【報告者】石田憲一、菅田浩之、本多孝至 - 北海道サッカー協会

2012 全道大会 テクニカルスタディ
全日本少年北海道予選
優勝:SSS札幌サッカースクール
2012年6月30日∼7月1日
会場:
【報告者】HFAテクニカルスタディグループ
準優勝: FC DATE
3位:コンサドーレ札幌U-12
旭川ネイバーズFC
北海道から世界へ羽ばたく
今年も各ブロックの予選を勝ち抜いて、16チームが苫小牧緑ヶ丘公園サッカー場に集まった。
今回は、2日間にわたる戦いのうち最終日の準決勝2試合と決勝を通して、北海道の個の育成を観
点に分析を行った。
1. 大会の概要
道内15地区予選から5ブロック
予選を勝ち抜いたチームによる大
会で、今回は、札幌4、道央・道
南・道東・道北各3の16チームが
参加した。
8人制による大会で、試合時間
は40分(20分ハーフ)。各チーム
とも1日に2試合をこなさなけれ
ばならない。
今大会で優勝したチームは7月
30日から静岡県で行われる全国
大会に出場する。
2. 守備
(1)チャレンジ&カバー
ポジションと役割を明確にし
て、戦うチームが多かった。チーム
として、チャレンジ&カバーを徹底
して戦おうとトライしていたチーム
も多くいた。中でも優勝を勝ち取っ
たSSSにおいては、集中を切らす
ことなく、ファーストディフェンダ
ーの決定と的確なカバーリングのポ
ジショニングが取れていた。
一方で、ファーストディフェン
ダーの決定の判断やコンタクトスキ
ルの甘さ、相手FWとの距離間に課
題があり、相手FWを自由にさせて
しまう場面が失点につながることも
あった。この年代の守備の未完成な
部分が課題としてあった。
北海道の課題として、このチャ
レンジ&カバーの徹底したスキル獲
得の指導を継続していくことが重要
と考える。さらに質も高く取り組む
べきである。全道大会に駒を進める
全てのチームが徹底できてこそ、攻
撃面のテクニカルな部分が発揮さ
れ、技術の向上が図られるのではな
いかと思う。
(2)コンタクトスキル
U−12年代の大会において
も、体格やスピード&パワーな
どのフィジカル面の差を感じる
場面はあり、その面は解決はで
きないがコンタクトスキルによ
[1]
REGULATION
スケジュール
1日目:1・2回戦
2日目:準決勝・決勝
試合時間:40分(20−10−20)
り、ボールを奪う技術は重要で
ある。
大会中、一人の粘り強い守備
と連動して二人目が関わる場面
も多く見られたが、一人目の守
備のコンタクトが甘く、相手に
体を預けられて突破されたり、
二人目の役割(チャレンジ&カバ
ー)がはっきりせず、守備の二人
が置き去りになる場面もあっ
た。
日頃のトレーニングで、コン
タクトスキルの向上は欠かせな
いと考える。現在、各チームで
取り組まれている。積極的な守
備( アプローチ! ボールを奪
いに行こう! )をさらに質の高
い守備として、コンタクトスキ
ルにて、ボールを奪うことを徹
底すべきと考える。体をあてて
相手の自由を制限し、ボールを
奪う 守備のテクニック が日頃
のトレーニングで取り組むこを
望む。
(3)ヘディングの競り合い
8人制の採用により、GKより
足下でつなぐ戦術やDFラインか
らのロングフィードよりもDFラ
インから一度GKに戻して組み立
てる戦術が多くなってきた。それ
に伴い、ロングボールやルーズボ
ールをヘディングで跳ね返すこと
やヘディングで前線へパスをする
ことが少なくなり、技術を発揮す
る場面が少なくなった。
ヘディングでの競り合いで手を
出してしまったり、頭に当てるだ
けで精一杯だったり、跳ね返すだ
けで、ボールを失うケースも見ら
れた。
ヘディングの競り合い後、セカ
ンドボールを拾う他のプレイヤー
の読みのポジションニングのみな
らず、ヘディングをするプレイヤー
のパスの技術も重要となる。
ゲーム中、何度となくプレーの
機会があるのが、スローイングで
ある。リスタート時に正しいポジ
ショニングを取り、まわりを見て
パスを出すことが求められる技術
であるから、ボールを失わないた
めにも日頃から欠かせないトレー
ニングの一つである。
(4)守備の連動
DFラインを上げて全体的に
コンパクトにバランスを保ち、
高い位置からボールを奪うなど
積極的な守備で戦う場面が大会
を通じて見られた。さらに、中
盤からパスやドリブルで崩され
FOR
YOUR
DREAM
[2]
SEMIFINAL
SEMIFINAL
た時にシュートを打たれ、GK
のファインセーブも多く見られ
た。
しかし、守備の連動という意
味で、GKを含めた守備と考え
た時に、シュートを打たれる危
機感を共有し、GKやDF陣に
よる的確なコーチングによ
り シュートを打たせない とい
う守備の場面が少なかったよう
に感じた。
ボールを奪う シュートを打
たせない が点を取られない、
最善の方法である。
普段のトレーニングで、2対
2 ・ 3 対 3 等 の ミ ニゲーム で
も、意識した取り組みが大切で
あると考える。
3. 攻撃
(1)テクニック
高い位置でボールをもらい、
前を向いて、中からも外からも
ゴールに向かい、シュートを撃
つ シ ーン が 多 く 見 ら れ た 。 特
に、バイタルエリアのしかけで
は、相手を見て判断したプレ
ー、キックフェイントやター
ン、切り返しなど工夫をし、ゴ
ール を 目 指 して い た 選 手 も い
た。
一方で、自分自身のスピード
について行けなかったり、相手
を見ずにしかけて、ボールを失
う場面も多く見られた。
コントロールはスピードを落
としてでも、攻撃の選択肢が持
てるよう、視野を確保し、ボー
ルを動かすことをトレーニング
で振り返ってみることが大切で
ある。また、良い準備として、
前を向ける準備やシュートを打
てる準備、さらには決定的なパ
スを出せる準備等、ボールが動
く中で、良いポジションニング
も意識するよう、指導では声を
かけていくべきであろう。
(2)コンビネーションと関わり
1トップや2トップにボール
を預けて、サポートと連動し、
崩してゴールを目指す攻撃や幅
を持ってボールを動かし、サイ
ドからの崩しで数的優位をつく
り、ゴールを目指す攻撃などチ
ーム毎、選手が戦術を理解して
戦 って い る 場 面 が 多 く 見 ら れ
KEEP
RUNNING!
[3]
た。特に上位チームによる個の 修正なども素早くできていた場
しかけや関わりが多く、攻撃の 面もあった。
リズムとなっていた。ただ、バ
攻撃から守備への切り替えで
イタルエリアでのボールホルダ は、ファーストDFの決定が速
ーを追い越すプレーやワンツー く、素早くポジショニングをと
パスによる崩しは、戦術の選択 る 意 識 が 高 い チ ー ム が 多 か っ
として、もう少し見られても良 た 。 た だ 、 前 述 に も あ る よ う
かったと感じた。
に、ファーストDFの質の部分
しかし、当然のことながら、 で差があり、そこで崩されるこ
相手のハイプレシャーで攻撃の ともしばしばあった。
起点がつくれなかったり、高い
また、守備の時間が長かった
位置にボールが入ってもサポー り 、 パ ス ミ ス や パ ス 選 択 を 誤
トが間に合わず、攻撃に厚みな り、継続して守備にまわる機会
く、ボールを失う場面など苦し が多くなってしまった場面も見
い 戦 い を 繰 り 返 す 場 面 も あ っ られた。また、攻撃に転じたが
た。
守備に関わった人数が多く、攻
攻撃の幅や厚みを攻守の切り 撃 へ の 起 点 へ の サ ポ ー ト が 遠
替えで、無理なくゴールを目指 く、厚みのある攻撃に至らなか
せるよう、正しいサポートのポ った場面もあった。
ジショニングや関わる選手の数
切り替えの意識は高い部分が徹
などは、日頃のトレーニングで
底されているので、質の部分で
幅と厚みを設定した中で修正
個のスキル向上が課題である。
し、どんな戦い方になっても臨
正しいポジショニングやボール
機応変、関われるよう習慣づけ
の位置によるポジション修正、
たい。
さらにはファーストDFのコン
(3)切り替え
タクトスキルなど、トレーニン
守備から攻撃の切り替えでは、 グでの改善が求められる。
切り替えの意識が高く、素早い 4. GK
対応(正しいポジショニング)が
(1)成果
多かった。さらに、ポジション
GET THE
GOAL
[4]
FINAL ROUND
PICTURE
(2)課題
6. まとめ
主催者コメント
道4種委員長:神谷 敦
この大会が8人制の大会として実
施されて2年目を迎えます。一人一
人のボールに触れる機会が増加する
ことにより、判断の速さや正確性、
プレーの質の向上を目指していま
す。また、ゴール前での攻防を多く
経験させることにより、攻守におけ
る1対1に強い選手を小学生年代か
ら育成していくことも導入の大きな
ねらいです。今回代表になったSS
Sには、今まで積み上げてきた個の
技能をさらに磨き、十分にその力を
発揮して全国大会で活躍してもらい
たいと思っています。
PLAYERS
FIRST
TSGメンバー
• 西村 祐紀
• 旭川ネイバーズFC(道北)
• 石田 憲一
参加チーム
• 釧路SSM(道東)
• 菅田 浩之
•
•
•
•
•
SSS札幌サッカースクール(札幌)
コンサドーレ札幌U-12(札幌)
アンフィニMAKI FC U-12(札幌)
富丘サッカースポーツ少年団(札幌)
恵み野サッカースポーツ少年団(道
央)
• 小 中央FC(道央)
• FC大曲ジュニア(道央)
• エスピーダ旭川(道北)
• 朝陽FC(道東)
(チーフ・苫小牧東中学校)
(ゲーム分析・伊達中学校)
• 本多 孝至
(GK分析・札幌創成高校)
• 長田 拓生
(ゲーム分析・厚真サッカー少年団)
(ゲーム分析・松前サッカー少年団)
[5]
• 枝幸ジュニアサッカークラブ(道北)
• 札南WEED(道東)
• FC DATE少年団(道南)
• FC白老ベアーズ(道南)
• フロンティアトルナーレFC U-12(道
南)