認定一般検査技師制度の発足について - 日本臨床衛生検査技師会

Vol.
1
1 No.8
平成1
7年 8 月1
0日発行
「医学検査」
第54巻第8号付録
発行責任者
編 集 者
認定一般検査技師制度の発足について
小闢繁昭
浅井正樹,大富正壽
小太刀充,永井正樹
図3,
4のように臨床検査技師認定センターの下に
協議会,審議会を設置する。協議会は,認定一般検査
技師制度に関する必要事項を審議し,認定一般検査技
師を認定する。審議会は協議会の認証する認定一検査
社団法人 日本臨床衛生検査技師会は,認定検査技師制度の一環として認定一般検査技師制度の構築を進めてき
たが,このたびようやくその大綱がまとまり,発足に当たっての具体的な実務の調整に着手することになった。
以下に,日臨技の認定検査技師制度への取り組みと認定一般検査技師制度の構築についてお知らせする。
技師制度の維持・運営に必要な具体的内容並びにその
認定制度の実施に関するすべての事項について審議す
る。
図3 一般検査認定協議会
§.認定検査技師制度に関する考え方
社 団 法 人 日 本 臨 床 衛 生 検 査 技 師 会(以 下「日 臨
技」
)は現在,臨床検査技師及び臨床検査の質の向上
に向けて,1)検査室運営の改善,2)身分制度の改
ないことから,認定のあり方について検討を重ねてき
会長
た。平成1
7年5月1
4日,第5
4回日本医学検査学会ミニ
シンポジウム「認定一般検査技師制度の発足について」
1名 日本臨床衛生検査技師会
副会長 1名 一般検査認定審議会会長
の席上で,日臨技から本制度の考え方を示した。その
委 員 3名 一般検査認定審議会副会長
副会長(渉外担当)
善,3)会員個々のスキルアップ,キャリアアップを
目指してさまざまな計画を立て,事業を進めている。
内容は,本認定は公平性を担保する意味で第三者機関
として「臨床検査技師認定センター」
を設置すること,
日本臨床衛生検査技師会
スキルアップ,キャリアアップの具体的な支援として
は,①日臨技生涯教育制度(一般教育研修制度と専門
教育研修制度)
,②認定検査技師制度,③臨床検査技
師に関連する資格制度への参画を行っている。
1.日臨技が関与している認定検査技師制度
日臨技は認定制度が軌道に乗るまで責任をもって制度
を構築すること,認定一般検査技師制度は5年ごとの
臨床検査技師認定センター代表
日臨技が関与している認定検査技師制度として,認
定輸血検査技師,認定臨床微生物検査技師,認定血液
検査技師,認定サイトメトリー技術者があり,これら
は認定検査技師機構(日臨技,日本臨床検査医学会,
日本臨床検査同学院,当該専門学会)のもとで既に始
まっている。さらに,
日本糖尿病療養指導士認定機構,
CRC,MR,NST等のチーム医療関連やPOCTなどの
新しい分野についても関与しながら,その範囲を広げ
ている。
2.専門学会または団体のない分野の認定の考え方
専門学会などの団体がない分野で日々業務を行いな
がら,高い専門性と広い知識の習得に励んでいる会員
に対しても公平となるような認定の推進を図り,また
専門教育研修課程(管理運営,精度管理,遺伝子検査)
の認定制度への移行,さらには金銭的負担の軽減(学
会会費,認定更新等の)等を加味した新たな認定制度
の確立を,日臨技では検討している。
§.認定一般検査技師制度
1.認定一般検査技師制度の構築に向けて
先に述べた認定を優先的に取り組んだため,専門学
会などの団体がない分野の認定については取り組みが
遅れた感があった。そして,これらの分野を専門とし
ている有志の間では独自の認定(資格)制度を立ち上
げることとなった。このため,会員の一部において,
日臨技内で実施している認定制度との整合性がとれず
混乱を来たすことになった。このようなことから,日
臨技として,早急にこれらの分野の認定制度確立に向
けて構築することになった。
専門学会などの団体のない分野の認定制度は,現在
のところ認定検査技師機構にはそのままでは参加でき
日本臨床衛生検査技師会主催
「血液製剤の安全性の確保及び適
正使用に関する研修会」開催案内
更新であること,等の方針を提示した。
2.認定一般検査技師制度の概要
図1のような組織体系とし,当面は日臨技主導で認
定制度を構築する。ただし,
臨床検査技師認定センター
は第三者機関であり,日臨技は運営に関与するだけと
する。将来は,臨床検査技師認定機構のルールの変更
を含めて,臨床検査技師認定センターを機構の中に組
図4 一般検査認定審議会
会長
常務理事(研究研修部)
委 員 7名 一般検査領域有識者
臨床検査技師認定センター → 日臨技
↑
協議会
↑
審議会
↓
◇あり方委員会 ◇カリキュラム委員会
◇受験・更新資格委員会 ◇試験委員会
図2の「臨床検査技師認定センター」の構成図につ
いて,ここで大事なのは認定制度が外部から見て公平
性が担保されることである。臨床検査技師認定セン
ターの理事は,学識経験者や臨床検査と直接関与して
いない方々を加え,画期的なシステムとなっている。
図2 臨床検査技師認定センター
理事長
副理事長
理
事
1名
2名
若干名
学識経験者,医療関係団体役員,
弁護士,協議会会長,日臨技役
員OB等
日本臨床衛生検査技師会主催
「平成17年度 総合管理部門研修会」開催案内
(専門教育:管理運営課程対象40単位)
◇会期:平成1
7年1
1月5日
(土)
・6日
(日)2日間
◇会場:東京歯科大学「血脇記念ホール」(東京)
◇会場:つくば国際会議場(つくば市)
◇募集人員:20
0名(会員,非会員)
◇募集人員:7
0名(会員に限る)
◇受講料:3,
00
0円(テキスト代含む)
◇受講料:8,
0
0
0円(テキスト代含む)
◇申込締切日:平成17年9月7日(水)
◇申込締切日:平成1
7年8月3
1日(水)
*研修会の詳細並びに「申込書」は,会誌「医学検査」
*研修会の詳細並びに「申込書」は,会誌「医学検査」
第5
4巻7号に掲載してあります。
3名
日本臨床衛生検査技師会
理事(制度法規部)3名
日本臨床衛生検査技師会
理事(総務担当) 1名
体制となるよう望む。
図1 認定一般検査技師制度の組織図
1名 日本臨床衛生検査技師会
副会長 1名 一般検査領域有識者代表
み込むように働きかけることが必要であり,また,認
定一般検査技師自らが認定制度の運営が行えるような
◇会期:平成17年1
0月7日(金)
第54巻8号に掲載してあります。
常務理事(制度法規部)
3.認定一般検査技師制度の今後の予定
今後のスケジュールを以下のとおり予定している。
平成1
7年9月 協議会会議,審議会会議,各委員会
会議
(各会則・内規・細則決定)
1
1月 受験資格要項作成
1
2月 試験問題要項作成,試験会場の決
定,認定試験案内の作成
平成1
8年1月 試験案内書の送付
3月 願書締め切り・受験資格審査
4月 認定試験
日臨技ではJAMTISを利用して,認定一般検査技師
制度に対する会員の意見や要望,質問を受け付けして
いるので,自由に意見等を書き込まれるよう期待して
いる。
今回の認定一般検査技師制度の成否が,専門学会を
持たない領域の認定制度構築のモデルケースとなるこ
とから,日臨技では全面的にバックアップ体制をとっ
ていくことにしている。ぜひ多くの会員が,認定一般
検査技師の認定試験にチャレンジされることを期待し
ている。
第31回海外視察の参加者募集
締め切り迫る<中国・上海市>
日臨技では,第2回アジア医学検査学会(AAMLS)
参加に合わせた海外視察団を編成し,参加者を募集し
ています。参加希望される方は,期日までにお申し込
みください。
◇学会会期:9月2
5日(日)
∼27日
(火)3日間
◇学会場:Shanghai Everbright International
Exhibition and Convention Center
◇参加募集締切日:平成1
7年8月1
9日(金)
◇旅行主催者・申込先:㈱日本旅行
◇募集案内:会誌「医学検査」第5
4巻2号参照
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平成1
7年 8 月1
0日発行
「医学検査」
第54巻第8号付録
Wave
◇ 施設紹介 ―広島鉄道病院―◇
広島鉄道病院は,大正9年に広島鉄道治療所として
国鉄職員及び家族の職域病院として開設された。昭和
5
7年4月に保健医療機関の指定を受け,広島新幹線駅
北口に近接した利便性を活かし,地域に開かれた総合
病院として新たに踏み出した。病床数3
0
2床,1
7科で
病院機能の他,年間約5,
0
0
0名のJR西日本支社職員の
健康管理の役目も担っている。
平成1
5年4月には,全床を一般病床として届け出,
「地域医療の中核を担う急性期病院」を目指し,基幹
病院として応えられる努力を行ってきた。平成1
6年に
機能評価を再受診し,認定の継続を得た。また,「単
独型臨床研修病院」として,研修環境,病院資質の向
上に努めている。
臨床検査室は1
6名の技師により構成されている。臨
床検査室のシステム化は1
9
7
9年WANG社のパソコン
を使用しベーシック言語により構築したシステム(生
化学機器オンライン,生化血清検査のみ依頼報告処理)
に 始 ま る。1
9
8
7年 に 富 士 通 臨 床 検 査 シ ス テ ム
「LAMDA」を導入した。以後「Primary Tube/Barcord
Realtime
Online」方式を採用している。一昨年,生
化学免疫統合型の自動分析装置を導入,搬送ラインを
診療支援に思う
最近になって,臨床検査における診療支援の在り方が話題に上ることが多くなってきたように思わ
れる。
平成1
4年3月に国立大学医学部附属病院長会議常置委員会から示された『国立大学附属病院の医療
提供機能強化を目指したマネジメント改革について(提言)
』の中で,独立法人化施行時には,検体
検査の外部委託の促進,外部委託検査センターへの場所と設備の貸与,診療支援部(仮称)設置の必
要性等が述べられており,
「診療支援部は,患者の医療サービスの向上を目指し,効率的かつ適切な
職員配置の観点から,検査部,手術部,放射線部,材料部,MEセンター,輸血部,病理部等に所属
している臨床検査技師,診療放射線技師,臨床工学士等の医療技術職員を,
(診療支援部の所属とし
て)一元的に組織し,診療支援部長は,副病院長または医療技術職員をもって充てる。既存の組織を
抜本的に見直し,必要と判断される部門に対して,診療支援部から人員を配置する。
」
と提言されてい
る。この内容は,これまでの検査部がいかに診療支援を怠っていたかを物語っている。
近年,診療を行う検査医(以前は診療をしていない検査医が多かった)が増え,検査部は診療への
支援を目標に掲げるようになり,従来の検査部からの脱却を計ろうとしている。その内容は,検査相
談窓口の設置,病棟担当技師の配置,検査データを単に報告するのではなく,患者に必要な検査を臨
床医にアドバイスし,EBMに基づいた臨床診断に有用な付加価値情報をつけて提供することなどが
挙げられる。臨床支援の取り組みには検査技師自身の意識改革が必要であり,外来や病棟へ出向くこ
とをせずに検査室に留まったままでは成功は望めない。これからは病院で働く医療従事者はコメディ
カルというよりコワーカーでなければならない。その意味で,一番遅れているのは臨床検査技師では
ないだろうか。
最後に,今後,このような取り組みを実践する施設が増えると思われるが,気懸りな点として,検
体検査の外部委託が主流となった場合,臨床支援は病院内技師に代わって委託先の技師が行うことに
なるが,果たしてそれが臨床支援に値するであろうか。また,自治体病院の管理運営は,地方自治法
の改正により,指定管理者制度が導入され,地方公共団体の出資法人や公共団体に限らず,民間事業
者も「公の施設」の管理運営ができることになり,検査室は容易にブランチやFMSに代われる環境
となったことで,診療支援についての対応はますます難しくなってきている。
(長野市民病院 亀子光明)
組まない効率的運用で診療前迅速検査に対応,外来検
体の大部分を迅速報告処理している。
SMBG機器・試薬管理,外来・病棟への指導も検査
室業務として取り入れ,採血,心カテなどを含め患者
様への医療サービスの向上に貢献している。多くの技
師が技師会役員,学術活動,
認定検査技師の取得など,
技師としての高い理想を持ち,外部の風を入れ続けた
成果と考えたい。これからも発信できる中規模病院を
目指したい。
(広島鉄道病院 橋本 洋)
体内時計
文明の発達と心身の発達が必ずしも一致しないこと
が明らかになっている。太陽が昇ると共に起床し,太
陽が沈むと共に床につくといった生活が,当たり前で
世界文化遺産「厳島神社」
広島県の南部には,日本最初の国立公園に指定され
た瀬戸内海国立公園があり,おだやかな海と美しい
島々を展開しています。その中でも特に有名な島が,
1
9
9
6年に世界文化遺産として登録された日本三景の一
つでもある“安芸の宮島”です。世界文化遺産として
登録された区域は,社殿を中心とした厳島神社と背後
の弥山原生林(天然記念物)
,宮島全島の1
4%を占め
る範囲です。この厳島神社は推古天皇元年(5
9
3)に
創設され,1
1
6
8年に平清盛により現在のように造営さ
れたと言われています。またこの島は,NHK大河ド
ラマでも有名になった戦国時代の武将,毛利元就の壮
烈な厳島の合戦の舞台となったところでもあります。
厳島神社のシンボルとなっている海中に建てられた朱
の大鳥居は,平安時代から8代目に当たり,現在の大
鳥居は明治8年に楠の自然木で造られ,土に埋もれた
ところがなく,全体の重みで立っています。旧暦の6
月1
7日満月の夜,海上に浮かぶ神殿造りの粋を極めた
荘厳華麗な回廊は,暫し見る人を,平安の時に連れ戻
す感があります。毎年8月1
4日に厳島神社前の会場で
行われる水中花火大会は,西日本一の規模を誇り,真
夏の夜空と海が色とりどりの花火で鮮やかに染まりま
す。ぜひ,一度きてみんさい。
(広島市立広島市民病院 谷口 薫)
あった時代の,一定の生活リズムが今も体内に残って
いるということである。それを「体内時計」と表現し
ている。
現在では文明が発達し,夜も昼間と同様の明るさを
保つことができ,時には不夜城といわれるように2
4時
間眠らない町や地域が出現する時代になったが,その
変化に適応できなくて病気と診断される人がいる。ま
さに,文明の発達が新しい病気を生み出しているので
ある。
7月の主な動き
★ 9 日:渉外,国際,学術,総務各担当会議
★22日:企画調整会議
★23日:第3回理事会・7月定例常務理事会合同会議
【渉外担当関係】
★ 9 日:技師教育委員会,女性部会
★23日:医療安全対策委員会
【学術担当関係】
★ 8 日:生涯教育研修委員会
★ 9 日:検査研究企画会議,第5
5回学会展示委員会,
コントロールサーベイ部会
★16日:臨床検査データ共有化部会
★16∼18日:第4回臨床試験と CRC に関する研修会
★22日:会誌編集委員会
★23日:図書発刊企画委員会
★29・30日:第5
6回学会企画委員会
【総務担当関係】
★ 8 日:第4回人材育成派遣に関する検討委員会
★ 9 日:日臨技個人情報保護委員会
★23日:JAMTIS運営部会
この体内時計の研究者によると,人の体内時計は1
日2
5時間の周期となっているが,実際には2
4時間の周
らましである。したがって,健康を保つためには,毎
期で生活をしている。つまり我々は,太陽の光を浴び
朝決まった時間に太陽の光を浴びるようにするのが大
ることで体内時計を1時間早めるリセットボタンを毎
切であるということが改めて証明された。
日押しているという。朝,目から入る太陽の強い光
体内時計を正しく働かせるためには,夜更かしせ
が,視交叉上核で感知され,この信号が松果体に送ら
ず,規則正しい生活,家に引きこもらないことなどが
れる。そしてそこでは,「時計ホルモン」と呼ばれる
大切である。
「早起きは三文の得」という昔からのこ
メラトニンが分泌される。メラトニンは約1
4時間後に
とわざを現代版に直すと,
「早起きは体内時計のリ
睡眠を促すホルモンであり,メラトニンの情報が,血
セット,健康維持のため一生涯の得」となるのではな
流により全身に伝わっていくというのがリセットのあ
いだろうか。(京都府立医科大学附属病院 湯浅宗一)
編 集 室
地球温暖化の影響なのか,昨年の豪雨・台風等の
自然災害による損保会社の1
6年度3月期の支払い総
額は5,
5
0
0億円(約5
0%は台風1
8号による)に達し
たそうです。世界的に見ても,2
0
0
4年で自然災害に
よる経済的損失は1
6兆円といわれている。近年に
なって,金融機関が環境問題に積極的に取り組み始
めたそうです。CDP(Carbon Disclosure Project)
などがその例です。これから,台風の季節がやって
きます。被害のないことを祈っています。
(小林克己)