世界初 - Hamamatsu Photonics

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当社独自のレーザ加工技術により、
世界初、シリコンフォトダイオードで近赤外域の高感度化を実現する技術を開発
セキュリティ分野などに、安価で簡易なシリコンの高感度近赤外検出素子を供給
本年 3 月以降、国内外に向け順次サンプル出荷予定
2010 年 1 月 13 日
本社:浜松市中区砂山町 325‐6
代表取締役社長:晝馬 明(ひるま あきら)
当社は、当社独自のレーザ加工技術により、世界で初めてシリコンフォトダイオード(以
下Si-PD)に特殊な凹凸構造を形成して、波長950ナノメートル(ナノは10億分の1、以下nm)
から1100nmの近赤外領域で大幅に高感度化を実現する技術を開発しました。これにより、
安価で取り扱いが簡単なシリコン高感度近赤外検出素子が量産可能となり、セキュリティ
分野をはじめ、光通信、温度計測、蛍光測光などへの応用展開が期待されます。
当社は、本技術を用いたSi-PDはもとより、シリコンアバランシェフォトダイオード(以
下Si-APD)やCCD(電荷結合素子)の製品を本年3月以降、国内外に向け順次サンプル出荷
していく予定です。
なお、本製品は、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される「フォトニクス・
ウエスト(Photonics West)」で 1 月 26 日から 3 日間展示します。
<開発技術の概要>
シリコンは、可視光や紫外光に対して光吸収係数が大きいため薄いウエハでも十分検出
できますが、近赤外光では吸収係数が極端に小さくなるため透過する割合が増え検出感度
が低下します。このため、シリコンで近赤外域の高感度を実現するには、厚いウエハを用
いて光吸収層を厚くする方法がありますが、高い印加電圧が必要、暗電流が大きくなる、
応答速度が低下するなどのデメリットがあり実用的ではありません。このような理由もあ
って赤外域の光検出には、通常は化合物半導体の検出器が用いられてきました。しかし化
合物半導体は材料自体が高価であること、プロセス工程もSiと比べてコストがかかるなどの
課題があります。また1000nm近辺の近赤外光よりも長い波長まで感度を有する場合が一般
的であり、暗電流低減のために冷却が必要となる場合があるなど、使い勝手が悪いという
側面もありました。
本技術は、短パルスレーザを用いてシリコン上にマイクロメートルオーダーの特殊な凹
凸構造を形成するもので、これにより通常は透過してしまう近赤外光を閉じ込めて吸収率
を増やすことで光検出器の高感度化を実現します。例えば、波長1064nmで量子効率(感度)
が25%のSi-PDに本技術を適用すると、約3倍の72%の値が得られます。これは光の吸収が増
えた結果を示しています。
素子の高速化のためには検出器の薄型化が必須であり、応答速度と感度がトレードオフ
の関係ですが、本技術を用いることにより高速で高感度を併せ持つ素子の安価で大量生産
が実現します。
本技術を用いたフォトダイオードの新製品としては、YAGレーザ(1064nm)のモニタ、
850nm帯1Gbps光データリンク、NOx検出、科学計測などの用途に販売してまいります。CCD
の新製品は、700nmから1100nmの波長域を計測するラマン分光器に最適です。なぜなら、
この波長域で感度が高いことに加え、エタロン特性の低減効果も確認されているためです。
*ラマン分光:物質に光を入射させた時、散乱光の中に入射された光の波長と異なる波長の光が含まれる現象をラ
マン効果と呼び、その原理を使って物質の特性を調べる方法
*エタロン:入射した光がCCDの表面と裏面で反射と減衰を繰り返す間に、干渉により感度に強弱が現れる現象
■製品ごとのスペクトル比較
Si-PIN PD
Si-APD
CCD
2
<製品の概要>
本技術を採用した新製品として、Si -PIN PDで4品番、Si -APDで4品番、CCDで3品番そろ
えました。いずれも本技術により、現行製品の仕様をほとんど変えることなく近赤外域感
度を大幅に向上しました。今後は、CMOSイメージセンサなど、他のシリコン検出器への適
用も期待されます。
種類
高速
大面積
Si –
PIN PD
高感度
Si –APD
低
電
圧
CCD
サンプル
出荷
サンプル
価格
(円)
製品番号
現行品番
受光部
パッケージ
S11498
S9055
φ0.2mm
TO-18
1,200
S11498-01
S9055-01
φ0.1mm
TO-18
1,200
S11499
―
φ3mm
TO-5
20,000
S11499-01
S3759
φ5mm
TO-8
30,000
主な用途
1Gbps 光データリンク
(850nm)
YAG レーザ(1064nm)
のモニタ、科学計測、
NOx 検出など
4月
S11518-10
S8890-10
φ1mm
TO-5
20,000
S11518-30
S8890-30
φ3mm
TO-8
50,000
S11519-10
S8890-10
φ1mm
TO-5
20,000
S11519-30
S8890-30
φ3mm
TO-8
50,000
S11500-1007
S7030-1007
24×24μm
1024×128ch
S11510-1106
S10420-1106
14×14μm
2048×64 ch
S11510-1006
S10420-1006
14×14μm
1024×64ch
YAG レーザ検出
(1064nm)など
280,000
セラミック
非冷却
3月
55,200
ハンディタイプの
ラマン分光器
(波長 700-1100nm)
46,500
■現行製品との比較
S11498:低バイアス電圧で 1GHz の高速応答を実現したフォトダイオード。850nm の感
度は現行製品の 1.6 倍(0.4A/W)。
S11499:YAG レーサ用に開発された Si-PIN フォトダイオード。1060nm の感度は現行製
品の 1.6 倍(0.6A/W)。
S11518:近赤外域で高感度、高ゲイン、低端子容量のアバランシェフォトダイオード。
1064nm の検出効率は現行製品の 2 倍。
S11519:近赤外域で高感度、高ゲイン、低端子容量のアバランシェフォトダイオード。
現行製品より動作電圧を 3 割小さくした(350V)。
S11500:微弱光検出用に開発された計測用 FFT-CCD エリアイメージセンサ。ビニング動
作をおこなうことにより、受光面の高さ方向に長いリニアイメージセンサとし
て使用が可能。画素サイズ 24um×24um。900nm の感度は現行製品の 1.2 倍
(QE=70%)、1000nm の感度は 1.6 倍(QE=40%)。
S11510:分光器用に開発された裏面入射型 CCD イメージセンサ。高い変換効率、低ノイ
ズの読み出しアンプを採用。アンチブルーミング機能付き。画素サイズ 14um
×14um。900nm の感度は現行製品の 1.4 倍(QE=70%)、1000nm の感度は 2.0 倍
(QE=40%)。
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●販売目標(全品番合計)
1 年目 1 億円/年 、3 年後 3 億円/年
S11510-1006(左),1106(右)
この件に関するお問い合わせ先
■報道関係の方 浜松ホトニクス株式会社 広報グループ 海野賢二
〒430-8587 浜松市中区砂山町 325 番地の 6 日本生命浜松駅前ビル
TEL053-452-2141 FAX053-456-7888
携帯電話 090-4080-3501 E-mail:[email protected]
■一般の方 浜松ホトニクス株式会社 固体営業部 犬塚智也
〒435-8558 浜松市東区市野町 1126-1
TEL053-434-3311 FAX053-434-5184
E-mail:[email protected]
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