MRI Daily Economic Points 中国経済の構造VAR分析 図表 September 22, 2011 データ分析 評価ポイント 中国の構造VARモデルにおけるインパルス応答 中国経済を分析するために、構造VARモデルを作成した。 GDP、政策金利、為替レート、物価の4変数からなるモデ ルとした。 マクロ経済に影響を与える本源的なショック(“構造ショッ ク”)を抽出するために、構造ショック同士に相関がない という仮定を置き、さらに、変数間の同時決定関係に一 定の制約を仮定した(リカーシブ制約)。 以上のセッティングをもとに、独立なショックが生じたとき に経済がどうふるまうかを分析することができる。想定し たショックは、金融政策ショック(政策金利の予想外の引 き上げなど。左図「shock1」)、総需要ショック(たとえば 米国経済などの外需など。左図「shock2」)、物価にか かるショック(たとえば原油価格上昇などのコストショック など。左図「shock3」)、為替にかかるショック(左図 「shock4」)、の4つである。 特徴的なのは、政策金利引き上げによるGDPへの影響 は必ずしも強くなく(左図のResponse of Y to Shock1、 青点線囲み)、むしろ為替レートにおけるショックが生産 に与えるインパクトが大きいことである(左図の Response of Y to Shock4、赤点線囲み) 。また、利上 げによる影響が効き始めるタイミングのラグは、3-4四 半期程度あることもわかった。これは、金融市場の整備 が進んでいないことなどから、政策の浸透が遅いことな どが背景に考えられる。 なお、以上は分析の一例に過ぎないため、幅をもってみ られたい。 Accumulated Response to Structural One S.D. Innovations ± 2 S.E. Accumulated Response of R1N to Shock1 Accumulated Response of R1N to Shock2 Accumulated Response of R1N to Shock3 Accumulated Response of R1N to Shock4 2 2 2 2 1 1 1 1 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -2 -2 -2 2 4 6 8 10 2 4 6 8 10 Accumulated Response of Y to Shock2 Accumulated Response of Y to Shock1 -2 2 4 6 8 10 2 Accumulated Response of Y to Shock3 1 1 1 1 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 2 4 6 8 2 10 Accumulated Response of CPI to Shock1 4 6 8 10 2 Accumulated Response of CPI to Shock2 4 6 8 10 2 Accumulated Response of CPI to Shock3 3 3 3 2 2 2 2 1 1 1 1 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -2 2 4 6 8 10 -2 2 Accumulated Response of EXR to Shock1 4 6 8 10 4 6 8 10 2 Accumulated Response of EXR to Shock3 15 15 15 10 10 10 10 5 5 5 5 0 0 0 0 -5 -5 -5 -5 -10 2 4 6 8 10 -10 2 4 6 8 10 10 4 6 8 10 4 6 8 10 Accumulated Response of EXR to Shock4 15 -10 8 -2 2 Accumulated Response of EXR to Shock2 6 Accumulated Response of CPI to Shock4 3 -2 4 Accumulated Response of Y to Shock4 -10 2 4 6 8 10 2 4 6 8 10 注: 注:図中のR1Nは金利、YはGDP、CPIは物価、EXRは為替レートを示す。Shock1は金利にかかわる構造ショック、Shock2はGDPにかかわる 構造ショック、Shock3は物価にかかわる構造ショック、Shock4は為替にかかわる構造ショックである。例えば、Response of Y to Shock1は、 Shock1(金利にかかわる構造ショック)に対するY(GDP)の反応を意味する。 資料:三菱総合研究所による試算。 担当: 政策・経済研究センター 大島一宏 Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc. ℡03-6705-6087
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