了に伴う理事
及び監事の選任を行った。
また、平成25年7月24日、書面による第68回総会決議を行い、村山滋氏(川崎重工
業)、名村建介氏(名村造船所)を理事に選任した。
3.役員、相談役及び顧問
(1)理事及び監事
第67回定時総会において任期満了に伴う理事及び監事の選任を行い、指定代表者
から17名、学識経験者から2名、計19名の理事、学識経験者から2名の監事を選任
した。
指定代表者の変更に伴い、平成25年7月24日、書面による第68回総会決議を行い、
村山滋氏(川崎重工業)、名村建介氏(名村造船所)を理事に選任した。
平成26年2月の今治造船と幸陽船渠の経営統合に伴い、平成26年1月31日に檜垣俊
幸理事が退任した。年度末における理事・監事の現況等は、巻末「役員名簿」の
通りである。
(2)会長及び副会長
年度当初は、前年度に引き続き、会長には釡和明氏(IHI)、副会長には日納義
-1-
郎氏(住友重機械工業)、佃和夫氏(三菱重工業)、加藤泰彦氏(三井造船)、長谷
川聰氏(川崎重工業)、南尚氏(大島造船所)、檜垣幸人氏(今治造船)の6氏が在
任した。
平成25年6月18日に、第67回定時総会での任期満了に伴う理事の選任に引き続き開
催した第642回理事会において、会長に佃和夫氏(三菱重工業)、副会長に日納義
郎氏(住友重機械工業)、加藤泰彦氏(三井造船)、釡和明氏(IHI)、檜垣幸人
氏(今治造船)、門田尚氏(新来島どっく)の5氏、あわせて代表理事たる副会長
に日納義郎氏を選任した。
平成25年7月29日、書面による第643回理事会決議を行い、村山滋氏(川崎重工業)
を副会長に選任した。
(3)専務理事及び常務理事
年度当初は前年度に引き続き、代表理事たる専務理事に木内大助氏(学識経験者)、
業務執行理事たる常務理事に桐明公男氏(学識経験者)がそれぞれ在任した。第
67回定時総会及び第642回理事会において、両氏がそれぞれ再任された。
(4)相談役及び顧問
相談役には、合田茂氏(住友重機械工業・名誉顧問)、藤井義弘氏(日立造船)、
相川賢太郎氏(三菱重工業・相談役)、岡野利道氏(三井造船・相談役)、伊藤源
嗣氏(IHI・相談役)、西岡喬氏(三菱重工業・相談役)、田﨑雅元氏(川崎重
工業・相談役)、元山登雄氏(三井造船・相談役)の8名が在任し、年度内の異動
はなかった。
顧問には前年度に引き続き、宇田川新一氏の1名が在任したが、平成25年6月18
日に退任した。
平成25年度末における相談役の現況等は、巻末「相談役名簿」の通りである。
4.常設委員会
年度当初は前年度に引き続き、常設委員会委員長は、蔵原成実氏(企画委員会)、
神林伸光氏(技術委員会)、阿部孝氏(労務総務委員会)、南尚氏(中手造船委員
会)の各氏であった。
第642回理事会において常設委員会委員長に、原壽氏(企画委員会)、福田典久氏
(技術委員会)、髙石祐次氏(労務総務委員会)、檜垣幸人氏(中手造船委員会)
の各氏を選任した。
-2-
原壽企画委員長の退任に伴い、平成25年11月26日、書面による第645回理事会決議
を行い、橋本州史氏を企画委員長に選任した。
橋本州史企画委員長の退任に伴い、平成26年3月18日の第646回理事会において、
平成26年4月1日付で柳澤順三氏を企画委員長に選任した。
平成25年度末における各常設委員会等組織図(含む委員長)は、巻末「本会組織図」
の通りである。
5.会議
総会、理事会、正副会長会議及び常設委員会を適宜開催し、それぞれの所管事項
の処理に当たった。
理事会は、平成25年6月、平成26年3月の計2回開催し、本会会務執行上必要な事項
について審議し、議決した。
正副会長会議は、平成25年4月、9月、10月、12月、平成26年3月の計5回開催し、
本会方針及び重要事項について審議した。
また、平成25年7月、書面による総会決議、平成25年5月、7月、9月、11月には、
書面による理事会決議を行った。
企画委員会、技術委員会、労務総務委員会、中手造船委員会の常設委員会は、そ
れぞれの専門分野について調査、研究、立案等を行い、その取りまとめに当たっ
た。
6.事務局
事務局は前年度に引き続き、総務部、企画部、技術部の3部体制であった。
平成25年度末における事務局組織(含む所管業務)は巻末の「本会組織図」の通
りである。
-3-
第2
事業
1.企画委員会関係
(1)造船業の経営基盤強化に係わる諸施策の推進
①需要減少下における造船業対策の検討
(a)技術・企画合同戦略検討会
技術的かつ政策的な観点から各課題の国際競争力強化に向けた戦略を議論すべく、
技術及び企画の両委員会の傘下に、平成22年1月「技術・企画合同戦略検討会」
を立ち上げた。
本年度は、10月に東京で開催されたトライパタイト会議(海運・造船・船級によ
る3者会議)、11月に神戸で開催されたASEF(アジア造船技術フォーラム)へ
の対応を協議した。また、4月に成立した新たな海洋基本計画において、造船業界
としての意見を関連の予算・施策に反映させるため、企画部会と連携して国会議
員・関係府省庁に対する提言書の取りまとめを行った。その後の政府・与党の動
向についてのフォローアップを行った。
IMO対応等の技術的課題への取り組みとしては「IMO-NGO問題WG」及び
「GBS-SCF(目的指向型構造基準-船舶建造ファイル)問題WG(同WGの
下部機構として3つのSWGを設置)」を設けて検討を行った。具体的な活動内容
については技術委員会関係を参照のこと。
平成23年7月にIMOで採択された国際海運における二酸化炭素排出規制に対応
するため、技術委員会設計部会と企画委員会企画部会による「EEDI(エネル
ギー効率設計指標)合同WG」を立ち上げ、契約書・仕様書上の扱い、経済的手
法・中間的措置及び認証時の知的財産保護等に関する情報提供及び業界意見の集
約に努めた。
②長期需要予測の策定及び関連諸調査の実施
需給小委員会では、今後の政策展開の基礎とするため、専門的な観点から新造船
の建造需要量予測を継続して行っている。
平成25年度は、新造船建造需要量予測“SAJ2013”を策定し、平成25年6月に、
デンマーク・クーゲで開催した国際需要予測専門家会議において報告した。
SAJ2013では、平成42年までの新造船建造需要量(年平均)を5,990万総トンと
見通し、前年度に策定した“SAJ2012”の予測値である5,570万総トンを上回っ
た。海上荷動き量は前回予測より減少したものの、バルカーを中心に必要船腹量
-4-
予測の前提条件を見直したことによりSAJ2013の新造船建造需要量は前回予測
から増加する結果となった。本小委員会では、SAJ2013に最新の市況を反映さ
せるべく、“SAJ2014”の策定作業に着手し、年度を越した。
IHS統計(旧ロイド統計)によると、平成25年の竣工量は前年の9,558万総トン
を下回り、7,048万総トンとなった。同年の受注量は1億0,320万総トンと、前年の
3,840万総トンから急増した。世界の竣工量は落ち着きを見せた一方で、受注量は
平成19年以来6年ぶりに1億総トンを上回った。わが国の竣工量は、1,459万総トン
と、前年の1,743万総トンから減少した。受注量においては、1,380万総トンと、
前年の885万総トンを上回った。
③人材確保に向けた広報活動
企画部会は人材確保・育成対策は継続性が重要であるとの認識のもと、下記事業
を行った。
(a)壁新聞の発行
中学・高校生を対象として造船業の重要性と社会貢献をテーマとした社会科副教
材としての「壁新聞」
(Shipbuilding News、A1版・裏表面)の発行を平成18年度
に開始した。
平成25年度は平成26年3月に第9号「海洋再生可能エネルギーの未来を拓く造船業」
として、再生可能エネルギーによる発電に造船業がどのように関わっているかを
紹介した。主として本会会員造船事業所が所在する地域、東京及び大阪の中学・
高校(18都道府県、約9,300校)に配布した。
壁新聞の縮小版(A3版)も作成し、中学・高校のほか造船所見学者・海事関係機関・
博物館・図書館などに配布し、造船業への理解促進に供した。
(b)大学生向け情報提供「Japan Shipbuilding Digest」の発行
近年、造船系学科(学部、修士、博士)を卒業しても造船会社に就職する学生は
減少傾向にある。本会は、学生の造船業に対する理解を深めるために、会員各社
の技術開発と業界トピックスを中心とした情報を提供する「Japan Shipbuilding
Digest」を平成19年2月に創刊した。
平成25年度は、第33号から第37号まで5回発行し、電子メールによって造船系学科
担当教授や学生に配信するとともに、本会ホームページへの掲載や一般紙・業界
紙への提供を通じ、啓蒙活動に努めた。
-5-
(c)練習船一般公開時等におけるPR活動
例年、航海訓練所では、練習船の一般公開を東京、横浜、名古屋、長崎など全国の
港で、4月~11月にかけて年間20回以上行っており、毎回数千~数万人の見学者が
訪れる。若年層の集客力が高く、広範囲に寄港する練習船の一般公開は、パンフ
レット類を配布するPR活動の場として適している。本会は、イベントに合わせて、
造船業のPR資料を配布した。
(d)一般・若年層向け造船業の紹介資料
本会、国土交通省、日本中小型造船工業会、日本舶用工業会、日本船舶輸出組合、
日本船舶技術研究協会と連携し、日本造船業の海外向け広報パンフレット
「Shipbuilding MENU Gourmand」を作成した。
日本海事広報協会が、平成25年度~平成26年度にかけて実施している「小学校に
おける副教材等による海事教育の推進」事業を行っている。本事業は、実際の学
校教育で活用できる教材を制作して、小学生の海事産業に対する関心を高めるこ
とを目的としている。今回は、岡山県倉敷市に焦点をあてた教材を制作し、平成
26年度に同市の全小学校に無償で配布することを計画している。本会は日本海事
センター、日本港運協会、日本内航海運組合総連合会とともに、企画・編集への
協力及び資金の提供を行った。
④外国人労働力の実態調査、研修・実習制度の規制緩和要望の推進
本会は、外国人技能実習制度の活用策について、業界を挙げて取り組んでおり、
企画部会の下部機構として「外国人活用問題検討会」を設置している。
本会は、同検討会での検討内容を踏まえて「実習期間を5年に延長(現行3年+再
技能実習2年)して欲しい」旨、継続して要望活動を行ってきた。
今年度後半から、関係省庁を中心に技能実習制度の受入れ要件緩和について検討
を始めており、本会も(c.を除き)出席して造船業界の意見反映に努めている。
a.内閣府の規制改革会議
創業・IT等WG(H25.10.10)
b.日本経済再生本部労働力強化・生産性向上Gの会合/自民党(H25.11.6)
c.農林水産業・地域の活力創造本部の会合(H25.11.26)
d.経済産業省主催の勉強会(H25.12.19、H26.2.4、同3.20)
⑤造船技能伝承事業の支援(日本中小型造船工業会、日本造船協力事業者団体連
-6-
合会と連携)
造船技能者を早期かつ確実に育成することを目的に、国土交通省及び日本財団の
支援を得て、本会、日本中小型造船工業会(中小造工)及び日本造船協力事業者
団体連合会(日造協)で構成される造船技能開発センターが平成16年度に発足、
現在、6か所の研修センターが活動している。
海上技術安全研究所では、若手造船技術者・研究者を対象に船舶海洋工学の基礎
知識を短期間で習得させる研修を同研究所において実施している。造船技能開発
センターは同研究所と連携し、より多くの造船技術者を育成するために、造船技
能開発センターの各研修センターにテレビ会議システムを導入し、リアルタイム
で同研修が受けられる体制を構築した。
平成25年度も新入社員等の研修、各種の専門技能研修、指導者研修を実施し、受
講生の総数は310名(平成24年度:437名、平成23年度:453名、平成22年度:666
名)であった。
安全体感研修は217名(平成24年度:245名、平成23年度:248名、平成22年度:1,646
名)、船舶海洋工学研修の受講生は123名(平成24年度:65名、平成23年度:65名、
平成22年度:54名)であった。
これにより、平成16年度~平成25年度における研修修了者は累計で4,303名(安全
体感研修、船舶海洋工学研修を含めると6,929名)となった。
造船技能開発センターでは、研修事業の具体的推進を図るために、運営委員会及
び下部機構を設けている。本会は、それぞれの委員会に委員を派遣し、活動を支
援した他、研修事業の動向・ニーズの把握に努め、本会意見の反映に努めた。
⑥鋼材需給関係
(a)造船用鋼材、資材調達問題に関する諸施策の推進
本会会員の海洋構造物用を含む造船用鋼材の消費(購入)量調査を定期的に行っ
た。平成25年度の消費量実績は321万トンと、前年度実績の345万トンを下回った。
また、平成26年度消費量見込は324万トンが見込まれている。
また、鋼材及び舶用機器の需給状況を的確に把握するための調査及び分析を行い、
会員会社の参考に供した。
(b)鋼材市場の調査
鋼材価格の動向と需給状況を把握するため、専門紙による市中価格と経済調査会
による大口需要者取引価格の比較を毎月行い、会員各社の参考に供した。
-7-
⑦シップリサイクルに係わる諸施策の推進
シップリサイクルの推進については、平成21年5月に香港において、「2009年の船
舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約」
(通称:シップリサイ
クル条約)が採択された。条約の施行に必要な各種ガイドラインの整備が完了し、
条約の批准に向けた環境は整っている。条約発効後には、現存船及び新造船のイ
ンベントリ(有害物質一覧表)作成が義務化されることになる。作成段階におけ
る造船所の混乱を最小限に抑えるため、インベントリの記載方法や様式を標準化
することを目的に、インベントリCG(通信グループ)の設置を第4回ASEFで
決定し、以来本会が事務局を務めている。
平成25年度は、企画委員会企画部会シップリサイクル小委員会および技術委員会
設計部会舶用品・艤装品分野WGとの連携の下、インベントリ作成マニュアル共
通化に向けた意見の発信を行った。アジア各国の造船所、船級からの意見・照会
等に対して適切に対応し、CGの議論を積極的に推進した。平成25年11月に神戸
で開催された第7回ASEFにおいて、造船・船級の専門家が集まりCG会合を開
催し、ASEFにおける共通インベントリ作成マニュアルが完成するに至った。
本マニュアル完成により、CGの目的を達成したことから、本CGはひとまず活
動を終えることとなった。しかしながら今後MEPCでの規制要件の見直しや欧
州域内における規則動向を踏まえ、アップデートが必要な場合には適宜CGを開
催し、マニュアル改定に向けた活動を続けていく。
⑧造船関連諸統計・経済関連諸資料の整備
工事量、船腹量、荷動量、売上げ、人員数など造船関連の統計情報や資料を収集
分析し、
「 造船関係資料」として取りまとめた(平成25年9月と平成26年3月の2回)。
⑨造船工業会ニュースの作成
造船工業会ニュース175号から186号までを発行し会員各社の業務の参考に供した。
海上運賃、新造船船価及び外国為替レート等の毎月の動きに加え、世界の新造船
工事状況、本会会員会社の竣工船実績調査などの統計類を定期的にまとめた。
⑩海事産業振興策への取り組み
(a)東日本大震災への対応
平成23年3月11日に発生した東日本大震災に対応するため、海事振興連盟(以下、
-8-
連盟)では平成23年4月に臨時会合を開催し、海からの早期復旧・復興に向け、全
力で取り組むことを決議した。
本会は、洋上浮体の活用、被災船の修理、新造船の緊急建造、被災者や被災造船
所への支援など、造船業界の視点から震災復興に向けての取り組みを検討し、被
災地の公共団体に対して提案を継続して行った。その結果、洋上浮体構造物の導
入に向けて真剣に検討を行った自治体もあったが、実績に乏しいという理由から
地元関係者の理解が得られず実現には至らなかった。
また、福島第一原発の汚染水貯蔵タンクは陸上設置に限界があるため、洋上浮体
式汚染水貯蔵タンクの活用について概念図を提示して提案を行った。さらに、浮
体式洋上風力発電、浮体式LNG基地等のインフラ整備にも取り組み、2020年に
は洋上浮体構造物を活用したコンパクトな東京オリンピックの実現に向けての提
案も行った。
平成26年3月のいわきタウンミーティングにおいても、引き続き同種の提案を行っ
た。
(b)国際協力銀行法に基づく先進国向け輸出金融
平成23年4月28日に「国際協力銀行法案」が成立した(平成23年5月2日に同法律公
布・施行)。これにより、先進国と途上国の区別は解除され、同輸出金融の利用は
堅調に推移している。
平成25年度の船舶輸出金融承諾件数は17件であった。
(c)海運税制充実への支援
本会は、日本海運業の競争力が強化されることは日本造船業の強化につながるこ
とから、日本船主協会が要望している「トン数標準税制拡充の着実な実施、船舶
の特別償却制度の恒久化などの海運税制の充実」について支援を行っている。平
成25年11月に開催された海事振興連盟会合においても支持を表明した。
(d)海事産業基盤の維持強化
行き過ぎた円高の是正が進んだものの、過剰な船腹を抱えている海運市況の回復
にはもうしばらく時間がかかることが予想される。さらに、船価の低迷、資材価
格の上昇傾向によって、造船業の事業環境は依然厳しい状況が続くと考えられる
ことから、海事振興連盟及び関係の国会議員に対し、下記要望及び提案を行った。
ア)新たな海洋基本計画の策定
-9-
本会は、平成25年4月に策定された新たな海洋基本計画が着実に実行されるよう、
具体的な数値目標、達成時期、産官学の役割分担を明示した工程表を策定すべ
きである旨の提言を行い、工程表策定途中で年度を越した。
また、経済財政諮問会議における骨太の方針や成長戦略にも海洋開発を重点分
野として位置付けてほしい旨の要望を行った。
その後策定された、骨太の方針と成長戦略では「海洋開発による資源の有効利
用等に取り組むことやエネルギー産業を育成して世界市場を獲得する」旨の文
言が挿入され、海洋開発が重点分野に位置付けられた結果となった。
イ)海洋産業の創出と振興
本会は、平成25年11月に海洋産業の創出と振興のために次の2点の提言を行った。
・早期に海洋資源開発の産業化を図るために、
「政府主導による官民オールジャ
パンが参加する推進主体を設立する」などの体制づくりが必要であること。
・海洋再生可能エネルギーについては、福島沖などの実証プラントの検証を踏
まえ、エネルギー・ミックスを戦略的に実現し、適切な電力バランスを確保
するために、浮体式洋上風力発電の早期産業化が求められること。
ウ)洋上浮体構造物を活用した震災からの復旧・復興
平成25年11月に、洋上浮体構造物を震災の復旧・復興に向けて活用されるよう、
イメージ図や写真を提示して提案を行った。(⑩(a)参照のこと)
エ)艦艇・巡視船艇の建造・技術基盤維持に向けた支援
わが国の周辺海域を護り、安全・安心な海洋立国日本を支える、艦艇・巡視船
艇の建造・技術基盤維持に向けた支援を要望した。
(2)艦船対策、修繕・改造船対策、その他国内船対策の推進
①官公庁船の建造促進のための環境整備
(a)艦船造修基盤の整備
ア)平成26年度艦船建造予算
防衛省艦艇及び海上保安庁巡視船艇の建造・技術基盤を維持していくために、
安定的・継続的な艦艇建造隻数の確保等を関係先に要望した。
平成26年度の艦船建造予算として、4隻・1,930億円、船齢延伸等の予算として、
171億円が確保された。
-10-
海上保安庁巡視船艇については、1,000トン型巡視船など25隻(うち継続分20
隻)235億円の建造予算が確保された。
イ)自由民主党国防議員連盟への要望
平成25年4月、自由民主党国防議員連盟総会が開催された。総会では本会を含む
防衛産業各団体が出席し「防衛産業の生産・技術基盤の維持・強化に向けての
要請書」が提出された。
本会は、艦艇建造基盤維持に関する要望を行い、決議では「新中期防における
03中期防並みの艦艇建造隻数の確保」等が採択された。
平成25年11月、衛藤征士郎議連会長宛に、改めて艦艇建造基盤の維持について
同趣旨の要望書を提出した。
ウ)自由民主党安全保障関係団体政策懇談会への要望
平成25年11月に、自由民主党安全保障関係団体政策懇談会に出席し、艦艇建造
基盤維持に関する要望を行った。
エ)自由民主党国防部会・防衛政策検討小委員会への説明
平成26年3月に、自由民主党国防部会・防衛政策検討小委員会の第7回会議に出
席し、艦艇建造・技術基盤の現状についての説明を行った。
オ)艦船造修整備に係わる官民合同会議への取り組み
平成26年1月に、艦艇部会艦船技術小委員会を中心に、防衛省と共同で「艦船造
修整備に係わる官民合同会議」を開催した。会議では、艦船の修理・整備作業
全般に係わる官民の課題解決に向けた検討、人的要因に起因する故障事例の分
析及び再発防止対策の検討を行った。
(b)防衛省への協力
海上自衛隊幹部学校長から、幹部候補生を対象にした「日本造船業の現状と課題」
「艦艇造修の現況等」
「艦艇建造の概要と課題」について講義の要請があり、艦艇
部会から専門家を派遣し、平成25年6月及び10月に講義を行った。
②防衛省からの受託事業の実施
防衛省が推進する委託事業について、本会では理事会の議を経て、下記18件につ
-11-
いて受託契約を締結し、履行期限までに報告書を提出した。
(a)海上幕僚監部(8件)
・新型艦艇の艦船システムに関する調査研究
・艦艇の効率的な燃料供給システムに関する調査研究
・新造艦艇における固定型状態監視用器材の装備等に関する調査研究
・艦船検査共通仕様書 船体部完成検査 操縦性能検査(SI-1103-2D)旋回試験の
原案及び解説原案の作成
・潜水艦酸素供給装置に関する調査研究
・浮甲板搭載機器の小型化の調査研究
・複合材プロペラの製造及び整備に関する技術調査(その1)
・定期検査実施基準(FRP製船こく)等の改正原案の作成
(b)技術研究本部(6件)
・高速艦艇の軽量化に関する技術資料の作成
・船舶設計基準関連(護衛艦の抗たん性)に関する基礎資料の作成
・水上艦船大型ぎ装品のぎ装密度最適化に関する基礎資料の作成
・潜水艦の耐圧殻構造様式に関する基礎資料の作成(その3)
・船舶設計基準、細則及び解説(潜水艦ぎ装)に関する基礎資料の作成
・船舶設計基準、細則及び解説(掃海艦艇ぎ装)に関する基礎資料の作成
(c)補給本部(4件)
・艦船の技術維持活動に係わる調査研究
・定期検査実施要領等の見直し(案)の作成(艦船の部)
・定期検査実施要領等の見直し(案)の作成(艦船の部)
・状態監視マスターデータの作成
③修繕・改造船の動向把握
平成25年度の船舶修繕・改造工事量(本会会員ベース)は1,236隻(前年度より52
隻増加)、14,590千総トン(同14%増加)、完成高は前年度から約1割減少の906億
円であった。
(3)造船業の国際協調に係わる諸施策の推進
-12-
①国際協調の推進
(a)JECKU造船首脳会議、同準備会議への対応
第22回JECKU造船首脳会議(TEM)が、平成25年11月に日本・沖縄におい
て開催され、日本、欧州、中国、韓国、米国の主要造船会社の首脳及び関係者総
勢74名が参加した。本会議では、世界経済、各極造船業の現状と見通し、新造船
需給、船種別市況動向、造船コスト、環境問題についての意見交換が行われ、首
脳間の相互理解を深めた。同会議にて承認された議長声明の骨子は以下の通りで
ある。
ア)世界経済はいくつかの不確実性を含みつつも、緩やかな成長が見込まれる。
世界のエネルギー消費は新興国がけん引する。
イ)海運市況においては、減速運航や解撤の促進、大量竣工のピークアウトによ
る供給面での調整が進みつつあり、今後の好転が期待できよう。
ウ)新造船市況に若干の改善が見られるものの、危機を脱して回復局面に入った
と警戒感を解くには時期尚早である。
エ)太宗船市況は依然低迷しているが、魅力的な船価水準にある高性能船への発
注の動きが見られる。北米のシェールガス生産の増加や深海域にある油田の
開発が期待されることから、LNG船やオフショア関連の堅調な需要が見込
まれる。
オ)造船業として海洋環境保護や海上安全の強化に向けて協力を惜しまない。そ
の一方、規制策定の段階において、規制がバランスよくかつ造船業にとって
現実的で実用的なものとなるようCESSを通じて意見を積極的に発信して
いく。
カ)船齢と船舶の欠陥との関連を今後注視。不効率船舶の市場撤退につながる環
境に優しい船舶の市場への浸透を促す仕組み作りを目指す。
本会議に先立ち平成25年9月に日本・札幌において、各極の実務者クラスが出席す
るJECKU専門家準備会議(EPM)を開催し、総勢33名が参加した。EPM
では実務者としての問題意識や課題についての議論を行い、議題の選定、発表担
当極の調整等の本会議の準備に当たった。
次回の造船首脳会議は、平成26年11月5日~7日にフランス・パリで、専門家準備
会議は、平成26年8月27日~29日にフランス・ナントにて開催されることとなった。
-13-
(b)CESS活動への支援
CESS(Committee for Expertise of Shipbuilding Specifics、造船関係専門
委員会)は、日本、欧州、中国、韓国、米国の主要造船事業者及び業界団体で構
成される組織である。当委員会は従前のサブスタンダード船排除活動に加え、環
境や安全に関わる技術的な造船業の共通課題について、専門的な立場から業界意
見を取りまとめ、船級・船主・規則策定機関などの関係者に造船業界の意見を発
信する機能を担っている。平成25年度のCESSの主要な活動は以下の通りであ
る。
ア)CESS年次総会
平成25年9月に、日本・札幌で年次総会(EPMと併催)が開催され、年間活動
報告と今後の活動予定が承認された。
イ)トライパタイト会議
「3.技術委員会関係 (2)③(a)」の項を参照のこと。
ウ)IACS関連活動
「3.技術委員会関係 (2)③(d)」の項を参照のこと。
エ)IMO・NGO取得、ASEF、NACE等国際会合への対応
「3.技術委員会関係 (2)③(c)、(e)」の項を参照のこと。
(c)日中韓による三極造工事務局会議への対応
第3回目となる本会議は平成25年7月に中国・昆明にて開催された。会議では造船
業を取り巻く情勢、各国の造船事情等についての情報交換を行った。また、3国間
における造船関係データの比較を行いやすくするために、次回の本会議において
様式・項目などの基準統一に向けた検討を行うこととしている。
②中国・韓国・欧州をはじめとする世界造船業の動向調査
韓国、中国を中心とする造船に関連する調査を継続的に行い、その結果を本会会
員に提供した。
その他、IHS統計、クラークソン統計などを随時整理し、本会会員および国内
外の関係者からの問い合わせに対応した。
③国際需要予測専門家会議への対応
平成25年度の国際需要予測専門家会議は、平成25年6月にデンマーク・クーゲで開
催された。会議には需要予測の専門家計34名が出席し、新造船建造需要量予測の
-14-
発表と議論が行われた。造船市況に影響を与える要因に対しての共通認識が図ら
れた。
④その他
(a)主要造船国との交流
本会は、従来から欧州造船工業会、中国船舶工業行業協会、韓国造船海洋プラン
ト協会など各国(地域)の造船工業会との密接な交流を行っている。平成25年度
は、造船市況や業界を取り巻く諸問題について意見交換し、各国(地域)の造船
業の現状把握並びに日本の造船業界の考え方への理解促進に努めた。
この他、英国、フランス、オランダ、ロシア、フィリピンの政府関係者や海事関
係者、海外紙の記者などの来訪者・問い合わせに対して適宜対応を行った。
(b)OECD(経済協力開発機構)造船部会
平成25年度のOECD造船部会は平成25年6月と11月に開催され、公的輸出信用ア
レンジメント船舶輸出信用セクター了解の見直し・改訂やグリーンシップの普及
促進を中心に議論が進められた。11月のOECD造船部会と併催されたワークシ
ョップでは「造船業界におけるグローバリゼーションの影響」について本会がプ
レゼンテーションを行った。
(4)新分野需要開拓の推進
①海洋基本計画への対応
世界の資源エネルギー獲得競争の激化による価格高騰を背景として、資源小国で
あるわが国にとって再生可能エネルギーの活用は、国民生活や経済社会の存立に
不可欠である。また、東日本大震災に起因する電源不足に対応するためにも風力
発電をはじめとする再生可能エネルギーの早期導入が必要である。海外における
再生可能エネルギーの活用は風力を軸に進んでおり、欧州では洋上風力発電に重
点が移っている。かかる状況の中で本会は、政府の総合海洋政策本部が検討して
いた新たな海洋基本計画に対して、各施策についての具体的な数値目標や達成時
期を明記するよう働きかけを行った。新たな海洋基本計画は平成25年4月に閣議決
定された。(「(1)⑩海事産業振興策への取り組み」の項を参照のこと。)
②新規プロジェクト開拓のための情報収集、セミナーへの参加
本会は日本風力発電協会に加盟し、技術部会、政策部会に参加し情報の収集と発
-15-
信に努めた。特に、同協会では洋上風力発電における固定買取価格設定に向けて
準備を行い、本会はコスト分析の作業に協力した。結果として年度末に、同価格
は36円/kWhとなることが固まり、太陽光発電の32円/kWhを上回ることとなったこ
とから、政府には洋上風力の普及を促進する狙いがあるものと考えられる。
その他、ブラジル、ノルウェーなど海洋産業における新規事業開拓のための情報
収集を行った。
-16-
3.技術委員会関係
(1)造船業の技術基盤整備に係わる諸施策の推進
①技術開発テーマ(業界共通課題)の創出並びに研究の推進
(a)疲労強度に及ぼす板厚効果に関する共同研究
板厚が厚くなるに従い疲労強度が低下する「板厚効果」について、近年同効果を
必要以上に安全側で評価する傾向が見られることから、系統的な疲労試験と解析
によりその発生要因を解明し、その結果を国際的な基準の改正と合理的な設計に
資することを目的に、本会(会員11社参加)と日本海事協会、鉄鋼4社、海上技術
安全研究所の共同研究として平成22年9月から平成25年9月末まで3年間実施した。
数度の実験・解析を行い、主板厚の増加に伴う疲労強度の影響は小さいとの研究
成果が得られた。当該成果を調和CSR規則策定へフィードバックした他、平成
25年10月に上海で開催のタンカーフォーラムで紹介した。
(b)NAPA(船舶設計計算ソフト)を用いたアプリケーション開発
NAPA設計システムを利用する造船各社の設計実務者が使い勝手の良い機能を
付加すべく、平成22年度から3年間、本会会員11社と日本海事協会との共同研究と
して実施し、計29項目のアプリケーションの新規開発及び改良を行った。平成25
年11月の設計部会にて本研究の最終成果報告を行った。
(c)中手技術連絡会の技術研究開発
技術委員会に参画している中手造船会社では中手固有の技術的問題に対応すべく、
技術連絡会を組織し日本海事協会等の協力を得ながら、下記の取り組みを行った。
性能分野では、
「CFD(数値流体力学)による斜航・旋回状態における操縦流体
力推定に関する研究及び最適トリムに関する調査研究」を平成24年度~平成26年
度までの予定で実施中である。
構造分野では、船殻設計の17項目についての実践的な内容をビジュアルにまとめ、
技能伝承の一助とすべく「船殻設計ハンドブック」の作成に平成23年から取り組
み、平成25年5月に完成した。また、平成25年からの新規研究テーマに「CSR規
則と調和CSR規則の比較表作成」を選定し、鋭意作業に取り組んでいる。
艤装分野では、IMO・MSC91(平成24年11月)にて、既存の騒音コードを強
化義務化する改正案が採択され、平成26年7月1日以降の1,600総トン以上の建造契
約船への適用が決定したことを踏まえ、日本海事協会との「騒音予測プログラム
開発に関する共同研究」として平成23年度から取り組みを開始し、実施中である。
-17-
(d) GBS-SCF IPR(知的財産保護)業界標準開発
平成22年5月のIMO第87回海上安全委員会(MSC87)において、SCF(船
舶建造ファイル)情報の範囲定義とともに、一部の高度知財情報の陸上アーカイ
ブセンターでの保管及び知財レベルに応じた知財保護を求める業界共同提案(日
欧韓中の造工、主要国際海運団体、IACS)が承認された。これを受け、詳細
な業界標準を整備するため、平成22年秋に本会内に「GBS-SCF問題WG」及
び「法務SWG」、「システムSWG」、「SCF図面情報詳細定義SWG」を組織
し、活動を開始した。
日本造工案をベースとした日韓中欧米造工共同の「SCF業界標準・造船業界案」
が平成24年9月にまとまり、その後、ICS(国際海運集会所)やBIMCO(ボ
ルチック国際海運協議会)等の国際船主団体と何度か協議を進めたが、図面への
複雑なアクセス手続きや厳格な管理面などに船主の懸念が強く調整が難航した。
その後、関係者との調整を進めた結果、漸く平成25年3月のクロスインダストリー
協議にて、業界標準を「概要版」と「共通解釈版」の2冊に分冊再編集した形で、
大筋の合意を得ることができた。尚、本研究は日本海事協会との共同研究事業と
して平成26年3月末までの予定で実施してきたが、現状の進捗状況を鑑み、最終化
までにはもう一段の調整が必要なことから、開発期間を平成27年6月末まで延長し
た。
(e) 調和CSR対応直接強度計算ソフト検証研究
平成25年4月に公開されたIACS(国際船級協会連合)によるバルクキャリアと
油タンカーの調和CSR(共通構造規則)の第2次草案をベースに、会員各社が平
成25年度上半期に検証作業を行い、その結果を分析し、鋼材重量増加等、造船業
界の懸念事項の是正を直接IACSに申し入れた。その後、12月のIACS理事
会にて、関連業界からの多様な意見を踏まえた形で調和CSRが採択された。I
MOのGBS(目標指向型構造基準)適用日より1年前の平成27年7月1日以降の建
造契約船に適用される。
平成25年度下半期は、NK直接強度解析ソフトの評価を行い、問題点等を取りま
とめた報告書を日本海事協会に提出した。
(f)スマートナビゲーションシステム研究会
日本舶用工業会が主宰し実施した、舶用メーカー・造船所・船社・船級・研究機
-18-
関をメンバーとする「環境への全体最適を狙ったスマートシップ研究会」での成
果を踏まえ、平成25年より船内情報統合化と活用のための「スマートナビゲーシ
ョンシステム研究会」が発足した。本会はオブザーバーとして参加し、所要の協
力を行った。
(g)将来の生産技術のあり方の検討
本会生産部会での検討を踏まえ、日本船舶技術研究協会内に「モニタリング技術
検討委員会」並びに「レーザー溶接技術検討委員会」を設け、新技術を船舶建造
船工程に積極的に取り入れ、次世代の船舶建造技術の基盤を築くべく研究を実施
し、平成26年3月の生産部会で報告を行った。次年度は、これまでの成果を踏まえ
レーザーアークハイブリッド溶接の応用研究を実施する。
また、日本船舶海洋工学会の「建造革新研究会」で行ったJSQSの改定に向け
た調査結果を踏まえ、平成25年11月のシンポジウムにて差別化の観点からの取り
組み課題について講演を行った。
(h)研究開発基金を利用した研究開発
本会に返還されたJRTT(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)出資金を活用し、
会員の研究開発事業の一助とすべく基金利用に係わるスキームを構築した。本年
度は2件の開発申請、住友重機械エンジニアリングと大島造船所共同の「省エネ付
加物まわりの流れの研究」およびJMUを主幹事とする「新型高精度大型模型船
用2重反転プロペラ動力計の開発研究」があり、本会技術委員会にて実施を承諾し
た。
②海洋基本計画への対応(技術課題)
海洋資源開発および海洋再生可能エネルギー研究開発に対する会員各社の意向の
聞き取り、並びに海外事例の調査等を行った。それら一連の基礎資料を踏まえた
上で、海事振興連盟総会への意見具申や、内閣官房総合海洋政策本部に設置の新
海洋産業振興創出PTによる政策議論に際し、傘下の各WG等に参加して業界意
見の反映に努めた。
具体的プロジェクトが一足先に進んでいる洋上風車関連では、国土交通省主宰の
「浮体式洋上風力発電施設の安全性検討委員会」、また、日本船舶技術研究協会内
に設置の産官学委員から構成される「洋上風車作業船SWG」でのISO規格策
定作業に参加し、意見の反映に努めた。
-19-
③造船技術者社会人教育への支援
本会は、日本中小型造船工業会、日本船舶海洋工学会と共同で、わが国造船業に
おける若手技術者の技術力向上を図ることを目的として、平成13年4月より「造船
技術者 社会人教育」を推進しており、平成25年度は、平成25年3月30日に大阪大
学で、第13回「造船技術者 社会人教育」を開講した。
例年同様、3日間の集中講義と6ヶ月間のEメールによる通信教育が行われ、平成
25年9月28日に成功裡に終了した。
基礎コース(10コース)と中堅コース(2コース)の計12コースから構成される本
講座には、造船会社30社233名、海運会社、船級協会等をはじめとしたその他の関
係者74名の総勢307名の受講生が参加し、累積受講修了者数は2,887名となった。
今回は以前から講座開設の要望が強かった「機関艤装」に特化したコースを7名の
専門家を講師に迎えて新設し、35名が受講した。
本会は、本教育事業を運営する「造船技術者社会人教育センター(平成20年4月発
足)」の事務処理等、事業が円滑に推進されるよう協力を行った。
④造船学術研究推進機構への支援
本機構は、平成5年2月、
「大学における船舶・海洋関連の学術的基礎研究活動の活
性化及び多くの優れた人材のこれら研究分野への積極的参加」を支援するため、
本会会員により設立、全国の国公私立大学の関係学部及び大学院、高専を対象に
研究テーマの募集を行い助成金を交付している。平成25年度においては、18大学3
高専から53件の応募が寄せられ、審査を行った結果、そのうち20件を選定し、総
額1,650万円の研究助成金を交付した。
過去21年間では、累計964件の応募のうち328件に総額3億7,565万円の助成金を交
付している。
本会は、同機構の運営及び事務処理等、事業が円滑に推進されるよう支援を行っ
た。
⑤関西海事アライアンス講義への支援
関西3大学(大阪大、大阪府立大、神戸大)大学院の連携授業「関西海事教育ア
ライアンス」は、平成20年に開講され、平成25年度も会員会社の専門家による「造
船産業技術特論」講義を通じて協力を行った。平成25年度に本講義を履修した学
生は43名(大阪大学25名、大阪府立大学14名、神戸大学4名)で、5年間の累積履
-20-
修者数は259名となった。
⑥オープンキャンパスへの参加
神戸大学海事科学部では、オープンキャンパスの一環として卒業後の進路紹介「業
界相談コーナー」を今年度より新たに企画、本会に対して参加の要請があった。
これに応え、本会は、日本船主協会、日本舶用工業会等とともにオープンキャン
パス(平成25年8月8日実施)に参加し、造船所の紹介DVDや壁新聞を用いて高
校生等若い世代の方やその保護者等に造船業の魅力をPRした。
⑦造船系8大学との交流
海洋造船系の専攻を有する8大学担当教官と本会技術委員会は、造船業界の環境技
術開発や海洋産業への展開といった最新の状況を踏まえ、若年時からの海洋産業
に関する啓蒙活動も含めた今日的な大学教育の在り方について、不定期に懇談会
を設け検討を行っている。専門教育を受けた学生の卒業後の進路問題は常に重要
なテーマとなっている。本年度は、学生へのPRの一環として初の試みとして、
造船8大学に商船系の東京海洋大と神戸大を加えた10大学の学生を対象に、シージ
ャパン2014(平成26年4月開催)の機会を利用し、学生向けセミナー、展示会見学、
企業社員との懇談会を有機的に結びつけたイベントを企画することとし開催準備
を進めた。
(2)構造規則関係及び環境関係諸問題に係わる諸対策の推進
①IMO・ISO等諸規則への対応
(a)GHG(温室効果ガス)削減への対応
平成23年7月のIMO第62回海洋環境保護委員会(MEPC62)において、技術的手
法による国際海運からのGHG排出削減のため、EEDI(エネルギー効率設計
指標)削減率とその適用時期や船舶のサイズを定めた規制パッケージが採択され
た。
GHG関連で継続審議中の諸問題に対応するため、
「性能分野WG」では、本年度
は、日本船舶技術研究協会をはじめ船級や研究所等の協力の下、LNG船EED
I、最低出力ガイドライン、海上試運転解析法実施法の改正ISO法の作成(正
式ISO規格とすべくDIS投票を実施)等を行った。改正ISO法の作成では、
ITTC(国際水槽試験機関)をはじめとする関係者への説明・根回しを積極的
に行った。また、EEDIインダストリーガイドラインへ上記の改正を反映させ
-21-
るべく海運・船級・造船等の業界団体が参加するジョイントWGに積極的に参加
し意見の具申を行った。
また、企画部と合同で設立した「EEDI合同WG」では、EEOIをベースと
した既存船の実燃費の監視・報告・検査(MRV)制度等の検討を行った。
(b)水密区画タンクテストへの対応
欧州海事安全庁(EMSA)からタンクの水張試験の省略はSOLAS条約違反
と指摘があり、非水密区画等の水張試験の要否を明確にすべく、平成24年2月のI
MO/DE56(設計設備小委員会)より検討が開始された。本件を効果的に検討す
るため、IACSの要請により船主・船級・造船から成るジョイントWG(議長・
中国造工)が平成24年11月に組織された。
本会は生産部会を中心に日本船舶技術研究協会内に設置の「水密区画検査検討会」
に参加し、各国のジョイントWGメンバーとも連携し、造船所の品質管理ガイダ
ンス案を作成して、平成26年1月のIMO/SDC1(船舶設計建造小委員会)に臨
んだが、ギリシャ等の理解を得るに至らず継続審議となり、今後は日本をコーデ
ィネーターとするCGにて検討を進めることとなった。
(c)その他の主要基準・規格への対応
ア)IMO審議関連
本会は、上記案件の他、IMO審議関連で造船設計に影響の大きい課題に対応
すべく、日本船舶技術研究協会内に設置の委員会やWG等を通じて業界意見の
発信に努めた。以下、本会が関与している主要な案件を記す。
○大気汚染防止関係
・大気汚染防止基準整備プロジェクトSG会議
NOx3次規制やブラックカーボン規制に対応。
・SOxスクラバー諸課題検討WG
○船舶設備関係
・船上揚貨装置検討会
貨物クレーン等の技術基準策定、平成26年度より正式検討会として発足
予定。
○新船種関係
・液化水素運搬船基準検討WG
世界初の試みである液体水素のばら積み輸送船の日本案取りまとめ。
-22-
○塗装関係
・船体付着係生物管理SG会議
非強制の「外来水生生物の越境移動を最小化するための船舶の生物付着
及び制御のためのガイドライン」が平成23年7月のMSC62で採択。そ
の後、強制化へ向けた動きも見られることからフォローを実施。
○その他
・FSA/GBS検討会
・防火検討会
・有害物質の閾値及び適用除外規定に関する検討WG
イ)ISO関係
上記、IMO案件の他、日本船舶技術研究協会では、積極的にISO(国際標
準化機構)での日本提案を検討している。うち、造船業に関連の深いISO関
係の委員会/分科会には本会の専門家が参画し、専門的見地からの適切な意見
の反映に努めた。以下、本会が関与している主要な案件を記す。
○環境分科会/防汚塗装WG
・
「防汚物質・防汚塗料の海洋環境リスク評価法のJIS化に関する調査研究」
報告書の取りまとめ等。
○環境分科会/船体等性能測定関係ISO規格検討WG
○洋上風力発電及び支援船に関するISO規格検討WG
○構造分科会
ウ)国土交通省関係
国土交通省からの各種の造船規則基準策定に関する意見照会に対しては、eメ
ール等を活用し、造船業界としての専門的見地からの会員会社の意見を取りま
とめ、適切に回答を行った。また、以下の国土交通省主宰の委員会に出席し適
切に対応した。
○浮体式洋上風力発電施設の安全性検討委員会
○シップリサイクル条約の批准に向けた検討会
○コンテナ運搬船安全対策検討委員会
(d)関係団体会合への参加
関係諸団体の諸会合へ参加し、規則等の動向をフォローするとともに、業界意見
-23-
の適切な反映に努めた。以下主要な団体名を記す。
「日本適合性認定協会」、「防錆協会」、「日本機械工業連合会」、「日本海事協会」、
「海技振興センター」など。
(e)IMO会合等への専門家派遣
IMO関係ではMSC(海上安全委員会)、MEPC(海洋環境保護委員会)およ
び傘下の小委員会やWG、ISO関係ではEEDI対応絡みのISO15016改正W
G等、また、IACS(国際船級協会連合)理事会との業界懇談会やJWG、N
ACE(国際防食技術者協会)会合等へ本会会員会社の専門家を派遣し、専門的
見地からの適切な意見の反映に努めた。
②環境対策に係わる情報の収集と対応策の検討
(a)VOCへの対応
平成18年4月1日、
「改正大気汚染防止法」の施行により、造船業界も揮発性有機化
合物(VOC:Volatile Organic Compounds)の排出規制の対象となっている。
このため、生産部会・VOC削減対策検討会では、法規制と自主的取り組みを併
せて、VOCの削減を目指し、平成25年度は、次の作業を行った。
ア)規制対象施設(排風量10万㎥以上の能力を有する塗装施設:排出基準値は
700ppmC)を有する本会会員会社19事業所について、年2回以上の濃度計測を
徹底するよう周知するとともに、測定結果の収集に努めた。
イ)自主的取り組みを策定する上で必要となるVOCの総排出量、塗料使用量、
塗装面積の調査、低VOC塗料の導入状況、VOCの発生源対策状況、VO
Cの後処理対策状況の調査を実施した。
ウ)代表的な低VOC塗料と従来品と比較してのVOC削減率調査
(b)労務総務委員会環境部会の活動
ア)地球温暖化対策関係
日本経団連の環境自主行動計画「温暖化対策編」に関する調査に協力し、
「2012
年度における造船業のCO 2 排出量削減概況」を取りまとめ、平成25年9月に日
本経団連に報告するとともに会員会社にフィードバックした。
平成25年以降のポスト京都議定書における新たな枠組み作りに関して、日本経
団連より低炭素社会実行計画への参加要請及び実行計画の策定要請がなされて
おり、本会は、平成22年6月に引き続き実行計画へ参加することを表明し、目標
-24-
年である平成32年度(2020年度)の目標数値等の実行計画を取りまとめていた
が、平成23年3月に発生した東日本大震災に起因する原子力発電所の稼働停止等
により将来的にCO 2 の増加が見込まれることから、目標指標・目標数値の見
直しが必須となった。
これを受け、環境部会では各社が毎年7月末を目途に政府に提出している省エネ
法に基づく「定期報告書」「中長期計画書」を分析し検討を進め、平成25年12
月開催の環境部会において造船業界の実状を反映した次期目標を策定、平成26
年2月開催の労務総務委員会に於いて承認を受けた。次期目標は「2020年のCO
2
排出量を原単位で基準年(2012年)比5%程度削減する」と定めた。
なお、低炭素社会実行計画への参加は本会と日本中小型造船工業会との共同参
加であるため、次年度は日本中小型造船工業会の会員会社へ次期目標の周知・
説明を行っていく。
イ)廃棄物対策・リサイクル関係
日本経団連の環境自主行動計画「循環型社会形成編」に関する調査に協力し、
平成25年12月に「2012年度における造船業の廃棄物最終処分量」を取りまとめ、
日本経団連に報告するとともに会員会社にフィードバックした。
本調査は第一期間(目標年度:平成22年度)が終了し、平成23年度からは第二
期間に入った。本会は次期目標として「造船所の製造段階における廃棄物のリ
サイクル率を平成27年度(2015年度)において86%程度にする」と定め、引き続
き目標達成に向け努力している。
ウ)化学物質関係
「化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)」に基づき調査された、「平成24
年度における造船業の化学物質排出量・移動量」を取りまとめ、各社の参考に
資した。
エ)条約・法律改正関係
日本経団連・環境安全委員会には、本会も委員として参加している。ここで取
り上げられたテーマのうち造船業界に関係するものについては、会員各社へ情
報提供するとともに、造船業界の意見を取りまとめ、法律改正・条約制定に反
映できるように対応している。
平成25年度は「COP19の動向」、「生物応答を利用した水環境管理手法(WE
-25-
T手法)の制度導入」、「下層溶存酸素(下層DO)及び透明度の生活環境項目
環境基準への追加検討」、「水質汚濁防止法改正に係わる地下水汚染未然防止対
策」、「土壌汚染対策法改正に係わる土地の形質変更対策」、「水銀に関する水俣
条約の制定」、
「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制対策」、
「PM2.5対策の現
状と在中国駐在員への懸念」、
「 大気汚染防止法改正に係わる石綿飛散防止対策」、
「PCB廃棄物特別措置法改正」、「地球温暖化対策税の使途拡大に反対するた
めの陳情活動」等につき適宜対応、会員各社へフィードバックした。
③トライパタイト、ASEF、NACE等、国際対応(技術関連)
(a)トライパタイト会議
トライパタイト会議は、平成14年に造船、船主、船級の3者の共通課題について意
見交換を行う場として発足した。開催地は日韓中持ち回りで毎年秋に開催してい
る。平成25年度の本会議は、10月17~18日に東京で開催した。主要議題は、海上
試運転ISO解析法の扱いを含むGHG/EEDI問題、LNG燃料船の開発を
含むNOx、SOx等の大気汚染削減問題、バラスト水条約実施に伴う諸問題、
安全・環境規則強化とその規則を満足する為に必要な開発コストとの均衡を如何
に図るか、等活発な議論が交わされた。また業界の関心の高い、調和CSR問題
については、前日16日に集中的に議論しIACSへ造船業界の懸念事項を伝えた。
(b)トライパタイトのジョイントWG
トライパタイトの専門家で深く議論すべき課題については、ジョイントWGを組
織し意見の集約を図っている。別項にも一部記載の通り、IACS議長の「GH
G/EEDI-ジョイントWG」、中国造工議長の「水密区画タンクテスト・ジョ
イ ン ト W G 」、 I A C S 議 長 の 「 S A D R (Structured Approach for the
Development of Regulations)」で議論を深めた。本会から専門家を各ジョイント
WG会合へ派遣し、造船業界の専門的知見を生かし適切な意見反映に努めた。
(c)ASEF(アジア造船技術フォーラム)への対応
平成25年11月7~8日に神戸で第7回ASEFを開催した。両日の本会合では、本会
は造船業への関わりが大きい海事関係諸規則の動向をASEFとして適切にレビ
ューすることの重要性を基調講演した他、環境や安全問題に関わる専門的な取り
組みについてはアジア各国の専門家と情報交換ができ、相互理解の醸成に努めた。
本会議の前日(11月6日)には、2つのCG(コレスポンデンス・グループ)会合
-26-
を開催した。IMOオブザーバーNGO資格取得検討CGでは、資格取得に伴う
新ASEF組織の定款案の審議を正式に開始し、平成26年2月にマレーシアで開催
した次回CGでも協議を行ったが、一部未合意事項が積み残しとなっている。シ
ップリサイクルのCGでは、有害物質インベントリ作成のための共通マニュアル
が合意に至り、最終版を12月にASEF名で発行された。
(d)関連業界団体会合への参加
IACS(国際船級協会連合)の「GPG一般政策部会」及び「理事会」におけ
る業界協議(主要トライパタイト参加団体が参加)の場へ、本会からCESS議
長並びに技術専門家の代表者を派遣し、調和共通構造規則やEEDIに関して専
門的見地からの問題点の指摘を行った。
アジアの船主団体で構成される「アジア船主フォーラム(ASF)」、及びアジア
の主要船級協会が加盟する「アジア船級協会連合(ACS)」では、総会時に、関
係者との懇談の機会があり、意見調整の場となっている。本会からもCESS(造
船関係専門委員会)およびASEF(アジア造船技術フォーラム)の一員として
参加し、関係者との意見交換を行った。
(e)NACE(国際防食技術者協会)への対応
塗装関連案件における情報交換と相互協力を目的に、本会との間で平成23年7月に
協力協定を締結した。
平成25年度は、造船業と関連の深いNACE作業部会である、TG452(バラスト
処理装置活性物質のPSPC塗膜への影響の検討)、TG461(表面粗度計測基準
の検討)、TG475(汚損状態写真判定基準の検討)へ専門家を派遣し、情報収集
と本会意見の反映に努めた。またPSPC(バラストタンク塗装基準)実施後の
不都合点等について本会会員会社へアンケートを行い、今後、同基準を見直す際
には、必要に応じてNACEと協力して進めていくこととしている。
-27-
4.労務総務委員会関係
(1)造船産業労使会議等、労働関係諸問題に係わる対策の推進
①日本基幹産業労働組合連合会(造船重機部門)との協調関係の推進
第53回造船産業労使会議は、平成25年12月4日、労使首脳が参加して開催され、
「造
船業を取り巻く諸課題」、「基幹労連の諸活動」等に関し、報告並びに意見交換が
行われた。
下部機構の労働経済調査研究委員会は、9月27日に開催され、基幹労連の活動方針、
春季労使交渉の取り組み内容、労働経済に関する最近の情勢、造船業の現況等に
ついて報告及び意見交換を行った。
また、政策懇談会(旧称「産業問題懇談会」)を2回開催し、最近の造船事情、基
幹労連の諸活動、政府への政策要望事項等について意見交換を行った。
②賃上げ・一時金・退職金・高齢者雇用対策等に関する情報交換
(a)春季交渉関係
基幹労連は、アクティブプラン2014(AP14)春季取り組みとして、傘下の各組合
が平成26年2月7日から14日にかけて要求書を提出した。
今次春季取り組みは、産業・労働政策中期ビジョンで定められた基本方針におけ
る2年毎の賃金改善の要求年となっており、基幹労連加盟各社は2014、2015各年度
でそれぞれ3,500円の賃金改善要求を行った。
年間一時金については、総合重工では、三菱重工が55万円+4ヶ月、IHIが5.4
ヶ月、三井造船が5.0ヶ月、住友重機械が5.2ヶ月、大手造船専業の住友重機械マ
リンエンジニアリングは5.0ヶ月の要求となった。川崎重工並びにジャパン マリ
ンユナイテッドは業績連動方式を採用している。
交渉の結果、平成26年3月12日より総合重工を中心に順次回答がなされ、賃金改善
については、三菱重工「2014年度:2,000円、2015:実施しない」、IHI・川崎
重工・三井造船・住友重機械「2014、2015年度それぞれ1,000円」、住重マリン「2014
年度:実施しない、2015:再度協議」、ジャパン マリンユナイテッド「2014、2015
年度ともに実施しない」となった。
年間一時金については、三菱重工「53万円+4.0ヶ月」、IHI「5.11ヶ月」、三井
造船「4.0ヶ月+特別協力金5万円」、住友重機械「4.95ヶ月」、住重マリン「3.75
ヶ月」となった。
中手専業各社の賃金改善については、尾道造船「2014、2015年度それぞれ1,000
円」、名村造船所・サノヤス造船「2014年度:1,000円、2015:実施しない」、佐世
-28-
保重工・内海造船「2014年度:実施しない、2015:再協議」、大島造船所・新来島
豊橋造船・函館どつく「2014、2015年度ともに実施しない」となった。
一時金の回答状況は、大島造船所「33万円+4ヶ月(要求40万円+4ヶ月)」、名村
造船所「5.5ヶ月(要求50万円+4ヶ月)」、サノヤス造船「15万円+4ヶ月(要求40
万円+4ヶ月)」、佐世保重工「85万円+生産協力金5万円(要求40万円+4ヶ月)」、
尾道造船「25.5万円+4ヶ月(要求40万円+4ヶ月)」、新来島豊橋造船「2ヶ月+α
(要求5ヶ月)、内海造船「1ヶ月(要求5ヶ月)」、函館どつく「90万円(要求40万
円+4ヶ月)」となった。
(b)労務関係
本会は、基幹労連「アクティブプラン」の交渉の背景となる一般経済情勢及び他
産別の動向等の調査を行うとともに、会員会社の賃金、一時金、労働時間等労働
諸条件、高齢者・障害者雇用対策等の実態について定期的な情報交換を行った。
③労働関係諸法規等に関する情報交換
本会は、労働関係情報の収集に努め、労働行政の動向を把握し、問題点の検討を
行った。
福利厚生関係では、「造船業における福利厚生の実態調査(制度編)」を取りまと
め、会員会社の参考に供した。
④安全衛生労使合同対策の推進(日本基幹産業労働組合連合会(造船重機部門)
との連携事業)
造船産業労使会議の下部機構である安全衛生推進専門委員会は、(a)本会及び基幹
労連の安全衛生活動、(b)安全衛生対策強化月間(平成25年7月及び平成26年2月)
の実施要綱、(c)全国造船安全衛生対策推進本部(全船安)の活動状況、(d)平成
26年度事業計画等について、報告・審議を行うとともに、平成25年7月には、労使
合同による安全衛生点検を以下2事業所において実施した。
・7月4日: 三菱重工業 横浜製作所
・7月5日 :ジャパン マリンユナイテッド 横浜事業所 鶴見工場
(2)安全衛生対策の推進
①安全衛生対策の推進強化(労働災害防止強化対策「アクションプラン」の推進)
安全衛生部会は、平成25年の安全管理目標を休業災害度数率0.70未満、強度率0.20
-29-
以下と設定し、安全衛生管理体制の強化、重大災害の根絶及び類似災害の防止対
策の徹底等、重点推進項目を掲げ、諸施策を実施した。
平成25年度は「安全総点検Year2013」を重点活動テーマの一つとして、各事
業所に安全総点検を要請し、安全衛生計画や安全点検要領等を改善するとともに、
パトロールの質の向上と回数の増加により更なる安全対策の充実を図った。
また、会員事業所の要望に応じ、特別安全点検団等の協力を得て、①現場の安全
診断とアドバイス、②安全衛生教育、③経営層を含む事業所幹部との合同安全点
検の実施等所要の支援を行った。
平成25年の本会会員造船所全体の安全成績は大幅に改善し、目標のクリアのみな
らず、過去最良の結果となった。休業災害発生件数は78件(対前年比31件減)、こ
のうち死亡災害は2件(同8件減)、休業災害度数率は0.60 (前年実績0.77)、強度
率0.14(同0.59)であった。
労働災害防止強化対策「アクションプラン」に基づく主な活動は以下のとおりで
ある。
(a)安全情報の経営トップへのタイムリーな提供
本会理事会・正副会長会議において、
「安全衛生事情」を議題に取り上げ、各社別
安全成績を示し、引き続き、経営トップの災害防止への意識高揚に努めた。
(b)安全の専門家による安全衛生特別点検の実施
死亡災害が発生した事業所において、昨年度に引き続き、安全プロ集団による安
全衛生特別点検を実施した。平成25年度は2事業所の特別点検を行った。
(c)安全対策の基盤整備及び有用な情報の提供
造船所における最近の災害事例を見ると、過去に発生した類似災害がかなりの部
分を占めており、平成25年度は、こうした類似災害を防止することを目的に、実
際に造船所で発生した災害の事例集「教育啓発用災害事例シート」を作成した。
本事例集の作成にあたっては、造船所での過去の重大災害(死亡災害)の事例100
件を抽出、調査、分析し、1件/1シート毎に災害発生状況、原因、防止対策等を
分かりやすく記載した。シートの裏面には、補足・解説等の有用な参考情報を加
えた。本事例集は、多くの造船関係者が広く利用できるよう、写真やイラストを
有効に活用し、造船所や協力会社の安全担当者が作業員向けの教育に利用でき、
かつ、作業現場への掲示も可能なものとした。
-30-
今年度は、昨年度に続き、全国造船安全衛生対策推進本部(全船安)が厚生労働
省より委託を受けた「墜落・転落災害等防止対策推進事業(造船業)」の一つとし
て本事例集の作成が進められ、本会安全衛生部会幹事会は事例集作成の監修にあ
たった。
②安全衛生関係セミナー・研修会の開催等
(a)建設業(現地工事)の安全管理体制の視察
造船業と同様、特定元方事業に指定されている建設業では、近年、統括安全衛生
管理をはじめとする安全衛生対策や管理体制が大きな進展を見せており、建設等
他業種の先進的な取り組みを造船業の安全管理の参考とすべく、下記2箇所の現地
工事の現場視察を実施した。
・12 月 17 日
大分共同発電所 火力発電設備建設工事(三菱重工)
・12 月 18 日
JPOWER磯子火力発電所 定期検査・補修工事(IHI)
両現場とも、関係請負人を含む全ての作業者の安全に対する安全意識の高さがう
かがわれ、また、内容の濃い朝礼や教育をはじめ、高いレベルの現場管理が行わ
れており、造船業にとって大いに参考になるものであった。
視察終了後の質疑応答では、建設・造船双方に共通する安全管理の課題や対策、
その取り組み状況等について活発な意見交換が行われた。
(b)安全衛生対策強化月間
平成25年7月及び平成26年2月を「安全衛生対策強化月間」に設定し、安全衛生ポ
スター(安全衛生スローガン標記)を作成し、会員事業所に配布して、安全衛生
対策推進についての啓発を図った。
(c)安全衛生表彰
本会は、毎年、安全衛生管理目標を達成した事業所並びに一定の安全成績を収め
た事業所に対し、表彰を行っている。
平成25年度は、安全優秀賞に7事業所、安全優良賞に10事業所を選定し、平成26
年2月の安全衛生部会で表彰した。
また、永年に亘り安全衛生活動・実務に精励した方を称えるために、事業所から
推薦のあった以下6名を安全衛生功労者として表彰した。
・新道
裕慶氏(ジャパン マリンユナイテッド 舞鶴事業所)
・山崎
文博氏(株式会社新来島広島どっく)
-31-
・矢野
満氏(株式会社新来島波止浜どっく)
・氏家
浩一氏(多度津造船株式会社)
・格口
康信氏(函館どつく株式会社
・藤本
克巳氏(ジャパン マリンユナイテッド株式会社
函館造船所)
技術研究所)
③労働安全衛生情報の提供
本会ホームページの「労働安全衛生コーナー」を活用し、随時、安全関係統計
や労働災害防止に資する資料集を掲載した。
④全国造船安全衛生対策推進本部(全船安)に対する支援
本会、日本中小型造船工業会、日本造船協力事業者団体連合会で構成されている
全船安は、
「船舶製造又は修理業」の労災保険の収支改善に向けて、全国の造船所
において安全相互点検をはじめとする安全衛生推進活動を展開している。
平成25年の全船安傘下事業所約3,600社の休業災害件数は、過去最少の210件とな
り、休業災害度数率は1.23(前年実績1.44)と過去最良値となった。強度率は0.39
(同0.60)、死亡災害は7件で前年より6件減少した。
本会は、安全衛生関係行政の動向に関する情報提供等、随時、全船安の諸活動を
支援した。
(a)厚生労働省委託事業の受託と支援
厚生労働省は、平成23年度から労災保険特別会計を活用して「墜落・転落災害等防
止対策推進事業(造船業)」に係わる予算を計上し、墜落・転落災害防止対策の推
進をはじめ、造船業界および各企業の安全衛生対策の基盤づくりを目的とする事
業を推進している。
平成25年度の当該事業は昨年度に続き、全船安が受託し、本会は委託事業の受託
に向け、企画提案書の作成、入札に係わる実務、委託者との諸調整等の任に当た
り、受託した以下3件の事業推進をリードしつつ、全面的なサポートを行った。
・統括安全衛生責任者等に対する教育研修会の実施
・リスクアセスメント実務者に対する教育研修会の実施
・教育啓発用災害事例シートの作成
なお、25年度の委託契約額は11,738,237円であり、今年度が3年計画である同事業
の最終年度にあたる。
本会は、研修事業における講師の派遣、研修テキストの作成、研修会の運営等に
-32-
係わる協力を行った。
また、災害事例シートの作成にあたっては、
「教育啓発用災害事例シート検討委員
会」を開催して、客観性に配慮しつつ作業を進め、成果物を全国の造船所、厚生
労働省及び関係機関に配布した。
(b)統括安全衛生責任者研修会
本研修会は、平成21年度からスタートし、業界の重点事業として取り組んできた。
平成25年度も厚生労働省の委託事業を受け、国土交通省海事局の協力のもと、全
船安並びに各地方運輸局の共催として全国6ブロックの会場(福岡、神戸、広島、
今治、横浜、名古屋)で開催され、合計142名が受講した。研修会では、製造・修
繕部長クラスや統括管理に携わる参加者に対し、混在作業が多い造船現場での統
括安全衛生管理の重要性と連絡調整の不徹底による災害防止を訴えた。
本研修会の受講者数は、過去5年間の累計で753名となった。
(c)リスクアセスメント実務者研修会(安全衛生スタッフ教育実習)
造船業においては、リスクアセスメントの取り組みが行われていても、適切なシ
ステム評価がなされている事業所は多くはなく、また、小規模事業所では、安全
専任スタッフが不在もしくは不足している状況にある。更に、造船業では安全衛
生スタッフの世代交代の進展といった背景もあり、全船安では安全衛生実務者向
けの研修会(安全衛生スタッフ教育実習)を23年度から開始した。
平成25年度も厚生労働省の委託事業として実施し、リスクアセスメント実務のみ
ならず、関係法令や統括・総括安全衛生管理体制、KY、4S等の講義もカリキュ
ラムに加え、更に現場実習をも取り入れ、より現場の実態に則した研修内容とし
た。
平成25年度は、当初計画していた函館、横浜、尾道、新潟、長崎、豊橋、佐伯(大
分)、大西(今治)の8カ所に加え、東北地区からの要請を受け、宮城・石巻会場
においても開催された。計9会場287名の安全衛生関係者が参加して、リスクアセ
スメントをはじめとする安全衛生実務への理解を深めた。
本研修会の受講者数は、23年度から3年間の累計で836名となった。
(3)造船業界に係わるPR活動の推進
①造船関係資料・パンフレットなどPR資料の作成
「造船関係資料」を年2回(平成25年9月、平成26年3月)、和文版と英文版を発行
-33-
し、マスコミをはじめ広く一般へ提供した。また、正確かつ迅速に最新の造船業
の実情を理解してもらうべく、本会のホームページにも掲載し、啓蒙に努めた。
②会長記者会見、会長インタビューなどパブリシティ活動の推進
本会は、定例の会長記者会見を、平成25年4月、6月、9月、12月、平成26年3月に
業界紙及び一般紙を対象として開催した。会見では新造船の受注量統計等を基に
国内外の造船・海運関連の動きを中心に「最近の造船マーケット」を説明すると
ともに、必要に応じ、
「JECKU会議の開催」等、造船業界における主要な出来
事を説明した。
内外のマスコミ、研究機関、金融機関、調査機関、企業等からの問い合わせに対
し、本会で作成した「造船関係資料」等をベースに、造船業の置かれた現状・問
題点、将来の見通し等について説明した。
③オスロ国際海事展への参加
平成25年6月にノルウェーのオスロで開催された「Nor-Shipping 2013」国際海事
展に日本船舶輸出組合と共同で出展参加した。
(4)税制改正要望活動等の推進
①税制改正要望項目の取りまとめ及び要望活動の推進
本会は、国土交通省や他の業界団体と連携を密にしながら、造船業界に関係の深
い税制に係わる要望活動を展開した。財務部会において、
「法人税等の実効税率の
更なる軽減」、
「研究開発税制の更なる拡充」
「日本政府の日本再興戦略(成長戦略)
に基づく税制措置」「地方税全体の整理・統合」等を重点項目とした平成26年度税
制改正要望事項を取りまとめ、平成25年9月の書面による理事会決議で本会要望事
項を決定、平成25年11月に自民党をはじめとする関係方面へ要望を行った。
平成25年12月、政府は平成26年度税制改正大綱を決定したが、本会の重点要望事
項に関しては次の通りの結果となった。
(a) 法人税等の実効税率の更なる軽減
政府の税制改正大綱の「基本的な考え方」において、わが国経済の競争力の向上、
法人実効税率を引き下げる環境作りの重要性、法人実効税率引き下げと企業行動
の関係などを踏まえつつ検討を進める旨が明記された。
-34-
(b) 研究開発税制の更なる拡充
研究開発税制(増加型)の控除割合を増加割合に応じて拡充(5%→最大30%)。
研究開発促進税制については、総額型の控除上限額を2年間の時限措置(平成26
年度末まで)として、法人税額の20%から30%に引き上げるとともに、特別試験
研究費(控除率12%)の範囲に一定の企業間の共同研究費を追加。
(c)日本政府の日本再興戦略(成長戦略)に基づく税制措置
ア)投資減税
生産性向上設備等投資促進税制を新設し、生産性向上設備投資について即時償却
又は5%の税額控除。
また、償却資産に係わる固定資産税の見直しに関し、大綱の検討事項に「新たな
投資による地域経済の活性化の効果、市町村財政への配慮、実務上の問題点等幅
広い観点から、引き続き検討する」旨、初めて記載・位置付けられた。
イ)事業再編の円滑化に資する税制措置
事業再編を促進するための税制措置を新設し、事業の切り出し・統合を行う企業
に対して、出融資額の7割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入を認める。
(d) 地方税全体の整理・統合
消費税率8%の段階において、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小
を図るため、法人住民税法人税割の一部を国税化して、新たに「地方法人税(仮
称)」を創設し、その税収全額を地方交付税原資とする。また、平成20年度改正に
おいて、臨時の措置として導入されている「地方法人特別税・譲与税」について
は、1/3の規模を法人事業税に復元する。
②経理問題・資金問題に関する情報交換
本会は、会員各社が発表する「平成25年3月期末決算」及び「平成26年3月期中間
決算」について情報交換を行った。平成25年12月には経理情報交換会を開催し、
IFRS(International Financial Reporting Standards〔国際財務報告基準〕)
への対応状況をはじめ、各社の会計方針及び経理処理、会計監査への対応等に関
して幅広く情報交換を行った。
(5)法規株式関係対策の推進
法規・株式小委員会は、会員会社の株主総会運営の充実化・効率化を図るため、
-35-
平成25年7月、平成26年2月に会議を開催し、各社の定時株主総会のスケジュール・
運営・総会関連資料等について情報・意見交換を行った。
5.中手造船委員会関係
(1)中手造船対策の推進
①中手造船業に係わる経営基盤の整備、関連諸施策の推進
適宜、本委員会を開催し、中手造船業特有の諸問題や海事展についての意見交換
を行った。
本委員会の下部機構である「中手造船委員会産業戦略会議」においては、実務レ
ベルでの情報交換を積極的に進めた。
②中手造船業に関連する諸統計資料の整備
海運市況、造船市況及び韓国等主要の造船国の現状に関する資料を作成して、中
手各社の業務の参考に供した。
6.その他
(1)事務連絡組織関係
本会には、常設委員会関係の他に、総務関係事項等を検討する組織として、総務
部長会議が設けられており、必要に応じ会議を開催し、当面する総務関係諸問題
の処理について、情報・意見交換を行った。
-36-
会
員
名
簿
法人会員: 17社
会
(平成26年3月31日現在)
社
名
指 定 代 表 者
㈱IHI
会
長
釡
今治造船㈱
社
長
檜
㈱大島造船所
代
表
南
尾道造船㈱
社
長
中
部
隆
川崎重工業㈱
社
長
村
山
滋
佐世保重工業㈱
会
長
寺
岡
サノヤス造船㈱
社
長
上
田
ジャパン マリンユナイテッド㈱
会
長
蔵
原
㈱新来島どっく
社
長
門
田
㈱新来島豊橋造船
社
長
由
利
憲
治
住友重機械工業㈱
相
役
日
納
義
郎
常石造船㈱
社
長
川
本
隆
夫
内海造船㈱
社
長
森
弘
行
㈱名村造船所
社
長
名
村
建
介
函館どつく㈱
社
長
野
口
忠
雄
三井造船㈱
会
長
加
藤
泰
彦
三菱重工業㈱
相
談
役
佃
和
夫
会
長
談
垣
和
明
幸
人
尚
一
憲
孝
成
実
尚
団体会員 1
(一社)日本中小型造船工業会
檜
垣
清
隆
準 会 員 0
(本事業年度内の指定代表者の変更)
佐世保重工業㈱
森島英一
→寺岡一憲
(平成25年6月18日)
川崎重工業㈱
長谷川聰
→村山
滋
(平成25年7月24日)
㈱名村造船所
名村建彦
→名村建介
(平成25年7月24日)
幸陽船渠㈱(今治造船㈱と経営統合)
檜垣俊幸
→退任
(平成26年1月31日)
-37-
役
理事: 19名
会
長
員
名
簿
監事: 2名
理
事
(平成26年3月31日現在)
佃
和
夫
三菱重工業㈱
副 会 長
同
日
納
義
郎
住友重機械工業㈱
同
同
加
藤
泰
彦
三井造船㈱
同
同
釡
和
明
㈱IHI
同
同
村
山
滋
川崎重工業㈱
同
同
檜
垣
人
今治造船㈱
同
同
門
田
尚
㈱新来島どっく
専務理事
同
木
内
大
助
学識経験者
常務理事
同
桐
明
公
男
学識経験者
同
南
尚
㈱大島造船所
同
中
部
隆
尾道造船㈱
同
寺
岡
憲
佐世保重工業㈱
同
上
田
孝
サノヤス造船㈱
同
蔵
原
成
実
ジャパン マリンユナイテッド㈱
同
由
利
憲
治
㈱新来島豊橋造船
同
川
本
隆
夫
常石造船㈱
同
森
弘
行
内海造船㈱
同
名
村
建
介
㈱名村造船所
同
野
口
忠
雄
函館どつく㈱
小笠原
利
之
学識経験者
小葉竹
泰
則
学識経験者
監
事
同
幸
一
(本事業年度内の役員の異動)
聰(川崎重工業)
(平成25年6月18日退任)
森島
英一(佐世保重工業)
(平成25年6月18日退任)
事
寺岡
一憲(佐世保重工業)
(平成25年6月18日就任)
理
事
村山
滋(川崎重工業)
(平成25年7月24日就任)
理
事
名村
建彦(名村造船所)
(平成25年7月24日退任)
理
事
名村
建介(名村造船所)
(平成25年7月24日就任)
理
事
檜垣
俊幸(幸陽船渠)
(平成26年1月31日退任)
理
事
長谷川
理
事
理
-38-
相談役・顧問名簿
相談役: 8名
(平成26年3月31日現在)
茂
平成5年6月16日~平成7年6月22日
本会会長
弘
平成7年6月22日~平成9年6月19日
(同)
川
賢太郎
平成9年6月19日~平成11年6月15日
(同)
岡
野
利
道
平成13年6月19日~平成15年6月17日
(同)
伊
藤
源
嗣
平成15年6月17日~平成17年6月21日
(同)
西
岡
喬
平成17年6月21日~平成19年6月19日
(同)
田
﨑
雅
元
平成19年6月19日~平成21年6月16日
(同)
元
山
登
雄
平成21年6月16日~平成23年6月21日
(同)
合
田
藤
井
義
相
顧問:なし
-39-
一般社団法人 日本造船工業会 組織図
(平成26年3月31日現在)
会
事
理
担
( 当副会長
加藤
労務総務委員会
委員長
髙石
泰彦
祐次
)
)
住(重・取締役専務執行役員 )
隆樹
久和
三
( 井・常務取締役
山本
水谷
副委員長
同
岩本
南
京平
尚
尚
大
( 島・代表
尚
)
新
( 来島・社長
)
)
)
)
(川重・取締役副社長)
松岡
)
I
( HI・取締役常務執行役員
宏
三
( 菱・取締役常務執行役員
同
同
同
大
( 島・代表
幸人
檜垣
担
( 当副会長
幸人
南
門田
今
( 治・社長
中手造船委員会
委員長
檜垣
副委員長
同
注
( 社
) 名略称
)
労務部会
部会長
部会長
秀朗
三
( 菱・人事部長
栁井
亮一
毅
三
( 菱・広報部長
中山 明彦
)
)
J
( MU・取締役副社長
清水
安全衛生部会
広報部会
部会長
高橋
)
)
)
I
( HI・CSR推進部環境グループ部長
環境部会
部会長
信
一郎
I
( HI・取締役常務執行役員
寺井
川
( 重・法務部長
北村
法規・株式部会
部会長
財務部会
部会長
①JMU…ジャパン マリンユナイテッド
②SHIME…住友重機械マリンエンジニアリング
)
-40-
会
総
正 副 会 長 会 議
釡
加藤
日納
佃
和明
泰彦
義郎
和夫
長
同
副会長
会
同
村山
同
門田
檜垣
尚
幸人
滋
同
同
事務局長
)
公男
事
( 務局組織
桐明
企画部
部
( 長 寺門
総務部
部
( 長 中川
祐二
雅史
能文
)
)
)
義郎
州史
技術部
部
( 長 山口
担
( 当副会長 日納
橋本
企画委員会
委員長
太田垣
村上
彰男
和幸
)
)
)
今
( 治・専務取締役
滋
典久
)
)
J
( MU・取締役副社長
由夫
三
( 菱・執行役員
副委員長
同
檜垣
川
( 重・常務取締役
同
福田
担
( 当副会長 村山
委員長
技術委員会
宮脇
伸賢
知幸
S
( HIME・社長
山﨑
)
)
)
三
( 井・取締役船舶・艦艇事業本部長
副委員長
同
名
( 村・取締役常務執行役員
)
企画部会
土屋
尚
天野
)
隆史
三
( 菱・船舶・海洋営業部次長
部会長
委員長
需給小委員会
マーケティンググループ部長代理
三
( 菱・事業戦略室
)
宗晴
シップリサイクル小委員会
豊田
J
( MU・技監
委員長
隆
外国人活用問題検討会
)
中部
尾
( 道・社長
委員長
庸滋
企画グループ参与
)
)
海洋プロジェクト営業部課長
洋
策
J
( MU・企画管理本部経営企画部
岩本
三
( 井・輸出船・LNG船・
大野
メガフロート連絡会
部会長
業務部会
部会長
国際部会
艦艇部会
上加世田
J
( MU・常務執行役員
毅彦
三郎
護
)
J
( M U ・横 浜 事 業 所 磯 子 工 場 艦 船 工 作 部 長
伊藤
)
)
)
兼設計管理グループグループリーダー)
(SHIME・製造本部設計部主席技師
河地
三
( 井・取締役船舶・艦艇事業本部副事業本部長
坪川
部会長
幹事長
技術幹事会
部会長
設計部会
生産部会
部会長
-41-