KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL 泌尿器科腫瘍学における分子研究の展望 : 発癌・転移機 構(精巣腫瘍) 野々村, 祝夫; 奥山, 明彦 泌尿器科紀要 (2001), 47(11): 803-807 2001-11 http://hdl.handle.net/2433/114642 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 泌 尿 紀 要47:803-807,2001 803 泌尿 器科腫瘍 学 における分子研 究の展 望: 発 癌 ・転 移 機 構(精 巣 腫 瘍) 大阪大学大学 院医学系研究科臓器 制御外科学(泌 尿器科学)(主 任:奥 山明彦 教授) 野 々 村 祝 夫,奥 山 明彦 A PROSPECT OF MOLECULAR BIOLOGY IN THE FIELD OF UROLOGIC ONCOLOGY : MECHANISMS OF CARCINOGENESIS OR TUMOR DEVELOPMENT IN TESTICULAR CANCER Norio NONOMURA and Akihiko OKUYAMA From the Department of SpecificOrgan Regulation (Urology), Osaka University Graduate Schoolof Medicine Testicular germ cell tumor comprises about 1% of all the malignancies of males in Japan, and occurs in only one over 100,000 males annually. A susceptibility gene may be located on the short arm of the chromosome 12. Among the genes in this region, the expression of the KRAS2 mRNA was increased in testicular cancer compared to the normal testicular tissue. By DNA typing, HLA-DR4 and 0405 allele in HLA-DRB1 showed high relative risk for testicular cancer. We analyzed the expression of the WT1 gene, reported to be a growth promoter for leukemia, by quantitative reverse transcription-PCR. Relative expression of the WT1 gene was significantly increased in high-stage cases than in low-stage cases, suggesting that WT1 could be useful as a tumor marker for progression of testicular cancers. Testicular germ cell tumors are usually very sensitive to chemotherapeutic agents such as cisplatin, and p53 has been reported to play an important role in chemosensitivity. Therefore, mutations of the p53 gene or other genes downstream may be responsible for their chemoresistance. The expression of the GML (GPI-anchored molecule like protein) gene was examined in testicular cancers. Its expression was not correlated with histology or stage. However, 4 refractory cases, 2 of which were recurrent cases from stage I and the others were at high stages, showed no expression of the GML mRNA. These interesting facts suggest that the expression of GML gene could be a good marker for the prognosis of testicular germ cell tumors. (Acta Urol. Jpn. 47 : 803-807, 2001) Key words : Testicular cancer, Molecular biology, HLA, WT1, GML 緒 精 巣腫 瘍(精 巣 胚 細 胞 腫 瘍)は 悪性 腫 瘍 の約1%に り約1人 で あ る1)精 告 な どが 散 見 さ れ る に過 ぎな い5・6)従 来 癌 抑 制 遺 伝 言 子 と して 単 離 され たWTlの 遺 伝 子 産 物 が 白血病 の増 日本 人 に お い て は全 殖 プ ロモ ー タ ー と して 作 用 す る こ とや 精 巣腫 瘍細 胞株 相 当 し,発 生 率 は人 口10万 人 当 た で も発 現 して い る こ と は興 味 深 く7),精 巣 腫 瘍 臨 床検 巣 腫 瘍 に関 して は 遺伝 子 レベ ル で の研 究 も早 くか ら進 み,ほ と ん ど の症 例 で 第12番 染 色 体 短 腕 部 の 増 幅(isochromosome12p・i(12p)と い 体 に お け るWT1遺 伝 子 産 物 の 発現 とそ の 増 殖 進展 に は何 らか の 関 連 が 期 待 され る.ま た,精 巣 胚 細 胞腫 瘍 は一 般 的 に抗 癌 剤 特 に シス プ ラチ ン に対 す る感 受性 う)が 存 在 す る こ とが 以 前 か ら報 告 され て お り,第12 が きわめ て 高 い.免 疫 組 織 染 色 にお い て は,精 巣 腫 瘍 染 色 体 短 腕 上 には 精 巣胚 細 胞 腫 瘍 の 責 任 遺 伝 子 が 存 在 細 胞 の 核 内 にp53蛋 す る 可 能 性 が あ る と考 え られ て きたが2・3),最 近,イ p53の 遺 伝 子 変 異 は少 な い とい われ て い る8・9) ギ リス の グ ル ー プ が精 巣胚 細 胞 腫 瘍 の 責 任 遺 伝 子 の1 白が 高 発 現 を示 す が,実 際 に は 本 論 文 で は,精 巣 腫 瘍 の 発 生 に 関 してHLA解 析 候 補 がXq27上 に存 在 す る と報 告 した4) 一方 ,精 巣 腫 瘍 の進 展 や 治 療 反 応 性 に関 す る分 子 生 の研 究 成 果 を,精 巣 腫 瘍 の 進展 に関 してWTI遺 物 学 的 研 究 は 少 な い.細 胞 増 殖 に関 係 す るKi-67を す る,ま た,腫 瘍 の抗 癌 剤 耐 性 に 関 して,p53遺 MIB-1抗 の 下 流 にあ る抗 癌 剤 感 受 性 に関 連 す る と い わ れて い る 体 で 染 色 し,臨 床 病 理 学 的 検 討 を行 っ た 報 のmRNA発 伝子 現 量 とstageと の 関連 の解 析結 果 を報 告 伝子 804 泌 尿 紀 要47巻11号2001年 GML(GPI-anchoredmoleculelikeprotein)艮o)遺 伝 と同一 患 者 の 正 常 精 巣 組 織(切 子 の 発 現 と化 学 療 法 に 対 す る 感 受 性 に つ い て の 検 討 結 常 部 分)に お け るKRAS2遺 果 を 報 告 す る. RT-PCRに よ り測 定 した. イ ピ ン グ=精 の つ い た 男 性52名 巣胚細胞 腫瘍の診断 の 末 梢 血 か らDNAを 抽 出 し, HLA-DRお 比 べ てDR4が 険 率 は2.8倍 DRBに とHLA-DRBのDNAタ 用 い てHLA-DR イ ピ ン グ を 行 っ た.日 型 頻 度 を 用 い11),カ probabilitytestに イ ニ 乗 検 定 あ る い はFisher's 細 胞 腫 瘍 患 者(セ 巣腫 瘍組 定 量 に は ま ず,34名 の精巣胚 ミ ノ ー マ23例,非 の 凍 結 組 織 か らtotalRNAを る 定 量RT-PCRを セ ミ ノ ー マ11例) 抽 出 し,段 行 っ た12)ヒ 階希釈 によ ト精 巣 腫 瘍 細 胞 株 お け るWTImRNAの 発 現 量 を1.0と 各 症 例 に お け る 発 現 量 を 数 値 化 した.Stageに がhighstageで,25例 で,p値O.OOO4で 度 に 認 め ら れ,そ 0.00006で 有 意 に高 頻 の 相 対 危 険 率 は3.2倍 し て, で,p値 あ っ た(Table2). KRAS2mRNAの 比 は2.OIで の相 対 危 あ っ た(Tablel). 関 し て はDRBIの0405alleleが 発 現:13例 中H例 にお いて正常 部 分 に 比 べ て 腫 瘍 部 分 で 高 発 現 を 示 し,そ 測 定 と 免 疫 組 織 染 色:精 織 中 のWTImRNAの は,9例 の遺 伝 よ り有 意 差 検 定 を 行 っ た. WTImRNAの NEC8に 本人 が 報 告 した1,216名 常 コ ン トロ ー ル に 有 意 に 高 頻 度 に 認 め ら れ,そ fragmentlengthpolymorphism)を 定量 果 よ びHLA-DRB:正 PCR-R.FLP(polymerasechainreaction-restriction の 正 常 対 照 と し てAkazaら 伝 子 のmRNAを 結 材 料 と方 法 HLAのDNAタ 除組 織 内 に存 在 した正 の相 対 発現 あ っ た. WTImRNAの 発 現:組 織 学 的 分 類 で は,セ ノ ー マ と 非 セ ミ ノ ー マ で はWTImRNAの 発 現 に有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た.し か し,highstage群 lowstage群 意 にhighstage群 を 比 較 す る と,有 発 現 症 例 が 多 く存 在 した(p<o.017)(Fig.1).高 関 して がlowstageで あっ Table2.DRBIa1置e璽e丘equenciesinJapanese た.免 疫 組 織 染 色 に は パ ラ フ ィ ン 包 埋 組 織 を3μmに 薄 切 し,抗 ヒ トWT1ウ (SantaCruz社,100倍 希 釈)を 用 い て 染 色 し,LSAB (labeledstreptavidin-biotin)法 GMLmRNAの 発 現 をRT-PCRに KRAS2の 発 現 検 討:13例 記34例 細 No.ofPFAF control DRBlNo.of allelepatients PvalueRR. OlOl 7 13.7 48 5.00.3683 l501 9 17.6 65 6,80.3762 1502 12 23.5 86 9.20.2817 1602 0 0.0 7 0401 4 7.8 18 0405 25 49.1 0410 0 0.0 10 1.0 0403 2 3.9 26 2.70.6774 0406 3 5.9 34 3.50.7842 1101 3 5.9 21 2.lO.5911 0.5325 1201 3 5.9 37 3.90.6725 0.00042.8 1202 0 0.0 20 2.0 1301 2 3.9 05493 1302 0 0、0 71 7.4 0.8443 1401 3 5.9 37 3.80.6725 につ い て て 検 討 し た. の 患 者 で,精 巣腫瘍組織 Table1.HLA-DRantigenfrequenciesin Japanesepatientswithtesticular germCelltumOr 。 轟 tumor で 発 色 させ た. 発 現 検 討:上 GMLmRNAの pat至entswithtesticulargermcell サ ギ モ ノク ロ ー ナ ル 抗 体 いF騙AFPval・ ・RR 1 7 13.5 4 34 65.4 7 0 8 11 21.2 223 13。3 9 12 23.l 218 13 96 363 22.8 7 0.0 5.5 0.4 115 7 0.7 L80.148 12.50.000063.2 0.70」824 10 1 L9 11 0.6 0。6612 1402 1 2.0 0 11 3 5.8 妬 2.6 0.8387 1405 2 3.9 17 12 3 5,7 121 0,1088 1403 1 2.0 15 L80.6633 13 2 3。5 135 7.8 0.0256 1406 1 2.O 17 7.30.5718 14 10 19、2 5.5 0.0572 0803 6 ll.8 70 0.40.6331 15 21 00.4 0.1945 0801 0 0.0 4 16 0 0.0 14 0.8 0802 5 9.8 37 0.00.532 17 0 0.0 4 0.2 0901 12 23.5 126 13.71.756 18 0 0.0 0 1001 1 Total 52 96 285 7 17.4 898 0 Total 2.0 51 9 493 PF:phenotypicfrequency=positiveallelenumber/total PF:phenotypicfrequency・positiveallelenumber/total patientnumber.contro1:byAkazaT,etal.(1994). patientnumber.control:byAkazaT,etaL(1gg4). AF:allelefrequency=1-(1-PF)藍/2RR:re正ativerisk= AF:allelefrequency=ト(1-PF)1!2.RRlrelativerisk= PF/AF. PFIAF、 ミ L8 L50。8609 3.8 0.90,9454 と に高 発 野 々 村,ほ か:精 巣 腫 瘍 102 805 分子生物学 Table3,ExpressionoftheGMLgeneintestiCUIargUrmCelltUmOrS GML(一)GML(十) ● ● 邑 LOWstage 7例 18例 Highstage 3例 6例 Seminoma 5例 18例 Nonseminoma 5例 6例 塁101 謹 ● ● ● 誓 奎 き㌔ ・ :. 葦 遷 N.S. N.S.=notsignificant・ : 一一 一一… N.S. 考 1; 察 一 精 巣 腫 瘍 の 発 生 に関 す る分 子研 究一 i● 10・1 精 巣 腫 瘍 は 白人 に多 く,有 色 人 種 に少 な い傾 向 が あ ●● る.白 人 にお け る罹 患 率 は黒 人 にお け るそ れ の 約5倍 LowstageHlghstage (n25)(n=9) で あ る とい わ れ て い る12)そ Fig,1.RelativeexpressionoftheWTIgcne し て,世 界 的 に み る と そ の 頻 度 は過 去40年 の 間 に約2倍 mRNAintesticulargermcelltumors accordingtotumorstage.Thelevel 以 上 に 増 加 して い る13).わ が 国 で も,最 近 の調 査 で,過 去9年 間 に約 1.35倍 に 増 加 した こ とが 明 ら か に な っ た14)Cytoge- oftheWTImRNAexpressionin NEC8cellswasdefinedasl.The neticな 解 析 に よ り,精 巣 胚 細 胞 腫 瘍 は組 織 型 に か か cut-offpointof1.Oismarkedbyasterisk. わ らず,そ の細 胞 内 に少 な くと も1つ 以 上 のX染 色 体 とY染 色 体 を有 して い る こ とが わ か って い る.そ ヅ多儀 て,ほ B..・e し とん どす べ て の精 巣 腫 瘍 細 胞 に12番 染 色 体 短 腕 の 重 複(12pisochromosome=i(12p))が 見 られる こ と も明 らか に され て い る2'3)i(12p)は,12番 染色 体 の 長 腕 上 の癌 抑 制 遺 伝 子 あ る い は12番 染 色 体 短 腕 上 の 難1 餓 叢 Fig.2. 癌 遺 伝 子 の存 在 を予 測 させ る.こ の重 複 す る12番 染 色 体 短 腕 上 の癌 遺伝 子 と して 同定 され て い る もの の 中 に KRAS2遺 伝 子 やcyclinD2な ど が 存 在 す る15・16) KRAS2は そ れ 自身 癌 遺 伝 子 と して 知 ら れて い る.わ れわれ の検討 で は同一患者 の精巣 腫瘍組 織 にお ける 属'. 一繭却5 .一 一 KRAS2mRNAの 発 現 量 は正 常 の精 巣 組 織 に お け る そ れ の2倍 以 上 で あ っ た.こ れ が 単 に12番 染色 体 短腕 ImmunohistochemicalstainingofWTl proteins.Sectionwasprobedwith の重 複 を意 味 して い るの か,KRAS2遺 polyclonalantibodyagainstWTI(1: 瘍 発 生 へ の 関与 を意 味 して い る のか は不 明 で あ る. 100).Scalebarrepresents40μm. 伝 子 の精 巣腫 癌 の発 生 に は主 と して,単 一 の遺 伝 子(癌 抑 制 遺 伝 A=Seminomawithhighexpressionof WTIprotein.B:Seminomawithout 子 や癌 遺 伝 子)が 関与 す る と考 え られ るが,そ れ らの expressionofWTIprotein・ 遺伝 子 以 上 の生 じやす さな どが 多 くの遺 伝 子 に よ って 現 症 例 で はWTIタ ン パ ク も 高 発 現 し て い た(Fig. GMLmRNAの に,ま た,lowstage25例 中 の18例 中6例 に発 現 を認 は 有 意 差 を認 め な か っ 織 学 的 に は セ ミ ノ ー マ23例 中 の18例 ノ ー マ11例 生 じ る相 対 危 険率 を算 出 す る こ とが 可能 とな り,将 来 発 現:GMLはhighstageの9例 め,highstageとlowstageで た.組 ト遺 伝 子 の 中 に存 在 す る多 くの 多型 を解 析 して特 定 の表 現 系 が 2). 中6例 規定 され て い る可 能性 が あ る.最 近 で は,ヒ に 認 め ら れGMLの に,非 セ ミ 陽性 率 はセ ミ の 遺 伝 子 診 断 や い わ ゆ るオ ー ダー メ イ ド医療 へ つ な が る もの と期 待 され て い る.HLAtypingも 検 索 の 一種 で あ り,特 定 のHLAの 遺伝子 多型 型 を有 す る個 体 の特 定 の 疾 患 に対 す る な りや す さ を検 討 す る こ とが で ノ ー マ と非 セ ミ ノー マ で 有 意 な 差 を 示 さ な か っ た き る.わ れ われ は,精 巣 腫 瘍 患 者 のHLA-DRお よび (Table3).し HLA-DRBIに 示す か し,stageIの して 治 療 に 難 渋 し た2例 難 治 性 に な っ た2例 た. 症 例 の う ち,後 と,highstage9例 で はGMLの に再 発 の うち の 発 現 を認 め な か っ 関 して検 討 して み た.Table1に ご と く,HLA-DRは 精 巣 腫 瘍 患 者 に お い てDR4が 有 意 に高 頻 度 に み られ た.ま た,Table2の DRBIで は0405allclcを ご と く, 有 す る もの が 有 意 に高 頻 度 806 泌 尿 紀 要47巻11号2001年 で あ っ た.こ れ ら のHLAの タイ プが精巣 腫瘍 の発 生 と 関 連 が あ る と い う こ と を 示 唆 し て い る.し 現 在 ま でHLAlocusの か し, 結 近傍 に精 巣 腫 瘍 の発 生 と関 連 の あ り そ う な 遺 伝 子 の 報 告 は な い. 巣 腫 瘍(特 語 精 巣 腫 瘍 の 発 生,進 展,予 後 に 関 す る 分 子研 究 に よ 一 精 巣 腫 瘍 の進 展 や予 後 に 関す る分 子 研 究 一 以 前 か ら,精 う か. る知 見 を 紹 介 し た.発 生 に つ い て はKRAS2遺 にnon-seminoma)の 予後 やHLA-DR,HLA-DRBIの0405aUeleカs'関 連 して 規 定 因 子 と し て 脈 管 内 の 細 胞 浸 潤,embryonalcarci- い る可 能 性 が 示 唆 され た.進 展 に はWTi遺 nomaの の 関 与 が 示 唆 され た.さ 含 有 率17'19),Ki-67の 発 現5・6)な ど に つ い て 臨 床 病 理 学 的 な 検 討 が な さ れ て い た が,分 子生物学的 ル で の 検 討 も行 わ れ る よ う に な っ た20) 1)細 白 血 病 に お い て 増 殖 の プ ロ モ ー ター と考 え ら れ た WTIは 精 巣 腫 瘍 に も 発 現 し て お り,そ highstage症 文 発 現 に関 す る分 子 レベ 例 で 高 く,lowstageで の発 現量 は 低 い 傾 向 を示 し 木 茂,古 関 与 が 示 唆 さ れ た. 献 武 敏 彦:精 巣(睾 丸)腫 尿 器 科 腫 瘍 学.小 泌 尿 器 科 学 講 座,泌 井 島 伸 一 編.第1版,pp147-158,メ カ ル 勝,大 ビ ュ ー 社,東 伝子 産物 ら に,抗 癌 剤 耐 性 に 関 して は p53遺 伝 子 の下 流 に あ るGMLの 手 法 の 進 歩 と 普 及 に 伴 っ て,E-cadherinやMMP 〈matriXmetalloproteinase)の 伝子 瘍.新 図 説 柳 知 彦,村 ジ 京,1999 2)RodriguezE,MathewS,ReuterV,etal.:Cytoge- た(Fig.1).し か も,高 発 現 症 例 に お い て はWTIが neticanalysisof124prospectivelyascertainedmale タ ンパ ク レベ ル で も高 発 現 して い る こ と が 証 明 さ れ, タ ンパ ク と し て の 何 ら か の 働 きが 示 唆 さ れ て い る (Fig.2)21)し か し,実 際 にWT1が 精巣腫瘍細胞 に お い て増 殖 促 進 因子 とな っ て い るか 否 か は まだ 明 らか に は さ れ て い な い.精 巣 腫 瘍 細 胞 株 にWTl遺 伝子 を germcelltumors.CancerRes52:2285-2291, 1992 3)ChagantiRSK,RodriguezEandBosl(}J:Cytogeneticsofmalegerm-celltumors.UrolClinNorth Am20:55-66,1993 4)RapleyEA,Crockf()rdGP,TeareD,etal.:Locali- 導 入 す る か あ る い はWTIのantisenseoligonucleotideを zationofXq270fasusceptib量litygenefortesticular 導 入 す る こ と に よ っ て 証 明 す る 必 要 が あ る. ま た,精 germ-celltumours.NatGenet24:197-200,2000 巣 腫 瘍 は シ ス プ ラ チ ン を は じめ と す る 抗 癌 剤 に 対 す る感 受 性 が 非 常 に 高 く,p53遺 低 頻 度 で あ る と い わ れ て い る.し 伝 子 の 異常 が か し,シ ス プ ラチ ン 治 療 に 対 し て 抵 抗 性 を示 す 精 巣 腫 瘍 で は や は りp53 5)HeidenreichA,sesterhennIAandMoulJw: Prognosticriskfactorsinlowstagetesticulargerm celltumors.Cancer79:1641-1645,1997 6)AlbersP,BierhoffE,NeuD,etal.:MIB-l immunohistochemistryinclinicalstageInonsemi- 遺 伝 子 の 異 常 が み ら れ る と い う報 告 が あ り,p53遺 伝 子 は 本 腫 瘍 の 薬 剤 感 受 性 に 関 して 重 要 な 位 置 を 占 め る と考 え ら れ る9)し た が っ て,p53遺 伝 子 の上 流 や 下 流 に 存 在 す る 遺 伝 子 の 異 常 も薬 剤 耐 性 に 関 し て 重 要 な nomatoustesticulargermcelltumorspredicts patientsatlowriskformetastasis.Cancer79: 1710-1716,1997 7)InoueK,SugiyamaH,OgawaH,etal.=WTIasa 役 割 を=果た し て い る 可 能 性 が あ る.GML(GPI-an- newprognosticfactorandanewmarkerf()rthe choredmolecule-likeprotein)はp53の detectionofm{nimalresidualdiseaseinacute 下 流 に存 在 leukemia.Blood87:3071-3079,1994 し,抗 癌 剤 や 放 射 線 に よ る 刺 激 に 対 して 細 胞 にapop8)PengH-Q,HoggD,MalkinD,etal.:Mutationsof tosisを 実 行 さ せ る 働 き を 有 し て い る と考 え ら れ て い る.ま た,GMLは 正 常 組 織 で は 精 巣 に か な り特 異 的 に 発 現 し て い る10)わ れ わ れ の 検 討 で は,GMLの 発 現 は 組 織 型 やstageと し,stagelの し た が,こ れ ら2例 はGMLを 9)SchenkmannNS,SeterhennIA,WashingtonL aL:Increasedp53proteindoesnotcorrelatetoP53 は そ の後 治 療 に難 渋 genemutationsinmicrodissectedtesticulargerm 発 現 し て い な か っ た. 例9例 し た が,こ もGMLの れ ら2例 こ れ ら の 事 実 はGMLが 現 し て い て,抗 の う ち2例 発 現 を 示 さ な か っ た. も と も と精 巣 に 特 異 的 に 発 癌 剤 に対 す る感 受 性 を担 って い る分 子 で あ る こ とを考 え る と非 常 に興 味 深 い し て の,今 は 難 治性 で死 亡 症 例 数 を増 や 後 の 系 統 だ っ た 研 究 が 待 た れ る,抗 癌剤抵 が,抗 π やMDRな ど の 関 与 も考 え られ る 癌 剤 感 受 性 に 関 し て は や は りp53と その下 流 の遺 伝 子 が 中心 的 な役 割 を担 って い るの で は な い だ ろ ,etaL;Isolationof anovelGPI-anchoredgenespecificallyregulatedby p53;correlationbetweenitsexpressionandanticancerdrugsensitivity.Oncogene13:1965-1970 , 1996 11)AkazaT,ImanishiT,FujiwaraK allelesandhaplotypefrequenciesinJapanese TransplantNow7(suppl):87-99,1994 抗 性 に はGST一 ,et celltumors.JUrol154:617-621,1995 10)FuruhataT,TokinoT,UranoT ま た,highstage症 .Cancer Res53:3574-3578,1993 か は 関 連 を 示 さ な か っ た.し う ち 再 発 し た2例 thep53genedonotoccurintestiscancer 12)DanielsJLJr,stutzmanREandMcLeodDG:A comparisonoftesticμlartUmorsinblackandwhit patients.JUrol125:341-342,1981 ,etaL:HLA . 野 々村,ほ か:精 巣 腫 瘍 13) BoslGJ, Bajorin D, SheinfeldJ, et al. : Cancer of the testis. In : Cancer : principles and practice of oncology. Edited by Devita VT, Hellman S and RosenbergS. 5th ed., pp 1397-1425,JB Lippincott, Philadelphia, 1997 14)三 浦 去9年 猛,小 林 一 樹,三 好 康 秀:日 間 の 精 巣 癌 罹 患 数(率)の 本 にお け る過 変 化.日 泌尿会 誌92:203,2001 15) Mostert MC, Verkerk AJ, van de Pol, et al. : Identification of the critical region of 12p overrepresentation in testicular germ cell tumors of adolescentsand adults. Oncogene 16: 2617-2627, 1998 16) HouldsworthJ, Reuter V, Bosl GJ, et al. : Aberrant expressionof cyclin D2 is an early event in human male germ cell tumorigenesis. Cell Growth Differ 8: 293-299, 1997 17) Hoskin P, Dilly S and Easton D : Prognosticfactors in stage I nonseminomatous germ cell testicular tumors managed by orchiectomyand surveillance: 分子生物学 807 implications for adjuvant chemotherapy. 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