Cancer Science conflict of interest policy. - 日本癌学会

Cancer Science
Conflict of Interest Policy
-Development of COI management system
in the Japanese Cancer Association -
Yutaka Kawakami, MD, PhD
Japanese Cancer Association
Conflict of Interest Management Committee
Conflict of Interest (COI)とマネジメントの必要性
産学連携によるがん研究には,研究者が学術的・倫理的責務を果たすことに
よって得られる成果の社会への還元(公的利益)だけではなく,産学連携に伴
い取得する金銭・地位・利権など(私的利益)が発生する場合がある。
これら2つの利益が研究者個人の中に生じる状態を利益相反(conflict of
interest:COI)と呼ぶ。
・研究結果へのバイアス
・研究の真実性、客観性、透明性の喪失
・被験者(ヒト)の生命の危険
・機関に対する社会からの信頼性の喪失
•
•
•
潜在的に弊害があるCOI (Potential)
弊害が存在するように見えるCOI (Apparent)
弊害が実在するCOI (Actual)
軽減・改善の
マネージメント
適切な産学連携推進のためのCOIマネジメント
企業
謝金
委託研究費
共同研究費
寄付金等
利益相反状態
医療系施設、機関
私的利益により 公的責務に問題を
生じさせない マネジメントが必要
COI指針
・臨床研究の実施と成果の蓄積
・新規診断・治療・予防法の開発
社会への還元
ー標準治療ー
医療機関
透明性
中立性
利益相反状態
学会、学術団体、
調査委員会など
COI指針
研究成果の発表、公表
・学術雑誌
・学会発表
・ガイドライン策定
・調査報告書作成
・市民公開講座など
学術団体・学術雑誌に求められるCOIマネジメント
•産学連携推進のためには 利益相反状態は日常的に生じうる。
•しかし、社会責任の観点から COI状態を適切に管理(マネジメ
ント)する必要がある。 •各機関は、主体的・自立的に利益相反指針を策定することによ
り、適切なマネジメント体制を構築し、組織として 社会に対して
説明責任を果たすことが必要
•「利益相反マネジメント」は、「規制」ではなく、研究者と組織を守
りつつ、産学連携を促進し、研究機関、学術団体の「知」を適切に
社会に還元するために必要なシステム
日本におけるCOIガイドラインの策定状況
・ 文科省検討班 「臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」(2006年)
厚労省 「厚生労働科学研究にかかる利益相反の管理にかかる指針」(2008年)
・ 日本臨床腫瘍学会癌治療学会共通指針「がん臨床研究の利益相反に関する指針」
の作成とCOIマネジメント開始 2008月4月
・ 日本癌学会におけるCOIマネジメント体制の構築開始
– 2008年 倫理委員会WGとしてCOI検討、細則作成、2009年4月から独立した利益相反委員会が
設置され、2年間試行期間とし、現在、指針・細則改訂、COI方針の検討中
・ 日本医学会臨床部会 利益相反委員会 (第1回 2010 4/20)
– 日本医学会 108分科会におけるCOI管理に関する諸問題の検討
医学研究に係る利益相反管理のガイドライン(案)の作成
– 第1回合同シンポジウム開催 (2010 7/15) 日本医学会分科会におけるCOIマネジメント状況の
把握と、日本医学会 COIマネジメント体制の整備
– 日本医学会108分科会で、COI指針とCOIマネジメント体制がある分科会(23/108 21%),
2010-2011年中に策定予定(40/108 37%)
・ 日本医学雑誌編集者委員会
– 日本医学会分科会機関誌の現状調査
• COI提出規定(34/130 26.2%), COI 指針あり・作成中(30/130 23.0%)
– 第3回 JAMJEシンポジウム テーマ「利益相反」 検討中
日本癌学会におけるCOIマネジメント体制の構築
•
2008年 倫理委員会WGとして、日本癌学会におけるCOI管理体制を検討
– 臨床腫瘍・癌治療学会共通指針「がん臨床研究の利益相反に関する指針」を使用
– 日本癌学会独自の細則を作成 (臨床研究に限定)(2009年4月施行)
•
2009年4月から独立した利益相反委員会を設置し、試行期間 2年間として、
学会のCOI管理体制構築とCOIマネジメント開始
–
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–
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–
•
役員等のCOI開示とマネジメント
総会等でのCOI開示とマネジメント
機関雑誌「Cancer Science」におけるCOI開示とマネジメント
会員に対するCOI教育啓発
COI開示状態のモニタリング
COI問題に対する対処
現在、COIマネジメント方針の再検討と 指針・細則・規定等の改訂作業中
– 臨床腫瘍学会・癌治療学会・日本癌学会 共通指針「がん臨床研究の利益相反に関す
る指針」の作成検討中 (第1回COI共通指針協議会 2010 1/29) – US-NIH COIガイドラインと ICMEJ-COI開示統一様式を検討
– 特に、基礎研究から臨床研究まで広く含む日本癌学会と研究対象が類似している
AACRとASHのCOI管理を参考
JAMA, 303(23):2400-2402, 2010
・As the nation's biomedical research agency, the National Institutes
of Health (NIH) must ensure that the research it funds on the behalf
of US taxpayers is scientifically rigorous and free of bias. Americans
do not want financial conflicts of interest (FCOI) to influence the
federally funded research they hope will yield better ways to fight
disease and improve health.
・If NIH-supported researchers fail to disclose the full extent of their
financial interests, universities fail to comprehensively manage FCOI,
or NIH fails to diligently oversee the entire system, public trust will
be jeopardized in ways that may have far-reaching implications for
the future of science.
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ICMEJ(国際医学雑誌編集者委員会) 統一投稿規定(URM)にCOI開示規定
・ BMJ, JAMA, Lancet, NEJMなどが採用
・ 2009年10月にCOI開示統一様式の提案
Institutional COI やnon-financial COI (personal, political, institutional, .
religious, etc)も含む
・ 2010年7月にCOI開示統一様式の改訂
Non-financial COI やspouse/childrenの独立項目を削除して、その他の関 . 係の項目として、投稿者がCOI問題と関係がありそうなものを全て記載できる.
. 項目を設定
日本癌学会における組織とCOIマネジメント
役員等
就任時
承認か
条件付き承認 COI
開示
口演・ポスター CS論文投稿者
発表者
発表時
COI
開示
論文発表者のCOI
に関する告発
投稿時
COI
開示
Editor会議(EIC)
役員等のCOIに
関する告発
諮問
COI問題
管理委員会
理事会(理事長)
不服
申立て
※最終決定(責任者)
情報
提供
要請
必要情報
の公開
※理事会からの諮問
に対し調査・答申
利益相反委員会
答申 ※理事会からの諮問
に対し検討・提案
倫理委員会
※COI委員会の提案を受け
理事会の要請により 調査・措置内容の提案
社会(マスコミ、マスメディアなど)
日本癌学会におけるCOI委員会の役割
10名(女性1名、外部委員2名)
– COI開示状態の把握とCOIマネジメント
(役員等、総会等、Cancer Science等)
– COI関連事項の調査・提言
– COI関連問題(告発等)に対する調査・提言
– 会員に対する周知
COIの対象範囲 *役員・発表者などで異なる可能性あり
・対象者として、どこまで含めるべきか? (一親等親族、 生計を一にする者)
・「臨床研究」に限らず、「基礎研究」も含めるべきか?
AACR, ASH等は、全てが対象
・Financial COIだけでなく 、Non-FinancialなCOIも含むべきか?
顧問職、人的援助、師弟関係(論文査読者)など
ICMJE (International committee of medical journal editors)の統一Disclosure form案では
non-financial COI (personal, political, institutional, religious, etc)、またInstitutional COIまでも含む
COIの基準 *社会に説明できる基準 *自己申告が基本(COIが疑わしい場合、申告しておくことが望ましい)
・Financial COIにおける申告金額・申告期間 ・AACRも ASHも ICMJEも、COIは基本的には金額の多寡によらない方針 ・お金の価値は国により異なるので、金額の多寡にかかわらず開示する方がよい ・AACRは金額をmajor/ minorに分けて小額でも申告を義務付けている (COIの程度基準?)
・過去3年間、あるいはそれ以上の申告すべき期間
・Non-Financial COIに関する基準
・人的援助、顧問職
・機関雑誌査読者 etc
日本癌学会COIマネジメント方針 *現在 改訂作業中
・開示方法 (臨床研究と基礎研究全てを含む) (COI基準は細則に則る)
(1) 役員: 年1回過去3年間の自己申告書を提出(新役員は就任時に、継続役員は年度末)
(2) 発表者:
・総会発表者:①筆頭発表者は、演題登録時に、本人・配偶者・一親等親族・収入財産を共有する者 の過去3年間のCOI状態が「有」の場合は自己申告書を提出
②発表時はCOIの有無に関らずスライドにて開示
・市民公開講座講演者(非会員を含):
①講演受諾時に過去3年間のCOI自己申告書提出
②発表時にスライドにてCOI状態開示
(3) 雑誌投稿者:①基礎・臨床全てを含む、過去3年間
②罰則規定を設ける(最大3年間の投稿禁止)、Corresponding authorが責任者
③Editorと Associate EditorにCOI開示義務
④査読者は COIに問題があると考える場合は 自主的に査読を辞退する
⑤投稿時に投稿システム上でCOI開示、掲載紙面上で論文末尾に開示
・COI委員会におけるCOIマネジメント
・年2回(1月,8月)の定例委員会にて、COI自己申告書の記載漏れがないか、正しく記載されているか を確認し、問題がある場合は その内容を理事会に報告
・総会等講演、およびCancer Science誌でのCOI開示状態をモニターする
日本癌学会学術総会発表用
Example
COI Disclosure Information
Name of the Speaker
I have the following financial relationships to disclose.
Leadership position/advisory role for: XXXX, Inc.
Stockholder in: YYY Corporation, ZZZ Corporation
Patents and royalties from: YYY Corporation
Honoraria(lecture fee) from: None
Honoraria (manuscript fee) from: None
Grant/Research funding from: YYY Corporation
Other remuneration from: WWW Corporation
Employee of: ZZZ Corporation
-
or –
I have no financial relationships to disclose.
Cancer Science COI Policy-1
• The Japanese Cancer Association (JCA) requires authors,
editors and reviewers, to disclose any potential conflicts
of interest related to articles submitted for “Cancer
Science”.
• A conflict of interest exists when anyone has financial or
personal relationships that could inappropriately
influence (bias) toward his or her actions.
• The intent of the JCA Conflict of Interest disclosure policy
is to provide authors, editors, and readers with all the
facts necessary to make informed judgments about the
content of Cancer Science.
Cancer Science COI Policy-2
•
All authors will be required to complete a conflict of interest form as
part of the initial manuscript submission process.
•
The corresponding author is responsible for obtaining completed
forms from all authors of the manuscript.
•
The disclosure of a potential conflict of interest does not necessarily
affect the manuscript’s chances of acceptance.
•
Disclosures, only when clearly related to the topic of the present
manuscript, will appear as “Disclosure Statement” in published
article.
•
Disclosures that the author deems relevant will be disclosed
publicly.
•
Serious failure by any author to disclose a conflict that later comes
to light will result in a ban on the author publishing in Cancer
Science for a period of maximum 3 years.
Cancer Science COI Policy-3
• Editors and Associate Editors are required to fill out
conflict of interest forms on an annual basis.
• Editors, Associate Editors and persons asked to peer
review a manuscript, should voluntarily remove
themselves from involvement in any manuscript
review or discussion if they believe they could have a
conflict of interest.
日本癌学会利益相反申告基準と開示法
1つの企業・団体からの役員、顧問職としての
報酬額が年間100万円以上
該当の状況
(本人) 有 ・ 無
該当の有る場合,企業・団体名等
(本人以外)有 ・ 無
(本人) 有 ・ 無
1つの企業の1年間の株式による利益が
100万円以上,あるいは当該株式の5%以上
1つの企業・団体からの特許使用料が年間100
万円以上
1つの企業・団体からの講演料が年間合計50
万円以上
1つの企業・団体からの原稿料が年間合計50
万円以上
1つの企業・団体からの研究費(受託研究費、
奨学寄付金、委任経理金など)の総額がそれ
ぞれ年間200万円以上、または寄付講座の所
属
1つの企業・団体からの報酬(研究とは直接無
関係な,旅行,贈答品など)が年間5万円以上
(本人以外)有 ・ 無
(本人) 有 ・ 無
(本人以外)有 ・ 無
(本人) 有 ・ 無
(本人以外)有 ・ 無
(本人) 有 ・ 無
(本人以外)有 ・ 無
(本人) 有 ・ 無
(本人以外)有 ・ 無
(本人) 有 ・ 無
(本人以外)有 ・ 無
*役員等用申告では、詳細な内容と金額も記載
Cancer Science COI開示状況のモニタリング
(2009年4月ー2010年9月に掲載された論文の COI開示状況)
現在は、臨床研究だけに開示義務あり
439編中、臨床研究となる論文207編あり
・臨床研究にもかかわらず、臨床研究と申告されていなかった論文 107編
・最終的に論文に適切に開示されていなかった論文 102編
*投稿者のCOIに関する理解が不十分
今後の対策
・全ての基礎・臨床研究をCOIの対象する
・適切にCOI開示が行われる、投稿システムと 論文掲載システムの構築
・投稿者、癌学会会員へのCOIに関する周知徹底
(Cancer Science誌上、HP上での周知等)
日本癌学会COIマネジメントにおける今後の課題
会員へのCOI周知の徹底
・ 総会、評議員会等での説明
・ 癌学会HP上にCOI関連ページの構築、Q&A掲載
・ 学会機関誌Cancer Science誌上での宣伝
・ 講習会
COI開示状態のモニタリング
・総会や機関誌上でのCOI開示状況の定期的モニター
COI問題に対する対処
COI管理体制の改善