今年16回目を迎えた2008年度西宮市EWC 環境パネル展。川がきクラブのメンバーも毎回出展 し毎年賞をいただいています。今年も3月4日~8 日、西宮市民ギャラリーで国内外からの数多くの作 品が展示され、河田君の「タガメの減少について」 が西宮自然保護協会賞を受賞しました。 河田君は、 以前から育ててみたかったタガメを1令幼虫から成 虫になるまで飼育観察。特に羽化の様子は感動的だ ったそうです。現在タガメが絶滅の危機にある原因 を調べたり、タガメを知っているという人に昔と今 の環境と変化について聞いたりもしました。また以 前、タガメがいたと言う情報をもとに探しに行った 様子などがきれいな写真と共にていねいに書かれて (出展作品) います。 *河田 直樹 「タガメの減少について」 *吉田 有岐 「バケツのイネをそだてよう」 *上木 岳 「甲山周辺のオサムシ」 *田淵 彰彦 「スミナガシと最近採った蝶について」 *篠原 弘 「甲山の甲虫」 *浅倉 景子 「血統書つきミヤアカネ誕生」 *法西 浩 「地元西宮市・宝塚市における クロマダラソテツシジミの調査研究」 *浅田 一寛 「せみの羽化のかんさつ」 今年は、去年から飼育し てい るタガ メを交配させて 卵を産ませ、また幼虫から 羽化まで飼育観察したいで す。タガメがいる所にも行っ てみたいと思います。 14 「西宮に生息する希少な昆虫」の標本。 川がきクラブから篠原さん・上木君も、ヒメタ イコウチやタガメなどを提供し標本の作製に 協力しました。 2月11日(祝) 、兵庫県立人と自然の博物館で第4回「共生の広場」 が開催され、浅倉景子さんが「血統書つきミヤマアカネ誕生」をポス ター発表され、見事「名誉館長賞」を受賞されました。 2年前の7月、卵から一生懸命育てられた結果、昨年7月に見事羽 化に成功。感動の羽化シーンに至るまで、膨大な数の写真をはじめ、 浅倉さんならではのわかりやすいイラストなど、克明な子育て?の記 録がびっしりと書かれています。慣れない顕微鏡を夢中で覗き、日夜 飼育観察を続けられたその根気と内容の濃さには言葉もありません。 数多くの出展者の中から選ばれた理由は、 「作品に込められたデータの量が圧倒的だったと思います。 これはいくらテクニックを駆使してもごまかせるものではありません。 」と八木剛先生。 また、あかねちゃんクラブのメンバーの横田靖さんは「マーキング調査で得られたミヤマアカネの周 年経過と行動に関する知見」を口頭発表され、こちらも館長賞を受賞されました。あかねちゃんクラブ から、ダブルで受賞したすばらしい結果となりました。法西浩先生も、「地元西宮市・宝塚市における クロマダラソテツシジミの調査研究」をポスター発表されました。 ★ミヤマアカネを卵から観察 「血統書付き・あかねちゃん誕生!」 ●はじめに 地元・西宮市を流れる仁川は、水のないのが悩みの川。その仁川で、なぜ 多くのミヤマアカネが飛び、小さな水溜り状態の淵や泥に盛んに産卵するのか。卵は一体 どのように成長して、日本一きれいな赤トンボが誕生するのか。そんなナゾの一端を解くた めに、交尾産卵時期に採卵し、卵から羽化までを観察しようと考えた。また、仁川で多く見 つかるマユタテアカネとミヤマアカネは、ヤゴを見分けるのが非常に難しいので、その相違 点を見つけようと、マユタテアカネの卵も同時に観察した。 ●観察 体長が2mmになったヤゴ ①採卵:2007 年 11/3、仁川百合野橋下流にて、カ8-704♀+カ5-806♂等より採卵。 ② 卵:楕円形。産卵直後は淡黄色、一日で褐色に変わる。周りに粘着質あり。先端に小さな突起あり。 ③ 孵化:2008 年 4/5、1匹目のヤゴ誕生! 以後、次々に孵化。孵化率は、ほぼ100%。 ④ 脱皮:孵化後から3日~10日に一度の割合で繰り返す。観察した10匹の平均は、7.5回。 ⑤ エサ:ヤマトヒメミミズ・ブラインシュリンプ・ユスリカ・イトメ・グッピーの稚魚など。成長に合わせて選択。 ⑥ 翅芽:4/30 体長2mm を超えたヤゴの中肢と後肢の付け根にササクレ発見! 5/24 後ろ方向に少しずつ伸 び、羽らしくなる。 ⑦ 複眼:4/25 黒い点に見えていた目が、ブツブツの複眼に。5/14 目と目の間に色濃い部分が出てきた。 ⑧ 羽化:7/19 羽化! カ8-9とマーキングして、仁川・蓬莱橋より放す。 ⑨ マユタテアカネ・卵からの観察:マユタテアカネの方がミヤマアカネに比べて、1.下唇がタテ長 2.第9腹節 の側棘が長い 3.肛錐が太く長い の相違点あり。マユタテアカネのヤゴの頭部に角がある時期がある。 ●おわりに マユタテアカネのヤゴとの相違点をさぐるのは難しいが、2009年度の調査につなげていきたい。 15
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