31 愛知県帰宅困難者等支援対策実施要領

31
愛知県帰宅困難者等支援対策実施要領(平成16年3月)
第1章
実施要領策定の基本的考え方
愛知県では、東海地震の警戒宣言発令時及び突発地震時等において、交通機
関等が停止した場合、名古屋市をはじめとする大都市特有の問題として、多く
の帰宅者が特定の駅等に集中し、混乱状況が引き起こされることが予想される
とから、このような事態を想定し、地震による人々の混乱防止のため、帰宅困
難者・滞留者に対する支援対策を策定することが喫緊の課題となっている。
具体的には、愛知県が平成14年度に実施した「東海地震・東南海地震等被害
予測調査」(以下「被害予測調査」という。)で、強化地域内の鉄道、バス等
の公共交通機開が停止する警戒宣言発令時(平日昼12時の場合)に、事前の帰
宅行動がない場合には、最大約36万人が帰宅困難者となることを想定し、突発
的に地震が発生した場合(平日昼12時の場合)には最大約98万人が帰宅困難者
となることを想定した。
平成16年1月5日、東海地震に関する国の情報内容の改正にともない、地震発
生の切迫度に合わせて東海地震観測情報、注意情報、予知情報(警戒宣言発令)
の3段階で情報が出ることとなり、住民は東海地震注意情報が発表された段階、
つまり、これまでよりも早い段階で帰宅準備に取りかかることが可能になっ
た。
こうした背景のもと、愛知県が実施した平成15年度被害予測調査報告書の中
では、東海地震注意情報が発表された段階から多くの住民が帰宅ないし強化地
域外へ移動し、鉄道等の輸送力が増強されることを前提にした場合、東海地震
注意情報が発表されてから約5時間後には県全体で約1,000人にまで帰宅困難
者が減ることを想定した。
また、東海地震の震度分布を見ると、東三河ほぼ全域で震度6弱~6強となる
が、それ以外の地域では震度6弱が点在するものの、ほとんどが震度5強以下で
あると想定されており、東海地震が突発で発生した場合でも、発災後数時間の
間点検を実施した上で安全が確認された場合には、東三河地区以外では帰宅行
動がとれる可能性がある。したがって、突発的に地震が発生した後、東三河地
区以外で安全が確認され鉄道等が運行され始めた場合には、数時間後以降にお
いて、県全体で約11万人にまで帰宅困難者が減ることを想定した。
これらのことから、東海地震注意情報発表時から積極的に帰宅開始を徹底さ
せるとともに、警戒宣言発令時及び突発地震時において、帰宅者等の分散を図
るための適正な情報提供方法、徒歩帰宅者への水や食料、トイレ及び休憩場所
等の提供が可能な体制づくりが急務であることは言うまでもない。
そこで、愛知県は、防災関係機関等との連絡調整を行う機関を設置し、それ
ぞれの役割を定め、広域的な帰宅困難者等支援対策を進めるための「愛知県帰
宅困難者等支援対策実施要領」を作成することとした。
この実施要領は、県、市町村、鉄道事業者、企業等のそれぞれの役割及び隣
接県や周辺市町村との連携について整理し、各機関が早急に実施すべき内容を
明記したものであり、主に各市町村が中心となって、地域住民の安全な帰宅を
支援するとともに、駅等での混乱を回避するための帰宅困難者等支援対策を実
施するための指針である。
キーワードは、「帰宅困難者をいかに減少させるか」であり、重要な課題は、
帰宅困難者を迅速かつ安全に帰宅させるため、この実施要領の内容を実現する
ことである。
なお、今後、この実施要領をさらに具体化するため、引き続き検討の場を設
けて、関係機関と詳細をつめていくものとする。
図 図 1
県、市町村、鉄道事業者、企業等、隣接県や周辺市町村との連携(略)
第1節 想定される大地震
愛知県を襲う可能性が大きいと見られる大地震は、現在、以下の2つのプレ
ート境界型地震が特筆される。特に、東海地震については、いつ起きてもおか
しくないと言われており、近年、特に複数の地震が連動して発生する可能性と
その被害の甚大さが指摘されている。また、阪神・淡路大震災にみられた内陸
直下型地震も懸念されるため、十分な注意が必要である。
1) 東海地震
近い将来、東海地方に大きな被害をもたらすであろうといわれてい
る駿河トラフで発生する地震であり、安政東海地震から約150年発生し
ていないことから、昭和51年秋の地震学会において「駿河湾でマグニ
チュード8前後の大地震が明日起きてもおかしくない。」と唱えられて
から30年近くが経過した。今では、東南海地震等と連動して発生すると
いう説も多く聞かれるようになった。
東海地震が発生した場合に著しい被害が生じる恐れのある地域は、
大規模地震対策特別措置法に基づいて、地震防災対策強化地域(以下、
「強化地域」という。)に指定されている。
平成13年に中央防災会議において、東海地震の想定震源域が50kmほ
ど愛知県寄りに見直され、平成14年4月24日に、愛知県内の強化地域が
従来の新城市1市から名古屋市を含む58市町村(現在は合併により57市
町村)に拡大指定された。こうしたことから東海地震が発生した場合
には、愛知県の多くの地域で甚大な被害の発生が予想され、適切な対
策の実施が急務となっている。
被害予測調査では、震源に近い渥美半島や県東部では、大半が震度5
強から6弱となり、一部で6強がみられる。知多半島及び表層地盤の増
幅度の大きい岡崎平野や濃尾平野の全域で震度5、一部で震度6弱とな
る。強化地域に指定された市町村のほとんどで震度6弱以上がみられ
る。愛知県東部は震源に近いため、震度が5強であっても震度6弱に近
い可能性があることに注意する必要があるとしている。
2) 東南海地震
浜名湖から紀伊半島沖合の南海トラフで発生する地震であり、歴史
的に見て100~150年の間隔で発生している(国の地震調査研究推進本
部の評価による平均発生間隔は111.6年)。
平成13年9月、国の地震調査研究推進本部は、長期的な発生確率を公
表した。これによれば、今後30年以内に東南海地震が発生する確率が
50%程度、地震の規模がマグニチュード8.1前後(南海地震と同時発生
の場合マグニチュード8.5前後)と推定している。
被害予測調査では、震源に近い渥美半島や知多半島及び濃尾平野の
南部で震度6強(ごく一部で震度7)が表れるほか、県の南西部のほぼ
全域で震度6弱以上となり、さらに、東海・東南海地震連動で発生した
場合は、東海地震と東南海地震を合わせたような震度分布で、震源に
近い渥美半島、知多半島、県東部及び濃尾平野等広い範囲で震度6弱以
上(ごく一部で震度7)となるとしている。
また、平成14年7月26日に「東南海・南海地震に係る地震防災対策の
推進に関する特別措置法」が公布され、平成15年12月17日に、愛知県
内の約9割に相当する78市町村が東南海地震・南海地震防災対策推進地
域に指定され、東南海・南海地震を想定した地震防災対策を強化する
ことが喫緊の課題となっている。
図 2
大地震の想定震度(略)
第2節 愛知県の地震対策
東海地震等、大規模地震発生の切迫性を受け、県、市町村、防災関係機関の
責務・対応等を定めている愛知県地域防災計画の全面的な見直しを行い、地震
に強い愛知県をめざし、愛知県地域防災計画の実効性を高めるために、県が取
り組むべき地震防災施策をとりまとめた行動計画「あいち地震対策アクション
プラン」を策定した。
このプランでは、「地震の発生は不可避でも震災は軽減できる」という理念
のもと、地震の発生や警戒宣言発令等の事態に対応するため、①防災協働社会
の形成、②防災型まちづくりの推進、③災害対策活動への備えを3つの目標と
して掲げ、地震防災対策を計画的・効果的に推進することとしている。
また、平成16年4月1日に施行する予定の「愛知県地震防災推進条例」は、地
震災害から県民の生命、身体、財産を守るため、地震防災に関し、県、市町村、
県民、事業者、自主防災組織、ボランティアの責務・役割を明らかにするとと
もに、県が実施する施策の基本となる事項を定めたものであり、その中で、県
は、市町村その他関係行政機関と連携し、帰宅困難者・滞留旅客が徒歩により
円滑に帰宅し、又は避難するための情報の提供、食料・飲料水の確保、その他
必要な対策を講ずるよう、帰宅困難者等に対する支援を規定している。
第3節 帰宅困難者等の定義
警戒宣言の発令や大地震の発生直後、鉄道やバス等の公共交通機関が運行停
止あるいは不通区間の発生が予測された場合、オフィス街、駅ターミナル、繁
華街や電車内等にいた大量の人々が足止めされることとなる。これらの人々の
うち自宅がある市町村以外で足止めされた人々を「滞留者」として定義し、ま
たそのうち徒歩によってある一定時間内に帰宅することが困難な人々を「帰宅
困難者」として定義した(以下、「滞留者」と「帰宅困難者」を併せて「帰宅
困難者等」という。)。なお、前提として、突発地震時には全域的に交通機関
は停止するものとし、警戒宣言発令時には、強化地域内の鉄道・バス等の公共
交通機関は停止し、強化地域内では自動車・二輪・徒歩、強化地域外では全交
通手段が使えるとする。
第4節 愛知県内で発生する帰宅困難者等
1) 帰宅困難者数調査結果について
愛知県(愛知県防災会議地震部会)は、平成14年度に実施した被害
予測調査の中で、昼間における各地区の会社・学校等の人々の帰宅先
別人口を推定することによって帰宅困難者数の最大値を算出し、①突
発地震時には県全体で975千人、②警戒宣言発令時には県全体で359千
人の帰宅困難者が発生することを想定した(各市町村における帰宅困
難者数は表 1を参照)。
平成15年度被害予測調査報告書の中では、東海地震注意情報が発表
された段階から、多くの住民が帰宅ないし強化地域外へ移動し、鉄道
等の輸送力が増強された場合、東海地震注意情報が発表されてから約5
時間後には県全体で約1,000人にまで帰宅困難者が減ることを想定した
(表 5参照)。また、突発的に地震が発生した後、東三河地区以外で
安全が確認され鉄道等が運行された場合には、その数時間後、県全体
で約11万人にまで帰宅困難者が減ることを想定した(表 2参照)。
① 帰宅困難者数の想定方法
帰宅困難者数の算定にあたっては、以下の帰宅困難度の考え方に沿っ
て行った。
《 愛知県東海地震・東南海地震被害予測調査の帰宅困難度の設定 》
●
帰宅困難度は「帰宅可能」と「帰宅困難」に分ける。
●
帰宅距離 10km 以内の人は全員「帰宅可能」とする。
●
帰宅距離 10km~20km では、被災者個人の運動能力の差から、1km 長くなる毎に「帰宅可能」
者が 10%ずつ低減していくものとする。例えば、帰宅距離 13km では当該滞留者数の 70%が
「帰宅可能」、30%が「帰宅困難」となる。
●
帰宅距離 20km 以上の人は全員「帰宅困難」とする(1978 年宮城県沖地震における帰宅行動
について、20km 以遠では徒歩で翌朝までに帰宅した人はいなかった)。
●
警戒宣言発令時には強化地域内でのみ交通機関が停止し、強化地域外での移動はできる前提を
置いて算出した。また、自動車・二輪車による外出者は帰宅可能とした。
②
帰宅困難者数の算定
前述の帰宅困難者数の想定方法に沿って以下の条件にて愛知県内の
各市町村の帰宅困難者数を算定した。
●
表 1 に示す数値は各市町村で発生する帰宅困難者数を示したものである。つまり、名
古屋市の数値は昼間に通勤・通学及び、私事(買物やレジャー等)等で名古屋市に来
ている人々で帰宅困難となる人数を示したものであり、名古屋市に住む人のうちの帰
宅困難となる人数を示したものではない。
●
帰宅困難者数の推定は、第 3 回(平成 3 年)中京都市圏・東三河都市圏パーソントリ
ップ調査(以下、「パーソントリップ調査」という。)を利用し、帰宅先別(帰宅距
離別)割合を推定し、帰宅距離に応じて帰宅困難度を設定することで算定した。ただ
し、パーソントリップ調査の対象外である足助町、下山村、旭町、設楽町、東栄町、
豊根村、富山村、津具村、稲武町、鳳来町及び作手村は帰宅困難者算定の対象外とし
た。
●
突発地震時には全地域において交通手段は全て停止するものとし、帰宅は徒歩だけに
よるものとした。
●
警戒宣言時には強化地域内の鉄道・バス等の公共交通機関は停止するものとした。パ
ーソントリップ調査によれば、鉄道・バス以外に自動車・二輪・徒歩による主な交通
手段があり、強化地域内では自動車・二輪・徒歩、強化地域外では全交通手段が使え
るものとした。
※
パーソントリップ調査とは、人(パーソン)の 1 日の動き(トリップ)を調べ、交通実態を把
握するために実施される調査(調査内容は以下の通り)。
・どのような人が:サラリーマン、学生、主婦等
・何時頃から何時頃に:○○時□□分に出発、△△時××分到着
・どこからどこへ:勤務先へ、学校へ、スーパーへ等
・どのような目的で:通勤、通学、買物、レジャー等
市町村
名古屋市
突発地震時
就業者
267,238
就学者
私事等
警戒宣言時
計
就業者
就学者
64,311 138,688 470,237 136,590
55,598
私事等
計
48,545 240,733
豊田市
28,768
8,046
16,556
53,370
3,743
5,377
886
10,006
岡崎市
20,172
5,464
13,494
39,130
6,715
4,099
2,631
13,445
・
・
・
・
・
・
・
・
・
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・
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・
・
・
・
・
・
・
・
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・
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・
・
・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
県 計
図 3 帰宅困難者数想定結果の凡例
表 1に、これらの算定結果を示す(なお、表については突発地震時の帰宅困
難者合計数の多い市町村から降順で表示)。
表 1 帰宅困難者数想定結果(突発地震時計降順)(1/2)(平成14年度調査)(略)
表 1 帰宅困難者数想定結果(突発地震時計降順)(2/2)(平成14年度調査)(略)
2) 突発地震が発生した場合の特徴
突発地震が発生し、鉄道がすべて停止した場合には、その直後、名
古屋市で、県全体(975千人)の約5割を占める470千人(48.22%)の帰
宅困難者が想定される。次いで人数の多いのが、豊田市53千人(5.47%)、
岡崎市39千人(4.01%)となっている(表 1参照)。
ただし、東海地震が突発的に発災し、その数時間後、東三河地区以
外で安全が確認され、鉄道等が運行され始めた場合には、帰宅困難者
は県全体で約11万人にまで減ると想定されている
図 5、表 2参照)。
図 4
突発地震時における帰宅困難者数の分布
図 5 突発地震発災後東三河地区以外で鉄道等が運行された場合の帰宅困難者数の分布
表 2 突発地震発災後において東三河地区以外で鉄道等が運行された場合の帰宅困難者数想定結果(1/2)(略)
(平成14年度調査結果から算定)
表 2 突発地震発災後において東三河地区以外で鉄道等が運行された場合の帰宅困難者数想定結果(2/2)(略)
(平成14年度調査結果から算定)
3) 警戒宣言が発令された場合の特徴
警戒宣言が発令された場合、名古屋市では、県全体(359千人)の半
数以上を占める240千人(66.95%)の帰宅困難者が想定される。次いで
人数の多いのが、岡崎市13.4千人(3.74%)、豊橋市13.3千人(3.71%)
となっている(図 6 警戒宣言時における帰宅困難者数の分布、表 1
参照)。
人の種別で見ると、就業者が①名古屋市136千人、②刈谷市7.9千人、
③岡崎市6.7千人、就学者は①名古屋市55千人、②豊田市5.3千人、③日
進市5.1千人、私事等では①名古屋市48千人、②豊橋市4.1千人、③岡崎
市2.6千人となっている。
警戒宣言が発令されるまでに数時間の余裕をもって東海地震注意情
報が発表され、鉄道等の輸送力が増強されることを前提にした場合に
は、その段階から多くの住民が帰宅ないし強化地域外へ移動し、帰宅
困難者数が激減すると想定されている(次ページ参照)。
図 6 警戒宣言時における帰宅困難者数の分布
4) 東海地震注意情報が発表された場合の特徴
警戒宣言が発令されるまでに数時間の余裕をもって東海地震注意情
報が発表され、その段階から多くの住民が帰宅ないし強化地域外へ移
動し、鉄道等の輸送力が増強されることを前提に、数時間内の帰宅行
動はある程度円滑に行われる可能性がある。平成 12 年大都市交通セン
サスによれば、中京圏における通勤通学所要時間は平均で 64 分であり、
また 3 時間以内に 99.9%の人が通勤通学を完了している。このデータを
用いて、東海地震注意情報発表の 30 分後から帰宅行動を開始し、通常
時の 1.5 倍所要時間がかかると仮定した場合には、1 時間後の帰宅困難
者は県全体で 932 千人、2 時間後で 525 千人、3 時間後で 83 千人、4 時
間後で 5 千人、5 時間後で約 1 千人と想定されている(表 5 東海地震
注意情報が十分余裕をもって発表された場合の帰宅困難者数想定結果
(1/2)(略)参照)。したがって、東海地震注意情報発表後から警戒
宣言発令までに 5~6 時間ある場合、帰宅困難者はほとんど発生しない、
あるいは発生しても非常に少ないと想定される。
表 3 東海地震注意情報発表後における主要都市の帰宅困難者想定人数
注意情報発表後
名古屋市
豊田市
岡崎市
刈谷市
からの経過時間
(人)
(人)
(人)
(人)
30分後
0
0
0
0
1時間後
449,546
51,022
37,408
30,370
2時間後
253,462
28,767
21,091
17,122
3時間後
40,442
4,590
3,365
2,732
4時間後
2,821
320
235
190
5時間後
472
54
38
32
注意情報発表後
豊橋市
春日井市
一宮市
安城市
帰宅率
からの経過時間
(人)
(人)
(人)
(人)
(%)
30分後
0
0
0
0
0
1時間後
27,503
21,725
17,076
14,870
4.4
2時間後
15,506
12,248
9,627
8,384
46.1
3時間後
2,474
1,954
1,536
1,338
91.4
4時間後
172
137
108
93
99.4
5時間後
29
23
18
15
99.9
※
出典:平成15年度
愛知県『東海地震・東南海地震等被害予測調査』
(平成14年度調査結果から算定)
参考:平成12年大都市交通センサス中京圏報告書総集編(平成14年)に基
づく帰宅所要時間の設定
平成12年大都市交通センサスによれば、中京圏における通勤通学所要時間は
平均で64分であり、また3時間以内に99.9%の人が通勤通学を完了している。
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
180分以上
165-179分
150-164分
135-149分
120-134分
105-119分
90-104分
75-89分
60-74分
45-59分
30-44分
15-29分
0-14分
時間別割合(%)
累積分布(%)
図 7 中京圏における通勤通学所要時間分布
このデータを用いて、東海地震注意情報発表の30分後から帰宅行動を開始
し、通常時の1.5倍所要時間がかかると仮定すると、東海地震注意情報発表後
の各経過時間における想定帰宅率は以下の通りとなる。
表 4 東海地震注意情報発表後の各経過時間における想定帰宅率
東海地震注意情報発表後
帰宅率(%)
からの経過時間
表 5
30分後
0
1時間後
4.4
2時間後
46.1
3時間後
91.4
4時間後
99.4
5時間後
99.9
東海地震注意情報が十分余裕をもって発表された場合の帰宅困難者数想定結果(1/2)(略)
(平成14年度調査結果から算定)
表 5
東海地震注意情報が十分余裕をもって発表された場合の帰宅困難者数想定結果(2/2)(略)
(平成14年度調査結果から算定)
第5節 鉄道事業者による警戒宣言発令時等の運用規定
1) 東海旅客鉄道株式会社(JR東海)
東海旅客鉄道株式会社では、東海地震注意情報発表時及び警戒宣言発
令時における列車、旅客等の安全を確保するため、「東海旅客鉄道株式
会社防災業務計画」により、以下の措置を講じることとしている。
① 東海地震注意情報発表時における対応
ア 列車運行
a 旅客列車は運行を継続する。
ただし、長距離夜行列車は強化地域内への進入を禁止す
る。
※
イ
貨物列車については、強化地域への進入を禁止する。
旅客等への案内
a 東海地震注意情報及び政府からの準備行動を行う旨の情
報伝達を行う。
b 列車の運転状況と警戒宣言が発令された場合の運転計画
の情報を提供する。
② 東海地震警戒宣言発令時における対応
ア 列車運行
a 強化地域内への列車の進入を禁止する。
b 強化地域内を運転中の列車は、最寄りの安全な駅、その他
の場所まで安全な速度で運転し停車させる。
ただし、東海道新幹線においては、名古屋・新大阪間は運
行を継続する。
c 強化地域外においては、折り返し設備等を勘案し以下の区
間を速度制限して運行を継続する。
・東海道本線:尾張一宮駅~米原駅間
・中央本線 :春日井駅~瑞浪駅間
:南木曽駅~塩尻駅間
・関西本線 :桑名駅~亀山駅間
・紀勢本線 :亀山駅~三瀬谷駅間
・高山本線、太多線及び名松線:全線
イ 旅客等への案内
a 警戒宣言の内容を伝達する。
b 列車の運転状況を案内する。
c 関係地方自治体の定める避難地への案内等必要な措置を
実施する。
2) 名古屋鉄道株式会社
①
東海地震注意情報発表時における対応
ア 列車の運行
a 列車運行は、通常運行のままとする。
ただし、旅客の帰宅対策として、状況に応じて輸送力の増
強をする。
注)特急特別車の一般開放を実施。臨時列車の設定や車両増
結により、警戒宣言発令時における指定区域内の帰宅困難
者を極力減らすものとする。
イ 旅客等への案内
a 東海地震注意情報を確認した場合、警戒宣言発令時、政府
の定めた地震警戒指定区域内の列車運行を停止する旨の
案内を実施する。
② 東海地震警戒宣言発令時における対応
名古屋鉄道株式会社では、「東海地震に関する情報発表時におけ
る輸送計画」において、東海地震の警戒宣言が発令されると15分以
内に、以下の区間で列車運行を中止することとしている(強化指定
区域線区及び、駅折返し設備等を考慮)。
・名古屋本線:須ヶ口駅~豊橋駅間
・犬山線
:岩倉駅~枇杷島分岐点間
・津島線
:全線
・尾西線
:森上駅~弥富駅間
・小牧線
:小牧(味美)駅~上飯田駅間
(小牧~味美間は、味美駅に駅要員配置後)
・瀬戸線
:栄町駅~尾張旭駅間
・常滑線
:全線
・河和線
:全線
・知多新線 :全線
・築港線
:全線
・三河線
:全線
・豊田線
:全線
・西尾線
:全線
・蒲郡線
:全線
・豊川線
:全線
なお、その他の線区(地震警戒指定区域外)は、普通・急行のみ
の運転で、速度を65km/h以下とし、本数を減らして運転する。
3) 近畿日本鉄道株式会社
①
東海地震注意情報発表時における対応
ア 列車の運行
a
強化地域内を運行する列車は原則としてそのまま運転を
継続する。
ただし、旅客の帰宅対策として、状況に応じて輸送力の増
強を検討する。
イ 旅客等への案内
a 東海地震注意情報を確認した場合、旅客等に対し、警戒宣
言が発せられたときは列車の運転を中止する旨を旅客に
説明し、旅行の中止等を勧める。
② 東海地震警戒宣言発令時における対応
ア 列車の運行
近畿日本鉄道株式会社では、「東海地震に係る地震防災応急
計画」において、次によることとしている。
a 強化地域内への列車の進入は原則として禁止する。
b 強化地域内を運転中の列車は、原則として最寄りの駅で運
転を中止する。
※ 具体的に運転を中止する区間:
・名古屋線:近鉄名古屋駅~川越富洲原駅間
・山田線:明星駅~宇治山田駅間
・鳥羽線:全線
・志摩線:全線
なお、これに伴い名古屋線:桑名駅~山田線:明星駅では、
特急列車の運転を取りやめ、一般列車も運転本数を減らす他、
速度を落として運転する。また、この他、名阪ノンストップ特
急の運転を取りやめる等、大阪線をはじめ多くの線区で平常通
りの運転ができなくなることとしており、ホームページでも広
く広報している。
イ
旅客への案内
a 駅・車内放送および掲示等により、警戒宣言が発せられ列
車の運転を休止している旨を案内する。
b 構内および列車内の旅客に対して、公共の避難場所への避
難を勧告する。
4) 名古屋市交通局
①
東海地震注意情報発表時における対応
ア 列車の運行
a 平常通り運行する。
なお、利用者の状況により、さらに輸送力の確保を図る。
イ 旅客等への案内
a
地震に関する情報、運行に関する措置等を車内放送、駅構
内放送、駅掲示板、LED案内表示等によって利用者に案内
する。
b 警戒宣言発令時には、地下鉄の運行を中止する旨を予告す
る。
② 東海地震警戒宣言発令時における対応
ア 列車の運行
a すべての列車は、最寄りの駅に停車し、運行を中止する。
イ 旅客等への案内
a 地震に関する情報、運行に関する措置等を車内放送、駅構
内放送、駅掲示板、LED案内表示等によって利用者に案内
する。
b 駅構内においては、利用者に最寄りの避難場所を案内す
る。
(参考)名古屋市営バス
① 東海地震注意情報発表時における対応
ア バスの運行
a 平常通り運行する。
なお、利用者の状況により、さらに輸送力の確保を図る。
イ 旅客等への案内
a 地震に関する情報、運行に関する措置等を車内放送、主要
バスターミナル及び主要バス停留所への掲示等によって、
利用者を案内する。
b 警戒宣言発令時には、バスの運行を中止する旨を予告す
る。
② 東海地震警戒宣言発令時における対応
ア バスの運行
a すべての車両は、建築物の倒壊、落下等の可能性の少ない
安全な場所まで徐行し、運行を中止する。
イ 旅客等への案内
a 地震に関する情報、運行に関する措置等を車内放送、主要
バスターミナル及び主要バス停留所への掲示等によって、
利用者を案内する。
b 車内及び主要バスターミナル等において、利用者に最寄り
の避難所を案内する。
図 8 警戒宣言発令段階における鉄道運行停止駅等一覧図(略)
第6節 名古屋圏・西三河圏・東三河圏の特徴
帰宅困難者数の予測やアンケート調査の結果等から、県内では名古屋圏、西
三河圏及び東三河圏においてそれぞれの地域の特性がみられることから、圏域
ごとの分析を行い、対応策について検討する。
1) 名古屋圏
①
圏域
・ 名古屋市を中心に、海部、尾張、春日井市等の地区を含んだ地
区で、岐阜県、三重県の一部も含む。
② 特徴
【想定震度等】
・ 東海地震の想定震度は5弱から6弱、東南海地震の想定震度は5強
から6強、連動の場合は6弱から6強。
・ 名古屋圏から三重県に向かう途中あたりで、液状化危険度が極
めて高い地域があるため、帰宅行動の際に注意喚起が必要であ
る。
【鉄道】
・ 鉄道交通網が発達し、隣接県(岐阜、三重、静岡県)からの通
勤・通学者等も多い。特に、JR、名鉄、近鉄、地下鉄等の交通
機関が集中する名古屋駅等のターミナルでは、大量の帰宅困難
者等が滞留し、混乱することが予想される。
・ 警戒宣言発令時においては、徒歩移動可能距離に強化地域外の
鉄道駅があり、それらの駅を利用し、岐阜県及び三重県方面へ
の帰宅が可能となる。
a) JR東海 東海道線:尾張一宮駅、中央線:春日井駅、関西
本線:桑名駅~亀山駅
b) 名古屋鉄道 名古屋本線:須ヶ口駅、犬山線:岩倉駅、瀬
戸線:尾張旭駅、小牧線:小牧駅、尾西線:
森上駅
c) 近畿日本鉄道 名古屋線:川越富洲原駅
・ 新幹線は、警戒宣言発令後も名古屋駅以西は運行する(新幹線
を利用することにより、大阪方面への帰宅が可能)。
表 6 名古屋圏における主要駅の1日当り乗降客数(人)
JR東海
名 鉄
近
鉄
名古屋市
計(A)
A/2
333,672
1,094,869
547,435
116,080
336,680
168,340
交通局
名古屋駅
342,400
300,000
金山駅
90,600
130,000
118,797
※
平成14年に各鉄道事業者に対し行った調査結果より。
【空路】
1.名古屋空港(豊山町)利用
・ 名古屋空港は、名古屋駅から北北東に直線で約10kmに位置し、
徒歩移動が可能である。強化地域内ではないことから、警戒宣
言発令後においても、直ちに閉鎖されることはない。強化地域
内の鉄道等交通機関が途絶した場合においても、航空機による
空路での各方面への帰宅が可能となる。なお、その場合、航空
機の航行は、各航空会社の判断による。
・ 突発地震発生後、同空港の滑走路や空港設備等の安全が確認で
きた場合には、空港としての運用が行われる。その場合、航空
機が確保された場合には、空路での各方面への帰宅が可能とな
る。なお、航空機の航行は、各航空会社の判断による。
・ 中部国際空港の開港(平成17年2月予定)後の名古屋空港は、コ
ミュータ航空やビジネス機等の拠点となる県営の空港として、
活用される予定。
2.名古屋空港以外利用
・ 警戒宣言発令時において、名古屋駅から新幹線により新大阪駅
へ移動し、伊丹空港(兵庫県伊丹市)から航空機により、東京
方面等への帰宅が可能である。
【陸路】
・ 高速道路や国道等が集中し、東西の流通拠点となっていること
から、トラック・バス等の往来が激しく、車での移動者を含め、
東海地震注意情報が発表された段階から渋滞・混乱を引き起こ
すことが予想される。
・ 圏域における主要河川(通行上注意すべき箇所)
a) 西へ行くと木曽三川(木曽、長良、揖斐)
b) 濃尾平野には日光川
c) 名古屋市内は庄内川
【企業等の動向】
・ 名古屋市における事業所等の従業員の通勤時間は、ほとんどが2
時間未満である【事業所等アンケート調査結果より】。
・ 名古屋市においては、従業員全員が余裕を持って帰宅できるま
でに必要な時間について、88.1%の事業所等が2時間程度と回答
し、また、93.4%の事業所等は3時間程度と回答している(3時間
以上必要と回答した事業所等はなかった。残りの6.6%は無回
答。)【事業所等アンケート調査結果より】。
・ 名古屋市において、東海地震注意情報が発表された段階で従業
員が帰宅行動を開始する事業所等の割合は35.5%、警戒宣言が発
令された段階では28.9%と非常に少なく、残りのほとんどは検討
中あるいは分からないという回答【事業所等アンケート調査結
果より】。
・ 同様に東海地震注意情報が発表された段階で外来者・生徒に帰
宅行動を開始させる事業所等の割合は63.2%、警戒宣言が発令さ
れた段階では21.1%【事業所等アンケート調査結果より】。
2) 西三河圏
①
圏域
・ 岡崎市、豊田市、刈谷市及び安城市を含む。
② 特徴
【想定震度等】
・ 東海地震の想定震度は5弱から6弱、東南海地震の想定震度は5強
から6弱、連動の場合は6弱から6強。なお、岡崎平野は表層地盤
の増幅度が大きいため、震度が大きくなる可能性があり、注意
が必要である。
【鉄道】
・ 鉄道は南部において発達しており、新幹線停車駅は三河安城駅。
警戒宣言発令後、停車駅等で降車した乗客の混乱が予想される。
表 7 西三河圏における主要駅の1日当り乗降客数(人)
名
JR東海
岡崎駅
鉄
24,000
東岡崎駅
40,000
計(A)
A/2
24,000
12,000
40,000
20,000
安城駅
19,800
19,800
9,900
三河安城駅
9,600
9,600
4,800
※
平成14年に各鉄道事業者に対し行った調査結果より。
【陸路】
・ 西三河圏域は、車での移動者(通勤者等)が多いことから、東
海地震注意情報発表時において道路の渋滞等を回避するため、
同一方向の帰宅者に対する車の相乗り奨励や、近距離であれば
徒歩又は自転車等の利用(場合によって鉄道・バスも利用)を
促進する対策が必要である(岡崎市、豊田市、刈谷市及び安城
市の4市では、従業員のほとんど全員が車で通勤している事業所
等の割合は4市平均で55.6%、特に豊田市では77.8%の事業所等
がほとんど全員車通勤【事業所等アンケート調査結果より】)。
・ 道路等の整備状況は比較的良い。
・ 圏域における主要河川(通行上注意すべき箇所)
a) 三河地方最大の矢作川
b) 尾張、三河境を流れる境川
【企業等の動向】
・ 岡崎市、豊田市、刈谷市及び安城市の4市においては、従業員全
員が余裕を持って帰宅できるまでに必要な時間について、4市平
均で89.4%の事業所等が2時間程度と回答、3時間以上必要と回答
した事業所等は1%未満と少数【事業所等アンケート調査結果よ
り】。
・ 岡崎市、豊田市、刈谷市及び安城市の4市において、東海地震注
意情報が発表された段階で従業員が帰宅行動を開始する事業所
等の割合は、4市平均で23.8%、警戒宣言が発令された段階では
30.2%と非常に少なく、残りのほとんどは検討中あるいは分から
ないという回答【事業所等アンケート調査結果より】。
・ 同様に東海地震注意情報が発表された段階で外来者・生徒に帰
宅行動を開始させる事業所等の割合は43.0%、警戒宣言が発令さ
れた段階では24.0%【事業所等アンケート調査結果より】。
3) 東三河圏
①
圏域
・ 豊橋を中心とした地区で、静岡県の一部も含む。
② 特徴
【想定震度等】
・ 想定される震度が他の圏域より大きい。東海地震の想定震度は6
弱から6強(なお、震源に近いため、実際は想定震度より大きい
震度になる可能性があることに注意する必要がある)、東南海
地震の想定震度は5強から6強、連動の場合は6弱から6強。
・ 東三河圏域は、想定される震度・被害ともに大きいため、帰宅
者は早急かつ安全に配慮した帰宅行動を行う必要がある。
・ 渥美半島の東部から豊橋市等で液状化危険度が極めて高い地域
があるため、帰宅行動の際に注意喚起が必要である。
【鉄道】
・ 豊橋市を中心とした鉄道網が発達しており、新幹線停車駅は豊
橋駅。警戒宣言発令後、停車駅等で降車した乗客の混乱が予想
される。
・ 多くの方が、近距離通勤であるが、一部は名古屋圏域に通勤し
ており、その方は、東海地震注意情報発表と同時に帰宅行動に
移る必要がある。
表 8 東三河圏における主要駅の1日当り乗降客数(人)
豊橋駅
JR東海
名
鉄
計(A)
A/2
51,200
40,000
91,200
45,600
※
平成14年に各鉄道事業者に対し行った調査結果より。
【陸路】
・ 車での移動者(通勤者等)が多い(豊橋市において、ほとんど
全員が車通勤者である事業所等の割合は62.9%、一方、ほとんど
全員が鉄道利用である事業所等の割合は0%、5割以上の従業員が
鉄道利用である事業所等の割合を見てもわずか2.9%)。渥美半
島や北の山間部でも車での移動者の割合が多い。
・ 静岡県との行き来も多い。
・ 圏域における主要河川(通行上注意すべき箇所)
○ 東三河随一の豊川
【企業等の動向】
・ 豊橋市においては、従業員全員が余裕を持って帰宅できるまで
に必要な時間について、91.8%の事業所等が2時間程度と回答、
うち、1時間程度で全員帰宅できると回答した事業所等の割合は
78.3%【事業所等アンケート調査結果より】。
・ 豊橋市において、東海地震注意情報が発表された段階で従業員
が帰宅行動を開始する事業所等の割合は23.0%、警戒宣言が発令
された段階では35.1%と非常に少なく、残りのほとんどは検討中
あるいは分からないという回答【事業所等アンケート調査結果
より】。
・ 同様に東海地震注意情報が発表された段階で外来者・生徒に帰
宅行動を開始させる事業所等の割合は43.2%、警戒宣言が発令さ
れた段階では21.6%【事業所等アンケート調査結果より】。
図 9
第2章
3圏域流入者イメージ図(略)
隣接県・周辺市町村及び防災関係機関との連携
第1節 情報連絡体制の確立
情報を把握し適格な行動を行うことが、帰宅困難者を減少させることにつな
がることから、防災関係機関においては、刻々と変化する状況を正しく伝える
努力と、県民にあっては、デマ等に迷わされることのないよう正しい情報を得
る努力が必要である。
【愛知県】
県は、隣接県、県内各市町村及び周辺市町村、地元企業、交通機関(鉄
道事業者、バス事業者、航空事業者、空港管理者等)、放送事業者、そ
の他防災関係機関との情報連絡体制を確立し、随時情報交換に努めると
ともに、必要に応じて協定を締結する。
愛知県防災情報システムを活用して、鉄道、道路、橋梁等の被害状況・
市町村が指定した公園等の避難場所(以下、「避難場所」という。)・
市町村が指定した施設等の避難所(以下、「避難所」という。)の状況
等及び地図情報(避難場所・避難所、危険区域、防災活動拠点、ヘリポ
ートを記載)の相互情報提供を行う。
【市町村】
市町村は、地元企業や学校、自主防災組織、災害ボランティア団体、
ローカルメディア(地元CATV、FM放送等)、その他防災関係機関との
情報連絡体制を確立し、定期的な情報交換に努めるとともに、必要に応
じて協定を締結する。
具体的には、愛知県防災情報システムを利用して、鉄道、道路、橋梁
等の被害状況・避難場所・避難所等の状況等及び地図情報の相互情報提
供を行う。
地元住民に対しては、既存の同報無線や行政無線、インターネット等
を活用して、日頃から防災情報の提供を行う。なお、これらの無線設備
がない場合は、早急に整備するよう努める。
また、愛知県防災情報システムからの防災情報やタクシー・路線バス
等からの定点的な情報(河川、道路、橋梁等周辺の被害状況等)を以下
の媒体に対してFAX等により提供し、徒歩帰宅者や住民が情報を得やすい
よう、施設等においては見やすい場所に掲示する。
① 徒歩帰宅支援ステーション(水・食料の購入、トイレの使用、一
時休憩所としての利用、災害情報の入手等が可能で、誰もが分かり
やすく、利用しやすい場所とする):コンビニエンスストア、ガソ
リンスタンド、宿泊施設、郵便局や公的施設等と調整し指定する施
設(以下、「支援ステーション」という。):FAX情報を掲示
② 各報道機関(特にラジオの活用)
③ ローカルメディア(CATV、FM局等)
④ インターネット(ホームページの作成、道路情報等へのリンク)
⑤ 携帯情報端末(特にiモード、EZweb、Yahoo!ケータイ、カーナビ
機能の活用)
⑥ 駅前や繁華街での大型ビジョンの活用 等
第2節 協力・連携体制の確立
【愛知県】
県は、隣接県との接続を含めた基幹的徒歩帰宅支援ルートの設定を行
う他、この基幹的徒歩帰宅支援ルートに接続する各市町村の徒歩帰宅支
援ルート設定のための調整支援を行う等、隣接県や周辺市町村、その他
防災関係機関との広域的避難に係る協力体制の確立を図る。
また、各市町村が行う「支援ステーション」設置に関して、コンビニ
エンスストア、ガソリンスタンド、宿泊施設や郵便局等の本部等との調
整を図るとともに、帰宅困難者等、徒歩帰宅者や高齢者、障害者、傷病
者、乳幼児、外国人等で地震発生時等に特別な援護を要する者(以下、
「災害時要援護者」という。)に対する避難誘導、介護支援、その他の
対策を推進するため、県警や道路管理者、鉄道事業者等との調整を図り、
その運用規定に関する協力・連携体制を確立し、必要に応じて協定を締
結する。
【市町村】
市町村は、県が設定した基幹的徒歩帰宅支援ルートに接続する市町村
内の徒歩帰宅支援ルートの設定を行う他、必要に応じて、コンビニエン
スストア、ガソリンスタンド、宿泊施設や郵便局等との調整を図り、徒
歩帰宅支援ルート(県及び市町村が設定する)上に「支援ステーション」
を設置するとともに、帰宅困難者等、徒歩帰宅者や災害時要援護者の避
難誘導や介護支援等について、所轄警察署や道路管理者等、地元企業、
学校、自主防災組織、防災ボランティア団体、その他防災関係機関との
調整を図り、その運用規定に関する協力・連携体制を確立する。
【企業】
企業は、県や市町村と協力し、帰宅困難者等への支援(情報提供等)
を行うよう努める。
小売店や百貨店等については、警戒宣言発令後の営業継続等の対応に
ついても、地域の実情に応じ明確化する。なお、必要に応じて県や各市
町村と必要な協定の締結を行う。
第3章
帰宅困難者等の抑制に向けた対策
第1節 帰宅困難者の抑制に向けた普及・啓発について
帰宅困難者抑制のため、東海地震注意情報発表の早い段階から、帰宅行動に
移るよう呼びかけるための普及・啓発に努める。
【愛知県】
県は、隣接県との接続を含めた基幹的徒歩帰宅支援ルートに関する帰
宅支援マップを作成、並びに基幹的徒歩帰宅支援ルートを示す表示板等
を設置、その周知に努めるとともに、帰宅困難者等の抑制に向けたパン
フレットの作成(帰宅困難者自身の対応策や災害用伝言ダイヤル(171)
の利用方法(家族等の安否確認方法)も含む)を行い、これらの情報に
ついてホームページで公開する。
【市町村】
市町村は、県が設定した基幹的徒歩帰宅支援ルートとそれに接続する
徒歩帰宅支援ルート及び「支援ステーション」等を記載した各市町村版
帰宅支援マップを作成する。
また、県から提供される帰宅困難者等の抑制に向けたパンフレットと
併せて、地元住民や企業等に対して帰宅支援マップを配布し、説明会や
ワークショップ、研修会等を通じて、帰宅困難者等抑制・支援対策(東
海地震注意情報発表の早い段階からの帰宅行動促進、意識の向上や個人
やコミュニティでできる支援活動の周知)だけでなく、広く地震防災対
策に関しても、東海地震や東南海地震、地震予知や警戒宣言等に関する
正しい知識の積極的な普及・啓発に努める。
災害時要援護者に対しては、避難誘導、介護支援、その他の対策を推
進する。特に、東海地震注意情報が発表された段階で、外出者は早期に
帰宅することを徹底するとともに、帰宅できない場合の保護等の方法、
また、自らも自覚を持って行動すること等について普及・啓発する。
【鉄道事業者】
鉄道事業者は、乗客に対して、東海地震注意情報が発表あるいは警戒
宣言が発令された場合の対処策や代替交通手段について日頃から周知に
努めるとともに、東海地震注意情報が発表された場合は、早い段階から
の帰宅を促すよう努める。さらに、できうる限り、他の鉄道事業者と連
携して、列車等の運行状況を把握し、その状況を乗客に伝達する等の方
法により、滞留者の解消に努める。
また、従業員に対しても帰宅困難者等支援対策に関する正しい知識の
積極的な普及・啓発に努める。具体的には、従業員向けパンフレットや
ガイドブック等を作成し、自主的に講習会や説明会等を開催する。
【企業】
各企業は、従業員に対して帰宅困難者等支援対策に関する正しい知識
の積極的な普及・啓発に努める。具体的には、従業員向けパンフレット
やガイドブック等を作成し、自主的に講習会や説明会等を開催するとと
もに、地震防災情報の収集について積極的に行う。
また、警戒宣言発令時や突発地震が発生した場合等において、自転車
通勤や自動車の相乗りを奨励し、帰宅困難者等の抑制に努める。
第2節 帰宅者への情報提供について
(1) 東海地震注意情報が発表された段階における情報提供
【愛知県】
県は、構築した愛知県防災情報システムを活用して、市町村・防災関
係機関がいち早く情報を収集・共有できるよう図る。
また、県は、県民に対し、東海地震注意情報が発表された旨及び警戒
宣言が発せられた場合には強化地域内の交通機関が運行停止等の措置を
とる旨、並びにその段階で防災関係機関が実施する防災行動について、
マスコミやホームページ及び今後はデジタルテレビ放送の活用等を通じ
て的確かつ迅速に伝達するとともに、早い段階から落ち着いて帰宅行動
に移るよう積極的に呼びかけることにより、社会的混乱を防止し、帰宅
困難者等の抑制に努める(地上デジタルテレビ放送は、2003年12月1日か
ら本県の一部で放送が開始された。今後は防災広報についても積極的な
活用を図る。)。
【市町村】
市町村は、東海地震注意情報が発表された旨及び警戒宣言が発せられ
た場合には強化地域内の交通機関が運行停止等の措置をとる旨を、マス
コミやホームページ、携帯情報端末(iモード、EZweb、Yahoo!ケータイ
等)、広報車、同報無線の活用及び今後はデジタルテレビ放送の活用等
を通じて的確かつ迅速に伝達するとともに、早い段階から帰宅行動に移
るよう促すことによって、社会的混乱を防止し、帰宅困難者等の抑制に
努める。
【学校】
学校は、児童・生徒等に対して、東海地震注意情報が発表された旨及
び警戒宣言が発令された場合には強化地域内の交通機関を運行停止する
旨を的確かつ簡潔に伝達した上で、児童・生徒等が在校中の時は、授業、
部活動等を中止し、あらかじめ定められた方法に基づき速やかに下校さ
せ、登下校中の時は、速やかに帰宅するよう指導する。また、児童・生
徒等が在宅中の時には、休校として、児童・生徒等は登校させない。
【鉄道事業者】
鉄道事業者は、乗客に対して、東海地震注意情報が発表された旨及び
警戒宣言が発令された場合には強化地域内の交通機関を運行停止する旨
を的確かつ簡潔に伝達し、帰宅を促すよう努めるとともに、利用者の状
況により、輸送力の増強に努める。
【企業】
各企業は、来客者や従業員に対して東海地震注意情報に関する正確な
情報提供を行い、来客者に対しては、できる限り早く帰宅するよう促し、
従業員に対しては、少なくとも徒歩で帰宅可能な者以外を帰宅行動に移
し、帰宅困難者等の抑制に努める。特に、百貨店等の不特定多数の集客
施設については、来客者に対して、できる限り早く帰宅するよう促し、
帰宅困難者等の抑制に努める。
(2) 警戒宣言が発令された段階における情報提供
【愛知県】
県は、構築した愛知県防災情報システムを活用して、市町村・防災関
係機関がいち早く情報を収集・共有できるよう図るとともに、愛知県防
災ヘリコプターによる上空からの情報収集・伝達を行う。
また、県は、道路交通規制区間、主要交通機関(鉄道、バス、航空機
等)の運行状況に関する情報、沿道の「支援ステーション」や避難場所
に関する情報等をマスコミやホームページ及び今後はデジタルテレビ放
送の活用等を通じて迅速に提供し、帰宅困難者等の不安を取り除き社会
的混乱を防止するよう努める。
【市町村】
市町村は、前述の県の情報提供に全面的に協力するとともに、各市町
村内の同様の情報をマスコミやホームページ、携帯情報端末(iモード、
EZweb、Yahoo!ケータイ等)、広報車、同報無線の活用及び今後はデジタ
ルテレビ放送の活用等を通じて迅速に提供し、帰宅困難者等の不安を取
り除き社会的混乱を防止するよう努める。
【鉄道事業者】
鉄道事業者は、乗客に対して警戒宣言発令に関する正確な情報提供を
行い、乗客を最寄り駅で降ろした場合には、基本的に、市町村が作成し
た帰宅支援マップを乗客に配布し、運行駅や徒歩帰宅支援ルートを紹介
することによって、可能な限り帰宅するよう促す。帰宅が困難な乗客に
対しては、各市町村とあらかじめ取り決めた避難場所へ案内等を行う。
【企業】
各企業は、来客者や従業員に対して警戒宣言発令に関する正確な情報
提供を行い、徒歩で帰れる従業員についても帰宅行動に移し、被害の軽
減に努める。特に、百貨店等の不特定多数の集客施設については、原則
として営業を中止するものとするが、耐震性が高い等、安全性が確保さ
れている場合は、営業を継続し、帰宅困難者等への水や食料の販売、ト
イレの提供等に努める。
(3) 地震が発生した後における情報提供
【愛知県】
県は、構築した愛知県防災情報システムを活用して、市町村・防災関
係機関がいち早く情報を収集・共有できるよう図るとともに、愛知県防
災ヘリコプターによる上空からの情報収集・伝達を行う。
県は、道路交通規制区間、沿道の「支援ステーション」や避難所に関
する情報(混雑状況も含む)、主要交通機関(鉄道、バス等)の運行や
復旧状況に関する情報、負傷者等を収容・搬送してくれる病院に関する
情報等をマスコミやホームページ及び今後はデジタルテレビ放送の活用
等を通じて迅速に提供し、帰宅困難者等の不安を取り除き社会的混乱を
防止するよう努める。
【市町村】
市町村は、前述の県の情報提供に全面的に協力するとともに、各市町
村内の同様の情報をマスコミやホームページ、携帯情報端末(iモード、
EZweb、Yahoo!ケータイ等)、広報車、同報無線の活用及び今後はデジタ
ルテレビ放送の活用等を通じて迅速に提供し、帰宅困難者等の不安を取
り除き社会的混乱を防止するよう努める。
【鉄道事業者】
鉄道事業者は、運行状況や代替輸送状況、復旧状況に関する情報を県
や市町村に迅速に提供する。また、駅周辺の滞留者に対しては、市町村
が作成した帰宅支援マップを配布し、運行駅や徒歩帰宅支援ルートを紹
介することによって、可能な限り帰宅を促すよう努める。
帰宅が困難な乗客に対しては、各市町村とあらかじめ取り決めた避難
所へ案内等を行う。
【企業】
各企業は、従業員の安否確認に努めるとともに、企業内に留まる従業
員を活用し、沿道の帰宅困難者等に対する情報提供等の支援に貢献する
よう努める。
第4章
帰宅困難者等への支援対策(避難受け入れ体制の確保)
【愛知県】
県は、帰宅困難者等の避難場所や避難所での受け入れ体制について、
警戒宣言発令時あるいは発災後における地元住民(避難者)受け入れに
支障をきたさないよう、あらかじめ鉄道事業者との調整を図るとともに、
その他、各市町村が行う防災関係機関等との調整の支援を行う。
【市町村】
市町村は、警戒宣言発令時あるいは発災後における帰宅困難者等の避
難場所や避難所での受け入れ体制について、防災関係機関等と調整し、
必要に応じて協定を締結する。帰宅困難者等の受け入れについては、地
元住民との混乱を避ける方法について十分検討する。
また、「支援ステーション」の責任者等に対し、帰宅支援の実施(誘
導、救護等)についての協力、並びに水や食料、毛布等の調達あるいは
備蓄の確保に関する要請・調整を行う。
【鉄道事業者】
鉄道事業者は、駅等で混乱が予想される滞留者の問題や、警戒宣言発
令時あるいは発災後における帰宅困難者等の避難場所や避難所での受け
入れ体制に係る問題について、県と調整した上、個別の問題について当
該市町村と十分調整し、必要に応じて協定を締結し、解決に尽力する。
警戒宣言発令段階あるいは発災後、帰宅が困難な乗客に対しては、各
市町村とあらかじめ取り決めた避難場所あるいは避難所への案内等を行
い、適宜、情報提供や物資支援等を行うよう努める。
その他、最寄り駅で降ろした帰宅可能な乗客に対しては、各市町村が
作成した帰宅支援マップを配布し、運行駅や徒歩帰宅支援ルートを紹介
することによって、徒歩帰宅を支援する。
【企業】
各企業は、帰宅が困難な従業員等に対し、警戒宣言発令時において、
当該企業敷地内に耐震性が十分に確保された建物がある場合には、その
建物内へ誘導し、そうでない場合は、当該企業敷地内の広場や運動場等
の屋外、あるいは避難場所へ避難させる。発災後においては、社屋内(耐
震性について十分確認要)あるいは避難所等へ誘導する。
また、東海地震注意情報発表や警戒宣言発令又は突発地震時に従業員
等が帰宅困難者等になる可能性があることを想定して、従業員が約3日間
過ごせるだけの十分な水や食料等の備蓄を行うよう努める。