希望の鐘 - 北海道旭川聾学校

北海道旭川聾学校便り
平成21年11月30日発行11月号
希望の鐘
希望の鐘
発行責任者
福 島 美 恵 子
平成21年度文化祭を終えて
教頭
外山
昇
インフルエンザ流行の終息の兆しが見えにくい中で、文化祭を迎えました。本番では、とびっきりの
かわいさ満載の乳幼児相談室『おもちゃのちゃちゃちゃ』、踊りも衣装も見事な幼稚部『さるとかに』、
細かな演技・豊かな感情移入で聴衆を魅了した小学部劇『はだかの王様』と『夕鶴』、指揮を見る真剣
な表情から伝わる息のあった小学部『器楽合奏と歌』、寸劇と名調子で聴衆を引き込んでいった中学部
『Y O S A K O I ソーラン』と『私たちのメッセージ』、北星中学校の吹奏楽部・合唱部と本校生徒とのコ
ラボ交流、保護者による手話歌『となりのトトロ』等々、いずれも練習の成果を十二分に発揮し、文化
祭を無事終了することができました。
文化祭の当日まで学校ではインフルエンザによる影響を想定した検討を重ね、その都度、保護者方々
へ文書等でお知らせし、様々な人たちのご理解とご協力をいただきました。また、当日も会場入場者全
員にマスクの着用や手指消毒等のご協力をいただきました。ありがとうございます。
通常ならば、文化祭でのこどもたちのがんばり等を報告する紙面なのですが、今回は文化祭までの足
取りについて報告します。
ご家庭の協力に感謝いたします。子どもたちの家庭での様子を連絡帳等で細かく情報提供をいただき
ました。また、何よりも、登校前の検温は、体調の変化を知る貴重なデータとなりました。家庭と同様
に寄宿舎においても、全寄宿舎指導員による健康観察や寄宿舎生全員の朝晩の検温の実施、舎生が集ま
り一日の報告がなされるミーティングを短縮して実施するなど集団活動の自粛と、考えられる配慮を徹
底してきました。
学校の職員朝会では、養護教諭の先生から幼児児童生徒等の体調にかかわる報告やインフルエンザに
よる学級閉鎖等の情報が伝えらない日がなかったかと思います。学校長からも、感染予防の徹底や安全
管理に関する細かな指示がありました。登校後も検温を実施し、日課に組み入れている学級もあります。
毎朝の健康観察カードや担任による健康チェック、うがいや手洗いを日に何度も実施しました。また、
幼児児童生徒が学校で発熱した場合は、ご家庭のスムーズな対応により早退、通院、家庭療養等の協力
をいただきました。インフルエンザにかかわる通院結果が出るまでは、ひたすら陰性を祈る思いで報告
を待っていました。しかし、徹底した感染予防でも、週が開ける月曜日になると、毎週のように一人二
人とインフルエンザの発症の幼児児童生徒の報告がありました。しかし、ほとんどのケースの場合が家
庭内感染によるもので、最悪のケースは免れてきました。
文化祭特別日課に入り、練習に熱を帯びてきた頃、昨年よりも品数が増えたバザーへの対応が急浮上
してきました。 『突然の学校閉鎖・直前の文化祭延期では、バザーの食べ物が対応できない!』 とい
う最悪の場合を想定し、行事係の保護者と行事係の先生が何度も話し合い、二度の文書配布で状況をお
知らせし、最終的にキャンセルとなった経緯がありました。当日は飲み物だけのバザーとなってしまい
-1 -
ましたが、保護者や先生方の協力により、飲み物は完売することができました。
最後に、危惧していた文化祭終了後の爆発的な感染の広がりもなく、今はホッと胸をなで下ろし、文
化祭の成果を反映すべく、授業展開に全勢力を傾けているところです。2学期も残すところ約1ヶ月、
保護者の方々にもその成果を充分感じていただけるよう取り組んでいきます。インフルエンザ流行の衰
えは聞かれません。引き続き家庭と学校の連携を密にとりながら、感染予防の徹底を図っていきます。
ご協力よろしくお願いいたします。
文
化
祭
特
集
「おもちゃのちゃちゃちゃ」
乳幼児相談室
川島
敦子
今年の2歳児さんたちは、ポンポンを持って踊るのがとても楽しそうで、1回目の練習から、みんな
振り付けどおり踊れるのにはびっくり!お母さんがおもちゃ箱から飛び出てくるのも大はしゃぎでした。
しかし、ステージには幕、ライト、薄暗い雰囲気などなど、実力を発揮するのを妨げる物がなんと多い
ことか!
A くんは涙をこらえて立ちすくむのが精一杯、S くんはバ
ック幕に目を奪われ、Y ちゃんはステージの下に興味津々。舞台度胸
がよい KM ちゃんと KS ちゃんは当日お休み…。いったい本番はど
うなることかとはらはらでしたが、3人ともよく頑張りました!立
派!会場からも大きな拍手をいただきましたね。笑顔で参加してく
れたお母さんたちもお疲れ様でした。
「幼稚部・舞踊劇『さるとかに』」
幼稚部
松田
悦恵
3週間の練習の成果を発表した幼稚部のお友だち。みんなニコニコと楽しそうに、
そして、「大きく、ゆっくり」と約束をしていたセリフや動きは文化祭が一番上手
にできていました。
すってんと転んでしまった『さるさん』。
涙声でも最後まで頑張っていました。実はお腹が痛かった『か
にさん』。我慢して最高の笑顔で終えることができました。
かわいらしい衣装や小道具などを用意して下さったお母様
方には感謝いたします。『ありがとうございました。』
「劇『はだかの王様』を通して」
~小学部低学年~
小学部
配役決定の時から、やる気十分!!どんどん立候補する姿に「期待が出
来るぞ!!」と感じました。しかし練習が始まると、王様に仕える召使い
や大臣の動きや話し方、王様らしい動きや話し方・・どちらも低学年のみ
んなには難しかったと思います。
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清水
智美
でも、練習を通してみんなの気持ちはひとつにまとまり、本番では堂々と
演じることができましたね。
「はだかの王様」という舞台を通して、ひとまわり大きく深い絆が芽生え
たみんなに心からの拍手を贈ります。
それぞれの努力
~小高部劇「夕鶴」~
小学部
三浦
麻依子
子どもたちに今年の劇の演目が夕鶴であることを発表したのは、ちょうど文化祭の1ヶ月前のことで
した。「鶴の恩返し」というお話で幼い頃から親しみのあるこの作品。子どもたちはすんなり劇の世界
に入ってくれたと思います。しかし、小高部の劇は、ただ演技をすればいいというものではありません。
場面場面での登場人物の気持ちの移り変わり、それに合わせた演技を自分たちで考え、表現することを
大事に取り組みました。厳しい練習の中で、子どもたちは次第に自分の演技の課題を自分で見いだし、
先生方のアドバイスを聞きながら、その課題を克服していきました。
文化祭当日の出来はご覧いただいたとおりです。殿様と家来は、5年生の3人が、毎日毎日クラスで練
習に励みました。与ひょうとつうを引き立てる演技が出来ていましたね!最後のばめんで鶴が飛び去っ
ていく様子を指と目線で表現した4年生の集中した表情を見ていただけたでしょうか?そしてなんと言
っても、つうと与ひょうの別れのシーンで悲しみを色濃く出した6年生の演技はアカデミー賞ものでし
た!
インフルエンザや風邪などで、なかなか練習に全員がそろうことのなかった今年の文化祭。一体どう
なることかと心配していましたが、子どもたち一人一人が努力の結果を十分に発揮してくれた「夕鶴」
でした。
「中学部の舞台裏」
中学部
田中
康崇
「イエス・フォーリン・ラブ」このセリフが決まったのは、当日3日前、総練習後の放課後のことで
した。今年度のYOSAKOIソーランの「踊り」「寸劇」は、すべて生徒の手によって作られました。
(衣装と音楽、最後のクラッカー演出は教員)その舞台裏を少々紹介いたします。
特別日課練習初日にリーダーとサブリーダーを決めてから、いままで教員の指導をもとに取り組んで
きたことをその2人と生徒全員に全て任せました。翌日から踊りの練習、練習を撮影したビデオ視聴、
視聴後の反省会、そして目標立て…何度も何度も繰り返し練習を重ねました。反省会では、生徒の中か
ら「しっかり踊れていない。」「鳴子の位置は、こうだ!」、「回り方を合わせる。」など、的確で厳しい
意見が出され、ひとつひとつ生徒同士で時間をかけて解決していきました。
当初、私の計算で行くと1週目の練習である程度の踊りが完成し、2週目に踊りの前の「出し物」に
ついて…と考えていました。が、なかなか納得できる仕上がりとなりません。2週目後半に曲のリズム
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に踊りを合わせられない大きな壁に阻まれました。なかなか解決
策を見いだせぬまま、総練習を迎えました。総練習では、曲のリ
ズムに合わせられず、大きくリズムが崩れた演舞になってしまい
ました。しかも、「出し物」がなく、ただ踊るだけの4分間でし
た。
本番に向けて生徒たちは、「リズムに踊りを合わせる。」聴覚障
害の最大の難関に立ち向かうべく、反省から生徒配置の変更、ス
ピーカーの増設を導き出し、繰り返し練習にリーダー中心に生徒
「話し合いの様子」
全員で取り組みました。「出し物」は、生徒の意向で「寸劇」と なりました。(私が一応保険のために構想して
いたプロモーションビデオは無事にお蔵入りを果たしました。)総練習後にセリフの確認や演出、練習を行いました。
その時間は正味60分程度、笑いのセンス満点(?)の寸劇が完成しました。
今年のYOSAKOIソーランは、生徒たちが作り上げたものです。舞台裏では、いつもとは違った
ひと味もふた味も違う取り組みが行われました。皆さんは、どのようにお感じになりましたか?
【生徒感想より】
2年生A:とてもよかった。一番よかったところは、五十嵐君が考えた劇です。時間がないのにリーダ
ーやサブリーダーが一生懸命アドバイスしていてよかった。
3年生B:練習の時は、皆、リズムと形がズレていたけど、どうやったら合わせられるのかを協力して
考えながら、少しずつ合わせてきたのでよかったと思う。
行
事
か
ら
平成21年中文連「私の意見発表会」
~『かけがえのない宝物』~
中学部三年
堤
彩奈
来年の三月には中学校生活も終わり、長い間お世話になったこの聾学校を卒
業します。これまでの中学生活を振り返ってみると、どれも思い出深いものば
かりです。
一年生では、夏に行われた「北海道子ども未来審議会」で命の大切さについ
て他の学校の中学生と一緒に考えました。その時は初めて『虐待』という言葉
を知り、北海道だけでもかなり多くの子供達が事故や自殺によって自分の命を
亡くしているという事実にはとても驚きました。そしてグループで話し合いを
進めていくうちに、自分の命について深く考え、命の大切さを強く意識しまし
た。
二年生では、「ジュニアリーダー研修」で健聴の中高生と共に稚内へ行きました。そこで調べたこと
を協力してまとめたり、楽しく話をしたりしていくうちに、健聴者に対する考えが少し変わりました。
障害があってもなくても基本的には何も変わらない、同じ人間だということに気づかされました。
そして三年生の今、自分の将来について真剣に考え始めたところです。自分はどの高校に行きたいの
か、どんな仕事に就きたいのか、まだまだ決めなくてはならないことは山ほどあります。中学部を卒業
すればまた一つ大人になって、今までのように両親に甘えてばかりはいられなくなります。これからの
生活、これからの生き方について今からしっかり考えていこうと思います。
こうして振り返ってみると、色々な体験を通して多くのことを学び、大切なことに気づかされたかけが
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えのない三年間だったと思います。どれもいつまで経っても変わらない、とても素晴らしい宝物です。
そのことに気づくことができたのは、私が幼いときから色々な場所に連れて行ってくれた父や、口癖の
ように「積極的に行動しなさい。」と言ってくれた母、友達や先生など、周りの人に助けられてきたおか
げだと思います。
私は聴覚に障害をもっています。しかし、それ以外では一つの命であり、一人の人間としての考え方
を持ち、色々な可能性を秘めていると思います。私は自分の持っている可能性を最大限に生かせるよう
にして、見つけた宝物をこれからも大切にしたいと思っています。
学
校
応
援
隊
「花の寄贈」
教務部
松田
悦恵
校内に行事のたびに飾られているお花を見
かけた方も多いと思いますが、このお花は寄
贈された物です。毎回寄贈してくださってい
る方は藤岡正子様です。平成7年4月から平
成10年3月まで旭川聾学校で事務長を務め
ていました。事務長退職後から今日まで、入
学式、文化祭、学校見学会、卒業式など、行
事のたびに頂いております。きれいなお花をありがとうございます。
「生徒会長になって」
中学部二年
松田
節
10月から生徒会のメンバーが替わり、僕は会長になりました。
生徒会経験者は僕だけで、会計と書記になった2人は、まだ生徒会のことをよく知らないので、「ど
んな仕事をするのか」を分かりやすく説明しながら活動していきたいです。
を守り、分からないことは元生徒会の先輩や生徒
会担当の先生に聞いて、計画通りに進めていける
ように頑張りたいです。
新生徒会メンバーで、文化祭に向けて体育館に
貼る文化祭のテーマの垂れ幕を作りました。生徒
会の時間以外にも朝や昼休みも使って、みんなで
協力しあい、完成させることができました。〆切に間に合わせることもでき、
きれいな仕上がりになり、上手にできたと自分達では思っています。
このように、これからも3人で協力して、どんな仕事もやり通したいと思い
ます。
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僕は生徒会の仕事の〆切
12月
2日(水)
[小2]交流社会見学
[舎]誕生会
3日(木)
[幼]もちつき会
[小]小低読書会
[中3]学力テスト
7日(月)
全校朝会
9日(水)
短縮日課
10日(木)
[幼]誕生会
[小]読話テスト
[中]コミュニケーションテスト
11日(金)
[中]後期中間テスト
14日(月)
学部朝会
15日(火)
諸費納入日
短縮日課
16日(水)
[乳]クリスマス会
[舎]クリスマス会
17日(木)
[幼]クリスマス会
21日(月)
懇談週間開始
~24日
図書長期貸し出し
~24日
学部朝会
[中]ALT来校
22日(火)
全校交流会
大掃除
24日(木)
2学期終業式
[中]小6保護者入学説明会
25日(金)
冬季休業
-6 -
~1月17日