換気の目的と効果

設計資料編
1 換気の目的と効果
建物と換気
(表1)
最近の建築物は、
その使用材料、
工法の改良によ
って、
ますます気密性が高くなっています。新しい社
会構造に適応して、
住宅構造が大小さまざまに区
気密性能の実態・基準、並びに対応する設備の目安
画化され、
さらにプライバシーの尊重ということから、
各室の区画の遮音性能を高めるためにも、
また、
冷
暖房の効果をあげるためにも、
高い気密性が要求
されるようになってきています。
気密性能グレード
床面積当りの
相当開口面積0.3
0.41
浴室の湿気が翌日まで残っていることがあります。
このような室内環境を改善し、
より快適な環境づく
りのために、換気設備の導入が積極的に進めら
れています。
さらに、
ガス器具や石油ストーブの不
完全燃焼による一酸化炭素中毒などの事故を防
止するという安全性の意味からも重要なことです。
そのため、
すでに建築基準法などの法令でも、
換気
が義務づけられていることは周知の通りです。
●相当隙間面積とは
相当隙間面積
( A)
とは、
ある建物全体がどの程
度気密であるか、
またはどの程度隙間があるかを
北海道
福島
各種工法
を含む
浅野、
他
関東
鎌田、
他
(換気扇、
台所給気系シール)
Kronvall
(82)
Persily
(161)
With vap. barrier
Sharman
et al.
(41)
Vapor barrier & Sheathing
(23)
Doubl wall
(331)
Control
Parker
(292)
MCS仕様
ニュージーランド
(43)
Bassett
(17)
Warren&Webb
英国
Etherige
(12)
(18)
Sullivan & Jones
2
既往の基準など
5
建築学会北海道支部案
(公庫割増融資対象)
普及型
誘導型
1.17
4.55
米国北西部電力公社MCS仕様
(Model Conservation Std.)
Standard control
Advanced control
1.1
1.5
2.2
3.2
4.4
6.3
8.8
12.4 17.6
ASHRAE Std.
Loose
Mediun
Tixht
0.89
1.78 2.37
4Paのときの相当開口面積
ノルウェー建築基準
で表示、
1/a=0.6として換算
集合3F以上
集合 戸建
50Paのときの換気回数で表示
0.59
1.19
1.78
スウェーデン建築基準
天井高2.5cm
床面積150m2、
集合3F以上 0.89 集合
戸建
1/a=0.6として換算
( )
カナダR2000建築基準
換気回数 温度差20℃、無風
( 床面積120
)
m 、天井高2.5m
(回/h)
2
暖房設備
( )
台所:レンジ等
の熱源
居室
換気
設備
台所
浴室・便所
0.11 0.15 0.19 0.26 0.35 0.46 0.61 0.82 1.1
個別暖房
全室暖房
1.5
1.9
密閉型又はヒートポンプ
半密閉型
セントラル方式
(開放型)
ガス
電気又は密閉型ガス
開放型
設計資料編 ①換気の目的と効果
気密グレード
に対応して
選定すべき
住宅設備
の例
給湯設備は
これに準ずる
120m2、天井高 2.5m)
域ではC=5以下が必要とされています。C値向上
(14)
木造防音実験住宅
(32m2)
(243)
米国、
カナダ
平成12年に施行された次世代省エネルギー基準
II地域では、
気密性能C=2以下、
その他III∼VI 地
(13)
村上、
他 1975以前 戸建
No vapor barrier
表(1)
に国内外の住宅気密性能の実態と基準
導がされています。北海道、
東北地域を主とする I、
1988∼88
(5) に測定
英国パッシブソーラー
(1)
(
、2)
式より
では、
従来の基準よりも更に高気密化に向けた指
(9)
木造戸建
(205)
C = A / S …
(2)
3
(C=4.1)
の場合、換気回数は0.35回/hとなり
(6)
シールなし
換気扇シール
軽量コンクリート戸建
(12)
C:単位床面積当たりの相当隙間面積
(cm2/m2)
ます。
(条件 : 内外温度差 20℃、無風、床面積
30
( )
内の数字は
住戸数を示す
(10)
樽崎、
他 1979
の時の通気風量(m3/h)
換気回数が示されています。例えば気密グレード
cm2/m2
(13)
村上、
他 1980 RC集合
(平均)
(+SD)
(最大)
(6)
村上、
他 1986 RC集合
(最小)
(−SD)
Q:住宅内外の圧力差が9.8パスカル
(1mmAq)
を示します。ここでは気密性能Cに応じた住宅の
17.0
(55)
断熱材外張り工法 1988.89
RC集合
米国北西部
●住宅気密性能の実態
9.5
木造戸建
このCは次世代省エネ基準において住宅の気密
C = 0.7 × Q / S …
(3)
5.3
換気口、
換気扇をシール
R-2000仕様
(51)
Super tight bouses
S :住宅床面積
(m2)
3.0
福島氏の測定例で各年
の下段は換気扇、
換気
口をシールした場合の
結果を示す。
赤林、
他
新潟(換気扇シール)
することが可能です。
1.7
吉野、
他 1981∼84建設
枠組壁工法
1985
内海、
他
(戸建のみ)
∼86
R-2000仕様 1988
石川、
他
(換気口シール)
1990
(8)
長友、
他
て、
単位床面積当たりの相当隙間面積
(C)
を算出
A :相当隙間面積
(cm2)
6
22.4
1988
(19)
また、
建物の規模による影響を少なくするため、
A = 0.7 × Q …
(1)
5
12.5
仙台
スウェーデン
性能を示す指標となっています。
4
7.1
吉野、
他 在来工法 1980∼81建設
外の差圧と通気風量から算出できます。相当隙
(2)
式のように Aを住宅の床面積S
(m2)
で割っ
3
4.1
(セントラル換気のみ給排気口をシール)
荏原
関西
係があります。
2
2.24
( )( ) 1989(19)
戸建のみ
減圧法
示す住宅性能のひとつです。
この指標は建物内
間面積
( A)
と通気風量の関係には
(1)
式の関
0.95
1
1.25
佐々木、
荒谷 1985以前
(29)
(各種工法を含む)
1987測定
(15)
一方、
長時間部屋を閉め切っていて頭がいたくな
ったり、
タバコの煙のために呼吸器をいためたり、
0.53
0.71
機械換気
自然換気
(各室熱
セントラル 交換器)(居間のみ) (換気口) (換気小窓)
機械換気
機械換気
フード型換気扇
(熱交換器 (フード周辺
(専用給気口)
で局所換気)
付き)
機械換気(廊下か
(局所換気)
壁付き換気扇
(給気口なし)
自然換気
(換気口)
ら給気)
(窓の開閉による)
住宅の新省エネルギー基準と指針より
により次世代省エネルギー基準で規格された住宅
全体の換気回数0.5回/hの確保が困難となってく
ることから気密性能の向上に伴う計画的な換気
が今後更に必要となります。
資料編
13
13
617