C H A P T E R 7 ブリッジングの設定 この章では、レイヤ 3 スイッチ ルータにブリッジングを設定する手順について説明します。この章 で使用する Cisco IOS コマンドの詳細については、『Cisco IOS Command Reference』を参照してくだ さい。 この章で説明する内容は、次のとおりです。 • ブリッジングの概要(p.7-2) • ブリッジングの設定(p.7-3) • IRB の概要(p.7-5) • IRB の設定(p.7-6) • IRB のモニタおよび確認(p.7-8) この章は、レイヤ 3 スイッチ ルータを設定するための推奨プロセスで説明したステップ 6 に相当し ます(「レイヤ 3 スイッチ ルータを設定するための準備」[p.2-2] を参照) 。このステップは省略して もかまいません。 (注) ブリッジングの設定を開始する前に、ネットワーキング プロトコルおよびルーティング プロトコルの設定を完了してください。 (注) Catalyst 2948G-L3 スイッチ ルータの 24K CAM(コンテンツ アドレス可能メモリ)およ び Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータの 32K CAM は、レイヤ 2 エントリ、IP ルーティン グ、IP マルチキャスト ルーティング、および IPX ルーティングで共有されます。 Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 78-10408-03-J 7-1 第7章 ブリッジングの設定 ブリッジングの概要 ブリッジングの概要 Cisco IOS ソフトウェアは、ファスト イーサネットおよびギガビット イーサネットのトランスペア レント ブリッジングをサポートします。Cisco IOS ソフトウェアのブリッジング機能には、スパニ ングツリー ブリッジの利点と完全マルチプロトコル ルータの利点が結合されています。この結合 により、アダプティブ スパニングツリー ブリッジの高速性およびプロトコル トランスペアレント 性が、ルータの機能、信頼性、およびセキュリティと共に得られます。 IP/IPX ルータおよび MAC レベル ブリッジの両方の機能を果たすようにレイヤ 3 スイッチ ルータを 設定すると、通常はルーティングできないトラフィックをブリッジングできます。たとえば、IP ト ラフィックをルーティングするルータの場合、Digital Equipment Corporation Local-Area Transport (DEC LAT)プロトコルまたは NetBIOS トラフィックのブリッジングも可能です。 ブリッジングを設定するには、指定されたモードで、次の作業を行う必要があります。 • グローバル コンフィギュレーション モード − スパニングツリー プロトコルを選択します。 − ブリッジにプライオリティを設定します(任意) 。 • インターフェイス コンフィギュレーション モード − 同じブリッジ グループに属すインターフェイスを特定します。 これらのインターフェイスは同じスパニングツリーの一部になるため、レイヤ 3 スイッチ ルータは、ブリッジ グループに属するネットワーク インターフェイス間で、非ルーティ ング トラフィックをブリッジングできます。ブリッジ グループに含まれていないイン ターフェイスは、ブリッジ トラフィックを転送できません。 パケットの宛先アドレスがブリッジ テーブルに指定されている場合、そのパケットはブ リッジ グループの 1 つのインターフェイスに転送されます。パケットの宛先アドレスが ブリッジ テーブルでは不明の場合、そのパケットはブリッジ グループのすべてのフォ ワーディング インターフェイスにフラッディングされます。ブリッジは、ブリッジング プロセスで送信元アドレスを学習したときに、そのアドレスをブリッジ テーブルに入力 します。 設定されたブリッジング グループごとに、別々のスパニングツリー プロセスが実行され ます。各ブリッジ グループは、それぞれ別個のスパニングツリーに参加します。ブリッ ジ グループは、メンバーであるインターフェイス上で受信した Bridge Protocol Data Unit (BPDU; ブリッジ プロトコル データ ユニット)に基づいて、スパニングツリーを設定し ます。 − 発信インターフェイスにコストを割り当てます(任意)。 Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 7-2 78-10408-03-J 第7章 ブリッジングの設定 ブリッジングの設定 ブリッジングの設定 インターフェイスにレイヤ 3 スイッチ ルータのブリッジングを設定するには、グローバル コンフィ ギュレーション モードから始めて、次の作業を行います。 コマンド 目的 ステップ 1 Router(config)# bridge bridge-group-number ブリッジ グループ番号を割り当て、IEEE 802.1D スパ protocol ieee ニングツリー プロトコルを設定します。 ステップ 2 Router(config)# bridge bridge-group-number スパニングツリー ルート定義で役立つように、ブリッ priority number ジに特定のプライオリティを割り当てます。プライオ リティ値の小さいブリッジほど、ルートとして選択さ れる可能性が高くなります。 ステップ 3 Router(config)# interface type number Router(config-if)# ファスト イーサネットまたはギガビット イーサネッ トのいずれかのインターフェイス コンフィギュレー ション モードを開始します。 ステップ 4 Router(config-if)# bridge-group bridge-group-number ブリッジ グループにネットワーク インターフェイス を割り当てます。 ステップ 5 Router(config-if)# interface type number イーサネット インターフェイス コンフィギュレー ション モードを開始して、次のインターフェイスを設 定します。 ステップ 6 Router(config-if)# bridge-group bridge-group-number ブリッジ グループにネットワーク インターフェイス を割り当てます。 ステップ 7 Router(config-if)# end イネーブル EXEC モードに戻ります。 Router# ステップ 8 Router# copy running-config startup-config 変更した設定を NVRAM に保存します。 ブリッジ エージング タイマーの変更(Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ) Catalyst 2948G-L3 および Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータでは、デフォルトのブリッジ エージン グ タイマー値は 300 秒です。Catalyst 2948G-L3 スイッチ ルータでは、この値を変更できません。 Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータでは、ブリッジ グループごとに異なるエージング タイマー値を 設定できます。ブリッジ エージング タイマー値を変更するには、グローバル コンフィギュレーショ ン モードから始めて、次の作業を行います。 コマンド 目的 ステップ 1 Router(config)# bridge bridge-group-number ブリッジ グループ番号を割り当て、そのブリッジ グ aging aging-time ループのエージング時間(秒数)を設定します。 ステップ 2 Router(config)# end イネーブル EXEC モードに戻ります。 Router# ステップ 3 Router# show spanning-tree bridge-group-number 指定のブリッジ グループに設定された、新しいエー ジング時間を確認します。 Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 78-10408-03-J 7-3 第7章 ブリッジングの設定 ブリッジングの設定 次に、あるブリッジ グループに関してエージング タイマー値を変更し、設定を確認する例を示し ます。 Router(config)# bridge 1 aging 100 Router(config)# end Router# show spanning-tree 1 Bridge group 1 is executing the IEEE compatible Spanning Tree protocol Bridge Identifier has priority 32768, address 0050.3e7d.c007 Configured hello time 2, max age 20, forward delay 15 Current root has priority 32000, address 0050.80a1.54e4 Root port is 4 (GigabitEthernet1), cost of root path is 23 Topology change flag not set, detected flag not set Times: hold 1, topology change 35, notification 2 hello 2, max age 20, forward delay 15 Timers:hello 0, topology change bridge aging time 100 ブリッジ VLAN の設定、VLAN 間のルーティング、スパニングツリー プロトコルの調整など、ト ランスペアレント ブリッジングの他の設定作業については、Cisco IOS 12.0 のマニュアルで該当す る個所を参照してください。 ブリッジングのモニタおよび確認 レイヤ 3 スイッチ ルータをブリッジング対応として設定したあとで、ブリッジング動作をモニタお よび確認するには、イネーブル EXEC モードから始めて、次の作業を行います。 コマンド 目的 ステップ 1 Router# clear bridge bridge-group-number フォワーディング データベースから学習したエントリ を削除し、スタティックとして設定されたフォワーディ ング エントリの送受信カウントを消去します。 ステップ 2 Router# show bridge bridge-group-number | ブリッジ フォワーディング データベースに登録されて interface address いるエントリのクラスを表示します。 ステップ 3 Router# show bridge group verbose 設定されているブリッジ グループについての情報を表 示します。 ステップ 4 Router# show spanning-tree レイヤ 3 スイッチ ルータが認識しているスパニングツ リー トポロジーを表示します。 ステップ 5 Router# show vlans VLAN サブインターフェイスのサマリーを表示します。 Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 7-4 78-10408-03-J 第7章 ブリッジングの設定 IRB の概要 IRB の概要 ネットワークによっては、複数のセグメント内でローカル トラフィックをブリッジングし、かつブ リッジング セグメント上のホストをルーティング ネットワーク上のホストまたはレイヤ 3 スイッ チ ルータに接続しなければならない場合があります。たとえば、ブリッジング トポロジーをルー ティング トポロジーに移行する場合、ブリッジング セグメントの一部をルーティング ネットワー クに接続することから始めなければならないことがあります。 Integrated Routing and Bridging(IRB)機能を使用すると、1 台のレイヤ 3 スイッチ ルータ内部にお いて、ルーティング インターフェイス間およびブリッジ グループ間で特定のプロトコルをルー ティングできます。つまり、ローカル トラフィックまたはルーティング不能なトラフィックは同一 ブリッジ グループ内のブリッジ インターフェイス間でブリッジングされ、ルーティング可能なト ラフィックは他のルーティング インターフェイスまたはブリッジ グループにルーティングされま す。 ブリッジングはデータ リンク レイヤ(レイヤ 2)で行われ、ルーティングはネットワーク レイヤ (レイヤ 3)で行われるので、それぞれ異なるプロトコル設定モデルを使用します。たとえば IP で は、ブリッジ グループ インターフェイスは同じネットワークに所属し、集合的な 1 つの IP ネット ワーク アドレスが与えられます。ルーティング インターフェイスは対照的に、それぞれが独自の ネットワークを表し、専用の IP ネットワーク アドレスを使用します。IRB では、Bridge-Group Virtual Interface(BVI; ブリッジ グループ仮想インターフェイス)の概念を使用して、このようなインター フェイスが特定のプロトコルに対応するパケットを交換できるようにします。 BVI は、レイヤ 3 スイッチ ルータ内部の仮想インターフェイスであり、通常のルーティング イン ターフェイスと同様に動作します。BVI はブリッジングをサポートしませんが、実際には、レイヤ 3 スイッチ ルータ内部でルーティング インターフェイスに対応するブリッジ グループとなります。 インターフェイス番号は BVI とブリッジ グループ間のリンクです。 レイヤ 3 スイッチング ソフトウェアは、同一レイヤ 3 スイッチ ルータ内のルーティング インター フェイスとブリッジング インターフェイス間における IP/IPX ルーティングをサポートします。 IRB を設定する前に、下記を考慮してください。 • (IRB がイネーブルの場合)ブリッジ グループのデフォルトのルーティングおよびブリッジン グ動作は、すべてのパケットをブリッジングすることです。ルーティングが必要なプロトコル には、BVI にルーティングを明示的に設定する必要があります。 • Local-Area Transport(LAT)など、ルーティング不能なプロトコルのパケットは、常にブリッ ジングされます。ルーティング不能トラフィックに対して、ブリッジングをディセーブルに設 定することはできません。 • IRB を使用して特定のプロトコルをブリッジングおよびルーティングする場合、ブリッジング インターフェイスにプロトコル アトリビュートを設定しないでください。プロトコル アトリ ビュートを BVI に設定することはできますが、ブリッジング アトリビュートを BVI に設定す ることはできません。 • ブリッジは複数のネットワーク セグメントを連結して大きくてフラットな単一ネットワーク にします。ブリッジング インターフェイス間で、ルーティング インターフェイスが起点のパ ケットをブリッジングするには、ブリッジ グループを 1 つのインターフェイスで表す必要があ ります。 Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 78-10408-03-J 7-5 第7章 ブリッジングの設定 IRB の設定 IRB の設定 IRB を設定するプロセスは、次のとおりです。 • ブリッジ グループおよびルーティング インターフェイスを設定します。 − ブリッジングをイネーブルにします。 − ブリッジ グループにインターフェイスを割り当てます。 − 該当するプロトコルにルーティングを設定します。 • IRB をイネーブルにします。 • BVI を設定します。 − BVI がルーティングされたパケットを受け付けるようにします。 − 所定のプロトコルに関して BVI 上のルーティングをイネーブルにします。 • ルーティング インターフェイスにプロトコル アドレスを設定します。 • IRB の設定を確認します。 BVI を設定し、BVI 上でルーティングできるようにすると、ブリッジ グループ内のセグメント上の ホストを宛先として、ルーティング インターフェイスに届いたパケットは、次のプロセスをたどり ます。 パケットは BVI にルーティングされ、ブリッジング エンジンに転送されます。パケットは、ブリッ ジング エンジンからブリッジング インターフェイスを通過します。同様に、ルーティング インター フェイス上のホストを宛先とし、ブリッジング インターフェイスに届いたパケットも、まず BVI へ 送られます。パケットは BVI によってルーティング エンジンに転送され、そこからさらにルーティ ング インターフェイスに送信されます。 ブリッジ グループ、およびブリッジ グループ内のインターフェイスを設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードから始めて、次の作業を行います。 コマンド 目的 ステップ 1 Router(config)# bridge bridge-group protocol ieee 1 つまたは複数のブリッジ グループを定義しま す。 ステップ 2 Router(config)# interface fastethernet number イーサネット インターフェイス コンフィギュ レーション モードを開始し、ファスト イーサ または ネットまたはギガビット イーサネット インター Router(config)# interface gigabitethernet number フェイスを設定します。 Router(config-if)# ステップ 3 Router(config-if)# bridge-group bridge-group 指定したブリッジ グループにインターフェイス を割り当てます。 ステップ 4 Router(config-if)# end イネーブル EXEC モードに戻ります。 Router# IRB および BVI をイネーブルにして設定するには、グローバル コンフィギュレーション モードか ら始めて、次の作業を行います。 Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 7-6 78-10408-03-J 第7章 ブリッジングの設定 IRB の設定 コマンド 目的 ステップ 1 Router(config)# bridge irb IRB をイネーブルにします。ブリッジング インター フェイスからトラフィックをルーティングできるよ うにします。 ステップ 2 Router(config)# interface bvi bridge-group BVI に対応するブリッジ グループ番号を割り当てる ことにより、BVI を設定します。1 つのブリッジ グ ループに対応する BVI は 1 つだけです。 Router(config-if)# ステップ 3 Router(config-if)# ip address ip-address ip-address-subnet-mask ルーティング インターフェイスにプロトコル アドレ スを設定します。ここで示した例は、IP の場合です。 ステップ 4 Router(config-if)# exit インターフェイス コンフィギュレーション モードを 終了します。 Router(config)# ステップ 5 Router(config)# bridge bridge-group route protocol 対応するブリッジ グループから受信したルーティン グ可能パケットをBVIが受け付けてルーティングでき るようにします。 対応するブリッジ グループから他のルーティング イ ンターフェイスへ、BVI によってルーティングするプ ロトコルごとに、このコマンドを入力します。 ステップ 6 Router(config)# end イネーブル EXEC モードに戻ります。 Router# ステップ 7 Router# copy running-config startup-config 変更した設定を NVRAM に保存します。 Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 78-10408-03-J 7-7 第7章 ブリッジングの設定 IRB のモニタおよび確認 IRB のモニタおよび確認 次の手順で、IRB の設定を確認できます。 作業 コマンド ステップ 1 BVI MAC アドレス、処理に関する統計情報などの BVI Router# show interfaces bvi interface-name 情報を表示します。 ステップ 2 次の BVI 情報を表示します。 • このパケットがルーティング可能だった場合に、 このブリッジング インターフェイスから対応する ルーティング インターフェイスにルーティングで きるプロトコル • このブリッジング インターフェイスがブリッジン グするプロトコル Router# show interfaces irb Catalyst 2948G-L3/Catalyst 4908G-L3 スイッチ ルータ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド 7-8 78-10408-03-J
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