2003年 冬1号 - 犬山動物総合医療センター

2003 冬号
平成15年1月19日発行
HITOTOSATOYAMANOKAI
「人と里山の会」 会報 NoⅢ
ビオトープ特集
−2∼3−
みんなの広場 ∼野生動物に餌を与えることの是非∼
−4∼5−
第3回セミナー開催報告
−6−
介助犬パトラ・会員募集のお知らせ
−7−
−8―
Q&A・事務局からのお知らせ
今も残っている自然を残す
ことはもちろん︵保全型ビ
オトープ︶、失われた場所
に自然を復元する︵復元型
または創造型ビオトープ︶。
そんな試みが、ドイツで生
まれ、近年日本でも大学研
究者や土木・造園関係者、
自治体などから、ビオトー
プをつくって、野鳥や昆虫
などの野生動植物を呼び戻
そうと、実践されるように
なってきました。
ビオトープ特集
ビオトープってなに?
ビオトープとは自然生態
系を保全・復元する分野で
は欠かすことのできないキ
ーワードの1つです。
p
o
t
o
i
B
ビオトープ︵
︶はも
ともとギリシャ語で﹃
生き物+
住むところ﹄
という意味のドイツ語の造
語です。都市部を中心に野
生生物が姿を消しつつある
現在、野生生物の生息の場
所︵ビオトープ︶の確保が
必要だとされています。
していることが明らかにな
動植物の絶滅
っています。
絶滅のおそれのある動植
ビオトープの意義
物をリストにしたものを
﹃レッドリスト﹄、その分
多様な野生生物が生息し
布や生息状況を詳しく紹介
ている場所では、自然の物
するガイドブックのことを
質循環がスムーズにおこな
﹃レッドデータブック﹄と
われています。そのような
いいます。
空間は、人間にとっても快
危機を意味する赤い表紙
適だということが認識され
からこのように呼ばれてい
てきました。
ますが、国際的な環境保護
現在、環境破壊が深刻な
連合である国際自然保護連
問題となっていますが、そ
合︵IUCN︶が、一九六
〇 年 代 か ら 作 成 し て い ま す 。 れは生態系︵自然の物質循
環︶のバランスを壊すこと
九六年に発行されたレッド
によっておこっています。
リストでは、五二〇〇種の
水質汚濁、大気汚染、地球
動物が絶滅のおそれがある
温暖化︵二酸化炭素濃度の
と報告されました。
上昇︶、ゴミ問題⋮すべて
そうです。
日本版レッドデータブッ
クの植物編では帰化植物を
除く日本の野生植物約七〇
〇〇種のうち、二割の約一
五〇〇種がすでに絶滅した
り、絶滅の危機に瀕したり
森が大切なことは誰でも
知っています。夏の森は涼
しく、冬は暖かい。森には
地下水を涵養し、洪水を防
ぐ効果もあります。その森
−2−
=
p
o
t
=
o
i
b
に、野鳥や昆虫がたくさん
見られると楽しいですね。
自然との触れ合いは、わざ
わざ電車に乗って遠くへ出
かけるのではなく、日常住
んでいる身の回りにあった
方がいい。特に、子供たち
のために、生き物たちの触
れ合いの場は確保してあげ
たい。健全な自然感や生命
感を育むため、環境教育の
場としてビオトープは必要
なのです。
ビオトープをつくるは、
まず、その場所の現在ある
自然を観察することが大切
です。ほとんど自然が残っ
ていない場所でも何らかの
生物はいます。見るべき自
然がないなら、何故そうな
ったか、その理由を考える
べきです。それから、以前
の自然について調べること
です。それがその場所での
ビオトープの目標になるで
し ょう 。
環境に与える影響を最小限
におさえ、動物や植物に思
いやりをもつ・・・そんな
自然を守り、育む道路づく
りです。)
多自然型川づくり(必要とされ
る治水上の安全性を確保しつ
つ、生物の良好な生息・生育環
境をできるだけ改変しない、あ
るいは改変せざるを得ない場合
においても最低限の改変にとど
めるとともに、良好な河川環境
の保全あるいは復元を目指した
川づくりです。)
【編集】
-3-
ビオトープをつくる
●学校ビオトープ
ビオトープ施工管理士
会員№ 230
長沼 寛
平成15年3月30日(日)AM10:00
【日時】
学校の中に、野生動物の
暮らす空間を整備し、子供
達が地元の野生生物の暮ら
しを日常的にふれることが
できます。学校ビオトープ
の普及は、地域の自然生態
系のネットワーク発展につ
ながります。
●行政のビオトープ
エコロード(自然環境と
の調和を考え、「自然と人
との共生」を基本に、自然
第5回「人と里山の会」セミナー開催予定
~
【場所】 犬山国際観光センター “フロイデ”ホール
東京大学教授
林良博先生からの問題提議
こ と の 是 非」を 述 べ て み た
いと思います。
《野生動物にエサを与えることの是非》
会員№414
高木 幸代
第三 回セ ミナ ー で 林 先生
は「会 報 上 で 活 発 に し か も
多様に 討 論でき るこ とが望
ま し い」と お っ し ゃ い ま し
た。
人は それ ぞれ の 価値 判断
に 基 いて 考え たり 行動し た
り し ま す。私 に は 3 人 の 子
供 が い て、こ の 子 達 と 共 に
過ごしてき た時 間や空 間が
今の私 の 考え 方や 感じ 方の
ベ ー ス に な っ て い ま す。で
すから「愛情のかけ方」とい
う 点 に ポ イ ン ト を 置 い て、
「野生動物にエサを与える
『五 体 不 満 足』の 乙 武 洋 匡
さ ん。彼 の 輝 け る 素 晴 し さ
は ど こ に あ る の で し ょ う。
あれだけ のハンディを 背負
いな がら あら ゆるこ とに 自
分一 人の力で挑戦する姿勢
にあるのではな いでしょう
か。も ち ろ ん お 互 い を 思 い
や り 助け 合う 精神 は 必要で
す。し か し 基 本 的 に は 誰 も
が自分自 身の力で 生き 抜 く
こ とこ そ本来の姿だと 思い
ま す。乙 武 さ ん は 自 分 に 与
えられた ものの 総てを 駆使
し 、持 て る 能 力 を 最 大 限
に 発 揮 し て 、食 事 も 移 動 も
文筆もほとんど自分でこな
し て い ま す。足 り な い か ら
こ そ産み 出 そうとする 知 恵
が 養わ れ る の か もし れ ませ
ん。
彼の底知れぬ努力は言う
に 及 ば ず、何 よ り 尊 敬 に 価
す る のは ご両 親の 強 くて深
い 愛 情 で す。な ん で も か ん
で も 与 え る の で は な く、自
分 自身の 力で生き る 能力を
身に つけ させるこ とこ そ真
の愛 情な のだと 教えて くれ
ています。
その昔、獅子は愛しい我が
子を敢えて千尋の谷へ突
き落としたと言われます。
獅子が自力で這い上がっ
てくるのを内心ハラハラ
しながら今か今かと待ち
望むのです。愛しているか
らこそ、いとおしいからこ
その行為。それは古今東西
永遠のテーマと言えそう
です。
野生動物にエサをやれ
ばお互い一時の満足感を
得られるかもしれません。
しかし長い目で見た時、果
たしてそれが彼らのため
になっているのかどう
か?時 に は ひ も じ い 思 い
をしながらも自力でエサ
を探す知恵や能力を身に
つけた方が生き延びる可
能性を広げるのではない
か?そ ん な 気 が し て な り
ません。
会員№177
で 野生動物を 管理するとい
うこ とは 大変 難し いこ とで
す。開発による生息環境の
変化が原因で 人里に餌を求
めて くる 動物も増 えて き ま
した。前回のセミナーで﹁ビ
オトープ﹂の話がありまし
た。 初めは聞いたこともな
いような言葉でしたが、話
を 聞 いて いる うち に案 外、
身近 なこ とで もあると 感じ
ました。少し前までの風景
を思い出して みること の大
切さも感じました。私も子
供の頃の風景を思い出して
みると、桑畑がよく見られ
ましたが今で は桑の木すら
見かけません。桑畑で はよ
く昆虫をとりましたが 、中
には 桑畑でしか見かけ ない
昆虫もいました。当然なが
ら今では その昆虫の姿を見
るこ とは ありませ ん。これ
も野生動物の消息状況と似
たようなものです。住処を
追われて 民家を襲う動物が
増えないためにも自然との
共生を、より考えなければ
いけないと思います。
本会のセミナーでは色々
と考えさせられることが多
いで す。 特に 日常で 気 付か
ずに 過ぎてし まう よう なこ
とで も 改 めて 考え 直す 機会
を与えて くれ ます。これか
らも 、多くの方々 の話を聞
き、自分なりに勉強してい
きたいと思います。
前回 の 第3 回 セミ ナー で の
林先生からの宿題でした、
﹁野生動物に餌を
与えることの是非﹂
につ いて 、お二人の会員の
方に考えをお伺いしました
皆さんは、どう思われたで
しょうか?
―5―
翁坂 文子
私は野生動物に餌を与え
ると いうことは、どち らか
といえば反対です。近年、
野生の猿による被害を よく
耳にします。これは観光客
が猿に餌を与えたことに端
を発して いる ようです。き
っかけを 作ってしまったの
は人間なのに猿はただの害
獣扱 いで す。こ の よう なこ
とが起き ないためにも無闇
に餌を与えるべきではない
と思います。しかし、希少
動物の保護を 目的とする場
合は 、し っか りと した 計画
のもとで あれ ば仕方のない
ことと考えています。ただ、
保護 動物ですら増えすぎて
一方で は 害獣 扱い され 駆除
されて いる場合があります。
どち らにして も人間の思惑
みんなで
考えて
みよう!
「人と里山の会」第3回セミナー開催!
ビオトープとは
まずは シリ ー ズ 第 3弾と
な る 東 京 大 学 教授 の 林 先生
の お 話 に 始 ま り、 犬 山 市 長
の飛び入り参加。第二部は
ビオ トー プの 権 威で ある 美
人講師、長谷川先生のスラ
イ ド映 像 を 交え な が ら の お
話と、盛りだくさんのセミ
ナーとなりました。林先生
からは 3 点の 問題 提 議が あ
りましたが、皆さんの考え
は まと ま り まし た で し ょ う
か?
自然の生態系を保全・復元
子供たちと学校ビオトープの設
計、施工による環境教育
固有品種、絶滅品種、野生生物の
自然生態系
長谷川明子先生
「
人と里山の会」
1、文学の世界におけるイヌと
ネコの違い
2、タマちゃんとケイコは、
ほっとくのがいい
3、野生動物にエサを与えるこ
との是非
―6―
第3回セミナー報告
林良博先生
いろんな考えが「里山」を守る
9月15日(日)に、犬
山市の国際センター・フロ
イデホールにて「人と里山
の会」第3回セミナーが開
催されました。セミナーも
3回目となり会員の皆様に
も徐々に定着しつつあり、
和やかな雰囲気の中で行わ
れました。
平成14年9月15日(日)犬山市“フロイデホール
「人と里山の会」入会申し込み用紙
住所
TEL
〒
介助犬パトラ
先日パトラの仕事風景をテレ
ビ 局 が 取 材 に 来 ま し た。こ れ
ま で も 何 度 か テ レ ビ 出 演 し、
ちまたでは大人気者のパトラ
で す が、当 人 は 至 っ て 冷 静 に
黙々と仕事をこなしていま
す。普 段 は 太 田 院 長 の 傍 で、
のんびりくつろいでいるので
す が、い ざ 介 助 犬 の 職 務 と な
る と、キ リ リ と 顔 が 引 き 締 ま
り ま す。相 棒 の キ ャ バ リ ア キ
ングチャールズスパニエルの
ランちゃんとの息もぴったり
で す。新 人 の ヨ ー ク シ ャ テ リ
ア の 花 子 も 加 わ っ て、 今 後 の
パトラの活躍が期待されま
す。
氏名
テレビ出演!
犬山橋爪保育園へ訪問中のパトラ
★YO‐KO ISIKAWA★ NO2
「人と里山の会」入会者募集のお知らせ!
人と里山の会では、会員を募集しております。会員の皆様のご家族・お友達・知人等に
お声をおかけいただき、皆さんで楽しい会を作っていきませんか?
Q & A
Q ボランティアスタッフは
どんな事をやっているの?
A セ ミ ナ ー の お手 伝 い
会員勧誘・会の広報活動等
です。また年数回のスタッ
フミー ティングで今後 の
会の運営 につい て意見交
換を行っております。皆さ
んも一緒に楽しくお手伝
いをしてみませんか?
Q セミナーは誰 でも参
加できますか?
A 里 山 の 会 の 会 員の 方 で
なくてもセミナーに参加
し て頂 い てか まいま せん。
ご家族やご友人お誘い会
わせの上、ご来場ください。
入場料・参加費等は一切必
要ありません。
い 。「 人と 里 山の会 」 の 会
員の方であれば、どなたで
も割引料金 で乗馬が楽し
めます。事前にクラブにご
連絡の上、里山の会員カー
ドをお持ちください。
ホースセラピーのボラン
ティアスタッフも募集し
ております。詳しくは犬山
乗馬クラブまで。
犬山乗馬クラブ
(
犬山市蓮池61 94
℡0568 67 9836
・
)
事務局では皆様からの
お便り・ご意見・ご感想を
お待ちしております。こん
な方のお話を聞きたいと
か、こんな活動をしてみた
い等、なんでもかまいませ
ん。獣医師太田への質問・
相談も受け付けておりま
す。皆様どしどし御応募く
ださい!
【編集記】
「人と里山の会」も早いも
ので発足一年を迎えまし
た。試行錯誤の状態ですの
で、まだまだ満足な活動に
はほど遠いのですが、今後
法人取得・里山敷地
の確保・動物や自然とのふ
れ あ い 活 動 等 々 … 会 員の
皆様 と一緒に夢 に向か っ
て一歩一歩前進していき
たいと思っております。
皆様 のご協力をお願いい
たします。
人と里山の会事務局
平成十五年冬号発行
「人と里山の会」会報Ⅲ
O
P
N
事務局からの
お知らせ
乗馬を体験して
みませんか!
乗馬をまったくやった事
のない初心者の方から上
級者の方まで、またはホー
スセ ラピー に つい て学 ん
でみたい方など、馬と触れ
合ってみたい方は、犬山乗
馬クラブにお越しくださ
-
Q 介 助犬 パトラに会 い
たいのですが・
・
・
A 犬山市職員のパトラは
定期的に保育園や老人ホ
ー ム 等 を 慰 問し て い ま す 。
里山の会員で見学ご希望
の方はパトラの仕事風景
をご覧になれます。ご希望
の方は事務局までお申し
付けください。
-
〒484 0894
《犬山動物病院内》
犬山市羽黒大見下29
fax
P
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℡0568 67 1267
0568 67 8008