JICA マレーシアの動き(2010 年 7 月号)

JICA マレーシアの動き(2010 年 7 月号)
【6 月の活動】
★ 経済連携の促進
▼ 通関及び事後調査におけるリスクマネジメントプロジェクト:カウンターパート研修
(6/15-6/25)
JICA はマレーシア関税局を対象に「通関及び事後調査における税関リスクマネジ
メントプロジェクト」を実施しています。6 月 15 日から 6 月 25 日にかけて、カウンター
パートであるマレーシア関税局職員 10 名を日本に招聘し、東京税関及び大阪税関で
リスクマネジメント研修を実施しました。本研修では、
講義及び現場視察を通じ、日本税関の審査基準設定
の仕組みやリスクマネジメントにかかる組織及び各部
門の役割、関連部門間での情報共有等について習
得しました。研修参加者からは、研修最終日に日マ
税関の状況の比較研究を行った上で、日本税関のリ
スクマネジメント体制をモデルにしてマレーシア税関
に導入する意向が示されました。
★ 福祉・社会・環境関連
▼ 下水事業の運転管理に係る技術協力
(6/23-6/24)
JICA の円借款で建設された下水処理場の運転管理
技術を向上させるべく、昨年度から日本から専門家を
招いて現場研修及びセミナーが開催されています。6
月 23 日、同 24 日には研修結果の発表を含むワーク
ショップが下水管理公社(IWK)にて開催されました。
▼ オイルパーム・サンプリング調査-オイルパーム・バイオマス総合的利用システム
の開発プロジェクト (6/8)
JICA は日本の森林総合研究所と共同で、マレーシア科学大学(USM)をカウンター
パートとして、オイルパームの幹や葉、実のバイオマス利用における基礎研究への支
援を行っています。この度プロジェクトの一環として、
USM でのオイルパームの実験に向けたサンプルを採
取するために、ペナン州半島部において現地調査を
実施しました。本協力を通じ、オイルパーム産業が一
大産業であるマレーシアにおいて、搾油後廃棄物とし
てそのまま放置されているオイルパーム・バイオマス
の有効利用及び資源化がなされることが期待されて
います。
★ 南南協力
▼ ウガンダ・ザンビア向け理数科教員研修 (5/31-6/25)
JICA はアフリカのウガンダ、ザンビアにおいて、理数科教員の能力向上を目的に
教員研修を含む技術協力プロジェクトを行っています。その中核となる各国の教育省
行政官や指導教員 26 名が、5 月 31 日から 6 月 25 日にかけて、マレーシアのペナン
にある理数科教員センター(RECSAM: Regional Centre for Education in Science and
Mathematics)において研修を行いました。この研修を
通じて、科学的思考や授業研究などを学んだ研修員は、
帰国後、各国においてこれらの教授法を活用すること
が期待されています。また、ウガンダからは、この研修
の運営手法を学ぶために、OJT (On the Job training)
として、2 名の教育省関係者が参加し、RECSAM と共に
研修を運営しました。研修の閉会式では、W 杯の応援
でもおなじみのアフリカのダンスを披露しました。
★ ボランティア
▼ 青年海外協力隊 帰国表敬 (6/16-6/18)
2 年の任期を終えて帰国する青年海外協力隊員計 5
名が、マレーシア政府の関係省庁へ帰国表敬し、活動
報告を行いました。各隊員は、それぞれの活動分野を
管 轄 す る 教 育 省 や 福 祉 局 を 訪 問 す る 他 、 EPU
(Economic Planning Unit 首相府経済企画院)や日本大
使館において活動報告を行いました。
【7 月の主な予定】
<経済連携の促進>
▼ 産業界のニーズに応えて行くための職業訓練システム向上プロジェクト:カウン
ターパート研修 (7/20-8/6)
JICA ではマレーシア全国に配置されている人的資源省下にある職業訓練校が地
域及び各企業のニーズを踏まえた人材育成を行うことを目的として、「産業界のニー
ズに応えてゆくための職業訓練システム向上プロジェクト」を実施しています。プロジ
ェクト活動の一環として、各企業の職業訓練ニーズを分析する手法である CUDBAS
(Curriculum Development Based on Ability Structure)実践のための上級研修を 7 月
20 日から 8 月 6 日にかけて日本で実施する予定です。研修員はマレーシア全国にあ
る職業訓練校の指導員 10 名で、既にマレーシア国内で基礎研修を修了した人材で
す。このカウンターパート研修の修了者は、独力で CUDBAS 基礎研修を実施すること
が可能となり、今後 CUDBAS 手法を用いた人材養成に従事出来ることになります。
▼ 産業界のニーズに応えて行くための職業訓練システム向上プロジェクト:5S 運営
指導調査 (7/5-7/16)
7 月 5 日から 16 日まで運営指導調査団を招き、複数の職業訓練校における 5S(整
理、整頓、清掃、清潔、躾)・改善の実施状況を視察します。5S・カイゼンについて
の調査は 2008 年 12 月に実施し、当時のマレーシアの職業訓練校における 5S の
実施状況について確認した後、2009 年 2 月に人的資源省のカウンターパート 10
名を日本に招聘し、研修を実施しました。今回の調査は、研修後の取り組み状況
を視察及び評価するために実施します。
<福祉・社会・環境関連>
▼ 全国労働安全衛生セミナー@パハン大学 (7/5)
7 月第 2 週の労働安全衛生週間にあわせ、クアンタンにあるパハン大学にて、全国
労働安全衛生セミナーが開催されます。JICA では労働安全衛生行政支援プロジェク
トを 2007 年 4 月から 5 年間の計画で行っていますが、このセミナーのスピーカーとし
て、産業医科大学の高橋教授を専門家として招き、日本における労働安全衛生の課
題について、講演を行う予定です。労働安全衛生の法律や制度の問題、アスベストな
どの有害物質に起因する病気の課題、また、メタボリックシンドロームといった労働者
の健康問題等について紹介する予定です。
▼ 都市交通フォーラム バリアフリー短期専門家の講演(7/29-7/30)
JICA では障害者の社会参加支援のプロジェクトを 2009 年から 3 年間の予定で実
施しており、障害者が社会参加する際のさまざまな障害を取り除く、制度作りの支援
を行っています。バリアフリーやユニバーサルデザインの導入もそのひとつです。今
回、マレーシア公務員研修所(INTAN: Institute of Public Administration of Malaysia)
主催で、7 月 29 日と,30 日の 2 日間、都市交通のフォーラムの開催に伴い、プロジェク
トの一環として短期専門家を招き、日本や欧米の都市交通におけるバリアフリーの経
験や課題を紹介する予定です。
犯罪現場における法科学と捜査手法プロジェクト:国内地方セミナーの実施
(7/6-7/8) @ ジョホール州
指紋採取や足痕跡、DNA 等の鑑識技術を移転し、マレーシア国家警察の科学捜
査能力向上を目指す本プロジェクトでは、7 月 6 日-8 日までの 3 日間、ジョホール州
警察本部において、石川県警から招いている荒木専門家とマレーシア国家警察科学
捜査研究所(Forensic Laboratory)の犯罪現場捜査班の担当官が講師となりセミナー
を開催します。今年度 2 回の開催を予定している地方セミナーのうちの 1 回目ですが、
ジョホール州では初の開催となるもので、同州の刑事・鑑識担当者約 30 名の参加を
予定しています。
▼
BBEC2 パームオイル業者を対象としたワークショップ「持続可能なパームオイ
ル-木からラムサールへ」の開催 (7/5、7/20)
ボ ル ネ オ 生 物 多 様 性 ・ 生 態 系 保 全 プ ロ グ ラ ム ・ フ ェ ー ズ 2 ( BBEC2: Bornean
Biodiversity & Ecosystem Conservation Programme Phase 2)は、生物多様性センタ
ー(SaBC: Sabah Biodiversity Centre)や自然資源局(NRO)等のサバ州政府の関係機
関と協働で、7 月 7 日と 7 月 20 日の 2 回にわたり、ワークショップ「持続可能なパーム
オイル-木からラムサールへ」をサンダカンにて開催します。本ワークショップは、
BBEC2 の支援によって 2008 年に登録されたキナバタンガン-セガマ河下流域のラム
▼
サール湿地を保全と、そのための持続可能なオイルパーム生産方法を模索するため、
サバ州政府機関だけでなく、その上中流域のオイルパーム産業関係者及び WWF、
RSPO(Round on Sustainable Palm Oil 持続可能なオイルパームのための円卓会
議)等の非営利団体等も招き実施します。今回のワークショップを通じ、キナバタンガ
ン-セガマ河流域におけるラムサールサイトの保全を目指し、オイルパーム産業との
協働による活動素案を作成する予定です。
<南南協力>
▼ アフリカ諸国向け第 3 国研修「理数科教員研修」 (7/12-8/6)
2008 年に開始したアフリカ諸国の JICA 理数科強化プロジェクトと連携した理数科
教員第三国研修は、今年で最終年となります。ペナンの東南アジア理数科教育研修
センター(RECSAM)において、約 4 週間の研修を行います。今回の研修では、JICA
理数科強化プロジェクトを実施している、ガーナ、ナイジェリア、スーダン、ザンビア、
ケニアから 30 名の教員や教員研修官が参加します。昨年までは、中等教育を対象と
していましたが、本年は初等教育を対象に、ハンズオンやグループ学習などを中心と
した研修を実施する予定です。
<ボランティア>
▼ シニア海外ボランティア セミナー発表 (7/14)
UPM(国立プトラ大学)人間生態学部資源管理消費者研究学科に配属のシニア海
外ボランティアが、7 月 13 日から 14 日に開催される MACFEA(Malaysian Consumer
and Family Economics Association マレーシア消費者・家庭経済協会)のセミナーで、
日馬の家電製品の比較調査について発表をします。当該ボランティアは、UPM にお
いて、特に家庭用電気電子製品の調査や試験分野での指導、助言を行っています。
<草の根技術協力事業>
▼ 北九州市-シブ市 市民参加型廃棄物管理推進事業への協議 (7/4--7/8)
草の根技術協力事業は、日本の NGO や自治体、大学等がこれまでに培ってきた
経験や技術を活かして企画した途上国への協力活動を JICA が支援し、共同で実施
する事業です。福岡県北九州市は、2010 年 7 月よりサラワク州シブ市に対し、廃棄物
管理手法のノウハウを提供し、シブ市の衛生環境強化を図るための事業を開始しま
す。
<開発教育>
▼ JICA 国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト受賞者研修旅行 (7/25-8/1)
JICA は次の世代を担う全国の中学生・高校生を対象に、開発途上国の現状と国
際協力の必要性について理解を深め、国際社会の中で日本は何をすべきか、また、
自分たちひとりひとりがどう行動すべきか、について考えてもらうことを目的とした開
発教育の一環として、国際協力に関するエッセイコンテストを実施しています。昨年度
実施したコンテストにおいて入賞した中学生 11名をマレーシアに招聘し、7 月 25 日か
ら 8 月 1 日にかけて、当国で実施している JICA 事業を視察すると共に、クランタン州
に赴き同州のイスラム文化に触れながら、ホームステイや現地学校訪問を行う予定
です。
【離任】
* ボランティア
H21 年度短期派遣 青年海外協力隊 1 名
7/8 帰任(環境教育:サバ州コタキナバル ウェットランドセンター)
独立行政法人
国際協力機構(JICA)
マレーシア事務所
Suite 29.03, Level 29, Menara Citibank, 165,
Jalan Ampang, 50450 Kuala Lumpur
Tel :( 60-3)21668900 Fax :( 60-3)21665900
発行責任者:JICAマレーシア事務所所長
編集責任者:JICAマレーシア事務所
永
村
江
上
勉
かおり