氏名 ・(本籍) こう さ い かつ き 香 西 克 紀 学 位 の 種 類 博 学 位 記 番 号 理 博 第 2 6 0 9号 学位授与年月 日 平成2 3年 3月 2 5日 学位授与 の要件 学位規則第 4条第 1項該 当 研究科, 専攻 東北大学大学院理学研究科 ( 博士課程)物理学専攻 学位論文題 目 原始銀河団天城 ライマ ンブ レイク銀河分光探査 によ る高赤方偏移大規模構造 学) 士 ( 理 の研究 論文審査委員 ( 主査) 林 野 教 授 井 上 邦 雄 教 授 千 葉 柾 准教授 秋 山 正 幸 ( 天文学専攻) 准教授 井 上 1 . 1 . 1ハ ッブルの法則 1 . 1 . 2 スケール ファクター 1 . 2構造形成 1 . 2. 1宇宙 モデル 1 . 2. 2重力不安定性 1 . 2. 3 ダークマ ター揺 らぎの成長 1 . 2. 4 トップ ダウ ン、 ボ トムア ップ 1 . 2. 5N体 シ ミュ レー シ ョン 1 . 3赤方偏移探査 1 . 3. 1近傍銀河 の赤方偏移 サーベイ 1 . 3. 2 高赤方偏移銀河 1 . 3. 3高赤方偏移 にお ける構造探査 1 . 4 本研究の目的 ssA22における Z-3LBG 分光探査 2. 1LBG の選 出 2. 1 . 1撮像デ ー タ 2. 1 . 2LBG候補天体 の選出 2 . 2分光観測 2. 2. 1VI MOS -1 4 8- 次 は じめに 1 . 1赤方偏移 第 2章 司 ( 天文学専攻) 昭 雄 ( 大阪産業大学) 目 文 論 第 1章 友 紀 准教授 2. 2. 2 観測 2. 2. 3 デー タ処理 2. 3LBG の赤方偏移決定 2. 3. 1赤方偏移 を決定 で きた天体 の天球面分布 2. 3. 2 等級分布、色分布 2. 3. 3LBG合成 スペ ク トル 第 3章 LBG 空間分布 3. 1赤方偏移分布 3. 1 . 1VI O6LBG赤方偏移分布 3. 1 . 2VI O8LBG赤 方偏移分布 3. 2LBG空間分布 3. 3LBG選 出効率 3. 3. 1光度関数 3 . 4密度超過量 3. 4. 1選択関数 3. 4. 2Mi l l e n ni m シ ミュ レー シ ョンでの密度超過量分布 u 3. 4. 3 再現確率 3. 5LBG数密度 第 4章 結論 6-3. 9LBG3次元分布 付録 Z-2. 論 文 内 容 要 旨 本研究 は、初期宇宙 にお ける大規模構造 を大型光学望遠鏡 を用 いた広視野赤方偏移探査 によ って明 らか に し、 その性質 を理解 す ることを 目指す ものであ る。 本研 究 で は、SSA22と呼 ばれ る天城 での Z- 3銀河 を探査 し、 そ こで の大規模構造 につ いて調 べ る。 この SSA2 2とい う領域 は 1 998年 に、 カ リフォルニ ア工科大学 の C. St e i de lらが Z- 3銀河探査 を行 い、 Z - 3. 1( 宇宙年齢 20億歳) に銀河 の密集領域 を発見 した天城 で あ る。彼 らの観測 で は、視野 が 9' ×9'と狭 か ったため、高密度領域全体 を明 らか にす ることはで きなか った。 そ こで、我 々 は高密度領域全体 を明 ら か にす るために、彼 らよ りも広視野 での銀河探索 を行 い、200 4年 には、彼 らの観測領域 を中心 とす る 3 4' - 3. 09±0. 03銀河 の探査 によ って、銀河 の高密度領域 の姿 を明 らか に した。 ×27'の領域 において Z この観測 で Z- 3. 09± 0. 03とい う赤方偏移方 向 に狭 い領域 での銀河分布 を明 らか にす る ことがで きた のだが、 その他 の赤方偏移 での銀河分布 を得 ることはで きず、 そ こでの構造 を調 べ ることはで きなか った。 そ こで、我 々は探査領域 を赤方偏移方 向へ広 げ、他 の赤方偏移 での銀河分布 を調 べ ることを 目的 と した赤 2-4. 0の銀河候補 を ヨー ロ ッパ南天天文台 の望遠鏡 方偏移探査 を行 った。 この赤方偏移探査 で は、Z-2. vLT に設置 してあ る多天体分光装置 VI MOSを用 いて分光観測 を行 い、 その赤方偏移 を決定 した。 本書 で は、2006年 と 2008年 の観測 で赤方偏移 を決定す ることので きた 1 50個 の銀河 の赤方偏移分布 に e i de lらが発見 した Z - 3. 1以外 に Z- 3. 3と 3. 7 つ いて調 べ た結果 をま とめ る。 この赤方偏移分布 で は、St に高密度領域 を見 出す ことがで きた。Z - 3. 1を含 む これ らの領域 につ いて、標準構造形成理論 によ る再 -1 4 9- 現可能性を調べたところ、Z-3 . 3、3. 7の高密度領域 は標準構造形成理論での再現可能性を否定すること がで きないが、Z- 3. 1の高密度領域の再現確率 はきわめて低 く、標準構造形成理論では再現す ることが 難 しいことを明 らかにすることができた。 -1 5 0- 論文審査の結果の要 旨 ニュー トリノ科学研究センター天文 グループではこの十年、すぼるなど大型望遠鏡を用いて深宇宙大規 0 0 2年にはペガサス座の一角、ssA2 2と呼ばれる天域 において、狭帯域 フィ 模構造探査を行なってきた。2 ルターを用いた赤方偏移 Z -3 . 1( 1 2 0億光年彼方)のライマンアルファ輝線天体探査を行ない、宇宙年齢 2 0 億歳なる初期宇宙にも、現在 とさほど変わ らぬ数億光年スケールの大規模構造が既に誕生 していること を明 らかに した。 その後 2 0 0 5年 には、前探査の 6倍の視野面積に及ぶ広域探査を行ない ( 研究代表者 : 、2 0 0 2年 に発見 した巨大非一様構造が、新探査領域全体 に大 きく展開 していること 山田亨東北大学教授) を発見 した。 ( 山内良亮 2 0 0 6年度博士論文、中村有希 2 0 0 9年度博士論文) このような大 スケール銀河分 布非一様 は、標準宇宙進化 シナ リオでは容易に説明 し難いことも明 らかとなっている。一方、以上の狭帯 域 フィルターによる輝線天体探査では、特定の赤方偏移の天体 しか検出できず、構造探査 は天球面上二次 元に限定 される。 ( 今の場合、赤方偏移 Z -3 . 0 6- 3 . 1 2の "スライス" 、その " 厚み' 'は現在の宇宙に換算 して 2億光年) そこで、かかる巨大非一様構造を有する領域の視線方向 … 前後目について、銀河分布三次元構造を明 ら かにすべ く、香西克紀 はチ リの大型望遠鏡 vLTで取得 された分光観測データを用いて、銀河赤方偏移探 査を行な った。 ( VLT分光観測の研究代表者 は、2 0 0 6年観測 :山内良亮、2 0 0 8年観測 :井上昭雄大阪産 . 8-4. 0の広大な領域 ( 現在の宇宙に換算 した視線方向距離-約4 0 億光年) 業大学准教授)その結果、Z-2 において、2 0 0 6年 と 2 0 0 8年合わせて百数十個の星形成銀河 (ライマ ンブレイク銀河)検 出に成功 した。 それ らの銀河の視線方向分布 ( 赤方偏移分布) はランダムか らほど遠 く、それぞれ原始大規模構造 とみな し得る複数の鋭いピークが巨大ボイ ドを挟んで林立するという、特異な非一様構造を示 している。視線方 向にこれほど鋭 い銀河分布 ピークが散在する天城 は世界的にも初めての発見であり、極めて注 目すべ き結 果である。 香西克紀 は高度なソフ トウェア技術を要する分光観測データの処理 ( 整約) において中心的役割を果た した。香西克紀の博士論文 はこのような重要な発見を余す所無 く表現 し尽 くしているとは言い難 いが、彼 の行なった大量で撤密なデータ解析 は高 く評価できるものであり、その意味において自立 して ソフ トウェ ア的研究活動を行なうに必要な高度な能力 と一定の学識を有すると考え られる。よって、香西克紀提出の 博士論文は、博士 ( 理学)の学位論文 として合格 と認める。 -1 5 1-
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