頸部聴診法について

2011/9/16
各種スクリーニングテスト
頸部聴診法について
白石共立病院 言語聴覚士
西村 香織
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反復唾液嚥下テスト(RSST)
水飲みテスト、改訂水飲みテスト(MWST)
フードテスト(FT)
咳テスト
嚥下前 後レントゲン撮影(S XP)
嚥下前・後レントゲン撮影(SwXP)
頸部聴診法
気管支聴診
酸素飽和度測定
Evan’s blue dye test, modified Evan’s blue dye
test
頸部聴診法とは
頸部聴診法の特徴
z頸部聴診法(cervical auscultation)は、
z非侵襲的に嚥下状態を判定する
スクリーニング法
zフードテストや直接訓練に併用すると
食塊を嚥下する際に咽頭部で生じる嚥下音
嚥下音
ならびに嚥下前後の呼吸音
嚥 前
呼吸音を頸部より聴診し、
吸音 頸部
聴
、
嚥下音の性状や長さ及び呼吸音の性状や発
生するタイミングを聴取して、おもに咽頭期に
おける嚥下障害を判定する方法
検査の判定精度↑ より安全に訓練が施行できる
検査の判定精度↑、より安全に訓練が施行できる
現状では
摂食時に摂食・嚥下障害をスクリーニングする
手段としては最も実用的
★ 評価に聴き落とし、聴き誤りがないことが前提
聴診器の大きさ
頸部聴診に用いる器具
聴診器
成人用
小児用
バイノーラル
•イヤーピース
(イヤーチップ)
•イヤーチューブ
•チューブ
チ
ブ
チェストピース
•ベル
•膜
頸部は狭いため、接触子が大きな聴診器よりも
乳幼児用聴診器など小型のもののほうが扱いは容易
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聴診器の種類
膜型とベル型の違い
膜 型
膜型・ベル型 分離型
ベル型
特
徴
・高音成分の聴取に適している
・全ての成分を聴取できるが、特に低音成分の
聴取に用いる
方 ・膜型は、聴診器の枠の痕が皮膚に数秒
残るくらいに圧迫して膜と皮膚がこすれる
法 のを防いで聴く
膜型・ベル型 一体型
電子聴診器
・ベル型を強く押しつけると皮膚が膜の働きをし
てしまい低音成分が減弱してしまうため、膜型
よりも皮膚に対してやわらかく密着させる
頸部聴診においてはどちらの接触子も用いても診断は行える
聴診器のつけ方
聴診器のつけ方
イヤーピースが前をむくように
聴診器を持つ
イヤーピースを耳に入れ
ぶらさげる
チェストピースとチューブを持ち、
自分にとって一番聴こえやすい
角度になるように調節する
聴診に際しての注意点
z 聴診をする前に、患者さんに聴診器
で身体の中の音を聴くことを説明
する。
z 患者さんにあてる前に聴診器が冷
たくないか触って確認し、冷たいとき
は手で温める。
は手で温める
z 患者さんに「聴診器がもし冷たかっ
たら、そうおっしゃってください」と
言う。
z 咳や痰がある患者さんの座位での聴診を正面から行
うと、検者にそれがかかってしまい衛生的でない。こ
の場合、検者は患者さんの横に座って聴診を行うと
よい。
❢ 注意
イヤーピースを間違った方向に入れると外耳孔にしっかり密着させる
ことができず、音もよく聴取できなくなる。また外部雑音の遮断も
不十分となる。
頸部聴診に用いる器具
音響信号検出機器と録音機器
z 加速度ピックアップ
z 小型マイクロフォン
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頸部聴診に用いる器具
頸部聴診に用いる器具
音響信号検出機器と録音機器
音響信号検出機器と録音機器
z 加速度ピックアップ
・設置した部位の振動を検出
・周囲の騒音の影響を
周囲 騒音 影響を
ほとんど受けない
・輪状軟骨直下気管外側上
の皮膚面に設置
z 小型マイクロフォン
・聴診器のイヤーピースに挿入
頸部聴診に用いる器具
頸部聴診に用いる試料
音響信号検出機器と録音機器
嚥下試料
z 電子聴診器
・音響信号検出機能、周波数レンジ選択機能
および録音機能を有する
事前に
①嚥下しやすい食物と嚥下しにくい食物の種類
②一口量
③食事形態
④水分と栄養の過不足
⑤嗜好
などを把握しておく
口腔内あるいは咽頭部において試料の位置を認知しやすい
嚥下反射が誘発されやすい冷たい刺激
例)小さな氷砕片
冷やした小量のゼリー
小量(1ml程度)の氷水
頸部聴診の手技
頸部聴診の実際
指示に従える患者の場合
嚥下音検出の最適部位
①甲状軟骨
②輪状軟骨
輪状軟骨直下気管外側上の皮膚面
指示に従えない患者の場合
①口腔清掃
①口腔清掃
②ハッフイング、強い咳嗽による貯留物
排出ある
吸引
の排出あるいは吸引
②貯留物の吸引
③発声を伴わないほぼ一定した
強さの呼気再生(呼気音の聴取)
③自発呼吸
(呼吸音の聴取)
④試料の嚥下(嚥下音の聴取)
④試料の嚥下
(嚥下音の聴取)
⑤呼気の産生(呼気音の聴取:
⑤自発呼吸(呼吸音の聴取:
③の呼気音との相違を判定
③の呼吸音との相違を判定
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頸部聴診の手技
頸部聴診の手技
指示に従える患者の場合
z検査試料
z一口量
z嚥下法
z姿勢調整法 など
①口腔清掃
②ハッフイング、強い咳嗽による貯留物
排出ある
吸引
の排出あるいは吸引
自力での排出が困難な場合
→吸引
③発声を伴わないほぼ一定した
強さの呼気再生(呼気音の聴取)
呼気音が湿性の場合は排出や吸引を
繰り返す
適応しながら繰り返す
試料嚥下後に誤嚥が疑われた場合
④試料の嚥下(嚥下音の聴取)
⑤呼気の産生(呼気音の聴取:
咳嗽などの排出行為を行う前に
③の呼気音との相違を判定
頸部聴診による嚥下音の判定
嚥 下 音
長い嚥下音
弱い嚥下音
複数回の嚥下音
泡立ち音
むせに伴う喀出音
嚥下音の合間の呼吸音
ただちに検査を中止
中止、速やかに排出、吸引処置
頸部聴診による呼吸音の判定
判 定
舌による送り込みの障害
咽頭収縮の減弱
喉頭挙上障害
食道入口部の弛緩障害
誤 嚥
呼吸・嚥下パターンの失調
喉頭浸入
誤嚥
頸部聴診を行うに際しての留意
z 聴診器の接触子により嚥下時の喉頭運動を
妨げない
z 聴診中に患者さんの表情・姿勢・喉頭運動など
を観察する
z 代償法、機能賦活法の効果を確認する
呼吸音(呼気音)
湿性音
嗽音
液体の振動音
むせに伴う喀出音
喘鳴様呼吸音
判 定
咽頭部の貯留
喉頭浸入
誤嚥
誤 嚥
排出・吸引後の呼吸音と比較する
正常嚥下音・呼吸音
聴覚的特徴
z 力強く短い嚥下音
z 荒さのないほぼ一定した
クリア な呼気音
クリアーな呼気音
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正常嚥下音・呼吸音
梨上陥凹部貯留時の嚥下音・呼吸音
聴覚的特徴
z 複数回の泡立ち音
z 荒い呼吸音、喘鳴様
呼吸音
z 複数回の嚥下音と
その合間の呼吸音
z 呼気に伴う液体振動音
聴覚的特徴
z 明瞭な短い嚥下音
z 荒さのないクリアーな
呼気音
喉頭侵入時の嚥下音・呼吸音
誤嚥時の嚥下音・呼吸音
聴覚的特徴
z 複数回の弱い不明瞭
な嚥下音
z 弱い喀出音
z 呼気・吸気に伴う
液体振動音
z 呼気のつかえ
聴覚的特徴
z 弱い喀出音
z 嚥下音に伴う泡立ち音
z 呼気に伴う液体振動音
頸部聴診を行うに際しての留意
頸部聴診を行うに際しての留意
zトレーニングが必要
zトレーニングが必要
例)・VFと同期した嚥下音を聴取
例)複数が同時に聴取できる特殊な聴診器
を用いる
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各種スクリーニングテスト
まずは・・・
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9.
「湿ったガラガラ声」=湿性嗄声 を聴診
反復唾液嚥下テスト(RSST)
水飲みテスト、改訂水飲みテスト(MWST)
フードテスト(FT)
咳テスト
嚥下前 後レントゲン撮影(S XP)
嚥下前・後レントゲン撮影(SwXP)
頸部聴診法
評価に聴き落とし、
気管支聴診
酸素飽和度測定 聴き誤りがないことが前提
Evan’s blue dye test, modified Evan’s blue dye
test
z 湿性嗄声とは
声帯、あるいは喉頭前庭や喉頭口周囲に
唾液や嚥下物が付着したり貯留したときに起こる
声質の変化
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