日本脳炎の予防について - 長崎県

平成26年8月5日
医療政策課 感染症対策班
担当:竹野、松本
内線:2466
電話:直通 095-895-2466
日本脳炎の予防について
∼特に幼児や高齢者は注意が必要です∼
県では日本脳炎の流行予測を目的として、毎年7月∼9月の間に日本脳炎ウイルスの主な増
幅動物であるブタ(県内産肥育ブタ)のウイルスへの感染状況を各回10頭ずつ8回(計80
頭)調査しています。
今回、7月29日(3回目)に調査した10頭のうち、1頭のブタから日本脳炎ウイルス抗
体(IgM 抗体)が検出されました。日本脳炎はウイルスに感染したブタを吸血した蚊によって
媒介されヒトに感染することから、日本脳炎が発生しやすい状況にあると考えられます。
本県では、平成25年(諫早市)、平成23年(諫早市・五島市)、平成22年(諫早市)、
に患者が発生しており、また夏場を迎えて蚊の活動時期にあることから、日本脳炎予防の周知
にご協力をお願いします。
予防には
○
★ 日本脳炎ワクチンの接種(最も効果的)
標準的な定期接種は、1 期接種(3 歳)、1 期追加接種(4 歳)、2期接種(9 歳)の方
が対象です。ワクチン接種により、日本脳炎の罹患リスクを75∼95%減らすことがで
きると報告されています。市町からの案内に沿って接種を受けて下さい。
★ 蚊に刺されない工夫
日本脳炎は蚊(主にコガタアカイエカ)によって媒介されます。
・蚊の活動時間帯(夕方∼夜明け)には屋外で過ごすことを避ける。
・戸外で過ごすときはできるだけ皮膚の露出を避ける(長袖、長ズボン等の着用)。
・虫除けスプレー等の活用
★ 十分な休息
休養、栄養、睡眠を十分にとり、過労を避けることを心がけましょう。
1.日本脳炎とは
日本脳炎ウイルスによって起こるウイルス感染症であり、人にはウイルスを持っている蚊
(主にコガタアカイエカ)に刺されることにより感染します。患者発生は西日本に多く、蚊の
発生時期である夏から秋にかけて報告されています。人から人への感染はなく、また感染者を
刺した蚊に刺されても感染することはありません。
潜伏期間:6-16日
症
状:数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識
障害(意識がなくなること)、けいれん等の中枢神経障害(脳の障害)を生じる
発 病 率:感染者100∼1000人に1人
致 死 率:脳炎を発症した場合20-40%(幼児や高齢者では危険が高くなります)
2.長崎県、全国の患者発生状況(人)
※
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
長崎県
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−
−
−
−
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1
2
−
1
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全 国
2
4
7
7
10
3
3
4
9
2
9
−
※H26
H26
第 30 週(7 月 27 日)現在
3.日本脳炎の定期予防接種について
日本脳炎の予防接種後に副反応(重い病気になった事例)があったことをきっかけに、平成
17年から平成21年まで、日本脳炎の予防接種のご案内を行っていませんでした(いわゆる
「積極的勧奨の差し控え」)。その後新たなワクチンが開発され、現在は日本脳炎の定期予防接
種を通常通り受けられるようになっています。
このため、平成7年∼18年度に生まれた方は、平成17∼21年度に日本脳炎の予防接種
(1期または2期接種)を受ける機会を逃していることがありますので、母子健康手帳などを
ご確認いただき、今後、市町からのご案内に沿って接種を受けていただくようお願いします。
なお、生まれた年ごとの、具体的な影響については以下のとおりです。
<標準的な接種>
1期接種(計3回)
2期接種(1回)
3歳のときに2回(6∼28日の間隔をおく)
その後おおむね1年の間隔をおいて(4歳のときに)1回
9歳のときに1回
<特例的な接種>
生まれた年
平成 17-18 年度
平成 13-16 年度
平成 8-12 年度
平成 7 年度
学年
小 2∼小 3
小 4∼中 1
H17-21 年度の影響
1 期接種回数不足の方がいます。
1 期未接種の方や回数不足の方がいます。
2期未接種の方がいます。
中 2∼高 3
2 期未接種の方がいます。
平成 26 年度に
2 期未接種の方がいます。
19 歳になる方
4.日本脳炎感染源調査について
ブタの感染状況が日本脳炎ウイルスまん延の指標になり、ブタに感染が広がった場合、人に
対する感染の危険性が高くなっていると考えられています。
このため長崎県環境保健研究センター(大村市)において、県内のと畜場に出荷されるブタ
が日本脳炎に感染しているかどうかの調査を行っています。
対
象:生後5∼9ヶ月のブタを各回10頭ずつ、8回(計80頭)調査
検査内容:①ブタ血液中の日本脳炎ウイルスに対する抗体の保有状況
②ブタ血液中の日本脳炎ウイルス遺伝子の有無