渥美 の 自然と保護 No.48

サシバ、シデコブシをいつまでも
渥美
の
発行日
自然と保護
発行:渥美自然の会
2012年3月1日
No.48
〒441-3501 愛知県田原市高松町一色4
大羽康利
Tel&Fax.0531-45-2607
E-mail:[email protected]
URL http://www.tees.ne.jp/~irago-o/
カンパ振込先 郵便振替「00870-5-37797 渥美自然の会」
陸上自衛隊教育訓練部に質問書提出
「繁殖調査実施中」に「訓練実施中のモニタリング調査」?
陸上自衛隊教育訓練部教育訓練課が渥美半島大山での離着陸訓練に備えて、2010年9月
から2012年3月まで「猛禽類の渡り」と「繁殖期」における「環境利用現況の詳細調査」を
行っていることはこれまで2度に渡ってお知らせしてきました。
ところが防衛省から開示され文書にはこの二つの調査(事業概要のアとイ)以外にウと
して「ヘリコプター教育訓練実施中のモニタリング調査(環境利用動向の変化の有無を検
出)」とする1文がありました。そこで昨年11月に下記のような質問書を提出し、12月末
に「口頭での回答」を受けましたので、お知らせします。
2011年(平成23年)11月22日
防衛省陸上自衛隊
陸上幕僚監部教育訓練部長 様
渥美自然の会
豊川大山訓練場環境調査
代表
大羽 康利
「事業の概要」についてのお伺い
日頃のご尽力に厚くお礼申し上げます。
見出しの「豊川大山訓練場環境調査」につきまして、2010年(平成22年)9月末に開
示された「部外調整関連経費」によりますと、その「事業の意義」が
「 平成14年8月、航空学校から大山無線中継所跡地(現:豊川大山訓練場」の使用要
望を受け、施設庁(現:地方防衛局)を通じて地元調整を実施してきたが、 環境省
及びオオタカ専門家から環境調査実施について要望があり、猛禽類の生態について
の環境調査が必要となった。 」
とされております。
ところが同「部外調整関連経費」にある「事業の概要」に
は「猛禽類の渡りの調査」及び「希少猛禽類3種の繁殖期の
環境利用現況の詳細調査」に加えまして、
「 ヘリコプター教育訓練実施中のモニタリング調査
(環境利用動向の変化の有無を検出)」
と記された1項目があります。この項目につきましてお伺い
したく思い、お手紙をさせていただきました。
(次頁に続く)
右 カワラヒワ
- 1 -
オオタカ専門家(遠藤孝一氏)は「教育訓練部教育訓練課長様への意見」書で
「
訓練開始後、 少なくとも猛禽類については2繁殖期、渡りについては春・秋そ
れぞれ2シーズンについて、調査を行うとともに影響について評価すること。評
価に際しては、専門家や地域の保護団体の意見を聞き、悪影響が確認された場合
は訓練内容について見直すこと」
と述べております。そこで私には上記「ヘリコプター教育訓練実施中のモニタリング調
査」は遠藤氏が求めている「訓練開始後」の「影響について評価する」ための調査と理
解することができません。
猛禽類の「渡りと繁殖の実態調査実施中」に「 訓練実施中 のモニタリング調査」を行
うことは猛禽類の繁殖行動等々に大きな影響を与えることが十分に予想されます。
そこでこの「モニタリング調査」につきまして
1
訓練開始前に敢えて行う−もしくは既に行った−目的
2
調査方法の概要−調査日時やヘリコプター飛行経路、地上調査員の有無など
をお教えいただけますようお願い致します。
陸上自衛隊教育訓練課よりの口頭による回答
上記質問書に対し2011年12月28日午前に「教育訓練部教育訓練課」の班長Tさ
んという方から電話での回答がありました。
内容は
・現在までに離着陸訓練は行っていない
・そこで「訓練実施中のモニタリング調査」も実施していない
というものでした。以下は電話でのやり取りです。
問:開示された文書の私達の読み方が間違っていたということですか?
答:私達もどういうことなのか、内部で調べた。一般の方に誤解を招く表現で
あったので、今後は気をつけていく。
問:(今年も) 山林内部へ入って行くヘリコプターを見かけたのですが?
答:そういう 誤解を招く飛行もあったかも知れ
ない が、現在モニタリング調査を実施して
はいない。「訓練実施中のモニタリング調
査」とは、現在行っている猛禽類調査の結
果をまとめた上で専門家の意見を聞き、地
元の方に説明し、「訓練が開始された後
に、行う調査」である。
結局、オオタカ専門家の指摘した「事前の猛禽
類調査」及び「訓練開始後のモニタリング調査」
という二つの調査は別のものである、ということ
が確認されたことになりますが、現地で見られた
山林内へのヘリコプターの飛行や予算要求上の問
題等、まだ疑問点が幾つか残されています。
- 2 -
伊良湖フォーラム2011
渥美半島の野鳥
∼スライドによる紹介∼
サシバのすめる森づくり ∼豊田市自然観察の森の取り組み
ハチクマ研究最前線 ∼渡り、繁殖、採餌…∼
藤目 仲生さん
大畑 孝二さん
久野 公啓さん
との内容で行われました。80名の方の参加でした。
以下に参加された皆さんの感想を紹介します。
伊良湖フォーラム2011
・
参加者から寄せられた感想
素人で何も分からなかったのですが、今日話を聞いて、以前にくらべてサシバの渡来
が減ったことなど、色々知ることができて参考になりました。藤目さんが撮影された野
鳥の種類が多くあったことには驚きました。これからも野鳥の観察が出来るような環境
づくりを整えてもらいたいなと思います。
・
大畑さんの講演は大変良かった。休憩中に「野鳥」という冊子を見て理解できました。
「この冊子の入手方法を知らなかったので。」
・
久野さんの講演
すばらしい内容でした。目からウロコが落ちる感動がありました。
伊良湖フォーラム初めての参加、有意義でありがとうございました。
・
久野氏→話が上手でおもしろかった。映像も楽しくまとめられていた。前半にいた小
中学生にも見てもらいたかった。伊良湖のタカ渡りについても同様にまとめて発表して
ほしい。
・
久野さんのお話が大変興味深かった。名古屋から来た甲斐がありました。全体に大変
有意義でした。ありがとうございました。
・
ハチクマの話は学問的成果と、野鳥好きの話としても大変おもしろかった。サシバは
日本全国で力を入れすぎるのも疑問を感じた。
・
ダムの建設を止めさせようと運動しています。鳥の話ばかりでしたが、鳥の餌は上流
−下流に注目するだけでなく、上空と下界にも注目したい。
・
汐川干潟をはじめ渥美半島にはカモ、シギ・チドリなど有名な渡来地が数多くあるが、
近年個体数の減少で寂しい。是非とも復活させる方策を検討して欲しい。
・
ありがとうございました。伊良湖の渡りをまとめて解析した結果をいつか発表してく
ださい。
・
渥美半島伊良湖岬のサ
シバの渡りの数が大幅に
減っているという話が気
にかかる。
・
初めての参加です。各
講師の内容が映像を加え
てあるので大いにわかり
やすかった。
・
いろんな知識をいっぱ
いいただきました。今後
もがんばって新発見をお
願いします。
- 3 -
渥美半島・大山観察ハイキング レポート
2011年11月27日、「渥美自然の会」主催の久しぶりの大山ハ
イキングが行われました。東京から参加した女性のひと味違っ
たレポートをお届けします。
【集合!自己紹介!出発!】
天気は晴れ。
朝10 時、集合場所の「道の駅赤羽根ロコステーション」に集まっ
たのは年齢も職業も性別もバラバラな10 名。
初めましての人もそうでない人もいたので、まずは自己紹介をしま
した。
その後、主催者の大羽さんから行程や見どころの説明を受け、大
山山頂に向けていざ出発!
【今回の見どころ①】棚田石垣跡
今は昔。昭和20 年代にはここで稲
作がなされていたそうです。棚田の石
垣が予想以上にしっかりと残っていまし
た。辺りは他の場所よりも少し密度の
低い二次林となっていて、開拓地跡が
自然林へと遷移していることが伺えま
した。ちなみにここで作られたお米はと
てもおいしかったそうです!
【見どころ②】山火事跡
今から20 年位前、ここで山火事が起きたそうです。小さ
な川を境に植生や樹高が異なっていて、火事が川の流れ
に遮られたことが分かりました。山火事跡には先駆的な植
物の若木がたくさん成長していて、自然のたくましさを感じ
ました。
右
まだまだ細くて小さな若木が
びっしり成長中の山火事跡
【見どころ③】大山山頂からの絶景!少し靄がかかっては
いましたが、山頂からは海と山に抱かれた自然豊かな渥
美の町並みを見ることが出来ました。
左 大山から遠州灘
- 4 -
岩田さん(名古屋)の一言
渥美半島はひろびろとしている。電車に乗れば目線が高くなるので景色がよく見える。
バスも同じだ。郊外を走る電車やバスはいいものだ。豊鉄には豊かな人情味を感じる。名
鉄やJRとはひと味違う。
大山はなかなか登りがいのある山だ。標高差があるからだろう。
三河湾は豊かな海であり、湾を形造る二つの半島や湾内の三つの島も海産や農産の宝庫
である。来年湾を歩いて一回りしてみようかと思う。自然の会や参加者の皆さんにお世話
になりました。ありがとう。
初の大山写真撮影会
赤羽根写真クラブ
2月19日に赤羽根写真クラブの「大山写真撮
影会」のご案内をしました。参加者は11名、地
域の様々な役職を担って来られた方々のグルー
プでした。展望台等から愛用のカメラで神島や
三河湾撮影をされ、地元の銀行や喫茶店などで
展示会を開きたい
とのことでした。
19日は天候に恵まれる中、渥美半島ハイキングクラブ・東
三河さんぽ会など幾つもの団体・グループがハイキングを行
い、総計100人程が大山でのハイキングを楽しみました。
渥美自然の会 会則
1.渥美郡内の自然保護について考え、すぐれた自然環境を後世に残すために努力す
る。
2.渥美郡内の生物調査を実施し、渥美の自然をより深く探求する。
3.渥美の優れた自然を、地域の方々を含め広く全国的にも紹介する。
会のあり方
1.目的に賛同する人は、誰でも会員になることができる。
2.会費は特に集めず、必要な経費は寄付金(カンパ)でまかなう。
3.役員も特に定めないが、会合に参加できる人の総意を大切にして活動を進める。
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地震・原発連続勉強会
を行いました
東日本大震災以降、渥美半島でも地震や原発について地域に密着した市民の手による学
習・勉強会の必要性が語られていましたので、下記のような勉強会を2度に渡って行い、
延べ35名の方が参加されました。
◎ 「 渥美半島の地形と地震・津波 」
講師
藤城信幸さん(田原市豊島町在住)
日時:10月30日(日)午後7時∼9時
会場:田原市文化会館201会議室
◎「 原発と放射能−原発問題の基礎知識 」 講師 市野たけ代さん(元県立高校教諭)
日時:11月20日(日)午後7時∼9時
日本爬虫両棲類学会第51回大会
於 愛知学泉大
矢部隆様より
開催日:2012年11月10日(土)朝∼11日(日)夕方
開催場所:愛知学泉大学豊田キャンパス8号館
下のカット:宮下さん
HP:http://zoo.zool.kyoto-u.ac.jp/herp/indexj.html
内容:例年通り口頭およびポスターによる研究発表の他、記念講演も行います。
記念講演では、地元の野生動物研究者山上将史氏に、東海地方の爬虫類・両生類
について生態写真を多数用いて紹介してもらい、また日本爬虫両棲類学会会長の
松井正文氏に、東海地方の両生類、爬虫類の生物
地理学的重要性についてお話していただきます。
東海地方の自然を愛する人にとっては、楽しめて
かつ勉強になることは間違いありません。
2011年(後期)
8月29日
自然の会などの
サシバ2UU・ハチクマ1UU
O
8月30日
渥美山塊猛禽類調査結果 (抜粋)
3羽が一緒に旋回、時にサシバがハチクマ
に突っかかる。ミサゴ1UU
上空を旋回
サシバ6UJ・2UU尾根上で飛翔・旋回上昇、じゃれ合い突っかかり合う
S
サシバ3UJ
サシバ2UJ
尾根上を飛翔・旋回・上昇、高空を漂う。
9月12日
ミサゴ1UU
尾根上の枯マツに止まる、後飛び立ち西へ移動。(南麓 O)
9月13日
ミサゴ1UU
大山南麓を海側から山麓方向へ飛翔
S
尾根上を飛翔、突っかかりあったり、昆虫を捕らえたりする
アカハラダカ1UU
高空を旋回上昇。
サシバ1UJ・3UU・サシバ2UU
ハチクマ1UU
西へ滑空、旋回上昇
やや高空を西へ滑空
9月24日
ミサゴ1UU
海岸から低く現れ、頭上で旋回後北西へ
南麓 O
ミサゴ1UU
尾根の枯れマツに止まる。
ハクセキレイ、カワラヒワなど多数が西へ移動
10月10日
S
ノスリ5UU、オオタカ1♂A、チゴハヤブサ2UU、サシバ5UU、
ツミ2UU、ハチクマ1UJ、
低空∼高空を旋回、西へ移動
ヒヨドリ10∼20羽の群れも移動
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11月
2日
S
ツミ1UU、オオタカ1♂A、ミサゴ1UU、ツミ2UU、ノスリ1UU、
ノスリ1UU、ハイタカ1♀U、ツミ1♂U、ハイタカ1♀J、ハイタカ1
♀J
低空∼高空を旋回したりしながら西、北、南に移動
メジロ、カワセミ、アオジ、ウグイス、アオバト、ジョウビタキ、ヤマガラ、
シジュウカラ、エナガ等も観察、アマツバメの群れが空中で採餌
11月
8日
南麓 O
11月30日
ツミ2UU、ハイタカ1UU、ハヤブサ1UU、ノスリ1UU、タカsp1
ハクセキレイ、マヒワの群れが通過
ハヤブサ1♂A、ハヤブサ1♀A、ハイタカ1♀?J、ノスリ1UU、ノス
南麓S、O リ1UU、ノスリ1UU、ハヤブサ1♀A、ハイタカ1♀A、ノスリ1UU
ノスリ1UU
12月13日
低空、中空、高空を旋回したりしながら移動、西∼北方向
ハイタカ1♀U
ミサゴ1UU
南麓 O
手前の尾根を西へ、
旋回ししつつ東へ、
ノスリUU計5羽
ある個体は旋回して北
へ、ある個体は木に止まる
メジロ30∼40羽の群れが3度通過
12月24日
南麓 O
ハイタカ1UU
林の中を見え隠れしつつ東
へ移動、同個体が更に東へ移動
ハヤブサ1UU
西へ移動、ハヤブサ1UU
麓から海岸方向へ旋回移動、ハイタカ♂A
ノスリUU計6羽
1月
6日
1月12日
南麓 O
ハイタカ1♂U
ハイタカUU
上 ミサゴ
木から飛び立ち旋回して南西に移動(南麓 O)
中腹から飛び出し東に移動、再び林に入り
ノスリUU計3羽
渥美自然の会
旋回して林に入る
旋回しながら探餌したり、木に止まる
木や尾根から飛び出して旋回、再び尾根に入る。
会計報告
(2011年8月11日∼112年2月10日)
収入計
219,342円
内訳)個人カンパ(51名)
伊良湖フォーラム11会場カンパ
放射能・原発学習会 会場カンパ
「渥美の自然の講演会」記録集売上金
支出計
272,318円
内訳)渥美の自然と保護47印刷代
渥美の自然と保護47郵送代
伊良湖フォーラム会場費
伊良湖フォーラム講師謝礼・交通・宿泊費
地震・原発学習会 会場費・講師謝礼
送料・切手代
はがき代(170枚)
「渥美の自然と保護」号外 新聞折り込み代
用紙・封筒代
猛禽調査へのお礼
他団体への協力金・分担金
文房具・他
振り込み書印字サービス代
175,000円
27,692円
3,450円
13,220円
23,100円
59,200円
52,500円
63,000円
13,800円
2,740円
8,500円
9,410円
4,272円
30,000円
6,000円
946円
850円
引き続きカンパをよろしくお願い致します。
「三菱東京UFJ銀行 田原支店 普通預金口座 3511892 渥美自然の会」
または
郵便振替 「00870-5-37797 渥美自然の会」をご利用お願いします。
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お知らせ
渥美半島の植物 ゆっくり観察会
4月15日(日)午前9時∼正午頃
植物案内:八木将勝さん
田原市文化財保護審議会委員
著作「表浜の植物」(「表浜海岸」 発行:表浜ネットワーク 2002年)
「渥美半島横断植物記」(「田原里山の旅 大山・雨乞編」発行:たらめ会 2010年)
観察ポイント:伊川津・椛シデコブシ自生地周辺の植物と身近な春の植物を観察します
参 加ご希望の方は大羽までご連絡下さい。
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