【アプリケーション委員会資料】 RFIDシステムの歴史 2008年9月1日 RFIDシステムの歴史について① 年代 日本における展開 主な利活用分野 主な利活用分野 欧米におけるトピックス 1940~50年代 連合軍は天候や視界にかかわらず敵味方の飛行 機を識別する装置の開発に成功(IFF)。この装置に は無線波を使用した技術であり、RFIDの技術が最 初に利用されたものとされている。 1960年代 米国にて商品にRFタグを貼付し、商品を泥棒から 守る装置を開発。この装置はRFID技術の初の商業 利用と位置づけられている。 1970年代 米国にて車の盗難を防止する仕組みや工場での オートメーションを促進する仕組みとしてRFID技術 が活用された。またヨーロッパでは家畜にRFタグを つけ、家畜の識別、追跡する仕組みが実用化され た。 RFIDシステムの歴史について② 年代 主な利活用分野 主な利活用分野 日本における展開 欧米におけるトピックス 1980年代概要 1980年代半ばから日本でもRFタグの製品化や応用技術の研究が始まった。しかし 技術的には、電池内蔵型が主流でサイズも大きいものが多く、価格も割高だったため、 活用はFAなどの分野に限られていた。 1985 RFタグの製品化や応用技術の研究が開始 → RFタグの方式は、120kHz~135kHzの電磁誘導方式と 500kHzの電磁結合方式が研究対象 FA分野 FA分野(500KHzの電磁結合方式) (500KHzの電磁結合方式) (例) ・マシンニングセンターにおける工具管理 (例)・マシンニングセンターにおける工具管理 ・自動車工場のエンジン加工管理(油の汚れなどにより ・自動車工場のエンジン加工管理(油の汚れなどにより バーコードが使用できないケース) バーコードが使用できないケース) 1980年前半 電子的なメモリーを非接 触で更新する技術とし て応用開始 1980年後半 自動車の通行料金自動 課金システムにRFタグ を活用 (ノルウェー、アメリカ) RFIDシステムの歴史について③ 年代 日本における展開 主な利活用分野 主な利活用分野 欧米におけるトピックス 1990年代概要 1990年代に入り、日本では、FA分野において海外技術の導入により、多くの企業がRFタグ市場に参入した。 しかしRFタグの技術的制約(大きさ、電源内蔵など)や高価格(1000円以上)により普及が進まず、95年まで には多くの企業が撤退した。 1990年代の後半になり半導体技術の向上に伴い、タグの小型化・パッシブ化・低価格化が進み、2000年以 降の普及にむけ技術的な土台が築かれた。またビルの入退館管理などのセキュリティ分野で実際に活用さ れ始めた。 欧米においては、90年代後半からタグの国際標準規格の検討が始まり、世界的な普及に向け進みだした。 1990年代 前半 RFタグ市場への参入ブーム ↓ 技術的制約、高価格のため普及が進まず、95年までには多くの企業が撤退。 1990年代 後半 半導体技術の向上 →小型化・パッシブ化・低価格化の実現 13.56MHz、2.45GHzの高周波数帯チップ登場 ビルの入退館管理 ビルの入退館管理 1998年 ISOとIECが共同で RFIDの標準化に 動き出す 1999年 MITを中心にオート IDセンターが開設 RFIDシステムの歴史について④ 年代 日本における展開 主な利活用分野 主な利活用分野 欧米におけるトピックス 2000年代前半概要 日本において2000年に入ると、RFタグは普及に向け大きく動き出した。その理由としては以下の5点があ げられる。 ①社会・経済的にトレーサビリティに対するニーズが高まったこと。 ⇒1990年代後半から製造業において効率的な製造および流通プロセスの管理のためにSCMが注 目された。また2000年に入り、狂牛病など食品への不安が拡がり、正確な原料の生産地や流通 ルートなどの情報に対するニーズが高まった。このようなSCMや食品のトレーサビリティを実現す るツールとしてRFタグが注目された。 ②電波法が改正されたこと。 ⇒2002年に総務省は電波法の改正を行い、電波帯域の見直しを行った。改正により13.56MHz帯 の出力規制が緩和され、RFタグの利活用領域が大幅に拡がった。また2005年の電波法改正で は、UHF帯でのRFタグが認められた。 ③国の施策としてRFタグの普及を打ち出したこと(e-Japan)。 ⇒政府も国の事業としてRFタグ普及の施策を打ち出し、経済産業省・農林水産省・国土交通省を中 心とした各種の実証実験やガイドラインの策定が推進された。 ④ RFタグの小型化、低価格化が進んだこと。 ⇒半導体技術の大幅な進展によりRFタグの小型化が実現した。また2004年からは経済産業省主導 による「響プロジェクト」が立ち上げられ、低価格のRFタグが実現した。 ⑤RFIDの国際標準化活動の推進と国際規格制定団体が設立されたこと ⇒13.56MHzの国際規格化、ISO/IEC18000シリーズの管理用RFIDの国際標準化 ⇒EPCグローバル(オートIDセンター)やユビキタスIDセンターなどの団体が設立され、RFタグの標 準化に向けた動きが高まった。 世界的には、2005年に米国国防省や米国大手スーパーのウォルマートが納入業者にRFタグの貼 付を要求するなど、業界を超えたRFタグの採用が始まった。 RFIDシステムの歴史について⑤ 年代 1998 欧米におけるトピックス 日本における展開 FA以外のクローズ分野でもRFタグの利活用が活発化 イモビライザー イモビライザー 2002 主な利活用分野 主な利活用分野 セキュリティ セキュリティ アミューズメント アミューズメント 10月:電波法改正(13.56MHzの出力規制緩和 ) →読み取り距離の拡大、移動局での申請が認められ持ち運びが可能となった 2000年 IATAは、航空手荷 物にRFタグ貼付決 議 12月:ユビキタスIDセンター設立 回転寿司の精算管理 回転寿司の精算管理 2003 消耗品管理(プリンタトナーなど) 消耗品管理(プリンタトナーなど) 経済産業省、農林水産省、国土交通省を中心としたRFタグの実証実験が開始 8月:RFタグの経済波及効果は,2010年には9兆円~31兆円になると予測(総 務省) 図書館の蔵書、貸出管理 図書館の蔵書、貸出管理 2004 ETC ETC 子供の安全管理 子供の安全管理 6月:総務省・経済産業省「電子タグに関するプライバシー保護ガイドライン」策定 コンテナの位置管理 コンテナの位置管理 2005 2003年9月 EPCglobal設立 4月:電波法改正(UHF帯タグが利用可能) 靴の在庫・検品管理 靴の在庫・検品管理 重要文書の管理 重要文書の管理 2005年 米国国防省、米国 ウォルマート 納入業者にRFタグ の貼付を要求 補足:RFタグの出荷枚数推移 【RFタグの出荷額・出荷枚数の変化】 80 70 (億円) 出荷額 出荷枚数 (万枚) 出荷枚数は増加傾向 4500 4000 3500 60 3000 50 2500 40 出荷金額は、枚数当た りの単価低減にともな い、ほぼ横ばい 30 20 10 2000 1500 1000 500 0 0 2003年 2004年 2005年 2006年 (左:総務省統計資料、右:JAISA調べ) 補足:RFタグの方式と周波数 RFタグの方式は、大きく3つに分類されます。また同じ方式でも使用する周波数で特 性が異なります。以下の表は、方式別周波数別に特性を一覧にまとめたものです。 方式 電磁結合方式 電磁誘導方式 電波方式 400k~530kHz 長波 135kHz以下 短波 13.56MHz UHF 860M~960MHz マイクロ波 2.45GHz 10cm 約60cm 約70cm 3~5m 約1.5m 通信速度 遅い 普通 普通 早い 早い ノイズへの影響 強い 弱い 弱い 普通 普通 リーダーやタグ 間の干渉 影響が少ない 普通 普通 影響ある 影響ある 金属物による電 波反射の影響 影響が少ない 影響が少な い やや影響あり 影響を受け易 い 影響を受 け易い 複数タグの一括 読取 困難 比較的容易 比較的容易 比較的容易 比較的容 易 FA分野 イモビライ ザー・回転寿 司の精算管理 図書館の蔵書・貸出 管理回転寿司の精算 管理 米国ウォルマート の物流管理 コンテナ管 理 周波数 読取距離 (パッシブ型) 主な用途 (出展)各種資料によりJAISAにて作成 補足:利活用分野はクローズからオープンへ 現在は、企業内の工場や一部業務に閉じた形の利活用(クローズ)が主流ですが、今 後複数の企業や業界をまたがった利活用(オープン)が展開されると考えられます。 企業内の工場や一部業務に閉 企業内の工場や一部業務に閉 じた利活用(クローズ) じた利活用(クローズ) 【例えば】 工場の生産管理 工場の生産管理 図書館の蔵書・貸出管理 図書館の蔵書・貸出管理 ビルのセキュリティ管理 ビルのセキュリティ管理 回転寿司の精算管理 回転寿司の精算管理 複数の企業や業界にまた 複数の企業や業界にまた がった利活用(オープン) がった利活用(オープン) 【例えば】 書籍の出版社から書店までの 書籍の出版社から書店までの 物流管理 物流管理 家電の製造からリサイクルま 家電の製造からリサイクルま * でのトレーサビリティ でのトレーサビリティ*管理 管理 食品の生産者から小売までの 食品の生産者から小売までの * トレーサビリティ トレーサビリティ*管理 管理 *.トレーサビリティ : 製品・商品の生産・流通履歴を追跡する仕組み。トレーサビリティが実現することにより、 消費者から生産者にさかのぼって原料や生産・物流工程を追跡することが可能となる。 補足:RFタグとバーコード、2次元コードの比較 RFタグとバーコード、2次元コードの主な比較項目を一覧にまとめたものです。 RFタグ バーコード 2次元コード (QRコード) パッシブ・タグ*1 アクティブ・タグ*2 単価 やや安価~高価 (数十円~数百円) 高価 (数百円~1万円) 安価 (0円~数円) 安価 (0円~数円) リーダとの読取可能 距離 やや長距離 (数cm~数十cm) 長距離 (数cm~数十m) 短距離 (数cm~10m) 短距離 (数10cm) 汚れた時の読取 可能 困難 困難 情報の追加・書換 可能 不可 不可 極めて困難 容易 容易 可能 不可 (特殊なものは 一括読取可能) 不可 低容量 (数十バイト) やや大容量 (数キロバイト) 不正な複製 複数一括読取 記録可能な情報量 大容量 非常に大容量 (数十キロバイト~ 数Mバイト) *1.パッシブタグ :タグリーダから電力の供給を受け稼動すうRFタグ。 *2.アクティブタグ:電池内蔵型のRFタグ。 (数十キロバイト) (出展)各種資料によりJAISAにて作成
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