第2回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 東北支部会学術集会 会 期:平成26年8月2日(土) 会 場:東北大学医学部臨床講義棟 〒980-8574 会 臨床大講堂 仙台市青葉星陵町 1-1 長:黒澤 一(日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 支部長/東北大学大学院医学系研究科産業医学分野 東北 教授) 参加費:1,000円(学会員、非会員) ※学生は無料、必ず学生証をご提示下さい。提示のない場合は参加 費を申し受けます。 【会場案内図】 星陵キャンパスマップ 病院外来診療 病院正面玄関 <タクシー乗降場> 大学病院前 ←至 山形 国道 48 号線 大学病院前 会場:東北大学医学部臨床講義棟 交通局大学病院前 臨床大講堂(2F) ※現在医学部3号館工事に伴い、臨床講義棟北側の通常の出入口は使用出来ませんの で、南側の中庭に面した入口よりお入り下さい。 1 【プログラム】 開 場 9:30~ 開会の挨拶 10:00~ 会長:黒澤 一 先生(日本呼吸ケア・リハビリテーション学会東北支部長/ 東北大学大学院医学系研究科産業医学分野 教授) 1.一般演題 セッション1 座長:高橋 10:00~11:50 10:00~10:50 識至 先生(NTT東日本東北病院 1)東北大学大学院医学系研究科産業医学分野 呼吸器内科部長) 新國 悦弘 先生 「肥満患者の減量療法と姿勢変化が呼吸機能へ及ぼす影響」 2)東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野 高橋 珠緒 先生 「肥満患者の減量療法実施前後での呼吸機能検査値変化」 3)一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院リハビリテーションセンター 八木田 裕治 先生 「6分間歩行試験における脈拍数の変動に関する検討」 4)秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座 佐藤 瑞騎 先生 「缶詰-棚上げ試験(GST)による COPD 患者の呼吸循環反応と上肢運動機能評価 法としての有用性の検討」 5)秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座 岩倉 正浩 先生 「3軸加速度計による四つ這い時間測定方法の検討:COPD 患者への応用を目指し て」 6)石巻赤十字病院 千葉 史 先生 「石巻地域 COPD ネットワーク(ICON)患者の QOL に影響を及ぼす因子」 (休憩) セッション2 座長:塩谷 10:50~11:00 11:00~11:50 隆信 先生(秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法講座 7)NTT 東日本東北病院看護部 阿部 香奈子 教授) 先生 「心理的問題を抱えた COPD 患者への呼吸ケアサポートチームによる包括的アプローチ」 8)NTT 東日本東北病院看護部 三塚 由佳 先生 「キャンピングカーでお遍路に行った在宅酸素療法中 COPD 患者の一例」 9)須藤内科クリニックリハビリテーション科 藤村 勇人 先生 「訪問リハビリで長期間携わった COPD の 1 例〜増悪に着目して〜」 10)NTT 東日本東北病院リハビリテーション科 佐野 桜 先生 「作業療法士からの視点で関わった終末期間質性肺炎の一症例」 11)須藤内科クリニックリハビリテーション科 平林 大輔 先生 「在宅 ALS 患者への訪問リハで経験された呼吸管理に関するトラブル」 12)三友堂病院栄養管理室 岡田 沙希 先生 「当院における包括的呼吸リハビリテーションの立ち上げと取り組み」 2 (休憩) 11:50~12:00 2.教育セミナー(共催:チェスト株式会社) 12:00~12:50 座長:池田 英樹 先生(三友堂病院第一診療部長/呼吸器内科医長) 講師:小川 浩正 先生(東北大学大学院医学系研究科産業医学分野 准教授) 『呼吸管理における睡眠時酸素飽和度測定の有用性』 (休憩) 12:50~13:20 この間、13:00 より代議員会を開催します。 (場所:東北大学医学部臨床講義棟 臨床中講堂) 3.教育講演Ⅰ 13:20~13:50 座長:中田 隆文 先生(須藤内科クリニックリハビリテーション科 講師:児玉 俊恵 先生(至誠堂総合病院リハビリテーション科) 科長) 『嚥下障害への取り組み~歯科診療科のない病院での歯科衛生士の役割』 4.教育講演Ⅱ 13:50~14:20 座長:高橋 仁美 先生(市立秋田総合病院リハビリテーション科 講師:岡本 智子 先生(東北大学病院栄養管理室 技師長) 室長) 『慢性閉塞性肺疾患 COPD の栄養管理~栄養評価指標とゴールの設定~』 (休憩) 5.特別講演 14:20~14:30 14:30~15:30 座長:上月 正博 先生(東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野 講師:香取 幸夫 先生 教授) (東北大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野 教授) 『嚥下障害・誤嚥に対する手術治療』 閉会の挨拶 15:30~ 3 【一般口演について】 1)一般口演発表は質疑応答を含めて 8 分(口演 6 分、質疑応答 2 分)です。 2)発表には Windows7(Office2010 搭載)の PC を使用します。アプリケーションは Windows 版 PowerPoint2003/2007/2010 に限らせて頂きます。 PC 持ち込みは不可です。 3)パソコンの持ち込みは対応していませんので、データは全て USB メモリにてご持参 下さい。動画、音声の再生には対応していません。 4)発表予定時刻の 30 分前までに USB メモリを演者受付にお持ちいただき、受付を済 ませて下さい。 5)発表時スライドは演台のパソコンをご自身で操作して頂きます。 【単位について】 1.呼吸ケア指導士認定単位取得:出席者 10 単位、発表者 10 単位 2.3 学会合同呼吸療法認定士資格更新単位取得について a. 出席 20 点 b. 呼吸療法に直接関連した演題の第 1 演者 20 点(共同演者 10 点) c. 講師として講義・講演した場合 30 点 3.日本呼吸器学会呼吸専門医資格更新単位取得:出席者 2 単位 【事務局】 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町 1-1 東北大学大学院医学系研究科産業医学分野内 第2回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会東北支部会学術集会事務局 TEL:022-717-7874 FAX:022-717-7883 E-mail:[email protected] 4 セッション1-1) 肥満患者の減量療法と姿勢変化が呼吸機能へ及ぼす影響 ~広域周波オッシレーション法を用いての検討~ 新國悦弘 1),荒川 梨津子 1),佐藤 舞 1),大久 典子 1),森 信芳 2), 上月 正博 2),大河内 眞也 1),色川 俊也 1),小川 浩正 1),黒澤 一 1) 1)東北大学大学院産業医学分野 2)東北大学大学院内部障害学分野 【背景と目的】 肥満者は標準体重者と比較すると機能的残気量(FRC)や呼気予備量(ERV)が低下し,また座位 から仰臥位への姿勢変化は FRC や ERV を減少させる。本研究の目的は,肥満患者に対する減 量療法が呼吸機能へ及ぼす影響を検討することである。 【対象と方法】 対象は,東北大学病院へ入院し理学療法が処方された,肥満患者 7 名(男性:4 名,年齢: 41.3±15.7 歳,身長:163.0±10.8cm,体重:110.5±27.6kg,BMI:41.6±9.9 ㎏/m2)とし た。測定は,理学療法の初回時と終了時に広域周波オッシレーション法による呼吸抵抗検査, スパイロメトリー検査を座位,仰臥位で測定した。呼吸抵抗(R5,R20),呼吸リアクタンス (X5), R5-R20,各肺気量分画を数値解析に用いた。 【結果】 理学療法終了時の体重は 103.0±24.4 ㎏,BMI は 39.1±9.4 ㎏/m2 となった。R5 および R20, R5-R20 の平均値は,減量前後ともに座位と比較すると仰臥位で高値となり,X5 の平均値は仰 臥位で低値となった。肺活量と ERV の平均値は座位で高値となり,両姿勢とも減量前と比較 すると減量後に増加した。最大吸気量の平均値は,ERV の逆の変化を示した。 【結論】 肥満患者の減量は,肺気量のみならず呼吸抵抗や呼吸リアクタンスに変化を示した。また減 量は仰臥位での呼吸抵抗にも影響を与えた。 5 セッション1-2) 肥満患者の減量療法実施前後での呼吸機能検査値変化 ○ 高橋珠緒、三浦平寛、田澤 泰、鈴木 文歌、坂田 佳子、森 信芳、 海老原 覚、伊藤 修、上月正博 東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野 <はじめに> 肥満患者の呼吸機能の特徴と体重減量による効果について検討する。 <対象> 2011 年 11 月から 2014 年 6 月まで当科で運動療法を施行した肥満症患者 <方法> 個々の症例で、食事療法と運動療法による減量をすすめた。減量前後にスパイロメトリ―を 施行し、VC, %VC, IC, ERV, FEV1.0, %FEV1,0, PEF, V50,V25,V50/V25 の変化について検討した。 <結果> 入院時のスパイロメトリ―では、BMI の高い例で ERV の低下傾向を認めた。減量前後の比較 では、VC, FEV1.0, ERV に改善を認めた。 <考察> 体重減量により VC が増加し、それはスパイログラムの吸気相より呼気相に反映する事が分か った。腹腔内脂肪減少による横隔膜の下方偏位、肺コンプライアンスの改善などが一因とし て考えられる。 6 セッション1-3) 6 分間歩行試験における脈拍数の変動に関する検討 ○八木田裕治 佐々木貴義 福地望 佐藤恵美 加藤悠介 馬上修一 坪井永保 加藤光恵 一般財団法人 慈山会医学研究所付属 坪井病院 リハビリテーションセンター 【はじめに】 6 分間歩行試験(以下 6MD)中には動脈血酸素飽和度(以下 SpO2)の連続測定が行われるが、正確 に測定できているか判断するために脈拍数の変動を観察することは重要である。 【目的】 COPD 患者を対象に 6MD 中の脈拍数の変動を検討する 【方法】 安定期 COPD 症例 5 例、 全例入院中の症例である。 6MD 中に PULSOX-SP を用いて 10 秒毎に SpO2、 脈拍数を測定し、さらに修正 Borg スケールを聴取する。必要に応じてホルター心電計を用い 6MD 中の心電図モニターを行う。 【結果ならびに考察】 運動負荷により脈拍数は通常増加するが、10 秒毎のモニターで脈拍数の変動が著しい症例が あり、それらに対してホルター心電計によるモニターを行った。その結果、発作性の不整脈 が発見された症例もあり、6MD 中の SpO2 の連続測定による脈拍数の観察はアーチファクトの 発見など SpO2 の妥当性の確認のみならず、安静時にはわからない不整脈などの発見にも寄与 すると考えられる。今後症例数を増やし検討を続けていきたい。 7 セッション1-4) 缶詰-棚上げ試験(GST)による COPD 患者の呼吸循環反応と 上肢運動機能評価法としての有用性の検討 ○佐藤 瑞騎 1,2 倉田 昌一 1 米沢 将和 1 進藤 侑 1 伊藤 あずさ 3 岩倉 正浩 2,4 川越 厚良 4 照井 佳乃 2,5 佐竹 將宏 2 塩谷 隆信 2 1: 大曲厚生医療センターリハビリテーション科 2: 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法学講座 3: 山本組合総合病院リハビリテーション科 4: 市立秋田総合病院リハビリテーション科 5: 秋田県立病院機構リハビリテーション・精神医療センターリハビリテーション科 【目的】 缶詰-棚上げ試験(GST)の呼吸循環反応と上肢機能との関連,日常生活における上肢運動機 能評価法としての有用性を検討する。 【方法】 COPD 患者 10 名(75±9 歳),健常高齢者 10 名(69±10 歳),健常若年者 10 名(21±1 歳) を対象に GST と UIULXT を実施し,呼吸代謝,心拍数,血圧,修正ボルグスケール(BS)を測 定した。次に両試験と呼吸機能,呼吸筋力,握力,PFSDQM,修正 MRC,上肢・全身活動量 との関係を検討した。 【結果】 GST は 2.3±0.2 METs であり,UIULXT より VCO2/kg,SBP,SpO2,上肢・全身 BS で有意に 低値を示した。GST time は COPD 群 44.1±10.7 秒,高齢者群 38.9±3.7 秒,若年者群 31.9± 2.8 秒であり,握力,上肢活動量と負の相関,PFSDQM,修正 MRC と正の相関を認めた。【結 論】GST は負荷が比較的小さい試験であり,日常生活の呼吸困難感,上肢疲労感および上肢 活動量を評価できる可能性が示唆された。 8 セッション1-5) 3 軸加速度計による四つ這い時間測定方法の検討:COPD 患者への 応用を目指して ○岩倉正浩 1,2,佐藤瑞騎 2,3,伊藤あずさ4,坂田俊一5,川越厚良 1,佐竹將宏 2, 菅原慶勇 1,高橋仁美 1,塩谷隆信 2 1)市立秋田総合病院リハビリテーション科 2)秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻理学療法講座 3)大曲厚生医療センターリハビリテーション科 4)山本厚生医療センターリハビリテーション科 5)くまもとテクノ産業財団産学連携推進センター 【背景】 四つ這いは歩行不可能な高齢者の移動手段の 1 つである.我々は息切れのため四つ這いで移 動していた COPD 患者を経験している.現在 3 軸加速度計を用いた四つ這い時間測定は行わ れておらず身体活動量として定量化できていない.今回,四つ這いを含めた身体活動量評価 の COPD 患者への応用を目指し,四つ這い時間測定方法を検討した. 【目的】 3 軸加速度計による四つ這い時間測定方法とその妥当性を検討する. 【対象と方法】 健常学生 5 名を対象に 3 軸加速度計による四つ這い時間測定方法を検討した(実験 1).健常学 生 11 名を対象に測定方法の妥当性を Bland-Altman 分析にて検討した(実験 2). 【結果】 測定方法は体幹部端末傾斜角度が>40°で立位,歩行,≦40°で四つ這い位・移動となった(実 験 1).立位,歩行,四つ這い位・移動でわずかな加算誤差を認めた(実験 2). 【結語】 3 軸加速度計による四つ這い時間測定が可能である.今後この方法を COPD 患者へ応用する 予定である. 9 セッション1-6) 石巻地域 COPD ネットワーク(ICON)患者の QOL に影響を及ぼす因子 ○千葉史 宮本恵子 阿部なつみ 櫻井恵 高橋純子 松本裕樹 花釜正和 小林誠一 矢内勝 石巻赤十字病院 【背景・目的】 昨年の調査では、息切れや低い運動耐容能・鬱が低い QOL の影響因子なることを報告した。 しかし単回調査のため QOL の経時的な変化やそれに影響する因子が不明であるため、今回縦 断調査による解明を行った。 【方法】 期間:2012 年 5 月~2014 年 4 月 対象:ICON 登録患者で GOLD 病気分類Ⅲ、Ⅳ期の 58 名 方法:前期(2012 年 5 月~2013 年 4 月)と後期(2013 年 5 月~2014 年 4 月)に分けて①CAT の合計点数の変動と影響因子(%1 秒量、HADS、MRC、6MWT、自己管理行動、社会サポー ト、趣味、役割、増悪回数)を調査。②CAT を合計点数と症状、活動、精神の項目点数にお いて、前期・後期の点数変動が 2 点以上増加を悪化群、2 点以上減少を改善群とし、改善と 悪化に影響する因子を両群間で比較検討した。 【結果】 CAT 合計は前期に比べて後期は減少傾向にあったが有意差はみられなかった。その減少に傾 向に影響する因子はなかった。 改善群と悪化群の比較では CAT 合計と活動項目の高点数 MRC の悪化に有意差を認めた。 【考察】 CAT 全体では減少傾向にあった。改善群と悪化群で異なる要素を検証したが明確な因子は明 らかにならなかった。本研究は症例数が少ないため今後症例数を増やし検証を重ねる必要が ある。 10 セッション2-7) 心理的問題を抱えた COPD 患者への呼吸ケアサポートチームによる 包括的アプローチ ○阿部香菜子1) 三塚由佳1) 尾形知美2) 佐野桜2) 1)NTT東日本東北病院 看護部 2)NTT東日本東北病院 リハビリテーション科 3)NTT東日本東北病院 内科 高橋識至3) 【はじめに】 COPD 増悪で入院となり心理的問題を抱えた患者に対し,呼吸ケアサポートチーム(RST)の 介入により,行動変容に効果があった症例を報告する. 【症例】 60 代男性の在宅酸素療法中最重症 COPD 患者.無職,独身で両親・弟夫婦と同居. 【経過】 入院前から入浴・散髪・髭剃りの拒否があり,入院時の半構成的面談にて,孤立感や呼吸苦 増強への不安感が抽出された. RST でミーティングを重ね介入内容を検討し,呼吸困難を感 じやすい労作に対する対処法の指導と作業療法士による入浴などの ADL 訓練,家族やデイサ ービスとのカンファランスの実施,療養日誌記載とアクションプランの指導をした.退院後 はデイサービスで入浴を週 3 回行うことができており,散髪もしていた.家族内での役割を, 患者本人が「両親の肩揉み」と設定し,実践していた. 【考察】 RST で身体的側面のみならず心理的側面を包括的に評価することが重要で,患者の病気を家 族や患者を取り巻く人達にも理解してもらうことが,患者の行動変容には必要と考えた. 11 セッション2-8) キャンピングカーでお遍路に行った在宅酸素療法中 COPD 患者の一例 ○三塚由佳1) 安達哲也2) 飯田聡美1) 藤原裕太3) 高橋識至2) 1)NTT東日本東北病院 看護部 2)NTT東日本東北病院 内科 3)NTT東日本東北病院 リハビリテーション科 【はじめに】 在宅酸素療法(HOT)の必要な重症 COPD 患者が,キャンピングカーでお遍路に行くという目 標達成のため,呼吸ケアチームが介入した症例を報告する. 【対象】 69 歳男性の COPD 患者.1年前に HOT 導入とともに包括的呼吸リハビリテーションを行い, 現在維持リハビリ中. 【経過】 旅行に関する問題点を抽出し,患者と家族,HOT プロバイダーを交えて,呼吸ケアチームに おいてその対策を講じた.主な問題点は,お遍路に伴う階段昇降,キャンピングカーでの宿 泊の際に現在の酸素濃縮器で対応することが困難,旅行直前の増悪により増悪時の対応に不 安が生じたことであった.その対策として,階段昇降に耐えうるリハビリメニューの検討, 車内でも使用可能な携帯濃縮器への変更と酸素流量の調整,アクションプランの再設定と生 活指導を行った.その結果,問題なく 11 日間の旅行を全うすることができた. 【考察】 COPD 患者は重症になるにつれ達成目標の設定が困難となるが,本事例は,一見困難と思える 達成目標でも,呼吸ケアチームの介入によって達成可能となる場合があることを示した. 12 セッション2-9) 訪問リハビリで長期間携わった COPD の 1 例〜増悪に着目して〜 ○藤村勇人 中田隆文 医療法人杉の子会須藤内科クリニックリハビリテーション科 【症例】 79 歳、男性。COPD(GOLD3)。個人情報の使用について充分に倫理的配慮を行った。 【経過】 平成 14 年 1 月に COPD で投薬開始。平成 16 年 8 月より訪問呼吸リハ、平成 21 年 6 月に HOT、 平成 25 年 6 月に夜間 NPPV 追加し、平成 26 年 3 月に永眠するまでの 13 年間、在宅にて療養 された。13 年間で増悪回数は 7 回で、診断から訪問リハ開始までの期間での増悪は 1.13 回/ 年、訪問リハ介入後は 0.42 回/年。訪問リハは週 1 回、コンディショニング、下肢運動療法、 呼吸筋力トレ、自主トレーニング指導、自宅療養指導を行った。 【考察】 GOLD3 の増悪回数は 1.1〜1.3 回/年、入院回数は 0.25〜0.3 回/年であるが、本例では訪問リ ハ介入後より下回った。感染予防、健康日誌、増悪に対するアクションプラン、インフルエ ンザ、肺炎球菌ワクチンの接種、積極的な吸入療法、運動療法の継続が理由と考えられる。 高齢者でもセルフマネジメント能力が高いと予後が良好と思われた。 13 セッション2-10) 作業療法士からの視点で関わった終末期間質性肺炎の一症例 ○佐野桜 1) 藤原裕太 1) 尾形知美 1) 谷代華織 1) 高橋識至 2) 1)NTT東日本東北病院 リハビリテーション科 2)NTT東日本東北病院 内科 【はじめに】 急速な ADL 低下が起こった終末期の間質性肺炎症例に対し,作業療法士(OT)が介入した一例 を報告する. 【症例】 80 代男性.7 年前に間質性肺炎の診断を受け,呼吸リハ目的で当院紹介.BI 95 点,NRADL 32 点.入浴時 SpO2 67%(O2 6L), Borg 9.希望は「人に迷惑を掛けたくない」. 【経過】 初回入院時,呼吸困難により入浴を中心に ADL が障害されたが,改善し退院.その後の増悪 入院では特に食事が障害されたが改善.しかし入院中に再増悪し,起居動作だけで著しい低 酸素血症が現れるほど症状が進行したが,その状態でも寝たきりになりたくないという訴え があった.OT では初回入院時には入浴動作,増悪入院時には食事動作,再増悪時にはベッド サイドでのトイレ動作など,問題となる ADL を評価し,動作練習や自助具の作成などを行な った. 【結果】 ADL 動作指導や環境調整などを通し,病期に合った ADL を獲得できた. 【考察】 終末期間質性肺炎の患者に対し OT の視点から関わることで,急速な変化に対応した ADL 指導 ができ,患者の意思を尊重することができると考えた. 14 セッション2-11) 在宅 ALS 患者への訪問リハで経験された呼吸管理に関するトラブル ○平林大輔、佐々木謙、岩村和幸、及川裕之、中田隆文 須藤内科クリニック リハビリテーション科 【はじめに】 ALS 患者は症状の進行により呼吸障害を引き起こすが、在宅で呼吸管理を受ける患者もある。 当院では在宅 ALS 患者に対する訪問リハを実施している。 【対象】 平成 16 年 4 月〜平成 26 年 5 月までに、当院訪問リハを利用した ALS 患者 48 例。 【調査】 当院訪問リハで経験した呼吸に関する問題点(呼吸トラブル)をカルテより調査。 【結果】 トラブル 118 件中、呼吸トラブルは 80 件(68%)。うち、喀痰喀出困難 39 件(49%)、在 宅医療機器トラブル 38 件(48%)、鼻閉、呼吸困難、迷走神経反射各 1 件(各 1%)。 【考察】 ALS 患者の生命維持に呼吸管理は重要な問題であるが、今回の調査でも気道管理に関係する トラブルが多かった。トラブルには訪問したセラピストが状況を判断し、気道確保、主治医 への連絡などの対応を取っていた。症状や残存機能の評価により、事前にトラブルを回避で きる可能性がある。訪問リハは地域医療連携、気道確保、機器トラブルシューティング、災 害対策などの理解が必要である。 15 セッション2-12) 当院における包括的呼吸リハビリテーションの立ち上げと取り組み ○岡田沙希 1)二宮久美子 1)菅野英雄 2)宮坂怜 2)後藤忠幸 2)高橋康 3) 山口武子 3)池田英樹 4) 三友堂病院 栄養管理室 1) リハビリテーション室 2) 看護部 3) 呼吸器内科 4) 【はじめに】 2001 年より COPD の栄養管理に取組み、当院にとっては栄養カウンセリングの導入など体重 を指標としたタイムリィな栄養介入の有効性が示されていた。しかし、患者の QOL を確保す るためには、診療科の垣根を越えた早期発見やチームによる介入が重要であることを確信し た。そこで、管理栄養士が中心となり包括的呼吸リハビリテーションを立ち上げた。その経 緯と方向性を報告する。 【経過】 ①コア会議 2 回/月 COPD 質問票からの患者抽出 ②全体会議 1 回/月 ケースカンファ システム構築検討(フロー、帳票作成、評価体制等) ③医師会主催生活習慣病セミナーシンポジストで発表 ④地域連携システムの導入 【考察】 定期的な評価のもとに効果を判定し、プログラムを再評価する。また、外来診療・在宅医療・ 地域住民への啓蒙など実施形態の検討を行い、重症度に応じて求められるリハビリテーショ ンを構築していきたい。さらに、当地域の呼吸ケアを担う病院として、包括的呼吸リハビリ テーションの認知度向上により地域連携を強化した活動をしていきたい。 16 教育講演Ⅱ) 慢性閉塞性肺疾患 COPD の栄養管理~栄養評価指標とゴールの設定~ ○岡本 智子 先生 東北大学病院栄養管理室 室長 COPD における栄養障害の評価法と治療方針の基本については、わが国の患者教育に関する呼 吸リハビリテーションマニュアルに示された。しかしながら、実際の臨床の現場では、未だ に患者自身が栄養状態の悪化の程度がわからないまま十分な栄養がとれずにいることが多い。 考えられる原因は、①患者に対して栄養療法の意義がきちんと説明されておらず患者自身が 栄養障害に陥ったことにもそれが進行し続けていることも気づいていない、②栄養療法の介 入がすでに遅すぎる、③患者の状態に応じた具体的な食事指導がされていない、などである。 つまり、医療者側ではやせてきた患者に「栄養つけましょうね」と一方的に声がけするもの の、患者側では何が不足し、食事のどの部分を補っていけばよいのか具体的なことが理解で きないままでいるということである。 COPD ならびに慢性呼吸不全患者の栄養管理の重要性への認識は高まっているが、慢性疾患の 栄養介入についてはゴールの設定が難しく、またその効果が見えにくいことも積極的な関与 がしづらい一因と言える。 栄養介入にあたっては栄養状態の評価を基に問題点を明確にし、それぞれの患者の目的(ゴ ール)に向かって、医療者だけではなく患者と共に情報を共有しつつ互いに栄養に対する意 識を高めるプロセスが重要となる。他の包括的な治療とともに、患者の栄養状態の改善およ び維持を目指すことが、患者自身の QOL の向上にも繋がっていくと考える。 今回、多職種と連携を取りながら関わったら症例を基に、COPD の栄養管理について述べたい と思う 17
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