2010年度 慶應義塾大学商学部 財団法人経済広報センター寄附講座 リスク管理と企業経営 リスクファイナンス(2) リ ク ァイナ ( ) <再保険市場の役割> 2010年5月11日 ト ア再保険株式会社 トーア再保険株式会社 営業企画部 山田 廉 本日の内容 Ⅰ 再保険について 1. 1 2. 3. Ⅱ 再保険の種類 1. 2. Ⅲ 二つの分類方法 プロポーショナル再保険とノンプロポーショナル再保険 再保険マーケット 1. 2. 3. 4. 2010 再保険とは 再保険の目的と機能 再保険取引を規制する規範 再保険のプレーヤー 再保険取引の実態 マーケットサイクル ケッ サイク ART 1 Ⅰ.再保険について 1. 再保険とは・・・ ●「保険の保険 ●「保険の保険」 保険者が自己の負担する保険責任の一部または全部を、 他の保険会社に転嫁する取引 巨額保険契約の引合 →保険会社の採り得る選択肢 1. 自ら全額負担できないとの理由で、この申込を謝絶する。 2 他の保険会社と分担して契約を引受ける。(共同保険) 2. 3. 自己の負担能力を超えて全額を引受ける。 再保険(Reinsurance)が必要なとき 保険会社が自ら負担してもよいと考えられる額を超える保険契約を引受けた 場合 大災害によって多数の引受契約で高額の支払を強いられる可能性がある場合 (集積危険) 2010 2 Ⅰ.再保険について 1. 再保険とは 基本的用語 保有 出再/出再者 受再/受再者 1億 1億 保有 【契約者】 2010 再保険契約 「 受 再」 「 出 再」 火災保険契約 7,000万 3,000万 【元受保険会社】 (出再者) 【再保険会社】 (受再者) 3 Ⅰ.再保険について 1. 再保険とは 再保険の契約関係① 保険料の支払 保険金の支払 2010 再保険契約 (Reinsurance) 危険の転嫁 再保険料の支払 再保険金の支払 再保険者(受再者) 契 約 者 危険の転嫁 元受保険会社(出再者) 元受保険契約 (Primary Insurance) 4 Ⅰ.再保険について 1. 再保険とは 再保険の契約関係② 2010 再保険金の支払 危険の転嫁 再々保険料の支払 再保険料の支払 出 →再者) 保険金の支払 危険の転嫁 再々保険契約 (Retrocession) 再々保険金の支払 再々保険者(受再者) 保険料の支払 再保険契約 (Reinsurance) 再保険者( 受再者 契 約 者 危険の転嫁 元受保険会社(出再者) 元受保険契約 (Primary Insurance) 5 Ⅰ.再保険について 2. 再保険の目的と機能 2010 1 事業成績の安定化(リスクの平準化) 2 異常損害に対する備え(プロテクション) 3 引受能力の増加(補完) 6 Ⅰ.再保険について 2. 再保険の目的と機能 巨額の 保険金支払い 元受契約 再保険あり 再保険金 回収 経営は安定 被災 巨大リスク(高額契約) 集積リスク(同一事故に より、損害を被る可能性 のある契約集団) 再保険なし 経営に打撃 再保険の目的 (1)事業成績の安定化 (2)異常損害に対する備え (3)引受能力の補完 2010 7 Ⅰ.再保険について 2. 再保険の目的と機能 再保険による保有リスク集団の平準化 理想的な危険集団 現実の危険集団 保険が成立するための基本条件 不安定な危険集団 (大規模工場、船舶、旅客機) 非独立 保険金額が不揃い 保険金額が不揃い リスクが不揃い 契約件数が少ない 互いに独立した 均質のリスクを持つ 均質のリスクを持 同一保険金額の 多数の保険契約が存在すること 金額が均一 件数 多数 2010 件数 少数 再保険は擬似的な 「大数の法則」環境を実現させる 他社からの 受再 他社への出再 保有 成立 金額が不均一 大数の法則 再保険手配後の危険集団 (危険が均質化) 件数 多数 8 Ⅰ.再保険について 2. 再保険の目的と機能 保有リスク集団の平準化(例) 5億 2.5億 出再 2億 1億 保有 保険料 2010 A B C D E A B C D E 計 500万 500万 1,000万 1,000万 2,000万 5,000万 出再保険料 0 0 500万 600万 1,600万 2,700万 保有保険料 500万 500万 500万 400万 400万 2,300万 9 Ⅰ.再保険について 参考 世界の大規模支払保険金 高額保険損害上位10件(1970年 2008年) 高額保険損害上位10件(1970年~2008年) 順 保険損害額※ 位 米億 ドル 億円 年月日 (事故開始日) 1 713 66,124 2005年8月25日 2 246 22,770 1992年8月23日 3 228 21,177 2001年9月11日 4 5 203 200 18,861 18 548 18,548 1994年1月17日 2008年9月6日 6 147 13,614 2004年9月2日 7 138 12,842 2005年10月19日 ハリケーン・ウィルマ,豪雨,洪水 ハリケ ン ウィルマ,豪雨,洪水 8 111 10,315 2005年9月20日 9 92 89 8,510 8,278 2004年8月11日 1991年9月27日 ハリケーン・リタ,洪水, 石油掘削装置に被害 ハリケーン・チャーリー 台風ミレイユ/19号 10 ※2008年に物価スライド 2010 事故 ハリケーン・カトリーナ,洪水, 堤防と石油掘削装置に被害 ハリケーン・アンドリュー,洪水 世界貿易センタービル,国防省及び その他の建物に対するテロリスト攻撃 ノースリッジ地震(M6.6) ハリケ ン アイク 海上における損害 ハリケーン・アイク,海上における損害 ハリケーン・アイヴァーン, 石油掘削装置に被害 国名 米国,メキシコ湾,バハマ諸島, 北大西洋 米国,バハマ諸島 米国 米国 米国 カリブ海諸国 メキシコ湾 その他 米国,カリブ海諸国,メキシコ湾,その他 米国,カリブ海諸国,バルバドス, その他 米国,メキシコ,ジャマイカ,ハイチ, その他 米国,メキシコ湾,キューバ 米国,キューバ,ジャマイカ,その他 日本 (出典:Swiss Re, sigma No 2/2009) 10 Ⅰ.再保険について 参考 日本の大規模風水災等による支払保険金 過去の高額支払保険金(災害例) 順位 災害名 地域 年月日 支払保険金 (単位:億円) 1 台風19号 全国 1991年9月26~28日 5,679 2 台風18号 全国 2004年9月4~8日 3,874 3 台風18号 熊本、山口、福岡等 熊本 山口 福岡等 1999年9月21 25日 1999年9月21~25日 3 147 3,147 4 台風7号 1998年9月22日 1,600 5 台風23号 台風 号 西 西日本 本 2004年10月20日 年 月 1,380 , 6 台風13号 福岡、佐賀、長崎、宮崎等 2006年9月15~20日 1,320 7 台風16号 全国 2004年8月30~31日 1,210 8 平成12年 愛知等 9月豪雨 2000年9月10~12日 1,030 9 台風13号 九州、四国、中国 1993年9月3日 977 10 ひょう災 2000年5月24日 700 近畿中心 千葉、茨城 (出典:日本損害保険協会) 2010 11 Ⅰ.再保険について 3. 再保険取引を規制する規範 1 再保険取引と成文法 再保険の諸原則 ① 出再者は再保険契約を申し込む際に、受再者に対し単に 不実の表示を差し控えるだけでは十分ではなく 元受保険契約 不実の表示を差し控えるだけでは十分ではなく、元受保険契約 において適用される義務と同様に、全ての重要な事実を完全に 明らかにする義務を履行する。 2 ② ③ 2010 最大善意(信義誠実)(Utmost Good Faith)の原則 フォロー・ザ・フォーチュン(運命共同体)の原則 フォロ ザ フォ チ ン(運命共同体)の原則 (Follow the Fortunes) 再保険契約の独立原則 12 Ⅰ.再保険について 3. 再保険取引を規制する規範 再保険契約の独立原則 危険の転嫁 保険料の支払 保険金の支払 ○ 全額支払 × 再保険契約 (Reinsurance) 危険の転嫁 再保険料の支払 再保険者 契 約 者 元受保険契約 (Primary Insurance) 元受保険会社 出再者 再保険金の支払 ○ 回収不能 直接再保険者に対して保険金の請求はできない 2010 13 Ⅱ.再保険の種類 1. 二つの分類方法 契約 続き 契約手続き面の違いによる分類 違 る分類 責任分担方法による分類 2010 14 Ⅱ.再保険の種類 1. 二つの分類方法 契約手続き面の違いによる分類 再保険契約 任意再保険(略:任再) (Facultative Reinsurance) 元受契約1件毎に個別に再保険を手配 特約再保険(略:特約) (Treaty Reinsurance) 予め決めた一定の条件に合致した契約について まとめて再保険を手配 2010 15 Ⅱ.再保険の種類 1. 二つの分類方法 責任分担方法による分類 再保険契約 プロポーショナル再保険 (割合再保険) (Proportional Reinsurance) 保険金額建(Amount Basis) ノン・プロポーショナル再保険 (非割合再保険) (Non-Proportional Reinsurance) 保険金建(Loss Basis) 2010 16 Ⅱ.再保険の種類 1. 二つの分類方法 再保険契約の類型 プ ポ プロポーショナル任意再保険 任意 保険 (Proportional Facultative Reinsurance) 任意再保険(略:任再) ((Facultative cu ve Reinsurance) e su ce) ノン・プロポーショナル任意再保険 クォータ・シェア 特約 (Q (Quota Sh Share T Treaty)(略:Q/S) )(略 Q/S) (Non-Proportional Facultative Reinsurance) サープラス 特約 (Surplus Treaty) 特約再保険(略:特約) (Treaty Reinsurance) 義務再保険特約 (Obli t (Obligatory Reinsurance R i Treaty) T t ) プロポーショナル再保険特約 任意義務再保険特約 (Facultative Obligatory Reinsurance Treaty) (略:F/O) (Proportional Reinsurance Treaty) ノン・プロポーショナル再保険特約 ( (Non-Proportional p Reinsurance Treaty) 2010 超過損害額再保険特約 (Excess of Loss Cover) (略ELC) 超過損害率再保険特約 (Stop Loss Cover) 17 Ⅱ.再保険の種類 2. プロポーショナル再保険とノンプロポーショナル再保険 プ ポ シ ナル特約 プロポーショナル特約 クォータ・シェア特約(例:80% Q/S) 元 受 保 険 金 額 80% 20% A 2010 B C D E F 18 Ⅱ.再保険の種類 2. プロポーショナル再保険とノンプロポーショナル再保険 プ ポ シ ナル特約 プロポーショナル特約 サープラス特約(例:5 Line Surplus) 元 受 保 険 金 額 5Line 1Line A 2010 B C D E F 19 Ⅱ.再保険の種類 2. プロポーショナル再保険とノンプロポーショナル再保険 ノンプ ポ シ ナル特約 ノンプロポーショナル特約 ELC (Excess of Loss) 10億円 F. G. U. Limit ( (From the Ground Up Limit)) てん補限度額 (Cover Limit) 8億円 in i excess off 2億円 8億円 または エクセス・ポイント ( (Excess Point) ) 2億円 2010 損害保有額 (Underlying Retention) 2億円 2億円 超 8億円 (8億円 xs 2億円) と表記 20 Ⅲ.再保険マーケット 1. 再保険のプレイヤー(再保険取引の関係者) 2010 1 再保険専門会社 2 ロイズ 3 元受保険会社の再保険部門 元受保険会社 再保険部門 4 再保険ブローカー 再保険 カ 5 再保険プール 再保険プ ル 21 Ⅲ.再保険マーケット 1. 再保険のプレイヤー ロイズについて イズに いて 再保険会社 元受保険会社 契約者 ロイズ・ブローカー ロイズ(Lloyd’s) イ ( y ) シンジケート 出資 メンバー (ネーム) アンダーライター アンダーライター アンダーライター シンジケ ト シンジケート メンバー (ネーム) アンダーライター 2010 22 Ⅲ.再保険マーケット 参考 2008年度-世界の再保険グループ上位40社 順 位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 2008年 本店 正味収入 グループ(会社)名 所在国 再保険料 Munich Re ドイツ 29,076.8 Swiss Re スイス 24,296.0 Berkshire Hathaway Re アメリカ 12,123.0 Hannover Re ドイツ 10,196.3 SCOR フランス 7,499.6 Lloyd’s イギリス 6,701.9 R i Reinsurance Group G off America A i アメリカ 5 349 3 5,349.3 Transatlantic Holdings アメリカ 4,108.1 Partner Re バミューダ 3,989.4 Everest Re バミューダ 3,505.2 T ki Marine Tokio M i Group G 日本 2 778 3 2,778.3 XL Re バミューダ 2,402.6 Korean Re 韓国 2,226.9 Odyssey Re アメリカ 2,030.8 Transamerica Re (AEGON) アメリカ 1 928 3 1,928.3 Mitsui Sumitomo Insurance 日本 1,704.9 Mapfre Re スペイン 1,683.7 Sompo Japan Insurance 日本 1,660.9 Caisse Centrale de フランス 1 653 3 1,653.3 Réassurance Toa Re 日本 1,639.7 2010 順 位 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 単位:US$ Mil. 2008年 正味収入 再保険料 White Mountains Re バミューダ 1,607.2 AXIS Capital Holdings バミューダ 1,533.0 G General l Insurance I Corp. C off India I di インド 1 488 0 1,488.0 QBE Insurance Group オーストラリア 1,279.8 ACE Tempest Re バミューダ 1,265.5 Validus Holdings バミューダ 1,238.3 PARIS RE スイス 1 196 2 1,196.2 Arch Capital Group アメリカ 1,148.1 Aspen Insurance Holdings バミューダ 1,114.4 Aioi Insurance 日本 1,108.7 Platinum Underwriters Holdings バミュ バミューダ ダ 1 037 6 1,037.6 Deutsche Rueckversicherung ドイツ 987.9 R+V Versicherung AG ドイツ 882.0 Renaissance Re Holdings バミューダ 871.9 Endurance Specialty Holdings バミューダ バミュ ダ 808.8 Amlin Group イギリス 773.1 Catlin Group バミューダ 756.0 NIPPONKOA 日本 748.4 g Re バミューダ 694.7 Flagstone IRB-Brasil Resseguros ブラジル 652.0 グ グループ(会社)名 プ 本店 所在国 (出典:Standard & Poor’s “Global Reinsurance Highlights 2009 Edition”) 23 Ⅲ.再保険マーケット 1. 再保険のプレイヤー 再保険プ ル 再保険プール 1 2 地震保険(家計地震)の再保険処理 巨大地震発生 A特約 全額出再 巨額の保険金支払 3 損害保険会社の 元受社 日本地震再保険 B特約 担保力の限界 C特約 政府と損害保険会社 共同で再保険処理 (日本地震再保険社 (地再社)を経由) 2010 トーア再保険 日本政府 24 Ⅲ.再保険マーケット 2. 再保険取引の実態 世界の再保険料(推計) 世界の元受損害保険料 約USD 1,781,400,000,000 1 781 400 000 000 (約178兆円) 世界の損害再保険料 約USD123,100,000,000 約 , , , (約12兆円) 日本における再保険取引量(推計) 総出再保険料 2010 約4,000億円 25 Ⅲ.再保険マーケット 3. マーケットサイクル マーケットサイクルのイメージ図 マ ケットサイクルのイメ ジ図 再保険会社の競争激化・料率引下げ 巨大災害の発生 Haard 再保険業界 再保険マーケットの縮小 再保険料率の引上げ マーケットのハード化 ・Northridge EQ (1994) 再保険会社の競争激化・料率引下げ マーケットのソフト化 ・WTCテロ(2001) 1987 2006 ・Wintertorms-90A他(1990) ・台風19号(1991) ・Hurricane Andrew(1992) 新規資本の参入 2010 Soft 成績悪化⇒再保険会社の撤退・倒産 ・Winterstorm-87J(1987) ・Piper Alpha(1988) ・Hurricane Hugo(1989) ・Hurricane Katrina ( (2005) ) ・台風18号(1999) ・WinterstormsLothar/Martin(1999) 26 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) 地球温暖化、世界的な自然災害ロスの増加 再保険料率の上昇 キ パシテ の縮小 再保険料率の上昇、キャパシティの縮小 資本市場等を活用 資本市場等を活用した代替的リスク移転(ART)の発展 代替的リ ク移転( ) 発展 Cat Bond Weather Derivative Risk Swap 2010 27 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) Cat B C Bondd 自然災害をトリガーとして減額・没収が発生する債券 (JR東日本の取組例) 東京駅を中心とした一定のエリア Principal Reduction Factor JMA Magnitude Circle Event Amount Ring Event Amount ≧7 7 ≧7.7 100 0% 100.0% 100 0% 100.0% 7.6 100.0% 75.0% 7.5 100.0% 50.0% 74 7.4 100 0% 100.0% 37 5% 37.5% 7.3 100.0% 25.0% 7.2 75.0% 12.5% 7.1 50.0% - 7.0 25.0% - ≦6.9 - - ○の場合、債券の元本は全額没収される ○の場合 債券の元本は全額没収される △の場合、債券の元本が減額される ×の場合、債券の元本は減額・没収されない 2010 × M6.8 △ M7.5 △ M7.1 ○ M7.4 M7 4 × M7.0 ○ M7.8 ○△×いずれも震源地 28 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) C B Cat Bondd 証券化の仕組み モデリング会社 グ リスク評価 格付機関 格付 再保険料の支払 CAT Bondの発行 (保険リスクの移転) (保険リスクの移転) 資金 (再)保険会社 特別目的会社 (SPC) 再保険金の支払 機関投資家 利息の支払 元本償還 元利金の減額などが発生するトリガーの設定例 ① Index型: 型 マーケットロス等、損害額のIndex(指標) ケ ト 等 損害額 (指標) ② Parametric型: 自然災害発生の場所や強度などのParameter(変数) (例)地震→(気象庁発表の)マグニチュードや震度 台風→(気象庁発表の)中心気圧や通過地点 気 気 ③ Indemnity型: 保険会社が被った実際の損害額 ④ Modeled loss型: モデル上で被った損害額 2010 29 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) C B Cat Bondd デメリット メリット リット 発行者サイド 資本市場からの長期 キャパシティー調達 再 保 険 マ ー ケ ッ ト の 変動の影響を受けに くい 巨大リスクを証券化 することで小口化 2010 投資家サイド 株式・債券市場とリスク が連動せずポートフォ リオ構築に有利 比較的魅力的な利回り 較 魅 伝統的な再保険対比 で、現時点発行に コストと手間がかかる ベ ー シ ス リ ス ク の 問題 為替リスク(日本社の 場合)の存在 30 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) C B Cat Bondd Cat Bond発行例(日本社) Cat Bond発行残高(損保・全世界) (2009/8/31現在) (百万US$) 17,262 18,000 15,425 13,956 16,000 14,000 新規発行 既発行 12,000 10,115 1999/5 10,000 8,000 4,645 4,594 4,000 2,000 2002/5 6,441 , 6,000 714 895 1,005 1,884 2003/7 2,3792,802 20 09 20 08 20 07 20 06 20 05 20 04 20 03 20 02 20 01 20 00 19 99 19 98 19 97 0 (出典:Swiss Re Capital Markets) 2005年のハリケ ン カトリ ナ以降、再保険 2005年のハリケーン・カトリーナ以降 再保険 マーケットのハード化を受けて新規発行が増加し たが、2008年はリーマンショックを受けて急減 2010 発行 時期 1997/11 1998/6 2006/8 2007/5 2007/7 2007/10 2008/5 スポンサー (発行者) 東京海上(当時) 安田火災(当時) オリエンタルランド (東京ディズニーランド) ニッセイ同和損保 全国共済農業協同 組合連合会(全共連) 東京海上日動 三井住友海上 共栄火災 JR東日本 全国共済農業協同 組合連合会(全共連) 金額 (百万US$) 100 80 地震 台風 100 地震 70 200 120 110 260 地震 地震 台風 台風 台風 台風 地震 300 地震 470 リスク 31 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) W h D Weather Derivative i i 気温、降水量、積雪量等の気象変動や台風・地震による収益減少、支出増大を補償するリスク ヘッジ商品。 保険と異なり、実際の損害とは関係なく決済金が支払われるため、損害調査も不要であり、観測 期間終了後、比較的短期間で決済金が支払われる。 日本では、損害保険会社との契約を、銀行が仲介するケースが多い。 契約例 レジャー(テーマパーク、ゴルフ場、スキー場、ホテル、旅 館) 降雨、台風、地震、降雪、少雪などにより来場者が減少するリ 降雨 台風 地震 降雪 少雪などにより来場者が減少するリ スクをヘッジ 小売・飲食 降雨、台風、降雪などにより来店者が減少するリスクをヘッジ 飲料、アパレル、冷暖房機器、灯油、LPガス 冷夏や暖冬などにより売り上げが減少するリスクをヘッジ エネルギー(電力、ガス、石油) 冷夏や暖冬などにより売り上げが減少するリスクをヘッジ 建設、運輸 降雨、台風、降雪などによる作業遅延、遅配や防災対策に伴う コストが増加するリスクをヘッジ 2010 具体例(ゴルフ場における降雪リスク) • 雪が降るとクローズせざるを得ないため、このリスクをヘッジ 対象指標 : 降雪(午前9時の積雪量が3cmを記録した日数) 観測地点 : ○○県○○市、観測期間 ○○県○○市 観測期間 : 2007年1月1日~3月31日 2007年1月1日 3月31日 ストライク値 : 5日 支払額 : 1日につき 50万円、最大支払額 : 300万円 (6日分) プレミアム : 30万円 (損益:万円) 300 250 200 150 100 50 0 -50 (日数) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 32 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) W h D Weather Derivative i i 天候デリバティブ 日本マーケット規模 1999年 年 日本に初登場 (最大支払額ベース、推定) (億円) 800 700 600 500 400 300 200 100 0 近年の天候不順の影響により、 取引件数・契約額は増加している 日本市場規模は、推定約700億円 (世界市場規模は、推定約500億ドル) (世界市場規模 、推定約 億 ) 近年は、大口取引(電力会社・ガス会社) に加えて、小口の利用(商店・レジャー関連) が進ん が進んでいる る 2001 2002 2003 2004 2005 2006 (予測) 天候デリバティブの潜在市場規模は 1兆3000億円とも (出典:日経金融新聞) 2010 33 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) Ri k Swap Risk S Risk Swapのイメージ 日本の自然災害リスクと海外の 自然災害リスクの交換による、 リスクの平準化 リスク間の相関が低いことによ る分散効果→資本の有効活用 同じリスク量を交換することに よりゼロコストで取引が可能 A 日本Risk (風水災Risk 120億円) 欧米Risk (風災Risk 1億$) B A B A 平準化 再保険の相互取引により 行われる Risk Swap実施前 2010 Risk Swap実施後 34 Ⅲ.再保険マーケット 4. ART (代替的リスク移転) Ri k Swap Risk S 過去のRisk Swap取引例(日本社) 会社名 東京海上(当時) 三井住友海上 交換相手 米国State Farm スイス再保険 実施時期 2000/3 2003/8 交換リスク 日本の地震 ① 日本の風水災 ② 米国の地震 取引額 2010 US$$ 200million 米国 風災 欧州 風災 ① 12,000百万円 , 百万円 ② 計US$ 100million 35 ご清聴ありがとうございました 清聴ありがとう ざ ました 2010 トーア再保険株式会社 ト ア再保険株式会社 http://www.toare.co.jp/ p // jp/ 36
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