銅スラグを用いた高比重コンクリートの配合および強度特性 - 土木学会

V-463
土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)
銅スラグを用いた高比重コンクリートの配合および強度特性
(株)テトラ 正会員 ○松田 節男
(株)テトラ
住友金属鉱山(株) 正会員 川西 政雄
錦織 和紀郎
1.はじめに
銅スラグ(以下「CUS」と称する)は、銅の溶融製錬の際に副産され、その量は国内では年間約 200 万トン
強に達している。1997 年にコンクリート用細骨材として JIS 化され、自然環境保全対策としても有効活用
され始めている。また、CUS は絶乾密度が 3.5g/cm3 程度と大きく、この特徴を重量骨材として消波ブロッ
クの製造などに活用できる材料である。消波ブロックについては、コンクリート比重が高いほどブロックが
安定であり、近年では大水深で波浪条件の厳しい防波堤を被覆する消波ブロックに高比重コンクリートを適
用するケースが増えてきている。一方、CUS については、これまで細骨材中の使用割合(以下「CUS 混合率」
と称する)30%以下とすることが多かったが、CUS 混合率を多くすることがコンクリートの高比重化に有
効な手段のひとつであると考えられる。
本研究では、工場 JIS を取得した銅スラグ(S 社製,CUS2.5)を用いて、まず基礎的な確認として CUS
混合率を変化させて配合特性および圧縮強度特性について試験を実施した。加えて、さらなる高比重化のた
め、粗骨材にかんらん岩砕石(表乾密度 3.23g/cm3)を使用したコンクリートついて若干の検討を行った。
2.使用材料
100
90
通過質量百分率(%)
表-2に使用した骨材の試験結果を、図-1に細骨材のふるい
分け試験結果を示す。なお、セメントは高炉セメント B 種を用い
表-2
た。
3
単位容積質量
(kg/l)
実積率
(%)
粗粒率
絶乾
表乾
吸水率
(%)
砕砂
2.56
2.59
1.35
1.67
65.3
2.94
愛媛産(砂岩)
CUS2.5
3.50
3.51
0.41
2.09
59.7
2.53
S社製
2.58
2.61
1.00
1.49
57.8
6.74
愛媛産(砂岩)
骨 材 種 別
細骨材
密度(g/cm )
骨材試験結果
粗骨材 砕石2005
備 考
CUS2.5
80
70
60
50
40
30
20
CUS2.5
JIS A 5011-3
10
0
1000 1
90
砕砂・混合砂
通過質量百分率(%)
3.試験内容および結果
(1)フレッシュコンクリートの試験
消波ブロックへの適用を考慮し、試験練り目標値はスランプ
=8cm,空気量=4.5%とした。試験においては、水セメント比 60%
1
10
80
70
60
50
砕砂
混合率30%
混合率50%
混合率60%
混合率75%
JIS A 5005
40
30
20
10
において CUS 混合率を0~100%まで6段階に変化させ、さらに
0
0.1
CUS 混合率 50%において水セメント比を 55~65%の範囲で変化
1
ふるい目の寸法(mm)
図-1
させた。表-3に試験配合およびフレッシュコンクリートの試験
10
細骨材試験結果
結果を示す。コンクリートの単位容積質量は砕砂のみ使用の場合では 2.25t/m3 であったのに対して CUS
混合率 50%の場合では 0.15 程度増加した。
図-2に水セメント比 60%での CUS 混合率と単位水量および AE 剤量の関係を示す。単位水量は
表-3 試験配合およびフレッシュコンクリート試験結果
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
ケース
C0-60
C30-60
C50-60
C60-60
C75-60
C100-60
C50-55
C50-65
W/C
(%)
S/a
(%)
CUS
混合率
(%)
60.0
60.0
60.0
60.0
60.0
60.0
55.0
65.0
46.7
46.7
46.2
46.0
45.7
45.0
45.2
47.2
0
30
50
60
75
100
50
50
単 位 量(kg/m3)
水
180
172
169
168
166
163
165
171
セメント
300
287
282
280
277
272
300
264
砕砂
818
584
414
332
207
0
404
426
銅スラグ 普通砕石
0
339
562
674
840
1,109
548
577
940
958
973
979
990
1,010
990
960
AE減水剤
AE剤
1A=C*0.001%
C×0.25%
C×0.25%
C×0.25%
C×0.25%
C×0.25%
C×0.25%
C×0.25%
C×0.25%
5.0A
2.0A
1.5A
1.0A
0.5A
0.5A
1.5A
1.5A
計
2,238
2,340
2,400
2,433
2,480
2,554
2,407
2,398
スランプ
(cm)
8.0
6.5
8.5
8.5
8.0
6.5
9.5
9.5
キーワード:銅スラグ,高比重コンクリート
連絡先:〒300-0006
土浦市東中貫町2-7
TEL 029-831-7411
-925-
FAX 029-831-7693
空気量 単位容積
(%) 質量(t/m3)
4.6
3.9
4.8
5.3
4.5
4.8
5.0
5.0
2.246
2.360
2.396
2.428
2.471
2.523
2.390
2.384
土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)
CUS 混合率の増大に伴い減少した。また、AE 剤量は CUS 混合率
190
の増大に伴い減少した。この原因としては砕砂の微粒分による AE
185
図-3に CUS・砕砂混合砂の粗粒率と試験練りにおける最適細骨
材率との関係を示す。なお、図中の普通細骨材は海砂 60%,砕砂
単位水量W(kg/m3 )
剤の吸着などが考えられる。
6.0A
W/C=60%,スランプ=8cm,空気量=4.5%
40%の条件での標準的な配合の値であり、参考値である。参考値と
5.0A
○:単位水量
△:AE剤量
180
4.0A
175
3.0A
170
2.0A
165
1.0A
160
AE剤量
V-463
0.0A
比較すると、砕砂 100%使用の場合では、最適細骨材率は1%程度
0
20
40
60
80
100
混合率(%)
大きめであり、FM 補正を考慮しても 0.5%程度大きめであった。ま
図-2
CUS 混合率と単位水量および AE 剤量
た、CUS 混合率 30%では砕砂 100%の場合と同程度の細骨材率で
47.0
あったが、CUS 混合率 30%以上に関しては粗粒率の減少に伴い最
図-4は水セメント比と単位水量および最適細骨材率の関係であ
46.0
混合率60%
混合率75%
45.5
45.0
る。W/C の増加に伴い細骨材率は増加し、一般的な W/C 補正が成
混合率100%
W/C=60%,スランプ=8cm,空気量=4.5%
2.5
く低減された。CUS 混合率 50%以外で W/C を変化させたケースを
単位水量W(kg/m 3)
図-5に CUS 混合率ごとの材齢7日および 28 日圧縮強度を示す。
28 日とも CUS 混合率によらず概ね同等の強度であった。
材齢7日,
詳細には CUS 混合率 75%以上で若干圧縮強度が小さめであった。
48.5
48.0
W/C
S/a
170
47.0
168
46.5
167
46.0
166
45.5
45.0
混合率=50%,スランプ=8cm,空気量=4.5%
164
44.5
54
56
58
材齢7日
材齢28日
圧縮強度(N/mm2 )
30
20
10
0
0
30
50
60
75
100
混合率(%)
圧縮強度の関係も示した。このとき CUS 混合率は 50%である。粗
図-5
骨材にかんらん岩を使用した場合でも一般的な傾向を示すことが確
50
CUS 使用コンクリートの圧縮強度
混合率=50%,スランプ=8cm,空気量=4.5%
40
2
圧縮強度(N/mm )
2.67t/m3 であった。
30
○:材齢28日(普通砕石)
●:材齢7日( 〃 )
20
CUS を使用したコンクリートにおいて、CUS 混合率の変化によ
-926-
66
W/C と単位水量および細骨材率
W/C=60%,スランプ=8cm,空気量=4.5%
図-6には粗骨材にかんらん岩を使用した場合のセメント水比と
とが可能であることを確認した。
64
40
(3)かんらん岩砕石との組み合わせに関する検討
骨材にかんらん岩を組み合わせることによりさらに高比重とするこ
62
50
大きくなると言われており、材齢7,28 日だけでは評価し難い。
る配合および圧縮強度について系統的にその特性を得た。また、粗
60
水セメント比W/C(%)
図-4
コンクリートは CUS を用いないコンクリートに比べて長期強度が
4.まとめ
47.5
169
分との付着性状が違う事などが考えられるが、CUS 細骨材を用いた
可能であることが確認された。
3.0
混合砂の粗粒率と細骨材率
165
この要因として、ガラス質であるためコンクリート中のペースト部
以上により CUS とかんらん岩の併用でさらに高比重とすることが
2.9
171
(2)圧縮強度試験
認された。なお、このときの単位容積質量は
2.7
2.8
混合砂の粗粒率
172
セメントを含む粉体量が不足するためではないかと考えられる。
一般的な傾向を示すことが確認された。
2.6
図-3
実施していないので明確にはならないが、これは W/C の増加により、
とも圧縮強度はセメント水比の増加に対してほぼ直線的に増加し、
普通細骨材
(海砂60%+砕砂40%)
44.5
り立つことが確認された。また、単位水量は W/C の減少に伴い大き
図-6にセメント水比と圧縮強度の関係を示す。材齢7日,28 日
混合率0%
(砕砂100%)
混合率50%
細骨材率S/a(%)
成り立つことが確認された。
混合率30%
46.5
細骨材率S/a(%)
適細骨材率も減少しており、CUS 混合率 30%を基準に FM 補正が
10
1.50
△:材齢28日(かんらん岩)
▲:材齢7日( 〃 )
1.55
図-6
1.60
1.65
1.70
1.75
セメント水比C/W
1.80
セメント水比と圧縮強度
1.85