資料2 新総合計画 新・元気とやま創造計画 答申案 平成 24 年 3 月 富山県総合計画審議会 目 第1編 第1章 1 2 3 次 総論 計画策定にあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 計画の性格、特色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 計画の構成と目標年次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 第2章 時代の潮流と富山県における状況変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 1 時代潮流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2 富山県における状況変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 3 幸福度を巡る動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 4 県民意識とニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 〈参考〉 ① 富山県の人口の見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 ② 中期的な県財政の見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 ③ 若者の声・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 第3章 富山県の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 〈活力とやま〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 1 産業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 2 交通・物流基盤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 3 観光・まちづくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 〈未来とやま〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 4 子育て、教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 5 多彩な県民活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 6 魅力ある地域づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 〈安心とやま〉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 7 医療、福祉、健康、スポーツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 8 環境・エネルギー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 9 安全・安心な暮らし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 第4章 1 2 3 4 富山県の目指すべき将来像・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 県づくりの3つの視点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 目指すべき将来像と計画の基本理念(目標)・・・・・・・・・・・・・・・・・45 目指すべき将来像の実現に向けた政策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 2020年代初頭に期待される富山県の姿・・・・・・・・・・・・・・・・・・57 第5章 県政運営の基本姿勢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60 第6章 計画の実効性の確保と推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 1 計画の実効性の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 2 計画の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 第2編 第1章 1 2 3 4 5 基本計画 重点戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 グローバル競争を勝ち抜く環日本海・アジア戦略・・・・・・・・・・・・・・・70 少子高齢化・人口減少社会における活力創造戦略・・・・・・・・・・・・・・・76 災害に強い「日本一の安全・安心県」戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・82 環日本海地域の「環境・エネルギー先端県」戦略・・・・・・・・・・・・・・・88 いつまでも、みんな元気「健康先進県」戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・94 第2章 基本政策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 第 1 節 基本政策の体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102 Ⅰ 政策体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102 Ⅱ 政策・政策目標、主な施策及び県民参考指標・・・・・・・・・・・・・・・104 第 2 節 活力とやま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111 Ⅰ 競争力のある力強い産業の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112 Ⅱ 環日本海・アジア新時代に向けた交流・物流ネットワークの形成・・・・・・164 Ⅲ 活力あるまちづくりと観光の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・180 第 3 節 未来とやま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・201 Ⅰ 未来を創る子育て支援と教育の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・202 Ⅱ 一人ひとりが輝く多彩な県民活動の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・234 Ⅲ ふるさとの魅力を活かした地域づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・262 第 4 節 安心とやま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・283 Ⅰ いのちを守る医療・福祉の充実と健康づくり・・・・・・・・・・・・・・・284 Ⅱ 次世代へつなぐ豊かで快適な環境の保全とエネルギー対策の推進・・・・・・312 Ⅲ 災害に強い県土づくりと安全・安心な生活の確保・・・・・・・・・・・・・332 第3章 重要政策「人づくり」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・365 Ⅰ 重要政策「人づくり」の位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・367 Ⅱ 富山県の目指す人づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・367 Ⅲ ライフステージごとのテーマと取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・368 Ⅳ 人づくりにおける連携と役割分担・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・373 〈参考〉多彩な人材が育ち、活躍する富山県・・・・・・・・・・・・・・・・・・376 ~2020 年代初頭の富山県民の姿(イメージ)~ 第4章 地域別の特性と取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・381 Ⅰ 各地域の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・383 Ⅱ 地域別の方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・384 1 新川地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・384 2 富山地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・388 3 高岡・射水地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・392 4 砺波地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・396 第3編 1 2 3 4 5 6 7 とやま夢構想 世界のものづくり拠点 構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・404 医療・健康・福祉のリーディング拠点 構想・・・・・・・・・・・・・・・・・406 富山がリードする食と農の王国 構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・408 文化・知の交流のハブ 構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・410 環境トップランナーとやま 構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・412 世界の宝「立山・黒部」発信 構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・414 豊かな海と水の王国とやま 構想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・416 第1編 総論 第1章 計画策定にあたって 1.計画策定の趣旨 ○ 富山県では 2007(平成 19)年4月に「元気とやま創造計画」を県政運営の指 針として策定し、以来、着実に県政を進めてきました。 ○ しかしながら、当該計画の検討をしていた 2005(平成 17)年、2006(平成 18) 年頃から 6~7 年が経過し、その間、様々な状況の変化がありました。 世界では、経済・金融危機が発生したほか、中国などの新興国のめざましい発 展、世界経済における日本の国際的地位の低下などが顕著となっています。 国内においても、経済危機以降、持ち直しつつあるものの依然として厳しい経 済・雇用環境が続いているほか、公共事業の大幅削減をはじめとする中央政府の 政策の大きな転換、人口減尐・尐子高齢化の一層の進展や深刻化する国・地方の 財政、東日本大震災の発生など、社会経済情勢は大きく変化しています。 ○ 富山県においては、2014(平成 26)年度末までの北陸新幹線の開業が間近に迫 り、観光振興、交流人口の拡大や魅力あるまちづくりなど、開業を見据えた県づ くりの取組みを、県民に対してより具体的に提示していくことが求められていま す。さらに、伏木富山港を拠点とする環日本海・アジア地域との経済交流の拡大 や、医薬品産業の大躍進、航空機や次世代自動車等の新たな成長産業への挑戦な ど、本県産業が一層の発展を遂げるための新しい動きもみられるところです。 一方、変化が著しい時代のなかで、将来の生活への不透明感、不安感を感じて いる県民も尐なくなく、あらためて本県の直面する課題を整理し、本県がどのよ うな方針を持って、どのような方向を目指していくのか、道筋を示していくこと も求められています。 ○ こうした状況変化や県政の重要課題に的確に対応するとともに、本県の進むべ き道筋を明確にし、男性も女性も、また高齢者、若者、障害のある人、ない人、 誰もが将来への夢と希望を持っていきいきと働き、安心して暮らせる富山県を実 現するため、県政運営の新たな中長期ビジョンとしてこの計画を策定するもので す。 2.計画の性格、特色 この計画は、県づくりの目指すべき姿を描き、県で取り組む政策の方向性や具体 的な目標を示すものであり、これからの県政運営の指針として、毎年度の予算編成 や事業の立案などの基本となるものです。 この計画は、以下のような性格を持っています。 (1) 県民と県が目標を共有する計画 ○ 県づくりの主役は一人ひとりの県民であり、県はそれを支援する役割を果たし ていきます。 ○ 将来に向けた県づくりは、県のみならず、県民の皆さん、企業、団体、市町村 といった、社会のあらゆる構成員の知恵とエネルギーを結集し、みんなで力を合 わせ、連携・協力して行っていく共同作業です。このため、この計画では、概ね 10 年後を見据えた富山県の目指すべき将来像を描き、その実現を図るための目標 を県民と県で共有し、これからの県の発展に必要な先見性のある取組みを進めて いきます。 (2) 県民の視点に立った成果重視・幸福度重視の計画 ○ 県民一人ひとりが輝いて生きられる元気な富山県を実現するためには、県民の 視点に立ち、本県の発展に不可欠である重要な政策や、県民の幸せの充実を図る ための政策を戦略的に展開していく必要があります。 ○ この計画では、「施策・事業の実施によって県民生活にどのような成果がもた らされるか」「それにより県民の幸福度がどう高まるか」といった点を重視しま す。その際、現在を生きる私たちのみならず、将来の世代も含めた県民の幸福度 を高める視点も大切にしていきます。このため、政策効果が県民生活に波及し、 県民にとって最大限の成果がもたらされるよう、また、それによって県民誰もが 真の幸せを実感できるよう、実効性ある取組みを進めていきます。また、目標に 向けた取組み過程を県民に対してできるだけ見えるようにするとともに、政策評 価システム等により事業内容の不断の改善を図っていきます。さらに、計画の推 進にあたっては、政策の効果が最大限に発揮されるよう、関係市町村との連携や 県域を越えた広域的な連携も積極的に進めていきます。 (3) 富山県の強みを磨き活かす計画 ○ 富山県には、勤勉で進取の気性に富む県民性、先人がつくりあげた産業基盤、 豊かで美しい自然やそこで育まれた豊富で良質な水と新鮮でおいしい食材など、 国内外に誇れる優れた基盤、魅力があります。また、環日本海地域の拠点となり 得る地理的優位性、充実した陸・海・空の交通・物流基盤やネットワークなど、 本格的な環日本海・アジアの時代に雄飛する大きなポテンシャルを有しています。 ○ これからの県づくりにあたっては、こうした本県の優れた基盤、魅力や、強み、 優位性をあらためて見つめ直したうえで、それらをさらに磨き、十分に活かしな がら、富山ならではの将来像を描き、政策を進めていきます。 3.計画の構成と目標年次 (1) 構成 この計画は、以下のとおり、総論、基本計画、とやま夢構想の3編から構成され ています。 Ⅰ 総論 ・ 時代潮流、富山県における状況変化、現状と課題等を踏まえ、県づく りにあたって重要となる3つの視点と、目指すべき姿(基本理念(目標) 等)を提示。 ・ また、目指すべき姿を達成するための 60 の基本政策と、それを支える 重要政策を設定するとともに、幸福度の観点も踏まえつつ、政策にメリ ハリを持たせて計画を推進するため、特に重点的に取り組む5つの重点 戦略を設定。 ・ 県政運営の基本姿勢や計画推進にあたっての考え方を記載。 Ⅱ 基本計画 ・ 各重点戦略について、ねらい、展開方向、体系や主な取組み等を提示。 ・ 個別の政策(基本政策)ごとに政策目標、現状と課題、政策目標を達 成するための取組みの基本方向や主な施策を提示。 また、政策目標を具体的にイメージするための参考指標を設定。設定 にあたっては、計画期間の最終年次(2021(平成 33)年度)及び中間年 次(2016(平成 28)年度)での数値等を提示。 ・ さらに、各政策(基本政策)を支える重要政策として「人づくり」を 提示し、それぞれの世代ごとにテーマ、取組みを記載。 ・ 各政策(基本政策)について、各々の地域の特色や魅力を十分に発揮 させながら、県全体としてバランスよく推進していく観点から、「地域別 の特性と取組み」を提示。 Ⅲ とやま夢構想 ・ 計画期間よりもさらに長期的展望に立ち、将来的に技術革新や具体化 に向けた条件整備等が行われれば実現できるものなど、将来の富山県の 飛躍につながる夢のある構想を提示。 (2) 目標年次 2012(平成 24)年度を起点とし、目標年次は 2021(平成 33)年度とします。 第2章 時代の潮流と富山県における状況変化 1.時代潮流 (1) グローバル社会の中の日本 (新興国の著しい成長と日本の地位の低下) ○ 情報通信技術の発展、交通・輸送手段の発達により、人、モノ、情報、資金等 が国境を越えて活発に行き交うグローバル化が進展しています。2008(平成 20) 年秋にアメリカで発生した金融・経済危機は、グローバル化する経済社会の中で、 世界各国に波及し、深刻な影響を与えました。日本経済も、2008 年度、2009(平 成 21)年度の実質GDP(国内総生産)成長率がマイナスになるなど大きな打撃 を受け、2010(平成 22)年度以降は、持ち直しつつあるものの、依然として厳し い状況が続いています。 ○ 一方で、中国、インドなどの新興国は著しい成長を続けており、市場の拡大は、 内需や先進国から新興国にシフトしつつあります。特に中国については、2010 年も実質成長率は2ケタを超え、名目GDPは日本を抜いて世界第2位となって います。 ○ こうしたなか、近年の我が国経済は、世界の中での相対的地位が低下し、その 結果、国としての競争力も急激に低下しています。特に、日本企業の技術やサー ビスは、いわゆる「ガラパゴス現象」1という言葉に象徴されるように、世界標準 からかけ離れた方向で発達している面も見受けられます。グローバル競争はこれ からますます激化していくものと見込まれますが、今後、日本は国際社会の中で 新興国のエネルギーをどのよう取り込み、どう勝ち抜いていくのか、また、何で 稼いで、どう食べていくのか、確固たる方針をもって世界に立ち向かわなければ なりません。国においては、 「新成長戦略」 (2010 年 6 月)を定め、7つの成長分 野に関する戦略に取り組んでいますが、日本経済の閉そく感を打ち破るための効 果的な経済成長政策がさらに積極的に展開される必要があります。 1 ガラパゴス現象:携帯電話のように技術やサービスが高度化、多機能化し、日本市場において 独自の進化を遂げているにもかかわらず、世界標準からかけ離れた方向で発 達している現象。 各国の名目GDPの推移 アメリカ 億米ドル 160,000 141,190 146,578 140,000 120,000 93,535 100,000 中国 80,000 60,000 58,783 54,821 50,339 43,687 40,000 29,727 20,000 10,833 4,513 0 49,905 3,021 1989 (H1) 12,689 54,589 15,380 4,565 1999 (H11) 日本 インド 2009 (H21) 2010 (H22) 資料:IMF World Economic Outlook Databese (April2011) (世界的な環境・エネルギー問題、食料問題の深刻化) ○ 新興国の著しい成長・発展や急速に進む世界人口の増加を背景として、環境、 エネルギー、食料などの面で、深刻な問題が生じることが懸念されます。 ○ 世界では、平均気温がここ 100 年で約 0.68℃上昇するなど、地球温暖化、気候 変動が進んでおり、地球温暖化の原因となる二酸化炭素等の温室効果ガスの大気 中濃度や排出量は、今後も増え続けることが見込まれます。 これに対し、京都議定書(2005(平成 17)年 2 月発効)により、先進国の温室 効果ガス排出量の目標設定(日本は 2012(平成 24)年までに対基準年(1990(平 成 2)年)比で6%の削減)がなされており、各国において温室効果ガス削減に 向けた取組みが進められています。2011(平成 23)年 11 月から 12 月にかけて開 催されたCOP17(気候変動枠組条約第 17 回締約国会議)では、すべての国に 適用される将来の法的枠組みの構築に向けた道筋などについて合意がなされた ところですが、日本においても、東日本大震災後のエネルギー構造等やCOP17 の議論なども踏まえた、中長期的な地球温暖化対策についての検討が進められて います。 ○ また、我が国を含め、世界のエネルギー消費量は増加を続けています。石油、 石炭、天然ガスなどの化石燃料の埋蔵量には限りがあり、今後、これらの安定供 給とともに、再生可能エネルギーをはじめとする代替エネルギーの確保や環境に 配慮したエネルギー利用等が課題となっています。 特に、我が国では、東日本大震災における原子力災害を契機として、エネルギ ーのベストミックス(最適な組み合わせ)に関する議論が高まっており、今後の 需給見通しなどを踏まえ、将来を見据えた総合的なエネルギー政策がしっかりと 示されることが必要です。 ○ さらに、世界の食料需給については、食料・農産物需要の増大、地球規模の温 暖化、気候変動の生産への影響など、様々な不安要因が存在しています。 一方で、日本の食料自給率(カロリーベース)は、1965(昭和 40)年度に 73% だったものが、2010(平成 22)年度では 39%まで低下しており、先進国の中でも 最低水準となっています。中長期的な食料確保に不安を抱えるなか、食料自給率 の向上を目指すことが大きな課題となっています。 世界人口の推移 億人 億人 18.0 100.0 世界人口 16.0 15.2 中国 90.0 83.2 80.0 13.4 12.7 12.2 12.0 93.1 13.9 インド 14.0 16.9 13.0 69.0 70.0 61.2 10.4 60.0 10.0 50.0 8.0 40.0 6.0 5.4 25.3 4.0 1.7 1.6 0.5 ブラジル 3.1 2.9 2.0 30.0 アメリカ 3.7 0.8 1.9 日本 4.0 3.6 20.0 1.3 1.3 2.2 2.2 1.2 0.95 0.0 10.0 0.0 1950 (S25) 2000 (H12) 2010 (H22) 2030 (H42) 2050 (H62) 資料:国際連合人口部 2010 推計人口 日本と諸外国の食料自給率(カロリーベース)の推移 200 143 180 176 187 156 160 152 146 140 109 142 135 131 129 124 120 食 料 自 給 率 ( % ) 食 料 自 給 100 率 ( % ) 80 117 129 117 123 109 88 83 73 73 85 77 72 54 45 80 76 カナ ダ 65 アメリカ 69 53 63 43 40 85 77 70 66 60 88 111 48 40 40 フランス 39 ドイ ツ イギリス イタリア 20 日 本 0 1965 (S45) 1975 (S50) 1985 (S60) 1995 (H7) 2005 (H17) 2007 (H19) 2010 (H22) 資料:農林水産省試算 (2) 少子高齢化・人口減少時代における日本 (人口減少、少子高齢化の進展) ○ 我が国の人口は、近年、横ばいで推移していますが、出生数や死亡数などの人 口動態から見ると、いよいよ本格的な人口減尐社会を迎えつつあります。生産年 齢人口(15~64 歳)は減尐を続けている一方で、65 歳以上の人口は年々増え続 け、2010(平成 22)年の老年人口割合は 23.0%となっています。今後、さらに、 世界にも例をみないスピードで人口減尐と高齢化が進み、およそ 20 年後から 25 年後の間には、3人に1人が高齢者となる時代が到来すると見込まれています。 ○ 一方、合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産む子供の数を示す)は、2005 (平成 17)年に過去最低の 1.26 を記録し、その後若干持ち直しているものの、 2010 年は 1.39 と低い水準となっています。また、実際に生まれてくる子どもの 数(出生数)については、2005 年に戦後最低の出生数となった後、増加と減尐を 繰り返しており、2010 年は 107.1 万人で、依然として尐ない状況となっています。 ○ 人口減尐、尐子高齢化の進展については、労働力の減尐や消費需要の減尐など により、経済の活力の減退が懸念されるほか、社会保障給付の増加や制度を支え る若い世代の負担増が顕在化してきており、税制や社会保障制度の抜本的見直し が喫緊の課題となっています。 人口の推移(年齢階層別) 百万人 140 45.0% 128 127 128 高齢化率 124 65歳以上 117 120 22 26 29 36 100 40.0% 35.0% 107 31.6% 29.1% 38.8% 36.1% 97 37 15~64歳 30.0% 39 80 38 23.0% 25.0% 20.2% 17.4% 60 20.0% 84 81 73 86 15.0% 68 40 58 50 0~14歳 10.0% 20 5.0% 18 18 17 15 12 11 9 2010 (H22) 2020 (H32) 2030 (H42) 2040 (H52) 2050 (H62) 0 0.0% 2000 (H12) 2005 (H17) 資料:国勢調査(総務省) (2000、2005、2010 年) 「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所) (2020 年~) 出生数と合計特殊出生率の推移 万人 250 2.50 2.13 200 193 1.91 190 2.00 1.75 1.76 158 1.54 1.42 143 150 122 1.36 1.26 119 1.34 1.37 1.39 109 107 107 1.50 119 106 100 1.00 50 0.50 0 0.00 1970 (S45) 1075 (S50) 1980 (S55) 1985 (S60) 1990 (H2) 出生数 1995 (H7) 2000 (H12) 2005 (H17) 2007 (H19) 2009 (H21) 2010 (H22) 合計特殊出生率 資料:人口動態統計(厚生労働省) (価値観の多様化、地域コミュニティの弱体化) ○ 尐子高齢化をはじめ、社会経済情勢が大きく変化するなかで、人々のライフス タイルや価値観も変化しています。 ○ 家族形態は三世代の同居が減り、世帯当たりの人員数は減尐してきています。 特に近年では、高齢者のみの世帯が急速に増加しています。 ○ 若者については、男女ともに未婚率が上昇しているほか、平均初婚年齢も男性 は 30.5 歳、女性が 28.8 歳となるなど晩婚化も進んでいます。 また、若年無業者(いわゆるニート)やフリーターの問題も依然として大きな 課題となっており、低迷を続ける我が国経済や格差拡大なども背景となり、将来 に不安を持ち、希望の持てない若者が増えています。 ○ ライフスタイルや価値観の多様化等に伴い、地域の人間関係の希薄化、コミュ ニティ機能の弱体化が進んでおり、いわゆる「無縁社会」2や「孤族」3と言われ るように、社会から孤立する人が増加しています。 一方で、行政と住民、NPO等の地域組織、企業等が協働して公共の担い手と なり、支え合いと活気のある社会を作る「新しい公共」の動きも活発化していま す。 1世帯当たり人員の推移 人 万世帯 4.50 6,000 4.14 5,500 5,184 4.00 4,906 3.41 3.50 3.28 5,000 4,678 3.22 3.14 2.99 4,390 4,500 3.00 4,067 2.50 4,000 2.82 2.67 3,798 2.55 2.42 3,582 3,500 3,360 2.00 3,000 3,030 1.50 2,500 2,254 1.00 1960 (S35) 1970 (S45) 1975 (S50) 1980 (S55) 1985 (S60) 1990 (H2) 1世帯当たり人員 1995 (H7) 2000 (H12) 2005 (H17) 2,000 2010 (H22) 世帯数 資料:国勢調査(総務省) 2 3 無縁社会:家族、地域、会社などにおける人と人との関係が希薄となり、孤立する人が増えて いる社会を表したもの。 孤族:現代社会において、世間との接触や身内とのつながりを持たず、ただ一人で暮らす人を 表したもの。 平均初婚年齢の推移 35歳 29.8 30歳 27.8 年 齢 28.2 28.4 28.5 27.0 25歳 24.7 28.8 28.0 30.2 30.5 28.5 28.8 27.0 25.2 25.5 1980 (S55) 1985 (S60) 25.9 夫 26.3 妻 20歳 1975 (S50) 1990 (H2) 1995 (H7) 2000 (H12) 2005 (H17) 2008 (H20) 2010 (H22) 資料:人口動態統計(厚生労働省) (安全志向、健康志向の高まり) ○ 近年、いわゆるゲリラ豪雤等による災害の発生、無差別殺人等の凶悪犯罪の発 生、新型インフルエンザをはじめとする新たな感染症の脅威、食品表示の偽装に よる食品の安全の問題など、私たちの生活を脅かす事例が多発し、生活の安全や 安心に対する関心がこれまで以上に高まっています。 ○ また、食品の健康効果など様々な健康に関する情報があふれるとともに、サプ リメントなどの健康食品、スポーツジムやウォーキング、健康のための民間療法 が注目されるなど、人々の「健康になりたい」「健康でありたい」という健康志 向が強まっています。 ○ 現代社会はストレス社会とも言われ、多くの人が様々なストレスにさらされな がら、生活をしています。うつ病の受診患者数は急激に増加しているほか、自殺 者数は年間 30,000 人前後で推移しています。こうしたなかで、「こころの健康」 への関心も高くなっています。 自殺者数の推移 人 人 1,197,012 35,000 1,142,407 1,200,000 1,141,865 1,083,796 30,000 961,653 1,000,000 922,139 820,305 25,000 712,962 702,275 722,801 800,000 752,283 20,000 600,000 30,251 15,000 30,553 30,229 30,707 29,554 400,000 23,383 10,000 19,975 20,542 20,088 21,420 15,728 200,000 5,000 0 0 1970 (S45) 1975 (S50) 1980 (S55) 1985 (S60) 1990 (H2) 1995 (H7) うち自殺者数 2000 (H12) 死亡者数 2005 (H17) 出 2008 (H20) 2009 (H21) 2010 (H22) 資料:人口動態統計(厚生労働省) (地方分権の推進) ○ 2009(平成 21)年秋の国の政権交代以降、公共事業関係費が大幅に削減される など、国の政策に大きな変化がありました。また、包括的経済連携を推進する方 向性が示されるなかで、日本の農林水産業のあり方も課題となっています。 ○ 一方で、尐子高齢化などの進展によって我が国は成熟国家となり、国民のニー ズの多様化、複雑化が進むなかで、明治維新以来の中央集権体制では国民の意見 を十分に反映し、対応することが難しくなっています。このため、国民に身近な 分野については、地方自治体が住民の意見を反映して地域のニーズに適切に応え られるよう、地方分権の一層の推進が求められています。 ○ 地方分権については、これまで、いわゆる第一次地方分権改革(1995(平成7) ~2001(平成 13)年)において、機関委任事務の廃止や許認可の整理など権限面 での改革が実施されました。また、地方の財政面での自立性・自主性を高めるた め、その第一歩として、三位一体改革(2004(平成 16)年~2006(平成 18)年) では国から地方への3兆円の税源移譲が行われましたが、その一方で、地方交付 税や補助金について大幅な削減が行われたことから、地方は厳しい財政運営を余 儀なくされました。分権型国家に向け、地方が自由に使える財源の充実強化など 財源面での分権を進めることが求められますが、同時に、地域間の財政力格差に ついて是正することも必要です。 2010(平成 22)年以降、国において地域主権戦略大綱の閣議決定、「国と地方 の協議の場」の法制化や義務付け・枠付けの見直しを盛り込んだ法律の制定など、 改革の一定の進展がみられるところですが、国と地方の役割分担や地方税財源の 充実など、まだまだ多くの課題が残っています。今後とも、地方の自立と地域間 格差の是正のバランスのとれた、真に住民の幸せにつながる地方分権の推進に向 け、県からも国に対して積極的に発信、提案を行っていくことが必要です。 (国・地方を通じた極めて厳しい財政) ○ 長引く経済の低迷や高齢化に伴う社会保障関係費の増加などにより、国・地方 の財政は極めて厳しい状況にあり、国・地方を合わせた長期債務残高は 2011(平 成 23)年度末で 903 兆円程度と見込まれています。 ○ 特に、地方においては、公債費が依然高水準であることや社会保障関係費の自 然増などを背景に、2011 年度(当初ベース)には 14.2 兆円の大幅な財源不足と なっています。 ○ 今後も、国、地方を通じて極めて厳しい財政状況が続くことが予想されること から、行政改革や歳出の見直しを徹底して行うとともに、税制の抜本的な改革を 進めるなど、財政の持続可能性を確保することが求められています。 1,000 国・地方の長期債務残高 兆円 903 900 862 770 800 200 201 692 700 197 600 553 198 地方 500 163 国 400 333 662 300 200 100 254 91 573 493 66 188 703 390 242 0 1989 (H1) 1993 (H5) 1998 (H10) 2003 (H15) 2008 (H20) 2010 (H22) 2011 (H23)(実績見込) 資料:財務省 財政関係基礎データ 我が国の税収と国債発行額 兆円 一般会計歳出 120.0 107.5 101.0 95.3 100.0 84.4 84.7 82.4 75.1 80.0 65.9 60.0 53.0 54.9 税収 54.1 49.4 43.4 34.0 26.9 44.3 35.3 33.2 42.3 38.7 20.9 20.0 43.3 38.2 40.0 13.8 5.3 55.8 52.0 41.5 42.0 国債 14.2 16.2 12.3 6.6 0.0 1975 1980 1985 1989 1993 1998 2003 2008 2009 2010 2011 (S50) (S55) (S60) (H1) (H5) (H10) (H15) (H20) (H21) (H22) (H23) 資料:財務省 財政関係基礎データ (3) 大震災の発生と新しい日本社会の構築 (大震災の発生と再建に向けた動き) ○ 2011(平成 23)年 3 月に発生した東日本大震災により、東北、関東地方を中心 に広範な地域と多くの人々が甚大な被害を受けました。この大震災は、原子力災 害にも及んだことから、直接の被災地域はもとより、日本全国、そして国際社会 にも大きな衝撃を与えており、防災面のみならず、我が国の経済・産業、エネル ギー対策、国民生活、まちづくり、交通、情報通信、医療などのあり方そのもの にも影響を及ぼしています。国においては、同年 9 月の中央防災会議専門調査会 報告を踏まえ、「防災基本計画」の見直しが進められているほか、エネルギー政 策については、原子力発電のあり方、再生可能エネルギーや省エネルギーの推進 など、政策全体の見直しに向けた議論が行われています。 ○ 戦後最大の危機とも言われるこの国難に対して、被災地の救助活動や避難の受 入れ、救援物資の提供や義援金など、多くの国民による支援が行われたほか、被 災地の復興に向けたインフラ整備や住居、医療・介護、雇用等の生活支援など、 国を挙げて再建の取組みが進められています。2011 年 6 月には復興基本法が成立 し、さらに同年7月末に被災地での「復興特区制度」創設などを盛り込んだ「東 日本大震災からの復興の基本方針」が国においてとりまとめられ、5年間を「集 中復興期間」と位置づけた総合的な復興施策が本格的に展開されており、被災地 の一刻も早い復旧・復興が期待されています。 (新しい日本の構築に向けて) ○ 今回の大惨事は、国全体としての非常時のリスク分散やバックアップ体制の充 実の必要性を浮き彫りにしました。特に、救援のための物資等が北陸を通って被 災地に届けられた例も多かったことから、あらためて日本海国土軸の形成を進め ることの重要性が認識されたところです。また、安全・安心な暮らしの確保はも とより、人と人の絆、こころの安らぎ、地域の支え合いなどがいかに大切なもの であるか、そして何よりも生きることの根源的意味と尊さについてあらためて考 えさせる出来事でした。 ○ この震災の教訓を踏まえ、今後の行政のあり方や役割、国づくり・県づくりの 方向性、社会のありよう等について、いま一度問い直し、新しい日本社会を構築 していく必要があります。 2.富山県における状況変化 (1) 陸・海・空の交流基盤の整備充実 (間近に迫った北陸新幹線の開業、高速道路の整備) ○ 北陸新幹線は 2014(平成 26)年度末までに長野・金沢間が開業します。間近 に迫る開業に向け、新幹線駅を中心とした交流拠点づくりやアクセス道路の整備 等が進められていますが、いわゆるストロー現象も懸念されるところであり、今 後は、開業効果が本県の発展にしっかりと結びつくよう、産業、観光、まちづく りなどの面で具体的かつ戦略的な取組みを進めていく必要があります。また、大 規模災害時等において、北陸新幹線が東海道新幹線の代替補完機能を十分発揮す るためにも、金沢・敤賀間の早期開業、さらに大阪までの全線整備を求めていか なければなりません。一方で、新幹線開業に伴いJRから経営分離される並行在 来線については、その安定経営のための仕組みを構築することが課題となってい ます。 ○ 2008(平成 20)年7月に東海北陸自動車道が全線開通するなど、県内高速道路 網の整備が着実に進められており、観光や企業立地の面でも効果が出ています。 今後は、能越自動車道の全線開通に向けた整備やスマートIC(インターチェン ジ)等の追加ICの設置、東海北陸自動車道の4車線化などを進めていく必要が あります。 (伏木富山港の機能充実) ○ 伏木富山港は、国際コンテナ取扱量が過去 10 年間(2000(平成 12)年~2010 (平成 22)年)で全国平均(1.3 倍)を上回る 1.7 倍の伸びとなっているほか、 国際定期コンテナ航路が 5 年前の 1.7 倍の 5 航路月 42 便(2011(平成 23)年 12 月現在)となり、さらに、ロシア定期コンテナ航路におけるラストポート(最終 寄港地)化が実現するなど、環日本海・アジアの物流拠点としての機能強化が着 実に進められています。また、災害時における太平洋側港湾の代替機能を果たし 得る地理的優位性も有しています。こうしたなか、2011 年 11 月には日本海側拠 点港として、 「国際海上コンテナ」、 「国際フェリー・国際RORO船」及び「外航 クルーズ」の「機能別拠点港」のほか、 「総合的拠点港」にも選定されたところで あり、今後とも、優れたポテンシャルを活かし、集荷力の向上など機能の一層の 充実や、シベリア鉄道を活用した新たな物流ルートの開拓など、伏木富山港を拠 点とする環日本海・アジアの物流のさらなる発展が期待されています。 (富山空港の利便性の向上) ○ 富山空港は、国内定期路線として2路線が就航しているとともに、国際定期路 線では、2011(平成 23)年 3 月から大連便が北京まで延伸され、同年 10 月末か らは一日一便となりました。また、2012(平成 24)年 4 月からは新たに台北便の 就航が予定されるなど、地方空港としては全国トップクラスの充実した路線網を 有しており、環日本海・アジア交流の拠点として着実に発展しています。今後と も、国内外との航空ネットワークの充実や羽田空港との乗継利用の拡大による路 線価値の向上など、一層の機能強化を図る必要があります。 富山空港 環日本海・アジア交流の拠点に 東京(6便/日) 1963(S38)年8月 就航 《富山から日本各地へ》 東京経由 乗継割引 29区間 札幌経由 乗継割引 2区間 台北(2便/週) 2012(H24)年4月 就航予定 富山 上海(2便/週) 札幌(1便/日) 2005(H17)年10月 就航 1991(H3)年6月 就航 ソウル(3便/週) ウラジオストク 1993(H5)年4月 就航 1 994(H6)年7月 就航 2 010(H22)年12月31日から運休中 大連(3便/週) ↓ 北京・大連(デイリー運航) (2011(H23)年4月~10月 :4便/週) 大連便 1998(H10)年6月 就航 北京・大連便 2011(H23)年3月 就航 北京・大連便 <航空路線> 国内定期路線=2路線 (全国各地との間の乗継便、海外との間の乗継便も充実) 国際定期路線=5路線 (地方空港では全国トップクラスの路線数) 国際チャーター便の就航実績 2010(H22)年度 101便 (2009(H21)年度 112便) (2) 世界経済の大きな変化と県内産業の新たな動き ○ 2008(平成 20)年秋以降の世界同時不況は県内産業にも大きな影響を及ぼしま した。本県の経済は、特に影響の大きかった自動車等輸出関連産業の生産の持ち 直しが進みましたが、その後の東日本大震災の発生や歴史的な円高などの影響も あり、なお厳しい状況を脱するまでには至っていません。このようななか、企業 が生産拠点を海外へ移す動きが加速化するなど本県産業の空洞化が懸念される ところであり、空洞化をいかに防ぎ、本県経済の持続的な発展を図っていくかが 課題となっています。 ○ 一方で、こうした厳しい経済情勢のもとでも、「富山のくすり」の伝統を有す る県内の医薬品産業は、薬事法の改正やジェネリック医薬品(後発医薬品)の使 用促進等を背景に、医薬品生産金額で 2005(平成 17)年の全国第8位(2,636 億円)から 2009(平成 21)年には全国第2位(5,736 億円)、2010(平成 22)年 には全国第4位(4,737 億円)と全国トップクラスに躍進しており、 「世界の薬都」 スイス・バーゼルとの交流や海外市場への展開などによる一層の飛躍が期待され ています。また、ロボットや再生可能エネルギーなどの新たな産業の創出のほか、 県内企業の航空機産業への参入の取組みが進められるなど、本県産業のさらなる 発展に向けた動きもみられます。 ○ 今後、グローバル競争や地域間競争が一層激化することが見込まれますが、特 に中国、インド、東南アジアなど発展著しい新興国のダイナミズムを取り込みな がら、富山県が日本や世界の中で、何で稼ぎ、どう食べていくのか、そしてこれ らの国・地域とどのようにともに発展していくのかという視点に立って、産業経 済政策を進めていく必要があります。 2010 年 主要都道府県別 医薬品生産金額 資料:薬業工業生産統計(厚生労働省) (3) 少子高齢化・人口減少社会とふるさと志向 (人口減少と少子高齢化) ○ 本県の人口は 1998(平成 10)年をピークに減尐しており、2010(平成 22)年 10 月には 109 万 3,247 人となっています。2007(平成 19)年 5 月の国の人口推計 によれば、今後もさらに減尐が進み、20 年後には約 93 万人になることが見込ま れています。 ○ 本県の高齢化は、全国を上回るスピードで進行しており、2010 年の 65 歳以上 の人口割合は 26.2%(全国は 23.0%)となっています。国の人口推計によれば、 本県の高齢者の数は 2020(平成 32)年頃にピークを迎え、およそ 15 年後には3 人に1人を超えると見込まれています。また、本県の合計特殊出生率は、2006(平 成 18)年、2007 年には過去最低の 1.34 となり、その後若干上昇しているものの、 2010 年では 1.42 と依然として低迷しています。 ○ 本格的な尐子高齢化・人口減尐社会に突入し、子育て支援・尐子化対策や交流 人口の拡大のための対策を強化することが求められています。また、女性が能力 を十分に発揮できる環境や、元気な高齢者が意欲と能力に応じて社会で活躍でき る環境を整備するとともに、誰もが自立して互いに支え合う社会を構築すること が重要となっています。 富山県の人口推移 1998年がピーク(1126千人) (千人) 1200 1120 1123 1121 1112 1093 1058 1009 1030 (70) (84) (102) 22.5% (24) 1019 975 (127) (147) (13) 169 1000 53 201 233 (162) 83 929 (178) 880 258 285 (206) 5.3% 15.1% (209) 324 800 (200) 334 329 322 26.2% 594 317 600 717 754 32.8% 752 731 703 35.8% 662 34.6% 612 579 400 552 519 480 17.5% 200 0 13.0% 362 230 196 170 157 150 142 10.4% 123 106 (うち75歳以上) 65歳以上 15歳~64歳 15歳未満 9.4% 94 88 83 1950 1970 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 (年) (S25) (S45) (H2) (H7) (H12) (H17) (H22) (H27) (H32) (H37) (H42) (H47) ※2010年以前は「国勢調査」(総務省) ※2015年以降は「日本の都道府県別将来推計人口」 (国立社会保障・人口問題研究所) (県外流出と定住(Uターン)) ○ 本県では、近年、社会移動による人口減が続いていますが、一方で、本県の県 外大学進学者のUターン割合は比較的高い水準で推移しています。 ○ また、2010(平成 22)年8月に実施した高校生アンケート調査結果によれば、 高校生の地元への定住志向はこの 10 年間で着実に高まってきています。さらに、 県や市町村への定住相談の件数が増えるなど本県への定住・半定住に関心を持つ 者も年々増加してきています。 ○ 人口が減尐するなか、本県が活力を維持し発展していくため、若者等の県外流 出に歯止めをかけ、県民がいきいきと働き暮らせるような魅力ある地域づくりを 進めるとともに、働き盛りの年代も含め県内の定住、U・Iターンを促進するた めの施策を積極的に展開することが求められています。 県外大学卒業者のUターン就職率 60 % 57.4 58 56.1 56 55.7 54 52 50 51.3 51.4 2006.3卒 (H18.3) 2007.3卒 (H19.3) 51.7 2008.3卒 (H20.3) 2009.3卒 (H21.3) 2010.3卒 (H22.3) 2011.3卒 (H23.3) 資料:県労働雇用課調べ (「ふるさと」を見つめ直す気運の拡大) ○ 尐子高齢化やグローバル化が進展し、社会経済情勢が大きく変動する現代社会 であるからこそ、県民一人ひとりがふるさとに誇りと愛着を持ち、自らのアイデ ンティティを持って生きていくことが大切です。 ○ 県民へのアンケート等(※)によれば、ふるさとの伝統・文化を大切にするこ とを求める傾向がみられるなど、県内では「ふるさと」をあらためて見つめ直す 動きが拡大しています。 ※2010(H22) 「高校生アンケート」 (未来の富山県をよくするための取組みとして、 伝統文化等の地域資源を大切にすることを求める者が大幅に増加。 ) ※2008(H20)県民アンケート(約 9 割が「ふるさと文学の振興に取り組むべき」) ○ また、人口減尐・尐子高齢化の進展や東日本大震災などを受け、安全・安心で 快適に暮らせる「ふるさと」の存在や地域コミュニティでの支え合い等の大切さ があらためて認識されています。 ○ こうしたことから、県では、県民が郷土の自然、歴史・文化、優れた先人など について学び、理解する取組みを進めています。また、知事公館を廃止し、必要 な増改築を行って高志の国文学館を整備しており、今後、 「越中万葉」から近現代 に至るまで、本県ゆかりの文学資料の収集・保管に努めるなど、ふるさと文学を 振興していくことが重要な課題となっています。さらに、県内で世界文化遺産登 録を目指す運動が進んでいる(「近世高岡の文化遺産群」、「立山・黒部」)ほか、 本県を舞台とした映画の製作、地域資源(歴史・文化など)を活かしたまちづく りなどが進められており、今後とも、こうしたふるさとの魅力を再認識し、磨き 発信する動きを積極的に後押ししていく必要があります。 ■本県を舞台とした映画「劔岳 点の記」 (C)2009「劔岳 点の記」製作委員会 (4) 大震災の教訓を活かした県づくり ○ 東日本大震災は、従来の想定を超える大きな被害をもたらしましたが、これを 教訓と受け止め、これまで比較的災害が尐なく安全・安心な県と言われている本 県においても、隣県に原子力発電所が存在していることも踏まえ、地震災害や原 子力災害への対策について基本的な見直し・充実が求められています。また、防 災の面に限らず、環境・エネルギー、医療・保健・福祉など様々な分野において 震災の教訓を活かし、「人が生きていく」ことの原点に立った県づくりを進める 必要があります。 ○ 本県は地震発生後、警察、消防、医療・保健関係者の派遣、救援物資の搬送な ど様々な支援を行ってきたところですが、未曾有の国難に立ち向かうべく、国、 各都道府県、市町村などと連携し、被災地の復興・再建、さらには新しい国づく りに積極的に貢献していくことが求められています。 また、日本全体としてのリスク分散の必要性が指摘されるなか、北陸新幹線の 整備や伏木富山港の機能充実など、本県が太平洋側や首都圏地域の代替機能を有 することができるような県づくりを進めていくことも重要となっています。 <DMAT(災害派遣医療チーム)の活動> <緊急消防援助隊の活動> 3.幸福度を巡る動向 (「幸福」の意義) ○ 我が国は、工業社会におけるいわゆる「大量生産・大量消費」の時代から、心 の豊かさや生活の質の向上が重視される「成熟社会」の時代へと移行しています。 これに伴い、人々の価値観やライフスタイルはますます多様化しており、 「幸せ」 についての感じ方や捉え方も大きく変化してきています。 ○ もとより、人の幸せは、経済的・物質的な豊かさのみによって得られるもので はなく、「経済成長は必ずしも人々の幸福度の上昇にはつながらない」という、 いわゆる「幸福のパラドックス」の指摘もされているところです。また、幸せは、 基本的には個人の主観によるものであり、夢や目標に向かって一所懸命に取り組 むプロセスに幸福を感じる人もいれば、自己実現を成し遂げてはじめて幸せを実 感する人もいます。さらには、家族と過ごす健康で楽しい生活に無上の喜びを感 じる人もいることでしょう。 ○ このように、人の幸せには、それぞれの価値観や人生観に応じて、様々な形が あります。ただ、 「幸せに暮らしたい」と願う気持ちは、いつの世も変わらず人々 の心の中に息づく普遍的なものであり、一人でも多くの人に幸せを実感してもら えるような環境整備を図ることが、国・地方の行政にとって最も重要なことであ ると考えます。 ○ 近年、我が国経済の低迷が続き、 「格差」や「貧困」の問題が顕在化しており、 さらに、人間関係の希薄化や地域コミュニティの弱体化を背景とする社会的孤立 なども大きな課題となるなかで、「生きていてよかった、幸せだ」と実感できる ような、人々の幸福度を高める新しい社会システムの構築が求められています。 また、その際には、今を生きる私たちのみならず、将来の世代の幸福度をどう高 めていくかという視点も大変重要になっています。 ○ さらに、東日本大震災という大惨事の発生により、人と人の絆の大切さや生き ていることの意義について思いを新たにし、あるいは人生観そのものも変わっ たという人も多いと考えられ、今、あらためて「幸福」とは何かが問い直され ています。 (国内外での幸福度に関する動き) ○ このようななか、近年、国内外において幸福度への関心が高まっており、人々 の豊かさや幸せはGDP(国内総生産)だけでは測ることができないとの考えの もと、幸福度に関する指標を設定する動きや、そうした幸福度の指標を政策に反 映させる動きが活発化しています。 ① 海外の事例 ○ OECD(経済協力開発機構)では、2007(平成 19)年の世界フォーラム で採択した「イスタンブール宣言」に基づき、世界共通の幸福度に関する指 標づくりの検討が進められています。2011(平成 23)年 5 月には、 「住居」 「収入」「雇用」「共同体(社会との繋がり)」「教育」「環境」「ガバナンス」 「健康」 「生活の満足度」 「安全」 「ワークライフバランス」といった 11 の要 素によって国際比較することを提案した「より良い暮らし指標(Your Better Life Index)」が発表されています。 ○ また、ブータン王国では、経済成長を重視する姿勢を見直し、伝統的な社 会・文化や環境、民意にも配慮した国民の幸福の実現を目指す「国民総幸福 量(GNH)」という独自の概念を導入しています。幸福に関する9つの要 素による指標が策定されるなど、「幸福」を中心に据えた政策が展開され、 2005(平成 17)年の調査では国民の約 97%が「幸せ」と回答しています。 さらに、フランスでは、サルコジ大統領の設置した「経済パフォーマンス 及び社会進歩の計測に関する委員会」 (通称「スティグリッツ委員会」)の報 告書(2009(平成 21)年)の中で、経済成果の指標としてのGDPの限界 と、客観・主観の幸福度指標、持続可能性の指標の重要性が提言されていま す。 ② 国内の事例 ○ 我が国においても、2011(平成 23)年 11 月に法政大学大学院の政策研究 チームによる都道府県別幸福度ランキングが公表されたほか、上記ブータン 王国の国王の来日もあり、あらためて幸福度を測る指標を政策に反映させる 機運が高まっています。 ○ 政府においては、過去にも「社会指標」、「国民生活指標」「新国民生活指 標」 「暮らしの改革指標」など、国民生活の豊かさ等の視点に立った指標化の 取組みが行われたことがありましたが、2010(平成 22)年 6 月の新成長戦略 で「新しい成長及び幸福度(well-being)について調査研究を推進し、関連 指標の統計の整備と充実を図る」旨が掲げられたことを受け、内閣府に「幸 福度に関する研究会」を設置して、幸福度の指標化に向けた検討が進められ ています。 また、地方自治体(例えば、福岡県、熊本県、荒川区など)においても、 幸福度に関する指標の研究や、幸福度を取り入れて政策を展開する動きが活 発化しています。 (県民の幸せの充実に向けて) ○ 本県は、上記の法政大学大学院の都道府県別幸福度ランキングで全国第2位の 高い評価を受けました。このランキングは、大学独自に設定する 40 の指標によ るもので、様々な受け止め方はあるものの、本県が全国トップクラスの暮らしや すさを有し、安全・安心で働きがいのある県であることを示す一つの証左である と考えられます。 ○ 従来から、本県では、県政の最終的な目標は県民の幸せの充実であり、幸福度 を高めるための環境整備が重要であるという考え方のもと、県民一人ひとりが輝 いて生きられる「元気とやま」の創造に向けて取組みを進めてきました。こうし た考え方は、この計画の策定にあたっても、変わることはありません。 ○ 本来、県民一人ひとりの幸せは、それぞれの価値観や生き方に関わる主観的な ものであり、行政としてできることには限界がありますが、こうした幸福度に関 する最近の動きも踏まえ、本県としても、県政における各般の政策をあらためて 幸福度に関する指標によって見つめ直し、政策に反映させていくことが重要とな っています。 4.県民意識とニーズ 県民の意識やニーズを把握し、本計画に反映させるため、県政世論調査等のアン ケート調査を実施しました。 (1) 県政世論調査(2010(平成 22)年 8 月及び 2011(平成 23)年 8 月実施) <調査目的> 現行の政策に関する県民ニーズの把握 <調査対象> 県内の満年齢 20 歳以上の男女 1,200 人(無作為抽出) <調査項目> ・未来の富山に関する意識調査(10 年後の県民生活に係る県民意識)(2010 年のみ) ・選好度調査(「元気とやま創造計画」における 55 政策の各項目についての県民ニー ズ<重要度と充足度>) (2) 高校生アンケート(2010(平成 22)年7月実施) <調査目的> 次代を担う高校生の現状及び将来に対する意識の把握 <調査対象> 県内の県立・私立高校生 1,142 人 <調査項目> ・一般的意識調査(現在の興味・悩み、地元への定住意識など) ・未来の富山に関する意識調査 (富山県の魅力、東京と富山のイメージ、未来の社会や富山への期待など) (3) 有識者アンケート(2010(平成 22)年 8 月実施) <調査目的> 県政の主要な課題及び将来展望に係る、各分野の有識者等の意見の把握 <調査対象> 県審議会委員や県政モニター等 750 人 <調査項目> ・未来の富山に関する意識調査 (10 年後の社会状況、魅力形成のために重要なことなど) ・分野別課題や施策の方向性(今後 10 年間に重視していくべきこと) (1) 県民の意識とニーズ(県政世論調査より) ○ 県政世論調査において、10 年後の県民生活のイメージを聞いたところ、情報化 が一層進展すると考える人が多い結果となっています。一方、安定した老後の生 活については否定的な考えを持つ人が多いなど、医療・介護・年金等の高齢者の 問題、安全・安心な生活、子育て・尐子化などに対する不透明感や不安感等が反 映した結果も見られます。 ○ 県民ニーズについては、景気・雇用創出に関する施策の充実、尐子・高齢社会 への対応や医療・福祉政策の充実などのニーズが高い結果となっています。また、 特に、2011(平成 23)年の調査では、東日本大震災、大雪による交通機関の運休 (同年 1 月)などの影響から、防災に関するニーズも高くなっています。 ◎ 10 年後のイメージ(2010(H22)年調査) 0% 20% などがいつでもどこでもだれでも入手し利用できるようになっている 2. 音楽会や演劇、美術展など、様々な文化を楽しむ機会が増えている 35.4 (44.4) NPO(民間非営利組織)などによる市民活動が盛んになっている 4. 環境に対する意識が高まり、環境にやさしいライフスタイルが定着 24.2 (20.9) 5. 学術研究や科学技術、スポーツ、文化等の分野で国内外で活躍する 34.1 (46.2) 人が増えている 6. 環日本海地域の拠点として、県内企業と海外企業との取引や交流が 29.4 (-) 活発となり、多くの県内企業が海外へ進出している 7. 北陸新幹線の開通や伏木富山港の機能の充実に伴い、国内外からビジ 27.4 (23.2) ネスや観光などで、人、モノが活発に行き来するなど県内経済が活性化している 8. 基礎的な学力を身につける教育に加え、子どもの個性・創造性を伸ばす 24.8 (21.6) 教育が行われている 14.2 (13.6) 28.1 (35.6) 24.1 (23.1) 31.0 (-) 31.9 (26.4) 39.2 (33.1) 1.4 (0.9) 1.2 (1.2) 40.0 (29.2) 1.8 (1.6) 38.3 (-) 1.3 (-) 33.8 (27.4) 1.1 (1.9) 40.0 (33.0) 56.1 (55.3) 0.9 (1.3) 1.2 (1.6) 36.2 (32.6) 37.7 (47.6) 34.0 (43.7) 100% 26.6 (24.8) 22.7 (22.4) 34.6 (30.5) している 80% 19.8 (20.7) 44.1 (50.3) 3. 地域づくりや福祉、生涯学習、国際交流・協力などのボランティア、 に外出できる社会が実現している 60% 52.7 (53.2) 1. 情報通信技術の活用により、生活関連情報や行政・災害関連情報 9. 高齢者、障害者をはじめ誰もが住み慣れた地域で快適に暮らし、気軽 40% 1.3 (1.7) 28.6 (29.5) 1.2 (1.6) 10. 安心して働ける職場が確保されている 9.7 (10.7) 11. 犯罪や消費者被害が減り、安心して暮らせる社会となっている 12. 女性・高齢者などが、自分にあった働き方を選択できる環境が整っている 58.0 (56.6) 8.9 (5.7) 30.8 (31.0) 61.9 (74.9) 8.9 (10.6) 67.9 (67.5) 8.6 (6.3) 69.2 (80.1) 28.4 (18.6) 21.7 (20.7) 1.4 (1.7) 0.9 (0.8) 1.5 (1.2) 13. 医療・介護サービスの充実や年金の支給などにより、安定した老後の 生活を送ることができる 21.3 (12.8) 0.9 (0.8) 14. 仕事と子育てが両立しやすいなど、安心して子どもを生み育てることが できる社会となり、尐子化に歯止めがかかっている 8.2 (7.6) 66.9 (72.6) そう思う 思わない 23.6 (19.0) わからない 無回答 ( )内は前回(2005(H17))調査の割合 1.3 (0.8) ◎県民ニーズの高い行政分野(上位 15 項目) 順位 2010(H22)年 2011(H23)年 2005(H17)年(前回) 1位 景気対策 景気対策 景気対策 2位 雇用の確保と創出 雇用の確保と創出 若者の定着・流入 3位 子育ての支援 医療の充実 犯罪対策など、安全 の確保 4位 快適でコンパクトな 街づくりの推進 高齢者福祉の充実 子育て環境の整備 5位 高齢者福祉の充実 防災・危機管理体制 の充実 雇用の確保・職業能力 の開発 6位 医療の充実 若者や中高年世代の 活躍の場の拡大 高齢者・障害者などが 快適に暮らせる街づくり 7位 義務教育等の充実 中小企業の振興 地域防災体制の整備 8位 障害者福祉の充実 中心市街地の賑わいの 創出 公害の防止 9位 防犯対策の推進による 安全なまちづくり 障害者福祉の充実 自主性、豊かな心を育 む教育 10位 地域総合福祉の推進 雪に強いまちづくり 地域福祉の充実 11位 生活交通の確保 子育ての支援 心豊かな社会の実現 (人権) 12位 家庭や地域における 健やかな子どもの育成 防犯対策の推進による 安全なまちづくり 小・中学校での能力を 伸ばす教育 13位 防災・危機管理体制 の充実 新産業の創出 オープンでわかりやすい 行政 14位 生活環境の保全 生活の安全の確保 福祉施設の充実 15位 生活の安全の確保 オープンでわかりやすい 県政 家庭及び地域における 教育 (2) 高校生の意識(高校生アンケートより) ○ 県内高校生へのアンケート調査によれば、富山県への定住希望は、将来的なも のも含めて 56.9%(2005(H17):55.1%、1999(H11):49.1%)となっており、地 元への定住希望者が増加する一方、非定住希望者は減尐しています。 ○ また、大学等への進学希望者のうちの過半数は県外への進学を希望する一方で、 就職希望者の希望就職先や進学希望者の大学卒業後の希望就職先に関しては、県 内への就職意向が増加しています。 2010 (H22) ) 2005 (H17) ) 就職希望者の希望就職先は、県内が 64.7%、県外が 6.0%であり、県内志望者が前回より 3.1 ポイント増加している。ま た、「どちらでもよい」と考えている者も 22.3%を占めているが、これも前回より 5.4 ポイント増加しており、就職先に係る県 内への関心は高まっていることがうかがえる。 進学希望者については、県外への進学希望が 54.4%を占めており、県外志向が強い。 また、大学等を卒業した後の就職先については、県内・県外の「どちらでもよい」とする者が最も多く(31.1%)、就職先 として積極的に県内を希望する者の割合は 30.1%である。高校卒業後すぐ就職する者に比べ、県内での就職を希望す る者の割合は半分以下である。 前回調査との比較では、大学等卒業後の希望就職先について「県内」を希望する者や「どちらでもよい」とする者の割 合が増加し、県外希望者の割合は減少している。 (3) 有識者の意識(有識者アンケートより) ○ 県の審議会委員や県政モニター等に行ったアンケート調査では、10 年後の社会 のイメージについては、情報化や企業活動のグローバル化が進む一方、格差の拡 大などを予想する者が多くなっています。また、老後の安定や生活の豊かさに関 して否定的な意見が多くなっています。 ○ また、県が今後 10 年間で重点的に推進すべき施策としては、雇用の確保と創 出、健やかな子どもの育成や子育て支援、医療や高齢者福祉の充実、現場重視で 効率的な県政などとなっています。 10年後の社会状況 0% 20% 4 時間と距離の制約が解消される 情報ネットワーク社会になる 5 国境や県域、市町村域を越えた 連携が活発になる 6 尐子・高齢化社会が進み、安定・ 成熟した社会になる 7 環境に配慮した低炭素・循環型 社会になる 9 人権を尊重する社会になる 5.5 (8.5) 結果の平等重視から機会の平 等を重視する社会になる 4.1 (6.0) 12 地方の自主性、自立性が高ま り、地方分権が定着する 3.9 (4.9) 経済が安定成長を続け、生活が 豊かになる 15 安定した老後が保障される ( )内は前回調査(2005(H17 )年) ( )内は前回調査の割合 の割合 1.8 (3.6) 0.6 (1.3) 0.4 (0.9) 22.1 (17.0) 19.9 (21.5) 29.9 (23.3) 46.7 (46.5) 39.6 (37.9) 39.8 (32.9) 34.4 (43.2) 25.8 (28.9) 17.4 (19.5) 2.7 (8.0) 2.3 (4.6) 21.7 (22.6) 16.8 (11.9) 5.1 1.2 (6.0) (3.1) 32.8 (23.1) 41.2 (30.0) 40.4 (35.8) どちらかと言えばそう思う そう思う どちらかと言えばそう思わない どちらとも言えない 無回答 そう思わない 6.3 (7.5) 5.1 0.6 (4.1) (3.0) 8.2 (6.3) 21.1 (14.9) 35.0 (38.4) 0.6 (2.7) 16.4 (19.5) 17.2 (12.6) 37.2 (34.7) 33.0 (41.0) 1.2 4.5 (4.4) (2.8) 13.5 (8.5) 15.2 (9.6) 44.1 (43.1) 31.5 (37.6) 1.4 (1.1) 0.6 5.3 (3.8) 2.0 (2.4) (1.9) 0.6 13.7 6.1 (2.7) (17.5) (4.1) 1.0 (1.9) 2.9 (3.1) 0.4 17.2 (16.2) 2.3 (2.4) (1.4) 0.8 6.4 22.7 (2.7) (5.7) 2.7 (21.9) (3.1) 1.2 17.6 (3.3) (20.6) 44.3 (38.4) 31.8 (32.5) 0.6 (2.5) 5.9 (3.6) 25.6 (21.9) 26.2 (25.2) 4.9 (7.2) 11 14 54.3 (47.6) 8.6 (15.9) 6.3 (6.8) 東京の人口や諸機能が各地に 13 分散移転され、地方の発展が図 られる 49.8 (47.5) 13.1 (19.0) 100% 12.7 (14.0) 49.2 (42.1) 27.3 (29.4) 8 労働時間が短縮される 行政の役割が低下し、民間(企 10 業、個人・グループ等)の役割が 高まる 45.5 (42.5) 29.5 (31.8) 9.4 (14.3) 80% 46.1 (38.1) 34.0 (35.5) 2 所得や資産の格差が拡大する 企業間の競争がグローバルに 展開される社会になる 60% 46.1 (54.4) 1 情報化が進む 3 40% 5.9 0.4 (5.2) (2.7) 12.5 (12.9) 21.3 (17.0) 34.6 (33.6) どちらとも言えない どちらかと言えばそう思う そう思わない どちらかと言えばそう思わない そう思う 無回答 どちらかと言えばそう思う 0.6 (3.1) 0.6 (2.5) 1.2 (2.7) 0.6 (2.4) 0.0 (0.3) <参考①> 富山県の人口の見通し 富山県の人口は 1998(平成 10)年の 112 万 6 千人をピークに減尐しており、2030(平 成 42)年には約 93 万人になると見込まれています。65 歳以上の高齢者はここ 10 年間で 約 5 万人増加し、2020(平成 32)年頃にピークとなると見込まれます。 一方、生産年齢人口(15~64 歳)は、1990(平成2)年をピークに減尐していますが、 今後 20 年間でさらに約 15 万人減尐し、全人口の 55%程度になることが予測されていま す。また、年尐人口については、約 10 年後の 2020 年には、老年人口の 1/3 を下回ること が見込まれます。 1200 (1120) (1126)(1121) (1112) (1093) (1009) (1030) 1000 169 83 53 (1019) 222 233 258 65歳以上 (929) 285 15歳~64歳 334 26.2% 800 15歳未満 322 594 600 717 754 741 731 703 資料:国勢調査(総務省) ただし、1998 年は「富山県人 口移動調査」 2020 年以降は「日本の都道府 県別将来推計人口」(国立社 会保障・人口問題研究所) (2007(平成 19)年 5 月) 662 400 579 519 200 13.0% 362 230 196 162 157 150 142 0 106 88 1950年 1970年 1990年 1998年 2000年 2005年 2010年 2020年 2030年 (昭25) (昭45) (平2) (平10) (平12) (平17) (平22) (平32) (平42) 年齢 3 区分別人口の割合の推移(2005~2035) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2005(平成17) 13.5 2010(平成22) 13.0 2015(平成27) 11.6 2020(平成32) 10.4 56.8 32.8 2025(平成37) 9.6 56.6 33.8 2030(平成42) 9.4 55.9 34.6 2035(平成47) 9.4 54.6 36.0 63.3 60.8 57.8 23.3 26.2 30.6 0~14歳 15~64歳 65歳以上 資料:2005、2010 は:「国勢調査」(総 務省)、2015 年以降は「日本の 都道府県別将来推計人口」(国 立社会保障・人口問題研究所) (2007(平成 19)年 5 月) <参考②> 中期的な県財政の見通し(2012(H24).2) 本県の財政は、2005(平成 17)年度予算編成前の段階で約 400 億円の財源不足が見 込まれるなど、非常に危機的な状況にありました。このため、県では 2005 年度を「財 政再建元年」と位置づけ、職員数の削減、職員給与の臨時的減額、公の施設の廃止等 の行財政改革に積極的に取り組み、その結果、2011(平成 23)年度には、財源不足を 約 80 億円にまで縮小しました。 2012(平成 24)年度については、社会保障関係費の増加、国交付金による各種基金 事業終了に伴う財政負担の増、引き続き必要となる経済・雇用対策の実施など、依然と して県財政を取り巻く状況には厳しいものがありましたが、地方財政対策における一定 の配慮に加え、職員数の減、事務事業の徹底した見直し、マイナス・シーリングの設定 等による歳出削減等に取り組み、財源不足を約 65 億円にまで縮小しました。 2013(平成 25)年度以降についても、社会保障関係費等が増加するとともに、公債 費や退職手当が高い水準で推移することが見込まれます。また、県税収入は景気の動向 に左右されるほか、地方交付税等については先行きが不透明な状況にあることなどか ら、本県財政の見通しは決して楽観できる状況にはありません。 このため、県の財政運営を持続可能なものとするため、今後とも財政再建・行政改革 の推進に最大限努力するとともに、国に対しても、本来の地方分権の趣旨に沿った改革 の推進、地域間格差の是正を含めた地方税財政制度の改革、地方財政政策の充実を、引 き続き強く働きかけていくこととしています。 <参考③> 若者の声(大学生との意見交換、acoico との意見交換) この計画の策定にあたっては、未来の富山県、未来の日本を支える若者たちの意見を 聴き、計画に反映させるため、 ○富山大学の学生との意見交換会 ○首都圏在住若者ネットワーク(acoico)との意見交換会 を開催し、活発な意見交換を行いました。 「知事と富大生との意見交換会」(2010(平成 22)年 11 月開催)での主な意見 ① 学問を学ぶだけでなく、大学生が、社会人、地域の方々と交流できる機会や地 域、社会に貢献する機会が多くあったらよい。 ② 活力ある富山にするためには、若者の力が必要であり、県外にいる本県出身の 学生に対し、ふるさとへの愛着をもつような対策やUターン対策を一層強力に進 めてはどうか。 ③ 結婚、出産後の心配をせずに、働き続けることができる職場が増えたらよい。 仕事と子育てが両立できるようにしてほしい。また、父親の育児参加、育児休業 取得の促進が重要である。 ④ 最近はコミュニケーションが苦手な若者が増えており、子どもが人との関わり を学べる場、地域の中で学べる場をもっと増やすべきである。 ⑤ 西町、総曲輪の活性化など、まちづくりに興味があり、将来は、 富山県の土地・ 地域のためになる仕事がしたい。 「知事と acoico との意見交換会」 (2010(平成 22)年 12 月開催)での主な意見 ① 戻りたいふるさとを考えたときに、最終的に経済発展が不可欠であり、グロー バル化が必要。 ② 「家を建てるなら富山」だと思わせるようなPR(予算や環境面の優位性)を もっと行うとよいと思う。そのためにも、住んでいる人が誇りに思えるスポット がたくさんできればよいのではないか。 ③ 新幹線開業により懸念されるストロー現象をいかに防ぐかが課題である。 ④ 職場における子育て施策の計画(一般事業主行動計画)があっても、実際に運 用しづらい雰囲気の会社が結構あるのではないかと思う。 ⑤ 外国の方に富山県の良さを伝えるためにも、ふるさと教育は必要だと思う。そ のふるさと教育の一環として、ふるさとの歌づくりを検討していると聞くが、県 内、県外、海外に住んでいる富山県人が心を一つにして歌える歌があればよいと 思う。 ⑥ 重要犯罪件数の尐なさ全国1位は、富山県出身者としても誇りに思える。富山 県のPRポイントとして、良いところ、とりわけ治安の良さをもっとPRしても よいのではないか。 第3章 富山県の現状と課題 <活力とやま> 1.産業 (1) 産業・雇用 ○ 本県は、豊富な電力、工業用水などに支えられ、アルミ等の金属製品や電気機 械、化学などを中心に、日本海側屈指の工業集積を誇っています。また、素材や 部品等を中心とした基礎素材型の業種の割合が高く、我が国の産業を支える高い 技術力を誇る企業を擁しています。 こうした、ものづくり技術をさらに発展させるため、富山県ものづくり研究開 発センターを活用した効果的な産学官連携ネットワークの仕組みによる研究開 発、事業化等を一層推進していくことが求められています。 ○ 近年、バイオテクノロジー、ロボット、深層水などの分野で研究開発や事業化 が順調に進んでいるほか、医薬品産業においては、医薬品生産金額が大幅に増加 しており、積極的な設備投資が行われています。 一方で、長引く国内経済の低迷や日本の産業競争力が低下するなかで、経済情 勢の変化に柔軟に対応できる産業構造やビジネスモデルの転換が必要となって おり、起業や新分野進出、海外展開などへの支援を強化するとともに、環境・エ ネルギーや健康・福祉、航空機やロボット、次世代自動車など今後成長が見込ま れる分野への参入を支援していく必要があります。さらに、実践的で高度な人材 の育成などに積極的に取り組むことが求められています。 ○ また、本県では全国に先駆けて企業立地促進計画を策定し、医薬品、IT(情報 技術) 、機械・金属、健康生活の 4 業種の関連製造業の立地を促進するなど、地 元産業の振興と合わせた地域活性化の車の両輪として、企業の立地を進めていま す。北陸新幹線の開業や伏木富山港のさらなる発展等を見据え、かつ、東日本大 震災後の経済・産業の動向等も踏まえながら、今後も、本県の優れた技術の集積 や、新幹線開業による企業立地環境の向上効果、環日本海地域のゲートウェイと しての優位性、比較的自然災害が尐ない本県の特徴等を十分に活かし、地域産業 の振興や企業誘致活動に積極的に取り組む必要があります。 ○ 一方、2008(平成 20)年秋の世界同時不況以降、雇用環境は厳しい状況が続い ており、こうした県内産業の振興や人材育成、企業誘致等により、県内経済の活 性化に向け、安定した雇用の確保や新たな雇用機会の創出などに積極的に取り組 む必要があります。 (2) 農林水産業 ○ 本県の農業生産は稲作を中心として行われており、近年、生産調整の強化や米 価の低迷等により、農業産出額が減尐しています。また、国の制度がすべての販 売農家を対象とする「農業者戸別所得補償制度」に大きく転換したほか、今後の WTO(世界貿易機関)における農業交渉や、TPP(環太平洋経済連携協定)、 EPA(経済連携協定)などによりコメの関税が撤廃されることになれば、本県 農業にも大きな影響を与える懸念があります。 また、本県の林業経営については、長期にわたる木材価格の低迷などから極め て厳しい状況にあります。 水産業については、定置網漁業を中心とする沿岸漁業が盛んであり、新鮮でお いしい魚介類が水揚げされていますが、近年は消費者の魚離れが進み、生産額の 減尐や生産コストの増大などにより、漁業経営は厳しい状況にあります。 ○ 今後、産地間競争の激化や就業者の高齢化が一層進行するなか、経営の効率化 や担い手の育成確保、優良な農業生産基盤の確保、水田利活用、安全・安心な農 林水産物の安定供給などのほか、農商工連携や6次産業化を積極的に進めていく 必要があります。また、地産地消の推進、富山の食の魅力の発信、農産物やさか なのブランド化、県産材の利用促進などに取り組み、魅力ある農林水産業を展開 していくことが求められています。 2.交通・物流基盤 ○ 北陸新幹線は 2014(平成 26)年度末までに金沢まで開業することとなってお り、利便性の向上による経済活動や観光交流の活性化が期待されます。また、2008 (平成 20)年7月の東海北陸自動車道の全線開通をはじめ、県内の高速道路網の 整備も進んでおり、観光や企業立地の面での効果も発現しています。今後は、三 大都市圏から等距離にある地理的優位性や陸・海・空のネットワークを活かし、 中京圏などと環日本海・アジア地域の結節点として発展していくことが期待され ています。 ○ 伏木富山港は、国際コンテナ航路の充実など環日本海・アジア地域のゲートウ ェイとして着実に機能強化がなされ、日本海側の「総合的拠点港」にも選定され ていますが、今後も伏木富山港のポテンシャルを活かした集荷力の向上や航路の 充実、新規物流ルートの開拓、港湾後背地等への物流業務施設の立地促進などが 求められています。 ○ 富山空港については北京便が新たに就航するなど着実に発展していますが、北 陸新幹線の開業に伴い東京便との競合が懸念されるところです。羽田空港等を利 用した全国各地との乗継制度の拡充や、羽田空港国際化による海外との乗継ぎに おける利便性の向上により、東京便の路線価値の向上が期待されており、今後と も国内外との「空の玄関口」として発展していくことが求められています。 3.観光・まちづくり (1) 観光 ○ 近年、団体旅行から個人旅行へのシフトといった旅行形態の変化や観光ニーズ の多様化が進むなか、本県では、豊かな自然や食、歴史・文化、まち並みなどの 観光資源の発掘・活用や、とやま観光未来塾を中心とした本県観光を担う人づく りに取り組んでいるほか、2009(平成 21)年以降、3つの観光圏が認定されるな ど、広域観光も進められています。また、海外での戦略的な観光客誘致活動やP Rを展開してきた結果、県内外国人宿泊者数も増加傾向にあります。 ○ 今後、2014(平成 26)年度末までの北陸新幹線開業も見据え、選ばれ続ける観 光地となるよう、富山らしい魅力ある観光資源のブラッシュアップと戦略的PR をさらに推進するとともに、周遊・滞在型の魅力ある広域観光ルートの形成、お もてなし力の向上、県産品などのブランド力の強化や富山の地域イメージの向上 などに一層力を入れていく必要があります。 また、海外からの観光客を呼び込むため、これまで中心だった台湾や韓国だけ でなく、中国、東南アジア、欧米豪など新たな観光市場の開拓に努めることが求 められています。 (2) まちづくり ○ 近年、郊外居住の進行、商業施設や公共施設等の郊外移転、公共交通の衰退な どにより、中心市街地の空洞化が進み、商店街の衰退や空き家・空き地の増加な どが顕著となっているほか、自家用車に頼らざるを得ない生活環境にあり、特に 高齢者などにとって、買い物などの日常生活が不便な状況が生じています。また、 大企業の県内支店等の撤退や消費の一部県外流出など北陸新幹線開業後のいわ ゆる「ストロー現象」も懸念されるところです。 ○ 中心市街地活性化基本計画などに基づき、中心市街地の賑わい創出につながる 様々な取組みが行われていますが、今後も中心商店街の活性化、自家用車に頼ら なくてもまちなかで快適に暮らせるまちづくりなどをさらに推進するとともに、 新幹線開業を見据え、歴史や文化など地域の資源を活かした、個性的で魅力的な まちづくりを一層進めていくことが必要となっています。 <未来とやま> 4.子育て、教育 (1) 子育て ○ 本県の出生数は、1972(昭和 47)年をピークにほぼ一貫して減尐傾向にあり、 2005(平成 17)年以降は毎年9千人を割り込んでいます。尐子化の背景としては、 未婚化や晩婚化の進行、夫婦の出生力の低下、若者の県外流出など様々な要因が 考えられます。 また、人間関係の希薄化や核家族化の進展により、地域での子育て力や教育力 が低下しているとの指摘もされており、地域ぐるみで子どもを見守り育てる取組 みを一層進めていくことが重要となっています。 ○ 今後、勤務形態の変化や子どもの成長過程に応じた切れ目のない子育て支援、 仕事と子育てを両立できる職場環境の整備、家庭や地域での子どもの健やかな成 長の支援など、総合的な子育て支援対策に取り組むとともに、子どもを生み育て る世代である若者が希望を持っていきいきと働き暮らせる県づくりを進めてい く必要があります。 (2) 教育 ○ 本県の全国学力・学習状況調査の結果は概ね良好ですが、 「知識に関する問題」 に比べ「活用に関する問題」については全国平均との差が小さくなってきており、 基礎的な学力の確実な定着とともに問題解決能力の育成などが必要となってい ます。また、児童生徒にきめ細かな指導を充実させるため尐人数教育を推進する とともに、児童生徒同士が互いに切磋琢磨する教育環境を整備することも必要で す。 ○ 本県では、科学的な思考力・探究力を伸長させるためのとやま科学オリンピッ クの開催、探究科学科の設置のほか、ものづくり中核校の設置に取り組むなど、 科学教育・ものづくり教育の充実を進めています。また、グローバル化の進展な ど大きく変化する時代のなかで、ふるさとに誇りと愛着を持ち、地域や世界で活 躍する人材を育てる「ふるさと教育」の取組みも進められています。 ○ 今後、富山ならではの質の高い教育を行っていくための特色ある取組みである 「富山スタンダード」をさらに推進し、学校教育の充実に加え、家庭や地域など 社会全体における教育力の向上を図ることにより、優れた知性、豊かな心、たく ましい体のバランスのとれた人材を育成していくことが必要です。 ○ また、高等教育機関については、地域の知の拠点として、個性豊かで創造的な 人材の育成や産学官連携による共同研究の推進など、積極的に地域に貢献するこ とが求められています。 5.多彩な県民活動 (1) 芸術文化 ○ 本県では、多彩な芸術文化活動に多くの県民が参加していますが、引き続き、 身近な文化施設等において、次世代を担う子どもたちや青尐年をはじめ、県民誰 もが芸術文化の鑑賞や創造を楽しみ、芸術文化活動に幅広く参加できる環境づく りを進めていくことが重要です。 ○ 利賀芸術公園では、国内外から一流の舞台芸術家が集い、質の高い芸術文化活 動が展開されており、今後とも、世界に誇ることのできる舞台芸術の拠点づくり とその発信を一層推進していく必要があります。 ○ また、あらゆる世代の県民がふるさとの文学に親しむことにより、ふるさと富 山の歴史や文化を理解し、ふるさと富山への誇りと愛着を育めるよう、高志の国 文学館を拠点とした「ふるさと文学」の振興の取組みを一層推進していくことが 求められています。 (2) 地域活動、男女共同参画等 ○ 近年、尐子高齢化の進展に伴い、生産年齢人口が減尐し、企業や地域で活躍す る人材が尐なくなることが懸念されるなかで、団塊世代や高齢者の活躍できる環 境の整備、経済的、社会的に自立が遅れる若者等の支援の強化、地域の様々な課 題に対する解決力を高め、心のふれあいを大切にする地域コミュニティづくりの 推進などが課題となっています。 ○ NPOやボランティアによる自主的な活動は着実に増加していますが、今後も、 県民、NPO、企業などが行政と協働して様々な分野で活躍する「新しい公共」 の推進のための取組みや、若者や団塊世代など幅広い層のボランティア活動等へ の参加を促進する必要があります。 ○ また、男女ともにその個性と能力を十分に発揮できる社会の実現に向けた男女 共同参画の取組みや、DV(配偶者等からの暴力)、虐待など人権課題に対する 対策を充実するとともに、地域における在住外国人との共生や異文化の相互理解 など多文化共生に向けた取組みを推進していくことが必要となっています。 6.魅力ある地域づくり ○ 富山県は、美しい自然、豊かな食、歴史、伝統文化などたくさんの魅力にあふ れる県です。人口減尐、尐子高齢化が進むなか、間近に控えた北陸新幹線の開業 なども見据えながら、交流人口拡大や定住促進の取組みを推進するとともに、県 民が誇りと愛着を持てるような魅力あふれるふるさとづくりを進めていく必要 があります。 ○ 近年、水辺や歴史、文化を活かしたまちづくりが県内各地で取り組まれている ほか、自然景観の保全、魅力ある都市景観づくりに向けた取組みも進められてい ます。今後も、自然、歴史、伝統文化、行事など地域資源を活かした地域づくり や、潤いや賑わい、楽しみのあるまちづくりを進めるとともに、「ゆっくり、ゆ ったり、心ゆたか」に住まうスローライフをはじめ、富山の多様な魅力を全国に 発信することによって、観光の振興、交流人口の拡大につなげていくことが期待 されています。 かんよう ○ 農山漁村は、豊かな自然や景観、水資源の涵養、国土保全等の多面的機能を有 していますが、近年、高齢化や過疎化が進み、集落機能の維持が困難となるなど の問題が生じています。今後は、農商工連携による 6 次産業化や地域資源を活用 した農林漁業体験などを推進し、農山漁村の活性化を進めていく必要があります。 また、本県では、富山県森づくり条例に基づき、2007(平成 19)年 4 月から導 入した「水と緑の森づくり税」を活用し、里山林や混交林の整備を着実に進めて きました。2011(平成 23)年 9 月には、同税を延長・充実する条例改正を行った ところであり、今後とも、県民全体で支える森づくりを積極的に推進していくこ とが重要です。 <安心とやま> 7.医療、福祉、健康、スポーツ (1) 医療・福祉 ○ 身近な地域で安心して暮らし続けたいという県民のニーズが増大しています。 これまで、身近な地域で質の高い医療を受けられるよう、医療機能の連携など医 療提供体制の充実や在宅医療を推進する取組みが行われてきたほか、小規模な民 家等で高齢者、子ども、障害者などを一緒にケアする共生型福祉拠点の「富山型 デイサービス」も着実に増加してきました。今後も県民ニーズに対応した医療サ ービスや、在宅と施設のバランスのとれた福祉サービスの充実、医療と介護など 多様なサービスの連携、地域ぐるみで支え合う福祉コミュニティの形成等に取り 組む必要があります。 ○ 一方、勤務環境の厳しい小児科、産科等の診療科において医師が不足している ほか、病院の看護体制の充実などから看護職員も不足の状況にあります。さらに 介護・福祉従事者についても人手不足と若者の福祉離れが強くなっており、身近 な地域で質の高い医療、介護・福祉サービスを担う人材の育成、確保が重要な課 題となっています。 (2) 健康・スポーツ ○ 本県では、全国平均よりも速いスピードで高齢化が進行しており、県民一人ひ とりが健康で元気に自立して暮らせる期間(健康寿命)を延ばすための健康づく りや生きがいづくりの取組みが求められています。また、社会経済環境の複雑化 に伴い、ストレスや心の悩みなどこころの健康の問題を抱える人が増加しており、 身体面だけでなくこころの健康づくりを推進していくことが必要です。 ○ 本県は、県民の運動・スポーツ習慣が必ずしも定着しておらず、また、児童生 徒の体力・運動能力は、1985(昭和 60)年頃をピークに低下傾向にあります。今 後とも、県民がスポーツに親しむことのできる環境づくりを一層推進するととも に、学校や家庭、地域が一体となって児童生徒の体力向上に取り組んでいく必要 があります。 また、全国や世界の檜舞台で活躍できるトップアスリートを育成するため、こ れまで以上に選手の強化を進めるとともに、県民みんなで応援する環境をつくっ ていくことが求められています。 8.環境・エネルギー ○ 本県は、本州随一の植生自然度を誇り、豊かで清らかな水環境に恵まれていま す。また、大気や水質の環境基準の達成状況を見ると生活環境が良好な状況にあ り、住みよい県として高い評価を受けています。 ○ しかしながら、廃棄物の排出量はほぼ横ばいの状況にあるほか、民生部門を中 心に温室効果ガスの排出量が増加しています。一方、本県では、2008(平成 20) 年4月から全国で初めて県内全域のスーパーマーケット等におけるレジ袋の無 料配布を取りやめるなど、県民参加による環境施策を推進してきました。今後と も、本県の水と緑に恵まれた素晴らしい環境を大切な財産として次世代に引き継 いでいくため、県民一人ひとりがエコライフを実践するなど持続的発展が可能な 循環型社会・低炭素社会づくりを進めていくことが必要です。 ○ また、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故を契機に、国全体で多様なエネ ルギー源のベストミックスや省エネ構造への転換に向けた議論がなされるなか、 本県においても、水力をはじめとするエネルギー基盤を十分に活かしながら、小 水力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を拡大し、県民生活や産 業経済活動を支えるエネルギー需給の安定確保を推進する必要があります。 ○ 近年の日本海対岸地域の急速な工業化や都市化の進展、人口集中等により、漂 着ごみ、水質汚濁、黄砂、越境大気汚染など環日本海地域共通の環境問題の顕在 化が懸念されています。今後とも、日本海側唯一の国際連合機関として本県に設 置されている北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)の活動支援や、(財) 環日本海環境協力センター(NPEC)と連携した調査・研究などを通じて、環 日本海地域における環境協力を積極的に推進していく必要があります。 9.安全・安心な暮らし ○ 本県は、台風や地震などの災害が比較的尐なく、出火率が 20 年連続で全国最 小となっているほか、犯罪率の低さや持ち家率の高さなど、安全・安心で暮らし やすい県であるといえます。 ○ 地域の安全・安心を確保するため、自主防災組織や消防団、住民が主体となっ た民間パトロール隊や学校安全パトロール隊などの活動が大きな役割を果たし ており、今後とも、こうした地域ぐるみの取組みの充実が求められています。 ○ 交通事故死者数は減尐傾向にありますが、高齢社会の進展に伴い、全死者数に 占める高齢者の割合は5割以上と高くなっています。また、消費生活相談件数は 減尐傾向にあるものの、消費者トラブルの内容が複雑・多様化し、高齢者や若者 などの被害が増加しています。 ○ さらに、人口減尐・尐子高齢化の進展、環境やまちづくり等の観点を踏まえ、 鉄道、路面電車、バスなど、県民の日常生活を支え地域づくりの推進にもつなが る地域公共交通の維持・活性化を図っていくことが必要となっています。 ○ 一方、災害が尐ないと言われる本県も、古くから河川の氾濫など自然災害との 闘いを繰り返してきました。近年は、集中豪雤や高波などによる被害も発生して おり、水害・土砂災害等から県民の生命・財産を守る治山・治水・砂防・海岸保 全等の施設整備や森林・農地保全の推進について、引き続き取り組んでいくこと が必要となっています。また、防災施設や橋梁等の老朽化が進むなかで、施設の 長寿命化を図るなど、公共施設の計画的な維持管理が求められています。 ○ さらに、東北・関東地方に大きな被害が生じた東日本大震災の教訓を生かして、 発生した被害を最小限に食い止める「減災」の考え方を重視し、地震・津波対策 や原子力災害対策の充実、治山・治水対策の充実や地域の防災活動体制の充実強 化、防災教育による県民意識の向上など、防災対策についての基本的な見直し・ 拡充を図る必要があります。 第4章 富山県の目指すべき将来像 1.県づくりの3つの視点 国内外の社会経済情勢が大きく変化するなかにあって、富山県は、今後、優れた 基盤を十分活かしながら、新しい時代を先導するトップランナーとして一層の飛躍 を目指すとともに、我が国全体の発展はもとより、国際社会での存在感を高め、世 界の平和と発展に貢献していくことが極めて重要です。 また、グローバル化が進み、世界的な規模での人、モノ、情報の交流がますます 活発となるなかで、生まれ育った地域との関係が希薄になり、ややもすれば若者た ちが根無し草のようになりかねない状況にあります。このようなときこそ、自分が 生まれ育ったふるさとに誇りや愛着を持ち、家族や地域との絆を大切にしながら、 自分で考え、先見性を持ってたくましく未来を切り拓いていく人材を養成すること が必要です。 こうしたことから、この計画では、今後の県づくりにおいて特に重要となる3つ の視点を提示します。これらの視点は、今後 10 年を見据え、富山県が一層の発展 を遂げるために不可欠なキーワードともいうべきものであり、県づくりの目標に向 かって諸政策を展開するにあたり、常にこうした視点を中心に据えながら取り組ん でいくこととします。 ~視点①~ 『人材』 先行きが極めて不透明な時代にあって、ものづくりや農林水産業、観光・地域 づくり、医療・福祉など様々な分野において活躍する有為な人材は、県づくりの 根本となる最も重要な財産です。夢や情熱をもって取り組む人材がいるかいない かによって、その分野の発展が左右されると言っても過言ではありません。 経済・社会の目まぐるしい変化にも対応できる柔軟性と高い志、広い視野、先 見性を持って、これからの富山県や日本の発展を支えるとともに、グローバルな 舞台でも活躍できる、創造性と行動力にあふれる人づくりを進めていきます。 ~視点②~ 『環日本海・アジア新時代』 中国・ロシアをはじめとした新興国が著しく興隆し、本県においても、これら の国との経済交流の活発化、定期航路の充実、外国人観光客の増加など、ここ数 年で大きな変化が見られます。 こうしたなか、本県では、これまで、主に「環日本海」地域に目を向けて取組 みを進めてきましたが、今後は、グローバル化の一層の進展を踏まえ、環日本海 の枠を超えて、世界全体に視野を広げていく必要があります。とりわけ、アジア 地域は、近年めざましい発展を遂げており、環日本海地域も含め、まさに本格的 な「環日本海・アジアの時代」の到来が見込まれています。 これからは、世界やアジアの中での富山県の位置づけを常に念頭に置きつつ、 県民が県内のみならず国内外で行う活動によって生み出す、トータルの県民所得 をどう最大化していくかという観点にも立って、成長著しい環日本海・アジア地 域の成長エネルギーを取り込みながら、ともに発展していくことにより、新たな とやまの未来を拓きます。 ~視点③~ 『ふるさと』 ふるさとは県民の生活、活動の場であり、心の拠り所にもなるものです。若者 の地元定住志向が高まり、ふるさとや伝統を大切にする気運の高まりも見られま す。また、東日本大震災は、安全・安心に暮らすことのできる「ふるさと」の存 在がいかに大切であるかということをあらためて認識する契機となりました。 グローバル化が一層進展するなかで、県民がふるさとの魅力を知り、理解を深 めるとともに、ふるさとへの誇りと愛着を育みながら、そこを舞台に誰もが快適 に暮らせる県づくり、力強く生きていける社会づくりを進めていきます。 2.目指すべき将来像と計画の基本理念(目標) 「元気とやま創造計画」では、富山県の目指すべき将来像として、 「活力とやま」 「未来とやま」「安心とやま」を設定し、県民誰もが、自らの個性や能力を発揮し ながら、夢と希望を持っていきいきと働き、安心して暮らせる県の実現を図ってき ました。 これらの3つの目指すべき将来像については、社会経済情勢が大きく変化するな かにあっても揺るがない、県づくりの根本となる基本的方向を示すものであり、こ の計画においても、引き続き堅持します。そして、先に示した県づくりの視点など 新しい観点も盛り込みながら、時代の変化に対応した政策を展開し、富山県の一層 の発展を図っていきます。 活力とやま 勤勉で進取の気性に富む人材、恵まれた自然、交通・情報通信基盤、産業集積 などを活かし、創意工夫、意欲ある取組みが展開されている「活力」あふれる県 未来とやま 明日を担う人材が健やかに育まれ、多彩な県民活動、美しい県土づくりが進め られている「未来」への希望に満ちた県 安心とやま 豊かな自然や生活環境を活かし、住み慣れた地域の中で、健康で快適に、安 全で「安心」して暮らせる県 富山県は、8 世紀に越中国守で赴任した大伴家持に代表される越中万葉の時代以 来、約 1300 年の歴史を有しています。この間、先人の英知と努力によって、水害 や豪雪など多くの困難を克服し、美しい自然と調和のとれた豊かな環境、特色ある 文化、日本海側屈指の多様な工業集積などを有する、今日の誇れる富山県を築いて きました。また、厳しい風土に揉まれながら、勤勉で粘り強い県民性や積極進取の 気性、豊かな創造力とたくましい行動力が育まれてきました。 経済・社会がめまぐるしく変化するなかにあって、新しい時代に向けた元気な県 づくりを進めるにあたっては、本県の源泉ともいえるこうした歴史や伝統、特長な どを十分に活かしながら、県と県民、企業、地域の団体、市町村など様々な主体が 一体となり、それぞれが高い志を持って、取組みを進めていくことが何よりも重要 です。 この計画がスタートする 2012(平成 24)年は、日本最古の歴史書である古事記 が編纂されて、ちょうど 1300 年にあたります。古代、富山県を含む北陸一帯は越 国(こしのくに)と呼ばれ、古事記では「高志」と表記されていました。 このような古からの悠久の歴史に思いを馳せつつ、今を生きる私たちの手で富山 県の明るい未来を拓いていくため、県民一人ひとりが高い志を胸に、豊かな発展の 可能性を開花させ、実を結ばせていかなければなりません。それによって初めて、 「活力」にあふれ、 「未来」への希望に満ちた、 「安心」して暮らせる県、すなわち、 誰もがいきいきと輝いて働き暮らせる、元気なふるさと富山の実現が可能になると 考えます。 このため、この計画では、 「 みんなで創ろう! 人が輝く 高志の国 」 を計画の基本理念(目標)として設定し、これを新しい時代に向けたいわゆる「キ ャッチフレーズ」として、県民の皆さんと共有しながら、一緒になって県づくりを 進めていきます。 【基本理念(目標) 】 みんなで創ろう! 人が輝く 高志の国 ~活力、未来、安心のふるさと~ 3.目指すべき将来像の実現に向けた政策 (1) 基本政策及び重要政策 目指すべき将来像の実現に向け、60 の基本政策及び目標を設定するとともに、各 政策を共通して支える重要政策を設定します。 これらの政策は、今後、各施策・事業を企画・立案し、展開していくにあたって の指針となるものであり、県民の視点に立ち、各行政課題に効果的に対応する観点 から設定をしたものです。 60 の基本政策は、特定の行政課題に対応するための方策をまとめて示し ています。例えば、 「家庭・地域・職場における子育て支援」の政策につい ては、「子育て家庭に対する支援」や「地域における子育て支援」のほか、 「母と子の保健医療等の充実」「仕事と子育ての両立支援」「子育て支援の 気運の醸成」といった、複合的な施策から成り立っています。 政策体系 「活力とやま」、 「未来とやま」、 「安心とやま」の3つを柱として基本政策を体 系化します。 また、これらの政策の実施により元気な富山県を創っていくにあたり、最も重 要なのは「人」です。すべての政策は、最終的にはそれぞれ「人」の活躍によ り実現するものであり、経済・産業、教育・文化、医療・福祉など、それぞれ の分野を担う人材を育成していくことが県づくりの根幹となります。このため、 「人づくり」を基本政策を支える重要政策として位置づけることとします。 <基本政策> ●活力とやま 本県の持つ知恵と高度な技術を活かし、新たな成長産業の育成やものづくり産 業の高度化、企業立地、農林水産業の振興などを進め、本県産業の活性化を図る とともに、若者から高齢者まで県民がいきいきと働ける雇用機会を提供します。 また、北陸新幹線の開業や本格的な環日本海・アジアの時代の到来も見据えな がら、交流・物流ネットワークの形成を図るとともに、観光振興や魅力あるまち づくりなどに取り組み、活力ある県づくりを進めます。 Ⅰ 競争力のある力強い産業の振興 1 新たな成長産業の育成 2 未来を拓く起業チャレンジへの支援 3 産学官連携によるものづくり産業の高度化 4 企業立地の促進 5 中小企業の振興 6 デザインの振興と活用 7 商業・サービス業の振興と賑わいのあるまちづくり 8 雇用の確保と人材の育成 9 環日本海・アジアなど海外ビジネス展開の促進 10 農業生産の振興 11 森林の整備と林業の振興 12 水産業の振興 Ⅱ 環日本海・アジア新時代に向けた交流・物流ネットワークの形成 13 北陸新幹線の整備促進と新幹線駅を核とした交流拠点づくり 14 空港・港湾の充実など交通・物流ネットワークの形成 15 利便性の高い道路ネットワークの整備 16 情報通信基盤の充実と活用 Ⅲ 活力あるまちづくりと観光の振興 17 快適で活力ある魅力的なまちづくり 18 中心市街地の賑わいの創出 19 選ばれ続ける観光地づくり 20 国際観光の推進 21 富山のブランド力アップ ●未来とやま 未来を担う次世代の育成を支援し、知性に優れた、心豊かでたくましい人材づ くりを進めます。 また、若者、女性、高齢者等が能力を十分に発揮して一層の活躍ができる社会 づくりを進めるとともに、芸術文化の振興、NPOなど多様な県民活動の推進、 美しい景観づくりや豊かな森づくりなどに取り組み、未来に向けた魅力あふれる ふるさとづくりを進めます。 Ⅰ 未来を創る子育て支援と教育の充実 1 家庭・地域・職場における子育て支援 2 学校、家庭、地域で取り組む子どもの成長支援 3 子どもの可能性を引き出し才能や個性を伸ばす教育の推進 4 子どもの健やかな成長を支え元気を創造する教育の推進 5 大学教育・学術研究・科学技術の振興 6 生涯をとおした学びの推進 7 ふるさとを学び楽しむ環境づくり Ⅱ 一人ひとりが輝く多彩な県民活動の推進 8 芸術文化の振興 9 多様な主体による社会貢献活動の推進 10 若者の自立促進とチャレンジ支援 11 男女共同参画の推進と女性の能力の発揮 12 元気な高齢者の活躍の場の拡大 13 人権を尊重し心がふれあう地域社会の形成 14 グローバル社会における地域づくり・人づくり Ⅲ ふるさとの魅力を活かした地域づくり 15 交流人口の拡大、定住・半定住の促進 16 自然、歴史、伝統文化など地域の魅力の継承・再発見 17 地域の個性を活かした景観づくり・まち並みづくり 18 農山漁村の活性化 19 豊かな森づくり・花と緑の地域づくり ●安心とやま 地域における医療・福祉の充実、自然環境・生活環境の保全やエネルギー需給 の安定確保、災害に強い県土づくりや防災体制等の充実、安全なまちづくりなど を推進し、県民が住み慣れた地域において、健康かつ安全・安心で、快適に暮ら せる県づくりを進めます。 Ⅰ いのちを守る医療・福祉の充実と健康づくり 1 地域の保健・医療・福祉の連携強化と共生社会の形成 2 医療提供体制の充実 3 健康づくりと疾病対策の推進 4 高齢者福祉の充実 5 障害者福祉の充実 6 食の安全確保と地産地消・食育の推進 7 スポーツの振興 Ⅱ 次世代へつなぐ豊かで快適な環境の保全とエネルギー対策の推進 8 循環型社会と低炭素社会づくりの推進 9 自然環境の保全 10 生活環境の保全 11 水資源の保全と活用 12 多様化、効率化を通じたエネルギー需給の安定確保 Ⅲ 災害に強い県土づくりと安全・安心な生活の確保 13 生活交通の確保 14 住生活の向上 15 雪に強いまちづくり 16 県土保全の推進 17 防災・危機管理体制の充実 18 地震防災対策の充実 19 防犯・交通安全対策の推進による安全なまちづくり 20 消費生活の安全の確保 <重要政策> ●人づくり 「活力」「未来」「安心」の政策を着実かつ強力に実行し、目標を達成するため、 現在及びこれからの富山県を支える人づくりを、あらゆる世代において進めていき ます。 (詳細については、第 2 編第 3 章参照) テーマ:将来を担う人材の基礎づくり 子 ・ 優れた知性、豊かな心、たくましい体を持った子どもの育成 ど ・ 変化する社会に果敢にチャレンジし、困難にくじけない子どもの 育成 も ・ ふるさとに誇りと愛着を持ち、家族や地域の絆を大切にする子ど もの育成 テーマ:成長と自立、社会参加・社会貢献の促進 若 ・ 若者がたくましく成長するための支援 者 ・ 若者の職業的自立の支援 ・ 若者の社会の一員としての自立の促進 テーマ:能力を発揮できる環境づくり 働 き ・ 経済・産業の発展を支える人材が能力を発揮できる環境づくり 盛 ・ コミュニティを支え、地域活性化の中心となる人材が育つ環境づ くり り ・ 女性の意欲と能力が活かされる環境づくり テーマ:エイジレス社会の実現に向けた活躍の場の拡大 高 齢 ・ 元気な高齢者の就業・起業支援 者 ・ 高齢者の地域貢献活動の支援 ・ 高齢者の知識や経験、技能の継承 (2)県民の幸福度を高める政策展開 この計画では、「活力とやま」「未来とやま」「安心とやま」を政策の柱とし、60 の基本政策とこれらを支える重要政策「人づくり」などを展開することにより、県 民一人ひとりが輝き、いきいきと働き暮らせる県づくりを進めていくこととしてい ます。 今後の政策の展開にあたっては、県政の最終的な目標は県民の幸せの充実であり、 県民の幸福度を高めるための環境整備を図っていくことが県政の使命であるとい う原点を忘れずに取り組むことが重要です。また、その際には、今を生きる県民の 幸福度のみでなく、次の世代の県民の幸福度も高めていくという視点を大切にする 必要があります。 (幸福度に関する現状については、第2章3.参照) このため、この計画では、前述した内閣府の研究会で提示された体系と指標や、 法政大学大学院の都道府県別幸福度ランキングで使用された指標を参考にしなが ら、本県における幸福度に関連の深い指標をまとめた「とやま幸福度関連指標」を 試みに提示しました。(次ページの表参照) もとより、幸福の感じ方は人それぞれによって千差万別であり、行政が県民それ ぞれにとっての幸せを固定的なものとして決めつけたり、押しつけたりするもので ないことは言うまでもありません。また、幸福に対するウェイトの置き方も個々人 のライフステージや個別の事情、地域性などによって異なっていることから、この 指標を絶対的なものとして捉えることは適切ではありません。今回提示した指標は、 あくまでも県民の皆さんの幸福度を測るための一つの尺度にすぎず、その結果を参 考に、行政の進むべき方向を見極めるための道しるべとして位置づけるべきもので す。 今後、これらの点を十分に踏まえたうえで、「とやま幸福度関連指標」について さらに研究を重ねてブラッシュアップしていくとともに、こうした指標を大いに参 考にしながら、本県の強みをさらに磨き伸ばし、弱い点は克服して、県民の幸福度 を高めるための政策を積極的に展開し、あわせて本県の魅力のPRやイメージアッ プにもうまくつなげて、日本で最も幸せを実感できる県として評価されるよう、不 断の努力を続けていきます。 とやま幸福度関連指標 柱 指 標 富山県 数 値 柱 順 位 幸 主 主観的幸福感(今後、調査) 福 観 感 的 食料自給率 食品表示が適正な店舗の割合 自主衛生管理に関する講習会(食の安全ア カデミー)の受講者数(累計) 消費生活相談解決率 1世帯当たり負債現在高 1世帯当たり貯蓄現在高 1 順 位 77 % 11 95.2 % 正社員比率 66.4 % 1 有業者の平均継続就業期間 14.6 年 17 欠損法人比率 74.3 % 17 4.8 % 30 80.5 % 9 65.8 % 1 62.4 % 3.9 % 6 4 28.5 % 70.8 % 6 3 39.9 % 1.65 % 11 26 女性の管理職比率 78.3 % 1 経 継続就業希望者比率 済 社 雇 若者の就業率 会 用 有業率 状 完全失業率 況 離職率 30歳から34歳の女性の就業率 17.62 畳 78.6 % 1 8 65歳から69歳の就業率 障害者雇用比率 25 人 98.7 % (表を挿入) 1人当たり畳数 下水道普及率 住宅の耐震化率 11,577 円 32 高齢者が居住する住宅のバリアフリー化率 刑法犯認知件数(人口1万人比) 40.4 % 61.1 件 68 % 4 6 実労働時間当たり労働災害率 NICUの病床数(出生比) 1.09 % 2.4 床 5 17 交通事故発生件数(人口1万人比) 47.2 件 77 人 16 気管挿管及び薬剤投与が可能な救急救命士数 作業所(障害者)の平均工賃月額の実績 身 10万人当たり老衰死亡者数 体 介護を必要としない高齢者の割合 40.5 人 83.4 % 25 19 都市公園の面積(都市計画区域内人口比) 低床バス導入割合 14.5 ㎡ 28.1 % 10 11 特別養護老人ホーム待機者数 自殺死亡率(人口10万人比) 2,034 人 23.0 人 20 市街地の道路網密度 1.86 ㎞ 13 39.3 % 32 5.3 % 36 79.07 歳 12 (P) 高速道路の利用しやすさ 経 済 社 会 状 況 2.5 ‰ 437 万円 20 1,701 万円 20 住み良さに関する意識(今後、調査) 持ち家比率 住 居 ・ 居 住 環 境 富山県 数 値 仕事の充実感(今後、調査) 生活保護被保護実人員比率 基 本 的 ニ ー ズ 指 標 精 悩みやストレスのある者の率 神 悩みやストレスを相談したいが誰にも相談で きないでいる者の率 健康に関する自己評価(今後、調査) 20 IC 道路の走りやすさ割合 65.4 % 市街地ゆとり歩道割合 77.6 % 平均寿命(男) 良好な景観形成が必要な道路の無電柱化率 50.1 % 平均寿命(女) 冬期走行しやすさ割合 51.1 % 健康寿命 合計特殊出生率 産婦人科・産科医数(出生比) 1.42 12.1 人 33 6 小児科医数(小児人口比) 11.1 人 6 授業が分かると答える生徒の割合 60.1 % 県立学校の耐震化率 子どもの教育において、家庭が役割を果たし ていると思う人の割合 71.5 % いじめの認知件数(千人あたり) 教 育 保育所入所待機児童数 ・ 病児・病後児保育事業実施箇所数 子 育 延長保育実施保育所数 て 休日保育実施保育所数 放課後子ども教室等を実施している小学校 区の割合 育児休業取得率 一般事業主行動計画を策定・届出済みの中 小企業数(累計) 家や図書館で1日10分以上読書する児童生 徒の割合 10 小5.8 件 中9.2 件 0人 1 57 か所 210 か所 50 か所 1,362.5 人 19 57.1 % 30 手助けや見守りを要する者の率 5.8 % 身 体 ・ 精 神 共 通 43 小規模多機能型居宅介護事業所数 32 か所 富山型デイサービス施設設置数 81 か所 訪問看護ステーション数(人口10万人比) グループホーム・ケアホーム(障害者)利用 者数(人口1万人比) ケアネット活動の取組み地区数 ホームヘルプサービス(障害者)利用者数 (人口1万人比) 生活や就労に必要な訓練や介護などの「日中活 動を支援する事業所」利用者数 98.0 % 男1.1 % 女91.6 % 運動習慣のある人の割合 1,315 社 小6 66.6 % 中3 47.8 % 看護職員数(人口10万人比) 災害拠点病院、救命救急センターの耐震化率 健 康 10.6 % 1人当たり医療費 医師数(人口10万人比) 86.32 歳 7 男76.67 歳 女80.62 歳 278 千円 20 241.0 人 21 量、質ともにきちんとした食事をする人の割合 7 30 成人の喫煙率 3.38 か所 41 4.2 人 34 218 地区 4.2 人 4,077 人 男36.5 % 女23.6 % 63.7 % 男33.4 % 女10.5 % 47 柱 身 体 ・ 健 精 康 神 共 通 指 標 児童生徒の朝食欠食割合 栄養バランスの改善度合 脂肪(20歳代) 脂肪(30歳代) 野菜 食塩 スポーツ指導者数(人口1万人比) 1日の休養・くつろぎ時間 総実労働時間 ボランティア活動者数 災害救援ボランティアコーディネーター登録者数 ラ イ フ ス タ イ ル NPO法人認証数(累計)(人口10万人比) NPOと県との協働事業数 地域社会で活動する高齢者の人数 外国人留学生数(学生数比) 125 分 32 派遣13 件 招聘16 件 169 分 32.2 % 15 10 978 講座 (590) 未婚率 22.8 % 4 三世代同居世帯の割合 16.1 % 5 1.16 % 82.4 % 359 件 850 人 5.9 % 65.9 % 42 24 小6 77.7 % 中3 43.4 % 5 11 現在の居住地での継続居住希望(今後、調査) 転入率 若者の県内への定着率 富山県での定住・半定住に関する相談件数 県情報を希望する登録者数 交際費比率 地域活動に参加している人の割合 子どもの地域活動体験率 地域ぐるみ除排雪を推進している地区数 学校給食での地場産食材使用割合 上下100Mbps以上の超高速ブロードバンド サービスの世帯カバー率 自 然 と 関 の 係 つ 性 な が り 39,640 人 生涯学習の人口10万人当たり年間開催講 座数(うち民間講座数) 地 域 ・ 社 会 と の つ な が り 柱 2 151.7 時間 32 61,108 人 50 人 27.5 法人 35 50 事業 4.9 人 文化に関する国際交流事業数(派遣、招聘 別) 1日の趣味・娯楽時間 総合型地域スポーツクラブへの加入者数 家 つ 族 な 等 が と り の 順 位 277 人 1年間に生涯学習を行ったことがある人の割合 関 係 性 富山県 数 値 小5 0.8 % 中2 1.9 % 28.0 % 26.6 % 294.9 g 11.3 g 21.5 人 270 地区 30%以上 指 標 植生自然度 30.0 % 3 自然公園面積割合 28.2 % 5 ライチョウ生息数(立山地域) 県内に自信をもって誇れるものがたくさんあ ると思う人の割合 地域の魅力づくりに取り組むNPO法人数 地域文化に関係するボランティア活動者数 農村環境の保全を目指す集落数 農林漁業等体験者数 森林整備延べ面積(累計) 里山林の整備面積(累計) と整備率 混交林の整備面積(累計) と整備率 44 法人 13,430 人 1,247 集落 42,300 人 25,144 ha 1,218 ha 28 % 480 ha 23 % 県民参加による森づくりの年間参加延べ人数 10,262 人 花と緑の指導者数 花と緑のグループ等が育成する花壇数 ナチュラリストの認定者 ジュニアナチュラリストの認定者 2,023 人 2,471 か所 727 人 243 人 11.3% 削減 9.2% 削減 16 か所 20.5 % 21 95.6 % 100 % 36.1 件 5 100 % 1 100 % 182 団体 28.9 館 1 世帯当たりのエネルギー消費量の削減率 (2002(H14)年基準) 事業所ビル等の延床面積当たりのエネルギー消 費量の削減率(2002(H14)年基準) 持 続 可 能 性 34 小水力発電の整備箇所 一般廃棄物再生利用率 産業廃棄物減量化・再生利用率 大気環境基準の達成率 10万人当たり公害苦情件数 水質環境基準の達成率(河川) 地下水揚水量の適正確保率 水文化に関する活動に取り組んでいる団体数 文化会館数(人口100万人比) 博物館数(人口100万人比) 文 化 67.7 % 1世帯当たり新聞発行部数 公立図書館蔵書数(人口100人比) 書籍雑誌購入額 財 政 284 羽 28.2 % 31.6 館 3 1.12 部 422.1 冊 2 9 16,758 円 県立文化ホールの利用率 出火率(人口1万人比) 自主防災組織の組織率 消防団員数(人口1万人比) 津波ハザードマップの作成市町 河川整備率 土砂災害危険個所の整備率 海岸整備率 19.5 % 64.2 % 2.01 件 66.2 % 88.0 人 1市 54.9 % 31.9 % 80.6 % 義務的経費比率 41.1 % 芸術文化に親しむ機会が充足されていると思う人の割合 防 災 順 位 富山県 数 値 7 1 36 24 150指標 (うち 全国比較可能指標 75指標) 「とやま幸福度関連指標」の考え方 (1) 内閣府の研究会が提示している柱立て(経済社会状況、心身の健康、関係性(地域社会や自然とのつながり)、持続 可能性)に沿って体系化した。 ただし、内閣府研究会や法政大学の指標化の観点には取り上げられていない「文化」「防災」などの切り口を独自に 追加することとした。 (2) 法政大学の都道府県別幸福度ランキングで使用された 40 指標は原則として採用することとした。 ただし、このうち、①保育所収容定員比率、②1人当たり老人福祉費、③10 万人当たり病床数、④1人当たり地方債 残高については、より適切な他の関連指標で代替するため、使用するのは 36 指標。 (3) さらに、内閣府研究会が提示している 132 指標を参考に、県民参考指標の中から特に幸福度に関連の深い指標を追加 して設定した。また、主観的な指標等も含めて、体系の項目ごとに適切な指標がない場合は、県民参考指標外からも設 定した。 (4) この結果、上記の 150 の指標(うち、全国比較可能なものは 75 指標、今後調査する幸福感等に関する主観的指標は 5 指標)を設定した。 ※ なお、全国比較可能な指標の富山県数値の欄には、全国との比較ができる直近のデータを記載しており、県民参考 指標の現況の数値とは必ずしも一致していない。 9 (3) 重点戦略 県民一人ひとりが輝いて生きられる元気な富山県を実現するため、各分野におけ る政策をしっかりと展開していくことが重要ですが、一方で、本県の財政状況が大 変厳しいなかで、時代の変化や県政の重要課題に迅速かつ的確に対応し、県民の幸 福度を高めていくためには、県民ニーズ等も踏まえつつ、本県の発展に不可欠な取 組みを重点的かつ戦略的に進めていく必要があります。 このため、こうした本県の発展や県民の幸せの充実のために不可欠な最重要政策 課題であって、県民にとって緊要度が高く、最優先に取り組むべきものを「重点戦 略」として厳選し、政策のメリハリをもたせて計画を推進していきます。 「重点戦略」は、政策体系を越えた横断的な取組み(複数の政策の中の取組みを 横断的、有機的にとらえたもの)として構築しており、「とやま幸福度関連指標」 も参考にしながら、県民の幸せの充実のため、効果的に展開していくこととしてい ます。 具体的には、以下の5つの戦略を実施していきます。 <重点戦略> 1 ※詳細については第2編第1章参照 グローバル競争を勝ち抜く環日本海・アジア戦略 本格的な環日本海・アジアの時代を見据え、本県の地理的優位性や産業 の強みを活かしながら、県内企業の海外展開とものづくり産業の高度化を積 極的に推進し、本県産業の持続的発展と国際競争力の向上を目指します。 <戦略の体系(項目)> ① ② ③ ④ ⑤ 2 海外ビジネスの展開の促進 ものづくり産業の高度化 とやまの魅力創出とブランド力強化 環日本海・アジアの交流拠点としての交通・物流ネットワークの整備 グローバル社会における地域づくり・人づくり 少子高齢化・人口減少社会における活力創造戦略 本格的な尐子高齢化・人口減尐の時代を迎えるなかで、若者、女性、高 齢者がそれぞれの力を十分発揮して活躍できる環境づくりを進め、経済社 会、地域社会の両面で活力が持続的に創造される県づくりを目指します。 <戦略の体系(項目)> ① ② ③ ③ 若者がいきいきと働き暮らせるための支援 女性が力を十分発揮できる環境づくり 元気な高齢者がもっと活躍できるエイジレス社会(生涯現役社会)の実 現に向けた環境づくり とやまの魅力創出と 3 災害に強い「日本一の安全・安心県」戦略 東日本大震災の教訓を踏まえ、災害時の被害を最小化する「減災」の考 え方を重視しながら、災害に対する予防対策から応急、復旧対策までの総合 的な対策を展開し、「日本一の安全・安心県」づくりを推進します。 <戦略の体系(項目)> ① ② ③ ④ ⑤ 4 防災・減災のための体制づくり 災害に強い県土づくり 命と健康をまもる応急対策 生活再建のための復旧対策 災害に対応できる人づくり 環日本海地域の「環境・エネルギー先端県」戦略 地球規模での環境問題や、東日本大震災を契機としたエネルギー構造転 換への対応が課題となるなか、良好な環境を保全するための総合的な取組み と、本県の地域特性を活かした再生可能エネルギーの導入・活用などを積極 的に進め、「環境・エネルギー先端県」の実現を目指します。 <戦略の体系(項目)> ① ② ③ ④ ⑤ 5 循環型・低炭素社会づくりの推進 県民総参加によるエコライフの実践 安全で快適な環境の確保 国際環境協力の推進 地域特性を活かした多様な再生可能エネルギーの導入・効率的な活用 いつまでも、みんな元気「健康先進県」戦略 高齢化が一層進展し、県民の健康や医療等に対する関心が高まるなかで、 本県の優れた基盤を活かしながら、県民がいつまでも健康で元気に暮らすこ とのできる社会づくりに積極的に取り組み、「健康先進県」の実現を目指し ます。 <戦略の体系(項目)> ① ② ③ ④ いつまでも元気に自立して暮らすための健康づくりの推進 先進的な疾病予防の推進や健康管理の充実 富山の資源を活かした健康の増進 「くすりの富山」の伝統を活かした健康づくり 4.2020 年代初頭に期待される富山県の姿 これまでに述べた政策や重点戦略の推進により、概ね 10 年後の 2020 年代初頭に は、以下のような、県民一人ひとりが輝き、幸せを実感しながら働き暮らせる、元 気な富山県の姿が想定され、名実ともに幸福度日本一の県が実現することが期待さ れます。 活力とやま ・ 産学官連携による研究開発が活発に行われ、ものづくり産業や医薬品産業が 力強く本県経済を牽引しているとともに、次世代自動車や航空機など新しい時 代を担う新たな産業や成長性の高い産業が次々と生まれています。また、中小 企業の知恵と技術を活かした新たな事業展開や海外進出が活発に行われてい るとともに、国内外から技術力・競争力の高い企業が数多く進出しています。 さらに、県内企業のニーズに応じた人材育成が行われ、個々人の意欲と能力に 応じた多様な雇用の機会が確保されており、県外で学んだ後に本県にUターン する若者も増えています。 ・ 幅広い世代の人が農林水産業に従事し、良質で安全な県産の農林水産物が安 定的に供給されるとともに、他の産業との連携を深めるなど積極的な経営が展 開されています。また、県民ぐるみで県産品を積極的に活用する気運が醸成さ れ、多くの県民が県産食材を消費しています。 ・ 北陸新幹線や富山空港を利用して、ビジネスや観光など多くの人が行き来し ています。伏木富山港や県内の高速道路網などが整備され、環日本海・アジア 地域の拠点として、国際的な物流、経済交流、海外ビジネス展開が活発に行わ れています。 ・ 地域の個性、魅力があふれ、快適で暮らしやすいまちが形成されており、特 色ある商店街に多くの買物客が訪れるなど中心市街地が賑わいを見せていま す。本県の魅力が多くの人たちから評価され、国内外から多くの観光客が訪 問・滞在しています。また、優れた商品や農林水産物が「とやまブランド」と して全国で知られ、魅力的な県のイメージが定着しています。 未来とやま ・ 仕事と子育てが両立できる職場づくりが進むなど、子どもを生み、育てやす い環境が整備され、良好な環境のもとで子どもや若者が健やかに成長していま す。 ・ 学校、家庭、地域の密接な連携・協力のもと「富山スタンダード」の推進に よる富山県ならではの質の高い教育が行われ、子どもたちの優れた知性、豊か な心、たくましい体が育まれるとともに、自らの可能性、才能や個性を発揮し、 チャレンジ精神を持って未来を切り拓いていく力が身についています。また、 若者をはじめ多くの県民が郷土の歴史や文化などについての理解を深め、ふる さとへの誇りと愛着を持って地域社会や国際社会で活躍しています。 ・ 大学等の高等教育機関を中核として、国内外に誇れる人材育成・学術研究の 拠点が形成されています。また、環日本海・アジア地域などから多くの優秀な 外国人留学生が県内に受け入れられ、県内企業の海外展開や研究開発等を担う 人材として活躍しています。 ・ 芸術文化活動に多くの人が参加し、アジアを代表する舞台芸術の拠点の形成 が進むなど、質の高い芸術文化が創造・発信されています。また、NPO や ボランティアが様々な分野で活発に活動し、新しい公共の担い手の一つとなっ て、地域の活性化に貢献しています。さらに、シニア世代が知識、経験、技能 を発揮し、企業や地域等で活躍するとともに、男女がともに個性と能力を十分 に発揮できる機会が確保され、女性の社会参加が進んでいます。 ・ 富山の誇る自然、歴史・文化などが守られ、これらを活かした地域づくりや 森づくりが行われるなど、豊かで魅力のあるふるさとが創られています。こう した魅力ある地域での暮らしに関心を持ち、大都市圏など県外から定住、半定 住をする人が増えています。 安心とやま ・ 地域の保健・医療・福祉に携わる医師、看護職員、介護従事者などのマンパ ワーが確保され、住み慣れた地域において、質の高い医療サービスや福祉サー ビスを受ける体制が整っています。また、健康づくりへの関心が高まり、がん をはじめとする生活習慣病による死亡率が低下しているとともに、様々な疾病 に対する予防対策が充実しており、多くの人が心身ともに健康な生活を送り、 健康寿命も伸びています。地域では、共生型福祉拠点である「富山型デイサー ビス」がさらに広がりを見せているなど、誰もが自立し、互いを尊重して共に 支え合う共生社会が形成されています。 ・ 多くの県民が気軽にスポーツに親しむことができ、運動習慣が定着していま す。また、スポーツ選手の育成、強化が進められ、多くの本県選手が全国や世 界の檜舞台で活躍しています。 ・ 人と自然が共生し、豊かで美しい自然環境が保全されるとともに、空気、水 がきれいで健康的な生活環境が確保されています。多くの県民の環境意識が高 まり、廃棄物の発生抑制や再利用など、エコライフを実践しています。また、 高低差の大きい地形や全国に誇る包蔵水力を活かした小水力発電など再生可 能エネルギーの導入・活用が盛んに行われてエネルギー源の多様化が進んでお り、安定したエネルギー需給により、県民生活や産業経済活動が安心して営ま れています。 ・ 火災や自然災害などへの十分な備えが整えられており、特に、地震・津波災 害や原子力災害への対策も充実しています。さらに、犯罪や交通事故等の尐な い安全なまちづくりが地域ぐるみで行われるなど、県民の貴重な生命・財産が 守られ、安全・安心な暮らしが確保されており、「日本一安全・安心な県」と しての評価も高まっています。 ・ 県民の身近な足として、公共交通ネットワークが十分利用されているととも に、高齢者や障害者にもやさしい、バリアのないまちが形成されています。 第5章 県政運営の基本姿勢 計画に基づく県づくりを着実に進めるとともに、新しい時代に適応した政策の展 開を図るため、県では、以下の基本姿勢で県政運営を進めていきます。 (1) オープンでわかりやすい県政 (2) 県民の自立と幸せを重視する県政 (3) スピード重視の県政 (4) 現場重視で効率的な県政 (5) 市町村、地域の自立と支援 (6) 「とやまから日本を変える」改革と創造 (1) オープンでわかりやすい県政 ○ 県民が主役の県づくりを進めていくためには、県民をはじめ様々な主体が県 づくりに参画できる開かれた県政を推進することが重要です。 ○ このため、タウンミーティングなど様々な機会を通じて、知事が直接県民と 対話し、共感しながら、ニーズの的確な把握に努め、できるだけその意向を県 政に反映していきます。 また、公正・透明な県政を実現するため、情報公開を徹底するとともに、県 の取組み状況や考え方を広報誌やホームページ等でわかりやすく説明するな ど、県民への広報公聴活動を積極的に行っていきます。 (2) 県民の自立と幸せを重視する県政 ○ 各施策によって県民生活に具体的にどのような効果が生まれるのかを、県民 の目線に立ってしっかりと評価し、県民の自立と幸せの充実への寄与度の大き い施策を重視する県政を進めていきます。 ○ また、多様化する重要課題に対して、県民、NPO、企業の皆さんなどの自 主的な取組みと連携・協力し、それぞれの知恵とエネルギーを結集してその解 決に取り組みます。 (3) スピード重視の県政 ○ 社会経済情勢が大きく変化するなかで、複雑・多様化する県民ニーズに対し て迅速かつ的確に対応していきます。 ○ とりわけ、災害対応や暮らしの安全・安心など、待ったなしの対応が求めら れる重要課題については、知事を先頭に、迅速に意思決定等を行い、総合的か つスピーディに対応できる県政を進めていきます。 (4) 現場重視で効率的な県政 ○ 厳しい財政状況のなかで、県民ニーズに即した行政サービスを提供するため、 県民生活の「現場」に職員自ら足を運んで課題の把握に努めます。 ○ こうした現場の声を予算編成や行政改革等に活かし、施策の選択と集中、事 業の合理化、職員の意識改革などに取り組み、効率的で実効性のある行政運営 を進めます。 (5) 市町村、地域の自立と支援 ○ 広域自治体である県は、自らの広域的機能の一層の充実を図るとともに、魅 力ある地域づくりに向けた市町村や地域住民の主体的な取組み、広域にまたが る住民の生活圏に立脚した市町村間の連携を支援します。 ○ また、県と市町村が適切な役割分担のもとに、相互に連携協力しながら、県 全体として一体感のある効率的かつ効果的な質の高い行政を進めていきます。 (6) 「とやまから日本を変える」改革と創造 ○ 県民生活の現状や将来展望を踏まえ、とやまの未来を切り拓くための新たな 政策の企画立案・実行に邁進することはもとより、様々な機会・手段を通じて、 国に対し、県民の自立と幸せ、県勢発展のための政策提言や要望を積極的に行 い、国全体の制度や政策について改革を求めていきます。 ○ また、東日本大震災の教訓を活かした新しい日本社会の構築が進められるな かで、本県としてもこれに積極的に貢献するとともに、富山県から日本を変え る気概を持って、これからの時代にふさわしい新しい県づくりに取り組んでい きます。 第6章 計画の実効性の確保と推進 1.計画の実効性の確保 (1) マネジメントシステム活用による実効性確保 ○ 県では、「元気とやま創造計画」の策定とともに、計画の実効性を確保するた めのマネジメントシステムを確立させ、PDCAサイクルによる政策目標の達成 状況の継続的な検証や必要に応じた施策の見直しを行ってきました。 ○ この計画の推進にあたっても、計画、実行、評価、改善のPDCAサイクルに よる現在のマネジメントシステムを踏襲して計画の実効性を確保していきます。 評価方法などマネジメントシステムについては、より効果的、効率的な手法とな るよう、必要に応じて改善を行っていきます。 (PDCAサイクルの図) 企画立案 Plan 行政運営の 改 善 Action マネジメント サイクル 評 実 施 Do 価 Check (2) 計画の弾力的な推進、見直し ○ 計画に掲げた政策については、マネジメントシステムなどによって評価及び必 要に応じた改善等を行いながら、社会経済情勢の変化にも柔軟に対応した取組み を展開していきます。また、計画策定後において、社会経済情勢が大きく変化し た場合には、必要に応じて弾力的に計画を見直すこととします。 2.計画の推進 ○ 本計画の推進にあたっては、県や市町村といった行政のみならず、地域の団体 やNPO、企業、そして一人ひとりの県民など様々な主体が、それぞれの個性や 特徴に応じた役割をしっかりと担い、知恵とエネルギーを結集して、「全員参加」 により取組みを進めていく必要があります。 ○ また、地方分権の時代のなかで、広域自治体である県と住民に身近な基礎自治 体である市町村は、適切な役割分担のもと連携・協働を一層深めるとともに、県 域を越えた課題に対しては、他の自治体・地域と積極的に広域的連携を進め、と もに発展していくことを目指していきます。 <各主体が役割を担い、総力を結集した県づくり> 県民 ・ 県づくりの主役。 ・ 各自でできることは自らの努力で行う。 ・ 自立の心を持つとともに、社会的役割を自覚し、様々な分野 で自らの能力や可能性を最大限に発揮。 ・ 思いやり、助け合いの精神を育み、地域社会の一員として、 地域のための様々な活動に主体的に参加・協力。 など 地域の団体、NPOなど 企業・事業者 知恵とエネルギーの結集 ・ 各団体の目的や特徴に応じ、地域ニーズ に対応したきめ細かなサービスを提供。 ・ 地域づくり、社会貢献などのための県民等 の参画・協働の「場」。 ・ 共通の課題等に対するネットワークの形成、 地域の絆の形成等を通じ、地域社会づくりを 推進。 など 県民が将来に夢と希望 を持っていきいきと働き、 安心して暮らせる富山県 の実現! ・ 自らの事業活動の展開を通じ、多様なモ ノ・サービスの提供や地域の雇用の創出を 行い、地域の経済・社会の持続的な発展、 豊かな県民生活の実現に貢献。 ・ 地域社会の一員として、他の主体と協働し た取組みや従業員の社会貢献活動の支援 等を通じ、積極的な地域貢献を展開。 など 行政 ・快適な県民生活、地域の発展を支えるための基礎的な基盤、環境の整備 ・県民等の活動に必要な支援 など 県 広域的な行政サービスを展開 (社会資本整備、産業・雇用政 策、教育、防災、環境保全 等) 市町村 基礎自治体として、住民に密接 な行政サービスを展開 連携・協働 (福祉、消防、義務教育、まちづ くり、水道 等) 県域を越えた広域的連携 他県・他市町村など 環日本海・アジアの各国・地域など ① 県民の参画と協働 ○ 尐子高齢化の進展やライフスタイルの変化等により、県政の課題や県民のニ ーズは多様化・複雑化してきていますが、一方で、本県の財政を取り巻く環境 は厳しさを増しています。 これからの県づくりにあたっては、県、市町村、地域の団体やNPO、企業、 そして県づくりの主役である県民一人ひとりが、自らの役割を認識しつつ、積 極的に参画することが不可欠です。 ○ また、本県では、これまでも自治振興会、老人クラブ等の地域的な団体や消 防団の活動などが大変活発に行われてきましたが、急速に進む尐子高齢化・人 口減尐や東日本大震災の発生等を踏まえ、あらためて人と人がつながる地域コ ミュニティの役割の重要性が認識されています。 県民の参画はもとより、地域の支え合いや、様々な主体が公共の担い手とな る「新しい公共」など、地域社会における優れた基盤を大いに活かした「共助」 の果たす役割への期待も高まっています。 ○ このため、本計画の推進にあたっては、県民等とのパートナーシップにより、 県民各自でできることを自らの努力で行う「自助」、地域住民同士の助け合いや、 住民、企業、団体、行政など様々な主体が協働して行う「共助」、これらを補完 する形で行政が行う「公助」を、それぞれの課題・ニーズに応じて適切に組み 合わせて対応していくことが重要であり、こうした県内の各々の主体の持つ力 を幅広く結集しながら、総合的な地域力を発揮する県づくりを行っていきます。 ○ この計画の「基本計画編」では、それぞれの基本政策ごとに、県が取り組む 主要施策を記載するとともに、県民をはじめ、NPO、企業など地域社会を構 成する主体に期待する役割を明示し、互いに力を出し合い、協働しながら目標 の達成に取り組むこととしています。 ② 市町村との連携等 ○ 本格的な尐子高齢化・人口減尐時代やさらなる地方分権の時代を迎えるにあ たり、住民に最も身近な基礎自治体である市町村は、独自の創意工夫による地 域づくりや多様化した住民ニーズへの対応など、これまで以上に重要な役割を 果たすことが求められています。 ○ 市町村は基礎的自治体として、福祉や消防、義務教育、まちづくり、水道、 一般廃棄物処理など、住民に密接なサービスを一層充実していく一方で、県は、 広域自治体として産業政策や雇用の確保、広域的な社会資本整備、教育等の人 づくり、環境保全や防災対策といった広域的な行政を担うとともに、適切に市 町村を支援、補完する形で、互いに連携協力しながら、県づくりを進めていく 必要があります。特に、医療提供体制や並行在来線の問題など、県と関係市町 村との緊密な連携のもとで進めなければならない重要政策課題も、近年、多く 生じています。 ○ この計画の推進にあたっては、どのようにしたら県民生活に最大限の成果を もたらすことができるか、また、各地域の特色、魅力をいかに発揮させて県全 体としてバランスのとれた発展を図っていくかという視点に立ちつつ、分権型 社会を共に担っていく地方自治体として県と市町村が適切に役割分担を図り、 互いに連携・協働しながら、政策目標の達成に向けて取り組んでいきます。 <市町村、県、国の役割分担> (※地方自治法第 1 条の 2、第 2 条の規定を踏まえて整理したもの) ③ 県境を越えた広域的連携 ○ 本県は、環日本海の中央部に位置し、三大都市圏とほぼ等距離にあるなど、 地理的優位性を有しています。また、日本海側随一の工業集積を持ち、豊かな 自然、清らかな水、伝統文化など多彩な魅力を有するとともに、地震等の自然 災害や火災・犯罪が全国的にも尐ない安全な県であり、日本の発展をリードす る大きなポテンシャルを秘めています。 ○ 一方で、経済活動や人的交流が県境や国境を越えて活発になる中で、行政に おいても様々な課題に対して、周辺自治体等と協力関係を築き、各々の個性を 活用・連携させながら広域的な取組みを展開していくことが求められています。 ○ 本県では、これまでも観光圏などの広域観光の推進、北陸新幹線に関する諸 課題への対応、ほくりく健康創造クラスターなどの先端的な研究開発の取組み、 環日本海地域における環境問題への対応など、周辺の県や環日本海沿岸諸国と の連携を図りながら取組みを進めてきましたが、東日本大震災の発生に伴う被 災地の復興支援や地震災害・原子力災害等への対策など、これまで以上に近隣 県等と協力しながら取り組むべき重要な課題も生じています。 また、この大震災により、国全体としてのリスク分散やバックアップ体制の 必要性の観点から、あらためて日本海側の機能充実の重要性が認識されている ところです。 ○ このため、この計画の推進にあたっては、引き続き、富山県の優れた基盤を 活かしつつ、近隣県はもとより、中部圏や日本海側沿岸県、環日本海・アジア 地域などと、県境や国境を越えたネットワークを形成・強化し、各分野での広 域的な取組みを充実するなど連携協力を進めて、ともに発展・共存していくこ とを目指していきます。 また、地方分権や社会保障制度などの国政の改革にあたっては、地方の声を 十分に反映させる必要があることから、全国知事会等との連携のもと、地方が 結束し、地方の立場からの提言等を国に対してしっかりと行っていきます。 ○ なお、広域行政課題への対応に関連して、道州制の導入に関する議論もある ところですが、これについては、中央政府を含めて国の形をどのようにするの か、道州間の税財政調整制度をどうつくるのか、また、住民との距離が遠くな るといった住民自治の観点からの問題をどのように考えるのかなど、導入のメ リット・デメリットを十分に検討し、国民的な議論を行っていく必要があり、 こうした議論の推移に応じて適切に対応していきます。
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