Title Veillonella parvula KN-2株の抗腫瘍活性物質の状況について

Title
Veillonella parvula KN-2株の抗腫瘍活性物質の状況について
Author(s)
馬場, 利人
Citation
博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査結果の要旨/金
沢大学大学院医学研究科, 平成5年7月: 77
Issue Date
1993-07
Type
Others
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/2297/15095
Right
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学位授与年月日
平成4年12月16日
氏名
馬場利人
学位論文題目
VeillonellaparvulaKN-2株の抗腫瘍活性物質の性状について
論文審査委員
主査
教授
副査
教授
中村
教授
正,印
山本
秀一達
医博乙第1209号
悦信
学位授与番号
内容の要旨および審査の結果の要旨
Veillonellaparvula(V・parvula)KN-2株の超音波処理上清液(supernatantofsonicated
cells,SS)中に存在する抗腫瘍活性物質をSarcomal80(S-180)細胞に対する細胞増殖抑制活性
および殺細胞活性を指標に部分精製し,その物理化学的性状について検討した。また,フローサイトメト
リーにより細胞周期に対する影響を検討した。細胞増殖抑制活性,殺細胞活性の測定はトリパンブルー色
素排除能テストを用い総細胞数と生細胞数を求めることにより行った。
得られた成績は以下の如くである。
1.まず,SSを硫酸アンモニウム塩折した結果,20%飽和から70%飽和の画分に活性物質が塩析され
た。この画分に対しフェニールセファロースCL-4Bカラムを用いたハイドロフォーピッククロマ
トグラフィーを行った結果,リン酸緩衝液による溶出画分fr28-38に強い細胞増殖抑制活性が認め
られた。fr28-38画分を分画分子量100のセルロースエステルチュープスペクトラ/ボアCEを用い
濃縮した後,スーパーロース12によるゲル濾過を行った。その結果,分子量約1,300の画分(fr39)
に最も強い細胞増殖抑制活性,殺細胞活性が認められた。
2.fr39画分を部分精製抗腫瘍物質として,その物理化学的性状について検討した。1)本抗腫瘍活
性物質は,セルロースチューブに対しては透過性であったが,セルロースエステルチュープスペクト
ラ/ボアCEに対しては非透過性であった。2)100℃の加熱に対しては安定であった。3)トリプシン
およびプロティナーゼKに対しては抵抗性を示した。4)活性物質は核酸画分には存在しなかった。5)
クロロホルム,酢酸エチル,ブタノールに対して難溶解性であったが,アセトンに対しては易溶解性
であった。6)フローサイトメトリーによりS-180細胞の細胞周期に対する影響を検討したところ,
8期およびG2(+M)期に細胞の集積が認められた。
以上の結果は,V・parvulaKN-2株の抗腫瘍性物質は約1,300の分子量を有し,蛋白質や核酸以外
の物質であり,かつ脂質を含んでいないことを示唆している。また,本物質はDNA合成阻害活性を有し
ていることを示している。
以上,本研究は口腔内分離菌株であるMparvulaKN-2株の抗腫瘍活性物質の性状を明らかにし
たものであり,腫瘍学,医学細菌学に寄与する価値ある労作と評価された。
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