1年1組 石綿理恵 清水達矢 デザイン基礎Ⅰ 第3課題

石綿 ―― テーマは睡眠欲、
清水 ―― テーマは脱皮ということです。
もしくは睡魔にしました。
なかに堅いケント紙が入っているんです
なんで、このテーマにした
けど、脱皮というテーマで一番自分が抜
かというと、睡眠欲という
け出したいことを考えていて、その結果
のは人間の持つ三大欲求の
が自分の中にある固定観念から抜け出し
一つで我慢できない欲であ
たいということで、固定観念という堅い
ることと、自分が興味があ
イメージでケント紙を用いて、相似拡大
るので選びました。これが
して、堅い質感からやわらかい質感へと
(フィルム)動かすことので
することで、やわらかい考え方を持ちた
きる部分で、これを理性に見立てました。このうねっているのが睡眠欲を
いというイメージで、やわらかい質感の
表していて、なぜケント紙からだんだん傷をつけた半透明のものにしたか
ものを選びました。
というと、最初は欲の発生部で欲が発生している時点ではそんなに眠くな
前田 ―― この課題設定を除けばですね、
いので、あ、眠いなって自分でわかるのでちゃんと見えるケント紙にしま
おもしろいものがたくさんあったんですけど、この課題設定の中でですね、
した。けれど流れ出てくるほど、今眠いんだということがわからなくなる
テーマからコンセプト、それからこの素材を使ってのそのコンセプトに従
くらいドロドロに眠くなっていることを表したかったので透明にしました。
った、その造形というイメージをですね、うまく単純につくりだしてとい
上にかぶさるものが欲を抑え込む理性で、土台が私自身で、理性が外れる
う意味では総合的な意味ではこれは洗練された作品じゃないかなと思って
と睡眠欲がはみだしてきて、その位置がどこにでも変えられて、それによ
います。
って欲と理性のバランスの度合いを表しています。なぜこうしたかという
宇杉 ―― 脱皮というテーマで、中にあるものが、ダッと出てくる力が、も
と、起きているときと寝ているときの境界線のあやふやさを表すために、
うちょっとあるといいような感じですね。
こういう移動可能なものにしました。欲を抑え込もうとする理性だけれど、
柳田 ―― 全部の班の作品を全員で見てまわったときに、僕はいち押しとい
欲の方が理性に勝ってしまって理性から欲がはみでるということもあると
うか、たぶんあれいいなと思って、僕だったらこれ選ぶなと思っていたん
いうことを表すため
ですけれども、そういったものが出てきているんだけど。要は2種類の平
に移動可能なものに
面的な材料を使ってなんでもいいから立体をつくれっていったときに、み
してみました。この
んないろんな形をつくるわけだけど、最終的にこんなバリエーションがあ
フィルムは理性なん
るのかっていうくらいに非常に僕は、造形的にバランスがとれているし、
ですけれど、この境
非常にいいセンスだと思いますね。
から外側は、外部と
前田 ―― これは、バラすとわかると思うんですけど、普通の矩形の紙なん
か現実とかを表して、
ですよね、それに切れ目をいれただけなんですよね。
フィルムの内側は自
柳田 ―― 縦横のプロポーションがいいんですね、だからそういうカーブが
分の内部とか夢とか
とれるんですね。
錯覚とか幻想を表し
前田 ―― だから、変形した紙ではないんです。
ています。三角錐の
部分は欲を抑える理性の最後の砦なので、一番強く、しかもカクカクした
ものにしました。
河辺 ―― んー、その通りです(笑)
。30人くらいいるわけですから、それの
案を見ていて、基本的に言葉がなくても造形的に素晴らしいものがあれば
それの方がよかったんですけれど、ちょっとそういうものが見当たらなく
て、じゃあ逆にですね、ものすごくやっぱり自分の、まぁある種抽象的な
テーマがどのくらい作品と関連性があって、表現ができているかというこ
とを重視して選んでいます。発表した人は、ある種抽象的なテーマを扱い
ながら、それをまずコンセプトとして非常に自分のなかで吟味して、それ
を造形的なエレメントにまでする、ということがよくできているというこ
とです。ただ正直言って造形的にはもうひとつなんだけど、もうひとつっ
てみんなの前で言うのもかわいそうなんだけど、なんだけども言語と形と
いうものの関連性みたいなものをやっぱり結構今意識してもらいたいとい
う部分もあるんで、そういった意味ではこれは抜きん出ていましたので。
宇杉 ―― テーマとして睡眠欲という新しい感じ、それと造形というのが重
なるところがあるのかなぁ、という感じが素材の選び方からして僕は共通
なものがありましたね。
前田 ―― 睡眠欲が造形になると、そのメカニズムが加わることでね、睡眠
のメカニズムによってある種、脳のメカニズムが想起されて、そういうメ
カニズムがグーッと出てすごくおもしろくなったんじゃないかなぁ。
宇杉 ―― なんかこう脳波の波形が出てくるような感じがするとおもし
ろい。
4
デザイン基礎Ⅰ 第3課題
1年1組 石綿理恵 清水達矢
指導:柳田武 宇杉和夫 河辺哲雄 前田光一 佐藤直樹
飛田真人
飛田 ――
落合 ――
連続とは……一つのブロックの連なりであり、一つの連続の先にさらなる
人間の心の奥底には何らかの罠がしかけられている。その罠は誘惑のTRAP
連続がある。断絶とは……全てのブロックは断絶であり、全ての連続は断
かもしれない……。その心の罠を立体で表現してみた。立方体は心全体を
絶している。全てのものは連続し、全ての連続は断絶している。連続は断
表していて、ある点から対角線上に他方の1点に吸い込まれるように何重に
絶を越えて連続する。
も段差をつけることで奥底さを表した。また、黒を使用したのは、罠の不
全ての立体を 10 面体のブロックで構成し、一つの立体の全ての面は山と谷
気味さをイメージし、先が見えないことを示している。あと、立体を傾け
で構成されている。これは全ての流れの中に山と谷(身体的、心理的など)
ることによって不安定さを表した。ちなみに、心をなぜ立方体にしたかと
が存在することを表現しようとしたものです。それぞれの立体の連なりで
いうと罠のある心には必ず角があるからだ……。
指導:石田道孝 小石川正男 佐藤光彦 横山聡 八藤後猛
連続を表現し、それぞれの立体が離れていることで断絶を表現しました。
また、一つ全く断絶している立体は同じ形の小さい立体を置くことで、断
絶(完全に断絶された立体)をも実は連続しているのではないかというこ
とを表現してみました。
早田 ――
「流れ」といっても水、風の「流れ」ではない。時の「流れ」である。
「時の入口」を表現していて、バックが黒なのは、まだ先のことがわからな
い、その時が来るまでわからないという意味を表現した。
横にたおして見ると、21本の時の流れを表現している階段状のものがある。
なぜ21本にしたかというと、ノストラダムスの予言によると地球は20世紀
で滅亡して、21世紀をむかえることができない。しかし、この予言を覆し、
21世紀をむかえたいという気持ちを表現した。
落合正行
早田倫人
デザイン基礎Ⅰ 第3課題
1年2組 飛田真人 早田倫人 落合正行
5