平成 25 年度 文教経済常任委員会 行政視察報告書 1 視 察 日 平成 25 年 7 月 2 日(火)、3 日(水) 2 参加委員 草間敏幸(委員長)、上松和子(副委員長) 滝沢一成、大島洋一、小林和孝、上野公悦、武藤正信、永島義雄 3 視 察 先 ・名 称:武雄市(武雄市図書館) ・住 所:佐賀県武雄市武雄町大字昭和 1-1 ・人 ・面 口:50,699 人(国勢調査) 積:195.44 ㎢ 4 テーマ等 図書館運営について 5 現 状 等(社会情勢、当市・他市の状況、問題点など) 上越市内には高田図書館・直江津図書館・浦川原分館・頸城分館のほか、11 区 に分室があり、運営はすべて市が行っている。佐賀県武雄市では、図書館経営を蔦 屋書店に業務委託をしている。施設は複合施設となっており図書館と歴史資料館が 併設されている。 6 視察概要 武雄市図書館は先駆的な取組みとして全国から注目されており、視察希望が多く なった。そのため視察対応が困難となり複数による対応となった。今回の視察につ いては 3 日に高岡市立中央図書館の職員 2 人の方と説明を受ける関係で前日の 2 日 については館内の図書の配置及び来館者の状況等を見学した。 武雄市図書館では館内を全面改装し、本年 4 月 1 日よりレンタルソフト店「TS UTAYA」を展開する企画会社「カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱」(C CC)を指定管理者として運営をはじめた。館内ではスターバックスコーヒー、蔦 屋書店、レンタルソフト店も営業を始めた。本の並べ方も「日本十進分類法」では なく、書店で本を探すような配置になっている。 <平成 25 年 4 月からの変更点> ・運営・管理 武雄市 ・開館日数 年 30 日休館 ・開館時間 10:00~18:00 ・蔵書数 開架 7 万冊 蔵書 18 万冊 CCC 365 日開館 9:00~21:00 開架 20 万冊 7 所 感 視察日が平日だったがにもかかわらず、来館者でにぎわっていた。入口近くにあ るカフェラウンジも人が並ぶ状況だった。日本で初めての試みとのことで、議会で も議論されたようであるが市長の強い思いがあったようである。館内は若者向きの 雰囲気であったが 5 月以降、50 歳以降の利用者も増加しているとのことである。開 館から 3 か月が経ち来館者が 26 万人(前年比 430%)、貸出数 15 万冊(前年比 193%) とのデータから見ると成功例の一つといえると思う。しかし、当市で考えた場合、 すでに営業している書店等もある事を考えると課題は多いと思う。様々な面からの 考察が必要である。 平成 25 年度 文教経済常任委員会 行政視察報告書 1 視 察 日 平成 25 年 7 月 3 日(水) 2 参加委員 草間敏幸(委員長)、上松和子(副委員長) 滝沢一成、大島洋一、小林和孝、上野公悦、武藤正信、永島義雄 3 視 察 先 かぐめいし ・名称:水俣市( 頭 石地区) ・住所:熊本県水俣市陣内1丁目1-1 ・人口:26,978 人(国勢調査) ・面積:162.90 ㎢ 4 テーマ等 村丸ごと生活博物館推進事業について 5 現 状 等(社会情勢、当市・他市の状況、問題点など) 全国的に中山間地における少子高齢化と農林業の衰退が進む中、当市においても 課題の一つとなっている。 6 視察概要 かぐめいし 水俣市 頭 石地区は、市内から約 15 キロ、車で 40 分ほどの山間地域である。田 畑の畔や民家を囲む狭い道すべてが積み石であり、集落に沿ってきれいな水が豊富 に流れており、緑豊かな昔懐かしい田舎の原風景が広がっている場所である。 かつて平家の落人が密かに暮らし始めたのが、このムラの始まりとされている。 水俣市では、農山漁村地域に対し、住む人々と地域が元気になる生活の支援を行お うと、平成 13 年 9 月に「水俣市元気づくり条例」を制定した。この条例は①生活 文化の保持、②地域外住民との交流、③経済の調和を基本の柱としている。この条 例に基づき地域の自然・産業・生活文化を守り育てる地区を、ムラの生活全てを展 示物と見立てた「屋根のない博物館」「村丸ごと生活博物館」第 1 号として、平成 14 年 8 月、頭石地区を指定した。そして活動が評価され、平成 17 年、農林水産大 臣賞を受賞、平成 21 年、農林水産省から「立ち上がる農山漁村」に選定され、7 月には水俣市が、 「平成 21 年度過疎地域自立活性化優良事業例表彰」という総務大 臣賞を受賞した。 頭石地区には頭石集落の住人から水俣市から認定された、自らの生活文化に誇りを 持って説明し、案内できる「生活学芸員」8 名と、漬物作りや石積みなどの生活技 術の熟練者である「生活職人」16 名が元気な村づくりに取組んでいる。 また、「地域にあるものを探す」ことから始め、集落全体を「生活の博物館」と見 立て、訪れる人々に普段の生活(地域の案内、食事、各種体験)を提供している。 7 所 感 住民は感動する訪問者の姿を見ることで、これまで「当たり前」だと思っていた 地元の生活・文化の厚みにあらためて気づくことができ、自分の地域に自信と誇り を持てるようになった。「気づく」ということが重要である。そのような観点から 「生活学芸員」の取組みは大変よいと感じた。また、都会に住む若い人たちにとっ ては、大変に魅力のある地域なので、宿泊を伴う子どもたちの体験教室の開催やほ たる祭り、食を楽しむイベントなど工夫を凝らせばさらに効果を上げられるものと 思う。「村ごと生活博物館」事業は時間の経過とともに、事業の担い手・リーダー にかかる負担が重くなっているように思う。後継者育成が課題だと感じた。 平成 25 年度 文教経済常任委員会 行政視察報告書 1 視 察 日 平成 25 年 7 月 4 日(木) 2 参加委員 草間敏幸(委員長)、上松和子(副委員長) 滝沢一成、大島洋一、小林和孝、上野公悦、武藤正信、永島義雄 3 視 察 先 ・名称:熊本市(熊本城) ・住所:熊本県熊本市中央区手取本町 1-1 ・人口:734,474 人(国勢調査) ・面積:389.54 ㎢ 4 テーマ等 一口城主制度について 5 現 状 等(社会情勢、当市・他市の状況、問題点など) 上越市の歴史的遺産「春日山城跡」は、その価値を高く評価されながらも財政難 から毎年崩落防止の工事が行われるにとどまり、その価値を十分に活かす対応がで きずに、北陸新幹線の開業まで 2 年を切るという状況にある。 6 視察概要 熊本市では、熊本城築城 400 年にあたる平成 19 年を目標に、築城時の雄姿をよ みがえらせようと、平成 10 年から 10 年間かけて本格的復元整備を行ってきた。そ して、その財源に充てるため、熊本城復元整備基金を創設して寄付を募るとともに 1 万円以上の寄付者を「一口城主」として、「城主証」「城主手形」を発行、城主名 を「芳名板」に記載し天守閣に掲示する取り組みを行ったところ、総事業費 89 億 円に対し、約 27,000 件、総額約 12 億 600 万円の寄付が集まった。 募金の期間は平成 19 年 3 月末で終了したものの、寄付の申し込みは止むことな く続き、平成 21 年 1 月から新「一口城主」制度として募金を再開した。10 万円以 上の寄付に対しては、感謝状が市長から直接手渡される。城主手形を優待券とする ことで、有料施設への無料入園、協賛店での各種おもてなしを受けることができる。 平成 19 年には築城 400 年祭を開催、入場者数が 100 万人を突破、平成 20 年には 本丸御殿の一般公開がはじまり入場者が 220 万人を超え、全国の城郭で入場者数が 日本一となった。関東、関西、新幹線沿線、海外、県外での各種イベントに参加し 広報活動を行うとともに、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等の取材へも積極的に「一 口城主」の PR を盛り込んでもらうよう働きかけている。また、 「城主だより」を定 期的に発行することで、復元整備の進捗や寄付金の状況、今後の予定、開催イベン トの紹介や招待券等を同封し、再来城を図るなどのアプローチを行っている。城主 というネーミング、天守閣に掲示される芳名板という手法が功を奏した上に、歴史 ブームが手伝って予想以上の寄付が集まった。また、自らの寄付により歴史ある熊 本城が復元されるという、魅力と基金への寄付行為自体も魅力あるものにし、その 復元に一役買うという形で関わりを持ってもらうことで、好調な寄付に結びついて いる。 7 所 感 視察全般を通して熊本城の持つステータス(社会的地位)がいかに高いかという ことを感じさせられた。資料の乏しい春日山城においては、寄付の対象となる復元 の対象物はない。さらに、春日山城跡は国指定の史跡であり、建築物を新たに建て ることはできない。しかし、春日山城の場合は「山そのものに価値がある」と考え る。課題は多くあると思うが、改めて春日山城跡に求めているもの、そのための施 策を検証したいと思う。
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