液晶特許と歴史(2) - nifty

液晶特許と歴史
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●液晶 特 許と 歴史(2)
(3)S
(3)STN 液晶 特 許(J.J.Scheffer他
J.J.Scheffer他 , Brown Boveri Research)
Research)
198 3年 Barremanは液晶 の電気 光学 応答関数が、捻れネマチック ディスプレイ における捻れ角を変
えることにより大きく変化 す ることを発見した。
この発見を知 ったSchefferたちは非常に急峻な 電気 光学 応答を示す いろいろな ネマティック 構造を考案
し、液晶 分子の捻れ角をTN 液晶 の90 度から2 70 度にす るとヒステリシスが消え良好 な 応答がえ
られることを発見した。これがSTN 液晶 の基本的特許と言 われている。
彼らは198 5年 にSTN 液晶 の試作パネルを発表しているが、当時は配向膜の形成に斜 方蒸着法 が使われ
たが、現 在で はラビング 法 が使われている。
STN −LCDの量産が開始されたのは198 7年 で 、カラ−STN は1991年 に量産スタ−ト
している。多くのノ −トパソコン等に採用され生産数も飛躍的に伸び ていた。
ところが1991年 TFTカラ−液晶 が台頭してSTN 存続の危機 がきた。価格は高かったが高精細で 高
速応答で あったためTFT液晶 が急速に伸び た。そ のため高速応答を可能にす る駆動法 がいろいろ考案され
た。
そ れまで のSTN 液晶 の駆動法 は日立の川上英明 等が発明 した任 意バイ アス法 の電圧平均化 法 が使
われていた。(1973年 , 特許12 10 98 8 号)
この原理は、液晶 の光学 応答の定常状態 で は透過率が印加電圧の実効値に依存す るというもので す 。液
晶 の駆動は交流駆動が一般的で あるが、画素への印加電圧を作り出す 走査電圧と信 号電圧の基準にな る電
圧を同じにす る必要がな いことに着目した。 画素への印加電圧は走査電圧と信 号電圧の差 で あるため基
準電圧が相殺されて消える。
そ れまで のSTN 液晶 パネルの応答速度は約2 50 msと長 く動画表示には向かな かった。そ こで 転
送速度が6 Mビット/秒程度が扱えるよう10 0 ms程度の応答速度を実現 す る駆動法 が開発された。
電圧平均化 法 に代わる新しい駆動法 として1992 年 にアク ティブアドレッシング 法 やマルチライ
ン駆動法 が発表され、応答スピ−ドがかな り改善されていく。そ の後TFT液晶 に比べて約半分の価格を武
器にノ −トパソコン等への搭載が再び 活気 づく。
STN 液晶 は当初は着色が起 き、イ エ ロ−モ−ドやブル−モ−ドで あった。そ の後液晶 セルを2 枚重ね
て白色化 され、さらに位相差 フィルムを使うフィルムSTN 液晶 が開発された。液晶 セルの2 層 化 もフィ
ルム液晶 ともにセイ コ−エ プソンの特許で ある。
またSTN 液晶 のカラ−化 は198 1年 東北大学 の内田龍男よりカラ−フィルタを使う方法 が提案され、
現 在も基本的にこの方法 で ある。STN カラ−液晶 ディスプレイ は、先ほ ども書きましたように低価格を武
器にTFTにせまる高精細、高速応答を実現 して、今後ともTFTとともに用途を住み別けな がら各種
ディスプレイ に使われるで しょう。
(4)T
(4)TFT基本特 許(P.K.Wiemer.,
P.K.Wiemer., RCA社)
薄膜のトランジ スタで あるTFTは196 1年 にRCA社のP.K.Wiemer達によって発明 された。これ
がTFTの基本特許で ある。実際にTFT液晶 ディスプレ−として開発されたのは12 年 経った197
3年 にウエ スティング ハウスのT.P.BrodyたちによりCdSe−TFT液晶 が開発された。そ の2 年 前
の1971年 にはRCA社のB.J.Lechnerらによりアク ティブマトリック ス液晶 ディスプレイ が発明 され
ている。
現 在のTFTには2 種類ある。1つは非晶 質シリコン(a−si:H)を用いたもの、もう一つが多結
晶 シリコンを用いたもので ある。
非晶 質シリコンを用いたデバイ スとしては、太 陽電池が広く普及しているがTFTへの応用は1979
年 に発表されている。実際に試作品が発表されたのは198 2 年 で ある。非晶 質シリコンはエ ピタキ
シャル成長 の成膜システムがな いので 、基板の種類を問わずにトランジ スタが作れるため量産に向いてい
る。この材料の特徴は、
1. 大面積にわたり均一に再現 性のある膜が可能で ある。
2 . 固 い膜で あり、しかも微細加工 が容易 。
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98/05/29
液晶特許と歴史
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3. 30 0 (摂氏温 度)程度の低温 堆積で ある。
4. アンド−プ膜の比抵抗が高い。
5. 毒 性がな い。
多結晶 シリコンTFTは基板温 度6 0 0 度(摂氏温 度)の熱 CVDで 形成し、10 0 0 度(摂氏温
度)で 良質のゲ −ト酸化 膜を作る。このTFTはキャリアのモビリティ(移動度)が非晶 質シリコンより高
いため高速動作が可能で 、動画表示に向く。最 近は低温 多結晶 プロセスの開発も活発で ある。多結晶 TF
T液晶 の製 品化 は198 3年 のポケットTVが最 初で ある。
TFTは各画素にスイ ッチング 素子を設けて画素ごとに制御電圧を印加す る。そ のため微細化 されてく
ると隣接配線間 のカップリング 容量や電極間 の静電容量により近接した画素に、関係 な い電圧が印加さ
れコントラストが悪化 す る。
この雑 音をキャンセルす る方法 として、ある画素にプラスの電圧を印加した場合隣の画素にはマイ ナスの
電圧を印加して雑 音干渉成分を打 ち消す というアイ デアが出された。この反転電圧の印加方法 として
フレ−ム反転からライ ン反転へ移行し、現 在はドット反転法 が主流で ある。ライ ン反転、ドット反転法 と
もにセイ コ−エ プソンの特許で ある。(特公昭6 3−46 6 36 , 特公平1−31346 )
この技術を発明 したのはセイ コ−エ プソン社の細川稔、池田勝幸そ して矢沢悟で ある。この技術によ
りTFTで 16 70 万色(2 56 階調)が可能にな った。この技術を使って実際にTFT液晶 パネルで
16 70 万色(2 56 階調)を実現 したのは1978 年 で ある。
彼らは1978 年 ∼198 2 年 まで に関連特許も含め9件出願している。この技術以 外 で 高精細を実
現 す る駆動法 は現 在存在しな い。
彼らはTFTアク ティブマトリック ス方式の液晶 ディスプレイ 用駆動回路 特許を系統的に出願している。一
部紹介す ると
特許第15942 0 6 号 ------ 特許第156 0 950 号 ------ 特許第1590 0 31号 ------ 特許第156 2 12 1号 ------ 特許第16 0 6 111号 -------
同期分離回路
X シフトレジ スタ関連
Yシフトレジ スタ関連
Yシフトレジ スタ関連
TFT部関連
またこれら9件以 外 に、この中から平成元年 に分割出願した特許(特願平1−2 946 38 )も有
力特許で ある。これらの特許は1992 年 と1997年 の2 回、(社)発明 協会主催の全国発明 表彰
を受賞している。 (5)ス
(5)ス −パ−TFT液晶 特 許(Ohta.M他
Ohta.M 他 , 日立 )
ス−パ−TFT液晶 はTFT液晶 の欠点で あった視野角の狭 さを解消す る新しい液晶 技術で ある。(ス
−パ−TFT液晶 特許, USP−5598 2 8 5)
TN 液晶 やSTN 液晶 は縦電界で 液晶 分子を動かす 。TN 液晶 モ−ドは液晶 分子が斜 めに立ち上がった状
態 だ と、見る角度によって光学 特性が異 な っている。これはネマチック 液晶 分子が長 軸と短軸で 光の屈
折率異 方性が違うためで ある。そ のため視野角は狭 くな る。
ス−パ−TFT液晶 は横電界方式で TFTを駆動している。また液晶 モ−ドとしてはIPS液晶 モ−ドを
使っている。この方式はネマチック 液晶 分子の短軸方向だ け使うため光学 特性の違いが発生しな い。
もともと横電界で 液晶 分子を動作させる概念 は、1973年 に米スペリ−研究所のR.A.Sorefたちに
よってInter-Digital-Electrodeという呼び 名で 提案されている。日本語で は「くし歯電極方式液晶 」と呼ば
れている。
1979年 にシチズン時計から「アク ティブ素子と横電界方式液晶 の組み合わせ」という特許が出願され
ているが、この時も横電界による方法 は注目されな かった。そ の後1992 年 に独フラウンホ−ファ −研
究所が視野角を拡大す る液晶 モ−ドとしてIPS(In-Plane-Switching)液晶 を提案し注目された。
日立はこの技術の応用を研究し、横電界方式の超広視野角液晶 をTFT駆動す るためのTFTの電極、
画素構造に関す る特許を取得 した。これがス−パ−TFT液晶 特許で ある。
他社がこの技術に着手しな かったのは、横電界で 動かす と画素内に電極が必要にな り開口率が落ちて
低消費電力化 に反す ると考えたからで ある。最 近の携帯 機 器やノ −トパソコンで は確 かに低消費電力化
は重要で あるが、CRTの置き換 えを狙うな らそ んな に低消費電力にこだ わることはな い。とにかく高
精細で 広視野角が絶対 条件だ からで ある。他社は液晶 ディスプレ−は低消費電力で な いとダメという考え
が頭にこび りついていたので あろう。
Sumiaki Takei
署名は検証され
ていません。
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電子署名者 : Sumiaki
Takei
DN: cn=Sumiaki
Takei, c=JP
日付 : 2001.05.12
19:44:36 +09'00'
理由 : この文書の著者
98/05/29
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