JP 2008-43326 A 2008.2.28 (57)【要約】 【課題】麺類により良いコシ、歯ごたえ、まろやかさを付与する麺類用食感改良剤を提供 する。特には、そうめん、冷やし中華、ざるそばなどの、喫食時に加熱調理を要しない冷 蔵流通する加工麺に適した麺類用食感改良剤を提供する。 【解決手段】麺類用食感改良剤に、(1)こんにゃく粉及び澱粉を合わせて調製した乾燥 こんにゃく加工品及び(2)寒天、アルギン酸又はその塩、キサンタンガム、グァーガム 、カードラン、グルコマンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェランガム、イ オタカラギナン、及びカッパカラギナンから選択される1種以上を含む。 【選択図】なし (2) JP 2008-43326 A 2008.2.28 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記(1)及び(2)を含むことを特徴とする麺類用食感改良剤; (1)こんにゃく粉及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品 (2)寒天、アルギン酸又はその塩、キサンタンガム、グァーガム、カードラン、グルコ マンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェランガム、イオタカラギナン、及び カッパカラギナンから選択される1種以上。 【請求項2】 (1)と(2)との配合割合が、(1)1重量部に対して、(2)0.1∼10重量部で ある、請求項1に記載の麺類用食感改良剤。 10 【請求項3】 請求項1又は2に記載の麺類用食感改良剤を添加することを特徴とする麺類。 【請求項4】 麺類用食感改良剤の添加量が、麺類の原料穀粉100重量部に対して0.01∼5.0重 量部である請求項3に記載の麺類。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、麺類用食感改良剤及び食感改良された麺類に関する。更に詳しくは、麺類に より良いコシ、歯ごたえ、まろやかさを付与する麺類用食感改良剤に関する。特には、そ 20 うめん、冷やし中華、ざるそばなどの喫食時に加熱調理を要しない冷蔵で流通される加工 麺に適した麺類用食感改良剤に関する。 【背景技術】 【0002】 麺類は日本人の食生活になじみの深い食品であり、うどん、そば、中華そばなどが知ら れている。一般的に麺類は小麦粉を主体とした穀粉に水、食塩等を加え、混練した後圧延 、整形、切り出しを行い製造される。これら麺類に、より良いコシ、歯ごたえ、まろやか さを付与することへの要望が強くなっており、例えば、麺類に増粘多糖類を添加して、麺 にコシを付与する方法として、麺にキサンタンガムを添加する方法(特許文献1:麺類の 製造法)、麺類にゼラチンを添加する方法(特許文献2:茹で麺類)、アルギン酸または 30 アルギン酸塩を含む生タイプ包装中華麺(特許文献3)、タラガムやカラギナン及びネイ ティブジェランガムを含む麺類用食感改良剤(特許文献4:即席麺)、カードランと増粘 多糖類及び/又は加熱凝固性動物蛋白質とを含有してなる麺類用品質改良剤(特許文献5 )等の種々の検討がされている。 【0003】 また、ゆで中華麺を製造する際に、小麦粉100重量部に対して0.05∼0.1重量 部のこんにゃく精粉を、かん水と共に小麦粉に混入して麺を作る方法(特許文献6)、乾 燥こんにゃく粉粒体を有効成分とすることを特徴とする麺類の品質改良剤(特許文献7) 、 大豆粉を含有する調理麺にこんにゃく粉、カードラン、グァーガム、アルギン酸塩等を配 40 合する調理麺の製造方法(特許文献8)や、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製 した乾燥こんにゃく加工品を含む穀類加工食品用食感改良剤(特許文献9)が、麺にも使 用可能であることが記載されている。 【0004】 近年、コンビニエンスストア等で、茹でや蒸し調理された麺に、別添のつゆやたれ、薬 味などを添付して容器包装を施した商品が販売されている。これは、喫食時に加熱調理せ ずに、そのまま別添のつゆなどをかけて食べるという簡便性の高い商品であり、商品形態 としては、冷やし中華、ざるそば、ざるうどん、そうめんなどがある。これら商品に使用 される麺は、再加熱せずに冷えた状態のまま食することから、品質保持期間である1∼数 日間、麺の食感を維持する必要がある。麺の食感を維持するために、前述の多糖類などを 50 (3) JP 2008-43326 A 2008.2.28 使用することが検討されているが、食べ応えのある硬さを有し、また、噛んだ時に、ほど よい弾力性を感じる食感とすることは難しかった。 【0005】 【特許文献1】特公昭56−5501号公報 【特許文献2】特開平04−210569号公報 【特許文献3】特許第2702073号公報 【特許文献4】特許第3467581号公報 【特許文献5】特許第2690016号公報 【特許文献6】特許第3575874号公報 【特許文献7】特開2000−245374号公報 10 【特許文献8】特開2007−54003号公報 【特許文献9】特開2004−187526号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明の目的は、良いコシ、歯ごたえ、まろやかさを付与する麺類用食感改良剤、特に は、そうめん、冷やし中華、ざるそばなどの、喫食時に加熱調理を要しない冷蔵流通する 加工麺に適した麺類用食感改良剤を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 20 本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、(1)こんにゃく粉 及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品と、(2)寒天、アルギン酸又はその 塩、キサンタンガム、グァーガム、カードラン、グルコマンナン、サイリウムシードガム 、ネイティブ型ジェランガム、イオタカラギナン、及びカッパカラギナンから選択される 1種以上を併用することにより、良いコシ、歯ごたえ、まろやかさを付与する麺類用食感 改良剤となること、特には、そうめん、冷やし中華、ざるそばなどの、喫食時に加熱調理 を要しない冷蔵で流通される加工麺に対して、食べ応えのある硬さを有し、また、噛んだ 時にほどよい弾力性を感じる食感を付与することができることを見いだした。 【0008】 すなわち、本発明は下記に掲げる態様を有する麺類用食感改良剤及び麺類に関する; 30 項1.下記(1)及び(2)を含むことを特徴とする麺類用食感改良剤; (1)こんにゃく粉及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品 (2)寒天、アルギン酸又はその塩、キサンタンガム、グァーガム、カードラン、グルコ マンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェランガム、イオタカラギナン、及び カッパカラギナンから選択される1種以上。 【0009】 項2.(1)と(2)との配合割合が、(1)1重量部に対して、(2)0.1∼10 重量部である、項1に記載の麺類用食感改良剤。 【0010】 項3.項1又は2に記載の麺類用食感改良剤を添加することを特徴とする麺類。 40 【0011】 項4.麺類用食感改良剤の添加量が、麺類の原料穀粉100重量部に対して0.01∼ 5.0重量部である項3に記載の麺類。 【発明の効果】 【0012】 本発明により、そうめん、冷やし中華、ざるそばなどの、喫食時に加熱調理を要しない 冷蔵で流通される加工麺に適した麺類用食感改良剤を提供できるようになった。更には、 当該麺類の風味に悪影響を与えることなく、食べ応えのある硬さを有し、また、噛んだ時 にほどよい弾力性を感じる食感を付与することができる麺類を提供することができるよう になった。 50 (4) JP 2008-43326 A 2008.2.28 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明の麺類用食感改良剤は、(1)こんにゃく粉及び澱粉を合わせて調製した乾燥こ んにゃく加工品と、(2)寒天、アルギン酸又はその塩、キサンタンガム、グァーガム、 カードラン、グルコマンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェランガム、イオ タカラギナン、及びカッパカラギナンから選択される1種以上とを併用することを特徴と する。 【0014】 本発明で使用する(1)乾燥こんにゃく加工品は、こんにゃく粉及び澱粉を合わせて複 合組成物としたものであり、粒状、糸状、粉末状等の任意形状を有するように加工された 10 ものである。 【0015】 本発明の乾燥こんにゃく加工品に用いるこんにゃく粉は、通常用いられているこんにゃ く粉や、生こんにゃく芋の乾燥粉砕品等を使用することが出来る。 【0016】 澱粉は、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ等のトウモロコシ由来のでんぷん; タピオカでんぷん;サツマイモ由来のでんぷん、ジャガイモ由来のでんぷん、サゴヤシ由 来のでんぷん等やそれらの加工澱粉を適宜選択して用いることができる。 【0017】 本発明で使用する、乾燥こんにゃく加工品の加工方法は、こんにゃく粉及び澱粉を合わ 20 せて複合物として乾燥加工品とすることができ、水中で膨潤できるようなものに加工でき ればどのような製法を採ってもよい。好ましい製造方法として、コンニャク芋から常法に てグルコマンナンを抽出して乾燥し、澱粉と混合し、水を添加して膨潤し、少量のアルカ リを添加することによる脱アセチル化処理を行った後、成型、加熱ゲル化、中和し、乾燥 することで製造する例を挙げることができる。 【0018】 更には、前述の加工工程中の、中和後に、糖質を含む溶液に浸漬しておくことが望まし い。使用する糖質としては、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、粉 末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラ チノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリ 30 スリトール等の糖アルコール類などを挙げることができるが、好ましくは水飴である。な お、本加工方法は、特許第2866609号或いは特許第3159104号などに記載さ れている。 【0019】 また、乾燥こんにゃく加工品中のこんにゃく粉及び澱粉の組成も、特に制限されないが 、乾燥こんにゃく加工品中、こんにゃく粉5∼30重量%、澱粉70∼95重量%の範囲 となるように、任意に調整することができる。更には、糖質を併用する際は澱粉の一部を 糖質に替えて添加することが好ましく、例えば水飴を使用した場合は、こんにゃく粉5∼ 30重量%、澱粉5∼30重量%、水飴40∼90重量%の範囲となるように、任意に調 整することができる。 40 【0020】 本発明で使用する乾燥こんにゃく加工品は、粉末状、粒状、糸こんにゃくのような糸状 といった任意の形態をとることができるが、好ましくは、粉末状態のものである。粉末の 度合いとしては、50メッシュ篩過のものがよく、好ましくは、80メッシュ篩過、更に 好ましくは、120メッシュ篩過である。このような製剤は、商業上入手することができ 、例えば、アイレス株式会社製の乾燥こんにゃくや、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 のサンスマート[商標]400等のサンスマートシリーズを挙げることができる。 【0021】 本発明の麺類用食感改良剤は、(1)こんにゃく粉及び澱粉を合わせて調製した乾燥こ んにゃく加工品に加えて、(2)寒天、アルギン酸又はその塩、キサンタンガム、グァー 50 (5) JP 2008-43326 A 2008.2.28 ガム、カードラン、グルコマンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェランガム 、イオタカラギナン、及びカッパカラギナンから選択される1種以上を併用して含む。 【0022】 本発明で使用する寒天は、天草、オゴノリ、オバクサ、イタニクサなどの紅藻類を原料 として熱水抽出して凝固させたものを乾燥させた各種のものをいずれも使用することがで きる。この寒天には、糸寒天、棒寒天、フレーク寒天、粉末寒天などが含まれる。また、 製造技術によりゲル強度を高めた(弱めた)もの、粘弾性を高めた(弱めた)もの、高融 点化(低融点化)したもの、低分子化(高分子化)したものなど、いずれのものも使用す ることができる。また、異なる種類の寒天を組みあわせて使用することもできる。 【0023】 10 本発明で使用するアルギン酸は、コンブ科マコンブ(Laminaria japonica ARESCH. )等より抽出して得られた多糖類である。アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム やアルギン酸カリウムを用いることができる。 【0024】 本発明で使用するキサンタンガムは、微生物Xanthomonas campestrisが産生する発酵多 糖類であり、β-1,4-D-グルカンの主鎖骨格に、D-マンノース、D-グルクロン酸、D-マン ノースからなる側鎖が結合したアニオン性の多糖類である。主鎖に結合したD-マン ノースのC6位はアセチル化され、末端のD-マンノースはピルビン酸とアセタールで結合し ている。キサンタンガムの商業的に入手可能な製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式 会社製のサンエース[商標](標準品)、サンエース[商標]S(微粒品)、サンエース[商 20 標]E−S(顆粒品)、サンエース[商標]C(透明品)、ビストップ[商標]D−300 0−DF−Cなどを挙げることができる。 【0025】 本発明は中でも、アセチル基含量が1%以下のキサンタンガムを使用するのが好ましい 。このキサンタンガムを使用することにより、アセチル基含量が2∼6%程度の既存のキ サンタンガムよりも、酸性領域を含む広いpH域で高い粘度を安定に保持することができ 、同一添加量においても高い粘度を示すものである。また、本発明で使用するアセチル基 含量が1%以下のキサンタンガムは、既存のキサンタンガムよりもガラクトマンナン類な どの他の多糖類と相互作用しやすく相乗的な粘度上昇がより顕著に起こることを特徴とし ている。このようなキサンタンガムは商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ 30 ・エフ・アイ株式会社製のサンエース[商標]NXG−C、サンエース[商標]NXG−S等 を挙げることができる。 【0026】 本発明で使用するグァーガムは、マメ科植物の種子を原料とする多糖類であり、β-1,4 -D-マンナンの主鎖骨格に側鎖としてD-ガラクトースがα-1,6結合した、いわゆるガラク トマンナン類に属するものであり、構成糖の比率が、マンノース:ガラクトース=2:1 (平均)である。 【0027】 本発明で使用するカードランは、土壌菌によって産生される微生物多糖類で、加熱する と固まるという性質を有するものである。本多糖類はグルコースがβ−1,3−グルコシ 40 ド結合した直鎖上のグルカンである。 【0028】 本発明で使用するグルコマンナンは、コンニャク芋に含まれる多糖類であり、D−グル コースとD−マンノースがほぼ、1:1.6のモル比で、β−1,4結合により多数結合 した複合多糖類(難消化性多糖類)であり、その分子量は約100万∼200万である。 【0029】 本発明で使用するサイリウムシードガムは、オオバコの一種であるPlantago種(Planta ginaceae)植物の中の、主にPlantago ovata forskal等の種子から採った天然植物ガム のことである、サイリウムシードガムは種子の外側を含む外皮の部分を用い、この種皮は サイリウムハスク(Psyllium Husk)あるいはイサゴール(Isagol、Isabgol)とも呼ば 50 (6) JP 2008-43326 A 2008.2.28 れている。サイリウムシードガム中の非セルロース多糖類は、キシランを主鎖として高度 に分岐した構造を持ち、側鎖は、アラビノース、キシロース、ガラクツロン酸、ラムノー スからなっている。 【0030】 本発明で使用するネイティブ型ジェランガムは、Sphingomonas elodeaが産出する発酵 多糖類であり、1−3結合したグルコース、1−4結合したグルクロン酸、1−4結合し たグルコース及び1−4結合したラムノースの4分子を構成単位とする直鎖状の高分子多 糖類の、1−3結合したグルコースに1構成単位当たりグリセリル基1残基とアセチル基 が平均1/2残基結合したものであり、1構成単位当たりカルボキシル基1残基を有する 。 10 【0031】 カラギナンは、紅藻類海藻から抽出,精製される天然高分子物質で、分子量100,0 00∼500,000のガラクトース,3,6アンヒドロガラクトースを主成分とする多 糖類である。分子内の半エステル型の硫酸基は、他の天然ガム質等には見られないカラギ ナン特有のものである。一般的にカラギナンとして市販されているものは、イオタタイプ 、カッパタイプ、ラムダタイプのものがあり、本発明では、カラギナンの中でもイオタタ イプ及び/又はカッパタイプのカラギナンを用いることを特徴とする。 【0032】 本発明では、上述の乾燥こんにゃく加工品に加え、寒天、アルギン酸又はその塩、キサ ンタンガム、グァーガム、カードラン、グルコマンナン、サイリウムシードガム、ネイテ 20 ィブ型ジェランガム、イオタカラギナン、及びカッパカラギナンから選択される1種以上 を併用することを特徴とする。これらを当該乾燥こんにゃく加工品と併用することで、そ うめん、冷やし中華、ざるそばなどの、喫食時に加熱調理を要しない冷蔵で流通される加 工麺に対して、食べ応えのある硬さを有し、また、噛んだ時にほどよい弾力性を感じる食 感を付与することができる。 【0033】 一方、従来より麺類に、カードランやアルギン酸塩等を添加することが行われてきたが 、これらをはじめとした多糖類では、麺類を噛んだ際に必要とされる硬さは付与できるも のの、弾力性は弱く、また経時的な麺の茹で伸びを顕著に抑えることができなかった。一 方、麺類に弾力性を付与または、茹で伸びを抑制するために添加量を上げると麺帯の組織 30 が荒れ、ボロボロと崩れ落ちてしまうといった問題点があった。同様にして、多糖類の種 類によっては、弾力性は付与できるものの、硬さを付与することができないなどの各種問 題を抱えていた。また、グルコマンナン中の食物繊維としての機能や、こんにゃくの食感 に着目して麺類にこんにゃく精粉を添加することも行われてきたが、麺類に十分に弾力性 を付与することができないどころか、こんにゃく精粉自体の強いアルカリ臭が、麺類の風 味を損ねる問題があった。一方、乾燥こんにゃく加工品は、アルカリ臭が改善され、こん にゃく精粉とは異なり弾力性を付与することも可能であるが、その弾力性は十分ではなく 、更には麺類に硬さを付与することもできず、麺類に食べ応えを付与することは困難であ った。 【0034】 40 特に、喫食時に加熱調理を要しない冷蔵流通する加工麺は、品質保持期間である1∼数 日間、冷蔵状態で麺の食感を維持する必要がある一方で、喫食時にそのまま食されるため 、麺類の食感の維持が強く要求される。本発明は、係る加工麺においても、乾燥こんにゃ く加工品に加え、寒天、アルギン酸又はその塩、キサンタンガム、グァーガム、カードラ ン、グルコマンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェランガム、イオタカラギ ナン、及びカッパカラギナンから選択される1種以上を併用することにより、食べ応えの ある硬さと、噛んだ時にほどよい弾力性を感じる食感を麺類に付与することができる。本 発明では、上述の多糖類の中でも好ましくはアルギン酸又はその塩、寒天、キサンタンガ ム、グァーガム及びイオタカラギナンからなる一種以上、特に、キサンタンガム及びグァ ーガムと併用することが好ましい。これらの多糖類と乾燥こんにゃく加工品を併用するこ 50 (7) JP 2008-43326 A 2008.2.28 とで、麺類に十分な硬さと弾力性を付与することができ、冷蔵保存中でも伸びにくい麺類 に仕上げることができる。 【0035】 本発明の麺類用食感改良剤の、(1)こんにゃく粉及び澱粉を合わせて調製した乾燥こ んにゃく加工品と(2)寒天、アルギン酸又はその塩、キサンタンガム、グァーガム、カ ードラン、グルコマンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェランガム、イオタ カラギナン、及びカッパカラギナンから選択される1種以上との配合比率は、(1)1重 量部に対して、(2)0.1∼10.0重量部、好ましくは、0.2∼8.0重量部であ る。(2)の配合比率が0.1重量部より低くなると、弾力性は付与されるものの、硬い 食感が得られなくなる場合があり、また、(2)の配合比率が10.0重量部より高まる 10 と、硬い食感は付与されるものの、弾力性のないぼそぼそとした食感になる場合があるか らである。 【0036】 更には、本発明の麺類用食感改良剤により、前述の通り、麺類に弾力性に優れ、良好な 硬い食感が付与される他、のどごしが良く(つるみ感)、また、麺独特の風味を向上させ るという効果も有する。また、特に、喫食時に加熱調理を要しない冷蔵流通する加工麺を 1日前後冷蔵した後にも食感が劣化することなく維持されるが、ノンフライ麺などの即席 麺の製造時に添加した場合も、前述のような食感が改良される。 【0037】 なお、本発明の麺類用食感改良剤には、本発明の効果に悪影響を与えない限度において 20 、前述の他の多糖類を添加してもよい。例えば、ローカストビーンガム、タラガム、ペク チン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カシアガム、グルコマンナン、脱アシ ル型ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ゼラチン、トラガン トガム、カラヤガム、アラビアガム、ガティガム、マクロホモプシスガム、プルラン、メ チルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキ シメチルセルロース(CMC)ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、 ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体、水溶性ヘミセルロース、 デキストリンなどから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。 【0038】 なお、本発明にかかる麺類用食感改良剤は、上記以外にも、本発明の効果を損なわない 30 限りにおいて、澱粉、タンパク質、糖類や調味料、色素、香料、pH調整剤、酸化防止剤 等の添加剤を任意に添加することができる。また、本発明の麺用食感改良剤は、常法によ り製剤化することができる。 【0039】 更に、本発明は、前記麺類用食感改良剤を添加した麺類に関する。 【0040】 本発明でいう麺類とは、中華麺、うどん、そば、冷や麦、そうめん、スパゲティ−、マ カロニ等の、小麦粉やそば粉を主体とした穀粉に水、食塩等を加え、混練した後、圧延、 整形、切り出し等の製造工程を用いて製造されるものをいう。本発明の食感改良剤は、チ ルド流通され再加熱することなく食される形態の麺類に適するため、特に、ざるそば、ざ 40 るうどん、そうめん、冷やし中華、冷麺、冷製スパゲティ、マカロニサラダ等の喫食時に 加熱調理を要しない冷蔵流通する加工麺に好ましく使用される。更には、ノンフライ麺な どの即席麺の食感も改良する。 【0041】 麺類に添加する、麺類用食感改良剤の添加量としては、麺類の原料穀粉100重量部に 対して、0.01∼5.0重量部、好ましくは0.05∼3.0重量部、より好ましくは 0.1∼3.0重量部を挙げることができる。添加量が5.0重量部より多くなると麺の なめらかさが減少し、麺帯が形成されにくくなる。0.01重量部より少ないと十分な効 果が得られなくなるからである。 【0042】 50 (8) JP 2008-43326 A 2008.2.28 本発明の麺類の製造方法であるが、他の原料とともに本発明にかかる麺類用食感改良剤 を添加しても良いし、麺類用食感改良剤に配合される成分を別々に併用添加してもよい。 かかる原料を秤量、混練することで麺生地を得ることができるが、予め、麺類用食感改良 剤を水に溶解しておき、当該水溶液を添加することもできる。混練された麺生地は、一般 的な麺の製造工程、例えば、練水調製、混合、整形、複合、圧延、切り出し工程を経て生 麺を製造することができ、必要に応じて、蒸し、茹で等の加熱処理を施した後、包装、加 熱殺菌工程をとることができ、また、必要に応じてpH調整の処理を行うこともできる。 【0043】 例えば、中華蒸し麺の場合は、一般的には、小麦粉を主体とした穀粉原料に水、食塩、 かんすい等を加え、pHを8以上のアルカリ性にし、原料を混練した後圧延、整形、切り 10 出し等の製造工程を用いて製造することができる。また、本発明の麺類用食感改良剤は、 このようにして製造された生の中華麺を、特に、蒸し工程(加熱処理)により食すること ができる状態とし、包装後、更に、80∼100℃で20∼40分間程度の加熱殺菌工程 を行い、冷蔵で流通される加工麺に好適に使用できる。 【0044】 また、茹でうどんは、一般的には、小麦粉を主体とした穀粉を原料と混練した後圧延、 整形、切り出し等の製造工程を用いて製造された生うどんを、食することができる状態に お湯等で茹でることにより製造することができる。特に、茹でた(加熱処理)後、必要に 応じてpH調整処理を行い、包装後、80∼100℃で20∼40分間程度の加熱殺菌工 程を行い、冷蔵で流通される加工麺に好適に使用できる。 20 【0045】 また本発明の効果を損なわない限り、本発明の麺類には小麦粉に他の穀粉、でん粉、食 塩、糖類、甘味料、卵白、乳清たん白、大豆たん白等のたん白類、調味料、保存料、日持 向上剤、香料、pH調整剤、酸味料、かんすい、色素、ビタミン類、ミネラル類等を添加 することができる。 【実施例】 【0046】 以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明は これらに何ら限定されるものではない。なお、文中、「部」は「重量部」とし、「*」は 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商 30 標であることを示す。 【0047】 実験例:チルド中華麺(冷やし中華)の調製 下記表1及び2に掲げる処方のうち、小麦粉、加工澱粉、植物性蛋白質、食感改良剤を 加え、さらに万能混合機でかき混ぜながら、ゆっくりかん水(水に食塩、炭酸カリウム、 炭酸ナトリウムを溶かして25℃に調製したもの)を加えて13分攪拌混合した。次いで 、混合物を製麺機(ヒグチ麺機製作所製)を用いて、粗複合して麺帯とし、さらに複合、圧 延を行い、厚さ1.4mmの麺帯を調製した。得られた麺帯を#22の切刃にて麺線とし 、40cmの長さに切断した。これを沸騰水で3分30秒茹でて、30秒流水で、ついで 30秒氷水で冷却し、チルド中華麺を調製した。 【0048】 得られたチルド中華麺について、一晩5℃の冷蔵庫にて冷蔵した後の食感を官能評価し た。結果を表1及び2に記す。評価は、固さ、弾力、つるみ、及び風味については、良好 なものから順に「+++ → ++ → + → ± → −」とした。食感の総合評価 については、「+++」→「++」→「+」の順で食感改良効果が高いことを示し、「± 」はブランク(食感改良剤無添加)と同等であり、「−」はブランクより効果が低いこと を示す。 【0049】 40 (9) JP 2008-43326 A 2008.2.28 【表1】 10 20 30 【0050】 注1)加工澱粉:商品名「Crystal Set 300」;日本NSC製。 注2)植物性蛋白質:商品名「A−ゲルG」;グリコ栄養食品製。 注3)乾燥こんにゃく加工品:商品名「サンスマート※400*」;こんにゃく粉14% 、澱粉11%、水あめ75%含有。 注4)キサンタンガム:商品名「サンエース※NXG−S*」;アセチル基含量1%以下 のキサンタンガム。 【0051】 40 (10) JP 2008-43326 A 2008.2.28 【表2】 10 20 30 【0052】 表1及び表2より、乾燥こんにゃく加工品と、寒天、アルギン酸、キサンタンガム、グ ァーガム、カードラン、グルコマンナン、サイリウムシードガム、ネイティブ型ジェラン 40 ガム、イオタカラギナン、及びカッパカラギナンから選択される1種以上を併用した実施 例1∼10は、一晩冷蔵保存後も良好な食感を有していた。一方、乾燥こんにゃく加工品 や寒天、アルギン酸、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、サイリームシードガム、 カッパカラギナンを含有する食感改良剤用いて調製した麺類は、固さや弾力性を付与する ことができない、つるみや風味に影響を与えるなど、それぞれ単独では効果が認められな かった(比較例2∼9)。更に、乾燥こんにゃく加工品と多糖類を併用した食感改良剤を 用いた場合においても、ローカストビーンガム(比較例10)や、タラガム(比較例11 )など、特定多糖類と併用しなかった場合は、乾燥こんにゃく加工品を単独で用いた時と 同様、麺類に十分な固さや弾力性を付与することはできなかった。また一方で、寒天やア ルギン酸を用いた場合においても、こんにゃく精粉と併用した場合(比較例12及び13 50 (11) JP 2008-43326 A 2008.2.28 )は、麺類に十分な固さや弾力性を付与することができなかった上に、非常にアルカリ臭 が強く、風味が悪い麺類となってしまった。 【0053】 実施例11:チルド中華麺(冷やし中華)の調製 下記表3に従ってチルド中華麺を調製した。詳細には、表3に掲げる処方のうち、小麦 粉、加工澱粉、植物性蛋白質、食感改良剤を加え、さらに万能混合機でかき混ぜながら、 ゆっくりかん水(水に食塩、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムを溶かして25℃に調製した もの)を加えて13分攪拌混合した。次いで、混合物を製麺機(ヒグチ麺機製作所製)を用 いて、粗複合して麺帯とし、さらに複合、圧延を行い、厚さ1.4mmの麺帯を調製した 。得られた麺帯を#22の切刃にて麺線とし、40cmの長さに切断した。これを沸騰水 10 で3分30秒茹でて、30秒流水で、ついで30秒氷水で冷却し、チルド中華麺(実施例 11)を調製した。 【0054】 【表3】 20 【0055】 30 注5)食感改良剤として、キサンタンガム20%、グァーガム20%、乾燥こんにゃく加 工品60%含有製剤「ビストップ※ND−54*」を用いた。 【0056】 調製されたチルド中華麺は、一晩5℃の冷蔵庫にて冷蔵後にも関わらず、乾燥こんにゃ く加工品やキサンタンガムやグァーガム単品よりも、麺がプリプリして弾力があり、また 固さも兼ね備えた食べ応えのある食感の麺となった。 【産業上の利用可能性】 【0057】 本発明により、麺類により良いコシ、歯ごたえ、まろやかさを付与する麺類用食感改良 剤を提供できるようになった。特に、そうめん、冷やし中華、ざるそばなどの、喫食時に 加熱調理を要しない冷蔵流通する加工麺に適した麺類用食感改良剤が提供できるようにな った。 40
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