資 料 2 平成23年11月17日 東北電力株式会社 東通原子力発電所温排水影響調査 流況調査用流向・流速計の機種変更について 1.背景と経緯 東通原子力発電所温排水影響調査に係る流況調査用の流向・流速計は,アーンデラー社製の ローター型自記式流向・流速計(以下,ローター型と記す)を使用しています。 しかしながら近年,電磁センサの開発,普及が進み,これらを組み込んだ流向・流速計が主 流となってきたため,アーンデラー社では,ローター型の部品製造および補修などの技術サポ ートを中止しています。 温排水影響調査においては、保有しているローター型にて支障なく測定しておりますが,今 後を見据え,平成24年度調査からローター型から JFE アドバンテック(株)製の電磁流向・ 流速計(以下,電磁式と記す)へ機器を変更します。 また,変更に先立ち,平成22年度調査において,ローター型と電磁式との比較試験を実施 しましたので,その結果を以下のとおり報告します。 2.対象機種の仕様および測定原理 使用機器 アーンデラー社 JFE アドバンテック(株) 【現在使用機器】 【変更予定機器】 ローター型(RCM-4) 電磁式(INFINITY-EM) 項目 仕様 流向 流速 流向 流速 センサー 磁気コンパス ローター ホール素子 2 軸電磁流速センサ 測定範囲 0~360° 1.5~250cm/sec 0~360° 0~±500cm/sec 精度 5~100cm/sec の ±1cm/sec ±2° ±1cm/sec or 流速時±5° 観測仕様※ 測定原理 B:10(瞬間値) ±2% B:10(平均値) B:10,S:1,N:60 流れの流圧を受けて回転するロータ ファラデーの電磁誘導の法則,すなわ ーの回転数から流速を求める。流向 ち磁場の中を導体である海水が動く は、ベーンと呼ばれる尾翼により流速 と,その速度に比例して誘導起電力が 計が流れの来る方向を向くように回 生じることを利用し,その誘導電圧を 転し、内蔵した磁気コンパスにより測 検出して流速を求める。 定する。 ※)観測仕様 B:測定間隔(分),S:サンプリング間隔(秒),N:サンプリング個数 1 3.電磁流向・流速計(Infinity-EM)の特長 (1)小型(全長約 45cm)で、取り扱いが容易である。 (2)駆動部が無く、海藻などの浮遊物の影響を受けにくい。 (3)国産メーカー製であるため、検定および補修のサポートが迅速に行える。 (4)設置方法は従来と同様であり、海面下に吊り下げて使用する。 4.調査方法 (1)調査方法 東通原子力発電所前面海域の St.21 および St.29 において,ローター型と電磁式を海面下 2m層に係留し,15昼夜観測を実施しました。図 1 に流向・流速計の設置状況を示します。 (2)調査期間 平成 22 年度第1四半期~第4四半期の温排水影響調査時 流向・流速計 【現在使用】 ローター型 (RCM-4) 【変更予定】 電磁式 (INFINITY-EM) 【現在使用】 ローター型 (RCM-4) ※予備機器 図 1 流向・流速計の設置状況 5.相互比較結果 東通原子力発電所前面海域の St.21 および St.29 において,ローター型と電磁式の相互比較 を行いました。各四半期における流向・流速の頻度を図2.1~2.2に示します。 流向については各四半期を通して概ね両者で一致しており,流速についてはローター型で速 度が若干速めになる部分が見受けられましたが,これまでの知見からローター型は波浪の影響 を受けやすく電磁式より速めの結果となることが既知であるため,測定結果は妥当なものであ り,問題なく測定できていることから,平成24年度第1四半期以降の調査から,流向・流速 計について従来のローター型から電磁式に切替えを実施します。 2 平成22年度第1四半期調査:平成22年5月17日~5月31日 電磁式(INFINITY-EM) ローター型(RCM-4) 北 北 西 10 20 東 西 30 [%] 10 20 東 30 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 南 ≧40.0 南 [cm/s] [cm/s] 平成22年度第2四半期調査:平成22年8月11日~8月25日 ローター型(RCM-4) 電磁式(INFINITY-EM) 北 西 北 10 20 西 東 30 [%] 10 20 東 30 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 南 ≧40.0 南 [cm/s] [cm/s] 平成22年度第3四半期調査:平成22年11月12日~11月26日 ローター型(RCM-4) 電磁式(INFINITY-EM) 北 北 西 10 西 東 20 30 [%] 10 20 東 30 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 南 ≧40.0 南 [cm/s] [cm/s] 平成22年度第4四半期調査:平成23年2月10日~2月24日 ローター型(RCM-4) 電磁式(INFINITY-EM) 北 西 北 10 20 西 東 30 [%] 10 20 東 30 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 南 図2.1 ≧40.0 南 [cm/s] St.21 海面下2.0m層のローター型と電磁式の比較 3 [cm/s] 平成22年度第1四半期調査:平成22年5月17日~6月8日 (欠測期間5月24~5月31日) 電磁式(INFINITY-EM) ローター型(RCM-4) 北 北 西 10 20 西 東 30 [%] 10 20 東 30 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 ≧40.0 [cm/s] 南 [cm/s] 南 平成22年度第2四半期調査:平成22年8月11日~8月25日 ローター型(RCM-4) 電磁式(INFINITY-EM) 北 西 北 10 20 東 西 30 [%] 10 20 東 30 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 南 ≧40.0 [cm/s] [cm/s] 南 平成22年度第3四半期調査:平成22年11月12日~11月26日 ローター型(RCM-4) 電磁式(INFINITY-EM) 北 北 西 10 西 東 20 10 30 [%] 20 30 東 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 南 ≧40.0 南 [cm/s] [cm/s] 平成22年度第4四半期調査:平成23年2月10日~2月24日 ローター型(RCM-4) 電磁式(INFINITY-EM) 北 西 北 10 20 東 西 30 [%] 10 20 東 30 [%] <10.0 <10.0 <20.0 <20.0 <30.0 <30.0 <40.0 <40.0 ≧40.0 南 図2.2 ≧40.0 南 [cm/s] St.29 海面下2.0m層のローター型と電磁式の比較 4 [cm/s]
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