シスコのQoSソリューションによるOracle Applicationsの - Cisco

Report
レポート
シスコの QoS ソリューションによる
Oracle Applications のパフォーマンス確保
図 1:128Kbps の回線経由で実行する Oracle Applications のテスト
結果
シスコシステムズとオラクル社では、シスコによるインテリ
ジェントネットワークサービスであるQoS(Quality of Service)
とポリシー管理を使って Oracle Applications のユーザーに優先
的なネットワークアクセスを与えた場合の効果について調査しま
した。CiscoAssure ポリシーネットワーキングは、QoS やポリ
シーベースの機能を統合したインテリジェントなネットワーキン
グデバイスによって構築され、ビジネスに不可欠なアプリケー
ションに対して優先的なサービスを提供します。
今回のテストで
使用したシスコ製品には、ルータおよびスイッチ、Cisco IOS® ソ
フトウェア、Cisco QoS Policy Manager(QPM)などがありま
す。QPM は、ポリシーの実装に使用しました。
シスコとオラクル社の共同テスト・ラボに構築したテスト用
ベンチマークの要約
ネットワークでは、小さなブランチオフィスのローカルエリア
●
ネットワーク(LAN)を企業本部のバックボーンに接続するため
の低速ワイドエリアネットワーク(WAN)リンクをシミュレー
シスコの QoS ソリューションは、複数のアプリケーションに
よって共有されている低速度のWANリンクを経由するOracle
●
トしています。今回は、異なるポリシーを設定した状況でテスト
Applications のパフォーマンスを大幅に改善しました。
他のアプリケーショントラフィックのために非常に混雑してい
するために、3つのテスト手順を用意しました。図 1 には、
128Kbps でテスト実行した結果をまとめます。これらの結果は、
るテスト回線を使って、Oracleのトランザクション完了時間を
重要性の低い対話型アプリケーションや突発的な H T T P
測定しました。ポリシーの実装によって、トランザクション時
間が 100%以上削減されました(図 1 参照)
。
●
●
●
重要度の低いアプリケーションのスループットを抑えることに
(Hypertext Transfer Protocol)のWebトラフィックなどが存在
する場合、シスコQoSソリューションを使用することにより、ア
より、Oracle Applicationsのストリームに対して優先順位の高
いアクセスを提供できました。
プリケーションのパフォーマンスを大きく改善できることを示し
ています。
特定のOOracle Applicationsモジュールのユーザーに対して優
テスト手順A、B、Cそれぞれについて、基本シナリオ、輻輳時
先的なサービスを提供できるという結果が出ました。
ベンチマークで使われた QoS ポリシーの実装と追跡は、Cisco
のシナリオ、およびQoSポリシーを実装した場合のシナリオの3
つを設定しています。基本シナリオでは、Oracle Applications以
QoS Policy Manager を使って簡単に設定できました。
外のトラフィックがなく、
ポリシーが実装されていない状態でパ
ルータやスイッチを通るトラフィックが回線の帯域幅を超えて
フォーマンスをテストします。輻輳時のシナリオでは、他にもト
ラフィックが存在する状態で、ポリシーを使用しない場合の
しまうようなときには、
ポリシーの設定によってトラフィックの
種類ごとに異なるサービスレベルを提供します。これらのポリ
Oracleのパフォーマンスをテストします。このシナリオは、QoS
ポリシーの効果を調べるための基準となります。
またテスト手順
Cの場合、基本シナリオではOracleクライアントストリームの集
シーを設定すると、ユーザーによって指定された優先ルールにし
たがって、
ネットワークデバイスのキューにあるパケットに優先
順位が付けられたり、輻輳時に重要ではないパケットが廃棄され
まりだけであるのに対して、
ポリシーを実行した場合には他のト
ラフィックよりも優先されるために、基本シナリオよりもポリ
シーを実行した場合の結果のほうが早いように見えます。
たりします。
図 1 に示されている通り、各テスト手順では、QoS ポリシーを
使ってビジネスに必要不可欠なアプリケーションを保護すれば、
基本シナリオにかなり近いパフォーマンスを達成することができ
ました。
-1-
Cisco QoS Policy Manager について
結果
サービスの優先
Cisco QPM(QoS Policy Manager)は、QoS ポリシー管理の
ためのシステムで、
企業ネットワークにおけるQoSポリシーの複
テスト手順 A では、使用率の高い WAN リンクで QPM を使う
雑な構成と配備を簡素化します。
●
ことにより、重要な Oracle トラフィックを HTTP トラフィック
よりも優先させました。テストは、64Kbps、128Kbps、および
集中化されたポリシー制御
256Kbps の 3 つの速度の WAN リンクを使って、Oracle のネット
GUIによって簡単に設定することができます。QPMを使って、
QoSの構成、修正、および配備を管理することにより、デバイ
ワーキングアプリケーションプロトコルとQPMのクラス分けオ
プションの互換性についての確認も行われました。
スごとの設定が必要なくなります。
●
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●
●
帯域幅に対する負荷を最大限に高めるように、
Oracleのクライ
アプリケーショントラフィックに対する差別化サービス
アプリケーションのサービスレベルを差別化するためのトラ
アント/サーバトラフィックと HTTP トラフィックのストリー
ムの数を、
リンク速度に合わせていろいろに変化させて使ってい
フィックのクラス分けとQoSのポリシー設定を簡単にします。
ます。図 1 に示した基本シナリオの場合、5 つの Oracle ストリー
QoS ドメイン構成
インタフェースをインテリジェントにグループ分けして、ポリ
ムを使用しています。また、輻輳時とポリシー適用時のシナリオ
では、5 つの Oracle ストリームのほかに、5つの対話型ストリー
シードメインごとにQoSメカニズムを選択して実行できます。
ムと2つのHTTPストリームも混在させています。このテストの
包括的な QoS 機能のサポート
充実した輻輳管理、輻輳回避、およびトラフィックシェーピン
結果、どのリンク速度でも同じようなパターンが認められたの
で、
以降のテストでは128Kbpsのリンクのみを使うことにしまし
グのサービスを提供し、Cisco IOS®ソフトウェアとデバイスが
た。また、Cisco IOS ソフトウェアのさまざまな QoS テクニック
持つQoS機能を活用します。
信頼性の高いポリシー配備
を適用してその効果を検査しましたが、最も効果的だったのは、
カスタムキューイング(CQ)テクニックであったため、以降のテ
ポリシーの妥当性検査、構成変更のプレビュー、ACLの部分的
ストでは主にこのテクニックを使用しました。CQ には、最初に
な更新、ジョブ制御といった機能により、QoSポリシーを確実
にネットワーク装置に配備できます。
保守的な設定を行い、後から徐々に厳しい設定を実行していく、
便利な“ダイヤル”機能があります。
Web ベースのレポート
Oracleのトランザクションの完了にかかる時間は、ポリシーを
Webベースのレポートにより、QoSポリシーの配備や状況を表
示したり、分析したりできます。
適用しなかった場合では、基本シナリオから平均で50%から200
%以上も増加したのに対して、ポリシーを適用した場合では、平
デバイスと Cisco IOS リリースの包括的なサポート
均で 10%しか増加しませんでした。なお、この場合の平均値と
Cisco 2500、2600、3600、4000、4500、4700、7100、7200、お
よび7500シリーズのルータ、Catalyst® 5000、Catalyst 8510、
は、64Kbps、128Kbps、および256Kbpsのそれぞれの場合のテス
ト結果の平均としています。
およびLocalDirector V.3.1.1用のRSMなどをサポートします。
また、Cisco IOSのリリース、11.1、11.2、11.3、12.0、11.1ccを
●
テスト手順 B では、リンクの速度は 128Kbps を使用し、CQ テ
サポートします。
クニックを適用しました。ここでは、TCP/UDP ポートのクラス
分けを利用して、
対話型アプリケーションとHTTPトラフィック
CiscoWorks2000 との統合
ポリシー設定をResource Manager Essentials 2.0からデバイス
のストリームのどちらよりも、
Oracleトラフィックを優先させる
にインポートすることによって、ポリシー実施に関する設定に
ようにしました。基本シナリオでは、5 つの Oracle ストリームを
使用しています。また、輻輳時とポリシー適用時のシナリオで
かかる時間を短縮できます。CiscoWorks2000を使えば、Web
ベースのレポートを見ることもできます。
は、5 つの Oracle ストリームのほかに、5つの対話型ストリーム
と 2 つの HTTP ストリームも混在させています。
図 2 から図 4 は、テスト手順B の結果です。これらのグラフは、
QPM の画面例
各トラフィックの種類ごとに、
一連のトランザクションの完了に
かかった時間を示しています。この結果から、QPMを使ってCQ
ポリシーを設定することによって、
異なる種類のトラフィックに
対して異なるサービスレベルを提供できることが分かります。
な
お、このテストでは、Oracle のトラフィックが最優先され、他の
アプリケーションのトラフィックには中位の優先順位、
HTTPト
ラフィックには下位の優先順位が割り当てられています。
図 2 は、3 種類のトラフィックストリームすべてについて、そ
のスループットを時間を軸に表示したものです。
グラフを見ても
わかるように、
3種類のトラフィックがすべて存在する場合には、
優先されている Oracle のストリームが最も高いスループットを
達成しています。Oracle ストリームが送信を行っていない場合
は、
対話型アプリケーションのストリームがHTTPトラフィック
よりも優先されています。
-2-
Report
図 2:3 種類のアプリケーションストリーム --- カスタムキューイ
ングを適用して QoS を設定し、Oracle トラフィックには高い優先
順位、会話型トラフィックには中程度、HTTP には低い優先順位を
割り当てています。
テスト手順 C では、IP アドレスによってトラフィックを分類
し、ある Oracle クライアントを他の Oracle クライアントのスト
リームやHTTPトラフィックよりも優先させています。このテス
トでは、128Kbps のリンクを使い、CQ ポリシーテクニックを適
用しました。基本シナリオでは、6 つの Oracle ストリームを使用
し、輻輳時とポリシー適用のシナリオでは、6 つの Oracle スト
リームと 2 つの HTTP ストリームを使用しました。ただし、6 つ
のOracleストリームのうち、1つのクライアントのトラフィック
を残り5つのクライアントのトラフィックよりも優先するように
しています。
図 5 から図 7 までのグラフは、これらのテスト結果で、トラ
フィックの種類ごとに一連のトランザクションの完了までにか
かった時間を示しています。図 5 と図 6 はポリシー適用前の結果
を示しており、図7は特定のユーザーあるいはユーザーグループ
のトラフィックを他のトラフィックよりも優先させるようにポリ
図 3:2 種類のストリーム --- 他のトラフィックが同じ回線上に存
在する場合、QoS を適用しない Oracle Applications よりも、QoS
ポリシーを適用した Oracle Applications のほうがスループットが向
上しています。
シーを設定した場合になっています。これらの図では、優先され
た1つのクライアントをクライアント B、残りの 5 つのクライア
ントをクライアント A として示しています。
図 5:Oracle 以外のトラフィックがなく、ポリシーを提供しない場合
図 4:QoS ポリシーの適用によって、HTTP のスループットは低下
しています。
図 6:ポリシーを適用しなかった場合の HTTP トラフィックが
Oracle ストリームに与える影響
図 3 と図 4 はどちらも、優先順位の違いによって、トラフィッ
クスループットがどのように変化するかを示しています。図3で
図 7:1つのクライアントの Oracle ストリームを他のトラフィック
より優先させるようにポリシーを適用した場合
は、Oracle トラフィックに対する効果が焦点となっています。
HTTPトラフィックやその他のアプリケーションのトラフィック
が存在するため、これらのストリームが結果に影響を与えている
はずですが、グラフには現れていません。この図は、ポリシーを
適用すると、
ポリシーを適用しなかった場合に比べてOracleのス
ループットのレベルが常に高くなることを示しています。図4は、
Oracleに大きな優先度のポリシーを適用したとしても、HTTPト
ラフィックが通れなくなるわけではないことを示しています。こ
の場合も、Oracle以外のアプリケーションのストリームが存在し
ているので、これらのストリームが結果に影響を与えているはず
ですが、グラフには現れていません。
-3-
図 8:輻輳問題 --- バックグラウンドのトラフィックが優位に立っ
てしまいます。
図 5 は、HTTP トラフィックがなく、ポリシーも適用しなかっ
た場合の Oracle クライアントストリームのパフォーマンスを示
しています。どちらのクライアントとも、トランザクションは92
秒以内に完了しています。図 6 では、HTTP トラフィックを追加
して、ポリシーを設定しない場合で、どちらのOracleトラフィッ
クともパフォーマンスが落ちていることが分かります。
トランザ
クションの完了にかかる時間は、
どちらも160秒に増えています。
図 7は、1つのクライアントの Oracle トラフィックを他の 5 クラ
イアントよりも 2 倍優先させることによる効果を示しています。
優先させたクライアントのOracleトラフィックは、他の5つのク
ライアントの Oracle や HTTP のストリームよりも高いスルー
プットを示しています。優先させたクライアントの Oracle スト
リームが存在しないときには、
5つのクライアントのOracleスト
リームがHTTPトラフィックよりも優先されます。
今回のテスト
結果では、
優先させたクライアントのトランザクション時間は約
71 秒であり、他の5つよりも 30 秒短く、ポリシーを適用せずに
クライアントが1つだけのトランザクション時間よりも約 90 秒
も短くなっています。
3つのテスト手順は、Cisco QoSソリューションが、Oracleネッ
分析
トワークでの輻輳問題を解決するかどうかを調べるために行われ
ました。テストでは、さまざまなQoSテクニックが使われました。
その結果、今回の条件ではCQが最も効果的なテクニックであっ
QPM によって Cisco IOS の QoS 機能と QoS ポリシーを設定す
れば、重要度の高くないトラフィックのために低速度のWAN帯
たため、ここでは他のテクニックの詳細については触れません。
域幅が使われて、
ビジネスに必要不可欠なアプリケーションのパ
また、このテストを行った時点では Cisco IOS V.12.0.5 がまだリ
リースされていなかったため、CBWFQ(Class-Based Weighted
フォーマンスが低下してしまうことがありません。
Oracle や対話型のアプリケーションと、バッチや HTTP のよ
Fair Queuing)についてのテストも行われていません。このテク
うなバースト性アプリケーションの両方をサポートするWANリ
ニックは CQ を上回る結果を残せる可能性を持っています。CQ
テクニックが選択された理由の1つは、強固な規制を実行でき、
ンクでは、
重要な対話型アプリケーションのパフォーマンスを確
保することが非常に困難です。ここでの問題は、バッチやバース
対話型の Oracle ストリームを効果的に優先させることができる
ト性のトラフィックを生成するアプリケーションが、
可能な限り
からです。Oracleトラフィックフローのバーストの頻度、バック
グラウンドトラフィックの状況、
応答時間の改善目標といった環
多くの帯域幅を使用するように設計されている点にあります。
こ
れらのアプリケーションは、多くの場合、低速度の WAN リンク
境の違いによっては、他のQoSテクニックの方が適している場合
のほとんどの帯域幅を消費してしまいます。
もあります。
企業においてアプリケーションのトラフィックに優先順位付け
一方、重要なクライアント/サーバトラフィックは、トラ
フィックのバーストが少なく、
そのためにキューに入るパケット
を行う場合は、重要なアプリケーションを優先するために、重要
の数も少なくなります。キューのなかに何もない時には、HTTP
でないアプリケーションが犠牲になるのは仕方がありません。し
かし、特定のトラフィックを大きく優先するからと言って、バッ
のようなバースト性のトラフィックが帯域幅を占領してしまいま
す。したがって、クライアント/サーバのトラフィックの送信が
クグラウンドのトラフィックを極限まで抑える必要はありません。
必要になったときには、
これらのアプリケーションのトラフィッ
例えば、
小さなリモートオフィスの対話型アプリケーションの優
先度を上げたとしても、
重要度の低いバースト性のトラフィック
クと競合することになります。その結果、輻輳が発生し、対話型
トランザクションで実行されるクライアントとサーバとのパケッ
やバッチのトラフィックを完全に排除してしまう必要はないので
ト交換が遅れ、
対話型アプリケーションのユーザーにとって大幅
す。実際にテストでは、Oracle トラフィックの CQ 帯域幅をリン
クの 95%に設定し、他のトラフィックの CQ 帯域幅をリンクの 5
なパフォーマンス低下となります。図 8 は、種類の異なるトラ
フィックの帯域幅に対する競争の問題を示しています。
%と設定しても、
HTTPスループットは一貫して利用可能な帯域
幅の50%以上になっていました。つまり、QoSポリシーを適用す
るときには、
事前にOracleストリームとその他のアプリケーショ
ンのストリームの両方を、慎重に分析する必要があります。
-4-
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また、サービス差別化ポリシーを適用するためには、その前
コのクラス分け機能との完全な互換性が確認されました。
これら
に、アプリケーショントラフィックを適切に分類しておくことが
重要になります。アプリケーションのパケットは、デバイスのイ
のテスト結果は、QoSポリシーを使えば、非Oracleトラフィック
や他の Oracle ストリームと競合してしまうすべての Oracle スト
ンタフェースに入る際に検査され、
パケットのトラフィッククラ
リームを優先できることを示しています。
スとインタフェースのポリシーが一致するかどうか確認されま
す。この2つが一致したときにのみ、ポリシーが適用されます。
つまり、細かな優先の指定を利用すれば、大規模 Oracle エン
タープライズのなかで、
最も重要なOracleトラフィックだけを優
このため、テストの際にOracleポートのクラス分け機能の検査も
先することもできます。
行われました。検査の結果、レイヤ 4 ポートの範囲に基づくシス
図 9:ラボに構築されたテスト用ネットワークの構成
テストの構成と方法
を発生させるために使われました。別のテストでは、Cisco 7200
の代わりに Cisco 3600 を使用して、CPU の使用率に対するポリ
図9に示してあるテスト用ネットワークは、
Oracleのパフォーマ
ンスに対する QoS ポリシーの効果を測定するために作られまし
シーの影響を調べました。これらのテストでは、CPUの使用率の
増加は見られず、パフォーマンスはCisco 7200を使用した場合と
た。低速度のフレームリレー回線は、Cisco 4000シリーズのルータ
同じでした。
とAdTech遅延シミュレータが使われています。リモートオフィ
スの LAN と本社の LAN につながっているルータは、Cisco 4000
テストのために使用したアプリケーションストリームは、リ
モートオフィスと本社の間での忙しい時間帯のトラフィック負荷
を通じてフレームリレーのPVC
(Permanent Virtual Circuits)に
を再現するように設計されています。オラクル社は、頻繁に使用
マップしています。ここでAdTechには、20ミリ秒の遅延を設定
しています。これは、1000マイル離れた場所での転送にかかる遅
されているOracleトランザクションを含んだLRスクリプトを提
供してくれました。競合するトラフィック負荷を作成するため
延に相当します。Qos クラス分けポリシーは、Cisco 7200 上に実
に、
帯域幅を大量に消費するHTTPダウンロードやその他の対話
装しました。
リモートオフィスの LAN には、2 つの Mercury Interactive
型アプリケーションのトランザクションも使いました。
各帯域幅の設定において、輻輳を生成するのに必要なアプリ
LoadRunner(LR)ワークステーションが接続されています。1つ
ケーションストリームの数を判断するため、
予備的なテストも行
のLRは、本社のLANに接続されたアプリケーションサーバに対
して複数の Oracle トランザクションストリームを発信するため
いました。このテストでは、まず最初に、パフォーマンスを劣化
させない範囲で、
サポートできるOracleストリームの最大値を調
に使いました。Oracle Applications サーバと Oracle データベー
べました。次に、その他のアプリケーションストリームを含めた
スの間でのバックエンドトラフィックは、Catalyst 5500スイッチ
につながった本社のローカルネットワークを移動します。2 つめ
の LR ステーションは、リモートオフィス LAN と本社の LAN の
テストを実行しました。Oracle以外のストリームの数は、フレー
ムリレーの帯域幅の使用率が100%になるまで、徐々に増やして
間に、HTTPやその他の会話型アプリケーションのトラフィック
いきます。
-5-
QPM を使ったポリシー管理
利点
テスト用ネットワークのポリシーの作成と配布には、Cisco
●
QPM を使いました。パスを共有する他の全てのアプリケーショ
シスコQoSソリューションを実装すれば、ブランチオフィスや
ホームオフィスのOracleユーザーに対して、信頼性の高いアク
ンのニーズを考慮するには、
アプリケーションが利用する経路の
エンドツーエンドで一貫したQoSポリシーを適用する必要があり
●
セスを提供することができます。
QoSポリシーをうまく計画して実装すれば、高価なワイドエリ
アネットワークの帯域幅の使用を最適化して、
インフラストラ
ます。これまでは、企業のネットワーク管理者は、エンドツーエ
ンドで一貫したポリシーを作成して維持するのが困難だという理
由から、QoSポリシーの配備に消極的でした。QPMでは、各ネッ
●
クチャに対する投資を保護します。
Cisco QPMを使えば、複雑な企業ネットワークにでも、効果的
な QoS ポリシーの作成と管理を行うことができます。
トワークデバイスごとにコマンド行インタフェースを使ってコマ
ンドを入力するわけではないので、
作業を単純化することができ
ます。さらに、QPMでは、全てのネットワーク装置に実装されて
結論
いるポリシーをグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を
通して見ることができます。そのため、エンドツーエンドで一貫
したポリシーを適用することがより容易になります。
シスコ QoS ソリューションは、ネットワーク管理者が可用性
の高いOracle環境を作り上げる際に役に立つツールのセットを
結果の信頼度を上げるために、テストは複数回実行され、各テ
提供します。QoSをうまく計画して実装し、アプリケーションの
スト構成の確認が行われました。パケット追跡のキャプチャ、ス
クリプト完了時間の記録、およびスループットの測定は、光通信
パフォーマンスの変化を慎重に監視すれば、
かなりの制御ができ
ます。
のアプリケーション専門化チームによって行われました。
QoSを実装する際には、その前に、リンクを共有する全てのア
テストの最初では、他のアプリケーションのフローを緩やかに
規制するようにポリシーを構成しておき、
徐々にOracleのフロー
プリケーションについて、
アカウント管理と分析を行う必要があ
ります。
Oracelとその他のアプリケーショントラフィックについ
を増やすように修正していきます。
ポリシーが実行する規制の度
て、ビジネスにとっての重要度、フローの特性、ネットワークの
合いは、Oracleのトランザクション時間が目標値に達するか、あ
るいはその他のアプリケーションのパケット損失が不適切なレベ
遅延に対する許容範囲、トラフィックの量、および平均パケット
サイズなどを綿密に調べるようにしてください。QoSを設定する
ルを超えるまで厳しくしていきました。
ときには、
重要度の低い非Oralceトラフィックに対する抑制ポリ
まとめ
シーの効果を慎重に考慮しなければなりません。
ポリシーを実装する場合は、
ポリシーの実装前と実装後のアプ
リケーションのトランザクション時間と可用性を監視してくださ
●
●
●
シスコの QoS ソリューションは、複数のアプリケーションに
よって共有されている低速度のWANリンクを経由するOracle
い。一部のユーザーからの非公式のフィードバックや、ヘルプデ
スクへ報告に来たユーザーの数を調べるだけでは、新しいポリ
Applications リリース 11 のパフォーマンスを大幅に改善しま
シーの必要条件を判断したり、
ポリシー実装の効果を評価したり
した。
QoS ポリシーの実装により、レスポンスタイムの 2 倍から 3 倍
することはできません。実装前の監視から得た情報は、新しいポ
リシーを設計するのに必要なデータとなります。
実装後の監視で
もの劣化を防ぐことができました。
は、
実装が成功したかどうかの判断や微調整を行うための重要な
重要度の低いアプリケーションのスループットを維持しなが
ら、
Oracle Applicationsのストリームに対して優先順位の高い
フィードバックを得ることができます。
アクセスを提供することができました。
●
Oracle Applications ポートのクラス分けは、QPM、およびレ
イヤ4情報を使用するシスコのクラス分け機能と完全な互換性
を持っています。
●
テスト結果、特定のOracle Applicationsモジュールを使用して
いるユーザーに対して優先的なサービスを提供できることを確
認しました。
●
QPM によって、ベンチマーク作成に使用した QoS ポリシーの
実装と把握が容易になりました。
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TEL.03-5645-8856 FAX.03-5641-3523
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