鉄筋コンクリート造耐震壁のせん断破壊形式と 曲げ降伏後のせん断破壊

鉄筋コンクリート造耐震壁のせん断破壊形式と
曲げ降伏後のせん断破壊時変形の評価法
FAILURE MODE IN SHEAR AND EVALUATION OF DEFORMATION CAPACITY
AFTER FLEXURAL YIELDING FOR REINFORCED CONCRETE SHEAR WALL
勅使川原 正臣*,川崎 愛**,田内 浩喜***,中村 聡宏****,日比野 陽*****
Masaomi TESHIGAWARA, Manami KAWASAKI, Hiroki TAUCHI, Akihiro NAKAMURA and Yo HIBINO
The shear failure of reinforced concrete shear wall brought by diagonal strut inside of wall panel can be classified into two types regardless of
before or after flexural yielding: 1) shear failure of wall panel; and 2) compression failure of concrete at the bottom of boundary column. In
reinforced concrete shear wall, transition of neutral axis which has greatly effects on the shear strength under plastic deformation is not
considered in evaluation of deformation capacity on present standards. This paper presented a method to evaluate the deformation capacity of
reinforced concrete shear walls considering failure mode based on following assumptions: 1) area of compression field is being reduced in
accordance with increasing plastic deformation; and 2) shear failure occurs when the stress of the compression field reaches to the compressive
strength of concrete at the wall panel or boundary column. The presented method was verified by applying to 33 test results; however,
evaluation of confined effect by the boundary columns and ultimate strain of concrete should be considered.
Keywords: Shear wall, Failure mode, Deformation capacity, Neutral axis, Shear failure, Ultimate strain
耐震壁,破壊形式,終局変形,中立軸,せん断破壊,終局ひずみ
1. はじめに
耐震壁は曲げ降伏後に危険断面での中立軸位置が圧縮側に移動し,
鉄筋コンクリート造耐震壁の終局変形は,壁板のせん断破壊(ス
それに伴ってせん断力を伝達する圧縮束の有効幅が小さくなると考
リップ破壊を含む),壁板と枠柱の圧壊,曲げ降伏後の壁板のせん断
えられる。しかしながら,耐震診断基準や靱性指針では,このよう
破壊,曲げ降伏後の枠柱脚部圧壊(曲げ圧壊)のいずれかにより決
な中立軸位置の変化は考慮されていない。
定される。
そこで本研究では,塑性変形に応じて,せん断力の伝達に有効な
曲げ降伏前のせん断破壊,壁板と枠柱の同時圧壊は脆性的な破壊
コンクリート圧縮幅が減少し,壁板の圧縮破壊が生じると考えるこ
形式となりやすく,終局変形能力はそれほど大きくない。一方で,
とにより,曲げ降伏後の耐震壁の終局変形(せん断破壊時の変形)
曲げ降伏後の曲げ圧壊により終局に至る耐震壁の終局変形は,文献
を評価する方法を提案する。耐震壁の圧縮側脚部は多軸応力下の非
1)
常に複雑な応力状態の下にあると考えられるが,その応力状態を計
により圧縮側柱に作用する軸力の大きさに依存するとされている。
曲げ降伏後にせん断破壊する耐震壁の終局変形能力は,2007 年度版
算で把握することは非常に難しいため,壁板の圧縮強度と鉛直方向
建築物の構造関係技術基準解説書 2)(以下,技術基準書)では,τu/Fc
の圧縮強度に分類して考慮する方法を試みる。提案したメカニズム
2
(τu:耐震壁に生じる平均せん断応力度(N/mm ),Fc:コンクリート
を筆者らの実験と比較して検証するとともに,既往の実験結果に適
の圧縮強度(N/mm2))のレベルで分類される。また,2001 年改訂版
用し,その妥当性について検討を行う。なお,スリップ破壊につい
既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準同解説
3)
(以下,耐
震診断基準)では,せん断余裕度 Qsu/Qmu(Qsu:せん断終局強度,
ては,その破壊メカニズムが異なるため,本研究では除外すること
とした。
Qmu:曲げ終局時せん断強度)により評価される。さらに,鉄筋コン
クリート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解説
4)
(以下,靱性
2. 耐震壁のせん断抵抗機構
指針)では,コンクリートの圧縮強度の有効係数を塑性回転角に応
耐震壁に作用するせん断力は主に壁板のアーチ・トラス機構によ
じて低下させ,せん断強度と曲げ終局強度時せん断力が一致する回
る圧縮束により圧縮側柱脚部に伝達されると考えられる(図 1)。圧
転角を,耐震壁の終局変形能力と評価している。
縮側柱脚部の抵抗圧縮束の幅は中立軸深さ Xn である。したがって,
* 名古屋大学大学院環境学研究科 教授・工学博士
(独立行政法人建築研究所 客員研究員)
** 株式会社 魚津社寺工務店
*** 日揮株式会社 修士(工学)
**** 名古屋大学大学院環境学研究科 大学院生・修士(工学)
***** 東京工業大学応用セラミックス研究所 助教・博士(工学)
Prof., Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University, Dr.Eng.
(Visiting Research Engineer, Building Research Institute.)
Uotsu Construction Corporation.
JGC Corporation, M.Eng.
Graduate Student, Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University, M.Eng.
Assist. Prof., Materials and Structures Laboratory, Tokyo Institute of Technology, Dr.Eng.
1
その時に生じる圧縮束の応力が応力伝達機構により壁板圧縮側柱脚
圧縮端が圧縮強度 σB に達した時の中立軸深さ位置 Xn-Dc における圧
部の最大強度に達することで,耐震壁は終局に至ると考えられる。
縮応力度(=σB(Xn-Dc)/Xn),ac:圧縮側の柱主筋断面積(mm2),cσy’:平
また,上記の仮定により,せん断破壊する耐震壁の破壊形式(図
面保持を仮定して算出した圧縮側柱主筋の圧縮応力度(N/mm2)
2)は,主筋の降伏を仮定している場合には「曲げ降伏後のせん断破
以上より,壁板作用荷重が壁板圧縮耐力に達している時点で鉛直
壊」と「曲げ圧壊」になり,主筋の降伏を仮定していない場合は「壁
作用荷重が鉛直耐力に達していない場合は「壁板で圧壊」となり,
板のせん断破壊」と「壁板と柱の同時圧壊もしくは柱圧壊先行によ
る壁板破壊(柱の圧壊を伴うせん断破壊)」の 2 つになると考えられ
軸力 N
せん断力 Q
鉄筋の引張力
る。これらの違いは耐震壁の応力が最も集中する壁板圧縮側柱脚部
において,壁板から伝わる応力がどの危険断面でコンクリートの圧
縮強度に達するかという違いから生じるものである。すなわち,図
アーチ機構
=
トラス機構
+
3 のように a-b 断面がコンクリートの圧縮強度に達すれば「曲げ降
伏後のせん断破壊」もしくは「壁板のせん断破壊」となり,図 4 の
ように a-c 断面がコンクリートの圧縮強度に達すれば,「曲げ圧壊」
もしくは「柱の圧壊を伴うせん断破壊」となる。この破壊メカニズム
の仮定により,多軸応力下にある圧縮側脚部の破壊に起因する耐震
コンクリートの
圧縮力
Xn
壁板圧縮側柱脚部
(ア)アーチ・トラス機構によって (イ)トラス機構
伝達されるせん断力
図1
(ウ)アーチ機構
作用せん断力による壁板柱脚部への応力伝達機構
Q
壁のせん断破壊モード(2 章,3 章),ならびに曲げ降伏後のせん断
曲げ強度 Qmu
せん断強度 Qsu
破壊時変形(4 章)を評価しようとするものである。
曲げ降伏後のせん断破壊
曲げ圧壊
2.1 壁板のせん断破壊
壁板のせん断破壊は,壁板に生じる圧縮束によって伝達される力
Qe (=Q/sinθ)が図 3 の a-b 断面のコンクリートの圧縮強度に達するこ
壁板のせん断破壊
とで生じると考える。枠柱のない耐震壁は図 3(a)の a-b 断面のコン
柱の圧壊を伴うせん断破壊
δ
クリートが圧縮強度 σB’(=XntwσBcosθ)に達した時に壁板が圧壊すると
図2
考え,壁板の作用荷重 Qe に対する耐力 Eθ は,(1.a)式で表される。
Q
壁板
また,枠柱を有する耐震壁は図 3(b)の(A)の部分も有効断面として考
枠柱
Q
壁板
枠柱
Qe
慮し,図 3(b)の a-b 断面が圧壊すると考えると,その耐力 Eθ は(1.b)
式で表される。
 X n t w B cos 

E  

 X n  Dc  
 X n t w B cos    bc  tw   X n cos   cos    B



耐震壁の破壊形式
Qe
Eθ
b
θ
a
(1.b)
Eθ
θ d
(1.a)
c
θ d
b
θ
a
c
σB’
σB’
ここに,Xn:平面保持を仮定して算出した中立軸位置(mm),tw:壁
厚(mm),σB:コンクリートの圧縮強度(N/mm2),θ:圧縮束の角度,
bc:柱幅(mm),Dc:柱せい(mm)
(A) 枠柱有効断面
tw
Xn
壁板
よって,最大強度 Qmax で「曲げ降伏後にせん断破壊」もしくは「壁
tw
Xn
壁板
板が圧壊」する時の条件式は(2)式となる。
Qmax sin   E
bc
Dc
Dc
(2)
Eθ=Xntw σB cosθ
Eθ=Xn tw σB cosθ
+ (bc − tw)(Xncosθ − (Xn−Dc) / cosθ)σB
2.2 柱の圧壊を伴うせん断破壊
せん断ひび割れが柱型を貫く「柱の圧壊を伴うせん断破壊」は,
柱脚部に作用する鉛直荷重 Q/tanθ が最大耐力 Ne(=Qmax/tanθ)となり,
(b) 枠柱のある耐震壁
(a) 枠柱のない耐震壁
図3
壁板 a-b 断面圧壊時の柱脚部反力
図 4 の a-c 断面において,コンクリートの圧縮応力が三角形分布で
Qmax
壁板
圧縮縁において σB となるとき,終局に達すると生じると考えた。実
枠柱
Ne
際には圧縮側コンクリートには矩形のストレスブロックを仮定する
ことが多いが,本研究では「圧縮端のコンクリートが終局強度に達
Ev
すると圧壊し始める」という仮定に基づいて設定し,後述する実験
a
において確認を行った。よって,最大耐力時の荷重 Qmax がコンクリ
ートの圧縮耐力と平面保持を仮定して求めた圧縮側主筋負担分
accσy’を加えた圧縮強度に達すると考えると,柱の圧壊を伴うせん断
tw
破壊の圧縮側柱脚部における耐力 Ev は(3)式で表すことができる。
Ev 
Qmax
 0.5tw b  X n  Dc   0.5bc Dc  b   B   ac c  y
tan 
(3)
ここに,σb:中立軸深さ Xn の圧縮域の応力が三角形分布となるとき,
壁板
θ d
b
θ
σy’
Xn
σy’
c
σB
bc
Dc
Ev=0.5tw σb (Xn−Dc) + 0.5bcDc (σb + σB)+ accσy’
図4
壁板 a-c 断面圧壊時の柱脚部反力
2
表1
各試験体パラメータと実験時破壊形式
枠柱
梁
試験体
有
断面
壁筋比
主筋
無
(mm×mm)
(%)
(a) BC-W90-1.3
有
300×300
6-D13
(b) NC-W90-1.3
無
120×300
0.53
(1.3%)
(c) BC-W90-2.1
有
240×240
25
864
(d) BC-W48-1.3
有
300×300
4-D13
0.21
(0.9%)
(e) NC-W48-1.3
無
120×300
※
「壁」は壁板の圧壊,「柱・壁」は柱の圧壊を伴うせん断破壊を示す。
Fc
(N/mm2)
軸力
(kN)
500
0.90
M/QD
1.3
2.1
0.48
1.3
Ne
(kN)
Ev
(kN)
Qe
E
Ne
Ev
Qe E
N e Ev
判別の
破壊形式※
壁
柱・壁
柱・壁
壁
柱・壁
4052
2962
3594
3772
3318
2785
3038
2645
2757
3011
3504
2612
3367
3257
2904
3483
2819
2793
3404
2743
1.46
0.97
1.36
1.37
1.10
1.01
0.93
1.21
0.96
1.06
1.45
1.04
1.12
1.43
1.04
壁
柱・壁
柱・壁
壁
柱・壁
120
300
壁筋 2-D6(SD295A)@100
柱主筋
10-D25(SD490)
120
120
300
(c) BC-W90-2.1
2600
3200
300
240
300
(a) BC・NC シリーズ試験体の配筋図
(例 BC-W90-1.3)
図5
柱主筋
10-D25(SD490)
120
700
240
(d) BC-W90-2.1 試験体の柱断面
Ne / E v
Qe / Eθ
=1.4
(d)
(b)
0.5
(c) NC-W90-1.3・NC-W48-1.3
試験体の柱断面
柱帯筋 2-D6(SD295A)@100
(a)
(e)
Ne / Ev
200
2800
800
Eθ
(kN)
1
(b) BC-W90-1.3・BC-W48-1.3
試験体の柱断面
200
Qe
(kN)
(c)
梁主筋 6-D13(SD295A)
800
破壊
形式※
1.5
柱主筋
10-D25(SD490)
300
柱主筋 10-D25(SD490)
800
壁板
Pwhe
(%)
0
(b) NC-W90-1.3
0
0.5
(a) BC-W90-1.3
1
1.5
Qe / Eθ
図6
最大耐力時における断面応力の関係
を複数回繰り返した。コンクリートの短期許容せん断応力度 τcs は,
文献 6)に基づき算出し,1.13 (N/mm2)を用いた。
せん断破壊型耐震壁の試験体寸法及び配筋図
表 1 より,実験ではシアスパン比が 1.3 で枠柱を有する試験体((a)
壁板作用荷重が壁板圧縮耐力に達する以前に,鉛直作用荷重が鉛直
BC-W90-1.3, (d) BC-W48-1.3)で壁板が圧壊し,枠柱を有しない NC
耐力に達する場合は,「柱の圧壊を伴うせん断破壊」となる。
シリーズ試験体((b) NC-W90-1.3, (e) NC-W48-1.3)とシアスパン比を
また,圧縮側壁板脚部へのせん断力の作用角度 θ は,図 3, 4 の危
2.1 とする試験体((c) BC-W90-2.1)で柱の圧壊を伴うせん断破壊とな
険断面 a-c に作用する鉛直荷重とせん断力の鉛直成分である Q/tanθ
った。そこで,実験時の最大耐力に基づき,(1.b)式,(2)式,(3)式を
が等しい条件から,(4)式として求められる。
用いて,提案するメカニズムと各試験体の破壊形式の評価を行った。


Q

  arctan 
 N a  a   
t t y
tw t wy 

(4)
2
2.2 節にも記述したように,コンクリートの応力は三角形分布にな
っていると仮定し,コンクリートの応力-ひずみ関係は線形関係を
仮定している。表 1 中に,計算によって求めた最大耐力時における
ここに,at:引張側の柱主筋断面積(mm ),tσy’:平面保持を仮定して
各試験体の危険断面作用力と耐力を示した。計算結果を図 6 に示す。
算出した引張側柱主筋の応力度(N/mm2),atw:引張側壁筋の断面積
横軸は壁板荷重耐力比 Qe /Eθ,縦軸は鉛直荷重耐力比 Ne /Ev を表し,
2
(mm ), tσwy’:平面保持を仮定して算出した引張側壁筋の応力度
2
(N/mm )
表中の記号は試験体を表す。図中には各試験体のひび割れ図もあわ
せて示した。
図 6 より,壁板で圧壊した試験体((a), (d))は壁板耐力に対して 1.4
3. せん断破壊型耐震壁の破壊形式
倍ほどの荷重が作用しているのに対し,鉛直荷重は最大耐力時に鉛
筆者らはせん断破壊型鉄筋コンクリート造耐震壁の枠柱の有無と
直耐力の 1.0 倍程度しか作用していない。一方,柱と壁板が圧壊し
せん断スパン比をパラメータとした連層耐震壁の実験を行い,枠柱
た試験体((b), (c), (e))は壁板耐力に対して 1.0~1.4 倍ほどの荷重が作
と破壊形式の関係について検討を行った。試験体パラメータと実験
用している時点で,鉛直作用荷重が耐力の 1.0~1.2 倍ほど作用して
結果および試験体形状をそれぞれ表 1,図 5 に示す。枠柱を有する
いる。つまり,壁板作用荷重が壁板耐力に達していても,鉛直荷重
試験体を BC シリーズ,有しない試験体を NC シリーズとする。壁
が耐力に達するまで余裕がある場合には壁板が圧壊し,壁板作用荷
厚はすべて 120mm とし,枠梁は「破壊形式への影響は小さい」と
重と鉛直作用荷重がほぼ同比率で各耐力に達している場合は枠柱と
する筆者らの実験結果
5)
に基づき,すべて省略した。軸力は,枠柱
を有する試験体で枠柱断面の軸力比が 0.2 となるようにし,枠柱を
有しない NC シリーズの試験体には,BC シリーズの試験体と同一の
壁板が同時に圧壊すると考えられる。これらの実験結果は破壊形式
を想定する手段として提案した破壊メカニズムと合致している。
実験結果より考察すると,せん断破壊型耐震壁の枠柱の設計にお
軸力を作用させた。BC, NC シリーズ試験体の載荷は,コンクリート
いて,壁板荷重耐力比 Qe /Eθ と鉛直荷重耐力比 Ne /Ev の比,((Qe /Eθ)/(Ne
の短期許容せん断応力度 τcs を基準とした荷重制御とし,壁板の断面
/Ev))は 1/1.4 程度(図 6 中の右下の直線)より小さくすることが望ま
積に対するせん断応力度を 2.5τcs まで 0.5τcs 刻みで加力した。その後
しい。さらに,コンクリートの拘束効果等を考慮することにより,
は,試験体頂部の変形角 R(頂部変形を試験体内法高さ(2800 mm)
精度の向上が期待できる。
で除した値)による制御とし,所定のサイクル(R=1/500, 1/250, 1/150)
3
4. 曲げ降伏後の耐震壁の変形性能評価
Q
4.1 変形性能評価式
曲げ降伏型耐震壁の曲げ降伏後の変形性能評価を行うため,前述
のメカニズムに立脚した限界変形角評価方法の提案を行う。
fu=εu/Xn
評価の前提条件として,指標とする変形角 Ru は曲げ降伏後にせん
R=fulp
h
断破壊したときの壁全体の変形角とし,τ は最大耐力時のせん断力
Qmax を壁全幅 lw と等価壁厚 twe(≤1.5tw)で除した値とする。また,曲げ
lp
fu
εu
降伏後にせん断破壊するのは図 3 の a-b 断面のコンクリートが圧縮
破壊するときと考え,a-c 断面では破壊しないものとし,その時の最
fu
Xn
(b) 変形量の分布
(a) 危険断面位置のひずみ分布
外縁での終局ひずみ εu は変数としている。上記条件をもとに,耐震
図7
壁の変形を図 7 のように仮定する。耐震壁の終局時変形角 Ru はヒン
耐震壁の変形の条件
ジ領域の変形角が卓越すると仮定し,終局時曲率 u (1/mm)とヒンジ
もしくは,急激な耐力低下を生じているものとし,スリップ破壊を
領域長さ lp (mm)を用いて(5)式のように表す。このとき,せん断変形
除く,壁板の圧壊または壁板端部のせん断破壊によって終局に至っ
は曲げ変形に対して十分小さいとして考慮しない。
た試験体を対象とした。表 2 に既往の文献を参照して求めた試験体
(5)
Ru  u l p
ここに,Ru:最大変位の地上 1 階スラブ面に対する変形角(rad)
同様に,終局時曲率 u は中立軸位置 Xn と最大耐力時の危険断面位
の詳細と計算結果を示す。また,用いた試験体の荷重-変形関係お
よび最終破壊状況の一例 7)を図 8 に示す。終局変形角 Ru は最大強度
時の変形角として,文献中の記述あるいは図 8(a)のように荷重-変
形関係曲線の図から推定した。例として示した図 8(b)の試験体は,
置のコンクリートのひずみ εu を用いて(6)式のように表す。
(6)
u   u X n
曲げ降伏後に壁板の圧壊が先行して柱の圧壊が引き起こされたと判
ここに,εu:危険断面におけるコンクリートの終局ひずみ(εu=γεu’),
断した。コンクリートの終局ひずみ εu は文献から判断することがで
εu’:図 3 の a-b 断面におけるコンクリートの終局ひずみ,γ:コンク
きないため,参考として,(10)式に実験結果を代入して計算した。
リートの終局ひずみの補正係数
また,文献 1)によれば,鉛直荷重 Cc と枠柱のみを考慮した耐力 CD
曲げ終局強度 Mu は,文献 2)より,(7)式のように表すことができる
ため,曲げ終局時せん断力 Qmu は(8)式となる。その時の鉛直荷重は,
文献 1)の Cc であり,せん断力の鉛直成分である Q/tanθ に相当するこ
の比である軸力比 ηc((11)式)が耐震壁の曲げ圧壊時の変形性能の
指標とすることができるとされていることから,表中に示した。
(11)
  C C  N a a 
bD   a 
c
c
D

t
y
wy
wy

c
B
g
y

とから,(9)式が導出できる。このときの角度 θ は(4)式と同じもので
ここに,awy:壁縦筋の断面積(mm ),σwy:壁縦筋の降伏強度(N/mm2),
ある。
ag:柱主筋の断面積(mm2)
M u  at y lw  0.5awy wy lw  0.5 Nlw
(7)
Qmu  M u h
(8)
 a   0.5a
tan  
N  a
t
y
t
wy
y
 wy  0.5 N  lw
 awy wy  h
2
なお,文献 1)の軸力比 ηc は,本稿で述べた評価方法と同様の理論に
よるものであるが,実験的検証から簡略化されており,柱での耐力
(9)
のみを期待したものである。
表 2 の試験体のせん断余裕度 Qsu/Qmu と終局変形角 Ru の関係を図
9 に示す。せん断強度 Qsu は(12)式より,曲げ終局時のせん断力 Qmu
は(8)式より算出した。
ここに,h:加力点高さ(mm),lw:耐震壁両側柱の中心間距離(mm)
 0.068 p 0.23  F  18 

te
c
 0.85 pwy wy  0.1 0  t we j
Qsu  
 M  QD   0.12

よって,(5)式に(6)式と(1.a)式,(2)式を代入し,ヒンジ長さ lp を片
持ち梁と同様に部材せい(壁長さ)lw とし,壁長さと壁高さの比を
(hlw の時)α=h/lw と,τ=Qmax/(tw×lw)
考慮した lp=αlw,(h<lw の時)α=1,
2)
(12)
ここに,pte:等価引張鉄筋比(100at/(ted)) (%),pwy:tw を厚さと考え
において変形性能評価のパラメー
た場合の耐震壁のせん断補強筋比,σwy :せん断補強筋の材料強度
タである τ/σB の関数となる(10)式の終局変形角 Ru の評価式が導かれ
(N/mm2),σ0:耐震壁の全断面積に対する平均軸応力度(N/mm2),j:
る。
応力中心距離(mm)
の関係を用いると,技術基準書
Ru 
 u sin 2
2  /  B 
(10)
図 9 より,せん断余裕度 Qsu/Qmu が大きいほど変形性能が高い傾向に
あるが,ややバラツキが見られ,適切に評価できているとは言い難
従って,せん断破壊型の耐震壁の場合には,(1.a)式,(1.b)式,(2)式,
い。
(3)式によって,壁板の破壊か枠柱と壁板の破壊かが判別でき,曲げ
次に,各試験体の τu/σB と終局変形角 Ru の関係を図 10 に示す。点
降伏後せん断破壊する耐震壁の場合には,(10)式によって終局変形
種の違いは文献を表し,曲線は(10)式においてコンクリートの終局
角を算出することができる。
ひずみ εu をそれぞれ 0.2%, 0.3%, 0.4%, 0.5%とした場合の終局変形角
4.2 変形角の評価
Ru を表す。実曲線は選定した試験体諸元から(9)式によって求めた角
終局変形角の評価式((10)式)の精度を検証するため,曲げ降伏
後にせん断破壊した既往の実験結果
7)-18)
より,試験体 33 体を選定し,
評価式との比較を行った。選定基準は,曲げ降伏後に脆性的な破壊
度 θ=45°と lp=lw で求めたものであり,破曲線は角度 θ=45°でヒンジ
長さ lp を壁高さ h として求めたものである。また,参考として技術
基準書
2)
で説明されている耐震壁の曲げ降伏後の変形性能の指標で
4
表2
*2
文献
7)
8)
9)
10)
11)
12)
13)
14)
15)
16)
17)
18)
試験体
1W0.32H2
1W0.32H3
1W0.40C1
1W0.32H
1W0.40H
1W0.50H
T1-F型
T1-B型
T1-R型
T2-R型
79W402
79W403
79W209
79W210
76W101
76W201
77W202
77W203
77W205
77W206
302
402
404
406
W2BF-N1
W2SF-N2
W4BF-N0
W4BF-N1
W4SF-N2
NW-2
P2005
C2015-C
P2015-C
加力
Fc
せん断
*1
方法 スパン比 (N/mm2)
頂部
頂部
1.3
0.5
30
30
27
21
19
15
27
28
27
27
24
20
30
25
20
31
22
17
18
15
26
23
19
24
30
31
33
36
34
94
28
頂部
0.5
39
頂部
0.8
頂部
0.8
頂部
0.6
頂部
1.0
各層
1.3
頂部
1.3
頂部
1.3
各層
1.0
0.8
各層
1.5
既往の文献の試験体一覧
壁板
柱
梁
*9
*4
*6
*8
N
*3
*5
*7
σy
壁筋比 σ wy
主筋比 帯筋比
梁筋比 σ by
l w ×t w
b c ×D c
b b ×D b
(kN)
2
2
2
(%)
(%)
(%)
(%)
(mm×mm)
(N/mm ) (mm×mm)
(N/mm ) (mm×mm)
(N/mm )
1.63
2250×80
1.02
0.23
422
250×250
328
250×250
0.81
328
368
0.81
2250×100
1.63
0.23
2250×80
0.23
359
250×250
1.63
0.23
320
250×250
0.81
320
368
2250×100
ηc
0.35
0.29
0.38
0.45
0.50
0.60
0.62
0.63
0.66
0.65
0.59
0.63
0.38
0.44
0.46
0.38
0.82
0.97
0.39
1.67
0.50
0.62
0.70
0.62
0.42
0.68
0.31
0.44
0.70
0.73
0.48
0.47
0.47
2250×125
1500×25
1350×45
1350×60
1350×45
1350×30
1350×45
0.53
341
180×50
95×95
2.13
3.55
50×180
3.56
0.47
301
-
-
-
88
0.72
0.24
229
150×150
4.52
0.28
370
150×150
1.27
2.26
370
132
0.24
263
150×150
2.53
0.28
314
150×150
1.27
314
132
473
150×150
1.28
2.53
0.28
315
150×150
1.46
1.46
315
132
529
150×150
2.53
0.28
369
150×150
1.27
369
3.20
1.00
286
80×50
1.30
0.24
0.72
294
1350×45
0.24
260
0.21
550×30
1120×50
223
0.40
0.62
0.26
120×50
4.30
1.60
1.58
4.77
375
0.43
150×120
2.82
1700×80
2000×100
0.53
0.85
1050
391
200×200
200×200
8.46
2.14
1.27
2000×100
0.85
369
200×200
3.81
0
686
375
346
242
47
0.70
0.64
776
361
-
-
-
108
183
0
131
207
1764
118
0.53
364
-
-
-
118
575
381
0.33
150×150
1.26
425
384
*10
*11
Q max
(kN)
τ u /σ B
Q su /Q mu
716
559
744
625
686
675
120
108
109
125
326
327
277
227
159
215
252
210
170
231
93
111
113
113
213
462
157
209
411
1353
1000
1565
1677
0.09
0.07
0.09
0.11
0.12
0.13
0.08
0.08
0.09
0.10
0.19
0.19
0.13
0.17
0.12
0.10
0.12
0.13
0.10
0.17
0.14
0.20
0.24
0.19
0.11
0.24
0.08
0.09
0.19
0.10
0.14
0.16
0.17
1.03
0.93
1.03
0.91
0.93
0.91
0.89
0.74
0.67
0.68
0.99
1.17
1.70
1.16
1.72
1.65
0.81
0.76
1.17
0.66
0.82
0.59
0.55
0.59
0.97
0.51
1.25
1.17
0.66
1.08
0.93
0.76
0.76
Ru
*12
*13
(×10 rad.)
εu
(%)
10.0
10.0
10.0
10.2
11.5
11.0
9.0
9.0
9.0
7.3
9.1
10.2
10.0
10.0
20.0
14.0
14.7
12.3
10.0
5.7
16.7
8.5
8.5
14.9
15.3
6.9
15.9
21.0
10.7
15.0
6.7
9.0
12.0
0.18
0.15
0.19
0.23
0.28
0.29
0.15
0.14
0.16
0.14
0.50
0.53
0.40
0.50
0.76
0.42
0.53
0.48
0.25
0.29
0.50
0.35
0.42
0.59
0.36
0.34
0.32
0.55
0.54
0.39
0.18
0.29
0.42
-3
*1 頂部:最上層頂部に片押し載荷,各層:逆三角形分布で各層の梁に片押し載荷,*2 コンクリートの一軸圧縮強度,*3 lw:壁板内法寸法,lw:壁厚,*4 壁筋降伏強度,*5 bc:
柱幅,Dc:柱せい,*6 柱主筋降伏強度,*7 bb:梁幅,Db:梁せい,*8 梁主筋降伏強度,*9 試験体に作用させた全軸力,*10 (11)式の軸力比,*11 最大耐力(図 8(a)参照),
*12 最大耐力 Qmax 時の変形角(図 8(a)参照),*13 (10)式に Ru の実験値を代入し求めたコンクリートの終局ひずみ
30
7), 8)
9)
10)-13)
14)
15)
16)
17), 18)
25
終局変形角 Ru (×10 -3 rad)
Qmax
Ru
20
15
10
耐震診断基準による Ru
5
(a) 荷重-変形関係
0
0
0.5
図9
WA
1
Qsu / Qmu
1.5
2
終局変形角 Ru-Qsu/Qmu 関係
WB WC
30
εu = 0.3%
εu = 0.4%
εu = 0.5%
-3
(b) 最終破壊後ひび割れ図
図8
1W0.32H37)の破壊状況
ある耐力壁の部材種別(表 3 参照)も図上に示した。
図 10 より,実験値より得られた終局変形角 Ru は τu/σB に反比例し
て変化する傾向があり,コンクリートの終局ひずみ 0.2%~0.4%の間
に概ね分布している。技術基準書
2)
終局変形角 Ru (×10 rad)
25
20
15
εu = 0.2%
10
A
5
の評価方法を用いた場合も,概
ね評価できることが確認できる。図中の A グループは τu/σB が 0.2 以
lp =0.75lw
(εu = 0.2%)
0
0
0.05
下であるものの変形性能が低く,実曲線とはやや離れているが,こ
れらの試験体は壁が柱に対して偏心しているもの
7), 8)
や柱型が小さ
7), 8)
9)
10)-13)
14)
15)
16)
17), 18)
図 10
0.1
0.15
τu / σB
0.2
0.25
0.3
終局変形角 Ru-τu/σB 関係
5
表3
部材
次に,(10)式によって試験体別に求めた終局時変形角の実験値と
耐力壁の部材種別
壁式構造以外の
構造の耐力壁
τu/σB の値
0.2 以下
0.25 以下
耐力壁
壁式構造
の耐力壁
τu/σB の値
0.1 以下
0.125 以下
条件
計算値の関係を図 12 に示す。横軸は εu=0.4 %としたときの計算値を
耐力壁
の種類
破壊の形式
せん断破壊その他の構造
耐力上支障のある急激な
耐力の低下のおそれのあ
0.15 以下
る破壊を生じないこと。
WA, WB 又は WC のいずれにも該当しない場合
表す。実線は εu=0.4 %で実験値と計算値が同値となる直線であり,
WA
WB
破線は εu=0.2 %~0.5%とした時に実験値と計算値が同値となる時の
WC
直線である。図 12 においても図 11 と同じく,軸力比 ηc が小さい試
WD
験体(ηc<0.4)では終局ひずみが小さく(εu=0.2~0.4%),軸力比 ηc が 0.4
以上の試験体は εu=0.3%~0.5%としたときの計算値と概ね一致する。
0.8
0.7
7), 8)
9)
10)-13)
14)
15)
16)
17), 18)
76W10112)
0.6
εu (%)
0.5
5. まとめ
本研究では,せん断破壊する耐震壁の変形性能の評価方法として,
中立軸の移動に伴う圧縮束の変化によって生じる破壊メカニズムと
それに立脚した新たな評価式を提案した。提案式を既往の実験結果
0.4
に適用した結果,コンクリートの終局ひずみやヒンジ領域の長さに
0.3
関してさらに検討する必要があるものの,提案式により終局変形角
0.2
ているように,提案した評価式の前提条件で用いたコンクリートの
B
0.1
0
を概ね適切に評価できることを示した。ただし,以前から指摘され
77W20613)
終局時のひずみや枠柱の有効面積の取り方,拘束によるコンクリー
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
1.8
ト強度の上昇の評価は今後の課題である。
ηc
図 11
終局ひずみ εu-軸力比 ηc 関係
謝辞
30
25
終局変形角実験値 (×10 -3 rad)
(εu=0.5%)
ηc < 0.4
0.4 ≤ ηc < 0.6
0.6 ≤ ηc < 0.8
ηc ≥ 0.8
(εu=0.4%)
本研究の実験は,建築基準整備促進補助金事業(建築研究所,矢
作建設工業株式会社,名古屋工業大学,名古屋大学の共同研究)の
(εu=0.3%)
一環として行われたものである。関係各位に深く謝意を表します。
20
参考文献
(εu=0.2%)
15
1)
平石久廣,都祭弘幸,川島俊一,井上芳生:偏平な付帯柱を有する連層
耐震壁の曲げ降伏後の靭性に関する実験的研究,日本建築学会構造系論
10
文報告集,No.395,pp.48-59,1989.1
2)
5
3)
0
建築物の構造関係技術基準解説書編集委員会:2007 年度版建築物の構造
関係技術基準解説書,2007
0
5
10
15
20
25
30
-3
終局変形角計算値 (εu=0.4%) (×10 rad)
図 12
日本建築防災協会:2001 年改訂版既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震
診断基準同解説,2001
4)
日本建築学会:鉄筋コンクリート造建物の靱性保証型設計指針・同解説,
2001
終局変形角の比較
5)
田内浩喜,川崎愛,中村聡宏,勅使川原正臣,日比野陽,市之瀬敏勝,
福山洋,神谷隆:連層耐震壁の中間階における枠梁のせん断強度に対す
9)
く扁平であるもの が多い。また,壁長さよりも壁高さが低いため,
る効果,構造工学論文集,Vol.55B,pp.61-66,2010.3
ヒンジ領域長さ lp を壁長さ lw と仮定した実曲線とは一致しないと考
6)
日本建築学会:鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説,1999
えられる。その結果,壁高さを考慮した(該当の試験体の平均値か
7)
後藤哲郎,秋山友昭:鉄筋コンクリート造耐震壁の耐震性能に関する総
合研究 その 18 壁板が柱に偏心して取付いた耐震壁の実験,日本建築学
ら lp=0.75lw とした)破曲線と A グループの試験体はよく一致する。
試験体ごとに一致する曲線が異なるのは,表 2 で示したように,各
会大会学術講演梗概集 構造系,Vol.52,pp.1635-1636,1977.10
8)
後藤哲郎,秋山友昭:2585 鉄筋コンクリート造耐震壁の耐震性能に関す
試験体で終局時の圧縮端コンクリートのひずみ εu が異なることが原
る総合研究 (その 9)壁板が柱に偏心して取付いた耐震壁の実験,日本
因であると考えられる。
建築学会大会学術講演梗概集 構造系,Vol.51,pp.1605-1606,1976.8
曲げ圧壊時の軸力比 ηc と表 2 の終局ひずみ εu の関係を図 11 に示
9)
ト造耐震壁の挙動に及ぼす影響について その 1 実験概要及び結果,日
す。軸力比 ηc が 0.4 より小さい試験体は εu=0.2%に近く,それ以外
の試験体(軸力比 ηc が 0.4 以上)では εu=0.4%に近くなる傾向にあ
本建築学会大会学術講演梗概集 C,構造 II,pp.231-232,1986.7
10)
佐藤稔雄,小野新,安達洋,白井伸明,中西三和:鉄筋コンクリート造
耐震壁の弾塑性性状に関する研究 その 9
る。軸力比 ηc が大きくなるとコンクリートの終局ひずみ εu が大きく
なる傾向にあるのは,軸力によって圧縮端のコンクリートのひずみ
茂呂田雅幸,牧幹夫,高木仁之,狩野芳一:柱の形状が鉄筋コンクリー
因子-I. 壁補強筋 II. 壁厚,
日本建築学会大会学術講演梗概集 構造系,Vol.55,pp.1623-1624,1980.8
11)
佐藤稔雄,小野新,安達洋,白井伸明,中西三和:鉄筋コンクリート造
が初期から大きいためであると考えられる。なお,図中の B グルー
耐震壁の弾塑性性状に関する研究 その 10
プの試験体の一部は,図 10 の A グループの試験体が含まれる。図
日本建築学会大会学術講演梗概集 構造系,Vol.55,pp.1625-1626,1980.8
11 より,耐震壁の壁板のせん断破壊時の圧縮端におけるコンクリー
トの終局ひずみは概ね 0.5%以下になり,その上限は,曲げ圧壊によ
り限界変形となる軸力比 ηc1)によって制限されると思われる。
12)
各層に分布加力した場合,
佐藤稔雄,小野新,安達洋,白井伸明,中西三和,杉山公章:鉄筋コン
クリート造耐震壁の弾塑性性状に関する実験研究 その 1 実験概要並び
に結果,日本建築学会大会学術講演梗概集 構造系,Vol.52,pp.1645-1646,
1977.10
6
13)
クリート造耐震壁の弾塑性性状に関する研究 その 3 壁補強筋・軸力を
14)
16)
金本清臣,松本和行,壁谷澤寿海:高強度材料を用いた曲げ降伏型鉄筋
因子とした実験,日本建築学会大会学術講演梗概集 構造系,Vol.53,
コンクリート耐震壁の復元力特性 (その 1) 実験の概要,日本建築学
pp.1609-1610,1978.8
会大会学術講演梗概集 C,構造 II,pp.607-608,1990.9
狩野芳一,高木仁之:鉄筋コンクリート造耐震壁の耐震性能に関する総
合研究 その 10
17)
3 層耐震壁における壁筋量の効果,日本建築学会大会学
術講演梗概集 構造系,Vol.51,pp.1607-1608,1976.8
15)
構造 II,pp.573-574,1990.9
佐藤稔雄,小野新,安達洋,白井伸明,中西三和,飯塚雅弘:鉄筋コン
加藤大介,勝俣英雄,青山博之:無開口後打耐震壁の耐力の評価に関す
る研究,日本建築学会論文報告集,No.337,pp.81-89,1984.3
18)
青山博之,細川洋治,塩原等,山本徹也:既存鉄筋コンクリート建物の
柴田拓二,平吹雅弘,後藤康明,城攻:コンクリート造連層耐震壁の変
耐震補強工法に関する研究 その 1 鉄筋コンクリート後打ち耐震壁の実
形挙動 その 1 実験の目的と概要,日本建築学会大会学術講演梗概集 C,
験,日本建築学会大会学術講演梗概集 C,構造 II,pp.85-86,1985.9
7