IPTJにおけるビジネス モデルについて - 経済産業省

資料4
IPTJにおけるビジネス
モデルについて
2003.12.10
梅 原 潤 一
0
未利用特許・未活用特許の位置づけ
対象
分類
実施/未実施
特
許
権
︵
出願権を含む︶
等
知
的
財
産
権
実施形態
自社で事業に
使用して収益
貢献しているも
の
実施しているもの
(一般に1/3程度
といわれる)
他社にライセン
スし収益貢献し
ているもの
クロスライセン
スの対象として
いるもの
流動化の手法
現在あるもの 期待される手法
現状自己実施で
ありニーズ薄い。
ただし、今後は
生産は海外展開
となり、いづれグ
ループ内での流
動化が必要とな
る。
会計処理(注1)
計上の可否
証券化
不良資産性
今後の課題
低い
キャッシュフ
ローが明確、か
つ、メガ級で小
口化に適するも
のに限られる。
適用を広げるた
めにはキャッ
シュフロー要件
緩和が考えられ
るが、ジャンクと
なる危険性あり
ライセンス
計上
クロスライセンス
事実上不可
不明
防御用として保有し
ているもの
実施していないも
の
実施の予定のない
(一般に2/3程度 もの
といわれる)
廃棄すべきもの
(注2)
備考
未利用特許
資金化対象 現
行ファンドでは出
願権は対象外、
信託は特許権も
不可
放棄
ライセンス対象が
曖昧であり、かつ、
対抗要件具備に
難あり
実質的な流動
化が必要なも
の
高い
棚卸しが必要。
売却やライセン
スの市場形成
が課題
除却(注3)
(注1)職務発明の場合には譲渡対価の総額が20万円以上となった場合に無形固定資産に計上することを想定。
(注2)「相対的無価値」か「絶対的無価値」かの判断が難しい
(注3)代理人費用を含め、国内出願250万円、外国出願350万円を想定し、超過収益のないものを不良資産と見なす。
1
各層における戦略
戦略特許
攻撃防御特許
非戦略特許
不要特許
完全独占
戦略特許防衛
事業ライセンス
流動化
公知化
2
流通市場での価格とは
知財保有者
知財保有者
A社
A社
A社における
DCF価格
流通市場
流通市場
IPTJ
IPTJ
未実施流通過程で
の価格
知財活用者
知財活用者
B社
B社
B社における
DCF価格
3
棚卸しの重要性と実施方法
経営戦略
事業戦略
三位一体
出願/審査/登録
知的財産戦略
„„
開発戦略
技術評価
技術評価
知的財産情報
自社知的財産権棚卸
よい特許取得
へ
各社にあっ
た評価手法
を確立する
„„
分類分け
分類分け
„„
①技術評価
①技術評価
„„
②資産評価
②資産評価
環境認識
„„
事業環境
事業環境
„„
技術環境
技術環境
„„
知財環境
知財環境
知的財産
知的財産
戦略集
戦略集
(事計、開発、
(事計、開発、
知財で共有)
知財で共有)
機密除外
他社との調整
自他社知的財産権
„„
③総合評価
③総合評価
„„
知財データ
知財データ
活用(売却・ライセンス)/放棄
知的財産
知的財産
報告書
報告書
4
【棚卸しの対象】
特許および実用新案(順次、意匠、商標、著作権も)
出願公開前、公開後、登録後のすべて。
【主要な評価およびその項目】
1)技術評価 : 技術面および権利面
2)資産評価 : 取得に要した取得金額および収益額
3)総合評価 : 技術評価および資産評価からの総合評価
評価項目=技術面、実施性、市場性、特許性、etc・・・・
5
流動化可能とするための管理体制構築
„
„
„
„
„
「よい特許」出願体制の完備
攻撃防御のレイヤーと活用のレイヤー区分
経営指標に加える(コストと収益の比較徹底)
棚卸の徹底(相対的無価値か絶対的無価値か)
内規の見直し
„
„
„
„
„
a)コンセプト特許出願重視
b)褒賞金→対価の事前契約制
c)自由発明の買取り
d)技術マニュアル、データとの一体管理(ノウハウの社内登録と
のリンク)
知財部門人員の処遇改善
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IPTJの知的財産戦略立案業務
知的財産を対象にファンドを組成して投資家を募り、知的財産の事業化を図るIPイ
ンキュベーションファンドを構築します。IPTJ® はこのファンドスキームにおいてフ
ァンドマネージャーとしての役割を果たします。このスキームは受託業務において調
達資金が5億円以上となった場合に摘要します。
大
IPインキュベーションファンド
受託業務の事業規模
調達資金5億円以上
権利化支援
資金調達
知的財産の保守・管理
事業家サポート
IPTJ®は企業における知的財産の
価値の極大化を支援します。企業
における知的財産戦略を包括的に
受託することで、知的財産の事業
化サポートや、そのための資金調
達、知的財産の保守・管理、権利
化支援、棚卸し、知的財産売買な
ど、知的財産戦略立案業務を受託
しております。
知的財産戦略立案業務
小
知的財産の売買によって
、貴社の未利用の知的財
産を資金化することがで
きます。
棚卸し
知的財産売買
人材教育事業
棚卸を行うことによって、自社の知
的財産の状態を把握でき、経営に生
かすための「経営指標」とすること
ができます。
知的財産戦略立案でIPTJ®が得たノ
ウハウを人材教育にフィードバッ
クし、独自の教育プログラムを用
意しております。このプログラム
にもとずき、知財立国をささえる
人材の教育を進めてまいります。
7
1. 知的財産の売買
・大企業の特許を中小企業に転売する場合
・大企業の特許を大企業に転売する場合
移転のための名義書換が効力発生要件となっ
ている点がネックだが、その効果として取引関
係を切断できることから「権利行使」ではなく、流
通と認識できるメリットあり。
8
大企業の特許を中小企業に転売する場合
○自社で使用するケースが多い(開発費節減)
○企業再建の場合の利用あり
○転売価格は、事業契約に基づくDCF方式
・製品イメージを売り込み、事業化を支援する。
・事業化可能となるまで「売買は完結しない」
実質インキュベートが必要であり、収益につながるには時
間がかかる
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大企業の特許を大企業に転売する場合
○他社に使用させないケースが多い。
○特許バランス改善、訴訟回避目的が多い。
○転売価格は、訴訟費用その他との比較による。
・購入することについて機密保持義務を負う
・競合関係にある場合権利行使回避として転売活用
特許を特定せず、一群の技術として購入する。
従業員からの訴訟に対応するために依頼する企業が増
える。
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2. 知的財産棚卸し
【法的要件整備】
・権利関係整理
・ライセンス状況整理
【技術要件整備】
・技術性評価
・市場性評価
【相対的無価値・絶対的無
価値評価】
・転売可能性
【経済要件整備】
・原価シミュレーション
・収益性評価
総 合 判 定
11
知的財産棚卸依頼の理由
【中小企業】
○これまで棚卸の経験ないため
○経済評価(シミュレーション)の経験ないため
○新金融活用するため(借入、資金調達)
【大企業】
○知財を経営指標とするため(一部「知的財産報告書対応」)
○事業戦略との一体性をビジュアルにするため
○知的財産会計に備えるため
○休眠特許の資金化を図るため(売却)
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3. 金融支援
(1)知的財産リース(リースバック含む)
(2) 知的財産を担保にする場合
(3) IPインキュベーションファンド
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知的財産リースの仕組み
知的財産譲渡(ライセンス)
サプライヤー
リース会社
メンテナンス
メンテナンス会社
リース契約
(ライセンス・
サブライセンス)
ユーザー
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知的財産リースにおける各プレイヤーのメリット
・サプライヤー
販売促進、短期での販売代金の回収
・ユーザー
一度に多額の資金を要することなく新技術の事業化
が可能
・リース会社
知的財産を新たにリース対象とすることで事業拡大
・メインテナンス会社
メンテナンス対象として知的財産関連事業が拡大する
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知的財産リースバックの仕組み
知的財産譲渡(ライセンス)
サプライヤー
ユーザー
リース会社
リース契約
(ライセンス
・サブライセンス)
メンテナンス
メンテナンス会社
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IPJとの連携
保守委託
ユーザー
IPTJ
リース契約
(保守を含む)
サプライヤー
・メーカー
・その他
知的財産譲渡
又は実施許諾
リース会社
譲渡・実施許諾代金
ユーザー及びサプライ
ヤーの紹介、知的財産戦
略立案業務委託
保守委託
保守委託
IPTJ
知的財産の権利化支援
(調査、出願支援、評価
等)
年金管理
権利保全
係争対応
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知的財産戦略業務委託契約と根譲渡担保契約
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資金調達一覧表
補 助 金
資金調達
規模
会社にとってのメリット
調達の困
難性
資金調達コスト
審査による
ほとんど要しない
数千万
担保によっては若干あり。
担保の種類
ー
ー
知的財産権担保
ー
ー
事業活動
の自由度
得られない場合の代替
措置を並行して検討し
ておかないと事業継続
が困難となる。また、知
的財産権が共有となる
と実施に困難性残る。
あり。
ただし、事業活動の
調達額の範囲内と
なる。
既存株主にとってのメリット
配当額
シェア変動
大
なし
数千万
ほとんど要しない
あり
収益がそのまま反
映
担保によっては億可能
収入なくても金利返済する
た分、配当額が減少したり
配当時期が遅れる可能性
あり。
普通
主になることが多い。
あり
不動産
特許権・著作権等確定権のみ
ほとんど要しない。
あり
資
社債
新株発行(新株予約権含む)
数億
数億から数十億
ベンチャーの場合
ほとんど不可。
基本的に事業計画による
ことから幹事証券会社が
つくかどうかがポイント。
大
ファンドの活用
ベンチャーファンド
新型ファンド
同左
Due diligenceによる
増資より少ない。
大
なし
あり
なし
担保でも可
基本的には企業担保で ー
あり、償還する限り認識
しなくてよい。
ー
契約によるので可
企業担保として把握 ー
ー
あり
あり
同左
同左
普通
普通
なし
なし
なし
◎
◎
○
○
今後各種補助金が設
定される可能性があり、
会社・株主にとって一
番都合がよい。しかし、
応募者が増えることが
考えられ、取得の保証
がない。また、使途に
制限があったり、額が
限られており、事業拡
大のつなぎとしての位
置づけが強い。また、
得られた知的財産権
について共有にされる
と、事業計画に支障が
出る場合がある。
近時は中小企業
支援融資が増加
の傾向にあり、従
来よりは可能性が
出てきた。しかし、
一般に額が少な
い。また、一部に
は従来通り代表
者の個人保証を
求めるものもあり、
注意が必要である
知的財産権担保
が認められるとベ
ンチャーにとって
有利。ただし、返
済できない場合
には知的財産権
は銀行に移る。
増
入
第三者借入(私募債含む)
見るべき資産がないと不可。 縁故者中心であり、特
現状では知的財産権担保に にない。ただし、既存株
応じるところがない。
なし
配当可能
性
借
銀行借入(担保)
代表者の個人保証
を求められるケー
スがある。
返済義務
清算時の分配権
課
題
数千万(ただし、複数獲
得できる可能性あり)
銀行借入(無担保)
新しい調達方法と
して注目され。し
かし、規模が小さ
いことから、つな
ぎ的要素が高い。
事業計画によって
募集をかけること
から、開示義務が
生じる。
同左
小
転換社債とするとシェ
アが減少する可能性
あり。
劣後する。
社債発行条件は
厳しく、ベン
チャーの場合に
は事実上不可。
事業計画通り遂
行することが要
求される。
配当第一主義となる。
普通
組み入れ率を下げても既存
株主のシェアは著しく減少す
る。
小
同左
同左
同左
なし
知的財産権の譲渡並
びに譲渡担保
現在折衝中
知的財産権を資金課す
同左。
ることによって基本的に
さらに、役員派遣を 研究開発に集中する事
条件にされる事が ができ、開発自由度が
ある。
確保できる。
同左
大
直ちに資金かできるこ
とから配当可能性は
著しく早まる。
最大
VCは株式投資によるた 増資によるものでない
め、既存株主のシェア
ため、シェア変動なし。
は著しく下がる。
小
一番わかりやすい仕組 VCが筆頭株主に
みである。会社にとって
メリットは大きい。しかし、なり、かつ、役員
調達コストが大きく、調 派遣によって会
達のためのエネルギー 社はVCのコント
は相当であり、場合に
ロール下に入る。
よっては条件をそろえる
ために時間を要する。 株価つり上げが
本件においては第三者 最大のねらいで
割り当てが実務的であ
ある。
る。いづれの場合も、既
存株主のシェアは大幅
に減少することになる。
◎
現在進めているもので
あって、類似のものは
ない。技術そのものに
投資してもらうため、
現状の会社自治には
影響なし。ただし、知
的財産権を資金課す
ることから、自ら実施
する場合にはライセン
スを得なければならな
い(不動産のリース
パックのイメージ)。
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8. IPインキュベーションファンドの特徴
ベンチャーキャピ
タル
新事業創生ファンド
IPインキュベーションファ
ンドの課題
IPTJ提案
投資対象
・未公開ベンチャー
企業
・特許、特許を核とする事業プ
ロジェクト
・企業育成というよりも事業育
成に主眼をおいている。
・特許そのものの保有
・ライセンス事業が中心であり
事業そのものの担い手になる
か否かはケースバイケース
・投資家保護のため、出
願権並びに将来生じる特
許を受ける権利も捕捉で
きるものとする。
投資手法
・資本参加
・プロジェクトリスク
・事業に対するファイナンス
・特許取得の事前調査/取得
費用を負担し特許を取得
・特許の購入
・IPTJの有する知的財産
戦略立案受託料請求債
権(根譲渡担保付き)も譲
渡
投資家出口
・公開利益
・株式譲渡益
・特許権許諾料収入
・事業CFの受取
・事業や特許権の譲渡益
・法人化した場合の公開利益
・特許権許諾料収入
・特許権の譲渡益
・特定用途の専業法人の公
開利益
・一社への投資よりも出口は
多数
・ライセンス交渉専門会
社との提携
・事業会社の設立も知的
財産戦略に含め該会社の
事業性に対し他のVCファ
ンドも活用。
リスク
・コーポレートリスク
+プロジェクトリスク
・プロジェクトリスク
・理論的にはコーポレート
リスクに晒されずに、事
業リスクに限定可能
・目利きリスクをとっている。
・目利き能力の判断の正しさ/
客観性の担保は?
・特許業務法人、調査会
社等とのコンソーシアムに
よる客観性の保持
・知的財産保険の検討
流動性
・未公開株式として
の売買
・特許権や事業としての売買
(経営権の伴った株式の処分
に比較して機動性を確保)
ー
ー
リターン
・ハイリスク・ハイリ
ターン
・ミドルリスク・ミドルリターン
ー
ー
備考
・知的財産
信託導入時
に見直し
20
IPインキュベーションファンド説明のイメ
項目
内容
IPTJコメント
ファンドの目的
・知的財産立国とは、自ら量産事業を行うのではなく、量産事業は海
外に移転し、ライセンス事業主体に産業構造を転換すること。
・ワールドワイドの市場を念頭に置いた事業プランの策定であり出願
体制が必要 ・発明者には発明の促進。
・知的財産立国に大きく寄与。
・知的財産権から生じる収益の極大化を図るため、
調査、出願、開発、ライセンス・事業化まで一貫した
知的財産戦略に基づくグローバル・プロジェクトに
投資。
・特許権、商標権などの知的財産権
同左 ・事業会社の設立等も戦略の一つ
資金使途
・特許、技術調査費用 ・特許出願、商標登録などに要する費用 ・ラ
イセンスポリシー策定に要する費用 ・特許取得費用
同左 ・権利確保・収益極大化のための係争に要
する費用、ライセンス交渉費用、特許評価費用、特
許権の維持管理費用(年金支払等)
・研究開発費 ・特許業務法人等の活用
資金規模
[
ー
投資対象(保有予定)資産
]円
リターンイメージ
(投資額に対してどの程度のリターンをイメージすればよいか)
・複数の許諾料(@3∼5%)収入で15∼20%/年
リスク
・特許消滅(無効)リスク ・事業リスク ・ライセンシー信用リスク
・係争リスク ・係争回避のための開発リスク
(投資から回収までの期間)
・基本特許の存続期間(実質10年程度)
(投資から回収までのプロセス)
・出願権段階でのライセンスも強化する。
投資基準(目利き)
(業種、想定事業規模などによる基準、資産の分散)
・IP自体に着目、IP実施会社の新設IPO
投資資産の時価評価
(投資家に対する開示情報としての資産の時価評価)
・第三者機関により時価評価、知的財産会計の導
入
投資持ち分の流動性
(投資家は保有する投資持ち分を常時換金できるか?)
・店頭取引を検討、知的財産証券市場形成
価値の客観性担保
(知的財産評価会社の活用は?)
・「知的財産報告書」による開示、監査法人の評価
投資対象の潜在性
(投資対象はどの程度あるか?)
・未利用特許、ベンチャー企業、R&Dの促進
投資期間
投資回収のプロセス
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ま と め
○知的財産評価について
・流通過程における知的財産評価の基準の明確化
○信託制度について
・金融機関が取り組みやすい支援制度の検討
○知的財産取引市場について
・市場形成のための各種優遇措置の導入
以上
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