学報22号(2006年6月発行)PDF 1.7MB - 長野県看護大学

№22
H18.6
発行:長野県看護大学渉外委員会 〒399‐4117 長野県駒ヶ根市赤穂1694 Tel 0265‐81‐5100
ホームページ(http://www.nagano-nurs.ac.jp/)
新カリキュラム始まる
新カリキュラム始まる
平成7年4月に開学した長野県看護大学は、今年3月に第8期の学部卒業生を送り出し、第1期から数えると本学卒業生の数は
692名になりました。本学で4年間のカリキュラムをこなした卒業生たちは、現在それぞれの臨床現場で看護実践に携わり、ある
いは大学院に進学したのちに看護教育の現場で教育・研究活動を行っています。長野県看護大学のカリキュラムは、平成5年に立
ち上げられた看護大学設立準備室のなかで、初代学長であり本学名誉教授でいらっしゃる見藤隆子先生を中心に綿密に練り上げら
れました。そして今から12年前に「学生個々人のもつ可能性を最大限に開花することを目指し、自主性、主体性を育み、人々へ
の配慮が自然にできる豊かな人間性と幅広い視野を養う」ことを教育理念に掲げて本学はスタートしました。この理念からもわか
るように、本学の4年間のカリキュラムは、看護学に関する専門知識および技術を教授するとともに、幅広い視野および豊かな人
間性を養うように授業科目を体系的に整え、特に、国際化社会に対応するための基礎的能力を養うことをめざして、外国語の教育
にも力を入れました。カリキュラムの編成に当たっては、9つの柱――人間の理解、人間と環境の相互作用、健康とその障害、看
護学の基本、看護方法の基本、看護実践の理解と方法、保健・医療・福祉における看護の機能、看護研究方法、看護教育方法――
を立て、それら9つの要素の有機的な連携をめざしたことが特徴と言えましょう。
その後、平成14年3月に報告された「大学における看護実践能力の育成の充実に向けて」
(文部科学省:看護学教育のあり方に
関する検討会報告)を受けて、本学においても現行カリキュラムの検討を開始しました。その結果、4年間にわたるカリキュラム
検討部会の活動を経て新カリキュラムが編成され、平成18年度の新入生からは新しいカリキュラムのもとで本学の看護教育が行
われています。
目 次
<巻頭ニュース>
新カリキュラム始まる…………………………………………………………………………………………………………
小西恵美子氏に名誉教授の称号授与…………………………………………………………………………………………
<看護実践国際研究センター>
看護地域貢献研究部門………………………………………………………………………………………………楊箸隆哉
看護実践改革・学外機関交流研究部門……………………………………………………………………………北山秋雄
<教育実践活動報告>
看護海外研修 @ San Francisco 報告 ……………武田貴美子・小倉美沙子・太田千寿・北澤美佐緒・浅野久美子
世界へ発信――サンフランシスコでの論文発表………………………大脇百合子・中村充弘・吉田聡子・児玉真木
<事務局よりのお知らせ>………………………………………………………………………………………………………
<同窓会よりのお知らせ>………………………………………………………………………………………………………
<新任教職員自己紹介>…………………………………………………………………………………………………………
<投稿>
知ることとは何か――プラトン『メノン』を読んで……………………………………………………………児玉真木
精神専門看護師をめざして………………………………………………………………………………………戸田由美子
<巻末特別企画>
インタビュー:いま看護学生として考えること ……………………………………………………………… 澤田良子
〔1〕
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5
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18
19
1.少子高齢社会を背景に、今後は在宅における看護ニー
カリキュラム改正に至る経緯
医療に対する人々のニーズが高まり、専門性に裏打ちさ
ズも高まると考えられるため、在宅ケアに関する科目
れた質の高い看護を実践することが求められるようになっ
や実習を見直す。
ています。そのような中で、看護大学として看護実践能力
2.対象の身体的、心理的、社会的、文化的側面を統合す
の育成をどのように考え、看護教育を実践しているかにつ
る能力が不足していることを踏まえて科目を検討し、
いて、具体的に提示することもまた、社会から求められて
特に、身体的側面の理解に関する科目を見直す。
います。そこで、看護教育のあり方に関する検討会報告
3.臨地実習における対象との人間関係形成が困難である
(文部科学省、平成14年3月)を受けて、平成15年1月に
ことを踏まえ、コミュニケーションに関する科目を見
直す。
本学の全教員が看護実践能力の育成について考える研修会
4.国際的視野を持って活動できる人材育成の視点から科
を開催しました。
目を見直す。
本学のカリキュラムは開学以来、科目名、開講年次、開
講時間などの一部変更を行いましたが、全学的な見直しに
5.基礎教育終了直後から、確かな看護実践能力が求めら
れていることを考慮して、教育内容・方法を工夫する。
は至っていませんでした。そこで、看護実践能力の育成と
いう視点からカリキュラム全体を見直し、大学の使命やビ
6.2年次以降に過密スケジュールとなることがないよう
ジョンについて意見交換したところ、カリキュラムの抜本
に、カリキュラム全体のバランスを考慮した時間配置
的な改正が必要との結論に達しました。
とする。
そして、カリキュラム検討部会の活動が開始されました。
7.実習を系統立てて考え、科目配置、実習時期・時間に
ついて検討する。
平成14年度
8.担当科目による専任教員の時間数の差をできるだけ均
・看護実践能力の明確化
等にし、専任教員の能力を有効に活用する。
・現行カリキュラムの問題点や課題を抽出
平成15年度
・県立看護大学として期待されている役割は何か、学外
このような検討を重ねた結果、本学のカリキュラム改正
案は平成17年秋に文部科学省の承認を受け、平成18年度新
専門職者や地域住民からの意見聴取
・シンポジウム
「看護教育における長野モデルの創造――
入学生から、新カリキュラムが導入されました。科目の新
設や配置の変更のみならず、教育理念や教育目標も社会の
NCNカリキュラム改革の挑戦――」の開催
平成16年度
要請に沿って見直しを行い、単に「人間の理解を深める」
・スモールグループに分かれて、教育理念、教育目標、
だけでなく、
「さまざまな生を営む人間を深く理解」するこ
とを理念の中に明記しました。また、旧カリキュラムでは
科目などの具体的検討
平成17年度
9つの教育目標が掲げられていましたが、新カリキュラム
・スモールグループでの検討結果の統合
では大きく3つにまとめ、それぞれに下位目標を挙げてい
・学年ごとの科目配置、新カリキュラムにおける科目と
ます。
時間数、単位の決定
今回のカリキュラム改正が医療・看護に対する人々のニー
カリキュラム改正の趣旨
ズに応えるものとなるよう、実習施設でご指導くださって
カリキュラム改正案作成にあたっては、本学の現行カリ
いる方々のご意見も頂戴しながら、長期的な視野にたって
キュラムの課題に沿って、次のような改正の指針を定めま
評価していきたいと思います。
した。
小西恵美子氏に名誉教授の称号授与
本学生活援助学講座前教授で現在は大分県立看護科学大
もあります。平成17年3月、「生活エンジョイ論04 ――
学教授の小西恵美子先生が、長野県看護大学名誉教授にな
『理解から発信へ』
」と題した最終講義で、生活援助学講座
られました。小西先生は本学の開学とともに教授として着
教授としての10
任され、開学当初の3年間は学長代行として大学運営の基
年間を締めくく
礎を築き、大学院博士前期課程の設置にもご尽力されまし
られた小西先生
た。学部教育では生活援助論や生活援助論演習、大学院で
は、現在、九州
は看護倫理などの科目をご担当されました。また、開学当
の地でますます
初から国際交流活動に熱心に取り組まれ、平成14年に異文
ご 活 躍 中 で す。
化看護国際研究センターを設立、翌年本学で開催された国
九州がさらに
「熱
際研究集会では、実行委員長としてご活躍され会を大成功
く」なることで
に導かれました。裏表のないお人柄でとても活動的な小西
しょう。
先生は、長野日報紙に「名物教授」として紹介されたこと
〔2〕
2006年3月7日 授与式の様子
〔看護実践国際研究センター活動報告〕
看護地域貢献研究部門
水中運動を用いた
高齢者ヘルスプロモーションに関する研究
看護地域貢献研究部門では、現在、主として以下の6プ
8年目を迎えた高齢者水中運動プロジェクトは、昨年か
ロジェクトを主軸に、地域密着型の研究に取り組んでおり、
ら岩月和彦教授による科学研究費の補助を受けることと
研究を通して地域住民に多様な看護サービスを提供すると
なった。これまでに200名を越える講座参加者を迎えてお
ともに、得られた研究成果を可能な限り住民に還元するべ
り、その中の30名は、4年以上継続している人たちである。
く、部門員全員が一致協力して活動している。平成17年度
水中運動講座に毎回参加し準備後片付けデータ整理等を一
は、年間を通して5回程開催された全体会議の中で、各プ
手に引き受けてくれていた堀内美和助手、また午前の水中
ロジェクトの経過報告や必要事項の検討を行ってきた。ま
運動クラスには必ず参加して医師の立場から参加者を見
た、平成18年3月9日
(木)
、本学において行われた「長野
守ってくれていた山田幸宏教授のお二人がこの3月で本学
県看護大学研究集会」の中で、それらの活動成果をまとめ
を去られたことは、研究プロジェクトにとって大いなる痛
てポスター発表した。
手であったが、この4月より矢島千夏子助手がメンバー入
りしてくれている。
昨年度より本プロジェクトに参加して下さっている楊箸
在宅療養者と家族のための
移行期看護プロジェクト
隆哉教授が中心となってこれまでの記録をデータベース化
する作業が進行中で、これには看護実践国際研究センター
の遠隔看護プロジェクト(代表:北山秋雄教授)の強力な
本プロジェクトは、準備時期を経て縄助教授(成人看護
支援を頂いている。また移行期看護プロジェクト(代表:
学講座 当時)が研究代表者として平成15年度に文部科学
安田貴恵子教授)からも、多くのご援助を頂いている。昨
省科学研究費補助金(3年間1470万円)を得て取り組んで
年度は9月の公衆衛生学会総会(札幌)にて野坂俊弥が、
きました。患者ご本人とご家族にとって「移行期」とは、
また2月の長野県健康づくり研究討論会にて堀内美和が発
さまざまな状況が想定されますが我々が着目したのは、病
表を行っている。本年6月には、ミラノで行われる国際労
院を退院して自宅での生活を送り始める メ 在宅での療養生
働衛生会議においてポスター発表することが決まっている。
活を始めた時期 モです。この時期は、医療者が身近にいる
この4月には新たに40名近くの新規参加者を迎え、激しく
状況から自分で日常生活を管理する状況へと変化する時で
多忙で充実した日々が流れている。
す。特に、近年は増加しつづけている医療費への対応策の
メンバー:那須裕(リーダー)、岩月和彦、岩崎朗子、奥
1つとして、入院期間の短縮化が図られています。そのた
野茂代、酒井久美子、田中高政、田村正枝、戸田由美子、
め、退院後は、患者ご本人の大変さだけでなくご家族にも
野坂俊弥、藤垣静枝、藤原聡子、堀内美和、本田智子、
影響があると考えられます。
御子柴裕子、楊箸隆哉
具体的には、胃切除術を受けたご本人とご家族に協力を
学外メンバー:山田幸宏、野口利香
得て、退院から3ヶ月間縦断的な調査を行いました。ご本
連絡先:那須裕 [email protected]
人は、食欲低下や嘔吐・下痢などの症状を自分なりに対処
されていましたが、毎日の行動をどの程度ずつ増やしてい
看護職者の教育・支援プロジェクト
けばよいのか迷っていました。また、ご家族はご本人の体
調の変化を気遣うことや回復に伴ってどのように食事内容
を変化させてよいのか情報を求めていました。これらの調
看護職者の教育・支援プロジェクトでは、学生への看護
査結果をもとに、胃切除術を受けたご本人とご家族のため
基礎教育と人間としての成長、臨地で働く看護職者への自
のガイドブックを作成しました。
己啓発、
看護能力の向上とエンパワーメントを目的として、
これ以外にも、胃切除術を受けて退院後の経済的影響に
様々な活動を展開している。
関する調査、外科外来での看護師による相談・指導の実態
そして、一人ひとりの看護職者の資質及び看護能力の向
調査、脳血管障害者の退院後3ヶ月間の生活上のニーズ調
上が、より質の高い看護の提供、看護の変革に寄与すると
査等にも取り組みました。
考え、支援プロジェクトの開発、検証、評価を行っている。
メンバー:安田貴恵子(リーダー)
、唐澤由美子、中村惠、
長野県看護大学主催の「看護に活かすカウンセリングワー
武田貴美子、御子柴裕子、北山秋雄、藤垣静枝、岩月和
クショップ」は、その代表的なものの一つで、毎年6∼7
彦、那須裕、野坂俊哉、千葉真弓、松下まゆみ、吉田聡
月に2泊3日の2回を1クールとして、県内の臨床看護師
子
や臨地教育者を対象に、看護職者の人間理解、対人援助、
学外メンバー:縄秀志
コミュニケーションスキルの向上をねらいにしたプログラ
連絡先:安田貴恵子 [email protected]
ムを実施している。これは体験学習を中心とした参加型の
〔3〕
ワークショップで、上記のねらいだけでなく、自分の看護
対象に、幅広く関心をもち看護学の立場からケアやシステ
実践のふり返り、より質の高い看護を考えること、同時に
ムのあり方を考えようとしている。
仲間との交流を通して自分をエンパワーすることを可能に
現在活動中の取り組みは、以下の二つである。
している。さらに、この研修を修了した人たちのフォロー
1.介護老人福祉施設における利用高齢者の終末期ケア
アップ研修も毎年実施している。
に関すること __ 平成14年度から介護施設において高
その他、県看護協会や病院研修の講師、臨床看護師との
齢者の終末期ケアに携わる看護職者・介護職者への支
共同研究、なども行っている。
援について検討してきた。平成17年度は、介護施設に
メンバー:原田慶子(リーダー)
、奥野茂代、竹内幸江、
おいて高齢者の終末期ケアに携わる看護職者の臨床能
唐澤由美子、岩崎朗子、吉田聡子
力の発展を目指す取り組みを開始した(科研費17-19
連絡先:原田慶子 [email protected]
年度交付あり)。第一段階として終末期ケアに携わる
看護職者の臨床能力向上に関するニ−ズ調査を実施し
た。これにより第2段階の研修プログラムを検討した。
遠隔看護開発基盤研究プロジェクト
研修は、平成18年度に10回のセッションを行う予定で
ある。
最新の情報通信インフラを活用した遠隔看護機器及びシ
2.配偶者を亡くした高齢者のお話し合いの会 __ 平成9
ステムの開発を通じて、訪問看護ステーションの機能の充
年から高齢者を中心とした会として始まり、6年前か
実を図り、在宅療養者と家族への質の高いサービスの提供
ら配偶者を亡くされた方々同士の会として継続されて
と医療費の効率化・低減化に貢献することを目指して研究
いる。平成17年度は、10名の参加者にセッション10
開発に取り組んでいます。本プロジェクトは本学教員だけ
回を開催した。
でなく、地元のIT企業、近隣自治体、伊那テクノバレー
メンバー:奥野茂代(リーダー)
、千葉真弓、太田規子、
地域センター、長野県情報技術試験場等も参加し、最先端
の次世代携帯電話システムを用いた世界最高水準の遠隔看
曽根千賀子、神崎由紀
連絡先:奥野茂代 [email protected]
護機器及びシステムの開発が、2006年春の試作機器の完成
とシステムのデモンストレーションを目指して、文字通り
精神障害者看護支援プロジェクト
産学官の連携のもとで進行しています。この分野では本学
が世界をリードする位置にあり、
既に特許 ( 出願番号特願2003302676)を取得するとともに、カナダのブリティッシュ ・コ
精神障害者のための共同住居を設立しようという有志か
ロンビア大学及びヴィクトリア大学と遠隔看護システムに
らの協力要請がきっかけで発足した本プロジェクトの活動
関する共同研究を進めています。また、来年度本学大学院
は、今年で3年目を迎えた。プロジェクトの目的は、地域
博士前期課程に健康資源開発看護学領域里山看護学分野が
における精神障害者と、彼らを支える精神保健医療従事者
創 設 さ れ、「 遠 隔 看 護 論 」が 開 講 す る。「 遠 隔 看 護 学
の双方を支援することにある。発足当時は、共同住居の運
(telenursing)」という学問の創生も視野に入れた「夢」の
営母体となる NPO 設立に向けた活動をおこない、平成17
あるプロジェクトです。
年3月、NPOメンタルサポート駒の杜が発足した。さらに、
メンバー:北山 秋雄(リーダー)
、安田 貴恵子 、 那須 裕、
駒ヶ根市初となる共同住居「こまの杜飯坂」開所へ向けた
岩月和彦、野坂俊弥、千葉真弓、楊箸隆哉 、藤垣静枝、
支援を続け、同年9月には入居者4名による共同生活が始
平出礼子、清水嘉子、戸田由美子
まった。その後、入居者は5名に増え、「こまの杜飯坂」
学外メンバー:縄 秀志、和光由起
はグループホームに位置づけられた現在も、運営全般に関
連絡先:北山秋雄 [email protected]
わる支援を続けている。
この他の看護支援活動として、駒ヶ根市福祉共同作業所
「たんぽぽの家」において、パソコン導入および名刺作成
終末期看護研究プロジェクト
受注への支援を始めた。受注を始めたばかりなので、名刺
の受け渡しにはお時間をいただいている状況ではあるが、
看護の役割機能は、疾病の予防、健康の維持増進や回復
作業所の活動にご協力していただける方は、下記の連絡先
への関わりだけでなく、その人らしい終末期を過ごし、安
までご一報を。精神保健医療従事者へ支援としては、南信
らかな死をむかえることへの関わりも大変重要である。生
集団精神療法セミナーの開催や病院におけるコンサルテー
と死は、いつも表裏一体といわれておりながら、死につい
ション活動を続けている。また、地域住民を対象とした啓
てタブ−視される現状がある。死について考えることは、
蒙活動には、講師として協力をしている。
自分らしい死を迎えること、それは自分らしく生きること
研究活動としては、「共同住居入所予定者の体験に関す
につながっていると考える。本プロジェクトは、死を迎え
る研究」を実施している。これは当事者とご家族、支援者
る人やその人に関わる家族や友人、看護職者・介護職者を
を対象としたもので、今後の共同住居入所予定者への看護
〔4〕
や、
当事者たちの入居後の支援に役立てていく予定である。
共同研究・受託研究の概要(2006年4月1日現在)
さらに、入居後の当事者とご家族、支援者を対象にした
「共同住居入所後の体験に関する研究」を始めたところで
ある。 メンバー:松崎緑(リーダー)、戸田由美子、西川薫、
【課題と展望】
圭子
学外メンバー:赤沢雪路、岩 みすず
本学の所在地近隣には精密機械や IT 関連企業が多く、全
連絡先:松崎 緑 [email protected]
国の看護系単科大学の中でもより積極的に企業との連携に
取り組んできた。地方小都市にある公立大学では地元企業
楊箸隆哉(本学教員、病態・治療看護学講座教授、
と連携して、看護 ・ 介護分野におけるビジネスの派生によ
看護地域貢献研究部門長)
る雇用創出も重要な地域貢献として位置づけることができ
る。近年、本部門には前述の他、口腔洗浄機器、褥瘡予防
看護実践改革・学外機関交流研究部門
・ 安眠用低反発 ・ 体圧分散マット、機能性食品等の評価及び
開発に関する共同研究 ・ 受託研究の問い合わせも多い。し
長野県看護大学では、開学以来公開講座、人材派遣等地
かし、共同研究及び受託研究の規程は整備されてきたもの
域社会の教育活動を実施しています。本部門は、今後、病
の、企業からの研究
院、診療所、訪問看護ステーション、在宅ケア支援セン
費の受入方法が未整
ター等の看護現場と共同研究を実施し看護実践改革の推進
備なこと、収益の分
をしたり、企業、自治体、研究機関等との共同研究 ・ 受託
配等における取り決
研究等を実施し本学の「知の活用」を図って地域社会に貢
めが明確化されてい
献する学外機関交流を推進したりする窓口です。
ないこと、企業活動
に精通した人材が確
【組 織】
保されていないなど
部門責任:北山秋雄
の課題がある。
0265-81-5135 [email protected]
次世代型移乗用介護機器
メンバー:田村正枝、楊箸隆哉、藤垣静枝、平松理恵、
これらの課題を解決するためにも、今後、県商工部、
丸山義弘、松澤睦司事務局長
(株)信州 TLO(信州大学・長野高専等の技術を対象とし
【現 状】
た、産学官連携の新たな技術移転機関として、2003年4月
本学における企業等との交流窓口は、2002年12月に設
に設立された法人)等との連携による知財情報の蓄積、共
置された 「 看護実践国際研究センター 」の看護実践改革 ・ 学
同研究 ・ 受託研究の成果評価システムの構築、利益相反ポ
外 機 関 交 流 研 究 部 門 (Department of Collaborative
リシーの策定等に取り組む予定である。
Research and Management in Nursing Technology
and Business )が担当している。
現在、本部門には部門長を含め7名の教職員 ( 兼務 )が配
置されており、共同研究 ・ 受託研究の予備審査、助言、
情報
収集等の活動を行っている。本部門が窓口となっている研
究には、
共同研究として、
「 最先端の遠隔看護 (Telenursing)
システム機器の開発 」と 「 次世代型介助用車椅子の開発 」が
あり、
受託研究として、
「タマネギ茶皮高速乾燥粉末の機能性
及び利用性の探索 」がある。これらの予定研究経費の総額も
下表のように1,090万円に達している。なお、企業等との
共同研究及び受託研
究を円滑に行うため、
2003年 1 月 に 長 野
県看護大学共同研究
取扱規程が、2005年
タマネギ茶皮高速乾燥粉末の機能性及び利用性の探索
3月には長野県看護
大学受託研究取扱規
遠隔看護システム機器
程が制定された。
北山秋雄(本学教員、健康・保健学講座教授、
看護実践改革・学外機関交流研究部門長)
〔5〕
えるようになるとのことでした。患者さんへの内服や注射
〔教育実践活動報告〕
などの薬品はコンピュータ管理で保管されており、ユー
看護海外研修 @ San Francisco 報告
ザー名とパスワードと指紋を使って薬品庫の鍵を開け、看
護師か教員が取り出していました。コンピュータ管理する
University of San Francisco(以下 USF)ではアメリ
ことで点数管理にもれがなくなるそうですが、多くの病院
カの大学における看護教育に触れることができました。USF
ではまだ導入されていないそうです。薬品を用いる実習の
での研修スケジュールは Patricia Lynch 先生がコーディネ
時は、大学の教員が学生へ指導していましたが、その他の
イトして下さり、私たちは参加できる授業を事前に幾つか
指導はほとんど看護師によって行われていました。病院実
紹介され、自分の関心に合わせた授業を選択することがで
習自体は、日本とそれほど違いはないと思いました。
きました。実際に参加した授業では、先生が講義をしてい
病棟や病院全体はとても静かでした(騒がしくありませ
る途中から学生は質問のために手を挙げており、先生もま
んでした)し、忙しい雰囲気を感じることはありませんで
た、「質問はいつでもどんなことでも OK」という姿勢で、
した。また、病院の1階のホールには、ゆったり座れるソ
そのやりとりから学生と教員の距離の近さを感じました。
ファやグランドピアノが置いてあり、ピアノを弾きながら
授業の講義資料は事前に学生が自分で先生のホームページ
皆で歌っている場面も見られました。日本の病院のホール
から印刷して準備してきます。従って学生はその日の授業
と比べると、病院であることを忘れてしまうような、ゆっ
で何を学習するのかを把握し準備をしてきているというこ
たりとした空間でした。患者さんにとって落ち着いた気分
とが、活発な質疑応答の様子から伺うことができました。
で生活し治療に専念できる環境は、とても大切な治療の1
日本での授業風景に慣れている私たちにとって、この積極
つであるということを再認識したように思います。
的な授業には大きな刺激を受けました。
今回は急遽病院を見学させてもらいましたが、何を見た
見学させて頂いた看護技術の演習室には、様々な演習モ
いのか、学びたいのかなど、目的をより明確にしていくこ
デルがセッティングされており、授業で習った看護技術を
とが、より実りの多い研修になるということを実感しまし
トレーニングできるようになっています。看護技術の習得
た。しかし、短時間の見学でしたが、実際の実習場面や病
では複数の TA(ティーチング ・アシスタント)がデモンス
院を見学できたことは、とても貴重な経験であり、良い経
トレーションから技術チェックを含めて学生をサポートし
験になったように思います。
ています。この演習室で看護技術に対する技術チェックを
小倉美沙子(本学修士課程2年)
受け合格すると、その後の病院実習で患者さんに実施する
ことができるという流れになっていました。
私たちが参加した授業や見学の体験の影響があるとは思
いますが、USFでは看護の技術面を重視しているという印
象を受けました。これに関しては、毎日のミーティングで
お互いに意見を出し合い、日本の看護教育の中ではコミュ
ニケーションを重視しているということに改めて気付きま
した。そして、日本人は人との和を大切にしていること、
看護は人との関係の上に成り立つものであるから、学生の
時に人とのコミュニケーションをとることの大切さ、人間
関係を築いていく過程を学ぶことが重要であるということ
に辿り着きました。従って、アメリカの看護教育のすべて
看護海外研究参加者
ビルマ料理店にて:Anne Davis 教授、
Cathy Bain 教授と
を良しとするのではなく、日本の看護教育の良さを認識す
ることの必要性に気付く経験となりました。
武田貴美子(本学教員、成人看護学講座助手、本学修士課程2年)
UCSFでの体験
USFの病院実習見学をして
看護海外研修の3日目と4日目はUCSFに行ってきました。
UCSFでの授業は、私たちが修士課程で1年間受けてきた授
USFでの研修2日目に、私達は急遽、学生の実習病院で
業と、
方法は全く違わないということを感じました。ただ、
あ る UCSF MEDICAL CENTER AT MOUNT ZIONを、
講義を聴くタイプの授業でも、
学生から活発な質問があり、
2∼3人ずつ3グループに分かれて見学させてもらいまし
質問に回答する形で授業が進んでいく様子もありましたし、
た。1つの病棟には1∼2名の学生がいて、その日は全部
学生のプレゼンテーションもとても堂々と自信をもって
で8名の学生がいるとのことでした。筋肉注射なども教員
行っている姿が印象的でした。
の指導のもとで数回一緒に実施すると、その後1人でも行
授業の他に、ナースプラクティショナーが運営する、
〔6〕
ホームレス対象の Glide Clinicも見学させていただきまし
本、アメリカ、台湾、インドなど各国の文化に対する色々
た。ここでは、患者さんは無料でケアを受けることができ
な角度からの考えをお聞きすることができました。
たり、クリニック内のキッチンで食事を作って食べたりす
さまざまな文化に触れることで、自分自身はやはり日本
ることができるようです。ここでは10名のナースプラク
人なんだなぁ、と再確認する機会となりました。
ティショナーの他にも、多くの職種の人が関わっていまし
看護系以外の大学を訪問し、このような形でスタッフや
た。日本でのホームレスに対するケアについての質問を受
学生の皆さんと交流できる機会はめったにないことだと思
けたのですが、準備不足もありきちんと答えられなかった
います。素敵な出会いでした。
ことはとても残念に思います。
北澤美佐緒(本学教員、生活援助学講座助手、本学修士課程2年)
今回、
私にとっての UCSFでの一番大きな出来事は、UCSF
の Pediatricの教授である Dr. Christine Kennedyとお話す
ることができたことです。UCSFに行く前日に、見学させ
てもらう予定だった Infant & Child Developmentの授業
がないということが判明し、その代わりにということで、
短い時間でしたがお話する時間を作ってくださいました。
Dr. Kennedyは「狭い範囲だけでなく、世界に目を向けな
さい」ということをとても力説されていたのですが、もっ
と英語が話せれば、色々な話が聞けたのに…と自分自身の
英語力のなさを痛感した時間でもありました。
Glide Clinicがどのようなところなのか調べておいたり、
日本の現状について説明できるようにしておくこと、そし
て、英語をもっと練習しておくこと、そういう事前準備が
あれば、せっかく得た機会をもっと活かせたのではないか
と感じました。
太田千寿(本学修士課程2年)
2005 San Francisco 研修(主なプログラム)
<27 February, USF>
7:30-7:40 AM Briefing (Pat Lynch)
7:40-10:25 AM
Nursing Therapeutics (complex medical Surgical
Nursing)
Principles and Methods of Practice (Skills for
medical surgical nursing)
Family Health (Pediatrics)
Family Health (Maternity)
11:30 AM-2:30 PM Nursing Research*
2:30-3:30 PM Nursing Skills Lab. Tour
3:30-6:15 PM Nursing Research
<28 February, USF>
Clinical Lab. Tour (UCSF Medical Center Mt. Zion
Hospital)
CIIS(California Institute of Integral Studies)訪問
3:30-6:15 PM
3月3日 ( 金 )は、オプショナルツアーとして California
Institute of Integral Studies(CIIS)を訪問しました。
CIISとは、カウンセリングと心理学を中心とする専門大
学です。特に、人間の心の問題や、スピリチュアリティー
について西洋と東洋の比較という視点からの研究が中心の
ようです。今回の訪問は、CIISの学長と本学の江藤裕之助
教授がご友人であることをきっかけに設けられました。
CIISの皆さんは、私たちを歓迎し、交流会を企画してく
ださいました。交流会では、日本の文化に詳しい CIISのド
ン ・ジョンソン教授のミニレクチャーがありました。
「看護
は医者と患者の架け橋である」という言葉が印象的でした。
レクチャーの中で、ジョンソン教授から「アメリカで感じ
た日本との違いはどんなことか」と質問されました。私た
ちは自己紹介も交えながら、なんとか英語で感じたことを
お話しました。
本学からは、
江藤助教授がプレゼンテーションを行い、
「こと
ば」
の大切さなどについてお話されました。
そして、
先生の著書
などが寄贈され、
CIISの皆さんも喜んでいらっしゃいました。
交流会の後半は、ご用意頂いたランチを食べながら、CIIS
の皆さんとそれぞれの文化についてお話しました。世界各
国からの留学生と、
さまざまな文化についてディスカッショ
ンすることができました。短いランチタイムでしたが、日
〔7〕
Nursing Therapeutics 1 (beginning Medical
Surgical Nursing)
Assessment (Health Assessment)
<1 March, UCSF>
7:45-8:00 AM Briefing (Cathy Bain)
8-10 AM Research Methods (Statistics)
10-11 AM Violence in Families
11-12 (Breakout Sessions)
Elder Abuse, Violence in the Workplace, Domestic
Violence
12-1 PM Presentation
1)The DNR decision making process in Japan
12-1 PM Presentations
1)Japanese patients' perception and Expectations
of the good nurse
2)The work based encounter group: experiences
of nursing staff working in a hospital in Japan
1-3 PM Adult Primary Care Seminars
1-4 PM Introduction to Health Care Informatics
4-5 PM Presentation
1) Student's
experiences
of
good
student-
teacher relationship at a clinical practicum of
たわけですが、研修を通して看護だけでなく、人生におい
a Japanese four-year nursing college and its
ても本当に多くの学びを得ることが出来たように思います。
effect on their attitude towards nursing
サンフランシスコへは絶対に「行ってよかった」と思える
体験が出来ると思いますので、来年も開催される予定の看
<2 March, UCSF>
護海外研修に、大学院生のみならず教職員の先生方も是非
Tour of Glide Clinic
参加してみてはいかがでしょうか。また学部生も是非機会
12-1 PM Lunch with UCSF students from Japan
があれば、行ってみることをお勧めします。きっと私たち
1-4 PM Data Management and Analysis
同様に「行ってよかった」と言えると思います。
浅野久美子(本学修士課程2年)
2-3 PM Meeting with Dr. Christine Kennedy
6 PM Meeting with Dr. Anne J. Davis
世界へ発信
―サンフランシスコでの論文発表―
<3 March, CIIS>
12:00-12:10 PM Welcoming remarks by the
President
12:10-12:30 PM
アメリカの大学で自分達の修士論文を発表する…一見、
Professor Don Johnsonユs mini-
lecture: The history of Nursing in the United States
雲をつかむような話ですが、2006年3月 USF(University
with a focus on the transformation of nurses as
of San Francisco)
とUCSF(University of California San
medical servants to their role as healers, and
Francisco)の2校で、私たち4名はそれを現実にしてしまい
exploring where Japan is in this process as well.
ました。仕事と準備の両立は大変でしたが、終わってみる
12:30-1:00 PM Discussion: With focus on Integrative
とこの経験は、何物にも変えがたい貴重なものとなりまし
Health and Healing
た。発表者4名それぞれの学びがあり、簡単ではあります
1:00-2:00 PM Lunch and continued informal
がここにご報告させていただきます。
*
discussion
*
*
この研修に初めて参加したのは修士1年でした。そのと
きの体験を1年前にこの学報に報告したとき、「今後、ア
看護海外研修発表会を行って
メリカの看護教育・実践を見て、聴いて、感じたことを糧
にし、日本の「看護」や大学院生の研究を発信していく機
看護海外研修を受けて、どのような研修であったのか、
会ができることを期待しています。
」と書いていました。し
どのような学びを得たのかという研修の最後の締めとして、
かし、
まさか本当に USF
学内で4月18日に発表会を行いました。この発表会も今ま
と UCSFで自分たちの
で毎年行ってきたものですが、今年から看護海外研修が単
研究を presentationす
位認定され、発表会を含めた内容が単位に含められていま
る機会をいただけると
した。研修から帰ってきたばかりではありましたが、早々
は思っていませんでし
にメンバーで集まって、研修発表会についてどのように行
た。今でも夢のように
Jennings 先生(USF)と発表者
うのかのミーティングを行いました。研修の内容の振り返
感じています。
りや、そのときにどのような気付きがあったのかというこ
今回の一番の収穫は、学生さんから質問が出たり(SFで
とを皆で共有して話していると、時間を忘れて帰宅が23時
働いている日本人の方も英語で質問してくださいました)
、
になることもありました。しかし、そのような発表準備を
他分野の方と discussionをするというやり取りの中で、さ
通して、研修で得られた内容は更に深いものになったよう
らに自分の伝えたいことや課題が見えてきたことです。英
に思います。
語で考えることは大変でしたが、自分の言いたいことが簡
そして4月18日の発表会では、
「楽しさ」
をモットーに発表
潔・明瞭になるということを実感しました。その一方で、
を行いました。
単位の一環ではありましたが、
発表会を見に来
自分の言いたいことを伝える手段として、英会話の能力を
てくれた人たちの興味をそそり、
笑いを交えながら私たちの
向上させる必要性を感じています。英語に関してはまだま
得られた学びを伝えられるような内容にまとめあげることが
だ修行が必要ですが、今回自分の伝えたいことを海外に発
出来たように思います。
当日は学部生から院生、
教職員の先生
信できたということは本当に大きな自信となりました。
方と多くの方々に集まって頂くことが出来ました。
発表中に
このような夢のような体験ができたのも、発表に関して
は笑いも多く聞かれ、
楽しい時間を提供できたのではないか
ご指導、ご協力いただきました方々のご尽力あってのこと
と思います。
また発表後の質疑応答では学部生や卒業生から
だと思っています。この場を借りてお礼申し上げます。本
も質問を受け、
活発な意見交換を行うことが出来ました。
当にありがとうございました。そしてなによりも、準備段
この発表会を締めとして私たちの看護海外研修は終了し
階から励ましあい、支えあい、この体験を共有できる仲間
〔8〕
出会えたことに感謝しています。研修を通して学んだこと
*
*
*
を生かし、今後の活動につなげていきたいと思っています。
思い起こせば、昨年台湾での ICN(国際看護師協会)大
大脇百合子(本学教員、小児看護学講座助手)
会中に開かれた UCSF 主催のパーティで、このプロジェク
*
*
*
トは始まりました。ICNという国際的な看護の大会に出席
血湧き肉躍る日々
していたこと、UCSFの懐かしいメンバーに出会えたこと、
英語なんてろくすっぽしゃべれない僕が、米国の大学で
色々なことが功を奏して「何か大きいことをやってしまお
米国人学生に自分の修士論文を発表した。
う!」という気負いになりました。それから1年は、その
英単語を並べて必死に伝える。まさにカタコト。たぶん
漠然としたものに向かって一歩一歩歩んで行った、そんな
血眼。手のひらびっしょり。
感じです。日本語で完成された論文を英語で伝えるため、
去年参加したこの研修の目的は、米国の看護と看護教育
とかく曖昧になりがちな日本語の表現手法を一から見直さ
を見て・聞いて・感じること。米国や米国人がいかにすご
なくてはならず、多くの先生方にご指導いただきました。
いか、素敵か、思い知らされた。
文化の違う聴衆にどのようにわかりやすく伝えるか、これ
今年は、米国の人々に日本の看護のいいところを伝える
は自分の論文を改めて見直すきっかけになり、考えがより
ことができたのではないかと思う。
深まったと思います。本番では聴衆との interactionで緊張
この研修には、参加という受け身の形ではなく「俺が行
はどこかに吹っ飛んでしまいました。質疑応答では英語の
きたいんだから、みんなついてこいよ」くらいの勢いで参
壁という心配はありましたが、伝えようと強く思えば、文
加して欲しいと思う。この研修は、待ってても何も得られ
法は目茶苦茶でも何とか伝わるものなんだなあと感じまし
ない。自主性命。是非。 た。
中村充弘(諏訪中央病院看護師)
*
*
*
このたびこのような発表の機会を得ることができたこと
は、われら NCNにとっても、もちろん自分にとっても、と
ても大きな jumpだったのだと感じています。
私は2005年2月、初めて SF 研修に参加しました。その
中で、聞くもの見るものにおいて「アメリカの看護ってす
ごい!」という意識から、毎日仲間たちと考え感じたこと
を語りあい振り返ることで、ちょっとまてよ…「今ある日
本の看護もすごいじゃないか!」という、本当にシンプル
な自信にも似た気持ちへと、音を立てて変化していったの
でした。今思い返してみると、それぞれの感性でそこまで
真剣に聞き入る USFの学生達
達し、自然に発信したいという強い思いが生まれ、さらに
発表が終わった今思うことは、努力することは必要だけ
多くの先生方のご尽力が重なり、この実現へとつながった
れども、同時に「夢を願い続けること」は夢をかなえる一
のです。私は発信の対象を『修士論文』と決め取り組みま
歩である、と(当たり前の事ですが)実感しています。こ
した。論文作成自体が自分にとって大きな challengeでし
の1年間は発表の事で頭がいっぱいでした。しかし、発表
た。それを SFで発表することは、さらに大きな jumpだっ
が終わってみると、また次の目標に向かって動き出したい
たことは言うまでもありません。私達は3回もの発表の機
自分に気付きます。そのエネルギーの源は、このサンフラ
会を得、その記念すべき1回目の聴衆は USFの学部生達で
ンシスコでの経験に他なりません。もう次の目標は決まっ
した。私は緊張の汗と格闘しながらの思い出深い発表とな
ています。それに向かって全力で頑張ってゆきたいと思い
りました。質問の場などで学生達とことばを交わすうちに
ます。
心も交わり緊張もほぐれ、これからの自分の取り組みへの
One goal has well done. Let's keep up with the next
源になるであろう powerが沸々と湧きあがってくるのを感
goal!
じました。
最後に、このプロジェクトをコーディネートしてくだ
今私達はたまたま日本で看護を学び実践していますが、
さった USFの Pat Lynch 先生、
UCSFの Cathy Bain 先生、
世界を見渡せば、他にも様々な人種・文化・社会背景の国
生活援助学講座の前田樹海先生、更に発表に関してご指導
があり、それだけ看護もあります。今回の経験を通じ、私
いただきました、Grace Stanley 先生、江藤裕之先生に感
は改めて日本の看護を清々しい気持ちでみています。それ
謝いたします。そして、この発表に際しご尽力いただいた
は、2年越しで他国の看護に触れ、振り返り、発信した。
全ての方々に、重ねまして御礼申し上げます。今後とも、
そういったプロセスの体験が、自分の土台にあるものへの
このプロジェクトが来年、再来年と続いてゆく事を切に
自信へと繋がったからではないかと感じています。
願っております。
吉田聡子(本学教員、看護教育・管理学講座助手)
〔9〕
児玉真木(本学教員、生活援助学講座助手)
平成18年度は108名の新入生を迎える
入学試験の状況は、下記のとおりです。一般入学試験の志願倍率は、前期1.9倍、後期は7.5倍でした。
4月5日(水)には、学部生91名、大学院生17名合わせて108名の新入生を迎えて、入学式が挙行されました。
平成18年度 入学試験の結果概要
区 分
募集人員A
志願者数B
受験者数C
合格者数D
前 期
42
78
76
44
42
1.9 後 期
8
60
19
8
7
7.5 50
138
95
52
49
2.8 推 薦 入 学 試 験
30
57
57
30
30
1.9 社 会 人 入 学 試 験
若干名
11
11
2
2
− 一
入
試
学
部
(単位: 名)
般
学
験
計
入学者数E 志願倍率B/A
3年次編入学試験
10
43
41
11
10
4.3 大学院入学試験(前期課程)
16
15
15
15
15
0.9 大学院入学試験(後期課程)
4
2
2
2
2
0.5 平成17年度卒業・修了生の進路状況について
平成17年度の学部卒業生は83名で、前年度より3名多く
一転増加に転じたことによるものと思われます。③就職先
なっています。また、博士前期課程修了生は昨年より3名
については信州大学医学部附属病院に7名、篠ノ井総合病
少ない9名でしたが、後期課程修了生はいませんでした。
院に5名、佐久総合病院に4名が目立ちます。一方過去最
1
7年度の特徴を簡潔にまとめると、次のとおりです。
多就職数を誇っていた虎ノ門病院は0でした。又飯山赤十
①県内就職者が50人/79人で昨年より8%程高くなりま
字病院に初めて就職しました。④大学院については前期修
した。②毎年難関である自治体保健師の合格数は長野県下
了生9名のうち5名が大学教員でした。
で6→9に増えました。保健師の求人数が毎年減少する中、
後期課程に修了生がいなかったことは残念です。
1.学部卒業生(83名)
(1)進路状況
区
職
地
分
種
域
計
就 職
等
看 護 師
保 健 師
助 産 師
小
計
進
学
合
計
県
内
32人
13人
5人
50人
0人
50人
県
外
25 2 2 29 3 32 57 15 7 79 3 82 (2)就職先
(家居1)
① 長野県内
病院(浅間総合、飯田、飯山赤十字、伊那中央、佐久総合、信濃医療福祉センター、篠ノ井総合、下伊那厚生、
昭和伊南総合、信州大学医学部附属、諏訪赤十字、諏訪中央、長野県立こども、長野赤十字、長野中央、
長野松代総合、松本協立)
伊那保健所、市役所(飯田、伊那、上田、岡谷、須坂、松本)
、町役場(軽井沢、松川、箕輪)
② 長野県外
愛知県心身障害者コロニー、大阪大学医学部附属病院、岐阜赤十字病院、国立がんセンター中央病院、
国立国際医療センター、自治医科大学付属病院、順天堂大学医学部附属順天堂病院、静岡がんセンター、
駿河台日本大学病院、聖路加国際病院、東海大学医学部附属八王子病院、東京医科大学八王子医療センター、
東京慈恵会医科大学付属病院、トヨタ記念病院、豊橋市民病院、新潟県立松山病院、山梨県立中央病院、
山梨大学医学部附属病院、横浜南共済病院 その他
(3)進学先
岐阜医療技術短期大学(助産)
、新潟大学(教育学部)
、留学
2.大学院博士前期課程修了生(9名)
大学教員5名(県内4すべて本学、県外1)保健師1、看護師3
3.大学院博士後期課程修了生(なし)
〔10〕
教職員に異動がありました
[教員の退職]
[教員の採用]
外 国 語 講座 教 授 田 中 建 彦
外 国 語 講座 講 師 松 井 か や
看護形態機能学〃 教 授 山 田 幸 宏
看護形態機能学〃 教 授 喬 炎
病態治療看護学〃 助 手 堀 内 美 和
病態治療看護学〃 助 手 中 畑 千夏子
生活援助学 〃 助 手 畔 良 江
生活援助学 〃 助 手 北 澤 美佐緒
老年看護学 〃 助 手 神 崎 由 紀
老年看護学 〃 助 手 楠 本 祐 子
精神看護学 〃 助 手 赤 沢 雪 路
精神看護学 〃 助 手 〃 助 手 小松澤 美 代
〃 助 手 丸 山 義 浩
母性看護学 〃 助 手 黒 田 裕 子
母性看護学 〃 助 手 宮 澤 美知留
小児看護学 〃 助 手 平 出 礼 子
小児看護学 〃 助 手 大 脇 百合子
地域看護学 〃 助 手 手 島 聖 子
地域看護学 〃 助 手 白 川 あゆみ
〃 助 手 和 光 由 紀
圭 子
〃 助 手 下 村 聡 子
[事務局職員の退職]
〃 助 手 戸 田 千賀子
事務局長 青 木 留 春
保 健 師 丸 山 江 美
[事務局職員の転出]
[事務局職員の転入]
次 長 山 田 隆
事務局長 松 澤 睦 司
副参事兼教務課長 豊 森 富 雄
主任企画員 佐 藤 員 淑
主 査 小 林 浩
主 事 中 山 浩 子
2006年度 学
2006年度 学 年 暦
年
暦
前 期
後 期
4月5日 入学式・後援会総会
1
0月2日 後期授業開始
6日 学部新入生・新編入生のための
9日 体育の日
オリエンテーション合宿(∼7日)
1
0日 3年次専門領域実習(∼1
2月8日)
10日 学内ガイダンス・定期健康診断(∼1
1日)
2
0日 大学院博士後期課程 入学試験
12日 前期授業開始・履修登録開始
2
1日 大学院博士前期課程(修士)入学試験
19日 履修登録終了
1
1月3日 文化の日
29日 みどりの日
1
8日 推薦・社会人特別選抜試験
5月1日 創立記念日
2
3日 勤労感謝の日
2日 休校日
12月18日 冬季休業(∼1月8日)
3日 憲法記念日
2
3日 天皇誕生日
4日 国民の休日
1月8日 成人の日
5日 こどもの日
9日 後期授業再開
8日 1年次看護コミュニケーション実習(∼1
9日) 2
0日 大学入試センター試験(∼2
1日)
4年次専門領域実習(∼7月7日)
2月9日 学部2∼4年生後期授業終了
7月10日 2年次基礎・生活援助実習(∼2
1日)
1
1日 建国記念の日
編入2年次地域看護実習(∼2
1日)
1
2日 学部2∼4年生春季休業(∼3月3
1日)
17日 海の日 オープンキャンパス
2
5日 一般選抜入学試験(前期日程)
24日 学部2∼4年生夏季休業(∼8月2
6日)
3月2日 学部1年生後期授業終了
8月1日 学部1年生前期授業終了
5日 学部1年生春季休業(∼3
1日)
2日 学部1年生夏季休業(∼9月2
9日)
中旬 卒業式
28日 学部2∼4年生前期授業再開
1
2日 一般選抜入学試験(後期日程)
2年次基礎・生活援助実習(∼9月8日)
2
1日 春分の日
9月11日 4年次総合実習(∼2
5日)
16日 編入学試験
18日 敬老の日
(参 考)
19日 4年次総合実習
20
05年度
2月2
3日 助産師国家試験
「基礎看護学・生活援助学」
(∼2
9日)
24日 保健師国家試験
23日 秋分の日
26日 看護師国家試験
29日 学部2∼4年生前期授業終了
3月11日 卒 業 式
30日 鈴風祭 (∼1
0月1日)
〔11〕
2
00
6年3月9日(水) 1
2:40より長野県看護大学中講義室4にて「平成1
7年度同窓会定例総会」が同窓生1
3名、執行部
役員6名、顧問2名の参加にて開かれました。また、委任状は113人から届けられました。議案審議内容としましては、平
成1
7年度事業報告、決算報告、会則改定および平成1
8年度事業計画案、予算案があり、賛成多数で承認されました。その
他に、平成18年度の執行部役員3名の選出が行われこちらも賛成多数で承認されました。
副会長
児玉 真木
修士5回生
会計係
曽根千賀子
修士1回生
庶務係
吉田 聡子
修士6回生
<平成17年度事業内容>
平成17年度は①会員のネットワーク作り、②母校とのつながりの強化という目標の元に事業を展開してまいりました。
具体的な内容として①同窓会ホームページの立ち上げ、執行部のあり方についての検討、③その他(初代学長レリーフ、
ロゴマーク、学長との懇談会、母校への提案)に関して報告をいたしました。
<平成18年度事業計画>
【基本方針】
・同窓会活動の見直しと充実
・会員ネットワーク強化
【具体案】
1.ホームページの運営
平成17年度に、HP 作成の土壌は作られましたので、平成18年度は実際に HPを作成し運営していきます。HPではフォー
マルなものからインフォーマルなものまでを含んだ同窓会や母校の情報の発信を行ってまいります。
2.メーリングリストの立ち上げ
郵送管理だけでは十分に行えない同窓会会員の把握などをメーリングリストを立ち上げることで補っていくことが目的
となっています。メールでの補足的な管理をすることで、同窓会や母校の情報の発信や会員の住所変更なども簡便に手続
きすることが可能となります。また、メールでのアンケートを実施することも可能となり、郵便で行うよりコストの削減
が見込まれます。その他、リストでの管理により会員からの情報の発信も可能となり、会員ネットワークの強化に繋がり
ます。
3.役員活動の見直し
平成17年度から、第二期執行部が中心となり、同窓会を運営してまいりましたが、設立当時との状況の変化に合わせた
役員活動の見直しが必要ではないかと考え、執行部及び役員会の位置づけや、担当業務内容を整理し、再編成を行ってま
いります。
4.会員への会則の周知
本会は、長野県看護大学同窓会鈴風会会則にのっとって運営されていますが、全会員に会員の皆様の権利や義務が周知
されていないのが現状です。そのため、同窓会会則の理解と周知徹底を行うために、全会員へ会則の郵送を行います。
5.会員サービスの検討
平成17年度は、会員に対するサービスとして入会時の記念品の贈呈と、母校学報の郵送を行ってまいりました。しかし、
平成18年度からは、学報の郵送に関しては HPでの周知への変更していくことが決まっております。そこで、このサービ
スの変わりに、ホームページの会員限定サービスにアクセスするパスワードをお知らせする予定ですが、これだけでは会
費を納入してくださる会員へのフィードバックが不足していると考えますので、平成1
8年度は会員の皆様へのサービスを
充実させていくため、具体的な内容を検討してまいります。
[その他]
今後継続していきたい事業として、母校を退官される先生方に卒業生を代表して、感謝の気持ちをこめた記念品をお送
りしたいと考えます。費用は1万円以内で、鈴風会の名前を入れた記念品をお渡ししていきます。
〔12〕
平成18年度予算
<収入の部>
<支出の部>
科 目
収入予定
(円)
前 年 度 繰 越 金
内 訳
5,045,646 支出予定
(円)
500,000 10,000円×50名
新 入 生 会 費
1,000,000 10,000円×100名
既卒業・修了生会費
200,000 10,000円×20名
同窓会封筒作成
50,000 65円×130名,12000円+65円×150名
(会則印刷40円+
45,000
郵送料80円)
*350名
会 則 等 郵 送 費
会
6,745,646
議
賃
記
念
費
100,000
金
20,500
品
480,000 1,600円×300名
雑 費( 文 具 )
会費納入のお知らせ
同窓会会費は終身会費で1万円です。振込み先は以
50,000 H P 維 持 費
100,000 予
費
300,000 次年度への繰越金
5,520,646 備
計
下の通りです。
9
6
9
6
郵便局普通預金口座 口座番号:0
5
8
1−1−7
内 訳
総会時昼食代(500円*20名)、資料代、案
80,000
内用はがき(100円+印刷90円)*350名
総 会 開 催 費
新卒業・修了生会費
計
科 目
6,745,646
同窓会サイトオープン
加入者名:長野県看護大学同窓会鈴風会
このたび、同窓会サイトがオープン致しました。是非
会費納入いただいた同窓生の皆様には、記念品とし
アクセスしてみてください。なお、同窓会会員様には別
途お知らせいたします。
て「ロゴ入りはさみ」を差し上げます。
URL:http://suzukazekai.com/
同窓会 豆情報 その7
今回、執行部に新役員が加わりましたので、ご挨拶させていただきたいと思います。
<副会長:児玉真木>
修士5回生で、現在生活援助学講座で助手をしています児玉真木です。副会長という責任の重さに不安いっぱいで
す。ですが、この大学と関わって早6年目。私なりの思い入れをもって、この同窓会を盛り立ててゆきたいと思いま
す。どうぞよろしくお願いいたします。
<会計係:曽根千賀子>
私は、本学大学院の修士一回生で2
0
0
1年度に修了しました。この度、鈴風会の会計係を担当させていただくことにな
りました。修了生として大学の発展と同窓会の充実を心から願っています。皆様にご迷惑をおかけすることもあるか
と思いますが、よろしくお願いいたします。
<庶務係:吉田聡子>
この度、同窓会の庶務となりました、修士6回生の吉田聡子です。長野県看護大学の同窓会を盛り上げるお手伝いが
できればと思います。よろしくお願いいたします。
平成1
8年度長野県看護大学 公開講座のご案内
●第1回公開講座 廣瀬昭夫先生(化学講座教授)
7月15日
(土)13:3
0∼15:0
0 於 長野県看護大学大講義室(教育研究棟3階)
「私が担当した卒業研究の成果と思い出 アロマセラピー、自律訓練法、玄米食、健康によい水、死生観 」
●第2回公開講座 前田樹海先生(生活援助学講座助教授)
9月30日
(土)13:3
0∼15:0
0 (鈴風祭開催中)
於 長野県看護大学大講義室(教育研究棟3階)
「県内の看護職者はどのように働いているのか 看護人的資源統計の課題と展望 (仮題)
」
●第3回公開講座 田村正枝先生(成人看護学講座教授)
1
2月16日(土)1
3:30∼1
5:00 於 長野県看護大学大講義室(教育研究棟3階)
「がん患者と家族を支える看護(仮題)
」
1−5
10
0)、または本学 Website:www.nagano-nurs.ac.jpへ。
詳細は、長野県看護大学事務局(0
2
6
5−8
〔13〕
日この頃。学生さんたちと共にいろいろ考えていけたらと
新任教職員自己紹介
思います。どうぞよろしくお願いします。
病態・治療看護学講座 助手 中畑千夏子
看護形態機能学講座 教授 喬炎
今春、
大学院を修了しそのまま居着くことになりました。
看護形態機能学講座の喬 炎
(たかし えん)
です。
長野は学
私はこの3月まで看護師として病院勤務をしておりました。
会で一度来ただけで、りんごがおいしい以外に印象がまっ
病院とは全く違う環境に当初は戸惑うこともありましたが、
たくなく、仕事の場となることは想像できませんでした。
自
ようやくこの生活にも慣れてきたところです。
己紹介の内容は簡単です。
出身地は隣の中国です。
中国医科
大学院生だった2年間は、仕事と学業の両立に追われる
大学
(前身は満州医科大学)
卒後、
北京の中日友好病院で約
日々を送っておりました。これからは時間をみつけて四季
2年間臨床医をやってから、
日本に留学しました。
都内の医
折々の駒ヶ根の風景を楽しみたいと思います。
科大学で学位を取って、そのまま同大学で研究、
教育と外科
大学卒業後は国立小児病院(現国立生育医療センター)
病理の仕事に十数年携わってきました。
NICUに勤務し、
その後長野県立こども病院で主として小児
いままでの短い
(?)
人生を振り返ってみますと、
やや急
重症集中ケア、
小児救急ケアに長く携わっておりました。一
ぎ過ぎました
(ホリエモンの名言。
しかし、
内容は違う)
。
こ
方で病院感染管理もまた興味のある分野です。看護基礎教
の感覚は駒ヶ根に来てから大自然の洗礼を受けて湧いてき
育に携わるのは今回がはじめてですが、臨床経験から学ん
たものです。目いっぱい緑の延長線に高く聳えているアル
だことをできるだけ臨床家の目線で伝えていきたいと思っ
プスの山々、絶えず聞こえる名も知らぬ鳥の鳴き声、
一瞬唐
ております。
そして、
看護の世界へ足を踏み入れた学生の皆
詩の中で李白、杜甫の歌った桃源仙境と錯覚しました。
この
さんには、今この段階で、
将来出会う患者さんに対する責任
悠々たる大自然こそ、学生だけではなく、
教育者にとっても
と、
看護に携わる者の自覚を持って学ばれることを期待し
豊かな感性と強い精神力の源泉になると信じています。
ております。その過程で私にお手伝いできることがあれば
6月1日に着任したばかりですが、
学校の方々に暖かく迎
いつでも力になります。
気軽に声をおかけください。
どうぞ
えられて、
不安な気持ちが落ち着いているところです。
この
宜しくお願い致します。
学校で皆様とご一緒に仕事ができることはかけがえのない
生活援助学講座 助手 北澤美佐緒
幸せです。
看護教育には新人で、
また、
大学と講座の運営、
管
理などの仕事はまったく経験がございません。
これから是非
皆様こんにちは。4月から生活援助学講座の助手に着任
ともご支援、
ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
しました北澤美佐緒と申します。この学報に名前が登場す
るのは何度目でしょうか…。色々な肩書きで顔を出させて
外国語講座 専任講師 松井かや
頂いております。
私は本学の学部卒業生であり、
同窓会の会
初めまして。外国語講座に講師として着任いたしました。
長を務めさせて頂いたりしています。
また、本学大学院の博
愛媛県の出身で、高校を卒業してからはほとんどずっと関
士前期課程にも在籍しておりまして、ご縁があるのだなぁ
西に住んでいました。なので、
長野に来た、
というよりも
「東
と感じています。
に来た」という感覚が強いです。
言葉の違いはもちろんです
正直なところ、ほんの数ヶ月前まで自分が教員になると
が、
「ああ、
ここは東だ」
と思うことが他にもいろいろあって、
は思ってもいませんでした。
もっと遡れば、自分が大学院生
日々戸惑ったり驚いたりしています。
できないこと、
わから
になるなんて考えてもみませんでした。
しかし、
現在は大学
ないことばかりの新米ですが、他の先生方にいろいろ教え
院生であり、教員であり、はたまた同窓会長でもあり。人生
ていただいて、ときには学生さんたちに助けられたりもし
とは何が起こるか分からないものですね。
でも、分かること
て、だんだんと慣れてきたところです。
がひとつあります。
これらの経験全てが、
私にとってプラス
この大学に来てうれしいと思うことがたくさんあったの
になっているということです。
教員に関しては、
まだこれか
ですが、中でも感動したのは生協の食堂のメニューかもし
らですが…。
れません。関西圏の大学の食堂をいくつか知っていますが、
個人的な自己紹介をさせて頂きますと、生まれも育ちも
だいたい油っこいものが多くて、
いつも
「三十路にはつらい
長野県伊那市。生粋の伊那っ子ですが、学部生のころは、外
…
(けど仕方ない)」
と思っていました。
看護大では玄米か白
へ出たくてたまりませんでした。都会にあこがれて東京や
米を選べるといううれしいサービスに加えて、主菜も副菜
名古屋での就職説明会に参加しまくっていました。
結局は、
もバラエティ豊かでいつも楽しみにしています。雰囲気も
地元の伊那中央病院に就職。
先輩や同期に恵まれて、
楽しく
明るくて、とてもすきな場所です。
過ごさせて頂きました。そして今度は母校である本学に就
最後になりましたが、
私の専門は20世紀英文学です。小説
職。
ここでも周囲の人に恵まれて、
楽しく過ごしております。
を読むという体験は、人の生や死、
様々な感情に向き合うこ
今は、
地元を出たいと思うことはありません。
地元が大好き
と。そしてそこには答えのない問いがたくさん詰まってい
で、
どうやったら地元の人達に恩返しができるのかを日々
ます。看護という分野と重なる部分があるのではと思う今
考えています。
その第一歩として、
まずは母校に恩返しがで
〔14〕
きるように頑張っていきたいと思います。どうぞよろしく
悩み、
苦しみ、楽しんでいきたいと思っています。よろしく
お願いいたします。
お願いします。
老年看護学講座 助手 楠本祐子
母性看護学講座 助手 宮澤美知留
初めまして。本大学院修士課程を修了し、
4月から老年看
みなさま、
はじめまして。
このたび母性看護学講座の助手
護学講座の助手となりました楠本祐子と申します。出身は
に就任いたしました宮澤美知留です。初めての教員生活で
長崎県です。長崎は温暖で海に囲まれた標高が低く坂の多
戸惑いの毎日を送っています。
い町です。
このアルプスの山々に囲まれた標高の高い駒ヶ
実家は天龍村という県の最南端、自慢は県内で一番に咲
根とは正反対の地形だと思いますが、
縁があるのか私の駒ヶ
く桜と一番に行われるプール開きと一番高い老年人口割合
根生活は5年目を迎えました。こちらへ来る前は京都で病
(平成17年10月現在)
でしょうか。
いつも入学式には桜は散っ
棟の看護師として働いていました。この自然豊かな駒ヶ根
ており、プール開きは我慢大会と化し、家から1歩出ればお
で4年間どっぷり学生生活を楽しむことができました。今
年寄りにごあいさつ、
というのが少女時代の思い出です。そ
回初めて教育・研究機関という場で働くことになり、
慣れ親
んな村にある中学校には、私の時代は駒ケ岳登山というも
しんでいる場であっても、いろいろと学生時代とは違うこ
のが学校行事にありました。
事前学習で新田次郎の
『聖職の
とにとまどうこともあります。
しかし、
他の先生方の暖かい
碑』
を読ませ、
生徒たちを不安に陥れてから始まった登山で
励ましによってなんとか2ヶ月が過ぎました。
また、
すでに
したが、一番記憶に残るのは頂上から見た雲海の美しさで
始まっている領域別実習では、学生から教えてもらうこと
す。
しかしそんな美しい思い出のある駒ケ根という地も、あ
が多く、日々新たな発見をしています。
まりに遠い記憶になりすぎて最近では、帰省する際に通過
ところで、私の最近のモットーは
「何事にも意味がある」
するだけの土地に成り下がっていました。ところが住んで
です。毎日生きているといろんな出来事や人に出会います。
みて駒ケ岳の美しさにびっくりです。とたんに若かった頃
それをどう自分で意味づけしていくかによって、その経験
の思い出がよみがえってきました。というわけで現在の目
をもとに成長していけます。そのことを意識しながらチャ
標は駒ケ根登山! というには無理な体になってしまいまし
レンジしている毎日です。
学生の皆さんも、
この4年の間に
たので、とりあえずロープーウェイという現代科学の賜に
は楽しいだけではない、いろんな出来事が起こってくるか
乗って千畳敷カールを見に行くことが目標です。
もしれません。それを自分の中でどうとらえて意味づけし
そんな美しい土地で初めて看護教育に携わるわけですが、
ていくかによって、人生の豊かな経験となると思います。
学
ちゃんとそれに向けての目標も持っています。学生のみな
生時代の4年間は貴重ですばらしい時間だと思います。み
さまとの関わりを通して自分も成長すること。これが今現
なさんと一緒に成長していけるよう、がんばっていきたい
在の目標です。目標実現に向けてぼちぼちがんばりますの
と思います。よろしくお願い致します。
でよろしくお願いします。
精神看護学講座 助手 こんにちは、精神看護の助手の
圭子
小児看護学講座 助手 大脇百合子
(たかはま)
です。
3月
皆さん、
はじめまして。
小児看護学講座助手の大脇百合子
まで、大都会、御茶ノ水の東京医科歯科大学で臨床・院生・教
と申します。
生まれも育ちも長野県で、
山の見えない生活を
員など修行を重ねておりましたが、不思議な力に引かれて
したことがないので、アルプスの見える駒ヶ根で生活でき
駒ヶ根にやってきました。
出身は海洋県長崎なので、
2つの
ることを嬉しく思っています。私は、
本学を卒業し、看護師
アルプスの見える壮大な景色がとても新鮮で、神秘的なも
として3年間臨床を経験した後、
大学院生として今年の3
のを感じています。そして、
驚いたことにこの山の中で2人
月までお世話になっていました。ついこの間まで学生とい
の頼もしい後輩にめぐり会いました。おかげで桜見物や長
う立場であったのに、いまや「先生」
と呼ばれるようになっ
崎弁での語り合いができ、孤独感に浸ることなく、幸せな
てしまい複雑な心境です。実習病棟で、
「先生」
と呼ばれても、
駒ヶ根生活を送っています。
まさか自分のこととは思えず反応できないこともしばしば
先日、
領域別実習が始まるにあたり、
飯田病院へ研修に行っ
です。
できれば、
「おおわきさん」
、
もしくは
「ゆりこさん」
と
てきました。そこで患者さんたちが「…らぁ∼」
としゃべっ
ナチュラルに呼んでいただけると嬉しい限りです。
ているのに感動しました。とてもやさしくてあたたかい響
学生の皆さんとは、主に実習でお会いすることになりま
きだったので真似してみましたが、なんか変? 簡単には習
すが、
臨床の場でこそ体験できることを大切にしてほしい
得できないようです。これからの実習を通して、
患者さんや
と思います。
嬉しいこともあれば、
つらいこともあると思い
学生の皆さんと関わる中で、こうした信州の文化を身に付
ますが、そのひとつひとつが自分の力になっていくはずで
けていきたいと思います。ただ、
虫は得意ではないのでイナ
す。
私も看護教員としては新米ですが、
皆さんと共に大きく
ゴだけは勘弁してください。
成長していければいいなと思っています。
最後になりましたが、精神看護学実習は患者さんだけで
ちなみに、
座右の銘は Have fan!です。
何でも楽しむこと。
なく、自分自身についても深く知る機会になります。
一緒に
もちろん、楽しいことばかりではないかもしれませんが、そ
〔15〕
んな中でも Have fan!と思えるような自分でいたいと思っ
生部長や小坂医務課長をはじめとする関係者の開学に向け
ています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
てのご労苦を目の当たりにしておりました。
建設当初から準備室長をお務めになられ、本学の事務局
地域看護学講座 助手 戸田千賀子
長も務められた田中邦治さんには、当時上司としてお仕え
酒井久美子助手の産休代替で1年間お世話になります。
し、
その後も色々な面でご指導を頂いてまいりました。
そん
今年の1月まで2年6か月バングラデシュのド田舎に住ん
な訳で本学には特別な親しみを感じております。
でいました。移動はどこまでも歩きが基本、
バスに乗りたく
現在、
長野市の自宅に妻と二女、
そして我が家のアイドル
ば走っているモノと併走して飛び乗り、電話というのは都
「ミュー」
(オスのアメショウ6歳、
8.3キロ)を残し単身赴任
会にしか無いモノ、魚というのは捕獲して食べるモノ、
入浴
中です。
じゃなくて「水浴び」、
喫茶店じゃなくて
「茶屋」
、
夜はろうそ
趣味は映画鑑賞と落語鑑賞と申し上げておきます。長野
くで過ごし、下着は毎晩鍋で煮て(カビによる皮膚炎を予
市権堂町にはこの6月に映画専門ビルがオープン予定です
防)
、トイレットペーパーは
「何するモノ?」
、
赤痢になれば
ので楽しみにしております。落語は六代目三遊亭円生の人
「外食したの?」、
気温30度で
「今日涼しいよね」
、
お腹のギョ
情噺や芝居噺、
五代目古今亭志ん生ものが好きで、CDやテー
ウ虫に至っては「ペットです」
という世界からやってきまし
プなどで楽しんでおります。
た。
看護大学は開学12年目を迎え、
県立大学、
地域の大学とし
いつも何食わぬ顔で仕事をしていますが、本当は慣れな
て定着しておりますが、
一方、
新たな課題も多数発生してお
い文明国で内心ドキドキしています。皆さまにご迷惑をお
ります。
教職員の皆様や学生の皆さんと協力し、
本学の発展
かけする場面が多いかと思いますがどうかよろしくお願い
に微力を尽くしたいと思っておりますので、どうぞよろし
いたします。
くお願い申し上げます。
地域看護学講座 助手 下村聡子
事務局 主任企画員 佐藤員淑
はじめまして。地域看護学講座助手の下村聡子です。
長野
4月から事務局に勤務しております佐藤と申します。県
県看護大学を卒業して4年目の春、再び母校に戻ってまい
に就職して以来多くの行政機関を勤務してまいりました。
りました。お世話になった先生方や、
夢に向かって共に歩ん
教育の現場は高等学校に12年程勤務いたしましたが、
大学
だ仲間たちとの思い出がたくさん詰まったこの大学で、再
は初めての経験であり戸惑っているというのが正直な気持
び過ごすことができ、
大変うれしく思います。
暖かさや居心
ちです。高校と比較いたしますと学習環境に格段の違いが
地の良さを感じながら毎日を過ごしています。
あり、施設・設備の豪華さが目につきます。
ゴールデンウィークがあっという間に過ぎ、いよいよ実
4月6日と7日の二日間、新入生のオリエンテーション
習が始まりました。初日は学生以上に緊張していたように
合宿に参加いたしました。
パラパラダンス・無言劇等もあり
も思います。学生の思いや考えを引き出せなかったり、
私が
楽しい時を過ごしました。新入生にとって有意義であった
伝えたことで混乱させてしまったり、
悩む毎日ですが、
学生
と思うことは、
グループごとの話合いではないでしょうか。
の皆さんと一緒に地域看護について考える良い機会にも
学長先生の適切なアドバイスもあり、中心になる学生の二
なっています。
人が進行役になり話が弾んでお互いによい学友になれたよ
4年間の学生生活は、
本当にあっという間です。それは
うに思われます。
きっと、
とても充実した毎日だからです。
泣いたり悩んだり、
私はすでに両親はおりませんが、
両親の看護の中で病院・
仲間と大騒ぎして笑ったり、
辛い思いをしたり、
看護の学び
老人保健施設等の医師さん看護師さんには大変お世話にな
を深めて新しい発見に目を輝かせたり、平凡な毎日に見え
りました。中でも看護師さんの献身的な看護には大変感謝
ても実はとても新鮮だったり。
そんな毎日が、
学生の皆さん
しているところです。
本年入学した学生が、
数年後には心優
にとって人生の宝物になると思っています。ぜひ宝物をた
しい温かな気持ちを持った看護師さんになって社会に巣
くさん作って下さい。学生の皆さんのお手伝いができれば
立っていることを期待してオリエンテーションを終えまし
と思います。どうぞよろしくお願いします。
た。
生まれは信州の小京都「松代」
ですが、
一日も早く駒ヶ根
の地に馴染み、
仕事にも慣れたいと思いますので、
どうぞよ
ろしくお願いいたします。
事務局 局長 松澤睦司
事務局総務担当 主事 中山浩子
4月から事務局長としてお世話になっております松澤睦
司と申します。 4月からお世話になっています事務局の中山です。伊那弥
看護大学の勤務については、不思議なご縁を感じており
生ケ丘高校から異動してきました。
前任校でも給与・旅費等
ます。と申しますのは、看護大学の建設が正式決定された平
の仕事をしていましたが、看護大学は予算も多く仕事量も
成3年当時、私は衛生部医務課に勤務しておりまして、
林衛
多く戸惑うばかりの一ヶ月でした。よくわからず御迷惑を
〔16〕
おかけしたこともありましたが、
5月に入り少しずつ余裕が
よってその前に把握されるべき
「徳とはそもそも何であるか」
出てきたかなあと感じています。
でもまだまだわからないこ
という問いに置きかえられ、
「徳」
を定義することへの試みへ
とばかりですので、
いろいろと教えていただきながら頑張っ
とつながってゆく。
紀元前402年頃に書かれたこの比較的短い
ていきたいと思います。
本は、
いわゆる珠玉の短編としての評価が高く、
またプラトン
出身は飯田市ですが、結婚してから伊那市に住んでいま
哲学を学ぶための最良のイントロダクションといわれている。
す。
家族は主人と子供2人です。
中学校で合唱部に入ってい
この本を読み終えた時、
私は
「知ることとは何か?」
という
る娘とミニバスをやっている小学生の息子の成長が今は一
疑問が頭から離れなかった。
ソクラテスは、
「人間を正しく導
番の楽しみです。休日は試合の応援に行ったり練習を見学し
くものは、
正しい
『思わく』
と
『知識』
である」
と語っている。
更
たりして過ごしています
(と言っても運動音痴の私はルール
に
「正しい
『思わく』
は
『原因
(根拠)
の思考』
を欠くので、
永続的
もよくわかってないのですが)
。
自分の趣味はと言うと、
寝る
ではない点で
『知識』
とは区別され、
『思わく』
が人間に縛りつ
ことでしょうか…。こんな私ですが、
何かありましたらいつ
けられて
『知識』
という永続的なものとなる」
とも述べている。
でも声をかけていただければうれしく思います。
よろしくお
そこで自分自身を振り返ってみると、
私が今まで
「知っている」
願いいたします。
と思っていることは正しい
「思わく」
なのかもしれない、
それ
は真の
「知識」
なのだろうか?と不安になった。
もしかすると、
事務局 学生支援員 牧田陽子
「知っている」
と思い込んでいるだけではないだろうか?
長州出身の牧田陽子と申します。
4月から主婦・事務員・夜
ソクラテスは、
「知っている」
と思い込んでいる人々につい
の図書館のオバサンと3足の草鞋を履いています。
『功名が
てこう述べている。
「自分が知者だと思っている人々も、
肝心
辻』の千代とはほど遠い毎日を過ごしています。
なたましいの問題は知らない。
知らないことに気づいていな
看護大には以前 OHPの貸借で来たことがあります。
まさ
い。
しかし、
自分は知っている」
これは
「無知の知」
であり、
教育
か、
受付をした事務室の中の椅子に座ることになるとは想像
現場にいる私には胸に刺さる言葉だった。
思い込みを教える
しておりませんでした。
また付属図書館では、
蔵書の多さ・多
ことは、
相手にとって真の
「知」
とはならない。
自分にとって真
種さ(絵本もある!)にびっくりしています。
の
「知」
となるためにはどう
「知る」
のか?
「知る」
こととはどう
さて、我が家の庭はここ数年来雑木林と化しております。
いうことなのか?
この度、兼業主婦として看護大に勤務することとなり、今年
この本の最後では、
結局
「徳」
が何であるかは明らかにして
中に森化しそうです。
さらに天気が良く見晴らしの利く日に
いない。
「徳」
が何であるかをこれから考えてゆかなくてはな
は、
スケッチに出掛けてしまうので<我が家の緑よりアルプ
らない、
とメノンに投げかけてソクラテスは逃げてしまう。
こ
スの緑>。ますます木漏れ日も射さない庭となりそうです。
の投げかけは、
読者への投げかけでもあり、
私は、
ソクラテス
しかし、
ヒヨドリ、
モズ、
ヤマバトのつがいに時々キジなど
が
「徳」
を正しい
「思わく」
ではなく、
真の
「知」
にしていたので
(年間20種くらい)
が訪れ、
居ながらにしてバードウオッチ
はないかと感じた。
では、
真の
「知」
とは何か?それを明らかに
ングが出来ます。
するためには、
ソクラテスがメノンとの対話から
「徳」
を探求
その鳥たちは私の超へたっぴいなピアノを聞くと、
何故か
しようとしていたように、
正しい
「思わく」
を自分に縛りつけ
さえずり始めます。
対抗心?拒否反応?そこは人間の私には
て
「知識」
となるよう、
縛りつける努力をすることが必要だと
わかりません。目下、
自然に囲まれた伊那の家から同じくす
思う。
「これは、
思い込みではないだろうか?」
という意識を常
ばらしいアルプスの景観に囲まれた大学まで幸せな気分で
にもって知ろうとする努力をすること、
これが
「知ること」
へ
通勤しています。
の第一歩ではないだろうか。
「無知の知」
を自分への戒めと思っ
そんな私の今一番の楽しみは
「のだめカンタービレ」
第15
て、
「真の
『知』
とは?」
「
、知ることとは何か?」
を今後も考えて
巻(限定版)のマングースです。6月中旬を過ぎた頃には、愛
ゆきたい。
車に彼女と同乗し伊那路を走っていることでしょう。
「メノン」
は短編であるが、
答えのない疑問に駆られる本で
あった。
教育者としての立場から読むと、
はっと気づかされる
その他の新任職員
ことが多い。
一見ただの対話に思えるこの本は、
2300年経っ
精神看護学講座 助手 丸山 義浩 た現代にも大切なことを問いかけているのだと思う。
地域看護学講座 助手 白川 あゆみ
(本学教員、生活援助学講座助手)
「名著を読み対話する集い」
のお知らせ
〔投稿〕
知ることとは何か
――プラトン『メノン』を読んで
児玉真木
ソクラテスの弟子プラトンが書いたこの短編は、
ソクラテ
スと彼を訪ねた青年メノンとの対話で展開する。
「徳は教えら
れうるか」
というメノンの問いかけから始まり、
ソクラテスに
参加者各自が名著・古典を熟読し、人間にとっての普遍的な
問題について対話を通して考えを深めていきます。9月から
は一般にも公開する予定です。
【時】毎月1回 18:00∼20:00 〔一般公開の日程は未定〕
【場所】教育研究棟3F 自習室2
【テキスト】デカルト『方法序説』
(岩波文庫)、福沢諭吉『学
問のすすめ』
(岩波文庫)、新渡戸稲造『武士道』
(岩波文庫)
など 問い合わせ:水嵜知子(生活援助学講座専任講師)
〔17〕
スの総論的な話しと精神病院で実際に使用されているクリ
〔投稿〕
ニカルパスの内容について、わたし自身が働いていた病院
精神専門看護師をめざして
戸田由美子
の具体例を提示するなどして話しました。それをきっかけ
に病院としてもクリニカルパス班を結成し検討されている
日進月歩の高度医療に対応するため、看護も専門技術を
ようです。
高め、分化していくことが必要となってきました。アメリ
それ以外としては、わたし自身が10数年ヨーガを習って
カ合衆国では1970年頃から専門看護師(以下、CNSと記
いることもあり、看護者のリフレッシュというかメンタル
す.
)認定が始まり、日本では1996年より日本看護協会で
ヘルス管理のためにヨーガ講習を2度ほど行いました。リ
の認定が始まりました。
ラックスできたと好評でした。
CNSとは、複雑で解決困難な問題を持つ個人・家族・集
学内業務の傍ら精神 CNSをめざしているので、1∼2ヶ月
団に対して、水準の高い看護を効率よく提供する、特定の
に1回ぐらいでは時間も足りず(非常勤の場合週8時間従
専門看護分野の知識・技術を深めたスペシャリストのこと
事する必要がある)、CNSの全ての役割をこなすことも現
を言います。また、CNSの資格は、看護系大学院の CNS 課
状では困難です。しかし、臨床の看護師さんたちと一緒に
程を修了し、看護師歴5年、専門分野3年の経験を持ち、修
患者さんや家族への看護を考えていくことは忙しさに代え
士卒業後1年間の実務経験後認定審査を受け認定を受け取
難く得るものがありますので、今後も CNS 取得を諦めず
得します。
チャレンジし続けたいと考えています。
わたし自身は、
昨年より長野県内4ヶ所の病院で精神 CNS
(本学教員、精神看護学講座専任講師)
をめざして活動を始めました。CNSの役割としては、実
学報への投稿募集
践・相談・調整・倫理調整・教育・研究と6つあります。
これら6つの実践を積むことが認定審査を受けるためには
必要ですが、現在大学に所属しながらの実践なので、患
者・家族への直接ケアや医療関係者間の調整は難しく、相
学報への原稿を募集します。内容は、
近況報告:学術・社会貢献のニュース、
出版、
学会活動、
学会参加報告、
Conference Report、etc.
談・教育・研究が中心です。そして、看護者のメンタルケ
自由投稿:書評、
本の紹介、
写真、
ミニエッセイ、
etc.
アとしてヨーガ講習を行っています。
お知らせ:勉強会、
読書会、
クラブ活動、
サークル、etc.
4ヶ所の病院それぞれに特徴があり、外部の人間に期待
その他:お便り、お知らせ、お勧め本、etc.
される内容も違うため、最初に看護部長さんたちと何を中
心に関わってもらいたいか検討しました。全ての病院で
などです。
やってもらいたいという内容はケアが膠着し長期入院と
なっている困難事例へのコンサルテーションでした。それ
ぞれの病院で年間1∼2回のコンサルテーションを行って
います。ある病院では管理職の力を付けて病棟運営をした
いということで、師長さんの小グループを作り年間4回の
グループ運営を行いました。毎回それぞれの師長さんが事
例をまとめた内容を検討し、カンファレンスの仕方や患
者・家族のアセスメントと全体像を作る作業をしていきま
した。つまり、患者・家族の理解を深め見方を変えるのが
私の役割です。その度毎に意図して家族へのアセスメント
も行い、患者・家族の捉え方などの話しをしていきました。
最初は、患者さんにばかり目がいっていた師長さんたちが、
回を重ねるたびに私が質問しなくても師長さんたち同士で
よい質問を投げかけて下さるようになり、患者・家族への
捉え方の成長度が目に見えて伺え凄いなあと感心する状況
でした。いっぱい質問もして下さり、活気のある会で3時
間ぐらい熱心な議論が飛び交いいつも参加するのが楽しみ
でした。その病院では今年は主任さんたちの小グループで
同じようなコンサルテーションをすることになっています。
教育では、プロセスレコードによる検討ができるように
なりたいという要請があり、2ヶ所でプロセスレコードの
理論と演習をしました。実際プロセスレコードを書いてお
互いに検討しました。結構今までにプロセスレコードを書
いたことがないという看護師さんもおられて、やってみた
ら面白かったという感想をもらいました。また、病院とし
てクリニカルパスを導入したいけど、どこから手を付けて
よいかわからないという相談を受けたので、クリニカルパ
〔18〕
詳細は学報編集部 [email protected])へ。
の生活が3年ほど続きました。
でも私の目標はずっと、協力
〔巻末特別企画〕
隊に行くことだったので、できるだけ自分の経験を積む機
インタビュー:いま看護学生として考えること
澤田良子
会をいっぱい作ろうと思いました。陶器を創って売る仕事
と、
博物館のレプリカを作るアルバイトと、
教える技術も必
平成18年2月15日付『協力隊を育てる会ニュース』
に、
「帰
要だと思ったので陶芸教室も開きました。陶芸教室を開い
国隊員等人材育成奨学金 受給者に聞く」という特集記事
てみて年配の方々からいろんなことを学びました。それま
が組まれ、本学2年生の澤田良子さんと卒業生の水口雅子
ではその国に行って、何か手助けになるような貢献的なこ
さんへのインタビュー記事が掲載されました。この奨学金
とをしたいと思っていたけれど、
陶芸教室をするようになっ
制度は、
「協力隊を育てる会」が帰国隊員等の国内進学を支
て、
協力隊に行きたいのは自分が何かを得たいからなのだ
援する目的で実施しているものです。
と気づいたんです。刺激や人との触れ合い、アイデア、いろ
そこで、ザンビアでの活動を終えて帰国した後、
本学に進
んなものを吸収したいから行きたかったんだとわかりまし
学した澤田さんに、ザンビアに派遣されるまでのことや本
た。
学に進学するきっかけなどについてお話を伺いました。
協力隊に行きたいと思うのは、人それぞれなんでしょう
ね。
私にとっては、
自分が変わるきっかけを協力隊で見つけ
* * * * *
たかったのだと思います。
変わりたいというか、
成長したい
編集部 まず、陶芸講師としてザンビアに派遣されるまで
というか、もっといろいろなものを見てみたいと思いまし
のことを聞かせてください。
た。
澤田 私は小さな頃からものをつくるのが好きでした。京
編集部 ザンビアではどのような活動をされていたのですか。
都は陶芸が盛んで、陶芸家がろくろを回す姿を見て、
自分も
澤田 ザンビアでの2年半は、気持ち的には山あり谷あり
やってみたいと思ったのが陶芸の道に進むきっかけでした。
でした。
ザンビアでは様々な理由で、
子どもたちが学校を途
絵を描くのも好きだったので、美術系の高校に進学した
中でやめてしまうんです。家族のために働かなければなら
のですが、そこで陶芸のおもしろさを知り、
アートとして陶
なかったり、
病気になったり。
そういう人たちが技術を身に
芸をみてみたいと思って、大学に進学しました。
高校は職業
つけて職を得られるようにする職業訓練校に派遣されまし
訓練のような技術を習得する場でしたが、大学ではもっと
た。
そこには木工、
服飾、
自動車整備、
そして陶芸のクラスが
自由に「売れないもの」を創っていました。
ありました。その職業訓練校はアイルランドのキリスト教
編集部 陶芸の魅力とは何でしょうか。
系の NGOが設立したもので、
ミッション・エリアの一角に建
澤田 絵画は最後まで創っていく過程が見えますが、陶芸
てられていました。首都ルサカからは600キロほど離れた田
は、最終的に釜の中に入れることで、
創ってきた過程が思い
園地帯で、首都へのバスは週1便しかなく2日間もかかる
も寄らないものになります。
薬の配合ひとつでも、
ちょっと
んです。
だから首都に上がったときには、
食べたいものを買
した違いで、その作品がすごくいいものになったり、
逆につ
い込んで帰ってきました。
移動が一番辛かったけど、
自分は
まらないものになったりするんです。
だから、
作品を釜から
すごく恵まれていると思うほど、村はとてもいい所で落ち
出す最後の瞬間が、私にとってはすごく魅力的です。
絵画は
着けました。
自分が目指すものをより完璧に創るものだけれど、陶芸に
でも、
陶芸のクラスにはなかなか生徒が集まらないし、赴
は、自分とは違う何かが加わる魅力があると思っています。
任したときには、他のクラスにも日本人講師はひとりもい
編集部 今も器を創ったりされているのですか。
なくて、
生徒と一緒に釜を作り直したりもしました。
ザンビ
澤田 今は勉強が忙しくて、
陶芸はちょっと休憩中です。
アでは、
職に就くためには資格が必要なんです。
ザンビアの
編集部 そうですか。
では次に、
青年海外協力隊で活動しよ
人たちにとってはその資格がとても魅力的なもので、陶芸
うと思ったきっかけをお聞きしたいのですが。
教室でもその資格が取れるような授業を計画しました。で
澤田 やはり小さな頃から途上国、
特にアフリカに興味が
も、
ザンビアの人たちは、
日本と違って毎日学校にはやって
あって、
黒柳徹子さんなどがボランティア活動をされている
来ません。
理由は様々で、
畑仕事をしなければならなかった
のを見て、
「すごいな」
「行ってみたいな」
と思っていました。
り、
マラリアに罹った人もいます。
それから、自分の好きな美術の高校に進んだのですが、
そ
マラリアに罹って亡くなる人は本当に多いです。雨季の
のころ、高校の先生のお友達が青年海外協力隊で活動され
直前には毎日お葬式があって、皆が墓場に歩いていく様子
て、
その人からの絵葉書を見せてもらったんです。
その方は
を見ていて、
そのとき、
本当に健康が大事だと思うようにな
陶芸で行かれたのですが、
そのとき、
自分の好きなことで人
りましたね。それで、
少しずつ医療にも興味を持つように
の役に立てるんだ、私も行ってみたいと思いました。
その思
なったんです。ミッション・エリアには病院もあって、生徒
いは大学時代も続いていて、卒業前に受験したのですが落
がよく入院しました。
その病院に行くと、
家族ぐるみでひと
ちてしまいました。いま思えば、
そのときは、
他人に陶芸を
りの家族を看ていました。
病院には給食がないので、
家族が
教えたこともない自分の経験不足と、何かしてあげたいと
食事を作らなければならないということもあったのだと思
いう思いが強すぎたのかなと思います。何かを学びたいと
うけど、
一家で病院に引っ越してきたような感じで、
日本と
いうのではなくて、自分がそこに行くことでその地域が変
は違って家族で看護していていいなと思いました。患者さ
わるというようなおこがましいところがあったと思います。
んが淋しくないじゃないですか、
家族に囲まれているから。
それで、
友人と工房を持って器を創って売る仕事を始め
私には15年前から脳梗塞で両親の介護を受けている祖母
ました。それだけでは食べていけず、
アルバイトもしながら
がいますけど、日本に帰って来て、祖母の姿を見たとき、本
〔19〕
当に日本は恵まれているのだろうかと思いました。ザンビ
を全うすることに精一杯で、
あまり相手の人の話を聴けてな
アに行くまでは、日本は一定レベルの健康を誰もがもって
いんですけど。
いて、きれいな水で手を洗うとか、
風邪を引いたらすぐに医
編集部 それが看護の基本かもしれませんね。澤田さんがそ
者にかかれて必要な薬が手に入るとか、そういうことをす
れに気づいたことはとても大切で、
まず相手の話を聞くとい
べてクリアした上で生きていると思っていました。
でも、
祖
うことは、
ザンビアで生徒さんに関わっていたときのことと
母は幸せそうじゃなかったんです。
「早く死んでしまいたい」
看護の場面とに共通することなのだと思いました。
と毎晩叫び続けている祖母の声を聞いているうちに、日本
澤田 毎回演習では、
先生方に言われて気づくことが多いで
はまた違った意味で、
医療の面で何か欠けているのかな、
と
す。
たとえば、
この患者さんは本当に足を洗いたいって思っ
思うようになって、考えついたのが
「心の健康」
でした。
ていたの? 本当はもっと違うことを言いたかったんじゃな
いの? って先生方に聞かれて初めて、
ああそうか、
って思い
ます。
自分はこうだと思ってたのに、相手は全然違うことを
要求してたのかもしれないなって思うと、
相手の話を聞かな
きゃいけないって毎回思います。
そんなことを考えている
と、
ザンビアのことを思い出すんです。
編集部 これまで澤田さんが歩んできた道の続きに看護の
学びがあるんだなということを、
澤田さんのお話を聞いてい
て思います。
それでは最後に、これから澤田さんがやりたい
と思っていること、
そして海外での活動を志している人たち
へのメッセージを聞かせてください。
澤田 そうですね。
私は高齢者医療に携わっていきたいと
思っています。日本はこれから高齢者の数がどんどん増えて
澤田良子さん 基礎看護実習室にて
いくので、
もっと高齢者のイメージを明るくできるような医
今まではずっと外の方に、外国の方に目が向いてたけれ
療をしたいです。できれば保健師として高齢者の方たちの健
ど、
ザンビアから帰って来て、
自分の国をもっとちゃんと見
康管理とかを行っていきたい。
てみたいと思うようになりました。ザンビアに行く前から
協力隊に行ったことで、
私はいろんなことを学べたので、
祖母を見てはいたけれど、帰って来てからは祖母を見て感
よかったなって思います。まあ、
協力隊や海外に限らず、
国内
じ取るものが違ったんですね。
今まで自分は避けてたなと。
での人との関係でも、
自分が今まで知らなかったことにアン
老人とか老いとかに対する煙たさみたいなものがあって、
テナを立てることで、
自分の世界が広がるんですね。だから、
歳を取ったら祖母のように悲しく寝たきりになってしまう
協力隊に行ってみたいと思う人がいたら、
協力隊に行く以前
んだろうなというように、悲観的にしか見ていなかったん
でも、
協力隊と同じような体験、
発見や驚きが日本国内にも
です。ザンビアから帰って来てからは、
自分が生きていく上
たくさんあるので、
受験する前に、まず自分の身近な周囲に
で、
老いに向かって進みつつも、
老いの部分で改善していけ
目を向けて頑張ってほしいです。
ることがあるんじゃないかと考えるようになりました。だ
他人との関わり合いっていうのは、
外国でも国内でも一緒
から、看護大学に進学したきっかけは、
ザンビアでのことと
だなって思います。
例えば世代の違う人との触れ合い、
関わ
祖母のことです。
り合いっていうのも、
また別な意味での異文化と言えるので
編集部 ザンビアでの経験が、いま看護大学で学ぶことに
はないでしょうか。
海外にばかり興味をもつと、
何かが違っ
活かされていると感じることはありますか。
てきてしまうような気がするんです。
人はそれぞれ異なった
澤田 最近はあまり余裕がなくて(経験がどう活かされて
文化をもっているので、
自分とは違う部分をもつ相手と関わ
いるかというようなことは)考えられないですけど、でも、
る中で、
自分は何を感じているんだろうっていうことに敏感
疲れたときや悲しいときに、
(ザンビアに)
帰りたいなと思っ
になって、そういう気持ちを大切にしてほしいですね。
たりしますね。
そうですね…、
何かあるはずなんですけど…。
* * * * *
あっ、人それぞれだなって思うようになりましたね。
自分
を強調する前に、相手の人、
周りの人の話を聞こうという気
■インタビューを終えて
持ちが出てきたので、それは看護の場でも活用できるのか
約2時間のインタビューでしたが澤田さんは終始、
慎重に
なって最近は思います。自分はこうだ、
これで合っているっ
ことばを選びながら真摯な態度で語ってくださいました。
海
て思って進むんですけど、相手には相手なりの今まで生き
外での活動を目指したのは、
他人に何かしてあげるためでは
て来た歴史っていうのがあるじゃないですか。そういう面
なく、
自分が学びたいからだと気づき、
帰国後、
人間関係で大
で、ザンビアではいろんな失敗もしたりして。
日本から持ち
切なのは相手の話を聴くことだとわかったと話された姿が
込んだ技術、日本流のやり方を相手に押し付けたところで、
印象的でした。日本とは状況がまったく異なる海外での体験
ザンビアの人にとっては受け入れ難いものがあったんです。
の上に、本学での学びが積み重なって豊かな経験となり、そ
そういうのをまず聞かなければいけない。話し合いって大
れがやがて彼女にとっての看護の知になっていくのだろう
切だなって思いました。まず相手を理解しなければいけな
と、
嬉しく思いました。
様々な経験をもつ学生の皆さんが、
互
いなというのを学んだと思うので、そういうのが活かされ
いに高め合ってくれることを望まずにはいられません。
ている…、活かしたいなって思います。でも演習中は、技術
〔20〕
文責:水嵜知子(本学教員、生活援助学講座専任講師)