APPLE-II 型可変偏光アンジュレータの準周期化の効用について

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APPLE-II 型可変偏光アンジュレータの準周期化の効用について
Effectiveness of Introducing a Quasi-Periodicity in APPLE-II type Variably Polarizing Undulator
○ 佐々木茂美、宮本篤、島田賢也、生天目博文
広島大学 放射光科学研究センター
広島大学放射光科学研究センターでは、現在 HiSOR 電子
という問題がある。しかしこのことに由来するビームの不
蓄積リングに挿入されている周期長 100-mm の円偏光ア
安定性などについては、世界の主要な第3世代放射光施設
ンジュレータをより周期長の短い APPLE-II 型の可変偏光
でのマシンスタディーなどを通して解決策が確立してい
アンジュレータに置き換える予定である。現在のアンジュ
る。
以上のような状況から、HiSOR では磁場周期長 78-mm、
レータは電子軌道の上下の各I-ビームに3列の磁石列
周期数 23 の APPLE-II を採用することとした。
それにより、
があり、真ん中の磁石列が垂直磁場を発生し、外側の磁石
輝度は光子エネルギー40 eV で現在より3倍強、20 eV で
列が水平磁場を発生する構造となっている。この構造では、
60%程度大きくなる。また、この APPLE-II は準周期化に
真ん中の磁石の幅が狭くなるため電子軌道上の垂直磁場
も対応できる構造とすることを決定した。準周期化するこ
のロールオフが大きく、ビームダイナミックスへの影響が
とにより、基本波のフラックスは2~3割減ることが予想
大きいことが想定されたため、HiSOR では、磁石表面中
されるが、全フラックスを取りこんだ場合の2次光及び3
心に溝を掘り、垂直磁場の水平方向均一性を保つ構造とし
次光による汚染が1桁以上少なくなることから、特に
た。一方 APPLE-II 型アンジュレータでは垂直磁場の均一
VUV 領域の光子エネルギーを用いる高分解能光電子分光
性に大きな問題はないが、水平磁場のロールオフが大きい
実験には大きなメリットがある。