研究報告書 「ガチョウパルボウィルスに対する アルヴィシャットの抗ウィルス作用の検討」 2004年12月24日 北里大学医療衛生学部 微生物学研究室 教授 北里 英郎 【研究目的】 ガチョウパルボウィルスに対する消毒薬アルヴィシャットの抗ウィルス作用の検討 ―アルヴィシャットによるガチョウパルボウィルスの不活性化― 【材料と方法】 ウィルス:ガチョウパルボウィルスは初代ガチョウ胚細胞で増殖させ、感染価 3.2×106pfu/mlのものを用 いた。 細胞:ガチョウパルボウィルスの増殖、感染価測定用細胞には、14 日卵のガチョウ受精卵からガチョウ胚 を取出し、トリブシンで消化・洗浄した後、培養したものを初代ガチョウ胚細胞とした。 ガチョウパルボウィルスの感染価測定:初代ガチョウ胚細胞を用いてプラック感染価測定を行った。 消毒剤の抗ウィルス作用の検定:アルヴィシャット原液(400ppm)を最終濃度が 100ppmになるように滅菌 蒸留水で希釈(4 倍希釈)した。アルヴィシャット 100ppm溶液 450μlにウィルス原液 50μl(3.2×106pfu/ml) を加え 1∼10 分間室温で放置した。一定時間経過後、ウィルス液をPBSで段階希釈し、その 0.1mlを初代 ガチョウ胚細胞に接種し 37℃、90 分吸着させた。その後、0.8%寒天を含む培養液を加え 72 時間培養した。 培養 72 時間後に 0.005%中性紅、0.8%寒天を含む培養液を加え、24 時間後にプラックを算定し感染価を 算出した。 【結果と考察】 アルヴィシャットのガチョウパルボウィルスに対する不活性化を検討した結果以下の成績を得た。 処理時間 感染価(pfu/ml) 残存率 対照 3.2×106 − 1min 3.2×106 100% 3min 2.8×106 87.5% 5min 8.5×105 26.6% 10min 1.0×104 0.3% この結果から、100ppmのアルヴィシャットとの接触で、カチョウパルボウィルスは3分間で 12.5%、 5分間で 73.4%、10 分間で 99.7%の感染価の低下が認められた。 これにより、アルヴィシャットはパルボウィルスに有効と考えられる。 ガチョウパルボウィルスに対する抗ウィルス効果 3,500,000 感染価(pfu/ml) 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 0 0分 1分 3分 5分 作用時間 10分
© Copyright 2024 ExpyDoc