第25号

2012 年 3 月 30 日 MUSIK
BAUER
ZEITUNG
第 25 号
No.25
2012 年 3 月 30 日
T.J.O.S.
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団員広報部
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【レ・プレリュード:嶋田雄紀くん】
レ・プレリュードは、「交響詩」という形式の創設者であるフランツ・リストの 3 番目の交響詩です。
序文には「人生は死によって開かれる未来の国への前奏曲である。現世は愛によって明けるが、苦闘
の嵐の中に暮れる。自然の美しさは心に平安をもたらすが、ひとたび合図のラッパが鳴れば人は必ず
戦場に帰すものだ」と書かれています。曲はまさに「愛」
「嵐」
「平安」
「戦い」の 4 部構成となってい
て、変化に富んだ迫力のある曲だと思います。
私たちは、曲の初めのピツィカートや掛け合いを合わせること、技術的に難しい部分をみんなで一つ
になって弾くこと等に苦労していますが、演奏会では曲の魅力が伝わるような演奏ができるように頑
張って練習しています。
【「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲:住廣奈津美さん】
ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、1867 年に完成した 3 幕からなる楽劇です。台
本も作者自身によるもので、16 世紀中ごろのドイツ・バイエルン州の都市、ニュルンベルクに実在した詩人ハ
ンス・ザックスを主人公とした喜劇調の楽劇です。
この第一幕への前奏曲は、この 4 時間にもおよぶ楽劇の中から、厳かで堂々とした「親方歌手の動機」や優し
く美しい「愛の動機」、力強い「親方歌手の行進の動機」など、楽劇中の登場人物や状況を表すライトモチー
フを集めた、いわばハイライトのような内容となっていますが、単にそれにとどまらないスケールの大きさが
あります。
ワーグナーという人物は、ただの作曲家ではありません。自らオペラの台本、作曲、作詞、大道具、歌劇場の
建築に携わった、さながら''スーパープロデューサー''だったのです。
そのワーグナーの作曲した曲の中でも有名なのがこの前奏曲であり、演奏会で採り上げられる機会が多いだけ
でなく、祝祭的なイメージから、式典での演奏の機会も多い作品です。
私達はこの曲を、華やかで情熱的に表現できるように、また音程とリズムと気持ちを全員で合わせて弾けるよ
うに、常に練習に励んでいます。
演奏会では、この前奏曲にふさわしい堂々とした、スケールの大きな演奏が出来るように頑張りたいと思いま
す。
2012 年 3 月 30 日 MUSIK
BAUER
ZEITUNG
第25 号
新入団員、卒団・退団の紹介
頑張ろう ZE!
【退団・卒団】
【新団員】
窪田真佑子さん(Vn
高 3) 川井愛永さん
(Vn 小 5)
池田佳月さん
東
(Fl 高 1)
三上まろいさん(Hr 高 2)
友則くん
(Vc
中 1)柴田真帆さん
白井麻純さん
(Fl
高 1)保坂瑞希さん
新庄佑紀さん
(Trb 高 2)
(Tp
小 6)
(Fl 高 2)
井田真理乃さん(Vn
郷田怜花さん
高 2)
(Vn 中 3)
久保田滉基さん (Vn 中 3)
そしてそして、神戸でご活躍のコントラバス準講師の谷口拓史先生からです!
しっかり読むんだぞー!
皆 さん、こんにちは。コントラバス準講師の谷口拓史です。僕は、昨年9月に兵庫
県西宮市にある兵庫芸術文化センター管弦楽団(通称 HPAC オーケストラ)に入団をさせていただき、生まれて初めて
の関西生活がスタートしました。早いものでもう半年。関西初心者の僕にはまだまだ慣れないことも多いですが、なん
とか元気に過ごしています。
この HPAC オーケストラは、17 年前に起きた阪神大震災の復興のシンボルとして 2005 年に誕生しました。アカデミー
要素を持つインターナショナルなオーケストラという特色の元、日本人だけではなく沢山の外国人の若手演奏家と共に
構成されていて、全楽員の最長契約期間は3年。残念ながら生涯このオーケストラで働くことはできませんが、日本に
とってあまりにも大きな出来事があった昨年にこの楽団へ入団できたことに、僕は大きな御縁を感じています。
HPAC から合格通知をいただいたのは、東京都交響楽団のエキストラ奏者として参加させていただいていた東北・北
海道演奏旅行の真っ最中であった昨年の3月10日。そして、その翌日に起きた東日本大震災。僕はそのとき、函館市
民会館のステージの上にいました。その演奏旅行はもちろんのこと、それから数日の間に1ヶ月先、2ヶ月先……と予
定されていた演奏会はどんどん中止となっていき、音楽をすることができない現状を目の当たりにしながら、ただただ
呆然と過ごす毎日。僕に出来ることは何もないのか…そう感じずにはいられませんでした。
当たり前に音楽ができることが如何に幸せなことか。お客様から拍手をいただけることが如何に尊いことか。この震災
を通じて僕は改めて気付かされ、一人の音楽家として大きく心を動かされました。何か出来ることはないかと途方に暮
れた日々から、関西復興のシンボルの一員として働かせていただける喜び。この御縁を大切に、音楽の力、オーケス
トラの力を信じて日々を一生懸命に過ごしていきたい。いかなければ。そう切に感じる毎日です。
事務局より
春になって、T.J.O.S.を巣立っていく団員たち、そして新しく団員の仲間入りをする
人たちがいます。毎年、繰り返されていることですが、今年は改めて人と人との出会いの大切
さを感じます。オーケストラの一人として、たとえ誰が欠けても創れない演奏会の音をみんな
で創りあげていく。ドキドキやワクワクを胸に舞台に上がり、指揮棒が振り下ろされたら、あ
とはもう一生懸命演奏するだけ。
演奏が終わり、大きな拍手に包まれて顔をあげると、お客様からの熱い視線が注がれている。
一回一回が、ただ一度きりのものとして仲間と共に演奏会を経験できることの幸せ。
いまを生きる幸せを心ゆくまで舞台の上で感じて下さい。さぁ明日は、いよいよ本番です!