極洋グループ 社会・環境報告書 2009 全文

極洋グループ
社会・環境報告書
い
ー
2009
つ
も
り
な
と
に おいしいキ
ヨ
ク
ョ
CONTENTS
●
2
●特集............................................................................................................. ●
編集方針..................................................................................................................... 1
寿司からSUSHIへ
5
●事業とマテリアルフロー....................................... ●
キョクヨーグループの事業活動と社会・環境との関わり
7
●トップコミットメント............................................... ●
キョクヨーのお約束
代表取締役社長 福井 清計
9
●キョクヨーの社会活動............................................... ●
●
●
お取引先のために..................................................................................................... ●
11
株主・投資家のために............................................................................................. ●
12
従業員のために......................................................................................................... ●
13
.............................................................................................................
社会貢献活動
●
14
15
●キョクヨーの環境活動............................................... ●
環境マネジメント..................................................................................................... ●
15
環境会計..................................................................................................................... ●
16
......................................................................................
パフォーマンス報告①〜④
17
●
サイトレポート①〜④............................................................................................. ●
21
第三者意見/意見を受けて........................................................................................ ●
25
会社概要..................................................................................................................... ●
26
経営マネジメント..................................................................................................... 9
お客様のために......................................................................................................... 10
編集方針
キョクヨーグループが発行する「社
会・環境報告書」も今年で3回目とな
りました。
今年も食の安心・安全を脅かす事
件・事故が相次ぎ、中国の餃子や粉
ミルクなど人命に直接関わる不祥事が
発生しました。 食を預かるメーカーとし
て安全なものを供給し、安心して食べ
ていただく義務を痛感いたします。
当社のグローバル戦略、加工戦略
の一つとして、特集コーナーで海外に
おける冷凍すしの開発・生産・販売に
ついて「極洋」のチーム力で頑張って
いる姿を紹介しています。
なお、本報告書の作成にあたって
は、環境省「 環境報告ガイドライン
(2007年度版)
」を参考にしました。
対象期間
2008年度(2008年4月1日から2009
1
年3月31日まで)の取り組み・成果など
を中心に記載しています。
対象範囲
本報告書の対象範囲は、当社グル
ープにおける以下の組織です。
(株)極洋【塩釜研究所、東京支社(高
崎営業所 ・ 新潟営業所)
、札幌支社、
仙台支社(青森営業所)
、名古屋支社
(金沢営業所 ・ 静岡営業所)
、大阪支
社、広島支社(岡山営業所 ・ 松山営
業所)
、福岡支社(鹿児島営業所)
、
海外駐在員事務所(6ヵ所)
】、極洋食
品(株)
(本社 ・ 塩釜工場、八戸工場、
ひたちなか工 場 )
、キョクヨーフーズ
(株)
、極洋水産(株)
、キョクヨー秋津
冷蔵(株)
(本社 ・ 大阪事業所、東京
事 業 所、福 岡 事 業 所 )
、極 洋 商 事
(株)
、極洋海運(株)
、キョクヨー総合
サービス(株)
、サポートフーズ(株)
、キ
ョクヨーマリンファーム(株)
、
(株)
ジョ
ッキ、海外関係子会社(4 社)
◦環境関連の報告については、上記
対象範囲から(株)極洋 海外駐在
員事務所
(6ヵ所)
、
海外関係子会社
(4 社)
、極洋水産(株)および極洋
海運(株)の海上部門、サポートフー
ズ(株)
、キョクヨーマリンファーム
(株)
、
(株)
ジョッキを除いています。
発行年月 2009 年 9月
作成部署 ・ お問い合わせ先
株式会社 極洋
企画部 環境保全委員会事務局
〒107- 0052
東京都港区赤坂三丁目3 番 5 号
TEL. 03 - 5545 - 0715
FAX. 03- 5545- 0752
寿司からSUSHI へ
〜冷凍すしの開発と生産・販売の取り組み〜
静かな広がりを見せる海外での日本食ブーム。なかでも寿司は、わが国を代表する健康的な高級料理としてアメ
リカ、ヨーロッパ、アジア各地へと広がり、現地の食文化とも融合しつつ、独自の地位を占めています。
キョクヨーグループは、寿司の醍醐味を海外のお客様にも味わっていただくため、寿司種の鮮度とシャリ米の食
感にこだわった冷凍すしの開発に着手、解凍することによって本格的な寿司をいつでもどこにいても食べられる
ようにしました。日本の寿司から世界のSUSHIへ。キョクヨーグループのユニークな挑戦をご覧ください。
2
SUSHI 文化を
世界の町に広げる
グローバル化する寿司文化
海外に出かけると、世界のあちこちで寿司レストラン
の看板を目にします。でも、いざ注文するとカラフルな
寿司種とぱさぱさのシャリ米の組み合わせにがっかりす
ることも珍しいことではありません。
「えっ、こんなの寿司!?」と日本人が後ずさりする一
方、隣の席の外国人の家族が慣れない箸を手に持ちつ
つ、楽しそうに寿司を口にする姿を目にすると、グロー
バル化した寿司文化の定着を実感します。
欧米でもアジアでも寿司は高級料理。カッコイイ食
事の代名詞になりつつあります。でも、海外に出てい
る日本人やその家族、あるいは日本通の外国人の方々
からは、「ちゃんとした寿司が食べたい」「お客様のも
てなしに使える本格的な寿司を」という声も次第に高ま
ったものの、「面白そう」と無謀にも引き受けてしまい
ました。
キョクヨーグループは、回転寿司店、持ち帰り寿司
店、量販惣菜店、外食産業などに寿司種や刺身種を数
多く提供し、冷凍魚の鮮度を保つ技術とノウハウに自信
を持っていました。しかし、冷凍すしとなるとシャリ米の
食感の維持がどこまで可能か、全く未知の分野でした。
米飯は温度の変化に極めて弱く、冷凍状態でも食感
が容易に変化します。坂本所長が苦労したのもそのシャ
リ米づくりにありました。何回も試験を繰り返し、ようや
く商品として出せるようになる頃には6カ月が経過して
いました。
しかし、研究所でできても条件の異なる工場でうまく
いくとは限りません。大きなハードルは工場でも待って
いました。
っていました。
1本のメールで始まった挑戦
今から5年前、そのメールは届きました。
「冷凍すしを開発して欲しい」
海外事業部からのメールを受けた塩釜研究所の坂本
所長は、それまで魚のたんぱく質しか扱ったことがなか
ぶつかりあって理解が深まった
だれかがやらなければ
海外事業部から届いた1本のメール。
タイ北部農場での米の収穫立会に始
それが嵐の始まりでした。幾度も試験を
まり、独自の精米工程の監査、そして
やり直し、ようやく商品のメドが立ったも
寿司種や調味料など副原料の吟味と目
のの、タイでの生産が決まったことから、
まぐるしい日々の連続。製品にメドが立
さらに一苦労、いや三苦労となりました。
つと次は輸出先の食品衛生法との照合
一番の問題はタイ産ジャポニカと日本産
など出荷までには幾つもの山谷が待ち受
米の食感の違いにありました。ぼそぼそ
けていました。また、生産面では特にシ
した試作品を前に何度ぶつかりあったこ
ャリ米の品質にこだわり、極洋塩釜研
とか。互いの米文化を語り合いながら、
タイの友人たちとの理解も深まりました。
「教えたり、教えられたり」は、今も続
いています。
3
塩釜研究所の検査風景
塩釜研究所
坂本 義信
究所と一体となって、品質向上に取り
組んできました。販売面では総合品質
管理を合言葉に欧米など海外のお客様
への正確な情報伝達を心がけています。
KUE社
松本 哲生
人 気 寿 司 紹 介
南の国の冷凍すしづくり
塩釜研究所での成果を持ってKUE社を訪れた坂本所
長は、日本とタイの米文化の壁に突き当たります。
「この食感は寿司ではありません」「タイでは普通に
甘えび、寿司えび、サーモン、〆サバ……キョクヨ
ーグループの寿司種の多くは、タイのパートナーと合
食べます」「いや、これではダメ」という妥協のない戦
いが延々と続きます。
弁で設立したタイ・バンコクのKUE社で生産され、日
本の回転寿司店などにも輸出されています。
また、調べてみるとタイ北部では現地に住む日本人
向けに、「コシヒカリ」「ササニシキ」も生産され、寿
司米の安定調達も見込めることが分かりました。
「冷凍すしはタイでつくろう」という話は、意外なほ
ど抵抗なく決まりました。
タイ人は手先が器用であることに加え、親日的なこ
とで知られます。しかし、素材がそろっても、それだけ
でおいしい冷凍すしができるわけ
ではありません。寿司の食感を本
物に近づけ、工場のラインに乗せ
るにはもう一苦労ありました。
「おいしい」の一言が聞きたくて
冷凍すしは、ブリュッセルで開かれたシーフードショ
ーでのお披露目がデビューとなりました。目の前の寿
司を初めてほおばったお客様の多くが、
「おいしい」「こ
れが冷凍すし!?」と一様に舌を巻きました。
それから3年。今では冷凍すしの販売は、ヨーロッパ
市場を中心に世界10カ国に広がり、ようやく軌道に乗
りつつあります。
塩釜研究所とタイのKUE社では、今日ももっとおい
しい冷凍すしの実現に向け、温度変化に強いシャリ米
の 研 究に余 念 が ありませ
ん。海外戦略の太い柱とな
る--それがキョクヨーグル
KUE 社の冷凍すし
製造現場
ープの冷凍すしです。
ブリュッセルの
シーフードショーにて
KUE 社のスタッフ一同
寿司のグローバル化
冷凍すしをヨーロッパに
欧米を主体にアジア、オセアニアで
ロンドンやパリなどの大都市では寿司
進む日本食ブーム。その代表選手である
は現地の食文化と融合し、独自の発展
“すし”の人気は一時的なものではなく、
を遂げています。でも、言語、民族、
イタリア料理のように定着するだろう、と
宗教などが異なるヨーロッパ全体への浸
英国のファイナンシャルタイムスが報じて
透となると、これからの課題。冷凍すし
います。当社の冷凍すしは、寿司職人
の販売を進める中で当初はこの地域ご
がいない場所でも食べたいときに食べら
との嗜好やニーズの違いに戸惑い、市
れるというコンセプトで、さまざまな部署
場の再調査やレシピの調整を行わなけ
が連携して作りあげました。このチーム
力が、冷凍すし事業の原動力です。
海外事業部
外内 真一
ればならず、これに多くの時間を費やしま
した。そうした努力も実り、ここに来てよ
うやく販売が軌道に乗り始めています。
KKE社(アムステルダム)
田口 俊彦
4
キョクヨーグループの
事業活動と社会・環境との関わり
原材料
エネルギー
主・副原料 … …… 15,139…(t)
水資源
原料・素材調達
上水道 … ……………… 89(千m3)
工業用水 … …………… 60(千m3)
地下水
(井水)… ……… 82(千m3)
水資源合計 … ………… 231(千m3)
漁撈・養殖事業
購入電力 … …… 20,854
(千kWh)
A重油 … …………… 594
(kℓ)
灯油 … ……………………9
(kℓ)
軽油 … ……………………7
(kℓ)
LPG … ………………… 74
(千m3)
ガソリン … ………… 140
(kℓ)
総エネルギー量 … 241,329
(GJ)
原油換算 … ……… 6,227
(kℓ)
INPUT
(世界の海から水産資源を調達)
国内買い付け事業
海外買い付け事業
漁撈事業 : 海外まき網事業
養殖事業
水産冷凍食品・調理冷凍食品・
常温食品・健康食品など
水産商事
(国内・海外加工および販売)
北米
鮭鱒・カニ・魚卵・北洋魚・すり身など
南米
エビ・養殖鮭・南方魚など
アジア エビ・カニ・貝・南方魚など
アフリカ タコ・イカ・エビなど
北欧
沿岸魚・養殖鮭・北洋魚など
その他 鰹・鮪など
5
加工食品
(国内・海外加工および販売)
キョクヨーの
事 業 と マ テ リ ア ル フ ロ ー
当社は、水産商事、加工食品、物流サービス、鰹・鮪の 4 事業を中心とした活動を行っています。また、当社グルー
プのこれらの事業活動においては、原材料の使用から廃棄物
などの排出にいたるまでの環境負荷の低減に努めています。
卸売り・
物流サービス
(国内・海外お取引先へ)
お客様
商品・その他
サービス
(国内・海外お取引先へ)
8拠点
7販売支社(札幌・仙台・東京・
国内販売
名古屋・大阪・広島・福岡)・
極洋商事
(株)
水産加工品 鮭鱒・カニ・エビ加工品など
鰹・鮪加工品 カツオタタキ・マグロなど
水産冷凍食品 寿司種・天種・貝・刺身・切身・煮魚・焼魚など
6 拠点
シアトル・青島・バンコク・
海外販売
ホーチミンスラバヤ・
アムステルダム
オーシャンキング・すり身製品・天ぷら・
調理冷凍商品 フリッター製品・カツ・串カツ製品・
和菓子・デザート・枝豆など
常温食品・
缶詰・レトルト製品・グルコサミンなど
健康食品
5拠点
物流
キョクヨー秋津冷蔵
(株)
(本社・大阪・
・極洋水産(株)
(冷蔵課)
サービス 東京・福岡)
・極洋海運(株)
キョクヨー
保険業務・厚生業務など
総合サービス(株)
T
OUTPU
大気への排出
CO2※ ………………14,009(t-CO2)
廃棄物
動植物性残渣
その他の廃棄物
廃棄物合計
2,280
(t)
1,374
(t)
3,654
(t)
リサイクル量
最終処分量
3,177
(t)
477
(t)
上記のうち、
原材料、
水資源は食品工場系の実績数値です。
廃棄物には、
事務所系、
冷蔵庫系の計測できる一般廃棄物を含んでいます。
「温室効果ガス総排出量算定ガイドライン(2007年3月環境省発行)
」によります。
※ CO2 排出量の算定:
6
キョクヨーのお約束
代表取締役社長
安全な“食”の安定供給を通じて
社会と人々に役立つ企業を目指します。
キョクヨーグループは、水産物を中心とした
獲したかつおの魚価が堅調であったことにより、連結経
総合食品企業を目指し、グローバル戦略と加
営で過去最高の営業利益を達成することができました。
工戦略を駆使して、日本と世界の人々の食
文化に貢献しています。安定した収益基盤の
確保をベースに、これからも社会とのより良
い関係を構築してまいります。
ところが、下半期に入るとアメリカの金融不安に端を
発した世界同時不況の波が一気に押し寄せ、為替の急
激な円高傾向や国内景気の停滞による消費不振が水産
物や食品価格の下落を引き起こしました。
この1年は、まさに天国と地獄の明暗を同時に味わう
こととなりました。
Q
厳しい事業環境の中、
新たな前進はありましたか。
グローバル戦略、加工戦略の推進を基本としながら、
鰹・鮪事業を水産商事・加工食品事業に次ぐ柱に育て
たいと考え、新たな取り組みを進めました。これまで4
隻体制で運行してきた極洋水産㈱所有の海外まき網船
は、老朽化した1隻に代わる新船建造の認可を受け、
今年9月の竣工を目指しています。国際競争力のある
1,200トンの漁獲物搭載可能な大型船で、最新鋭の設
備により漁獲効率のアップが図られ、また燃費の改善に
より環境負荷に配慮しています。資源保護の観点から
小型魚の混獲回避の調査も併せて行います。
また、一昨年に設立した本まぐろ養殖のキョクヨーマ
リンファーム㈱では、2年目の活け入れが完了し、今年
9月に初出荷を予定しています。これまでの冷凍品に加
え、生鮮本まぐろの供給が可能となります。自ら作り育
てる漁業の推進は、生物多様性の保全にも貢献するこ
Q
ととなります。 加工食品事業では、タイの合弁会社
世界同時不況は、水産・加工事業に
どのような影響をもたらしましたか。
KUE社において寿司関連商材の生産増強を図り、日本
キョクヨーグループは、水産商事、加工食品、物流
サービス、鰹・鮪の4つの事業を柱に、各事業の連携
で総合食品企業としての役割を全うしています。
2008年度は、上半期までは水産物市況の堅調な動
きに支えられ水産商事事業が好調を持続したほか、加
工食品事業においても価格改定の実施や国内外での関
係会社工場製品の生産・販売増に伴い高収益を実現し
ました。さらに、物流サービス事業は世界的に堅調な
海運市況の中で効率的な配船に努めた結果、燃油価格
の上昇を吸収し、また鰹・鮪事業も海外まき網船で漁
7
企業理念
人間尊重を経営の基本に、
健康で心豊かな生活と
食文化に貢献し
社会とともに成長することを
目指します。
キョクヨーの
ト ッ プ コ ミ ッ ト メ ン ト
向けの寿司種だけでなく欧米向けの冷凍すしと寿司種
環境の温暖化がもたらす負の連鎖に目を向ける必要が
の製品開発、拡販に注力しました。本号の特集でも取
あります。
り上げていますので、ぜひご覧ください。
企業と家庭が連携・協力し、社内報などを通じて会
社生活と家庭生活の双方でCO2(二酸化炭素)の削減
Q
安心・安全な食品の提供に対する
要望がさらに高まっています。
ここ数年、国内食品業界においては安心・安全にか
かわる事件や不祥事が相次いで発生しています。
当社は、従来より国内外の協力工場と綿密な連携や
につながる具体的な取り組みの見直しを図らなければ
なりません。
Q
『キョクヨーグループ チャレンジ2012』を発表
しましたが、どのような挑戦を続けますか。
情報交換を行い、中国、タイ、ベトナムなどの駐在員
当社グループ全体が一丸となって目標に向けて挑戦
事務所に品質管理専任スタッフを配置、また本社品質
するという姿勢を明確にするため『キョクヨーグループ
保証部を中心とした国内外の協力工場を交えた品質管
チャレンジ2012』と名付けました。
理の研修や講習会を適宜実施し、万全の品質管理体制
を構築してきました。
基本方針は、今後も4つの事業セグメントを柱に当社
グループの有する独自性・優位性を一層強化して既存
昨年1月、中国で発生した餃子事件以降は、主要工
事業の収益安定を確固たるものにすることです。また、
場に監視カメラの増設など、製造ラインの管理を強化
成長の期待される関連分野へも積極的な姿勢で取り組
しました。また、農薬も含めた薬品管理の徹底および
むことを明らかにしました。
異物混入対策を十分に行うなど日本と同等の品質管理
現在の厳しい経済状況は、国内外とも短期間での自
基準で管理を行っています。 加えて今年4月からは、
律回復が難しいと言わざるを得ません。短期的には内
中国青島駐在員事務所内に中国食品安全管理室を設置
需中心に足元を固め、中長期的には海外戦略、M&A
し、中国の協力工場で生産される当社製品の安全と品
戦略も視野に積極的な取り組みを行ってまいります。
質管理の強化を図っています。
さらに、環境の激変にも耐えることができる財務体
質を維持強化するため、自己資本比率の向上と有利子
Q
政府は2020年の温室効果ガス削減目標
を発表しました。キョクヨーグループで
はどのような取り組みを行いますか。
負債やリスク資産の削減に取り組み、企業価値向上に
努めてまいります。
開かれた企業として企業活動の透明性をさらに高め
『2005年比で15%減』という削減目標は、多くの
るため、企業理念、行動指針に基づき、企業倫理、法
工場や物流拠点をもつ当社グループにとっても決して
令遵守などのコンプライアンス体制を強化するととも
楽な目標ではありません。改めてグループ企業間の目
に、引き続き内部統制システムの整備、効率的運営を
標づくりを精査するとともに、具体的な対策を整理し、
推進してまいります。また、当社グループが認証取得し
現場に浸透させていかなければなりません。
ている環境マネジメントシステム「ISO14001」に基
今回の目標で重要なのは、家庭との連携・協力が不
可欠であるということです。なにげなく使ってきた電気
づく環境経営の継続的改善によって資源循環型社会の
実現に努めてまいります。
や自動車の便利さだけに目を向けるのではなく、地球
キョクヨーグループ企業行動憲章
キョクヨーグループは、経営トップから従業員一人ひとりに至るまで、企業理念の基に企業行動憲章を遵守し行動します。
1 社会に役立つ総合食品グループとして、安心・安全な
商品およびサービスを提供し、消費者・ユーザーの信
頼を獲得します。
2 法令を遵守し、公正、透明、自由な競争を行い、政治、
行政との健全かつ正常な関係を保ちます。
3 消費者・ユーザー・株主はもとより、広く社会との
コミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ
公正に開示します。
4 環境問題への取り組みは企業の存在と活動に必須の要
件であることを認識し、自主的、積極的に行動します。
5 働きやすい環境の整備に努めます。
6 国際社会の一員として行動し、関係地域の発展に努めます。
8
経営マネジメント
コンプライアンスの徹底
キョクヨーは企業理念である『人間尊重を経営の
基本に、健康で心豊かな生活と
食文化に貢献し社会とともに
成長することを目指します。』
に則り、「キョクヨーグループ
企 業 行 動 憲 章 」 を 制 定 し て、
当社グループ一体となってコ
ンプライアンスの徹底に努め
ています。
「キョクヨーグループ企業行動憲章」
キョクヨーの
社会活動
内部統制
当社グループはコンプライアンス基本規
則に基づき関連諸規則を制定し、内部統制シ
ステムを構築しております。
2008年4月からスタートした金融商品
取引法による「財務報告に係る内部統制」で
は、経営者による全社的統制評価、各関連部
署による決算・財務業務プロセス、業務プロ
セス、IT全般統制に関する自己点検結果に基
づく評価を実施し、年度末の報告として当社
の内部統制システムが有効である旨の報告を
致しました。内部統制は「これで良い、完成
だ」ということはなく、引続き統制環境の整
備を進め、当社グループ全社員一丸となっ
て、業務プロセスなどの点検・改善に努めて
いきます。
〈金融商品取引法による「財務報告に係る内部統制」の実施概要〉
2008
6月
全体
基本方針
統制範囲
全社的な
内部統制
経営者評価
決算・財務
プロセス
業務
プロセス
IT全般統制
内部監査
内部統制監査
9
2009
3月
9月
12月
整備状況評価
3月
5月
6月
暫定評価
最終評価
報告書
関係会社
変更の確認
運用・評価(四半期ごと)
運用・評価(四半期ごと)
・改善
IT全般統制評価・改善
内部監査チームを編成し10拠点実施
変更の確認
キョクヨーの
社 会 活 動
お客様のために
お客様のお問い合わせに対応
2008 年初めに発生した中国餃子事件の後、お客様
また、例年開催している「中国技術協力会」におい
てもこの事件を取り上げ、今後各工場にどのような管
理が必要かについて徹底しました。
相談室に寄せられるお問い合わせ、ご指摘、ご意見が
現在は、業界全体の努力により一時のような中国バ
急増しました。事件直後の 2 月は従来の 3 倍の件数に
ッシングは収まりつつありますが、安心・安全への取
達し、その後もお電話をいただく状態が続いていま
り組みに終わりはありません。今後も、お客様に安心
す。なかでも最も多いのは当社製品の原料産地、製品
してご利用いただける製品を供給できるよう努力し
加工地へのお問い合わせでした。消費者の食品に対す
てまいります。
る関心の高さ、中国産品に対する不信感を肌で感じ取
る日々が続きました。
お客様には丁寧かつ分かりやすく説明するととも
に、キョクヨーの中国産製品については品質管理を厳
重に行っているため、問題がないことをお伝えしご理
解いただくよう努めました。お客様の食に関する不
安、不信感を少しでも軽減し、かつ当社製品をご愛顧
いただくよう努めました。
個人情報保護
当社は、
「個人情報保護法」
に対応し、
社内規定の整備、
「中国技術協力会」にて
全体最適な物流体制の構築を目指す
物流部では、年々多様化するお客様のニーズに応
える商品およびサービスを開発・提供するため、物
流フローを見直し、グループ全体の最適な物流体制
個人情報保護に関わる苦情・問い合わせ窓口の設置な
の構築に日々努めています。安全・安心のニーズへ
ど、個人情報保護体制の整備を行っています。
の対応やお客様への安定した供給のために、物流品
当社ホームページにはプライバシーポリシー(個人
質の向上を目指し、本・支社食品部門に導入した極
情報保護方針)を掲載しています。お客様から提供いた
洋物流システム(通称KOMS)による一元的な物流
だいた個人情報の取り扱いはプライバシーポリシー(個
情報管理により、賞味期限管理強化や欠品率の低下
人情報保護方針)に基づき、適切な取り扱いと管理に努
を実現しました。
めています。
安心・安全への対応
昨年は冷凍食品業界にとって試練の年でした。年初
に発生した「餃子事件」により中国産冷凍食品への信
また、冷蔵倉庫や輸送トラックが効率的に活用さ
れているのか、個々のカートンを検証し改善してい
くべく、包装資材のダウンサイジングへの取り組み
も開始しました。商品サイズの改善による物流効率
の向上を行い、省エネルギーやCO2 排出削減と環境
負荷軽減を目指しています。
頼が大きく揺らいだためです。
KOMSによる
一元管理
当社は事件を起こした工場とは無関係でしたが、い
わゆる風評被害は避けられず、関連した問い合わせも
通常月の3倍となりました。
お客様の目が厳しくなったことで、当社の品質保証
においても安心・安全への対応がこれまで以上に求め
られました。このため、当社も基本的な衛生管理、工程
管理および製品の検査体制を見直すとともに、工場内
への私物持ち込みや包装資材の管理など薬物の混入
についても徹底した確認を行いました。
ダウンサイジング
の打ち合わせ
10
お取引先のために
極洋会
お取引先を対象とした全国7支社での極洋会の開催
同行商談とプレゼンテーション
商品開発部では、お取引先への商品紹介を販売部
は2008年度より春主体に実施することとしました。
署、事業部署と協力して行っています。2008年度
新年度の当社経営方針や支社販売方針をお取引先に
は延べ155回の同行商談およびプレゼンテーション
ご理解いただくために変更したものです。
を実施。お取引先から直接いただくご意見や販売状
況等の情報は、次なる新製品へのヒントになります。
また同行商談は、お取引先と同じ目線、同じ尺度で
商品開発を進められ、売れる商品づくりに欠かせま
せん。最近では、プレゼンテーションで直系工場製
品をアピールする場合、商品力だけでなく製造工場
第14回東京支社極洋会
極洋会における講演会
下請代金支払遅延等防止法
(下請法)の遵守
当社は多くの取引先に下請取引をお願いしており、
下請法は当社の仕入業務において重要な法律のひと
の安心安全への取り組みや環境への配慮についても
説明しています。
独自テーマによる商品開発
2008年度は、春・夏の発表に向けた新製品開発、
つです。公正取引委員会等関係機関からの情報の入
個別案件の商品開発、業態別商品開発に加え、課員自
手、日常業務における指導、教育等を通じて本・支
らが発案する「独自テーマによる開発」を71件行い
社、関係会社の下請取引担当部署との連携のもと、
ました。商品開発の動機付けは販売部署、事業部署、
遵守に取り組んでいます。社外講習への参加のほか、
お取引先からの要望から開始することが多いので、受
社内勉強会を開催し、下請法の理解と遵守に努めて
動的な開発になりますが、これを是正し、市場に潜在
おります。
するニーズの積極的な取り込み、先を予測した開発に
結びつけることが独自テーマによる開発になります。
Voice
「おいしい」
「付加価値が高い」
「安心安全」といった
直接的な潜在ニーズに目を奪われがちですが、併せて
「環境に配慮した」という視点での商品づくりが近年
タイの
パートナー
に感謝
極洋と25年来のパー
トナーであるタイUFP社
特に重要なポイントになっています。同行商談を介し
て、直接お取引先に開発商品を紹介する場合、商品力
とともに限りある資源を有効活用した「環境配慮型商
水産冷凍食品部
品」であることもアピールしています。
秋山 邦雄
との合弁会社のKUE社では、主力商品の寿司
エビ、甘エビのほか、イカ、タコ、サーモン、
〆サバなどの寿司種を生産しています。
新製品試食会
これらの製品を輸入し国内の回転寿司、量
販店惣菜、持ち帰り寿司、外食産業などを通じ
て消費者に届けています。
これからも現地との連携を強め、安心安全な
商品の安定供給に努めていきます。
11
2009年1月
春の新製品発表会
キョクヨーの
社 会 活 動
株主・投資家のために
株主・投資家などとの
コミュニケーション
キョクヨーは、株主や投資家の皆様に財務情報を
はじめとしたIR情報や会社案内のほか、当社グルー
プ最新の情報を公平かつ迅速に公開するよう努めて
います。
主総会の運営は、会社法等に従い的確に行われる必
要がありますが、一方、当社でも個人株主の方々の
出席が増加しており、より分かりやすい総会の運営
が求められています。
当社では、株主総会を株主の皆様とのコミュニケ
ーションの場と捉え、株主の皆様にとって分かりや
機関投資家や証券アナリスト向けには、年2回のIR
すい説明、丁寧で内容の充実した回答、株主の皆様
説明会を開催しています。出席者の皆様に経営状況
が発言しやすい雰囲気づくりを実践し、開かれた株
等を分かりやすくお伝えするべく資料を充実させ、
主総会の開催に努めています。また株主の皆様に配
社長をはじめ担当役員が決算概要や今後の施策につ
布する資料についても、より分かりやすい記載とな
いて直接説明を行っています。また、個別取材にも
るよう検討しています。これからも、多くの株主の
積極的に対応しています。
皆様に出席いただけるよう、工夫してまいります。
個 人 の 株 主 ・ 投 資 家 の 皆 様 に 対 し て は、 年 1 回
「Business Report」
(日本語版、英語版の2種発行)
を発送するほか、当社ホームページにおいて決算短
株主に対する利益還元
信やIR説明会資料などを掲載し、IR情報の提供に努
当社は、株主の皆様に対する適切な利益還元を経
めています。なお、当社ホームページではステーク
営の重要な課題のひとつと位置づけており、企業体
ホルダーの皆様が必要としている正確な企業情報、
質の強化および将来の事業展開に備えるための内部
商品・サービス情報などを分かりやすい表現により、
留保の充実と、利益還元のための安定配当の継続を
積極的に開示しています。
基本方針としています。
また、皆様のご意見やご質問をお受けする「お問
い合わせフォーム」を設置し、広く社会とのコミュ
なお2009年3月期の期末配当につきましては、1
株当たり5円の普通配当としました。
ニケーションに努めるとともに、取引先新規顧客獲
得やリクルート向けに年1回会社概要を発行し、当社
のPRを積極的に行っています。
新キャッチコピー決定
2009年1月、当社のキャ
ッチコピーを5年ぶりに一
新しました。「いつも となり
に おいしいキョクヨー」
当社ホームページトップ
株主優待の新設
当社は、株主の皆様からの日頃のご支援に感謝する
とともに、当社株式の魅力を高め、当社株式を保有し
ていただける株主様の増加を図ることを目的として株
主優待制度を新設しました。
【株主優待の内容】
⑴ 対 象 株 主 毎年3月31日現在の当社株主名簿に記
載または記録された1単元(1,000株)
以上所有の株主様を対象といたします。
⑵優待の内容 5,000円相当の当社製品を贈呈いたします。
⑶ 贈 呈 時 期 毎年7月にお送りする予定です。
ビジネスレポート
新キャッチコピーポスター
株主総会
株主総会は、株主の皆様に当社の基本的な方針や
重要な事項を決定いただく当社の最高機関です。株
今年の贈呈品(缶詰セット)
12
従業員のために
ワークライフバランス
(仕事と生活の調和)推進
当社は次世代育成支援のためのさまざまな施策を
行っています。①事業所ごとに最低月1回のノー残業
デーを実施・推進。皆が早く帰宅できるよう部署ご
『定年後再雇用規則』を作り、60歳以降の雇用の確
保を目指しています。
極洋こころネットワーク
とにさまざまな工夫をしています。②受験期の子供
従業員とその家族の心の健康づくり、メンタルヘ
や要介護家族を抱え、単身赴任をする社員・家族の
ルスケア対策として導入した従業員支援プログラム
支援制度を取り入れています。③年間20日間(最大)、
(EAP)を、『極洋こころネットワーク』と名づけて
前年未消化分の繰り越しを加えると最大40日間の年
います。社員とその家族が抱えるさまざまな悩みを、
次有給休暇制度があります。また有給休暇取得促進
当社専用のフリーダイヤルや面談によってプライバ
の一環としてフレックス休暇制度(年次有給休暇の
シーを守りながら、外部の専門機関に相談すること
連続5日以上の取得)を推進しています。土日を絡
ができます。
めた長期の休暇を取ることで心身ともにリフレッシ
ュして、仕事と私生活を充実したものに。④妊娠か
ら子育てまで、育児休業制度や出・退勤時間の調整、
貿易実務・通関社内講習
勤務時間の短縮、子供の看護休暇など、社員の子育
業務部では貿易実務・通関の知識向上のため、社
てを支援する体制づくりに努めています。現在取得
内研修の一環として事業部担当職員を対象とした講
中の者を含め延べ11名が育児休業を取得、また育児
習会を開催。社内での貿易実務入門、通関実務講習
短時間勤務中の社員も2名います。
会のほか、税関や冷蔵庫等にも足を運び、実習も兼
ねています。
定年後の再雇用
少子高齢化の急速な進行に伴い、65歳までの雇用
の確保が努力義務化されたことを受けて、当社では
貿易実務・通関社内講習
研修制度
●階層別研修
新入社員から中堅社員、管理職と進むに従って求められる役割とスキルを、各部門に即して実践的に研修
します。
●海外研修制度
これからの極洋をリードする創造力豊かな人材育成を目的とし、若手社員が自らのテーマを掲げ、研修地
を指定して実現させていく新しいスタイルの研修です。
●極洋ビジネススクール
約190種類の通信教育プログラムにより、年間を通じて、各自の必要と意欲に応じて
自己啓発ができるような体制を整えています。
●セクシュアルハラスメント対策の徹底
2008年度 極洋ビジネス
スクールコースガイド
会社の方針を、年度初めに社員全員に周知徹底するとともに、新入社員の入社時研修プログラムでも取り
上げています。各部署には『セクハラ苦情・相談窓口』を設けて、問題発生の未然防止、発生の際の早期
対応に努めています。
13
キョクヨーの
社 会 活 動
社会貢献活動
寄付活動
修学旅行の研修を受け入れ
キョクヨーグループは、社会福祉、災害復興など
を目的とした団体に寄付を行っています。
社会貢献活動の一環として、2008年6月にNPO
法人「学校サポートセンター」の依頼により、小学
生の修学旅行における企業訪問研修を受け入れ、当
財団法人漁船海難遺児育英会
毎年、キョクヨーグループ役員・職員の協力によ
り、財団法人漁船海難遺児育英会への寄付を行って
います。
社の事業内容や新製品開発・品質管理について講義
し、企業活動への関心を深める体験学習を実施しま
した。
今回の研修では部屋での講義だけでなく、会社内
中国四川省大地震義捐金
平成20年5月に発生した中国四川省大地震に対し
義捐金の寄付を行いました。
の見学ツアーを行い、東京支社を訪問しました。全
員にパソコンがありキーボードをたたく早さに驚き
のコメントがありました。
チーム・マイナス6%の活動
屋上広告塔点灯時間の短縮
環境省の「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」
の趣旨に賛同し、本社(国際山王ビル)屋上広告塔
極洋に質問
日枝神社前でお疲れ様
の点灯時間を従来
の「日没から21:
45まで」から「日
没から21:00ま
で」に45分短縮
しました。キャン
ペーン終了後も継
続しています。
国際山王ビル屋上広告塔
Voice
東京支社内の見学ツアー
エコキャップ回収活動の1年
2008年度直前から始めたエコキャップ回収活動は社員の協力により
1年間で100kgを超す量が集まりました。8月に50kg程度集まったとこ
ろで「エコキャップ推進協会」に連絡し、最初の回収をしてもらいまし
たが、全国的な回収活動の活発化で協会がパンク状態となり、年末には
電話も通じない有様となりました。急遽回収先を探したところ「グルー
プMATE」から回収のOKが取れ、年明け早々に来てもらいました。
赤坂サイトでの回収のほかに一部他のサイトから送ってくるキャップ
キョクヨー総合サービス㈱
齋藤 孝就
もあり、一人で保管・回収の受け渡しと結構多忙ですが、社会貢献活動
としてこれからも頑張ります。
14
環境マネジメント
環境保全活動への取り組み
2002 年度の ISO14001 認証取得から 7 年が経
過し、2008年度は 2回目の更新審査を受審しました。
当初より「紙、ゴミ、電気」に加え、販売や物流などの
本来業務を取り入れた環境保全活動を推進していま
す。2008 年度は連結対象に新たに1社が加わったも
のの、独自で環境保全活動を行っているため当面推移
を見守ることとしました。キョクヨーグループとして
は国内の陸上部門を対象としており、海外輸送や漁獲
事業あるいは海外関係子会社については現在のとこ
ろ範囲に含めていません。(なお、関係会社では 100
キョクヨーの
環境活動
% 出資の会社を対象としています。)
〈環境保全体制図〉
取締役会
環境保全委員会
内部環境監査チーム
環境管理責任者
副環境管理責任者
環境保全推進委員会
環境保全運営委員会
赤坂本社ビル
支社、営業所
塩釜研究所
関係会社
外部審査
当社グループは年 1 回の外部審査を受審していま
す。審査機関は㈱日本環境認証機構 (JACO) にお願い
しています。たまたま徒歩で 10 分という近さのため
お互いに歩いて訪問できます。
2008 年度は 2 回目の更新審査にあたり、審査員も
一新して新たな視点での審査となりました。今回は間
接影響評価や環境教育訓練記録に対する指摘がなさ
れ、いずれも原因究明と是正処置を行い、該当部署の
みならず全部署への横展開でグループ全体の改善に
つなげました。
本社オープニング
15
極洋食品㈱塩釜工場での現場審査
キョクヨーの
環 境 活 動
環境会計
環境保全コスト・効果
キョクヨーグループは、2005年度より環境会計を導入して環境保全活動のコストおよび効果を評価・分析し
ています。
※集計に当り
『環境省ガイドライン 2005 年版』を参考にしました。
〈2008年度キョクヨーグループ環境保全コスト〉
分 類
単位
(千円)
2007年度
主な取り組みの内容
事業エリア内コスト
事業エリア内での環境負荷低減など
2008年度
投資額
費用額
163,630
106,844
投資額
費用額
5,230
27,599
21,861※2
32,277
158,400
51,820
11,940
64,992※4
33,801
126,469
公害防止コスト
水質汚濁防止のための排水設備などの維持管理費用など
地球環境保全コスト
省エネ対応設備導入やフロンの適正管理費用など
資源循環コスト
廃棄物処理やリサイクルの費用、漏水対策費用など
0
27,426
0
29,200
上・下流コスト
環境対応物品調達や低公害車導入で発生した差額費用など
0
3,745
0
1,863
管理活動コスト
環境マネジメントシステムの構築・維持管理や従業員の
環境教育費用、自然環境の整備など
1,000
11,745
0
10,949
研究開発コスト※1
環境保全に資する製品等の研究開発や物流・販売段階に
おける環境負荷の抑制のための研究開発費用など
0
7,857
社会活動コスト
事業活動を除く自然保護、緑化、美化、景観保持等の
環境改善対策費用など
0
541
0
522
環境損傷対応コスト
環境保全に関する損害賠償等の費用や環境の損傷に対応
する費用など
13,386
10,097
640
14,099
178,016
140,829
42,441
160,754
内
訳
合 計
8,000※3
6,852
※1 研究開発コストには人件費を含みます。
※2 極洋食品八戸工場などの排水設備の投資が増えました。
※3 研究所で商品開発・検査に関わる機器類の購入がありました。
※4 この中に極洋水産の減価償却費が約45%含まれ、全体で増加しました。
〈2008年度キョクヨーグループ環境保全効果〉
環境保全効果の分類
事業活動に投入(インプット)する資源に関する環境保全
効果 ( 事業エリア内コスト、上・下流コストに対応)
事業活動から排出(アウトプット)する環境負荷及び廃棄
物に関する環境保全効果 ( 事業エリア内コストに対応 )
環境パフォーマンス指標
2007 年度
2008 年度
総エネルギー量(GJ)
253,559
241,341
6,542
6,227
OA 用紙使用量(kg)
21,013
21,083
フロン使用量※ 1(㎏)
1,188
390
798
廃棄物排出量(t)
3,686
3,654
32
原油換算量(kℓ)
環境保全効果
12,218 ※ 2
315
△ 70 ※ 3
※1 フロン(CFC・HCFC・HFC)使用量は冷凍設備機器への補充量です。
※2 極洋水産㈱の冷蔵庫で冷凍機の交換による電力使用量削減が総エネルギー削減に大きく貢献しました。
※3 裏紙使用などで削減努力したが、会計システム変更や内部統制でOA用紙の使用量増加となりました。
・廃棄物には、事務所系、冷蔵庫系の一般廃棄物は含まれていません。
〈2008年度キョクヨーグループ環境保全対策に伴う経済効果〉
効果の内容
収益
廃棄物のリサイクル等による有価物の売却益など
省資源活動による費用削減
省エネルギー活動による費用削減
※
単位
(千円)
経済効果額
22,154
用水代、廃棄物・排水処理費用、環境損傷対応費用などの削減
△ 725
エネルギー(電力・熱)費用、長期在庫数量に係る費用の削減
16,654
合 計
38,083
・収益には、食品工場における工程改善の仮定的計算によるみなし効果を含みます。
※ 省資源活動では廃棄物処理費用の増大があり、省エネルギー活動では電力費用は削減できました。原油の高騰によるエネルギー単価の高騰が強く影響して費用の増大がありまし
たが、上半期の長期在庫の圧縮効果により大幅に削減効果がありました。
16
パフォーマンス報告①
2008年度 キョクヨーグループ
環境目標と実績
キョクヨーグループでは、全事業領域へと段階的に活動範囲を拡大しながら下記の具体的項目を当社グループ
目標として定め、計画的・継続的に環境保全活動を推進しています。
= 達成
項 目
目 的
電力の使用量を削減する
単位
2008年度
実 績
評価
達成度
= 未達成
対象サイト
千 kWh
前年比 6.0% 削減する
20,853.9
4.0%
全サイト
A 重油の使用量を削減する
kℓ
前年比 0.7% 削減する
593.8
3.9%
食品工場系
LPG の使用量を削減する
千 m³
前年比 0.4% 削減する
74.1
13.1%
kg-CO2/t
前年比 0.5% 削減する
441.1
4.7%
14.8
32.6%
4.9
△ 4.9pt
3,942.7
△ 31.2%
CO2 原単位 ( 生産量 ) ※ 1 を削減
省エネルギー
長期在庫数量※ 2 を削減する①
t
前年比 42.0% 削減する
t
3 ~ 6 ヶ月超在庫をゼロにする
c/s
省資源
2008年度
目 標
= 若干未達
前年比 2.0% 削減する
〃
食品工場系
事務所系
販売予測精度向上を目指す②
%
誤差率を 50.0% 以下にする
53.4
△ 3.4%
販売支社
在庫回転日数の短縮を目指す②
日
予算値の 39.1 日以下にする
39.6
△ 1.2%
事務所系
OA 用紙の使用量を削減する③
冊 /500枚
前年比 0.3% 削減する
10,542.7
△ 0.2%
全サイト
水使用量を削減する
千 m³
前年比 0.7% 削減する
218
9.2%
食品工場系
食品廃棄物原単位※ 1 を削減する
kg/t
前年比 1.8% 削減する
45.9
7.9%
食品工場系
前年比 0.2pt 向上させる
87.1
△ 0.6%
食品工場系
リサイクル
廃棄物リサイクル率
向上を目指す
汚染の予防
フロン使用の削減・廃止を目指す
冷蔵機器の長期設備投資計画
を策定する
実施
-
食品工場系・
冷蔵庫系
社会貢献
社会貢献活動を行う
対象サイトにて実施する
実施
-
全サイト
※3
の
%
※1 CO2原単位削減と食品廃棄物原単位削減は塩釜研究所を除いています。
※2 長期在庫の実績値は年間平均値で表示しています。
※3 有効活用されている食品残渣は廃棄物リサイクル率にカウントしています。
①下半期の景気後退による影響から在庫が増加し、全体としては未達成となりました。
②上半期の中国冷凍食品搬入遅れと下半期の景気後退による販売低下が販売予測精度の低下と在庫回転日数の増加の要因になりました。
③OA用紙は会計システムの変更や内部統制システムの導入の影響により若干未達となりました。
環境法令の順守評価
2008年度は、キョクヨーグループにおいて環境に重大な影響を与える事故はありませんでした。環境
法令の順守評価の結果、季節変化など要注意時期の管理不足による排水処理水質に係る改善命令が2件
発生しましたが、ただちに是正処置及び予防処置を実施し、今後の発生防止のため定常管理の見直し強
化を行いました。
17
キョクヨーの
環 境 活 動
パフォーマンス報告② 〜生物多様性保全への取り組み〜
キョクヨーマリンファームの1年
マダガスカルのエビ
2008 年度は 2 年目にあたる養殖事業の地盤固め
マダガスカルにおいてエビトロール漁業および養殖
と、出荷を見据えた事前準備の設備投資を実施しまし
事業を行っている UNIMA 社は、生物多様性を重視し
た。
た持続可能な水産業の維持・発展のために自らに厳し
本まぐろの稚魚であるヨコワについては、豊後水道
い漁獲管理や環境に対する基準を課しています。エビ
に頼っていた稚魚採補の競争が激しくなったため、養
トロール事業は、国連食糧農業機関(FAO)による漁業
殖イケスまでの距離がある土佐湾での採捕も想定し、
資源保護のための管理コードを厳格に実行しており、
須崎に備蓄基地を設けました。しかし、今回は土佐湾
養殖事業も元来の 97% 以上のマングローブが保全さ
で期待した採捕数量が確保できなかったものの、活魚
れ、さらに 65 万本ものマングローブ植林が行われる
運搬船での輸送方法など新たなノウハウを習得しま
など、環境保護への取り組みが行われています。 した。
当社は、このような進歩的な UNIMA 社の事業に設
また、給餌数量の増加に伴い自動投餌機を搭載した
立当初から参画し、品質的にも、環境保護的観点から
新船を建造、作業効率が大きく向上しました。新船は、
見ても優れた製品を積極的に日本マーケットで販売す
舷側を低くして、まぐろを船に揚げやすくする仕様と
ることにより、生物多様性の保全に貢献しています。
なっています。
ここで開発された「極の海老」は、鮮度と安全性の厳
採補されたヨコワは、海の恵みであり自然からいた
しい管理の中で生まれた製品です。特徴は、加工場と
だいた資源として無駄にしないよう大切に育てる努
養殖池が非常に近いという立地条件を生かし、鮮度保
力を惜しまず、成長に合わせた給餌管理もしっかり行
持のため水揚げ後短時間で活〆した海老を製品化して
ってまいります。
おり、養殖から最終製品までの一貫したトレーサビリ
ティーを確立し、安全性を維持しています。
「極の海老」のパッケージ
キョクヨーマリンファーム㈱スタッフ
Voice
マダカスカルで
水揚げされたエビ
MSC「紅鮭切身パック」の販売
MSC(海洋管理協議会)は持続可能で適切に管理され、環境に配慮した漁業を認証する制度で、当社は
2006年10月に「アラスカ産紅鮭の購入、加工、梱包とその販売」の範囲でCoC認証を取得しました。「海の
エコラベル」といわれるMSC認証ラベルが貼られた製品を消費者が購買することは、環境に配慮する漁業者や
流通業者を支援することにもつながります。
当社のMSC認証製品は、極洋食品㈱八戸工場が加工を行っており、
福岡支社では鹿児島県を中心に量販店を展開する㈱タイヨー様とMSC
「ア
ラスカ産紅鮭切身パック」の開発に着手し、2009年2月より販売を開始し
ました。今後、九州全域へ販売を拡大予定です。
MSC「紅鮭切身パック」
18
パフォーマンス報告③ 〜地球の未来を信じて〜
地球温暖化防止
キョクヨーグループは、事務所系、食品工場系および冷蔵庫系注1)における電力や化石燃料などのエネルギーの
効率的な利用に努め、事業活動に伴うCO2の排出量削減を通じて地球温暖化防止活動に取り組んでいます。
キョクヨーグループ全体のCO2排出量
2008年度の当社グループ全体のCO2 排出量は、
(事務所系)
国内の販売事務所では、2008年下半期の世界同
1 4,0 0 9 t-CO2 と な り、2 0 0 7 年 度(1 4,7 1 9
時不況による国内消費不振の影響から2007年度に比
t-CO2)に比べ710t-CO2削減できました。
べ売上高は2.8%減少しました。電力およびガソリン
2008年度はCO2 原単位削減に取り組んできまし
た。しかし、事業活動が活発化し生産量などが増大
することによりエネルギー使用量が増加すると、CO2
によるCO2の排出量は3.8%(35トン)減少しました。
売上高よりもエネルギー使用量の減少が大きかっ
たため、CO2原単位は1.3%向上しました。
原単位が削減できてもCO2 排出量は増加するという
現象が起こります。そこで2009年度からはグルー
プの全体目標としてCO2の総量削減も目標化します。
〈当社グループ年度別CO2排出量〉
(t-CO2)
各部署の取り組みも大切ですが、当社グループ内
16,000
で全エネルギーの52.4%を使用する食品工場を主体
12,000
に、高効率な機器の導入・入れ替えや技術の開発・改
善などを視野に入れた長期的なCO2 削減計画を策定
してまいります。
(食品工場系)
2008年度は、上半期の好調な販売による調理冷
8,000
4,000
0
15,020
14,719
14,009
7,062
6,673
5,774
7,065
7,118
7,342
冷蔵庫系
食品工場系
893
893
928
2006年度
2007年度
2008年度
事務所系
〈食品工場系のCO2原単位と生産量〉
(kg-CO2/t)
480.00
438.63
450.21
454.34
(t)
18,000
14,000
2007年度に比べて2.3%(350トン)増加しました。
300.00
基づき、2008年度は冷蔵倉庫1カ所で二元冷凍機の
全面入れ替えを行いました。その結果、2007年度
に比べ電力使用量は40.8%削減、冷蔵倉庫全体の
CO2排出量も13.5%(899t-CO2)削減できました。
CO2排出量の大幅削減効果と収入トン数5.3%の増
加によりCO2原単位は17.8%向上しました。
生産量
0
(t)
13.00
12.66
700,000
10.68
12.00
8.00
0.00
2006年度
2007年度
600,000
500,000
CO₂原単位=
CO₂排出量/収入トン数
400,000 CO₂原単位
収入トン数
2008年度
0
〈事務所系のCO2原単位と売上高〉
(kg-CO2/百万円)
4.000
3.168
3.663
(百万円)
3.617
300,000
3.000
250,000
2.000
200,000
1.000
0.000
2006年度
2007年度
229,308
フロンガスの使用全廃を目指した長期削減計画に
CO₂排出量/生産量
12,000 CO₂原単位
2008年度
540,365
(kg-CO2/t)
14.00
10.00
(冷蔵庫系)
CO₂原単位=
〈冷蔵庫系のCO2原単位と収入トン数〉
513,060
向上に努めました。
2007年度
235,797
CO2原単位は0.9%の増加に抑え、エネルギー効率の
2006年度
557,876
排出量も3.2%(223トン)増加となりましたが
0.00
261,395
そのため、電力などの主要エネルギーによるCO2
15,869
食の増産などから国内の直系食品工場の生産量が、
15,519
16,000
360.00
15,820
420.00
2008年度
CO₂原単位=
CO₂排出量/総売上高
150,000 CO₂原単位
総売上高
0
注 1)事 務 所 系(株)
:
極洋 本 ・ 支社 ・ 営業所(国内)
、キョクヨー総合サービス(株)
、極洋商事(株)
、極洋海運(株)
(業務部)
、極洋水産(株)
(総務部)
食品工場系 : 塩釜研究所、極洋食品(株)
(本社 ・ 塩釜、八戸、ひたちなか)
、キョクヨーフーズ(株)
、極洋水産(株)
(製造課)
冷 蔵 庫 系 : キョクヨー秋津冷蔵(株)
(本社 ・ 大阪、東京、福岡)
、極洋水産(株)
(冷蔵課)
注 2)事務所系の CO2 原単位削減に極洋海運(株)
(業務部)
、極洋水産(株)
(総務部)は含んでいません。又、食品工場系の CO2 原単位に塩釜研究所は含んでいません。
19
キョクヨーの
環 境 活 動
パフォーマンス報告④
廃棄物削減と環境配慮
食品工場系の廃棄物削減
カーボンフットプリントへの対応
食品工場系の生産工程から排出される廃棄物の総
2008年12月に開催された環境展「エコプロダク
量は、2008年度3,503トンで2007年度に比べ
ツ2008」で経済産業省が強く推進するカーボンフ
0.8%(27トン)減少しました。
ットプリント(炭素の足跡の意)に関する製品の展示が
生産量は2.3%(350トン)増加しましたが、廃棄物
行われました。カーボンフットプリントとは製品の
排出量原単位は3.0%(6kg/t)向上しました。これ
原材料から製造、流通・販売、消費・使用、廃棄まで
は廃棄物の削減を確実に進め、自然からの原材料を
のライフサイクルにおいて発生する温室効果ガスを
大切に効率良く使用することを目指している成果で
CO2に換算し重量で表示したものです。
す。
製品に表示することで、CO2 の「見える化」が図
2006年度からの3年間を見れば、2008年度の生
られ、消費者には環境負荷低減に向けた正しい情報
産量は2006年度並みに戻りましたが、廃棄物排出
が入手可能となり、企業間におけるCO2 排出削減意
量は13.3%(539トン)減少し、廃棄物排出量原単位
識の高まりも期待できるとされています。
も13.3%(34kg/t)向上していることで、食品工場
現在、冷凍食品業界でカーボンフットプリントに
系における廃棄物削減の活動は順調に推移している
関する勉強会を行っており、業界のルール化を策定
と考えられます。
する作業を開始しています。当社は業務用製品の取
※廃棄物とは生産時に発生する食品廃棄物以外に紙類、金属類、プラスチック類
などの不要物を含みます。
り扱いが主体で直接お客様が手にする商品は少ない
のですが、外食、量販店および業務問屋ルートなど
〈食品工場系の生産量と廃棄物排出量および廃棄物排出量原単位〉
(t)
への販売のため、真剣に取り組んでいます。
(㎏/t)
25,000
300
255
227
221
15,519
15,869
〈ライフサイクルアセスメント表示例〉
240
原材料
15,000
180
15%
10,000
120
20,000
15,820
4,042
5,000
0
2006年度
3,530
2007年度
廃棄物排出量原単位=
廃棄物排出量原単位
廃棄物排出量/生産量
生産量
3,503
2008年度
製造
流通
販売
消費
使用
廃棄
20%
30%
25%
10%
CO2総排出量を表示する(合計で123gの場合)
60
0
(塩釜研究所を除く)
廃棄物排出量
カーボンフットプリントマーク
20
サイトレポート①
札幌支社
名古屋支社
JAF(日本自動車連盟)より「誰でもできるエコ運転術」
札幌支社では、2008
DVDを入手し、支社内で視聴しました。
年1月に事務所の移転を
行ったため、事務所環境
「誰でもできるエコ運転術」は、JAFが環境保全活動の一
は大きく変化しました。
環である「エコドライブガイド」として提供しているもので、
新事務所は以前に比べる
JAFの各支部およびホームページから入手可能となってい
とコンパクトなスペース
札幌支社 橋野課長
ます。
となり、西向きに大きな窓を持つことからエアコン
本DVDは15分程度で、発進から停止までの各パターン
での電力消費量を大幅に削減することができました。
について、通常運転とエコドライブの比較を行い、パター
移転に合わせて、OA機器の集約を目的に複合機を
導入し、その複合機で裏紙の使用徹底を図ったこと
から、OA用紙の削減も果たすことができました。
また、中央市場に近くなったことから商談の際に
も営業車を使用せずに済むこととなりました。以上、
ンごとに燃費向上に効果的な運転術を紹介しています。
運転以外の燃費向上策であるタイヤ
の空気圧の調整やエアコンの温度設定
等についても紹介されてます。
本DVDを視聴することで、各自の
新事務所の移転が、さまざまな改善効果をもたらし
運転状況を見直し、エコドライブを実
たという報告です。
践する意識づけがなされるものと期待
しています。
仙台支社
機密書類を含めた紙類の収集運搬と中間処理を行
うリサイクル専業業者の㈱サイコーを見学しました。
JAF「誰でもできるエコ
運転術」テキスト表紙
大阪支社
大阪支社では相愛会
施設内には機密書類用破砕機が完備され、監視カ
に図書部があり、会員
メラの設置された場所で処理が行われていました。持
より希望のあった図書
ち込んだ書類は破砕機で裁断され、圧縮して次の製
を購入し、希望者が読
紙工場に搬送されます。工場では溶解処理後、再生
み終わったあとは、支
紙として生まれ変わります。
社の共有書庫に保管して貸し出ししています。しか
最近では、リサイクル原料の品質が重要視され、
破砕処理前に不純物であるプラスチックや金属類が
近畿中央病院からの感謝状
し、書庫のスペースも限りがあるため、たまる一方
の図書をどうするかも問題でした。
混在していると、国内の業者には引き取ってもらえ
たまたま、図書部の世話役の社員の知り合いに近
ず、海外向に切り替わるそうです。改めて分別廃棄
畿中央病院の関係者がおり、余っている図書を寄贈
の重要性を感じさ
してもらえれば、患者が療養の合間に読むことがで
せられた施設見学
き、大変有難いとの話がありました。
となりました。
当方としても、社会貢献に一役買え、その上、リ
サイクルにも役立つので、早速寄贈することにしま
裁断後の紙類
(右側ダンボール)
21
した。2008年8月に130冊の図書を近畿中央病院
に送りましたところ、病院側からも大変感謝され、
キョクヨーの
環 境 活 動
サイトレポート②
病院長名で感謝状までいただきました。また機会が
への補充の際に記載する方法を採用していましたが、
あったら寄贈したいと思います。
なかなか手順の周知ができなかったこともあり、毎
月の記載率が実際の使用量の60~70%前後と低く、
正確な使用実績の把握が困難となっていました。
そのため、環境保全運営委員会では改善のための
提案としてこれまでの方法を改め、用紙置き場から
補充用の用紙を持ち出す際に記載する方法に変更、
塩釜研究所
これにより記載率は90%以上となり、より正確な
塩釜研究所では炭酸ガス凍結装置を利用して、新
OA用紙使用実績の把握が可能となりました。
製品および改良品の凍結試験を行っています。
凍結に使用する液化炭酸ガスは、屋外に設置して
あるボンベから配管を通して凍結装置まで送られてき
ますが、ボンベに接続している屋外の配管部分には、
断熱材が付いていなかったためこの配管に霜が付着
し、冷気が無駄に使われていると予想されたので、そ
こに断熱材を巻き付ける工事を5月に行いました。
工事以後、液化炭酸ガスの使用量は目標値と比較
すると、月平均30kg程度の削減効果があったと見ら
れます。
極洋食品㈱本社・塩釜工場
極洋食品㈱本社・塩釜工場では、県内大学生のイ
ンターンシップ制度を導入しています。
当社生産管理部に所属している熊谷さんは、一昨
年にインターンシップ制度を活用し研修生として2
週間ほど塩釜工場勤務を体験しました。
その後、縁あって2009年4月に㈱極洋に入社、
パイプに
断熱材を巻き
冷気の漏れを
軽減
現在は当工場に出向し、製品開発の業務に携わって
います。
本人にとっても、「勝手知ったる」とはいかないま
液体炭酸ガスボンベ(ホースに断熱材)
でも、見覚えのある景色・面々との再会は新たに社
会人生活をスタートするに当たり心強いものがあっ
たのではないでしょうか。
今後は、諸先輩のアドバイスや生産現場を通じて、
食品製造の知識を存分に吸収・蓄積し、みずみずし
極洋商事㈱
極洋商事㈱では、これまでOA用紙の使用量把握の
い感性と発想で斬新なアイデアを発信してくれるこ
とを期待しています。
ため、事務所内にあるFAX、コピー機等ごとに機械
極洋商事㈱事務局
2008年度のインターンシップ研修生で新入社員の熊谷さん
22
サイトレポート③
極洋食品㈱八戸工場
復 さ せ るAVダ ウ ン ろ 過
機を導入して効果が出て
極洋食品㈱八戸工場では、サケ2つ割り機(フィー
おり、廃油の発生ゼロを
レマシン)での加工時に発生する切りくず(魚粉)を、
目指しています。
これまでは常時流水で流して排水処理設備で処理し
ていました。昨年より流水で流すのをやめ、発生す
る魚粉をスコップ等でその都度除去する方法に切り
替えました。
これにより約5%の水の使用量の削減となり、また
食油ろ過機
排水処理設備への負荷も軽減されました。
なお、除去した魚粉はすべて飼料工場にてリサイ
クルされています。
極洋水産㈱
極 洋 水 産 ㈱ で は、 前 年 1
月に新替えした冷凍機が年
間 を と お し て 本 格 稼 動 し、
以下のような効果が判明し
ました。
冷蔵課の電力使用量は前
サケ2つ割り工程の切りくず除去
年の59%に削減でき、冷凍
新冷凍機(二元冷凍機)
機の冷却水使用量が前年の43%に削減できたため、
井水使用量全体を低減することができました。
このほか、新冷凍機になってからフロンの充填量は
キョクヨーフーズ㈱
ゼロで、オゾン層の破壊防止に役立っています。
また、極洋水産㈱では、前年3月に完成したQR
キョクヨーフーズ㈱では、2008年度秋の新製品
コードシステムが本格稼動しました。冷蔵庫作業の効
として従来のオーシャンキングより繊維感、ボリ
率化および誤出庫などの貨物事故防止のために導入し
ューム感を向上させたタラバカニの脚肉風を模した
ましたが、貨物事故件数は目標(32件)を12件も下
形状のオーシャンキング「極」を開発しました。大
回り、大きな成果を上げることができました。
手量販店での導入が期待される次代オーシャンキン
グの主力製品を目標に、
貨物事故は余計な運送便を必要とし、CO2の排出増
加にもつながります。今後もQRコードシステムの有
今期中に本社調理冷凍
効活用により、作
食品部と連携して増産
業効率アップとと
体制を整えます。
もに貨物事故件数
またフライヤーで発
削減を目指してい
生していた廃油の酸化
きます。
度 を 下 げ、 濁 り を 取 り
新油に近い透明度へ回
23
新製品オーシャンキング「極」
QRコード読み取り作業
キョクヨーの
環 境 活 動
サイトレポート④
キョクヨー秋津冷蔵㈱福岡事業所
キョクヨー秋津冷蔵㈱東京事業所
キョクヨー秋津冷蔵㈱東京事業所では、消費電力
削減を目的とした当番制による事業所内の見回りと、
職場環境改善のための周辺清掃活動を続けています。
昼休みに全フロアの消灯を徹底するため、まず5階
まで上がりワンフロアずつ降りながら消灯の確認を
しています。周辺清掃も月に1回、2班交代で行って
いますが、全員参加によるこうした活動を通じて一
人ひとりが、会社の活動に留まることなく、家庭に
新型プリウスに乗った志垣工場長
おいても同じレベルの意識を持ち続けたいと考えて
キョクヨー秋津冷蔵㈱福岡事業所では、これまで
います。
使用してきた車両の老朽化に伴い、昨年4月に新車両
に入れ替える際に、キョクヨーグループとしての「省
エネルギー」の環境方針に則って省エネ車を採用す
ることとしました。
当時、福岡支社がすでに採用していたこと、また
一番良く売れており性能の評価も良かったことなど
からトヨタのプリウスに決定しました。
購入後、約1万キロメートルを走行しましたが、
燃費は約21km/ℓと一般車の約2倍であり、また室
東京事業所にて松本営業部長
内の静粛性および乗りごこちも極めて良く、大変満
足し技術の進歩を身近で享受できることは、大変あ
りがたいことであると思います。
〈食品工場系・冷蔵庫系の独自目標内訳(2008 年度)〉
項 目
目 標
㈱極洋
極洋水産(株)
塩釜研究所
冷蔵課
本社・大阪
事業所
東京事業所
福岡事業所
○
○
○
○
○
○
○
○
省エネルギー
収入トン数当りのCO2原単位を
削減する
省資源
資源の有効利用を企画・提案する
○
動植物性残渣を削減する
○
汚染の予防
貨物事故の発生件数を削減する
液化炭酸ガス使用量を削減する
キョクヨー秋津冷蔵㈱
○
※事務所系は本来業務の改善を目指した16項目の独自目標に取り組んでいます。
24
第三者意見
これからの方向性が見える報告がありました。適切な
辰巳 菊子
社団法人
日本消費生活アドバイザー・
コンサルタント協会
常任理事・環境委員長
取り組みと考えます。
極洋グループは、毎日の食を支える企業グループで
あり、私たちには切っても切れない水産物を扱ってい
ます。農産物と水産物の違いは、水産物の採取の現場
が暮らしから遠いところにあり、見えにくいということ
です。たとえば、特集の寿司の話では、お米はタイ北部
の農場からということが記載され、そのお米をいかに
今年もサスティナブルな暮らしを願う消費者の一人
として報告書を読ませていただきました。
おいしい寿司米にするかの物語が語られていますが、
ネタのエビやサーモンなどの調達については説明が
今年度は、特集として、おいしい日本の寿司を世界
なく、どこから?と気にかかります。環境パフォーマン
の人々に食べてもらいたいと願い、大勢の人々の力と
ス報告のページでは、マリンファームやマダカスカル
技を結集する姿が描かれています。かつてスウェーデ
のエビの話など、進んだ取り組みが紹介されています。
ンで食べた、えっこれがと思う寿司を思い出しながら、
これらが今後ますます拡大されることを期待するとと
これなら世界の人々も喜んでくださるとわくわくして
もに、サプライチェーンマネジメントとしての PDCA
読みました。まずは喜ばれるものを提供することが企
が回るような仕組みを早急に進めていただければ、ト
業の基本的役割だと思います。
レーサビリティが明確となり安心につながります。そ
そして、トップのコメントとして、厳しい事業環境に
れはとりもなおさず企業価値向上につながります。
あっても省エネ配慮の新造船の建造や水産資源保護
低炭素社会をめざし、地球温暖化防止活動としての
の観点から、小型魚の混獲回避の調査や自ら作り育て
思い切った CO2 削減の取り組みも、これからの成果
る漁業の推進、安全な食品の提供、そして企業価値向
が待たれますが、長 期的な総量削減目標を作ること
上の努力などの取り組みを約束され、社会とのよりよ
で、次年度の目標値も決まってきます。これも早急な
い関係を構築すると宣言されています。外に向けた約
検討を待っています。
束ではありますが、社員の意識統一にも大いに役立つ
ものと思います。
また、今年はパフォーマンス報告に、生物多様性へ
最後に、企業活動の「見える化」についてですが、昨
年の学生インタビューは新鮮でした。また、ご検討い
ただけると嬉しいですね。
の取り組みやカーボンフットプリントへの対応など、
意見を受けて
今年も貴重なご意見をいただき誠にありがとうご
ざいます。私どもの取り組みは、全体的にはまだまだ
不十分なところもありますが、一歩一歩着実に前進し
たいと考えています。特にご指摘を受けた水産資源の
福井 清計
代表取締役社長
調達先などの「見える化」という課題は、サプライチェ
ーンマネジメントの観点からも年々重要になっていま
す。私どもとしては、特集にもあるように寿司種など
25
の調達にあたっては、従来から取引関係のある信頼で
オープンにできる体制を整えつつあります。ご指摘を
きる調達先との関係を重視しており、お客様の信頼を
いただいたその他の項目についてもさらに誠実に取
裏切ることがないよう、調達→加工→商品化の道筋を
り組んでまいります。
会社概要(2009年3月31日現在)
名
称 株式会社 極洋 所
在
主要な事業内容 水産物の輸出入・国内買い付け販売、
地 〒107-0052 加工食品および冷凍食品の製造販売
従 業 員 数 2,682名(連結)
東京都港区赤坂三丁目3番5号
設
立 1937年9月3日
資
本
534名(単独)
連結対象子会社数 16社
金 56億6千4百万円
〈売上高〉
〈経常利益/売上高経常利益率〉
経常利益 連結 売上高経常利益率 連結
経常利益 単独 売上高経常利益率 単独
売上高 連結
売上高 単独
(百万円)
(百万円)
2.0
1.8
4,000
200,000
〈純資産/自己資本利益率〉
1.9
1.9
純資産 連結 自己資本利益率 連結
純資産 単独 自己資本利益率 単独
(%)
(百万円)
2.0
20,000
1.5
15,000
1.6
3,000
150,000
1.2
1.3
1.1
12.1
(%)
10.8
12.0
11.4
8.3
9.1
9.1
9.0
7.9
6.8
0
06/03
07/03
08/03
09/03
0.0
0 06/03
17,842
13,343
09/03
17,762
13,675
08/03
18,887
15,373
07/03
18,370
15,685
0 06/03
2,873
1,753
3.0
2,841
1,502
5,000
2,853
1,726
0.5
1,000
50,000
3,035
2,264
6.0
147,554
135,400
10,000
147,767
134,670
1.0
157,088
146,722
2,000
152,899
142,995
100,000
07/03
08/03
09/03
0.0
編 集 後 記
キョクヨーグループ各部署の協力を得て、今年で3 回目の社会・環境報告書を発行することがで
きました。
今回は、日本が誇れるヘルシーな水産食品をテーマとした「冷凍すし」を特集に取り上げ、世界を
舞台に活躍する当社グループの組織力をご紹介しました。
特に、水産物を取り扱う食品メーカーとして資源の持続可能性や生物多様性保全への配慮は
当然のことと受け止めながら、どのように対応すべきかを第三者意見などに対するお約束としてしっ
かり実現すべく、一歩一歩前進してまいります。
来年はもっと現場に近いところからのご報告を予定していますのでご期待ください。この報告書を
通じて、ステークホルダーの皆様へ正確な情報を読みやすくお伝えできるよう心がけてまいります。
皆様のご意見・ご感想を同封のアンケートなどでお聞かせいただければ幸いです。
キョクヨーグループ
環境保全委員会 事務局
26
「キョクヨーグループ」
〒107-0052 東京都港区赤坂三丁目3番5号
ホームページ http://www.kyokuyo.co.jp
Cert no. SA-COC-1442
この冊子は、FSC認証紙(適切に管理された森林に由来する用紙)にベジタブルオイルインキ(野菜からつくられたインキ)を使用し、
NONVOC(揮発性有機化合物を排除すること)に対応する水なし印刷(有害な廃液を出さない印刷方式)で行われています。