28kW マイクロガスタービンの排熱による吸収冷凍機の駆動 - 東京大学

A22
28kW マイクロガスタービンの排熱による吸収冷凍機の駆動に関する一考察
○ 君島 真仁(東大工・科学技術振興事業団研究員)
笠木 伸英(東大工)
1. 緒言
の部分負荷特性を含む性能予測解析 (5) 等の研究が行われてい
近年,エネルギーの有効利用の観点から分散エネルギーシ
ステムの普及に大きな期待が寄せられている (1).分散エネル
るが,ここでは以下の簡便な方法を採用した.温水回収の場
合については,向流型熱交換器として 83 → 88℃の 5℃の昇温
ギーシステムでは,原動機からの排熱を有効に利用すること
によりエネルギーの総合的な利用効率を向上させることが可
幅が得られるような熱コンダクタンス
(熱通過率×伝熱面積)
を算出し,これを一定として解析を行う.水蒸気回収の場合
能である.このようなコージェネレーションの原理的な有効
性を実際の一次エネルギー消費量削減に寄与させるためには,
には,水蒸気圧力を 784.5 kPa(gage)(= 8.0kg/cm2 (gage))と
し,排気ガス出口温度と水蒸気飽和温度との差が25℃となる
システムの計画・設計の段階で電気・熱エネルギーの供給量
と導入対象のエネルギー需要との整合性に関する検討が不可
熱コンダクタンスを算出し,これを一定として解析を行う.
なお,排熱ボイラーへの給水温度は 60℃で一定と仮定する.
欠である.特に冷熱需要に対して排熱駆動吸収冷凍機を利用
して供給を行う場合には,排熱回収特性ならびに吸収冷凍機
吸収冷凍機 吸収冷凍サイクルの解析方法については,
数多くの報告例 (6) がある.ここではサイクルを構成する個々
の特性を考慮したシステムの導入評価が必要となる.
一方,分散エネルギーシステムの中核を担う発電設備とし
の熱交換器の物質収支,熱収支に基づく簡便なモデル (7) を利
用して吸収冷凍機の性能の推定を行う.解析に当たっては冷
て特にマイクロガスタービン(µGT)対する関心が高まって
おり,様々な技術開発が活発に展開されている (2).筆者らは,
房能力 10USRt(≒ 35.2kW)を想定し,各熱交換器の熱コン
ダクタンスならびに溶液循環量を算出し,これらが一定であ
µGTの技術評価ならびに導入評価のために運転特性に関する
データを収集することを目的として定格発電出力 28kW の
ると仮定し解析を行う.水蒸気回収の場合,高温再生器から
排出される凝縮液は圧力相当の飽和温度であると仮定する.
µGT(Capstone 社製 Model330)の性能評価試験を実施してい
る (3).µGT の運転特性として吸気温度が発電特性に及ぼす影
なお,温水,冷却水ならびに冷水の流量は一定とする.
冷却塔 吸収冷凍機の吸収器と凝縮器からの放熱につい
響ならびに部分負荷特性を明らかにし,排気ガスの性状を含
めた分析を行っている.
ては空冷方式も考えられるが,本報告では冷却水を利用して
冷却塔により放熱する方式とした.冷却塔で得られる冷却水
本報告では,上述のµGTの性能評価試験の結果に基づいて
排熱により駆動する吸収冷凍機のサイクル解析を行った結果
Air
を示す.特に熱回収方式(温水回収,水蒸気回収)の差異を
明らかにし,外気温度の影響ならびにµGTの部分負荷運転時
Fuel (City gas 13A)
G
Hot water
CC
µGT
の吸収冷凍機の特性に関する検討を行った結果を報告する.
2. 対象とするシステムと解析方法
2.1 システム構成 µGTの排熱により吸収冷凍機を駆動
Single-effect
absorption refrigerator
Heat exchanger
Chilled
water
Hot water
するシステムの構成を図 1 に示す.吸収冷凍サイクルの作動
媒体は,LiBr-H2O 系とする.図 1(a) は,熱交換器を設置し排
AHU
気ガスから温水の形態で熱回収を行い,これを利用して単効
用吸収冷凍機を駆動するシステムである.回収される温水は
Cooling water
Radiator
温熱需要(給湯,暖房)への供給も可能である.図 1(b) は,排
熱ボイラーで水蒸気を発生させ,これにより二重効用吸収冷
凍機を駆動するシステムである.温水回収の場合と同様に温
熱需要へは水蒸気を直接供給することも可能である.二重効
Exhaust
Cooling tower
(a) Hot water recovery + Single-effect absorption refrigerator
Fuel (City gas 13A)
Air
用吸収冷凍機の適用に関しては,排気ガスを直接高温再生器
に投入する方式に関する検討 (4) が行われているが,実際には
温熱供給との併用も想定されることから,ここでは水蒸気回
収とした.吸収冷凍機の構成は一般的な単効用型および二重
効用型とし,
二重効用サイクルはシリーズフロー方式とする.
なお,本報告では冷房運転のみを検討対象としている.
G
排熱回収熱交換器 µGTの排気ガスから温水あるいは水
蒸気の形態にて熱回収を行う場合には,熱交換器の設置が必
要となる.排気ガスからの熱回収については,排熱ボイラー
平成 13 年度日本冷凍空調学会学術講演会講演論文集(13 / 10 − 16 ∼ 18. 東京)
− 85 −
Steam
CC
µGT
Double-effect
absorption refrigerator
Steam generator
Steam
Chilled
water
2.2 解析方法
マイクロガスタービン µGT の特性は,既報 (3) の性能評
価試験の結果を適用する.特に排熱回収系の検討に必要な排
気ガスの温度,流量,ガス組成の特性については後述する.
Exhaust
Condensate
Water supply
AHU
Cooling water
Cooling tower
(b) Steam recovery + Double-effect absorption refrigerator
Fig. 1 Schematic diagram of µGT cogeneration system
C
40
3. µGT の排熱について
µGT(Capstone 社製 Model 330)の性能評価試験 (3) では,吸
Cooling water temp.
o
35
ϕ ==0.9
0.9
30
25
気温度の影響ならびに部分負荷特性に関する検討を行ってい
る.ここでは,排熱利用に着目していることから,µGT の排
ϕ=0.5
= 0.5
気ガスの性状について試験結果の一部を紹介する.
図3は全負荷運転時のµGT吸気温度の影響を整理したもの
20
であり, (a) 排気ガス温度,流量,(b) 排気ガス成分の濃度を
示している.図 3 から分かるように,吸気温度が低いほど排
15
10
10
15
20
25
30
35
o
Ambient temperature C
気ガス流量は増加し温度は低下する.図 3 に示した温度範囲
では排気ガス温度の低下は小さく,280∼300℃程度であるこ
40
Fig. 2 Relation between ambient temperature and cooling water
temperature ( Parameter : Relative humidity )
とがわかる.排気ガス中の H2O の割合は吸気温度が高い場合
に増加する傾向を有し,吸気温度 15℃∼ 28℃の範囲では 2 ∼
温度は外気温度,湿度,圧力の影響を受ける.ここでは,簡
単のため,冷却水温度=外気湿球温度(断熱飽和温度)+ 5.0
5% 程度である.CO2 は,おおむね 1.5% 程度である.燃焼に
伴って生成されるガス成分については,CO,NOx,未燃焼の
℃として外気条件と冷却水温度との関係を与える (8).図 2 は
標準大気圧(=101.325kPa)の下での外気温に対する冷却水温
CH4ならびに各種の炭化水素類
(THC : Thermal Hydro Carbon)
が含まれるが,体積割合で最大 10ppm 程度である.
度の変化を相対湿度 ϕ を媒変数として 0.5 ∼ 0.9 の範囲で 0.05
毎に算出した結果を整理したものである.図 2 からわかるよ
図 4 に部分負荷運転時の試験結果として (a) 排気ガス温度,
流量,(b) 排気ガス成分の濃度をそれぞれ示す.同一電力負荷
うに,同一外気温度では相対湿度が低い程冷却水温度が低く
なり,高温多湿の夏期には冷却水温度が高くなる.なお,冬
における試験結果のばらつきは,吸気温度にばらつき(12 ∼
30℃)があることによるものである.電力負荷が小さい場合
期の低外気温度時に冷却水温度が 20℃未満となる場合には,
補助ヒーターで加熱・制御することを想定し,外気温度に関
に排気ガス温度が低くなり,流量が小さくなる傾向を示す.
これは電力負荷に応じて燃焼制御ならびに回転数操作が行わ
わらず冷却水温度 20℃にて一定と仮定する.
冷房負荷 ここでは,冷熱需要側に具体的な熱負荷を想
れていることによるものと予想される.排気中の H2O と CO2
の濃度は,負荷が小さくなると減少する傾向を示す.5kW か
定していないことから,吸収冷凍機の冷熱は7.0℃の冷水で取
り出すと仮定し解析を行う.
ら 25kW の範囲で H2O が 1.5 ∼ 5.0%,CO2 が 1.0 ∼ 1.5% 程度
である.極端に負荷が小さい場合には燃焼の状態が定格負荷
補機類 実際のシステムの運転のためには,ポンプや補
助ヒーター等の補機類を使用する必要がある.ここでは,シ
の場合と異なり,排気中のNOxならびに炭化水素類の割合が
Table 1 Mole fraction of chemical species in exhaust gas
N2
0.754
H2O
0.050
800
750
Temperature
Flow rate
100
10
15
o
Exhasut gas temperature
150
700
35
20
25
30
o
Air inlet temperature C
800
250
600
500
10
10
10
10
5
10
15
20
Power output kW
300
200
30
25
(a) Exhaust gas temperature and volume flow rate
5
5
10
4
H2O
CO2
CO
NOx
CH4
THC
3
2
1
4
10
H2O
CO2
CO
NOx
CH4
THC
3
10
2
10
1
10
0
0
10
400
Temperature
Flow rate
150
100
0
Concentration ppm
Concentration ppm
10
700
200
(a) Exhaust gas temperature and volume flow rate
10
900
3
200
0.013
Exhaust gas flow rate Nm /h
850
CO2
C
250
0.183
O2
300
3
900
Exhaust gas flow rate Nm /h
300
o
Exhaust gas temperature C
ステムのエネルギー収支計算に当たり補機類の消費電力は無
視しうると仮定する. 15
20
25
Air inlet temperature
30
10
35
o
C
(b) Concentration of chemical species
Fig. 3 Characteristic of µGT exhaust gas (Effect of air inlet temp.)
0
5
10
15
20
Power output kW
25
30
(b) Concentration of chemical species
Fig. 4 Characteristic of µGT exhaust gas (Partial load operation)
− 86 −
高くなるが,それらの濃度は各々 100ppm 以下である.
これまでに,都市ガスを燃料とするボイラーの排気ガスか
すると 23.9 の冷熱が得られる.このときの COP は 1.17 であ
る.排気ガスの温度は 199.5℃,保有熱量は 47.0 となる.
らの熱回収についての詳細な研究成果が報告されており,排
気ガス中の潜熱回収を含めた伝熱性能の評価が行われている
上述の通り,熱回収方法により回収熱量が大きな差が生ず
る.これは熱回収温度の違いによるもので,高い温度レベル
(9)
.µGT では空燃比が大きい(100 以上)ことから,排気ガス
の主成分は空気であり,燃焼により発生する水蒸気の含有量
の熱回収を行うと回収できる熱量が小さくなる.二重効用で
は単効用と比較してCOPが高くなるが,回収熱量が水蒸気回
は体積割合で 5% 程度である.これに対応する露点温度は 30
℃程度となる.そのため,排熱利用の温度レベル(温水回収
収の場合の方が小さくなるため,その影響により冷房能力も
小さくなる.二重効用の利用が必ずしもより多くの冷熱取り
で85℃程度)を考慮すると排熱回収を行う際に水蒸気の潜熱
を考慮する必要は無いと考えられる.
出しを可能とするわけではないと言える.
しかし,水蒸気回収の場合には排気ガス温度が高くなるこ
以上の排気ガスの性状に関する試験結果から,本解析では
µGT の排気ガスの組成を表 1 の通りに一定と仮定する.
とから,さらに後段で90℃程度の温水が回収できると考えら
れる.需要側の負荷パターンによっては並列に温水供給を行
4. µGT の排熱により駆動する吸収冷凍機の特性 4.1 システムのエネルギー収支 外気温度 30℃,相対
湿度 60%,標準大気圧の条件下でのエネルギー収支を整理し
うことで総合的なエネルギー利用効率の向上が期待できる.
また,冷熱需要が相対的に大きい場合には,回収した温水を
水蒸気と共に一重二重効用併用型吸収冷凍機(7)(10)に供給して,
より多くの冷熱供給を行うことも可能であると考えられる.
た結果を図 5 に示す.排気の熱量を算出する際の基準温度は
外気温度としている.図中の数値は燃料投入熱量(LHV基準)
このように,
いくつかの排熱利用方式の計画が可能であるが,
熱回収方法の選定に際しては,需要側の負荷の変動パターン
を100とした割合で示しており,各部の温度を併記している.
温水回収+単効用吸収冷凍機 温水回収の場合には,排気
を十分に考慮した評価を行うことが不可欠である.
4.2 外気温度の影響 相対湿度 60% として標準大気圧
ガスからの回収熱量が 51.5 であり,温水回収温度は 85.0℃で
ある.この温水を単効用吸収冷凍機の駆動に利用すると 37.7
下で外気温度を変化させた場合の吸収冷凍機の特性を図 6 に
示す.外気(吸気)温度に対する µGT の排気ガス温度,流量
の冷熱が得られ,このときの COP が 0.73 となる.排気ガスが
持ち去る排熱は 20.9 で排気温度は 105.8℃となる.
は図 3 の試験結果を温度の一次関数にて近似をして解析に組
み込んだ.図 6 から分かるように,外気温度が低下すると冷
水蒸気回収+二重効用吸収冷凍機 水蒸気回収の場合には,
水蒸気圧力を8.0kg/cm2(gage)とすると排気ガスからの回収熱
却水温度の低下に起因して冷房能力は増加する.温水回収の
1.6
量は 27.9 である.この水蒸気にて二重効用吸収冷凍機を駆動
288.9 C
Ambient temperature = 30 oC
Relative humidity = 0.6
Atmospheric pressure = 101.3 kPa
Hot water temp. = 85 oC
0.4
37.7
51.5
o
7.0 C
o
89.2
105.8 C
Exhaust gas
Cooling water
(a) Hot water heat recovery
23.2
Loss
4.4
Electric power
288.9 oC
C
o
23.9
74.9
Water supply
2.5
60.0 oC
7.0 oC
7.5
199.5 oC
47.0
Condensate
174.6 oC
Single-effect
40
GT power output
30
20
Double-effect
100
Chilled water
20.4
50
10
Ambient temperature = 30 oC
Relative humidity = 0.6
Atmospheric pressure = 101.3 kPa
Steam pressure = 784.5 kPa (gage)
72.4
Cooling capacity
Heat recovery
60
20.9
Fuel
100
0.6
Chilled water
Loss
4.4
1.0
0.8
Heat exchange kW
o
1.2
Temperature
72.4
Electric power
COP
23.2
Fuel
100
Single-effect cycle
Double-effect cycle
1.4
90
Hot water inlet
Hot water outlet
80
70
44.3
60
15
Exhaust gas Cooling water
(b) Steam heat recovery
Fig. 5 Energy flow diagram of µGT cogeneration system
20
25
30
o
Ambient temperature C
35
Fig. 6 Effect of ambient temperature on the characteristic of
absorption refrigerator driven by µGT waste heat
− 87 −
場合には温水流量を一定とすると外気温度の低下に伴って温
水温度が低下し回収熱量が増加するが,これも冷房能力増加
である.なお,実際に µGT の部分負荷運転を行う場合,極端
に電力負荷を小さくすると,発電効率が著しく低下するとと
に寄与していると考えることができる.水蒸気回収では,外
気温度の低下に伴って排気ガス流量が減少することにより回
もに,排気ガス中の NOx 成分の増加などの問題が生ずる (3).
筆者らの試験結果からは,
発電出力 15kW(出力/定格出力
収熱量が減少する.これは,水蒸気圧力を一定としているた
めである.COP を比較すると,水蒸気回収の場合が高くなる
= 54%)未満で運転することは望ましくないとしている.
が,冷房能力は温水回収の場合が大きくなる.
4.3 部分負荷運転時の特性 外気温度 30℃,相対湿度
5. 結言
本報告では,出力 28kW の µGT の性能評価試験の結果から
60%,標準大気圧の条件の下での µGT の部分負荷運転時の吸
収冷凍機の特性を解析した結果を図 7 に示す.部分負荷運転
排気ガスの特性を示し,これに基づいて吸収冷凍機のサイク
ル解析を行い,µGT の排熱により駆動する吸収冷凍機の特性
時の排気ガスの温度,流量については図 4 中の 25 ∼ 30℃の吸
気温度範囲のデータに基づいて電力負荷との関係を一次関数
について検討を行った.得られた知見を以下に整理する.
(1) µGTの性能評価試験から,
排気ガス特性に対する吸気温度
近似をして解析に組み込んだ.図 7 から温水回収ならびに水
蒸気回収のいずれの場合においても電力負荷の低下に伴って
の影響と部分負荷運転時の排気ガス特性を明らかにした.
(2) 温水回収と水蒸気回収について吸収冷凍機を含めたエネル
冷房能力が低下することが分かる.これは,電力負荷低下時
の排気ガス温度の低下,排気ガス流量の減少によるものであ
る.水蒸気回収の場合には,極端に電力負荷が小さい場合に,
回収される水蒸気による吸収サイクルの作動が困難となる.
ギー収支を示した.85℃の温水回収では 38kW,8.0kg/
cm2(gage) の水蒸気回収では 24kW の冷房能力となる.
(3) 外気温度が低下した場合には吸収冷凍機の冷房能力が増加
する.温水回収では回収熱量も増加する.これには外気温
図 7 に示した例では,6.7kW 未満の電力負荷の場合には水蒸
気圧力8.0kg/cm2(gage)での回収熱量では吸収冷凍機の駆動は
度低下による温水温度低下が寄与していると考えられる.
水蒸気回収では,水蒸気圧力を一定とすると外気温度の低
不可能となる(冷房能力が 0 となる)
.COPに着目すると,電
力負荷12kW未満では二重効用の COPが単効用のそれよりも
下に伴って回収熱量は減少する.しかしながら,吸収サイ
クルの COP が高くなり,冷房能力は増加する.
低くなる.温水回収の場合には,回収熱量が減少するため冷
房能力も低下するが,吸収冷凍機の駆動は可能であり,5kW
(4) µGTの部分負荷運転時には,排気ガス温度が低下し流量が
減少することから,吸収冷凍機の冷房能力も減少する.極
の電力負荷の下でも 12kW の冷房能力が得られる.
以上のように,変動する電力需要に対応してµGTを部分負
端に電力負荷が低下するような場合には,二重効用サイク
ルの作動が不可能となる場合も出てくる.
荷で運転するような場合には,排熱利用側の特性も十分に考
慮して,熱需要との整合性について検討しておくことが必要
Single-effect cycle
Double-effect cycle
COP
科技術官の浜名芳晴氏,大学院生の奥田英信君,三輪潤一君
に多大なるご支援を賜った.記して深く感謝の意を表する.
0.8
また,本研究は科学技術振興事業団との間で,戦略的基礎
研究推進事業の一環として契約された資源循環・エネルギー
0.4
ミニマム型システム技術研究領域内の「超小型ガスタービ
ン・高度分散型エネルギーシステム」研究の成果である.
0.0
Heat exchange kW
60
Cooling capacity
Heat recovery
50
参考文献
(1) 平田賢,空気調和・衛生工学,75-8 (2001),659-665.
(2) 笠木伸英,ターボ機械,28-9 (2000),522-527.
Single-effect
40
30
(3) 笠木伸英・浜名芳晴・奥田英信・三輪潤一・君島真仁,第
29 回ガスタービン定期講演会講演論文集(2000)
,83-88.
20
10
Double-effect
(4) 坂内正明・藤田陽一・湯上洋,日本機械学会関東支部第 7
期総会講演会講演論文集(2001)
,275-276.
0
Temperature
o
C
100
(5) 圓島信也・池口隆,機論(B編)
,65-636 (1999),2840-2846.
(6) 小島弘・秋澤淳・柏木孝夫,冷論,14-2 (1997),113-124.
Hot water inlet
Hot water outlet
90
(7) 君島真仁・藁谷至誠・植草常雄・中尾正喜・河合素直,冷
論,13-2 (1996),187-197.
80
70
(8) 井上宇一 編,空気調和ハンドブック(改訂 4 版)
,
(1996)
,
205,丸善.
60
50
謝辞
本報告の作成にあたり,µGT の性能評価試験の実施および
試験結果の整理・評価等において東京大学大学院工学系研究
1.6
1.2
5
10
15
20
Power output kW
25
30
Fig. 7 Characteristic of absorption refrigerator on partial load
operation of µGT
(9) 刑部真弘・田中収・川上昭典,機論(B編)
,66-649 (2000),
2471-2477.
(10) 齋藤潔・菅野直紀・河合素直・西山教之・本間立・脇水
広記,機論(B 編)
,60-573 (1994),1770-1777.
− 88 −