研究課題名 ジャージー種の乳量・乳成分の現状把握 予 算 区 分 研 究 期 間 研 究 目 的 全 体 計 画 研 究 対 象 県 単 新 規 (平成20年度) 担 当 協 力 関 係 経営開発部企画情報科 大家畜部 酪農飼料科 真庭農業普及指導センター 岡山県におけるジャージー種の平均乳量は、平成5年以降6,000kg台で推移してい るが、近年、個体差が著しく大きくなっているのが現状である。また、脂肪率を見て みると、平成6年以降除々に減少し、現在は4.8%程度となっている。乳成分の正常 範囲、問題となる水準が明らかにされているホルスタイン種と比べ、ジャージー種に は該当する数値があまりなく、農家指導に苦慮している状況にある。 そこで、ジャージー種の乳量・乳成分の現状を把握する。 1 ジャージー種の乳量・乳成分の現状把握 (1)牛群検定データの整理 (2)乳量・乳成分の現状把握 2 乳量・乳成分水準と繁殖障害・疾病発生リスクの関係 (1)乳量・乳成分と繁殖障害の関係 (2)乳量・乳成分と疾病発生リスクの関係 乳牛 専 門 部 門 飼養管理 本年度試験のねらい 1 ジャージー種の乳量・乳成分の現状を明らかにし、疾病・繁殖障害の減少を図る。 試験1 ジャージー種の乳量・乳成分の現状把握 キーワード……ジャージー種、乳量、乳成分 (時 期) 4月∼9月 (試験期間:180日) 〈試験の内容〉 牛群検定データから、ジャージー種の乳量・乳成分曲線を描き、現状を把握する。 1 牛群検定データの整理 家畜改良事業団から送付されている牛群検定データ(四半期データ)をエクセルファイルに変 換し、ジャージー種個体ごと・産次ごとのデータにまとめる。 2 適性乳量・乳成分の把握 上記データから、産次ごとの乳量・乳成分曲線を描くとともに、標準偏差を元に現状を把握す る。 試験2 乳量・乳成分水準と繁殖障害・疾病発生リスクの関係 キーワード……ジャージー種、乳量、乳成分、繁殖障害、疾病発生リスク (時 期) 10月∼12月 (試験期間:90日) 〈試験の内容〉 繁殖障害や疾病発生リスクの少ない乳量・乳成分水準を明らかにする。 1 乳量・乳成分と繁殖障害の関係 試験1のデータを元に、産次ごと・分娩間隔ごとに乳量・乳成分曲線を描き、乳量・乳成分と 繁殖障害との関連を明らかにする。 2 乳量・乳成分と疾病発生リスクの関係 試験1のデータを元に、泌乳初期の疾病状況ごとに乳量・乳成分曲線を描き、乳量・乳成分と 疾病発生状況との関連を明らかにする。 - 29 - 既往の成果 1 牛群検定成績を利用した分娩間隔、生乳生産に関する検討(岡山県総畜セ研報第15号) 平成7年から14年の検定成績のうち、57,815頭の終了牛に関する成績を利用して、分娩間隔及 び305日乳量などを比較検討した。 (1)平成7∼9年(前期)と10年∼14年(後期)を比較すると後期は前期に比べ305日乳量及び濃厚 飼料給与量が増加した。また、飼料効果が減少し平均産次数は増加した。 (2)分娩間隔と関連性の高い搾乳期間を見ると451日以上の長期のものが増加し、とりわけ551日 以上のものが最近増加している。これが、分娩間隔を延長させている要因と考えられる。 (3)分娩時期と分娩間隔の関係では、7∼9月分娩が最も短く,3∼5月が長くなっている。一 方、分娩間隔と305日乳量の関係では、分娩間隔の長い時期が有意に多く、平均176kgの差が あった。 2 ホルスタイン種の泌乳曲線の特徴(福岡県農総試研報C(畜産)第18号) 北部九州における産次別及び分娩季節別の泌乳曲線の特徴を明らかにした。 (1)産次別では、初産次は、最高日乳量及び305日乳量が最も少なく、泌乳ピーク以降の乳量低 下が最も緩やかであった。最高日乳量及び305日乳量は、4産次が最も多く、その後の産次で 漸減した。 (2)分娩季節別では、1∼3月分娩は最高日乳量が他に比べて多く、泌乳ピーク以降の乳量低下 が急であった。4∼6月分娩は最高日乳量が少なく、泌乳ピーク以降の乳量低下が緩やかであ った。このような泌乳曲線のパターンの違いは、305日乳量水準が9,000kg以上の高泌乳牛にお いて顕著であった。305日乳量に対する分娩季節の影響は、305日乳量水準が7,000、8,000kg台 の乳牛においては極めて小さかった。 3 繁殖成績と乳生産との関係(山形県農研研セ畜研研報第48号) 本県での牛群検定加入頭数は、1,300頭程度いる。平成12年に検定を受けた牛、延べ頭数 15,600頭を繁殖状態により受精牛と未受精牛に分け、それらの乳成分の特徴を調査した。 (1)乳量をみると、受胎牛では分娩後日数が経過しても35kg前後であるのに対し、未授精牛では 分娩後日数とともに減少し、特に分娩後110∼130日では乳量に有意な差が見られた。 (2)乳脂率をみると、受胎牛では分娩後日数の経過とともに高くなる傾向が見られたのに対し、 未授精牛では泌乳初期から高く期間中を通じて4%弱であり、分娩後50∼90日で有意な差が見 られた。 (3)乳タンパク質率/乳脂率(P/F値)は、分娩後50∼90日では両区に特徴的な違いがみられ、 受胎牛では、0.85∼0.9に分布するのに対し、未受胎牛は、0.85以下に分布した。 期待される効果 1 ジャージー種の乳量・乳成分の現状が明らかになるとともに、繁殖障害・疾病の減少が図られ る。 2 得られた成績を、現地での指導資料として利用する。 年度スケジュール 4月 7月 10月 1月 試験1 牛群検定データの整理 適性乳量・乳成分の把握 取りまとめ 試験2 疾病データの収集 - 30 - 関連性の分析 取りまとめ 3月
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